JP4816209B2 - 膜パターン形成方法及びデバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、膜パターン形成方法及びデバイスの製造方法に関する。
従来のインクジェット法(液滴吐出法)を用いたパターニング方法として、例えば下記特許文献1には、微粒子を分散させた液体(以下機能液と称す)をインクジェット法にて基板に直接パターン塗布し、その後熱処理やレーザー光照射を行うことにより導電膜パターンを形成する技術が開示されている。この技術によれば、フォトリソグラフィ法を用いることなくパターニングを行うことが可能になり、パターン形成プロセスを簡略化することができる。また、原材料の使用量も少なくて済むというメリットがある。
このようなパターニング方法では、吐出した機能液が着弾後に基板上で広がるため、膜パターンを安定的に形成するのが困難であった。この問題を解決するために、例えば下記特許文献2には、バンクと呼ばれる隔壁にてパターン状に区画された領域を形成すると共に、当該領域において部分的に幅の広い領域(幅広部)を機能液着弾用として形成し、幅広部と接続して形成された幅の狭い領域(微細部)に機能液を拡散させることで、膜パターンを形成する技術が開示されている。この技術によれば、膜パターンを精度よく安定して形成することができる。
米国特許第5132248号明細書 特開2005−12181号公報
しかしながら、上記特許文献2の技術によると、幅広部と微細部とでは機能液の内圧が異なるため、機能液の高さが異なり、幅広部の機能液の方が微細部よりも高くなってしまう。よって、このまま機能液を乾燥させた場合、乾燥後に形成される膜パターンの膜厚は、幅広部の方が微細部よりも大きくなってしまう。場合によっては、微細部に膜パターンが形成されない可能性がある。このような膜パターンを例えばTFT等の半導体素子の配線パターンとして使用した場合、素子特性の特性が劣るという問題が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、微細部に形成される膜パターンの膜厚を制御することが可能な膜パターン形成方法、及び微細部に膜パターンを形成することにより、微細なデバイスの製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかるひとつの膜パターン形成方法は、機能液を基板上に配置して所定の膜パターンを形成する方法であって、前記基板上に、幅広部と、当該幅広部と接続された微細部とを有するパターン領域を形成するパターン領域形成工程と、前記幅広部に前記機能液を配置する機能液配置工程と、前記幅広部から前記微細部に向かう方向の温度勾配を前記機能液に付与しながら前記機能液を乾燥させることにより、膜パターンを形成する乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程では、前記機能液のうち前記幅広部側に配置される部分の方が前記機能液のうち微細部側に配置される部分より温度が高いことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る膜パターン形成方法は、機能液を基板上に配置して所定の膜パターンを形成する方法であって、前記基板上に、幅広部と、当該幅広部と接続された微細部とを有するパターン領域を形成するパターン領域形成工程と、前記幅広部に前記機能液を配置する機能液配置工程と、前記幅広部から前記微細部に向かう方向に温度勾配を付与しながら機能液を乾燥させることにより、膜パターンを形成する乾燥工程とを有することを特徴とする。特に、前記乾燥工程では、前記機能液のうち幅広部側に配置される部分の方が前記機能液のうち微細部側に配置される部分より高い温度を付与することを特徴とする。
このような特徴を有する膜パターン形成方法によると、幅広部及び微細部に配置された機能液の表面に温度勾配が付与され、その表面に表面張力分布が生じて熱毛管流が発生し、これにともなって機能液の内部にはマランゴニ対流が発生する。その際、機能液の表面に適切な温度勾配を付与する事で、機能液の高温側端部から流出した熱毛管流を、低温側端部まで届かせることなく、その手前で基板に向かって下降するような流れとする事ができる。これにより、マランゴニ対流の流路に含まれない低温側の端部では、機能液に含まれる固形分の析出が促進される。一方、マランゴニ対流の経路に含まれる高温側の端部では、機能液に含まれる固形分が対流により運搬されて析出しにくくなり、乾燥過程において機能液が収縮され、膜厚が薄くなる。これにより、従来の膜パターンに比べて、低温側での膜厚を高温側の膜厚よりも厚くすることが可能となる。したがって、幅広部と微細部とが接続されたパターン領域に配置される機能液に対して、幅広部から微細部に向かう方向に温度勾配を付与しながら乾燥することにより、機能液の膜厚を制御することができる。その結果、幅広部と微細部とが接続されたパターン領域の低温側で膜厚を厚くすることができ、幅広部及び微細部における膜パターンの膜厚を均一化することが可能となる。
また、前記乾燥工程では、前記基板の幅広部側の一端に対して前記基板の温度よりも高い第1の温度を付与する第1の温度供給部と、前記基板の微細部側の他端に対して前記基板の温度よりも低い第2の温度を付与する第2の温度供給部との間に基板を配置することが望ましい。
これにより、基板を介して簡単にパターン領域に配置された機能液の表面に温度勾配を付与することができる。
また、前記基板表面に対する前記機能液との静的接触角は40度以下であることが望ましい。より好ましくは20度以下であることが望ましい。
機能液と基板との静的接触角が大きい場合には、マランゴニ対流の経路に含まれる高温側の端部では、機能液に含まれる固形分が対流により運搬されて析出しにくくなり、乾燥過程において機能液が収縮する現象(ディピニング)を引き起こし、機能液の端部が移動してしまい、目的とする膜パターン形状を得ることができなくなる。そこで、機能液と基板との静的接触角を40度以下とすることにより、機能液の端部が移動することなく目的とする膜パターンを形成することができる。ここで静的接触角θはcosθ=(γ−γSL)/γで表される。なお、γは基板の表面自由エネルギーを、γは機能液の表面自由エネルギーを、γSLは基板と機能液との界面自由エネルギーである。この静的接触角θとは、液体(機能液)が固体(基板)表面上にあって静止している、平衡状態にあるときに、液体と固体との間になす角度である。
また、前記基板表面に対する前記機能液との後退接触角は30度以下であることが望ましい。より好ましくは10度以下であることが望ましい。
機能液は吐出された直後から蒸発が進行するため、固形分の析出前に機能液が収縮を開始すると、所望の膜パターンを得ることが困難となる。この点、後退接触角を30度以下とすることにより、機能液の低温側端部に固形分が析出する前には、機能液の端部と基板とのなす角度が後退接触角より大きくなるので、機能液が収縮することはない。なお、機能液の低温側端部に固形分が析出した後には、その析出した固形分によって機能液の端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う機能液の収縮が抑制される。したがって、所望の位置に固形分を析出させることが可能になり、所望の膜パターンを得ることが可能となる。
また、前記幅広部の幅は、前記微細部の幅の110%〜500%であることが望ましい。
より好ましくは110〜250%であることが好ましい。
均一な膜パターンを得るために全てのパターンを同じ幅や長さで設計する必要がある。同じ幅で設計されたパターンであれば、各機能液の両端間における温度が異なるが、温度差および温度分布は等しくなり、各パターン間での対流はほとんど等しくなるため、各パターン間での膜厚分布も等しくなる。しかし、各パターンの幅や長さが異なる場合、各機能液の両端間における温度だけでなく、温度差および温度分布も異なるため、各パターン間での対流が異なり、各パターン間での膜厚分布も不均一となる。
そこで、幅広部の幅を微細部の幅の110%〜500%とすることにより、機能液の対流が十分に発生し、膜厚の制御を行うことができる。さらに、機能液の配置時におけるパターンからの機能液の溢れが確実に防止される。なお、上記割合が110%未満であると、温度勾配の制御が困難となり、温度制御に関わらず微細部の方が膜厚が厚くなりやすいので好ましくない。また、500%を超えると、対流が機能液の両端間で十分に起こらず、膜厚の制御が困難となる。さらに、基板上のスペースの有効利用を図る上で好ましくない。
また、前記パターン領域形成工程では、前記パターン領域を、バンクまたは自己組織化膜によって形成することが望ましい。
これによれば、パターン領域からの機能液の溢れを防止し、かつ微細な膜パターンを精度よく安定して形成することができる。
次に、本発明に係るデバイスの製造方法は、基板上に形成されたパターンを備えるデバイスの製造方法であって、上述の膜パターン形成方法によって基板上に膜パターンを形成することを特徴とする。
このような特徴を有するデバイスの製造方法によれば、膜厚が均一な膜パターンを備えるデバイスを製造することができ、高性能なデバイスを得ることが可能となる。
また、本発明に係る電気光学装置は、上記デバイスの製造方法を用いて製造されたデバイスを備えることを特徴としている。
このような特徴を有する電気光学装置、例えば、上記デバイスとしてのTFTを備える液晶表示装置の場合、表示品質の向上を図ることが可能である。
さらに、本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴としている。
このような特徴を有する電子機器は、上記のように表示品質の高い電気光学装置を備えるので、機器の高性能化を図ることができる。
以下、本発明の膜パターン形成方法、デバイスの製造方法、電気光学装置、及び電子機器の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、基板上に、幅広部と、当該幅広部に接続された微細部とを有する配線パターン領域を形成し、当該配線パターン領域に対し、液滴吐出法により液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから導電性微粒子を含む配線パターン(膜パターン)形成用のインク(機能液)を液滴状に吐出し、基板上に導電性膜で形成された配線パターンを形成する場合の例を用いて説明する。
まず、使用するインク(機能液)について説明する。液体材料である配線パターン形成用のインクは導電性微粒子を分散媒に分散した分散液を含むものである。なお、本実施形態では、溶媒に金属原子を含む物質が溶質として溶解した溶液についても、分散媒に分散質が分散した分散液として表現する。本実施形態では、導電性微粒子として、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、マンガン、及びニッケルのうちの少なくともいずれか1つを含有する材料の他、有機銀化合物、酸化銀ナノ粒子などこれらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと後述する液滴吐出ヘッドの吐出ノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
上記導電性微粒子が分散した分散液の表面張力は0.02N/m以上〜0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法によりインクを吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インクのノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、インクの基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いてインクを液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
配線パターンが形成される基板としては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
ここで、液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液体材料の一滴の量は例えば1〜300ナノグラムである。
次に、本発明に係る膜パターン形成方法を実現する製造装置について説明する。この製造装置としては、液滴吐出ヘッドから基板に対してインクの液滴を吐出(滴下)することにより配線パターンを形成する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。なお、本発明に係る膜パターンの形成は、上記液滴吐出法に限らず、例えば、ディスペンサ法でも可能である。
図1は液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1、X軸方向駆動モータ2、Y軸方向駆動モータ3、X軸方向駆動軸4、Y軸方向ガイド軸5、制御装置6、ステージ7、クリーニング機構8、基台9及びヒータ10を備えている。
液滴吐出ヘッド1は、ピエゾ素子からなる複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させて設けられている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
図2は、液滴吐出ヘッド1の詳細な機能構成図である。図2において、配線パターン形成用のインクを収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、インクを収容する材料タンクを含むインク供給系23を介してインクが供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、当該駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加してピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、吐出ノズル25からインクが吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることによりピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることによりピエゾ素子22の歪み速度が制御される。このようなピエゾ方式による液滴吐出は材料、つまりインクに熱を加えないため、インクの組成に影響を与えにくいという利点を有する。
図1に戻って説明すると、X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置6からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。Y軸方向ガイド軸5は基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構、及び上記Y軸方向ガイド軸5と接続されたY軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置6からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動させる。
制御装置6は液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。更に、この制御装置6は、X軸方向駆動モータ2に対して液滴吐出ヘッド1のX軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給するとともに、Y軸方向駆動モータ3に対してステージ7のY軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものであって、図示しないY軸方向駆動モータを備えている。このY軸方向駆動モータの駆動により、クリーニング機構8はY軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置6により制御される。
ヒータ10は、例えばランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に吐出されたインクに含まれる分散媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ10の電源の投入及び遮断も制御装置6により制御される。
このように構成される液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して(詳細にはバンクによって区画された配線パターン領域に対して)インクを吐出する。なお、図1では、液滴吐出ヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド1の角度を調整することでノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節可能としてもよい。
[膜パターン形成方法]
(第1実施形態)
次に、本発明の膜パターン形成方法の第1実施形態として、基板上に、バンクによってパターン状に区画された配線パターン領域を形成し、当該配線パターン領域に対してインクを液滴状に吐出して配線パターンを形成する場合について説明する。本第1実施形態に係る膜パターン形成方法は、バンク形成工程(パターン領域形成工程)、残渣処理工程、撥液化処理工程、機能液配置工程、乾燥工程及び熱処理/光処理工程から概略構成される。以下、各工程毎に詳細に説明する。
<バンク形成工程>
まず、バンク材料塗布前に基板表面改質処理として、基板Pに対してHMDS処理が施される。HMDS処理は、ヘキサメチルジシラサン((CH)SiNHSi(CH))を蒸気状にして塗布する方法である。これにより、図3(a)に示すように、バンクと基板Pとの密着性を向上する密着層としてのHMDS層30が基板P上に形成される。
バンクは仕切部材として機能する部材であり、バンクの形成はフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法により、図3(a)に示すように、基板PのHMDS層30上にバンク兼層間絶縁膜となる31を塗布し、その上にレジスト層を塗布する。そして、配線パターンに応じてマスクを施し、レジストを露光・現像することにより配線パターンに合わせたレジストを残す。最後にエッチングしてマスク以外の部分の31を除去する。これにより、図3(b)に示されるように、バンクBによって区画された配線パターン領域33が形成される。なお、バンクBの下層をインクに対し親液性を示す有機材料または無機材料で形成し、上層をインクに対して撥液性を示す有機材料で形成することで2層以上のバンクBを形成してもよい。
バンクBを形成する材料としては、液体材料(インクX)に対してもともと撥液性を示す材料でも良いし、後述するように、プラズマ処理による撥液化(フッ素化)が可能で下地基板との密着性が良くフォトリソグラフィによるパターニングがし易い絶縁有機材料でも良い。例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料を用いることが可能である。また、ポリシラザン、ポリシロキサン等の無機系材料を用いることもできる。また、このバンクBとなる材料が感光性を持っていてもよい。この場合、バンクBを形成するためのレジストが不要になり、更なる使用材料の効率化が図られる。
また、図3(c)に、図3(b)の平面図を示す。この図3(c)に示すように、配線パターン領域33において、他の領域に比べて幅が広い(少なくともインクの飛翔径より大きい)幅広部33aと、当該幅広部33aと接続された微細部33bが設けられている。インクの飛翔径よりも微細な配線パターンを形成する場合、このように形成された幅広部33aにインクを吐出することで、微細な配線パターン領域、つまり微細部33bにインクを拡散させることができる。なお、これら幅広部及び微細部は配線パターンの長さや形状に応じて複数設けても良い。
<残渣処理工程>
基板P上にバンクBが形成されると、フッ酸処理が施される。フッ酸処理は、例えば2.5%フッ酸水溶液でエッチングを施すことでHMDS層30を除去する処理である。フッ酸処理では、バンクBがマスクとして機能し、配線パターン領域33の底部32に存在するHMDS層30が除去される。
ここで、フッ酸処理では配線パターン領域33の底部32のHMDS(有機物)が完全に除去されない場合がある。あるいは、底部32にバンク形成時のレジスト(有機物)が残っている場合もある。そこで、次に、底部32におけるバンク形成時の有機物(レジストやHMDS)残渣を除去するために、基板Pに対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするOプラズマ処理等を選択できる。ここではOプラズマ処理を実施する。
プラズマ処理は、基板Pに対してプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射する。Oプラズマ処理の条件の一例として、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの相対移動速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃である。
そして、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成用材料に対して親液性を有しているが、本実施形態のように残渣処理のためにOプラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、底部32で露出する基板P表面の親液性を高めることができる。ここで、基板表面である底部32と、インクの液滴との静的接触角が40度以下となるように、Oプラズマ処理や紫外線照射処理が行われることが望ましい。より好ましくは、上記静的接触角は20度以下であることが望ましい。
また、ここでは、残渣処理の一部としてフッ酸処理を行うように説明したが、Oプラズマ処理あるいは紫外線照射処理によりバンク間の底部32の残渣を十分に除去できる場合は、フッ酸処理は行わなくてもよい。また、ここでは、残渣処理としてOプラズマ処理又は紫外線照射処理のいずれか一方を行うように説明したが、もちろん、Oプラズマ処理と紫外線照射処理とを組み合わせてもよい。
<撥液化処理工程>
続いて、バンクBに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CFプラズマ処理法)を採用することができる。CFプラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化炭素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜1020mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、バンクBにはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのOプラズマ処理は、バンクBの形成前に行ってもよいが、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等は、Oプラズマによる前処理がなされた方がよりフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、バンクBを形成した後にOプラズマ処理することが好ましい。
なお、バンクBに対する撥液化処理により、先に親液化処理したバンク間の基板P露出部(底部32)に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こらないため、基板Pはその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。また、バンクBについては、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
<機能液配置工程>
次に、配線パターン領域33(より具体的には幅広部33a)に、配線としての主な機能、すなわち導電性微粒子を含有するインクXを吐出することにより、微細部33bを含む配線パターン領域33にインクXを拡散させる(機能液を配線パターン領域33に配置させる)。
図4(a)は、図3(c)におけるA−A矢視断面図である。まず、図4(a)に示すように、上述の液滴吐出装置IJを用いて、導電性微粒子として銀を用いたインクXを配線パターン領域33の幅広部33aに吐出する。また、液滴吐出の条件としては、例えば、インク重量4ng/dot、インク速度(吐出速度)5〜7m/secで行うことできる。また、インクXを吐出する雰囲気は、温度60℃以下、湿度80%以下に設定されていることが好ましい。これにより、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルが目詰まりすることなく安定した液滴吐出を行うことができる。
吐出されたインクXは、図4(b)に示すように、配線パターン領域33の幅広部33a及び微細部33bに拡散する。このとき、配線パターン領域33はバンクBに囲まれているので、インクXが所望の領域以外に拡がることを阻止できる。また、バンクBの表面は撥液性が付与されているため、吐出されたインクXの一部がバンクB上にのっても、バンクB表面が撥液性となっていることによりバンクBからはじかれ、底部32に流れ落ちるようになる。さらに、底部32に露出した基板Pは、インクXに対しバンクBよりも大きな親液性を付与されているため、吐出されたインクXが配線パターン領域33において拡がり易くなる。
しかしながら、図4(b)に示すように、幅広部33aと微細部33bとではインクXの内圧が異なるため、インクXの高さが異なり、幅広部33aのインクXの方が微細部33bよりも高くなってしまう。よって、このままインクXを乾燥させた場合、乾燥後に形成される膜パターンの膜厚に不均一が生じることになる。
ところで、インクXに含まれる分散媒の蒸発に伴う気化熱により、インクXの表面には自然温度勾配が発生する。図5は、インクX表面の自然温度勾配およびインクX内部のマランゴニ対流の説明図である。例えば、図5(a)に示すように、バンクBに対するインクXの親液性が低い(接触角が大きい)と、インクXの***が大きくなり、インクXの頂上部における気液界面が大きくなる。これに従い、インクXの頂上部における蒸発量が増加し、気化熱の影響等によりインクXの端部より頂上部の方が低温になる。一方、図5(b)に示すように、バンクBに対するインクXの親液性が高い(接触角が小さい)と、インクXの端部における気液界面が大きくなるため、頂上部より端部が低温になる。このインクX表面の自然温度勾配に基づいて、インクX内部にはマランゴニ対流が発生する。そこで、マランゴニ対流について以下説明する。
一般に、液体層に温度差が生じると、レイリー対流および/またはマランゴニ対流が発生する。レイリー対流とは、温度差に伴う密度差によって誘起される対流であり、液体層の深さが大きいほどレイリー対流が支配的になる。一方、マランゴニ対流とは、温度差に伴う表面張力差によって誘起される対流であり、液体層の深さが小さいほどマランゴニ対流が支配的になる。本実施形態で扱う液滴吐出装置IJでは、吐出されるインクXの液滴のサイズは十分小さいため、マランゴニ対流が支配的となる。したがって、本実施形態ではこのマランゴニ対流を利用して、インクX内の固形分の析出位置を制御することとなる。なお、気液界面に対して垂直方向の温度勾配によって生じる流れは狭義のマランゴニ対流と呼ばれ、気液界面に対して平行方向の温度勾配によって生じる流れは熱毛管対流と呼ばれている。
ところで、液体表面の温度が高くなると表面張力は小さくなり、温度が低くなると表面張力は大きくなる。そして、表面張力が小さい方から大きい方に向かって液体が引っ張られて流れが生じるので、結果的には温度の高い方から低い方に向かって熱毛管対流が生じることになる。なお、温度領域の高低にかかわらず、インクX表面に温度勾配さえあれば熱毛管対流が発生する。そして、インクX表面に自然温度勾配が生じると、そのインクX表面に沿って熱毛管対流が発生する。これにともなって、インクX内部にはマランゴニ対流が発生する。
ここで、先の図5(a)の場合、インクXの端部より頂上部の方が低温になるので、インクXの端部から頂上部に向かって熱毛管対流35が発生し、これにともなってインクX内部にはマランゴニ対流36が発生する。一方、図5(b)の場合、インクXの頂上部より端部の方が低温になるので、インクXの頂上部から端部に向かって熱毛管対流37が発生し、これにともなってインクX内部にはマランゴニ対流38が発生する。
<乾燥工程>
上記のように、自然温度勾配によってインクXの膜厚が均一化された後、分散媒の除去及び膜厚確保のため乾燥処理を行う。なお、乾燥による分散媒の除去は、インクXの膜厚が均一化される過程でも生じるものである。この乾燥処理は、自然乾燥の他、特に分散媒の沸点が高い場合、ヒータ10によるランプアニールやレーザーアニールによって行うことが好ましい。ランプアニールに使用する光の光源としては、例えば、赤外線ランプ、キセノンランプ、レーザーアニールに使用するレーザー光の光源としては、例えばYAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上1000W以下の範囲で十分である。なお、基板Pを加熱する方法として、ホットプレート、電気炉等を使用しても良い。このような乾燥工程によって、分散媒の少なくとも一部が除去され、図5(d)に示すように、配線パターン領域33(幅広部33a、微細部33b)には、その表面にインクXに含まれる分散質が沈殿した膜からなる配線パターン34が形成される。
ここで、以下説明するように、乾燥工程において強制的に温度勾配を付与することにより、マランゴニ対流を発生させることができ、均一な膜厚の配線パターン34を得ることが可能となる。具体的には、幅広部33aから微細部33bに向かう方向に温度勾配を付与しながらインクXを乾燥させる。また、幅広部33a側の方が微細部33b側より高い温度を付与する。
この場合、上記機能液配置工程後の基板Pを、図6(a)に示すように、基板Pの幅広部33a側の一端に対して基板Pの温度(第3の温度)よりも高い第1の温度を付与するホットプレート40(第1の温度供給部)と、基板Pの微細部33b側の他端に対して基板Pの温度(第3の温度)よりも低い第2の温度を付与する冷却板41(第2の温度供給部)との間に搬送する。これにより、基板Pの幅広部33a側の方が微細部33b側より高い温度に維持された状態でインクXの乾燥が行われる。なお、図6(a)は、基板P上に複数の幅広部33a及び微細部33bが形成されている場合の一例である。また、図6(a)では第1の温度供給部としてホットプレート40が例示されているが、ホットプレートでなくとも上記の機能を満たすものであるならば、電熱線であっても構わない。また、冷却板についても同様、上記の機能を満たすものであるならば、その構成は限定されない。
なお、ホットプレート40のみを作動させて、第1の温度が第3の温度より大きくなるよう制御しても、冷却板41の温度のみを作動させて、第3の温度が第2の温度より大きくなるように制御しても、温度勾配を付与することが可能である。
これにより、基板Pの表面に対して、図6(b)に示すような温度勾配を一括して同等に付与することができる。なお、ホットプレート40側のインクXと冷却板41側のインクXとは温度領域が異なるが、インク表面に温度勾配さえ付与すれば表面張力分布が生じるので、全インクXの内部にマランゴニ対流を発生させることができる。したがって、各インクXから乾燥膜が同時に形成され、複数本の電気配線(配線パターン)を同時に得ることができる。しかも、各インクXには同等の温度勾配が付与されるので、各乾燥膜を同等に形成することができる。
この時、加熱部における基板Pの最高温度は、分散媒の沸点以下で行わなければならない。分散媒の沸点以上で加熱した場合、その領域におけるパターン領域のインクXに含まれる分散媒の乾燥が速すぎるため、十分な対流を引き起こす前に乾燥してしまい、膜厚の制御が困難となるためである。そして、上述したようなヒータ10を用いるなどして乾燥を促進する。このとき、上記のホットプレート40と冷却板41とで付与した温度勾配が失われないよう、インクX全体を均一に加熱することが望ましい。また、基板Pの置かれる雰囲気の温度を高めることで、インクX全体を均一に加熱してもよい。この場合、上述の液滴吐出ヘッド1の吐出ノズル25が乾燥しないよう、加熱される雰囲気から、液滴吐出ヘッド1を隔離することが好ましい。
このように、幅広部33a側の方のインクXが高温になり、微細部33b側の方のインクXが低温になるため、図5(b)に示すような熱毛管流37及びマランゴニ対流38が生じることになり、インクXが幅広部33aから微細部33bに流れ込み、ほぼ均一な膜厚を有するインクXを配線パターン領域33に配置することが可能となる。そして、均一な膜厚を保持したままインクXは乾燥され、図5(d)に示すように、配線パターン領域33(幅広部33a、微細部33b)には、その表面が膜化されたインクXからなる均一な膜厚の配線パターン34が形成される。なお、膜厚が均一にならなくとも、少なくとも微細部33bに、機能するに十分な膜厚の乾燥膜を形成することができる。
なお、基板Pの熱伝導率は高い方が望ましい。基板Pの熱伝導率が高ければ、ホットプレート40と冷却板41との温度差を小さくしても、インクX表面に所望の温度勾配を付与することができるからである。なお、基板Pの熱伝導率が低い場合でも、ホットプレート40と冷却板41との温度差を大きくすれば、インクX表面に所望の温度勾配を付与することは可能である。
また、ホットプレート40の代わりに、基板Pの幅広部33a側の一端にレーザー光を照射するなどして温度勾配を付与することも可能である。また、冷却板41を用いた場合、冷却板41への熱伝導もあるため、ホットプレート40の加熱とともに基板P全体の温度上昇を生じてしまい、時間とともに場所ごとの膜厚が変化してしまう可能性がある。そこで、より好ましくはホットプレート40及び冷却板41の両方を温度制御することが望ましい。具体的には、図6(a)に示すように、基板P上に温度センサー42を設置し、当該温度センサー42から得られる基板P上の温度情報に基づいて、ホットプレート40及び冷却板41の温度制御を行う温度制御部43を設けることにより、膜厚が均一な配線パターンを安定して形成することが可能となる。
一定温度を確保するという点では、冷却板41は循環式の水冷装置などが好ましい。また、ホットプレート40においても水やオイルを用いた加熱システムの利用が可能である。また基板サイズが大型化した場合には面内での安定した温度勾配を付与することが困難であるため、図6(c)に示すように、基板Pの幅方向に対して、一定間隔ごとに複数の温度供給部44を設け、幅広部33a側から微細部33b側に向かう方向に、徐々に温度が低くなるように温度制御を行なっても良い。
<熱処理/光処理工程>
上記乾燥工程によって形成される配線パターン34には分散媒が残っている可能性がある。そこで、配線パターン34内の微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるための有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、乾燥工程後の基板Pには熱処理及び/又は光処理が施される。
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。たとえば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行うことが好ましい。以上の工程により乾燥工程後の配線パターン34は微粒子間の電気的接触が確保される。
以上のようなバンク形成工程、残渣処理工程、撥液化処理工程、機能液配置工程、乾燥工程及び熱処理/光処理工程によって導電性を有し、且つ膜厚が均一な配線パターン34が形成される。
ところで、一般的に、基板P上に配置されたインクXは周辺部(エッジ)において乾燥の進行が速く、最初に周辺部において固形分濃度が飽和濃度に達する。そのため、基板P上に配置されたインクXは、原則として周辺部から膜の析出が始まる。したがって、インクXの膜厚制御すなわち膜の析出を制御するためには、インクXの固形分濃度や、インクXの乾燥速度、対流、固形分が微粒子の場合の粒径等のパラメータを積極的に制御する必要がある。
これに対して、本実施形態では、マランゴニ対流をインクXの内部に発生させるので、マランゴニ対流の流路に含まれない低温側端部は膜が析出しやすくなり、マランゴニ対流の流路に含まれる高温側端部は膜が析出しにくくなる。もっとも、基板P上のインクXは原則として両端から膜が析出するので、インクXの高温側端部で膜を析出しにくくさせるには、さらに以下の諸点に留意する必要がある。
まず、インクXに含まれる固形分が微粒子の場合には、その粒径は小さい方がよい。粒径が小さいほど、対流によって運搬されやすいので、インクXの高温側端部における固形分の析出が抑制される。これにより、インクXの高温側端部で膜が析出しにくくなる。
また、固形分の濃度は低い方がよい。固形分濃度が低いほど、インクXの高温側端部における固形分の析出が抑制される。これにより、インクXの高温側端部で膜が析出しにくくなる。
また、インクXに含まれる分散媒の沸点は高い方がよい。分散媒の沸点が低い場合には、強制温度勾配によるマランゴニ対流を発生させる前にインクXが乾燥してしまうおそれがあるからである。また、分散媒の熱伝導率は高い方がよい。分散媒の熱伝導率が高いほど、インクX表面に温度勾配を付与し易くなるからである。さらに、表面張力の温度依存性が大きい分散媒を採用することが望ましい。表面張力の温度依存性が大きいほど、インクX表面の温度勾配に基づいて表面張力差が発生し易くなり、所望のマランゴニ対流を発生させることができる。
また、分散媒の粘性は低い方がよい。分散媒の粘性が高い場合には、マランゴニ対流を発生させることが困難になり、インクXの高温側端部がピニングするおそれがあるからである。なお、液滴吐出装置IJによりインクXを安定吐出するため、インクXの粘度は0.1〜30cps程度に設定されている。したがって、液滴吐出装置IJから吐出形成されたインクXであれば、問題なくマランゴニ対流を発生させることができる。
また、基板Pの表面は均一に仕上げられている方がよい。基板P表面が均一であれば、インクXの静的接触角に分布を生じにくく、ディピニングが発生しにくくなる。これにより、インクXの端部が移動してしまい、目的とするパターン形状を得ることができなくなる現象を抑制することができる。
また、インクXと基板P表面との後退接触角を適切に設定することが望ましい。図7は、インクXの後退接触角の説明図である。後退接触角は、動的接触角と呼ばれるもので、その測定法としてウィルヘルミー法や拡張収縮法、転落法などが知られている。そのうち転落法は、図7(a)に示すように固体試料上にインクXを形成し、この固体試料を傾けながら、インクXが移動する際の接触角を測定するものである。そして、インクXが移動する方向の前方における接触角θ1が前進接触角であり、後方における接触角θ2が後退接触角である。
図7(b)に示すように、インクXは吐出された直後から蒸発が進行する。そして、インクXの低温側端部に固形分が析出すると、その析出した固形分によってインクXの端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴うインクXの収縮が抑制される。ところが、固形分の析出前にインクXが収縮を開始すると、インクXの端部が移動してしまい、目的とするパターン形状を得ることができなくなるおそれがある。
そこで、インクXと基板Pとの後退接触角θ2を、極力小さく設定することが望ましい。望ましくは30°以下であり、より好ましくは10°以下である。これにより、インクX端部の収縮による移動を抑制することができる。なお、インクXの低温側端部に固形分が析出した後には、その析出した固形分によってインクXの端部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴うインクXの収縮が抑制される。したがって、所定位置に固形分を析出させることが可能になり、所定位置に高精細な配線パターン34を形成することができる。
インクXと基板Pとの後退接触角を小さくするには、紫外線を照射することにより親液処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO プラズマ処理等によって行うことができる。具体的な紫外線(UV)照射処理としては、基板P表面に対し300nmから150nmの波長の紫外線(UV)を大気雰囲気下もしくは酸素存在下を照射することで行う。紫外線(UV)照射処理の条件としては、例えば波長が254nm、エネルギー密度が1〜1000mW/cm、紫外線照射時間が1〜120minとされる。また、具体的なO プラズマ処理としては基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。これにより、例えば石英ガラスであれば水に対する静的接触角を20°以下、後退接触角を10°以下とすることができる。
また、幅広部33aの幅は、微細部33bの幅の110%〜500%であることが望ま
しい。より好ましくは110〜250%であることが好ましい。均一な膜パターンを得るために全てのパターンを同じ幅や長さで設計する必要がある。同じ幅で設計されたパターンであれば、各インクXの両端間における温度が異なるが、温度差および温度分布は等しくなり、各パターン間での対流はほとんど等しくなるため、各パターン間での膜厚分布も等しくなる。しかし、各パターンの幅や長さが異なる場合、各インクXの両端間における温度だけでなく、温度差および温度分布も異なるため、各パターン間での対流が異なり、各パターン間での膜厚分布も不均一となる。そこで、幅広部33aの幅を微細部33bの幅の110%〜500%とすることにより、インクX内の対流が十分に発生し、膜厚の制御を行うことができる。さらに、インクXの配置時におけるパターンからのインクXの溢れが確実に防止される。なお、上記割合が110%未満であると、温度勾配の制御が困難となり、温度制御に関わらず微細部33bの方が膜厚が厚くなりやすいので好ましくない。また、500%を超えると、対流がインクXの両端間で十分に起こらず、膜厚の制御が困難となる。さらに、基板上のスペースの有効利用を図る上で好ましくない。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本第2実施形態において、上述した第1実施形態と異なる点は、基板P上に、幅広部33a及び微細部33bを有する配線パターン領域33を形成する場合に、バンクBではなく、自己組織化膜(以下SAM膜と称す)を用いることである。
このSAM膜とは、基板などの下地層の構成原子と反応可能な結合性官能基とそれ以外
の直鎖分子とからなり、該直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を、
配向させて形成された膜である。また、SAM膜はフォトレジスト材等の樹脂膜とは異な
り、単分子を配向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くすることができ、しかも、
分子レベルで均一な膜となる。即ち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均
一でしかも優れた撥液性や親液性を付与することができ、微細なパターニングをする際に
有用である。
このようなSAM膜を形成する化合物としては、フルオロアルキルシラン系材料(以下「FAS」という)を挙げることができる。使用に際しては、一つの化合物を単独で用いるのも好ましいが、2種以上の化合物を組み合わせて使用しても良い。このようなFASからなるSAM膜を基板上にパターニングすることによって親液部と撥液部のパターンを作ることができる。SAM膜が存在する部分が撥液部となる。つまり、上記親液部の形状が、幅広部33a及び微細部33bを有する配線パターン領域33のパターン形状になるように、SAM膜を基板上に形成すれば良い。このように、SAM膜によって配線パターン領域を形成する方法は、特開2002−164635号公報によって開示されており、周知の技術であるので、以下では詳細な説明を省略する。本第2実施形態では、第1実施形態のバンク形成工程がSAM膜形成工程となる。
<SAM膜形成工程>
まず、図8(a)に示すように、基板P上に前述のFASなどからなるSAM膜45を形成する。SAM膜45は、FASと基板Pとを同一の密閉容器中に入れておき、室温の場合は2〜3日程度の間放置すると基板P上に形成される。また、密閉容器全体を100℃程度に保持することにより、3時間程度で基板P上に形成される。以上に述べたのは、気相からの形成法であるが、液相からもSAM膜45を形成可能である。例えば、FASを含む溶液中に基板Pを浸積し、洗浄、乾燥することで基板P上にSAM膜45が形成される。
次ぎに、図8(b)の平面図に示すように、幅広部33a及び微細部33bを有する配線パターン領域33を形成するように、SAM膜45のパターニングを行う。ここで、基板P表面が露出した部分がインクXに対して濡れ性を有する親液部となり、SAM膜45が残存している部分はインクXに対して撥液性を有する撥液部となる。SAM膜45のパターニング方法としては、紫外線照射法、電子ビーム照射法、X線照射法、走査型プローブ顕微鏡(SPM)法等が適用可能である。
図8(c)は、図8(b)におけるC−C矢視断面図であり、上記のように形成した配線パターン領域33にインクXを吐出した場合のインクXの状態を示す。この図に示すように、第1実施形態と同様に、幅広部33aのインクXの方が微細部33bよりも高くなってしまう。よって、SAM膜45によって幅広部33a及び微細部33bを有する配線パターン領域33を形成した場合であっても、上記第1実施形態と同様の乾燥工程を行うことにより、膜厚が均一な配線パターンを得ることが可能である。
<実施例>
以下、SAM膜45によって幅広部33a及び微細部33bを有する配線パターン領域
33を形成し、上記乾燥工程により強制的に温度勾配を付与して得られた配線パターンの
膜厚を測定した実験結果を示す。
まず、分散媒であるテトラデカン(沸点254℃程度)に対して、分散質であるAgコロイドインク(粒径=5〜20nm)を、20vol%の濃度で分散させて、吐出用のインクXを作製した。一方、石英基板の表面に、SAM膜45を形成し、撥液性の基板を作製した。SAM膜45の材料としては、FAS17(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン)を用い、上記インクXとの静的接触角を64.7°とした。そして、基板をIPAにて洗浄後、図9に示すような幅広部33aと微細部33bとが接続された配線パターン領域33が配置された石英マスク越しに波長254nmの紫外線を10mW/cm2の強度で10分間照射して、選択的にFAS17を分解する。この処理により、FAS17が分解された領域(親液部)における上記インクXとの静的接触角を5°とした。なお後退接触角は5°以下となっていた。
そして、上記インクXを液滴吐出装置IJにより、幅広部33aに対して吐出した。具体的には、1dotが10ng(約6pl)のインクXの液滴を、幅広部33a(長さ40000μm、幅40μm)に15〜20μmのピッチ幅で、1列あたり2400dot、10列数で24000dot吐出した。さらに、1cm程度の隙間を空けて配置したホットプレート40および冷却板41の間に渡しかけるように、液滴吐出直後の基板を載置した。その際、幅広部33aから微細部33bに向かう方向に温度勾配が付与されるように、基板の向きを調整して載置した。ホットプレート40と冷却板41の温度はそれぞれ50度と5度とした。さらに、ホットプレート40と冷却板41の中心に温度センサー42を設置し、その温度が25℃±2℃の範囲で維持できるようにホットプレート40及び冷却板41の温度制御を行った。そのまま基板を放置してインクXを乾燥させ、形成された乾燥膜(配線パターン34)の状態をレーザー段差計で調査した。
その結果、乾燥前の基板では、幅広部33aにおけるインクXの膜厚は約4.3〜5.1μmであり、微細部33bにおけるインクXの膜厚は約3.9〜4.7μmであったのに対し、乾燥後のインクXの膜厚は、幅広部33aにおいて約0.8〜1.0μmであり、微細部33bにおいて約0.7〜0.9μmであった。つまり、乾燥後において、膜厚がほぼ均一化された配線パターンが得られることを確認できた。
一方、上述のような温度勾配を付与せずに乾燥工程を行った場合、乾燥前の基板では、幅広部33aにおけるインクXの膜厚は約5.5〜6.2μmであり、微細部33bにおけるインクXの膜厚は約1.5〜2.5μmであったのに対し、乾燥後のインクXの膜厚は、幅広部33aにおいて約1.1〜1.2μmであり、微細部33bにおいて約0.2〜0.4μmであった。つまり、温度勾配を付与しない場合、均一な膜厚の配線パターンを得ることはできない。
〔デバイスの製造方法〕
次に、上述した膜パターン形成方法を用いて、例えばデバイスとしてTFT(Thin Film Transistor)を製造する方法(デバイスの製造方法)について説明する。
図10(a)に示すように、まず、ガラス基板Pの上面に、上述したバンク形成工程によりバンク46を形成し、当該バンク46によって区画されたゲート電極パターン形成用の領域(ゲートパターン領域47)を形成する。ここで、ゲートパターン領域47は、幅広部33aと微細部33bとを有するものである。なお、微細部33bは以下に述べる活性層50の直下に配置され、当該微細部33bに配置されたインクXはゲート電極としての役割を担う。バンク46の形成後、上述した撥液化処理工程によりバンク46に撥液性を付与する。このバンク46としては、形成後に光透過性と撥液性を備える必要があり、その素材としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料のほかポリシラザンなどの無機系の材料が好適に用いられる。なお、ここではバンク46と基板Pとの密着性を高めるHMDS層の形成工程についての説明は省略する。そして、上述した機能液配置工程により、インクXをゲートパターン領域47に吐出して、幅広部33a及び微細部33bにインクXを拡散させる。そして、上述した乾燥工程により、インクXを乾燥させ、ゲート配線パターン48を形成する。この時、ゲート配線パターン48の膜厚は、幅広部33a及び微細部33bともに均一になる。
次に、熱処理/光処理工程後、図10(b)に示すように、プラズマCVD法により、バンク46及びゲート配線パターン48上にゲート絶縁層49を形成し、さらにゲート絶縁層49上に活性層50を形成し、当該活性層50上にコンタクト層51を形成する。ゲート絶縁層49としては窒化シリコン膜、活性層50としてはアモルファスシリコン膜、コンタクト層51としてはn+シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。プラズマCVD法を用いる場合、300℃〜350℃の熱履歴が必要になるが、無機系の材料をバンクに使用することで、透明性、耐熱性に関する問題を回避することが可能である。
続いて、図10(c)に示すように、上述したバンク形成工程により、ゲート絶縁層49上及びコンタクト層51上にバンク52を形成し、当該バンク52によって区画されたソース電極パターン形成用の領域(ソースパターン領域53)と、ドレイン電極パターン形成用の領域(ドレインパターン領域54)を形成する。バンク52に使用される材料はバンク46と同様である。また、バンク52形成後、上述した撥液化処理工程によりバンク52に撥液性を付与する。なお、ソースパターン領域53及びドレインパターン領域54を形成する際、微細な領域が必要であれば、ゲートパターン領域47と同様に、幅広部33a及び微細部33bを形成しても良い。
そして、図10(d)に示すように、上述した機能液配置工程及び乾燥工程により、ソースパターン領域53にソース電極パターン55を形成し、また、ドレインパターン領域54にドレイン電極パターン56を形成する。なお、ソースパターン領域53及びドレインパターン領域54に、幅広部33a及び微細部33bが形成されていない場合、通常の(温度勾配を付与しない)乾燥工程を実施すれば良い。さらに、ソースパターン領域53及びドレインパターン領域54を埋めるように、ソース電極パターン55及びドレイン電極パターン56上に、絶縁層57を形成する。そして、ドレイン電極パターン56上の絶縁層57にコンタクトホール58を形成し、絶縁層57及びバンク52上に形成される配線パターン59とドレイン電極パターン56とを導通させる。
以上のように、本デバイスの製造方法によれば、微細な線幅のゲート電極(ゲート配線パターン48)を液相プロセスで形成する際に、膜厚を均一に形成することができるので、当該TFTの素子特性の劣化を防止することができ、TFTの高精細化を図ることが可能である。なお、配線パターン59を例えば画素電極に接続することで、液晶装置または有機EL装置等の電気光学装置に用いるアクティブマトリクス基板(TFTアレイ基板60)用のTFTとして用いることができる。また、上記の説明では、ボトムゲート型のTFTを例示して説明したが、トップゲート型のTFTにも本発明は適用可能である。
〔電気光学装置〕
次に、上述したデバイスの製造方法により製造したデバイスを備える電気光学装置について説明する。なお、ここでは、上述したデバイスの製造方法により製造したTFT
(デバイス)を備える液晶装置(電気光学装置)を例示して説明する。図11(a)は液晶装置について対向基板側から見た平面図であり、図11(b)は図11(a)のD−D矢視断面図である。図11(c)は液晶装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図11(a)及び(b)において、液晶装置LDは、対をなすTFTアレイ基板60と対向基板61とが光硬化性の封止材であるシール材63によって貼り合わされ、このシール材63によって区画された領域内に液晶64が封入、保持されている。シール材63は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されている。
シール材63の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り65が形成されている。シール材63の外側の領域には、データ線駆動回路66及び実装端子67がTFTアレイ基板60の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路68が形成されている。TFTアレイ基板60の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路68の間を接続するための複数の配線69が設けられている。また、対向基板61のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板60と対向基板61との間で電気的導通をとるための基板間導通材70が配設されている。
なお、データ線駆動回路66及び走査線駆動回路68をTFTアレイ基板60の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板60の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置LDにおいては、使用する液晶64の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。また、液晶表示装置LDをカラー表示用として構成する場合には、対向基板61において、TFTアレイ基板60の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
このような構造を有する液晶装置LDの画像表示領域においては、図11(c)に示すように、複数の画素80がマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素80の各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)81が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線82がTFT81のソースに電気的に接続されている。データ線82に書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線82同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT81のゲートには走査線83が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線83にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
画素電極84はTFT81のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT81を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線82から供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極84を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図11(b)に示す対向基板61の対向電極71との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極84と対向電極71(コモン配線86)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量85が付加されている。例えば、画素電極84の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量85により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶装置LDを実現することができる。
このような本実施形態の液晶装置によれば、高性能のTFT81を備えるため、高精細の液晶装置を得ることができる。なお、上記の説明では、TFT81を液晶装置LDの駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶装置以外にも例えば有機EL装置やPDP(プラズマディスプレイパネル)、電気泳動装置等にも使用しても良い。
〔電子機器〕
次に、上述した電気光学装置を備える電子機器について説明する。
図12(a)は携帯電話の一例を示した斜視図である。図12(a)において、符号100は携帯電話本体を示し、符号101は上記実施形態の液晶装置を備えた表示部を示している。
図12(b)はワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図12(b)において、符号200は情報処理装置、201はキーボードなどの入力部、202は情報処理本体、203は上記実施形態の液晶装置を備えた表示部を示している。
図12(c)は腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図12(c)において、符号300は時計本体を示し、301は上記実施形態の液晶装置を備えた表示部を示している。
このような本実施形態の電子機器によれば、高精細の液晶装置を備えるので、例えば大きな情報量の表示能力を必要とする電子機器を得ることが可能である。なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機EL装置、PDP、電気泳動装置等、他の電気光学装置を備えても良い。
液滴吐出装置の概略斜視図である。 ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。 本発明の膜パターン形成方法の手順を示す第1の説明図である。 本発明の膜パターン形成方法の手順を示す第2の説明図である。 本発明の膜パターン形成方法の手順を示す第3の説明図である。 本発明の膜パターン形成方法の手順を示す第4の説明図である。 本発明の膜パターン形成方法の手順を示す第5の説明図である。 本発明の膜パターン形成方法の手順を示す第6の説明図である。 本発明の膜パターン形成方法の他の実施形態を示す説明図である。 本発明のデバイスの製造方法の手順を示す説明図である。 本発明の電気光学装置の一例を示す説明図である。 本発明の電子機器の一例を示す説明図である。
符号の説明
B、46、52…バンク、45…SAM膜、X…インク(機能液)、33…パターン領域、34…配線パターン(膜パターン)、33a…幅広部、33b…微細部











Claims (7)

  1. 機能液を基板上に配置して所定の膜パターンを形成する方法であって、
    前記基板上に、幅広部と、当該幅広部と接続された微細部とを有するパターン領域を形成するパターン領域形成工程と、
    前記幅広部に前記機能液を配置する機能液配置工程と、
    前記幅広部から前記微細部に向かう方向の温度勾配を前記機能液に付与しながら前記機能液を乾燥させることにより、膜パターンを形成する乾燥工程と、
    を有し、
    前記乾燥工程では、前記機能液のうち前記幅広部側に配置される部分の方が前記機能液のうち微細部側に配置される部分より温度が高いことを特徴とする膜パターン形成方法。
  2. 前記乾燥工程では、前記基板の幅広部側の一端に対して前記基板の温度よりも高い第1の温度を付与する第1の温度供給部と、前記基板の微細部側の他端に対して前記基板の温度よりも低い第2の温度を付与する第2の温度供給部との間に前記基板を配置することを特徴とする請求項1記載の膜パターン形成方法。
  3. 前記基板表面に対する前記機能液の静的接触角は40度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の膜パターン形成方法。
  4. 前記基板表面に対する前記機能液の後退接触角は30度以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜パターン形成方法。
  5. 前記幅広部の幅は、前記微細部の幅の110%〜500%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜パターン形成方法。
  6. 前記パターン領域形成工程では、前記パターン領域がバンクまたは自己組織化膜に囲まれて形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜パターン形成方法。
  7. 基板上に膜パターンを形成する工程を有するデバイスの製造方法において、
    請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の膜パターン形成方法により、前記基板上に膜パターンを形成することを特徴とするデバイスの製造方法。
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