JP4821974B2 - 鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法 - Google Patents

鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉛含有複合酸化物、例えば、強誘電体薄膜を形成するのに用いられ優れた分散安定性を有する鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等に代表される結晶を含む強誘電体薄膜は、自発分極、高誘電率、電気光学効果、圧電効果、焦電効果等を有しているため、圧電素子等の広範なデバイス開発に応用されている。このような強誘電体薄膜の成膜方法としては、例えば、MOD(Metal Organic Deposition)法、ゾル−ゲル法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等が知られているが、特に、MOD法及びゾル−ゲル法は、強誘電体薄膜を比較的低コストで且つ簡便に成膜することができるという利点を有する。
強誘電体薄膜は、MOD法によって成膜する場合、一般的に、金属アルコキシドやアセチルアセトナート錯体等の有機金属化合物をアルコールに溶解し、これにアルカノールアミン等を加えて得たコロイド溶液を被対象物上に塗布した後、これを乾燥して焼成することで成膜される。一方、ゾル−ゲル法によって成膜する場合には、有機金属化合物をアルコール等の溶媒に溶解し、加水分解させて得たコロイド溶液を被対象物上に塗布した後、これを乾燥して焼成することで成膜される(例えば、特許文献1参照)。
このようなコロイド溶液は、長期間保存するとゾルが凝集して析出してしまい、保存安定性が悪いという問題がある。特に、有機金属化合物としてアセチルアセトナート錯体を用いると、アセチルアセトナート錯体は分解し難く析出し易いため分散安定性が悪いという問題がある。このように析出が生じると、強誘電体薄膜形成用組成物の組成が変動し、これが原因となって、強誘電体薄膜の膜成分が不均一に分散し、強誘電体薄膜を有する圧電素子の圧電特性が変動してしまう。さらに、圧電素子をアクチュエータ装置として備えた液体噴射ヘッドにおいては、このような圧電素子の圧電特性の変動が、液体吐出特性のばらつきの原因となってしまう。なお、上述したアセチルアセトナート錯体の分散安定性が悪いという問題は、強誘電体薄膜形成用組成物だけでなく、アセチルアセトナート錯体を含有する鉛含有複合酸化物形成用組成物においても同様に存在する。
特開平06−5946号公報
本発明はこのような事情に鑑み、アセチルアセトナート錯体の分散安定性が良好で保存安定性を長期に亘って維持することができる鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第の態様は、酸化鉛の原料としての酢酸鉛と、鉛以外の金属の酸化物の原料としてのチタニウムアルコキシド及びジルコニウムアセチルアセトナートと、酢酸とを、酢酸/ジルコニウムアセチルアセトナート(モル比)が2より大きくなり且つPb:Zr:Ti=1.0〜1.2:0.51〜0.56:0.44〜0.49(モル比)となるように、加熱せずに混合することによりコロイド溶液からなる鉛含有複合酸化物形成用組成物を得ることを特徴とする鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法にある。
かかる第の態様では、アセチルアセトナート錯体であるジルコニウムアセチルアセトナートの分散安定性が良好で且つ保存安定性に優れた鉛含有複合酸化物形成用組成物を比較的容易な方法で製造することができる。
本発明の第の態様は、前記酢酸鉛を溶媒に混合した後、前記酢酸及び前記ジルコニウムアセチルアセトナートを混合することを特徴とする第の態様に記載の鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法にある。
かかる第の態様では、添加された酢酸により、アセチルアセトナート錯体であるジルコニウムアセチルアセトナートの分散安定性が良好になる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は、強誘電体薄膜等の鉛含有複合酸化物を形成するのに用いられるコロイド溶液(ゾル)であり、具体的には、酸化鉛の原料としての酢酸鉛と、鉛以外の金属酸化物の原料としての金属アルコキシド及びアセチルアセトナート錯体と、酢酸とを含有するコロイド溶液からなり、当該コロイド溶液中の酢酸とアセチルアセトナート錯体とのモル比、すなわち、酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)が2より大きいものである。ここで、酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)中の「酢酸」とは、コロイド溶液中に含まれる酢酸、すなわち、原料として添加した酢酸及び酢酸鉛から遊離した酢酸を意味する。本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は、酢酸を添加することにより、アセチルアセトナート錯体に酢酸が弱い相互作用で結合するため、アセチルアセトナート錯体の分散性安定性が顕著に向上し、鉛含有複合酸化物形成用組成物の保存安定性が良好になる。このように本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は分散安定性及び保存安定性に優れているため、これを用いて鉛含有複合酸化物を形成すると、金属成分が略均一な複合酸化物を得ることができる。なお、酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)はさらに好ましくは4以上である。また、本発明において、酢酸の含有量は、アセチルアセトナート錯体の分散安定性を高める点においては特に上限はないが、塗布、乾燥及び焼成等の複合酸化物形成プロセスの条件に対する鉛含有複合酸化物形成用組成物の粘度を考慮することが好ましい。
金属アルコキシドとしては、チタニウムアルコキシド、チタニウムイソプロポキシド等が挙げられる。また、アセチルアセトナート錯体としては、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。なお、金属アルコキシドがチタニウムアルコキシドで、アセチルアセトナート錯体がジルコニウムアセチルアセトナートであることが好ましい。
金属アルコキシドやアセチルアセトナート錯体中の金属と鉛のモル比は特に限定されないが、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)形成用組成物の場合は、Pb:Zr:Ti=1.0〜1.2:0.51〜0.56:0.44〜0.49(モル比)となるように、酢酸鉛、金属アルコキシド及び金属アセチルアセトナートを含有することが好ましい。
本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物に含有される溶媒としては、アルコール系溶媒が挙げられる。このアルコール系溶媒として、例えば、2−n−ブトキシアルコール、n−ペンチルアルコール、2−フェニルエタノール、2−フェノキシエタノール、メトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、酢酸イソアミルを挙げることができ、これらの溶媒は単独で用いても複数種用いてもよい。
本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は、さらに、アルカノールアミンを含有していてもよい。アルカノールアミンを含有すると、金属アルコキシド及び酢酸鉛の分散安定性を良好にすることができる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンを挙げることができる。これらのアルカノールアミンは、単独で用いても複数種用いてもよい。
また、必要に応じて、鉛含有複合酸化物を安定化させるため、また、形成される強誘電体薄膜のクラックの発生を防止するための安定化剤として、例えば、ポリエチレングリコール等を添加物として加えてもよく、その他の添加剤として、増粘剤等を加えてもよい。
本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は、MOD法に好適に適用することができる。なお、MOD(Metal Organic Deposition)法とは、ゲル化反応(加水分解反応)を起こさず、単に金属アルコキシドやアセチルアセトナート錯体等を原料とした有機金属材料の溶液の塗布、乾燥、熱処理だけで膜などを得る方法をいう。本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物はMOD法に適用することができるため、強誘電体薄膜等の鉛含有複合酸化物を比較的低コストで且つ簡便に成膜することができる。
以下、本発明の鉛含有複合後酸化物形成用組成物について、下記試験例に基づいてさらに詳細に説明する。
(試験例) Zrアセチルアセトナートの分散安定性
ジルコニウムアセチルアセトナート27.5gを2−n−ブトキシエタノール(CH(CHOCHCHOH)118gに添加し、ジルコニウムアセチルアセトナート(Zr(CHCOCHCOCH)の濃度が0.3mol/Lの溶液を作製した。この溶液に、酢酸(CHCOOH)、水(HO)及びイソプロピルアルコール(IPA)を、ジルコニウムアセチルアセトナート1モルに対して、下記表1のモル数となるように混合した。上記操作は全て室温下で行った。各混合液を容器に入れ開封状態で10日間室温で保存し、析出の有無を観察した。結果を表1に示す。なお、酢酸鉛3水和物(Pb(CHCOO)・3HO)に由来する水、及び、チタニウムテトライソプロポキシド(Ti((CHCHO))に由来するIPAを想定して、水及びIPAを表1に示すモル数で混合した。具体的には、Pb:Zr:Ti=1.2:0.55:0.45(モル比)のチタン酸ジルコン酸鉛形成用組成物を製造する際に生じる酢酸鉛3水和物に由来する水6.6モルと、チタニウムテトライソプロポキシドに由来するIPA3.2モルとを混合したものがサンプル1及び4であり、その他のサンプルについては、サンプル1及び4と同量又はそれよりも少ない量をそれぞれ混合した。
Figure 0004821974
表1に示すように、酢酸/アセチルアセトネート錯体(モル比)が2であるサンプル1〜3は10日後にはジルコニウムアセチルアセトネート等が析出し、特に水の添加量を少なくしていくにしたがって、析出量が多くなった(サンプル2及3)。一方、酢酸/アセチルアセトネート錯体(モル比)が4であるサンプル4〜8は、10日間経過後も析出は全く無く、水の含有量を少なくしたサンプル5及び6や、IPAの含有量を少なくしたサンプル7及び8も、分散安定性が非常に良好だった。
この試験結果から、鉛含有複合酸化物形成用組成物において、酢酸/アセチルアセトネート錯体(モル比)が2より大きい場合は、ジルコニウムアセチルアセトネートの分散安定性が良く、また、長期間保存しても析出が生じないため、非常に優れたジルコニウムアセチルアセトネートの分散安定性及び保存安定性を有することが分かった。また、酢酸/アセチルアセトネート錯体(モル比)が2より大きい場合は、鉛含有複合酸化物形成用組成物の調整中又は保存中に水やIPAが減少しても、水やIPAに関係なく保存安定性に優れていることが分かった。
このような、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は、酸化鉛の原料としての酢酸鉛と、鉛以外の金属酸化物の原料としての金属アルコキシド及びアセチルアセトナート錯体と、酢酸とを、酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)が2より大きくなるように混合することによりコロイド溶液として得ることができる。また、アルカノールアミンも混合してもよい。酢酸を添加することにより、アセチルアセトナート錯体に酢酸が弱い相互作用で結合するため、アセチルアセトナート錯体の分散安定性が顕著に向上し、製造される鉛含有複合酸化物形成用組成物の保存安定性が良好になる。このように、金属酸化物の原料に酢酸を添加して酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)が2より大きくなるように配合するという比較的容易な方法で、アセチルアセトナート錯体の分散安定性が良好で且つ保存安定性に優れた鉛含有複合酸化物形成用組成物を製造することができる。ここで、上述のように鉛含有複合酸化物形成用組成物には酢酸鉛も混合されるため、この酢酸鉛から遊離する酢酸を考慮すると、例えば、アセチルアセトナート錯体に対して原料としての酢酸を2モル以上混合することにより、アセチルアセトナート錯体の分散安定性が向上し、製造される鉛含有複合酸化物形成用組成物の保存安定性が良好になる。なお、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物においては、酢酸を添加することにより金属アセチルアセトナート錯体の分散安定性が良好になるため、加熱しなくてもアルコール系溶媒等の溶媒中に分散可能である。従って、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は加熱せずに製造することができ、望まない反応が起こらず不純物が混入しないという利点も有する。
ここで、各成分を混合する順番は、酢酸鉛を溶媒に混合して酢酸鉛を溶媒に分散させた後、酢酸とアセチルアセトナート錯体を混合することが好ましい。具体的には、例えば、溶媒に金属アルコキシドを混合した後、必要に応じてアルカノールアミンを混合し、この混合液に酢酸鉛を混合した後、アセチルアセトナート錯体と酢酸を混合する方法を挙げることができる。なお、酢酸の添加はアセチルアセトナート錯体の添加の前後のどちらでもよい。また、アルカノールアミンの添加も酢酸の添加の前後のどちらでもよいが、酢酸の添加の前にアルカノールアミンを添加するのが好ましい、アセチルアセトナート錯体の分散安定性が良好になる傾向があるためである。
また、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物により、強誘電体薄膜を形成することができる。本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物は、アセチルアセトナート錯体の分散安定性に優れ、鉛含有複合酸化物形成用組成物の保存安定性を長期に亘って維持することができるため、これを用いて形成される強誘電体薄膜は、膜成分が略均一に分散、すなわち、強誘電体薄膜の膜質が略均一となり、安定した圧電特性を発揮することができる。
ここで、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物により形成される強誘電体薄膜は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性材料(圧電性材料)やこれにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイッテルビウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等の結晶を含むものである。その組成としては、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
このような強誘電体薄膜は、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物を被対象物上に塗布し、これを乾燥して焼成することにより製造することができる。なお、被対象物上に鉛含有複合酸化物形成用組成物を塗布する塗布工程においては、鉛含有複合酸化物形成用組成物が貯留されたタンク内に乾燥不活性ガスを所定流量で導入し、鉛含有複合酸化物形成用組成物をタンクに接続されたノズルまで搬送して、鉛含有複合酸化物形成用組成物をそのノズルから回転する被対象物上に滴下するのが好ましい。これにより、膜成分が略均一に分散した強誘電体薄膜の前駆体膜を比較的容易に製造することができる。
なお、以上説明した本発明に係る鉛含有複合酸化物形成用組成物及びこの鉛含有複合酸化物形成用組成物を用いて成膜された強誘電体薄膜は、広範なデバイス開発に応用することができ、その用途等は特に限定されないが、例えば、マイクロアクチュエータ、フィルタ、遅延線、リードセレクタ、音叉発振子、音叉時計、トランシーバ、圧電ピックアップ、圧電イヤホン、圧電マイクロフォン、SAWフィルタ、RFモジュレータ、共振子、遅延素子、マルチストリップカプラ、圧電加速度計、圧電スピーカ等に応用することができる。
(実施形態2)
以下、図1及び図2を参照して、本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物を圧電アクチュエータに適用した液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドについて詳細に説明する。図1は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びA−A’断面図である。図1及び図2に示すように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した酸化シリコン(SiO)からなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
この流路形成基板10には、シリコン単結晶基板をその一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が複数並設されている。また、圧力発生室12の並設方向(幅方向)とは直交する方向(長手方向)の一方の端部の外側には、後述する保護基板30のリザーバ部32と連通される連通部13が形成されている。また、この連通部13は、各圧力発生室12の長手方向一端部でそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスク膜51が設けられており、このマスク膜51上には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成され、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの強誘電体薄膜(圧電体層)70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、本実施形態の強誘電体薄膜70は、酸化鉛の原料としての酢酸鉛と、鉛以外の金属の酸化物の原料としての金属アルコキシド及びアセチルアセトナート錯体と、酢酸とを含有するコロイド溶液からなり、酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)が2より大きい本発明の鉛含有複合酸化物形成用組成物を用いて、MOD法により形成されている。
なお、圧電素子300とは、下電極膜60、強誘電体薄膜70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び強誘電体薄膜70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び強誘電体薄膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、本実施形態では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用する。振動板として下電極膜60だけを設けるようにしてもよい。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部31は、空間が密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が設けられ、このリザーバ部32は、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90は、その端部近傍が貫通孔33内で露出されている。
さらに、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの駆動信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に駆動電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び強誘電体薄膜70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以上説明した本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、強誘電体薄膜70が、酸化鉛の原料としての酢酸鉛と、鉛以外の金属酸化物の原料としての金属アルコキシド及びアセチルアセトナート錯体と、酢酸とを含有するコロイド溶液からなり、酢酸/アセチルアセトナート錯体(モル比)が2より大きい鉛含有複合酸化物形成用組成物、すなわち、分散安定性及び保存安定性に優れた組成物によって形成されているので、強誘電体薄膜70の膜成分が略均一に分散し、強誘電体薄膜70の膜質が略均一となる。したがって、ヘッドのインク吐出特性が安定し、且つヘッドの信頼性を高めることができる。
なお、本実施形態では、液体噴射ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを一例として説明したが、これに限定されず、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
実施形態2に係る記録ヘッドの概略を示す分解斜視図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの平面図及びA−A’断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、12 圧力発生室、20 ノズルプレート、21 ノズル開口、30 保護基板、31 圧電素子保持部、32 リザーバ部、40 コンプライアンス基板、60 下電極膜、70 強誘電体薄膜(圧電体層)、80 上電極膜、90 リード電極、100 リザーバ、300 圧電素子

Claims (2)

  1. 酸化鉛の原料としての酢酸鉛と、鉛以外の金属の酸化物の原料としてのチタニウムアルコキシド及びジルコニウムアセチルアセトナートと、酢酸とを、酢酸/ジルコニウムアセチルアセトナート(モル比)が2より大きくなり且つPb:Zr:Ti=1.0〜1.2:0.51〜0.56:0.44〜0.49(モル比)となるように、加熱せずに混合することによりコロイド溶液からなる鉛含有複合酸化物形成用組成物を得ることを特徴とする鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法。
  2. 前記酢酸鉛を溶媒に混合した後、前記酢酸及び前記ジルコニウムアセチルアセトナートを混合することを特徴とする請求項に記載の鉛含有複合酸化物形成用組成物の製造方法。
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