JP4814422B2 - 重合体の製造法及び重合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α,β−不飽和カルボン酸エステルのグループトランスファー重合法に関する。
【0002】
【従来の技術】
グループトランスファー重合(GTP)は、分子量分布の狭い(メタ)アクリル酸エステル重合体を合成する優れた重合法である(J.Am.Chem.Soc.,1983年105巻5706頁;Macromolecules,1987年20巻1473頁;米国特許第4,414,372号、第4,417,034号、第4,508,880号、第4,524,196号、第4,581,428号、第4,588,795号、第4,598,161号、第4,605,716号、第4,622,372号、第4,656,233号、第4,659,782号、第4,659,783号、第4,681,918号、第4,695,607号、第4,711,942号、および第4,732,955号)。
【0003】
メタクリル酸エステルのGTPは、極性溶媒中、HF等の求核性触媒を使用することによりよく制御されたリビング重合になる。一方、アクリル酸エステルのGTPには、非極性溶媒中でルイス酸触媒を用いる条件が適しており、極性溶媒中で求核性触媒を使用すると分子量分布が広がる傾向にある。
ルイス酸触媒を用いたGTPの問題点としては、通常モノマーに対してモル比で10%もの大量の触媒が必要であることや、非常に重合温度が低いこと等が挙げられる。
【0004】
HgIを触媒として用いるとこれらの問題点を解消できるが、その触媒の毒性が問題となる(Polym.Prepr.,Am.Chem.Soc.,Div.Polym.Chem.1988年29巻2号114頁)。
La(OTf)、Sm(OTf)、Y(OTf)等のランタニドのトリフレート塩もアクリル酸エステルのGTPのルイス酸触媒として有効であるが、活性はHgIよりも低い。
【0005】
ZhuangとMullerらは、HgI触媒を用いたアクリル酸ブチルのGTPにおいて、(CHSiIを添加すると劇的に反応が加速されることを報告している(Macromolecules,1995年28巻8035頁;Macromolecules,1995年28巻8043頁)。
ルイス酸と特定のシラン化合物を併用するGTPについては、米国特許第4,866,145号で開示されている。この特許においては、ルイス酸とシラン化合物のモル比が、0/100〜90/10までに限定されている。
【0006】
一方、近年、様々な「リビングラジカル重合法」が開発されてきた。ラジカル重合法では、GTPを含むイオン系の重合法に比べて、(メタ)アクリル酸エステル等の極性モノマーの重合のおける副反応は一般に起こりにくい。ラジカル重合は重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため一般的には制御が難しいとされている。しかしながら「リビングラジカル重合法」は上述の重合法とは異なり、ラジカル重合でありながら停止反応等の副反応が起こりにくく分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができるという特徴を有する。
【0007】
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本明細書における定義も後者である。
【0008】
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばJ.Am.Chem.Soc.、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、Macromolecules、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(AtomTransfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
【0009】
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.、1995年、117巻、5614頁、Macromolecules、1995年、28巻、7901頁,Science、1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、Macromolecules、1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などが挙げられる。
しかし、これらのリビングラジカル重合法の多くは、遷移金属錯体を触媒として用い、更にその量が多いために、重合後のポリマーの精製が困難であるとの問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、α,β−不飽和カルボン酸エステルのグループトランスファー重合において、高度に制御を行い、且つ、触媒量を削減する方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の3成分:
(A)グループトランスファー重合反応開始剤(I)
(B)ルイス酸(II)、
(C)シリル化剤(III)、
を必須成分とし、以下のいずれかの条件を満たすことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸エステル重合体の製造法である。
(a)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で1×10−3より少ない。
(b)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
(c)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.1より少ない。
【0012】
グループトランスファー重合反応開始剤(I)としては、限定はされないが、一般式1で表される化合物:
(R)(R)C=C(OR)OSiZ (1)
(式中、Zは(OR3−x(Rである。R、R、R、Rは、原子又は炭素数1〜20の酸素原子を1又は2個含んでいても良い飽和又は不飽和の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる原子又は基である。Xは0、1、又は3である。)
が好ましく、更には、一般式1においてRがCH3、CHCH、Cから選ばれる基あるいはその組合わせであり、Xが3である化合物が好ましい。
【0013】
α,β−不飽和カルボン酸エステルは、限定はされないが、アクリル酸エステル、あるいは、クロトン酸エステルが好ましく、特にアクリル酸エステルが好ましい。
ルイス酸(II)は、限定はされないが、ホウ素系ルイス酸、あるいは、アルミニウム系ルイス酸が好ましく、特にホウ素系ルイス酸が好ましい。ホウ素系ルイス酸としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが好ましく、アルミニウム系ルイス酸としては、アルキルアルミニウム ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)が好ましい。
【0014】
シリル化剤(III)は、限定はされないが、一般式2で表される化合物:
(R(R(RSiY (2)
(式中、式sは1,2及び3から選ばれ、p,q,rは0,1,2及び3から選ばれ、且つp+q+r+s=4を満足する数である。R、R、Rは炭素数20以下の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる基である。YはI、Br、Cl、CFSO、CFCO、ClO、SOである。)
であることが好ましく、特に次の群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(CHSiI、(CHCHSiI、(CHSiSOCF、(CHCHSiSOCF
【0015】
重合条件としては、(a)且つ(d)、あるいは、(b)且つ(e)を満たすことが好ましい。
(a)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で1×10−3より少ない。
(d)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−3より少ない。
(b)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.25より少ない。
(e)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
【0016】
また、(d)あるいは(e)を満たし、且つ(c)を満たすことが好ましい。
(c)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対し、モル比で0.1より少ない。
(d)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−3より少ない。
(e)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
【0017】
更に、以下のいずれかの条件を満たすことが好ましい。
(f)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−4以下。
(g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下。
(h)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.02以下である。
【0018】
更に、(f)且つ(i)、あるいは、(g)且つ(j)を満たすことが好ましい。
(f)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−4以下。
(i)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で2×10−3以下。
(g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下。
(j)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.1以下。
【0019】
更にまた、(i)あるいは(j)を満たし、且つ(h)を満たすことが好ましい。
(h)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.02以下である。
(i)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で2×10−3以下。
(j)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.1以下。
重合温度は、限定はされないが、−5℃以上であることが好ましい。
【0020】
本発明は、本発明の製造法により製造された重合体、及び、本発明の製造法により少なくとも1つの重合体ブロックが製造されたブロック共重合体でもある。
本発明の重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.5未満であることが好ましい。
また、本発明の重合体は、数平均分子量が10000以上であることが好ましい。本発明は、本発明の重合体からなる熱可塑性エラストマーでもある。
また、本発明は、本発明の重合体からなる硬化性組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0021】
本発明は、以下の3成分:
(A)グループトランスファー重合反応開始剤(I)
(B)ルイス酸(II)、
(C)シリル化剤(III)、
を必須成分とし、以下のいずれかの条件を満たすことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸エステル重合体の製造法である。
(a)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で1×10−3より少ない。
(b)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
(c)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.1より少ない。
【0022】
<グループトランスファー重合反応開始剤(I)>
グループトランスファー重合反応開始剤(I)とは、前述の文献等に記載されているグループトランスファー重合を開始する開始剤のことである。具体的な構造の例としては、限定はされないが、米国特許第4,414,372号、米国特許第4,417,034号、米国特許第4,866,145号、日本国特許特公平6−67971等に開示されている化合物が挙げられる。
【0023】
そして、限定はされないが、一般式1で表される化合物が好ましい。
(R)(R)C=C(OR)OSiZ (1)
(式中、Zは(OR3−x (R である。R、R、R、Rは、原子又は炭素数1〜20の酸素原子を1又は2個含んでいても良い飽和又は不飽和の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる原子又は基である。Xは0、1、又は3である。)
更には、一般式1においてRがCH3、CHCH、Cから選ばれる基あるいはその組合わせであり、Xが3である化合物が好ましい。
【0024】
一般式1で表される重合反応開始剤の具体例としては、例えば1−メトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−エトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−メトキシ−1(トリエチルシロキシ)1−プロペン、1−メトキシ−1−(トリアリルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−メトキシ−1−(トリシクロヘキシルメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−メトキシ−1−(トリフェニルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−ブトキシ−1−(トリベンジルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−メトキシ−1−(フェニルジメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−アリルオキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン、1−ベンジルオキシ−1−(トリブチルシロキシ)−2−エチル−1−プロペン、1−tert−ブチルオキシ−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−(2−メトキシ−1−エトキシ)−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、1−[2−(2−メトキシ−1−エトキシ)エトキシ]−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロぺン、などが挙げられる。
【0025】
<ルイス酸(II)>
本発明で使用されるルイス酸(II)は、特に限定はされないが、次のような化合物が例示される。よう化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛化合物、トリフルオロボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等のホウ素化合物、アルキルアルミニウムオキシド、アルキルアルミニウムクロリド、アルキルアルミニウム ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)等のアルミニウム化合物、よう化カドミウム等のカドミウム化合物、塩化鉄等の鉄化合物、塩化錫等の錫化合物、よう化水銀、臭化水銀、塩化水銀、トリフルオロ酢酸水銀、水銀トリフレート、CHHgI、CHgI、CHgI、CHHgClO、Hg(ClO等の水銀化合物。限定はされないが、特にホウ素化合物、アルミニウム化合物が好ましく、中でもトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、アルキルアルミニウム ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)が好ましい。
【0026】
<シリル化剤(III)>
シリル化剤とは、形式上、アニオン性置換基の脱離により、シリルカチオンを生成するケイ素化合物のことである。シリルカチオンを生成する基としては、限定はされないが、I、Br、Cl、CFSO、CFCO、ClO、SOが好ましく、特にI、CFSOが好ましい。
【0027】
シリル化剤(III)は、限定はされないが、一般式2で表される化合物:
(R(R(RSiY (2)
(式中、式sは1,2及び3から選ばれ、p,q,rは0,1,2及び3から選ばれ、且つp+q+r+s=4を満足する数である。R、R、Rは炭素数20以下の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる基である。YはI、Br、Cl、CFSO、CFCO、ClO、SOである。)
であることが好ましく、特に次の群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(CHSiI、(CHCHSiI、(CHSiSOCF、(CHCHSiSOCF
【0028】
これら以外には、(CHSiI、CHSiI、(n−CSiI、(tert−CSiI、(tert−CSiI、(C)3SiI、[(2,6−ジ−tert−C)−CSiI、(CH(C)SiI、(CH(C)SiIなどが挙げられる。
【0029】
<モノマー>
本発明のα,β−不飽和カルボン酸エステル重合体の主鎖を構成するα,β−不飽和カルボン酸エステルモノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;クロトン酸−iso−プロピル、クロトン酸−iso−ブチル、クロトン酸−tert−ブチル、クロトン酸シクロヘキシル、などのα−分枝低級アルコールのクロトン酸エステル類、クロトン酸エチル、クロトン酸−n−プロピル、クロトン酸−n−ブチル、クロトン酸−n−オクチルなどのα−非分枝低級アルコールのクロトン酸エステル類、クロトン酸ステアリル、クロトン酸セチル、クロトン酸オレイニル、クロトン酸リノレニルなどの飽和又は不飽和のα−非分枝高級アルコールのクロトン酸エステル類が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わず、更にアニオン重合性の他のモノマーと共重合しても構わない。なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、クロトン酸エステルモノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸エチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよび/あるいはメタクリル酸エステルを表す。
【0030】
<ルイス酸(II)とシリル化剤(III)の量>
本発明の重要な点は、ルイス酸(II)とシリル化剤(III)の量である。
ルイス酸と特定のシラン化合物を併用するGTPについては、米国特許第4,866,145号で開示されており、この特許においては、ルイス酸とシラン化合物のモル比が、0/100〜90/10までに限定されている。発明者らは、鋭意研究の結果、この範囲外で、より少量の化合物の使用により、より良いGTPの制御を与える処方を見出した。
【0031】
本発明においては、以下のいずれかの条件を満たす。
(a)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で1×10−3より少ない。
(b)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
(c)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.1より少ない。
【0032】
重合条件としては、(a)且つ(d)、あるいは、(b)且つ(e)を満たすことが好ましい。
(a)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で1×10−3より少ない。
(d)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−3より少ない。
(b)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.25より少ない。
(e)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
【0033】
また、(d)あるいは(e)を満たし、且つ(c)を満たすことが好ましい。
(c)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.1より少ない。
(d)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−3より少ない。
(e)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.05より少ない。
【0034】
更に、以下のいずれかの条件を満たすことが好ましい。
(f)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−4以下。
(g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下。
(h)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.02以下である。
【0035】
更に、(f)且つ(i)、あるいは、(g)且つ(j)を満たすことが好ましい。
(f)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−4以下。
(i)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で2×10−3以下。
(g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下。
(j)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.1以下。
【0036】
更にまた、(i)あるいは(j)を満たし、且つ(h)を満たすことが好ましい。
(h)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.02以下である。
(i)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で2×10−3以下。
(j)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.1以下。
これらの条件で重合を行うことにより、ルイス酸やシリル化剤の使用量を大きく削減できるために、コストを劇的に低下させることができる。
【0037】
<重合条件>
溶媒
本発明の重合反応は溶剤の存在下又は非存在下のいずれも可能であるが、モノマー、グループトランスファー重合反応開始剤(I)、ルイス酸(II)、シリル化剤(III)を溶解又は分散し得る溶剤の存在下で行うことが好ましい。
【0038】
溶媒の種類としては特に限定されず、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族置換又は非置換の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン、ブロモホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン置換脂肪族炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなどの環状又は非環状のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;あるいはそれらの中から選ばれる成分からなる混合溶剤など、本重合系を阻害しない溶媒系が挙げられる。また、超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
【0039】
溶剤の使用量には特に制限はないが経済性の観点からモノマー1gに対し100ml以下の範囲が好ましい。溶剤は通常用いられる方法で水などのプロティックな不純物などの重合阻害物を極力除去精製したものを用いることが好ましい。
【0040】
温度、雰囲気
反応温度は、特に限定はされないが、−100℃〜+40℃、好ましくは−90℃〜+20℃、更に好ましくは−80℃〜+10℃が適用される。重合体の分子量やリビング性をより良く制御しようとする場合には、低温の方が好ましいが、本発明の場合には、−5℃以上の温度でも高度な制御が可能である。反応時間は上記反応条件の設定に依存するが通常1〜200時間、好ましくは5〜150時間、更に好ましくは10〜130時間が適用される。反応の際には静置又は撹拌のいずれも適用出来る。又、反応は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気、又は真空中など、重合反応の阻害物質が実質的に存在しない環境で行われることが好ましい。
【0041】
共重合反応におけるモノマーの添加法は、反応開始時に総てのモノマーの全量を反応系に存在させてもよいし、一種又は2種以上を存在させて重合反応を開始し、目的の重合率の時点で逐次残部のモノマーを加えて反応を継続して行うこともできる。後者の方法を目的重合体に応じて適合させることによって、いわゆるブロック共重合体を得ることができる。単独重合反応及び共重合反応のいずれにおいても重合反応終了時、酸又は塩基触媒の存在下、又は非存在下で水又はアルコールと処理することにより重合体の片末端をカルボン酸又はエステル基に転換することができる。この転換は重合反応後重合体を一旦単離した後行うこともできる。
【0042】
<重合体>
本発明の重合体の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比は、特に限定されないが、好ましくは1.5未満であり、好ましくは1.4以下であり、より好ましくは1.3以下であり、さらに好ましくは1.2以下であり、特に好ましくは1.1以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてTHFあるいはクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにておこない、数平均分子量等は標準PMMA換算あるいは標準ポリスチレン換算で求めることができる。
【0043】
本発明の重合体の数平均分子量は特に制限はないが、従来の方法では合成が困難であった高分子量の重合体を与えることができ、好ましくは、10000以上、より好ましくは25000以上である。
【0044】
本発明を利用することにより、本発明の重合法により合成される重合体同士、あるいは、本発明の重合体と他の方法により得られる重合体とのブロック共重合体の合成が可能となる。ブロック共重合体は、その分子設計により、熱可塑性エラストマーとしての利用が可能となる。特に、ガラス転移点が高いハードセグメントと、ガラス転移点が低いソフトセグメントを共有するブロック共重合体が好ましい。
【0045】
<官能基導入法>
本発明の重合体に関して、公知のGTPで合成されたポリマーに対する種々の官能基導入法により、官能基を導入することができる。例えば、Macromolecules,1987年20巻1473頁の文献及びその引用文献に示される方法が挙げられる。
【0046】
本発明の重合法は高度に制御が可能であるので、これらの方法を利用することにより、末端や側鎖に様々な官能基の導入が可能であり、これらの官能基を利用した硬化性組成物として利用することができる。
【0047】
<熱可塑エラストマー>
本発明のブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーとして利用が可能であり、既存のスチレン系エラストマーと同等の用途に使用できる。具体的には、樹脂やアスファルトの改質用途、樹脂とブロック体とのコンパウンド用途(必要に応じて可塑剤や充填材、安定剤等を加えてもよい)、熱硬化性樹脂の収縮防止剤、粘・接着剤、制振材のベースポリマーとして使用することができる。具体的な応用分野としては、自動車の内装・外装部品、電気・電子分野、食品の包装用フィルムやチューブ、医薬・医療用容器やシール性物品等が挙げられる。
【0048】
また、本発明のブロック共重合体は、それ自身でも耐衝撃性を有する樹脂として成形材料となりうるが、種々の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂と混合して用いるとこれらの樹脂に高度の耐衝撃性を付与できる耐衝撃性改良剤となりうる。このほか、加工性改良剤、相溶化剤、艶消し剤、耐熱性改良剤などとして使用できる。
【0049】
本発明の重合体を添加して耐衝撃性を改良しうる熱可塑性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合物、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のビニル系単量体70〜100重量%とこれらのビニル系単量体と共重合可能なたとえばエチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどの他のビニル系単量体および(または)ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系単量体など0〜30重量%とを重合して得られる単独重合体または共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂の混合物などをあげることができるが、これらに限定されることなく、熱可塑性樹脂樹脂が広く使用可能である。特にポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが耐候性、耐衝撃性などの特徴を出しやすく好ましい。
【0050】
本発明の重合体を各種樹脂に添加する方法としては、バンバリーミキサー、ロールミル、二軸押出機等の公知の装置を用い、機械的に混合しペレット状に賦形する方法をあげることができる。押出賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成形可能であり、成形には、通常の射出成形機、ブロー成形機、押出成形機などが用いられる。
【0051】
さらに、この樹脂組成物には、必要に応じて耐衝撃性改良剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、顔料、充填剤などを配合し得る。具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリル系グラフト共重合体、アクリル−シリコーン複合ゴム系グラフト共重合体などの耐衝撃性改良剤;トリフェニルホスファイトなどの安定剤;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの滑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のホスフェート系難燃剤、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃剤;酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などの顔料;ガラス繊維、アスベスト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、炭酸カルシウムなどの充填剤などがあげられる。
【0052】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等におけるシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、ガスケット、注型材料、人工大理石、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
【0053】
更に、本発明の硬化性組成物から得られたゴム弾性を示す成形体は、ガスケット、パッキン類を中心に広く使用することができる。例えば自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。建築分野では、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。スポ―ツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。
【0054】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準PMMA換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてPLゲルMixed−Cカラム(7.5×300mm)を2本直列につないで用い、GPC溶媒としてTHFを用いた。
【0055】
(実施例1)
乾燥アルゴン雰囲気下、0℃に冷却したガラス反応器中に、アクリル酸エチル(10mmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.010mmol)、トリエチルシリルトリフレート(0.00010mmol)、1−メトキシ−1−(トリエチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン(0.20mmol)、及びジクロロメタン(4ml)を加えた。0℃で2時間撹拌した後、少量のメタノールを加え反応を停止させ、減圧下揮発分を留去した。ほぼ定量的に重合体が得られた。生成物をゲルパーミエーションクロマートグラフィー(GPC)及びH−NMRにより分析した。数平均分子量Mn=6800、分子量分布Mw/Mn=1.18であった。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同様にして、アクリル酸エチル(10mmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.010mmol)、トリエチルシリルトリフレート(0.00010mmol)、1−メトキシ−1−(トリエチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン(0.20mmol)、及びジクロロメタン(4ml)を、0℃で1時間反応させ、生成物を分析した。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例3、4)
実施例2において、1−メトキシ−1−(トリエチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペンの量のみを、実施例3では、0.10mmol、実施例4では0.050mmolとした。反応温度は20℃とし、実施例3では1時間、実施例4では4時間反応させた。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004814422
【0059】
(実施例5)
実施例1と同様にして、アクリル酸エチル(10mmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.0010mmol)、トリメチルシリルトリフレート(0.000050mmol)、1−メトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン(0.10mmol)、及びジクロロメタン(4ml)を、0℃で1時間反応させ、生成物を分析した。重合率は100%で、Mn(GPC)=15300、Mw/Mn=1.15であった。
【0060】
(実施例6)
実施例2と同条件で重合を実施し、1時間後にアクリル酸n−ブチルを添加した。アクリル酸n−ブチル添加時と、最終生成物の分子量及び分子量分布は、それぞれ、Mn=6800、Mw/Mn=1.18;Mn=15000、Mw/Mn=1.19であった。それぞれのGPCチャートを重ね書きしたものを図1に示す。
最終生成物には、アクリル酸エチルの重合完了時のピークに相当するピークが見られないことから、ほぼ定量的にブロック化されたことが解る。
【0061】
(実施例7)
実施例1と同様にして、アクリル酸エチル(5mmol)、クロトン酸エチル(5mmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.010mmol)、トリエチルシリルアイオダイド(0.00010mmol)、1−メトキシ−1−(トリエチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン(0.10mmol)、及びジクロロメタン(4ml)を、0℃で24時間反応させ、生成物を分析した。Mn=8100、Mw/Mn=1.18で、重合体中のアクリル酸エチルとクロトン酸エチルのモル比は、84:16であった。
【0062】
(実施例8)
実施例1と同様にして、アクリル酸エチル(10mmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.0050mmol)、トリメチルシリルトリフレート(0.00010mmol)、1−メトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン(0.10mmol)、及びトルエン(4ml)を、0℃で4時間反応させ、生成物を分析した。重合率は100%で、Mn(NMR)=10520、Mn(GPC)=17300,Mw/Mn=1.12であった。
【0063】
【発明の効果】
グループトランスファー重合において、限定された量のルイス酸とシリル化剤を併用することにより、α,β−不飽和カルボン酸エステル、特にアクリル酸エステルの分子量及び分子量分布の制御が改善された。更に、本発明の条件では、ルイス酸、シリル化剤の使用量が低減できるので、製造コスト及び生成物の精製において従来法より有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 GPCチャートを重ね書きしたもの

Claims (15)

  1. 以下の3成分:
    (A)下記一般式(1)
    (R)(R)C=C(OR)OSiZ (1)
    (式中、Zは(OR3−x(Rである。R、R、R、Rは、原子又は炭素数1〜20の酸素原子を1又は2個含んでいても良い飽和又は不飽和の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる原子又は基である。Xは0、1、又は3である。)
    で表されるグループトランスファー重合反応開始剤(I)、
    (B)ホウ素系ルイス酸(II)、および
    (C)下記一般式(2):
    (R(R(RSiY (2)
    (式中、式sは1、2及び3から選ばれ、p、q、rは0、1、2及び3から選ばれ、且つp+q+r+s=4を満足する数である。R、R、Rは炭素数20以下の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機基あるいはそれらの組み合わせからなる有機基を表し、それぞれ独立に選ばれる基である。YはI、Br、Cl、CFSO、CFCO、ClO、SOである。)
    で表されるシリル化剤(III)、
    を必須成分とし、以下のいずれかの条件を満たすことを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸エステル重合体の製造法。
    (a)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で1×10−3より少ない。
    (g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下
    (c)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.1より少ない。
  2. グループトランスファー重合反応開始剤(I)が、一般式1においてRがCH、CHCH、Cから選ばれる基あるいはその組合わせであり、Xが3であることを特徴とする請求項1記載の重合体の製造法。
  3. α,β−不飽和カルボン酸エステルが、アクリル酸エステル、あるいは、クロトン酸エステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の重合体の製造法。
  4. ルイス酸(II)が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体の製造法。
  5. シリル化剤(III)が、次の群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体の製造法。
    (CHSiI、(CHCHSiI、(CHSiSOCF、(CHCHSiSOCF
  6. 以下のいずれかの条件を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体の製造法。
    (f)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−4以下。
    (g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下
    (h)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対しモル比で0.02以下
  7. 以下に示す条件のうち、(f)且つ(i)、あるいは、(g)且つ(j)を満たすことを特徴とする請求項6に記載の重合体の製造法。
    (f)シリル化剤(III)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で5×10−4以下。
    (i)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で2×10−3以下。
    (g)シリル化剤(III)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.005以下
    (j)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.1以下。
  8. 以下に示す条件のうち、(i)あるいは(j)を満たし、且つ(h)を満たすことを特徴とする請求項7に記載の重合体の製造法。
    (h)シリル化剤(III)がルイス酸(II)に対し、モル比で0.02以下
    (i)ルイス酸(II)がα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体に対しモル比で2×10−3以下。
    (j)ルイス酸(II)がグループトランスファー重合反応開始剤(I)に対しモル比で0.1以下。
  9. 重合温度が−5℃以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の重合体の製造法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の重合体の製造法により製造された重合体。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の重合体の製造法により少なくとも1つの重合体ブロックが製造されたブロック共重合体。
  12. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.5未満であることを特徴とする請求項10または11に記載の重合体。
  13. 数平均分子量が10000以上であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の重合体。
  14. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の重合体からなる熱可塑性エラストマー。
  15. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の重合体からなる硬化性組成物。
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