以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態における情報処理システムの全体概要を示す図である。図1を参照して、情報処理システム1は、ネットワーク2にそれぞれ接続された複合機(以下、「MFP」という)100,100A,100B,100Cを含む。MFP100,100A,100B,100Cは、その構成および機能は同じなので、ここでは特に言及しない限りMFP100を例に説明する。
MFP(Multi Function Peripheral)100は、原稿を読取るためのスキャナ、画像データに基づいて紙などの記録媒体に画像を形成するための画像形成部、ファクシミリを含み、画像読取機能、複写機能、ファクシミリ送受信機能を備えている。なお、本実施の形態においてはMFP100を例に説明するが、MFP100に代えて、たとえば、スキャナ、画像形成装置、ファクシミリ、コンピュータ等であってもよい。
ネットワーク2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク2は、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット等であってもよい。
図2は、本実施の形態におけるMFP100のハード構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、MFP100は、それぞれがバス120に接続された中央演算装置(CPU)101と、CPU101が実行するためのプログラムなどを記録したROM(Read Only Memory)103と、実行されるプログラムをロードするための、およびプログラム実行中のデータを記憶するためのRAM(Random Access Memory)105と、データを不揮発的に記憶するためのハードディスクドライブ(HDD)107と、フラッシュメモリ108が装着されるカードインターフェース(I/F)109と、MFP100をネットワーク2に接続するための通信I/F111と、スキャナ113と、画像形成部115と、ファクシミリ(FAX)117と、ユーザとのインターフェイスとなるオペレーションパネル119とを含む。
CPU101は、カードI/F109に装着されたフラッシュメモリ108に記憶されたデータ管理プログラムをRAM105にロードして実行する。なお、CPU101で実行するプログラムは、フラッシュメモリ108に記憶されたデータ管理プログラムに限られず、CPU101に別に接続されたEEPROM(Electrically Erasable/Programable Read Only Memory)に記憶されたプログラムをRAM105にロードして実行するようにしてもよい。EEPROMを用いれば、データ管理プログラムを書き換えるまたは追加して書き込みすることが可能となる。このため、ネットワーク2に接続された他のコンピュータが、MFP100のEEPROMに記憶されたデータ管理プログラムを書換える、または、新たなデータ管理プログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワーク2に接続された他のコンピュータからデータ管理プログラムをダウンロードして、そのデータ管理プログラムをEEPROMに記憶するようにしてもよい。
また、これらのプログラムはフラッシュメモリ108から読み出されて実行される例に限らず、ROM103に記憶されるプログラムが読み出されても構わないし、CPU101にEEPROMを接続し、フラッシュメモリ108から読み出されたプログラムをEEPROMに記憶し、そのプログラムを読み出して実行する態様であっても構わない。また、フラッシュメモリに記憶されたデータ管理プログラムを一旦HDD107に保存することにより、HDD107からRAM105にプログラムをロードして実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU101により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
なお、データ管理プログラムを記憶する記録媒体としては、フラッシュメモリ108に限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの半導体メモリ等の媒体でもよい。
画像形成部115は、レーザプリンタ、または、インクジェットプリンタ等であり、紙などの記録媒体に画像データを可視化する。スキャナ113は、CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子を含み、原稿を光学的に読取って画像データとしての電子データを出力する。FAX117は、画像データをファクシミリ規格に従って公衆交換電話網(PSTN)を介して送受信する。
オペレーションパネル119は、入力部119Aと表示部119Bとを含む。入力部119Aは、MFP100のユーザによる操作の入力を受け付けるためのタッチパネル、キーボードまたはマウス等の入力装置である。表示部119Bは、液晶表示装置または有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイパネルである。入力部119Aに透明な部材からなるタッチパネルを用いる場合には、表示部119B上にタッチパネルを重ねて設置することで、表示部119Bに表示されたボタンの指示を検出することができる。これにより、種々の操作の入力を受け付けることが可能となる。
通信I/F111は、MFP100をネットワーク2と接続するための通信インターフェイスである。MFP100は、他のMFP100A,100B,100Cとの間で通信することが可能である。MFP100は、他のMFP100A,100B,100Cと、ネットワーク2を介して接続される例を示すが、シリアルインターフェイスまたはパラレルインターフェイスを用いて直接接続されてもよい。通信I/F111は、MFP100が他のMFP100A,100B,100Cと接続される形態に応じたインターフェイスが用いられる。
MFP100へのデータの入力は、(1)スキャナ113で原稿を読み取って、画像データが入力される場合、(2)通信I/Fを介してネットワーク2に接続された他のコンピュータ、または他のMFP100A,100B,100Cから画像データを受信する場合、(3)フラッシュメモリ108に記憶された画像データをカードI/Fを介して読み出す場合、(4)FAX117で、ファクシミリデータを受信する場合である。
MFP100からのデータの出力は、(1)画像形成部115により紙などの記録媒体に可視化する場合、(2)通信I/F111を介してネットワークに接続された他のコンピュータ、または他のMFP100A,100B,100Cに送信する場合、(3)フラッシュメモリ108に記憶する場合、(4)FAX117によりファクシミリデータとして出力する場合、(5)表示部119Bに表示する場合がある。
次に、本実施の形態における情報処理システムで実現されるデータ管理方法について具体例を説明する。
<第1の具体例>
図3は、データ管理方法の第1の具体例を説明するための図である。図3を参照して、MFP100,100A,100B,100Cが、店舗1〜4にそれぞれ設置され、それらがネットワーク2に接続されている。MFP100のHDD107に、販売資料と、契約書が記憶されている。販売資料と契約書とは、それぞれ1つの物件に対応する文書であり、互いに関連する書類である。販売資料と契約書とが対応する物件とは、例えば、不動産、中古車などである。MFP100,100A,100B,100Cそれぞれは、販売資料(第2のデータ)を契約書(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データをHDD107に記憶する。MFP100,100A,100Bそれぞれは、同一の管理データを記憶する。MFP100は、他のMFP100A,100B,100Cからダウンロード要求があれば、販売資料または契約書をMFP100A,100B,100Cのうちダウンロード要求をしてきたMFPに送信する。
店舗2の営業担当者が、MFP100Aを操作して、MFP100から販売資料をダウンロードさせ、販売資料を画像形成させる。営業担当者は、画像形成された販売資料を顧客に提示することにより、営業活動を行う。また、店舗3の営業担当者も同様にして、MFP100Bを操作して、販売資料を入手する。ここで、店舗3の顧客が物件の賃貸または購入等の意思を示した段階で、MFP100Bを操作して、MFP100から契約書をダウンロードさせ、契約書を画像形成させる。店舗3の営業担当者は、画像形成された契約書を顧客に提示することにより、契約を成立させる。
MFP100は、MFP100Bからダウンロード要求を受信し、契約書(第1のデータ)を送信した段階で、契約書(第1のデータ)の送信および画像形成を禁止する。2重契約を防止するためである。加えて、MFP100は、管理データにより契約書(第1のデータ)に関連付けられている販売資料(第2のデータ)の送信および画像形成を禁止する。販売されない物件に対する営業活動がされるのを防止するためである。このため、その後、例えば店舗4において、店舗4の営業担当者が顧客に対して販売資料を用いた営業活動ができなくなる。さらに、MFP100は、MFP100A,100B,100Cに禁止信号を出力する。この禁止信号は、契約書(第1のデータ)を識別するための識別情報(例えば文書名)を含む。MFP100A,100B,100Cにおいては、禁止信号を受信すると、管理データにより契約書(第1のデータ)に関連付けられている販売資料(第2のデータ)を出力するのを禁止する。これにより、禁止信号を受信したMFP100A,100B,100Cにおいては、MFP100からダウンロードした販売資料を画像形成することができなくなる。このため、その後、販売資料を用いた営業活動ができなくなる。
<第2の具体例>
図4は、データ管理方法の第2の具体例を説明するための図である。図4を参照して、MFP100,100A,100Bが、会社内の開発部、製造部および営業部にそれぞれ設置され、それらがネットワーク2に接続されている。また、開発部にはサーバ装置200が設置されており、そのサーバ装置200もまたネットワークに接続されている。サーバ装置200には、開発スケジュール表が記憶されており、製造部のMFP100Aには、製造スケジュール表が記憶されており、営業部のMFP100Bには、営業活動スケジュール表が記憶されている。製造スケジュール表および営業活動スケジュール表は、開発スケジュールに基づいて作成されたものである。このため、開発スケジュール表が変更された場合には、その変更を反映するために、製造スケジュール表および営業活動スケジュール表を修正しなければならない。MFP100,100A,100Bそれぞれは、製造スケジュール表(第2のデータ)を開発スケジュール表(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データと、営業活動スケジュール表(第2のデータ)を開発スケジュール表(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データとを記憶している。
今、サーバ装置200に記憶されている開発スケジュール表(第1のデータ)が変更され、サーバ装置200からMFP100に対して変更後の開発スケジュール表を画像形成する指示が出力されたとする。この際、サーバ装置200はMFP100に対して、開発スケジュール表を変更した旨を示す信号を送信する。MFP100は、サーバ装置200から開発スケジュール表を変更した旨を示す信号を受信すると、変更前の開発スケジュール表(第1のデータ)の出力を禁止する。また、MFP100は、管理データにより変更前の開発スケジュール表(第1のデータ)に関連付けられている製造スケジュール表(第2のデータ)および営業活動スケジュール表(第2のデータ)の出力を禁止させるために、MFP100AおよびMFP100Bに禁止信号を送信する。この禁止信号は、変更前の開発スケジュール表、またはそれを識別するための識別情報(例えば文書名)を含む。MFP100Aにおいては、禁止信号を受信すると製造スケジュール表(第2のデータ)の出力を禁止する。また、MFP100Bにおいては、営業活動スケジュール表(第2のデータ)の出力を禁止する。これにより、開発スケジュールが変更されることにより、変更後の開発スケジュールが反映されていない古くなった製造スケジュール表および営業活動スケジュール表が出力されるのが禁止される。
<第3の具体例>
図5は、データ管理方法の第3の具体例を説明するための図である。ここでは、病院1〜3が、ある特定の地域で医療サービスを提供するために互いに提携しており、カルテ情報の共有をしているものとする。図5を参照して、MFP100,100A,100Bが、病院1、病院2および病院3にそれぞれ設置され、それらがネットワーク2に接続されている。
今、患者Aが病院1で診察を受けたとする。病院1ではカルテAが作成され、MFP100に記憶される。この際、MFP100は、患者AのカルテAに関連付けられた地域医療ネットワーク退会届を記憶し、かつ、カルテA(第2のデータ)を地域医療ネットワーク退会届(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データAを記憶するようにする。
その後、患者Aが病院2で診察を受けたとする。この際、病院2においては、MFP100AにMFP100からカルテAをダウンロードさせることにより、カルテAを取得する。このため、病院2の医師は、病院1において作成された患者AのカルテAを見ることができ、診察の参考とすることができる。病院2においては、カルテBが作成されて、MFP100Aに記憶される。また、MFP100Aは、カルテB(第2のデータ)をカルテA(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データBを記憶する。MFP100Aに記憶される管理データBは、MFP100に記憶される管理データAとは異なる。
同様に、病院3においても、MFP100BがMFP100およびMFP100Aから患者AのカルテAおよびカルテBをそれぞれ取得し、それらを診察の参考にすることができる。病院3においては、カルテCが作成されて、MFP100Bに記憶される。また、MFP100Bは、カルテC(第2のデータ)をカルテA(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データCと、カルテC(第2のデータ)をカルテB(第1のデータ)に従属する従属データとして関連付けた管理データDを記憶する。MFP100Bに記憶される管理データCおよび管理データDは、MFP100に記憶される管理データAおよびMFP100Aに記憶される管理データBとは異なる。
ここで、患者Aが何らかの理由で地域医療ネットワークの病院1〜3で診察を受けられなくなる場合を想定する。この場合は、地域医療ネットワークで公開されている患者AのカルテA、カルテBおよびカルテCを非公開にするようにしなければならない。ここでは、患者Aが病院1でその手続きをする場合を説明する。患者Aが地域医療ネットワークの病院1で診察を受けられなくなったことを通知すれば、MFP100において、地域医療ネットワーク退会届が画像形成される。患者Aがその地域医療ネットワーク退会届に必要事項を記入することにより、事務手続きが完了する。
一方、MFP100は、地域医療ネットワーク退会届が画像形成されると、管理データAにより地域医療ネットワーク退会届(第1のデータ)に関連付けられているカルテA(第2のデータ)の出力を禁止する。さらに、MFP100AおよびMFP100Bに禁止信号を送信する。この禁止信号は、カルテA、またはそれを識別するための識別情報(例えば文書名)を含む。MFP100Aにおいては、禁止信号を受信すると、MFP100からダウンロードしたカルテAを出力禁止するとともに、管理データBによりカルテA(第1のデータ)に関連付けられているカルテB(第2のデータ)の出力を禁止する。さらに、MFP100およびMFP100Bに禁止信号を送信する。この禁止信号は、カルテB、またはそれを識別するための識別情報(例えば文書名)を含む。MFP100Bにおいては、MFP100から禁止信号を受信すると、MFP100からダウンロードしたカルテAを出力禁止するとともに、管理データCによりカルテA(第1のデータ)に関連付けられているカルテC(第2のデータ)の出力を禁止する。さらに、MFP100およびMFP100Aに禁止信号を送信する。この禁止信号は、カルテC、またはそれを識別するための識別情報(例えば文書名)を含む。MFP100Bは、さらに、MFP100Aから禁止信号を受信すると、MFP100AからダウンロードしたカルテBを出力禁止する。この例では、カルテCは、MFP100から禁止信号を受信した段階で既に出力禁止されているので、カルテC(第2のデータ)の出力を禁止する必要がないが、MFP100Bは、MFP100より前にMFP100Aから禁止信号を受信する場合は、管理データDによりカルテB(第1のデータ)に関連付けられているカルテC(第2のデータ)の出力を禁止する。さらに、MFP100およびMFP100Aに禁止信号を送信する。この禁止信号は、カルテC、またはそれを識別するための識別情報(例えば文書名)を含む。
このように、公開し続ける必要のなくなったカルテA、カルテBおよびカルテCが、MFP100,100A,100Bにおいて、出力されるのが禁止される。また、患者Aは、病院1でのみ地域医療ネットワークを退会する通知をするだけでよく、他の病院2および病院3に対してなんら通知する必要がないので、便利である。
図6は、MFPのCPUの機能の概要をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。図6を参照して、HDD107は、第1のデータ81と、第2のデータ82と、管理データ85とを記憶する。管理データ85は、第1のデータ81と第2のデータ82との関連付けを定義する。
CPU101は、指示を受け付けるための指示受付部50と、指示受付部50により受け付けられた指示に基づいて処理を実行する処理実行部70と、指示受付部50により受け付けられた指示に基づいて第1のデータ81または第2のデータ82の出力を禁止するか否かを判断する判断部60と、判断部60による判断結果に基づいて管理データ85を更新するデータ属性管理部63と、判断部60による判断結果に基づいて他のMFP100A,100B,100Cに禁止信号を送信する禁止信号送信部61と、他のMFP100A,100B,100Cのいずれかから禁止信号を受け付ける禁止信号受信部65と、を含む。
指示受付部50は、オペレーションパネル119または通信I/F111から指示を受け付ける。MFP100のユーザがオペレーションパネル119に指示を入力すると、指示受付部50は、オペレーションパネル119に入力された指示を受け付ける。また、通信I/F111が、MFP100A,100B,100Cのいずれかが送信する指示を受信すると、指示受付部50は、通信I/F111が受信した指示を受け付ける。指示は、第1のデータ81または第2のデータ82を出力するための出力指示と、第1のデータ81を変更するための変更指示と、第1のデータ81の出力を禁止するための第1のデータ出力禁止指示とを含む。第1のデータ81または第2のデータ82を出力するための出力指示は、第1のデータ81または第2のデータ82をMFP100,100A,100B,100Cに送信するためのダウンロード指示と、第1のデータ81または第2のデータ82を画像形成部115に画像形成させるための画像形成指示とを含む。
指示受付部50は、ダウンロード指示を受け付けるためのダウンロード指示受付部51と、画像形成指示を受け付けるための画像形成指示受付部53と、変更指示を受け付けるための変更指示受付部55と、第1のデータの出力禁止指示を受け付けるための出力禁止指示受付部57とを含む。
ダウンロード指示受付部51は、通信I/F111からダウンロード指示を受け付け、処理実行部70および判断部60に出力する。ダウンロード指示は、ダウンロードの対象となるデータを識別するためのデータ識別情報、例えば文書名を含む。画像形成指示受付部53は、オペレーションパネル119または通信I/F111から画像形成指示を受け付け、処理実行部70および判断部60に出力する。画像形成指示は、画像形成する対象となるデータを識別するためのデータ識別情報、例えば文書名を含む。変更指示受付部55は、オペレーションパネル119または通信I/F111から変更指示を受け付け、受け付けた変更指示を判断部60に出力する。変更指示は、変更の対象となるデータを識別するためのデータ識別情報、例えば文書名を含む。出力禁止指示受付部57は、オペレーションパネル119、通信I/F111または禁止信号受信部65から第1のデータ81の出力を禁止するための出力禁止指示を受け付け、受け付けた出力禁止指示を判断部60に出力する。出力禁止指示は、出力を禁止するデータを識別するためのデータ識別情報、例えば文書名を含む。データ識別情報は、そのデータが記憶される装置を識別するための装置識別情報を含んでもよい。
処理実行部70は、ダウンロード部71と、画像形成制御部73とを含む。ダウンロード部71は、ダウンロード指示受付部51からダウンロード指示が入力される。ダウンロード部51は、ダウンロード指示を送信してきた装置に、ダウンロード指示に含まれる文書名で特定されるデータをHDD107から読み出して送信する。ダウンロード指示は、HDD107に記憶されている第1のデータ81または第2のデータ82の送信を要求するための指示である。ダウンロード部71は、例えば、MFP100Aが送信した第1のデータ81の文書名を含むダウンロード指示を受け付けた場合、第1のデータ81をHDD107から読み出して、通信I/F111を制御して第1のデータ81をMFP100Aに送信する。また、ダウンロード部71は、MFP100Aが送信した第2のデータ82の文書名を含むダウンロード指示を受け付けた場合、第2のデータ82をHDD107から読み出して、通信I/F111を制御して第2のデータ82をMFP100Aに送信する。これにより、第1のデータ81または第2のデータ82が、MFP100A,100B,100Cのいずれかに送信されるので、MFP100A,100B,100Cのうち第1のデータ81または第2のデータ82を受信したMFPは、受信した第1のデータ81または第2のデータ82を画像形成するなどして、出力することができる。
画像形成制御部73は、画像形成指示受付部53から画像形成指示が入力される。画像形成制御部73は、画像形成指示に含まれる文書名で特定されるデータをHDD107から読み出し、画像形成部115を制御して画像形成する。画像形成制御部73は、例えば、第1のデータ81を画像形成する指示をオペレーションパネル119から受け付けた場合、第1のデータ81をHDD107から読み出して、画像形成部115を制御して画像形成する。また、第2のデータ82を画像形成する指示をオペレーションパネル119から受け付けた場合、第2のデータ82をHDD107から読み出して、画像形成部115を制御して第2のデータ82を画像形成する。
処理実行部70には、後述するように判断部60から処理の実行を禁止することを示す禁止指示が入力される。ダウンロード部71は、判断部60から禁止指示が入力された場合は、ダウンロード指示受付部51からダウンロード指示が入力された場合であってもそのダウンロード指示に従って処理を実行しない。具体的には、ダウンロード指示を送信してきた装置に、ダウンロード指示に含まれる文書名で特定されるデータを送信しない。同様に、画像形成制御部73は、判断部60から禁止指示が入力された場合は、画像形成指示受付部53から画像形成指示が入力された場合であってもその画像形成指示に従って処理を実行しない。具体的には、画像形成指示に含まれる文書名で特定されるデータを画像形成しない。
ここで、管理データ85について説明する。図7は、管理データの一例を示す図である。ここでは、MFP100のHDD107に文書A、文書Bおよび文書Cが記憶され、MFP100AのHDD107に文書Dが記憶されている場合の管理データを示している。図7を参照して、管理データ85は、複数のデータそれぞれに対して、親データ情報と、従属データ情報とを定義する。親データ情報は、文書名と、データを保存する装置を識別するための保存装置識別情報と、禁止フラグとを含む。文書名は、データを識別するためのデータ識別情報である。保存装置情報は、データを保存する装置を識別するための装置識別情報である。文書名と保存装置情報とを組み合わせて、複数の装置間でデータを識別するためのデータ識別情報とすることができる。禁止フラグは、データの出力を禁止するか否かを示し、データの出力を禁止する場合に「1」に設定され、データの出力を禁止しない場合に「0」に設定される。
従属データ情報は、親データ情報で定義されたデータに従属するデータ(従属データ)に関する情報を含む。従属データ情報は、従属データの文書名と、従属データを保存する装置を識別するための保存装置識別情報と、制限処理とを含む。制限処理は、従属データが制限される処理であり、親データに対して実行される処理に対して、画像形成処理およびダウンロード処理それぞれが制限されるか否かを定義する。親データに対して実行される処理は、画像形成処理およびダウンロード処理である。
管理データは、2つのデータの従属関係を定義する。従属関係が定義される2つのデータのうち、親データ情報で定義され、従属先となる親データが第1のデータであり、従属データ情報で定義され、第1のデータに従属する従属データが第2のデータである。
より具体的に説明すると、文書名「AAA」のデータについて見ると、親データ情報において、文書名「AAA」、保存装置情報「M001」、禁止フラグ「0」が定義される。これは、文書名「AAA」のデータが、「M001」の装置識別情報であるMFP100に記憶されており、出力が禁止されていないことを示す。また、従属データ情報においては、文書名「なし」が定義される。これは、文書名「AAA」のデータに従属する従属データが定義されていないことを示す。文書名「BBB」のデータについて見ると、親データ情報において、文書名「BBB」、保存装置情報「M001」、禁止フラグ「0」が定義される。これは、文書名「BBB」のデータが、「M001」の装置識別情報であるMFP100に記憶されており、出力が禁止されていないことを示す。また、従属データ情報においては、文書名「AAA」、保存装置情報「M001」、制限処理の全てに「禁止」が定義される。これは、文書名「BBB」のデータに従属する従属データは、文書名「AAA」であることを示し、文書名「BBB」のデータに対して、画像形成、ダウンロード、または変更のいずれかの処理が実行されると、文書名「AAA」の従属データに対して、画像形成およびダウンロードのいずれの実行も禁止されることを示す。
また、文書名「CCC」のデータについて見ると、親データ情報において、文書名「CCC」、保存装置情報「M001」、禁止フラグ「0」が定義される。これは、文書名「CCC」のデータが、「M001」の装置識別情報であるMFP100に記憶されており、出力が禁止されていないことを示す。また、従属データ情報においては、文書名「なし」が定義される。これは、文書名「CCC」のデータに従属する従属データは定義されていないことを示す。文書名「DDD」のデータについて見ると、親データ情報において、文書名「DDD」、保存装置情報「M002」、禁止フラグ「0」が定義される。これは、文書名「DDD」のデータが、「M002」の装置識別情報であるMFP100Aに記憶されており、出力が禁止されていないことを示す。また、従属データ情報においては、文書名「CCC」、保存装置情報「M001」が定義されている。従属データ情報の制限処理においては、親データに対して実行される画像形成処理およびダウンロード処理に対する画像形成処理およびダウンロード処理に「なし」が定義され、親データに対して実行される変更処理に対する画像形成処理およびダウンロード処理に「禁止」が定義される。これは、装置識別情報「M002」であるMFP100Aに記憶された文書名「DDD」のデータに従属する従属データは、装置識別情報「M001」であるMFP100に記憶された文書名「CCC」であることを示し、文書名「DDD」のデータに対して画像形成またはダウンロードのいずれかの処理が実行されても、文書名「CCC」の従属データに対して画像形成、ダウンロードのいずれの実行も禁止されることはないが、文書名「DDD」のデータに対して変更処理が実行されると、文書名「CCC」の従属データに対して、画像形成、ダウンロードのいずれの実行も禁止されることを示す。
図8は、管理データ登録画面の一例を示す図である。管理データ登録画面は、MFP100のCPU101が管理データ登録プログラムを実行することにより、CPU101において管理データ登録処理が実行され、オペレーションパネル119の表示部119Bに表示される画面である。図8を参照して、管理データ登録画面は、管理データが対象とするデータの文書名を入力する領域と、記憶される装置の装置識別情報を入力する領域と、管理データが対象とするデータに従属する従属データに関する情報を入力する領域と、管理データが対象とするデータの従属先となる親データに関する親データ情報を入力する領域とを含む。管理データが対象とするデータは、第1のデータ81と第2のデータ82の双方に該当する場合はないので、従属データ情報を入力する領域と、親データ情報を入力する領域のいずれか一方に情報が入力される場合と、いずれにも情報が入力されない場合とがある。図8においては、図7に示した文書名「AAA」のデータの管理データを入力する場合の管理データ登録画面を示している。なお、この管理データ登録画面は、文書名「BBB」のデータのデータ管理データを入力する画面でもある。
図6に戻って、判断部60は、ダウンロード指示受付部51からダウンロード指示が入力されると、ダウンロード指示に含まれるデータ識別情報のデータを処理対象データとし、その処理対象データに対応する管理データ85をHDD107から読み出す。そして、判断部60は、処理対象データに対応する管理データ85の禁止フラグを判断し、禁止フラグが出力の禁止を示す「1」であればダウンロード部71に禁止指示を出力する。禁止フラグが出力の禁止を示す「1」でなければダウンロード部71に何も出力しない。なお、出力を許可する出力指示を出力するようにしてもよい。また、判断部60は、処理対象データが第1のデータ81か否かを判断する。処理対象データに対応する管理データ85に従属データ情報が定義されていれば第1のデータ81と判断し、従属データ情報が定義されていなければ第1のデータ81と判断しない。判断部60は、処理対象データを第1のデータ81と判断した場合、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に処理対象データの出力を禁止させる。禁止信号は、第1のデータ81を識別するためのデータ識別情報を含む。データ属性管理部63は、処理対象データの出力を禁止させる。具体的には、処理対象データに対応する管理データ85の禁止フラグを「1」に書き換える。これにより、ダウンロード指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ81)の出力が禁止される。また、判断部60は、管理データ85の従属データ情報を参照して、制限処理が制限されているか否かを判断する。制限処理が制限されていれば、従属データを特定し、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に従属データの出力を禁止させる。禁止信号は、第2のデータ82を識別するためのデータ識別情報を含む。データ属性管理部63は、従属データの出力を禁止させる。具体的には、従属データに対応する管理データ85の禁止フラグを「1」に書き換える。これにより、ダウンロード指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ)に従属する従属データ(第2のデータ)の出力が禁止される。
また、判断部60は、画像形成指示受付部53から画像形成指示が入力されると、画像形成指示に含まれるデータ識別情報のデータを処理対象データとし、その処理対象データに対応する管理データ85をHDD107から読み出す。そして、判断部60は、処理対象データに対応する管理データ85の禁止フラグを判断し、禁止フラグが出力の禁止を示す「1」であれば画像形成制御部73に禁止指示を出力する。禁止フラグが出力の禁止を示す「1」でなければ画像形成制御部73に何も出力しない。なお、出力を許可する出力指示を出力するようにしてもよい。また、判断部60は、処理対象データが第1のデータ81か否かを判断する。判断部60は、処理対象データを第1のデータ81と判断した場合、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に処理対象データの出力を禁止させる。これにより、画像形成指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ)の出力が禁止される。また、判断部60は、管理データ85の従属データ情報を参照して、制限処理が制限されているか否かを判断する。制限処理が制限されていれば、従属データを特定し、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に従属データの出力を禁止させる。禁止信号は、第2のデータ82を識別するためのデータ識別情報を含む。これにより、画像形成指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ)に従属する従属データ(第2のデータ)の出力が禁止される。
さらに、判断部60は、変更指示受付部55から変更指示が入力されると、変更指示に含まれるデータ識別情報のデータを処理対象データとし、その処理対象データに対応する管理データ85をHDD107から読み出す。そして、判断部60は、処理対象データが第1のデータ81か否かを判断する。判断部60は、処理対象データを第1のデータ81と判断した場合、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に処理対象データの出力を禁止させる。これにより、変更指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ)の出力が禁止される。また、判断部60は、管理データ85の従属データ情報を参照して、制限処理が制限されているか否かを判断する。制限処理が制限されていれば、従属データを特定し、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に従属データの出力を禁止させる。禁止信号は、第2のデータ82を識別するためのデータ識別情報を含む。これにより、変更指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ)に従属する従属データ(第2のデータ)の出力が禁止される。
さらに、判断部60は、出力禁止指示受付部57から出力禁止指示が入力されると、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータを処理対象データとし、その処理対象データに対応する管理データ85をHDD107から読み出す。そして、判断部60は、処理対象データが第1のデータ81か否かを判断する。判断部60は、処理対象データを第1のデータ81と判断した場合、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に処理対象データの出力を禁止させる。これにより、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ81)の出力が禁止される。また、判断部60は、管理データ85の従属データ情報を参照して、制限処理が制限されているか否かを判断する。制限処理が制限されていれば、従属データを特定し、禁止信号送信部61に禁止信号を送信させ、データ属性管理部63に従属データの出力を禁止させる。禁止信号は、第2のデータ82を識別するためのデータ識別情報を含む。これにより、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ)に従属する従属データ(第2のデータ)の出力が禁止される。
禁止信号送信部61は、判断部60から禁止信号を送信させる指示が入力されると、通信I/F111を制御して、他のMFP100A,100B,100Cに禁止信号を送信する。これにより、他のMFP100A,100B,100Cで、判断部60が出力を禁止すると判断した処理対象データまたはその従属データが出力されるのが禁止される。
禁止信号受信部65は、通信部I/F111が他のMFP100A,100B,100Cのいずれかから禁止信号を受信すると、その禁止信号を受け付ける。そして、受け付けた禁止信号に含まれるデータ識別情報を含む出力禁止指示を、出力禁止指示受付部57に出力する。これにより、他のMFP100A,100B,100Cのいずれかにおいて、出力を禁止すると判断されたデータが、MFP100において出力されるのが禁止される。
図9は、第1のデータ管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。第1のデータ管理処理は、MFP100のCPU101がROM103に記憶されたデータ管理プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図9を参照して、CPU101は、出力指示を受け付けたか否かを判断する。出力指示は、ダウンロード指示と画像形成指示とを含む。出力指示を受け付けたならば処理をステップS02に進め、そうでなければ処理をステップS15に進める。
ステップS02においては、出力指示に含まれるデータ識別情報で特定されるデータがHDD107に記憶されているか否かを判断する。そのようなデータが記憶されていれば処理をステップS03に進め、記憶されていなければ処理を終了する。なお、ここでは、HDD107にデータが記憶されているか否かを判断するようにしたが、MFP100が管理対象とする他の装置に記憶されているか否かを判断するようにしても良い。例えば、ネットワーク2に接続されたサーバ装置200に記憶されたデータをMFP100において管理するようにしてもよい。
ステップS03においては、HDD107に記憶されている管理データを検索する。具体的には、HDD107に記憶されている管理データ85のうちから、出力指示に含まれるデータ識別情報を含む管理データ85を抽出する。そして、ステップS04においては、検索により抽出した管理データに基づいて、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータが、第2のデータ82か否かを判断する。第2のデータ82であれば処理をステップS05に進め、第2のデータ82でなければ処理をステップS07に進める。管理データ85に従属データ情報が定義されていなければ第2のデータ82と判断し、従属データ情報が定義されていれば第2のデータ82と判断しない。
ステップS05においては、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータの出力が禁止されているか否かを判断する。管理データ85の禁止フラグを参照し、禁止フラグが「0」であれば出力が禁止されていないと判断し、処理をステップS06に進めるが、禁止フラグが「1」であれば出力が禁止されていると判断し、ステップS06をスキップして処理をステップS07に進める。ステップS06においては、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第2のデータ)を出力する。具体的には、出力指示がダウンロード指示であれば、MFP100A,100B,100Cのうちダウンロード指示を送信してきたMFPに、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータを送信し、出力指示が画像形成指示であれば、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータを画像形成する。
ステップS07においては、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータが、第1のデータ81か否かを判断する。第1のデータ81であれば処理をステップS08に進め、第1のデータ81でなければ処理を終了する。管理データ85に従属データ情報が定義されていれば第1のデータ81と判断し、従属データ情報が定義されていなければ第1のデータ81と判断しない。
ステップS08においては、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータの出力が禁止されているか否かを判断する。管理データ85の禁止フラグを参照し、禁止フラグが「0」であれば出力が禁止されていないと判断し、処理をステップS09に進めるが、禁止フラグが「1」であれば出力が禁止されていると判断し、処理を終了する。ステップS09においては、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータ(第1のデータ81)を出力し、処理をステップS10に進める。具体的には、出力指示がダウンロード指示であれば、MFP100A,100B,100Cのうちダウンロード指示を送信してきたMFPに、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータを送信し、出力指示が画像形成指示であれば、出力指示に含まれるデータ識別情報のデータを画像形成する。
ステップS09からステップS10に進む場合は、出力指示に含まれるデータ識別情報が、第1のデータ81の場合である。ステップS10においては、第1のデータ81の管理データ85を出力禁止に更新する。具体的には、管理データの禁止フラグを「1」に設定する。次のステップS11においては、第1のデータ81に関連する第2のデータ82(従属データ)の管理データ85を出力禁止に更新し、処理をステップS12に進める。具体的には、HDD107に記憶されている管理データ85のうち、第1のデータ81の従属データ情報に定義されている文書名および保存装置情報からなるデータ識別情報を含む管理データ85を抽出し、その管理データ85の禁止フラグを「1」に設定する。
ステップS12においては、MFP100A,100B,100Cに禁止信号を送信する。この禁止信号は、出力指示に含まれるデータ識別情報を少なくとも含む。また、禁止信号は、ステップS11が実行される場合は、ステップS11において出力が禁止された第2のデータ82を識別するためのデータ識別情報を含む。例えば、図5に示した具体例3の場合に、第2のデータ82であるカルテAの出力が禁止された場合である。禁止信号を受信したMFP100A,100B,100Cにおいて、実行される処理については、MFP100がMFP100A,100B,100Cのいずれかから禁止信号を受信した場合と同じであり、その処理については、図11において説明する。
ステップS15においては、出力禁止指示を受け付けたか否かを判断する。出力禁止指示は、オペレーションパネル119、通信I/F111または禁止信号受信部65から受け付ける。出力禁止指示を受け付けたならば処理をステップS16に進め、そうでなければ処理をステップS21に進める。ステップS16においては、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報を含む管理データ85を抽出し、抽出した管理データに基づいて、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータが、第2のデータ82か否かを判断する。第2のデータ82であれば処理をステップS17に進め、第2のデータ82でなければ処理をステップS18に進める。管理データ85に従属データ情報が定義されていなければ第2のデータ82と判断し、従属データ情報が定義されていれば第2のデータ82と判断しない。出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータが第2のデータ82と判断されると、ステップS17においては、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータの管理データ85を出力禁止に更新し、処理をステップS18に進める。具体的には、管理データ85の禁止フラグを「1」に設定する。
ステップS18においては、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータが、第1のデータ81か否かを判断する。第1のデータ81であれば処理をステップS10に進め、第1のデータ81でなければ処理を終了する。管理データ85に従属データ情報が定義されていれば第1のデータ81と判断し、従属データ情報が定義されていなければ第1のデータ81と判断しない。
ステップS18からステップS10に進む場合は、出力禁止指示に含まれるデータ識別情報で特定されるデータが、第1のデータ81の場合である。ステップS10においては、第1のデータ81の管理データ85を出力禁止に更新する。
一方、ステップS21においては、変更指示を受け付けたか否かを判断する。具体的には、オペレーションパネル119または通信I/F111から変更指示を受け付けたか否かを判断する。通信I/F111から変更指示を受け付ける場合は、例えば、第2の具体例において説明した、サーバ装置から第1のデータ81の変更指示を受け付ける場合を含む。変更指示を受け付けたならば処理をステップS22に進め、そうでなければ処理を終了する。
ここで、第2の具体例を例に、サーバ装置200から第1のデータ81の変更指示を受け付ける具体例を説明する。図10は、サーバ装置に表示されるプリント指示画面の一例を示す図である。図10を参照して、プリント指示画面は、プリントの対象となるデータを特定するための領域に、文書名「AAA」を変更した文書名「AAA−1」を含む。また、変更指示の項目に対応するチェックボックスがONに設定され、変更前文書名の項目に文書名「AAA」が設定されている。この状態でサーバ装置200に印刷指示が入力されると、MFP100に変更後の文書名「AAA−1」のデータをプリントする指示がMFP100に送信されると共に、変更前の文書「AAA」を変更したことを示す変更指示がMFP100に送信される。この変更指示は、変更前の文書「AAA」を識別するためのデータ識別情報を含む。
図9に戻って、ステップS22においては、変更指示に含まれる変更前のデータの管理データを検索する。具体的には、HDD107に記憶されている管理データ85のうちから、変更指示に含まれる変更前のデータのデータ識別情報を含む管理データ85を抽出する。そして、ステップS23においては、検索により抽出した管理データ85に基づいて、変更指示に含まれるデータ識別情報のデータが、第2のデータ82か否かを判断する。第2のデータ82であれば処理をステップS24に進め、第2のデータ82でなければ処理をステップS25に進める。管理データ85に従属データ情報が定義されていなければ第2のデータ82と判断し、従属データ情報が定義されていれば第2のデータ82と判断しない。ステップS24においては、変更指示に含まれる変更前のデータを変更後のデータに変更し、処理をステップS25に進める。
ステップS25においては、変更前のデータが、第1のデータ81か否かを判断する。第1のデータ81であれば処理をステップS26に進め、第1のデータ81でなければ処理を終了する。管理データ85に従属データ情報が定義されていれば第1のデータ81と判断し、従属データ情報が定義されていなければ第1のデータ81と判断しない。
ステップS26においては、変更指示に含まれる変更前のデータを変更後のデータに変更し、処理をステップS10に進める。
ステップS26からステップS10に進む場合は、変更指示に含まれるデータ識別情報で特定されるデータが、第1のデータ81の場合である。ステップS10においては、第1のデータ81の管理データ85を出力禁止に更新する。
図11は、第2のデータ管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2のデータ管理処理は、MFP100のCPU101がROM103に記憶されたデータ管理プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図11を参照して、CPU101は、MFP100A,100B,100Cのいずれかから禁止信号を受信したか否かを判断する(ステップS31)。禁止信号を受信したならば処理をステップS32に進め、そうでなければ処理を終了する。すなわち、第2のデータ管理処理は、MFP100A,100B,100Cのいずれかから禁止信号を受信することを条件に実行される処理である。禁止信号は、図9に示した第1のデータ管理処理を実行するMFP100A,100B,100Cのいずれかが、ステップS12において送信する信号であり、第1のデータ81または第2のデータ82を識別するためのデータ識別情報を少なくとも含む。換言すれば、MFP100A,100B,100Cのいずれかにおいて、第1のデータ81または第2のデータ82の出力が禁止された場合に、MFP100において受信される。例えば、MFP100Aが禁止信号を送信すると、第2のデータ管理処理を実行するMFP100,100B,100Cにおいて受信され、それぞれにおいてステップS32以降の処理が実行される。ここでは、MFP100が実行する処理を例に説明する。
そして、ステップS32においては、受信した禁止信号に含まれるデータ識別情報を含む管理データ85を抽出し、抽出した管理データに基づいて、禁止信号に含まれるデータ識別情報のデータが、第2のデータ82か否かを判断する。第2のデータ82であれば処理をステップS33に進め、第2のデータ82でなければ処理をステップS34に進める。管理データ85に従属データ情報が定義されていなければ第2のデータ82と判断し、従属データ情報が定義されていれば第2のデータ82と判断しない。出力禁止指示に含まれるデータ識別情報のデータが第2のデータ82と判断されると、ステップS33においては、禁止信号に含まれるデータ識別情報を含む管理データ85を出力禁止に更新し、処理をステップS34に進める。具体的には、管理データ85の禁止フラグを「1」に設定する。
ステップS34においては、禁止信号に含まれるデータ識別情報のデータが、第1のデータ81か否かを判断する。第1のデータ81であれば処理をステップS35に進め、第1のデータ81でなければ処理を終了する。管理データ85に従属データ情報が定義されていれば第1のデータ81と判断し、従属データ情報が定義されていなければ第1のデータ81と判断しない。
ステップS35においては、第1のデータ81の管理データ85を出力禁止に更新する。具体的には、管理データの禁止フラグを「1」に設定する。次のステップS36においては、第1のデータ81に関連する第2のデータ82(従属データ)の管理データ85を出力禁止に更新し、処理を終了する。具体的には、HDD107に記憶されている管理データ85のうち、第1のデータ81の従属データ情報に定義されている文書名および保存装置情報からなるデータ識別情報を含む管理データ85を抽出し、その管理データ85の禁止フラグを「1」に設定する。
上述した第1の具体例または第2の具体例で説明したように、MFP100,100A,100B,100Cそれぞれに、共通の管理データ85を記憶する場合、図9のステップS12において送信する禁止信号は、ステップS10において出力が禁止された第1のデータを識別するためのデータ識別情報を含んでいれば十分である。例えば、MFP100において、図9に示すデータ管理処理が実行されて、第1のデータのデータ識別情報を含む禁止信号がMFP100A,100B,100Cに送信されたとする。すると、MFP100A,100B,100Cそれぞれにおいて、図11に示したデータ管理処理が実行され、禁止信号に含まれるデータ識別情報で特定される第1のデータの出力が禁止され(ステップS35)、第1のデータに従属する第2のデータの出力が禁止される(ステップS36)。
また、上述した第3の具体例で説明したように、MFP100,100A,100Bそれぞれで、独立して異なる管理データ85を記憶する場合、図11のステップS36が実行された後に、他のMFP100A,100Bに禁止信号を送信するステップが追加される。この禁止信号は、ステップS36において出力が禁止された第2のデータを識別するためのデータ識別情報を含む。
また、図9のステップS12において送信する禁止信号は、ステップS11において出力が禁止された第2のデータを識別するためのデータ識別情報を含んでいれば十分である。例えば、MFP100において、図9に示すデータ管理処理が実行されて、カルテA(第2のデータ)のデータ識別情報を含む禁止信号がMFP100A,100Bに送信されたとする。すると、MFP100Aにおいて、図11に示したデータ管理処理が実行され、禁止信号に含まれるデータ識別情報で特定されるカルテAが第1のデータと判断され(ステップS34)、カルテA(第1のデータ)の出力が禁止され(ステップS35)、カルテA(第1のデータ)に従属するカルテB(第2のデータ)の出力が禁止される(ステップS36)。そして、出力が禁止されたカルテB(第2のデータ)を識別するためのデータ識別情報を含む禁止信号がMFP100,100Bに送信される。
また、MFP100Bにおいて、図11に示したデータ管理処理が実行され、MFP100から受信した禁止信号に含まれるデータ識別情報で特定されるカルテAが第1のデータと判断され(ステップS34)、カルテA(第1のデータ)の出力が禁止され(ステップS35)、カルテA(第1のデータ)に従属するカルテC(第2のデータ)の出力が禁止される(ステップS36)。そして、出力が禁止されたカルテC(第2のデータ)を識別するためのデータ識別情報を含む禁止信号をMFP100,100Aに送信する。MFP100,100Aにおいて、MFP100BからカルテCをダウンロードしている場合、MPF100,100Aにおいて、図11に示したデータ管理処理が実行されることによりカルテCが出力されるのが禁止される。
さらに、MFP100Bにおいては、MFP100Aから禁止信号を受信すると、図11に示したデータ管理処理が実行され、禁止信号に含まれるデータ識別情報で特定されるカルテBが第1のデータと判断され(ステップS34)、カルテB(第1のデータ)の出力が禁止される(ステップS35)。この例では、カルテCは、MFP100から禁止信号を受信した段階で既に出力禁止されているので、カルテC(第2のデータ)の出力を禁止する必要がないが、MFP100Bは、MFP100より前にMFP100Aから禁止信号を受信する場合は、管理データDによりカルテB(第1のデータ)に関連付けられているカルテC(第2のデータ)の出力を禁止する(ステップS36)。そして、出力が禁止されたカルテC(第2のデータ)を識別するためのデータ識別情報を含む禁止信号がMFP100,100Aに送信する。MFP100,100Aにおいて、MFP100BからカルテCをダウンロードしている場合、MPF100,100Aにおいて、図11に示したデータ管理処理が実行されることによりカルテCが出力されるのが禁止される。
このように、MFP100,100A,100B,100Cにおいて、連鎖的にデータの出力を禁止することができる。
以上説明したように、本実施の形態におけるMFP100は、HDD107に第1のデータ81と第2のデータ82との関連付けを定義する管理データ85を記憶しており、指示受付部50が第1のデータ81または第2のデータ82に対する処理を実行するための指示を受け付けると、処理実行部70が受け付けられた指示に従って、第1または第2のデータ82を処理する。また、判断部60は、受け付けられた指示に基づいて、第1のデータ81の出力を禁止するか否かを判断する(ステップS08)。データ属性管理部63は、判断部60が第1のデータ81の出力を禁止すると判断した場合、該第1のデータ81に関連付けられた第2のデータ82の出力を禁止するために管理データ85の禁止フラグを「1」に設定する(ステップS11)。このため、関連する第1のデータ81と第2のデータ82のうち第1のデータ81の出力が禁止されると、第2のデータ82が出力されるのを禁止することができる。
また、変更指示受付部55が第1のデータ81を変更する変更指示を受け付けると(ステップS21でYES)、判断部60は、第1のデータ81の出力を禁止すると判断するので、変更前の第1のデータ81に関連付けられた第2のデータ82の出力を禁止することができる(ステップ11)。
また、判断部60は、ダウンロード指示受付部51が第1のデータ81を他のMFP100A,100B,100Cのいずれかに送信する指示を受け付けた場合(ステップS01)、または、画像形成指示受付部53が第1のデータ81を画像形成する指示を受け付けた場合(ステップS01)、該第1のデータ81の出力を禁止すると判断する(ステップS10)ので、第1のデータ81の送信または画像形成によりその後に第1のデータ81が使用できなくなる状態において、使用できなくなった第1のデータ81に関連する第2のデータ82が出力されるのを禁止することができる。
また、MFP100,100A,100B,100Cが共通する管理データ85を記憶する場合において、判断部60が第1のデータ81に関連する第2のデータ82の出力を禁止すると判断すると(ステップS11)、禁止信号送信部61は、第1のデータ81の出力を禁止させる禁止信号を、ネットワーク2に接続された他のMFP100A,100B,100Cに送信する(ステップS12)ので、共通する管理データ85を記憶する他のMFP100A,100B,100Cそれぞれにおいて第1のデータ81または第2のデータ82が出力されるのを禁止することができる(図11のデータ管理処理)。
また、MFP100,100A,100B,100Cそれぞれで、独立して異なる管理データ85を記憶する場合において、判断部60が第1のデータ81に関連する第2のデータ82の出力を禁止すると判断すると(ステップS11)、禁止信号送信部61は、第2のデータ82の出力を禁止させる禁止信号を、ネットワーク2に接続された他のMFP100A,100B,100Cに送信する(ステップS12)ので、互いに独立して異なる管理データ85を記憶する他のMFP100A,100B,100Cそれぞれにおいて第1のデータ81または第2のデータ82が出力されるのを禁止することができる(図11のデータ管理処理)。
また、上述した実施の形態においては、MFP100,100A,100B,100Cについて説明したが、図9および図11に示した処理をコンピュータに実行させるためのデータ管理方法およびデータ管理プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<付記>
(1) 前記第1のデータを変更するための変更手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記変更手段により前記第1のデータが変更されることに応じて、該第1のデータの出力を禁止すると判断する、請求項8または10に記載の情報処理装置。
(2) 前記出力手段は、前記第1のデータまたは前記第2のデータを、前記複数の画像形成装置のいずれかに送信する送信手段を含み、
前記判断手段は、前記第1のデータを前記複数の画像形成装置のいずれかに送信する指示が受け付けられることに応じて、該第1のデータの出力を禁止すると判断する、請求項8または10に記載の情報処理装置。
(3)(2)において、前記出力禁止手段は、前記送信手段が前記第2のデータを前記複数の画像形成装置のいずれかに送信するのを禁止する。
(4)(2)において、前記出力禁止手段により前記第1のデータに関連する前記第2のデータの出力が禁止された場合、前記第1のデータまたは前記第2のデータの出力を禁止させる信号を、前記複数の画像形成装置に送信する禁止信号送信手段さらに備える。
(5) 前記出力手段は、前記第1のデータまたは前記第2のデータを画像形成する画像形成手段を含み、
前記判断手段は、前記第1のデータを画像形成させる指示が受け付けられることに応じて、該第1のデータの出力を禁止すると判断する、請求項8または10に記載の情報処理装置。
(6) (5)において、前記出力禁止手段は、前記画像形成手段が前記第2のデータを画像形成するのを禁止する。
1 情報処理システム、2 ネットワーク、50 指示受付部、51 ダウンロード指示受付部、53 画像形成指示受付部、55 変更指示受付部、57 出力禁止指示受付部、60 判断部、61 禁止信号送信部、63 データ属性管理部、65 禁止信号受信部、70 処理実行部、71 ダウンロード部、73 画像形成制御部、81 第1のデータ、82 第2のデータ、85 管理データ、100 MFP、101 CPU、103 ROM、105 RAM、107 HDD、108 フラッシュメモリ、109 カードI/F、111 通信I/F、113 スキャナ、115 画像形成部、117 FAX、119 オペレーションパネル、119A 入力部、119B 表示部、120 バス、200 サーバ装置。