以下、従来の通信装置について説明する。たとえば、SS(Spread Spectrum)方式を用いた広帯域CDMA(W−CDMA:Code Division Multiple Access)においては、畳込み符号の性能を大きく上回る誤り訂正符号として、ターボ符号が提案されている。このターボ符号は、情報ビット系列にインタリーブを施した系列を既知の符号化系列と並列に符号化するもので、シャノン限界に近い特性が得られると言われており、現在最も注目されている誤り訂正符号の1つである。上記W−CDMAにおいては、誤り訂正符号の性能が、音声伝送やデータ伝送における伝送特性を大きく左右するため、ターボ符号の適用により伝送特性を大幅に向上させることができる。
ここで、上記ターボ符号を用いた従来の通信装置の送信系および受信系の動作を具体的に説明する。図19は、送信系において使用されるターボ符号器の構成を示す図である。図19(a)において、101は情報ビット系列を畳込み符号化して冗長ビットを出力する第1の再帰的組織畳込み符号化器であり、102はインタリーバであり、103はインタリーバ102により入れ替え後の情報ビット系列を畳込み符号化して冗長ビットを出力する第2の再帰的組織畳込み符号化器である。図19(b)は、第1の再帰的組織畳込み符号化器101および第2の再帰的組織畳込み符号化器103の内部構成を示す図であり、2つの再帰的組織畳込み符号化器は、それぞれ冗長ビットのみを出力する符号化器である。また、上記ターボ符号器で用いられるインタリーバ102では、情報ビット系列をランダムに入れ替える処理を行う。
上記のように構成されるターボ符号器では、同時に、情報ビット系列:x1と、第1の再帰的組織畳込み符号化器101の処理により前記情報ビット系列を符号化した冗長ビット系列:x2と、第2の再帰的組織畳込み符号化器103の処理によりインタリーブ処理後の情報ビット系列を符号化した冗長ビット系列:x3と、を出力する。
図20は、受信系において使用されるターボ復号器の構成を示す図である。図20において、111は受信信号:y1と受信信号:y2とから対数尤度比を算出する第1の復号器であり、112および116は加算器であり、113および114はインタリーバであり、115は受信信号:y1と受信信号:y3とから対数尤度比を算出する第2の復号器であり、117はデインタリーバであり、118は第2の復号器115の出力を判定して元の情報ビット系列の推定値を出力する判定器である。なお、受信信号:y1,y2,y3は、それぞれ前記情報ビット系列:x1,冗長ビット系列:x2,x3に伝送路のノイズやフェージングの影響を与えた信号である。
上記のように構成されるターボ復号器では、まず、第1の復号器111が、受信信号:y1kと受信信号:y2kから推定される推定情報ビット:x1k´の対数尤度比:L(x1k´)を算出する(kは時刻を表す)。ここでは、情報ビット:x1kが0である確率に対する情報ビット:x1kが1である確率を求めることとなる。なお、図示のLe(x1k)は外部情報を表し、La(x1k)は1つ前の外部情報である事前情報を表す。
つぎに、加算器112では、前記算出結果である対数尤度比から、第2の復号器115に対する外部情報を算出する。なお、1回目の復号においては、事前情報が求められていないため、La(x1k)=0である。
つぎに、インタリーバ113および114では、受信信号:y1kと外部情報:Le(x1k)を、受信信号:y3の時刻にあわせるために、信号の並べ替えを行う。その後、第2の復号器115では、第1の復号器111と同様に、受信信号:y1と受信信号:y3、および先に算出しておいた外部情報:Le(x1k)に基づいて、対数尤度比:L(x1k´)を算出する。そして、加算器116では、外部情報:Le(x1k)を算出する。このとき、デインタリーバ117にて並べ替えられた外部情報は、事前情報:La(x1k)として前記第1の復号器111にフィードバックされる。
最後に、ターボ復号器では、上記処理を、所定の回数にわたって繰り返し実行することで、より精度の高い対数尤度比を算出し、そして、判定器118が、この対数尤度比に基づいて判定を行い、もとの情報ビット系列を推定する。具体的にいうと、たとえば、対数尤度比が“L(x1k´)>0”であれば、推定情報ビット:x1k´を1と判定し、“L(x1k´)≦0”であれば、推定情報ビット:x1k´を0と判定する。
また、図21,図22,および図23は、上記ターボ符号器で用いられるインタリーバ102の処理を示す図である。ここで、インタリーバ102により情報ビット系列をランダムに入れ替える処理について説明する。
たとえば、W−CDMAにおいては、インタリーバとして、一般的に、複素インタリーバ(以降、PILと呼ぶ)が用いられている。このPILは、以下の3つの特徴をもつ。
(1)N(縦軸:自然数)×M(横軸:自然数)バッファにおける行と列の入れ替えを行う。
(2)行内のビット入れ替えにおいて、素数を用いた擬似ランダムパターンを使用する。
(3)行の入れ替えによりクリティカルパターンを回避する。
ここで、従来のインタリーバであるPILの動作について説明する。たとえば、インタリーバ長:Lturbo=512bit,N=10,M=P=53(Lturbo/N≦P+1),原始根:g0=2とした場合、マッピングパターン:c(i)は、下記の(1)式のように作成される。
c(i)=(g0×c(i−1))modP …(1)
ただし、i=1,2,…,(P−2)とし、c(0)=1とする。
したがって、マッピングパターンC(i)は、{1,2,4,8,16,32,11,22,44,35,17,34,15,30,7,14,28,3,6,12,24,48,43,33,13,26,52,51,49,45,37,21,42,31,9,18,36,19,38,23,46,39,25,50,47,41,29,5,10,20,40,27}となる。
また、PILにおいては、上記マッピングパターンC(i)を、飛ばし読みパターン:pPIP(j)毎に飛ばし読みすることでビットの入れ替えを行い、j行のマッピングパターン:Cj(i)を生成する。まず、ここでは、{pPIP(j)}を得るために、{qj(j=1〜N−1)}を以下の式(2),(3),(4)の条件で決定する。
q0=1 …(2)
g.c.d{qj,P−1}=1 (ただし、g.c.dは最大公約数)
…(3)
qj>6,qj>qj-1 (ただし、j=1〜N−1) …(4)
したがって、{qj}は、{1,7,11,13,17,19,23,29,31,37}となり、{pPIP(j)}は、{37,31,29,23,19,17,13,11,7,1}(ただし、PIP=N−1〜0)となる。
図21は、この飛ばし読みパターン:pPIP(j)に基づいてマッピングパターンC(i)をそれぞれ飛ばし読みした結果、すなわち、飛ばし読みパターン単位に各行を並べ替えた結果、を示す図である。
そして、図22は、上記並び替え後のマッピングパターンに、インタリーバ長:Lturbo=512bitのデータをマッピングした場合のデータ配列を示す図である。ここでは、1行目にデータ{0〜52}を、2行目にデータ{53〜105}を、3行目にデータ{106〜158}を、4行目にデータ{159〜211}を、5行目にデータ{212〜264}を、6行目にデータ{265〜317}を、7行目にデータ{318〜370}を、8行目にデータ{371〜423}を、9行目にデータ{424〜476}を、10行目にデータ{477〜529}を、それぞれマッピングする。
最後に、図23は、最終的な並べ替えパターンを示す図である。ここでは、所定の規則にしたがって、図23のデータ配列における行間の入れ替えを行い、最終的な並べ替えパターンを生成する(ここでは、図23のデータ配列における各行の順番を逆にしている)。そして、PILでは、生成した並べ替えパターンを、列単位、すなわち、縦に読み出す。
このように、インタリーブとしてPILを用いることで、広範囲なインタリーブ長(たとえば、Lturbo=257〜8192bit)において、良好な重み分布となる符号語を生成するターボ符号を、提供することが可能となる。
図24は、上記PILを含む従来のターボ符号器およびターボ復号器を用いた場合のBER(ビットエラーレート)特性を示す図である。図示のとおり、SNRが高くなるにしたがってBER特性が向上する。たとえば、図24のようにBERを用いてターボ符号の性能を判断する場合、ターボ符号後の「最小ハミング重み:wmin」が、高SNRのBERに対して影響を与える。具体的にいうと、最小ハミング重みが小さいと、エラーフロア領域(BERの下落が緩やかになる領域)のBERが高くなることが一般的に知られている。
なお、最小ハミング重みとは、たとえば、図19に示す系列(x1,x2,x3)のとりうる各パターンの、‘1’の個数の最小値のことをいう。したがって、たとえば、
x1=…00100100000…
x2=…00010100000…
x3=…00010101000…
という符号語が、‘1’の個数の最小値を示すパターンの場合、このターボ符号器の最小ハミング重みは、wmin=7となる。ただし、x1、x2は、エンコーダの入力データ系列を表し、x3はエンコーダからの出力データ系列を表す。
このように、従来の通信装置においては、誤り訂正符号として、ターボ符号を適用することにより、変調方式の多値化に応じて信号点間距離が近くなるような場合においても、音声伝送やデータ伝送における伝送特性を大幅に向上させることが可能となり、既知の畳込み符号よりも優れた特性を得ていた。
また、従来の通信装置においては、すべての入力情報系列に対して(複数本の情報ビット系列がある場合にはそのすべての系列に対して)ターボ符号化を実施し、さらに、受信側にて、符号化されたすべての信号をターボ復号し、その後、軟判定を行っている。具体的にいうと、たとえば、16QAMであれば4ビットのすべてのデータ(0000〜1111:4ビットコンスタレーション)に対して、256QAMであれば8ビットのすべてのデータに対して、判定を行うことになる。
以下に、本発明にかかる通信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる通信装置で使用される符号器(ターボ符号器)、および復号器(ターボ復号器と硬判定器とR/S(リードソロモン符号)デコーダの組み合わせ)の構成を示す図であり、詳細には、図1(a)が本実施の形態における符号器の構成を示す図であり、図1(b)が本実施の形態における復号器の構成を示す図である。
本実施の形態における通信装置においては、上記符号器および復号器の両方の構成を備えることとし、高精度なデータ誤り訂正能力をもつことにより、データ通信および音声通信において優れた伝送特性を得ることとする。なお、本実施の形態においては、説明の便宜上、上記両方の構成を備えることとしたが、たとえば、2つのうちの符号器だけを備える送信機を想定することとしてもよいし、一方、復号器だけを備える受信機を想定することとしてもよい。
また、図1(a)の符号器において、1は誤り訂正符号としてターボ符号を採用することによりシャノン限界に近い性能を得ることが可能なターボ符号器であり、たとえば、ターボ符号器1では、2ビットの情報ビットの入力に対して、2ビットの情報ビットと2ビットの冗長ビットとを出力し、さらに、ここでは、受信側において各情報ビットに対する訂正能力が均一になるように、各冗長ビットを生成する。
一方、図1(b)の復号器において、11は受信信号:Lcy(後述の受信信号:y2,y1,yaに相当)から対数尤度比を算出する第1の復号器であり、12および16は加算器であり、13および14はインタリーバであり、15は受信信号:Lcy(後述の受信信号:y2,y1,ybに相当)から対数尤度比を算出する第2の復号器であり、17はデインタリーバであり、18は第1の復号器15の出力を判定して元の情報ビット系列の推定値を出力する第1の判定器であり、19はリードソロモン符号を復号してより精度の高い情報ビット系列を出力する第1のR/Sデコーダであり、20は第2の復号器15の出力を判定して元の情報ビット系列の推定値を出力する第2の判定器であり、21はリードソロモン符号を復号してより精度の高い情報ビット系列を出力する第2のR/Sデコーダであり、22はLcy(後述の受信信号:y3,y4…に相当)を硬判定して元の情報ビット系列の推定値を出力する第3の判定器である。
ここで、上記符号器および復号器の動作を説明する前に、本発明にかかる通信装置の基本動作を図面に基づいて簡単に説明する。たとえば、DMT(Discrete Multi Tone)変復調方式を用いて、データ通信を行う有線系ディジタル通信方式としては、既設の電話回線を使用して数メガビット/秒の高速ディジタル通信を行うADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)通信方式、およびHDSL(high-bit-rate Digital Subscriber Line)通信方式等のxDSL通信方式がある。なお、この方式は、ANSIのT1.413等において標準化されている。以降、本実施の形態の説明については、たとえば、上記ADSLに適応可能な通信装置を用いることとする。
図2は、本発明にかかる通信装置の送信系の構成を示す図である。図2において、送信系では、送信データをマルチプレックス/シンクコントロール(図示のMUX/SYNC CONTROLに相当)41にて多重化し、多重化された送信データに対してサイクリックリダンダンシィチェック(CRC:Cyclic redundancy checkに相当)42、43にて誤り検出用コードを付加し、さらに、フォワードエラーコレクション(SCRAM&FECに相当)44、45にてFEC用コードの付加およびスクランブル処理を行う。
なお、マルチプレックス/シンクコントロール41から、トーンオーダリング49に至るまでには2つの経路があり、一つはインタリーブ(INTERLEAVE)46が含まれるインタリーブドデータバッファ(Interleaved Data Buffer)経路であり、もう一方はインタリーブを含まないファーストデータバッファ(Fast Data Buffer)経路であり、ここでは、インタリーブ処理を行うインタリーブドデータバッファ経路の方の遅延が大きくなる。
その後、送信データは、レートコンバータ(RATE-CONVERTORに相当)47、48にてレートコンバート処理を行い、トーンオーダリング(TONE ORDERRINGに相当)49にてトーンオーダリング処理を行う。そして、トーンオーダリング処理後の送信データに基づいて、コンスタレーションエンコーダ/ゲインスケーリング(CONSTELLATION AND GAIN SCALLNGに相当)50にてコンスタレーションデータを作成し、逆高速フーリエ変換部(IFFT:Inverse Fast Fourier transformに相当)51にて逆高速フーリエ変換を行う。
最後に、インプットパラレル/シリアルバッファ(INPUT PARALLEL/SERIAL BUFFERに相当)52にてフーリエ変換後のパラレルデータをシリアルデータに変換し、アナログプロセッシング/ディジタル−アナログコンバータ(ANALOG PROCESSING AND DACに相当)53にてディジタル波形をアナログ波形に変換し、フィルタリング処理を実行後、送信データを電話回線上に送信する。
図3は、本発明にかかる通信装置の受信系の構成を示す図である。図3において、受信系では、受信データ(前述の送信データ)に対し、アナログプロセッシング/アナログ−ディジタルコンバータ(図示のANALOG PROCESSING AND ADCに相当)141にてフィルタリング処理を実行後、アナログ波形をディジタル波形に変換し、タイムドメインイコライザ(TEQに相当)142にて時間領域の適応等化処理を行う。
時間領域の適応等化処理が実行されたデータについては、インプットシリアル/パラレルバッファ(INPUT SERIAL/PARALLEL BUFFERに相当)143にてシリアルデータからパラレルデータに変換され、そのパラレルデータに対して高速フーリエ変換部(FFT:Fast Fourier transformに相当)144にて高速フーリエ変換を行い、その後、周波数ドメインイコライザ(FEQに相当)145にて周波数領域の適応等化処理を行う。
そして、周波数領域の適応等化処理が実行されたデータについては、コンスタレーションデコーダ/ゲインスケーリング(CONSTELLATION DECODER AND GAIN SCALLNGに相当)146およびトーンオーダリング(TONE ORDERRINGに相当)147にて行われる復号処理(最尤復号法)およびトーンオーダリング処理により、シリアルデータに変換される。その後、レートコンバータ(RATE-CONVERTORに相当)148,149によるレートコンバート処理、デインタリーブ(DEINTERLEAVEに相当)150によるデインタリーブ処理、フォワードエラーコレクション(DESCRAM&FECに相当)151,152によるFEC処理およびデスクランブル処理、およびサイクリックリダンダンシィチェック(cyclic redundancy checkに相当)153,154による巡回冗長検査等の処理が行われ、最終的にマルチプレックス/シンクコントロール(MUX/SYNC CONTROLに相当)155から受信データが再生される。
上記に示すような通信装置においては、受信系と送信系においてそれぞれ2つの経路を備え、この2つの経路を使い分けることにより、またはこの2つの経路を同時に動作させることにより、低伝送遅延および高レートのデータ通信を実現可能としている。
なお、上記のように構成される通信装置においては、図1(a)に示す符号器が、上記送信系におけるコンスタレーションエンコーダ/ゲインスケーリング50に位置付けられ、図1(b)に示す復号器が、上記受信系におけるコンスタレーションデコーダ/ゲインスケーリング146に位置付けられる。
以下、本実施の形態における符号器(送信系)および復号器(受信系)の動作を図面にしたがって詳細に説明する。まず、図1(a)に示す符号器の動作について説明する。なお、本実施の形態では、多値直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)として、たとえば、16QAM方式を採用する。また、本実施の形態の符号器においては、すべての入力データ(4ビット)に対してターボ符号化を実行する従来技術と異なり、図1(a)に示すように、下位2ビットの入力データに対してのみターボ符号化を実施し、他の上位ビットについては入力データをそのままの状態で出力する。
ここで、下位2ビットの入力データについてのみターボ符号化を実行する理由を説明する。図4は、各種ディジタル変調の信号点配置を示す図であり、詳細には、図4(a)が4相PSK(Phase Shift Keying)方式の信号点配置であり、(b)が16QAM方式の信号点配置であり、(c)が64QAM方式の信号点配置である。
たとえば、上記すべての変調方式の信号点配置において、受信信号点がaまたはbの位置である場合、通常、受信側では、軟判定により情報ビット系列(送信データ)として最も確からしいデータを推定する。すなわち、受信信号点との距離が最も近い信号点を送信データとして判定することになる。しかしながら、このとき、たとえば、図4の受信信号点aおよびbに着目すると、いずれの場合(図4(a)(b)(c)に相当)においても、受信信号点に最も近い4点の下位2ビットが、(0,0)(0,1)(1,0)(1,1)であることがわかる。そこで、本実施の形態においては、特性が劣化する可能性のある4つの信号点(すなわち、信号点間距離が最も近い4点)の下位2ビットに対して、優れた誤り訂正能力をもつターボ符号化を実施し、受信側で軟判定を行う。一方、特性が劣化する可能性の低いその他の上位ビットについては、そのままの状態で出力し、受信側で硬判定を行う構成とした。
これにより、本実施の形態においては、多値化に伴って劣化する可能性のある特性を向上させることができ、さらに、送信信号の下位2ビットに対してのみターボ符号化を実施するため、すべてのビットをターボ符号化の対象とする従来技術と比較して、演算量を大幅に削減することができる。
続いて、入力された下位2ビットの送信データ:u1,u2に対してターボ符号化を実施する、図1(a)に示すターボ符号器1の動作について説明する。たとえば、図5は、ターボ符号器1の構成を示す図であり、詳細には、図5(a)がターボ符号器1のブロック構成を示す図であり、図5(b)が再帰的組織畳込み符号器の回路構成の一例を示す図である。なお、ここでは、再帰的組織畳込み符号器として図5(b)の構成を用いることとしたが、これに限らず、たとえば、従来と同一の再帰的組織畳込み符号器や、その他の既知の再帰的組織畳込み符号器を用いることとしてもよい。
図5(a)において、31は情報ビット系列に相当する送信データ:u1,u2を畳込み符号化して冗長データ:uaを出力する第1の再帰的組織畳込み符号化器であり、32および33はインタリーバであり、34はインタリーブ処理後のデータ:u1t,u2tを畳込み符号化して冗長データ:ubを出力する第2の再帰的組織畳込み符号化器である。ターボ符号器1では、同時に、送信データ:u1,u2と、第1の再帰的組織畳込み符号化器31の処理により前記送信データを符号化した冗長データ:uaと、第2の再帰的組織畳込み符号化器34の処理によりインタリーブ処理後のデータを符号化した(他のデータとは時刻の異なる)冗長データ:ubと、を出力する。
また、図5(b)に示す再帰的組織畳込み符号化器において、61,62,63,64は遅延器であり、65,66,67,68,69は加算器である。この再帰的組織畳込み符号化器においては、1段目の加算器65が、入力される送信データ:u2(またはデータ:u1t)とフィードバックされた冗長データ:ua(または冗長データ:ub)とを加算出力し、2段目の加算器66が、入力される送信データ:u1(またはデータ:u2t)と遅延器61の出力とを加算出力し、3段目の加算器67が、入力される送信データ:u1(またはデータ:u2t)と送信データ:u2(またはデータ:u1t)と遅延器62の出力とを加算出力し、4段目の加算器68が、入力される送信データ:u1(またはデータ:u2t)と送信データ:u2(またはデータ:u1t)と遅延器63の出力とフィードバックされた冗長データ:ua(または冗長データ:ub)とを加算出力し、最終段の加算器69が、入力される送信データ:u2(またはデータ:u1t)と遅延器64の出力とを加算し、最終的に冗長データ:ua(冗長データ:ub)を出力する。
そして、ターボ符号器1においては、冗長データ:ua,ubを用いた受信側での送信データ:u1とu2の推定精度が均一になるように、各冗長ビットにおける重みに偏りが発生しないようにしている。すなわち、送信データ:u1とu2の推定精度を均一化するために、たとえば、送信データ:u2を、第1の再帰的組織畳込み符号化器31における加算器65,67,68,69(図5(b)参照)に入力し、インタリーブ実施後のデータ:u2tを、第2の再帰的組織畳込み符号化器34における加算器66〜68に入力し、一方、送信データ:u1を、第1の再帰的組織畳込み符号化器31における加算器66〜68に入力し、インタリーブ実施後のデータ:u1tを、第2の再帰的組織畳込み符号化器34における加算器65,67,68,69に入力することで、送信データ:u1の系列と送信データ:u2の系列との間で、出力までに通る遅延器の数を同一にしている。
このように、図1(a)に示す符号器を用いた場合には、インタリーブの効果として、バースト的なデータの誤りに対して誤り訂正能力を向上させることが可能となり、さらに、送信データ:u1の系列の入力と送信データ:u2の系列の入力とを、第1の再帰的組織畳込み符号化器31と第2の再帰的組織畳込み符号化器34との間で入れ替えることにより、受信側による送信データ:u1とu2の推定精度の均一化が可能となる。
なお、図6は、図5(b)の再帰的組織畳込み符号化器と同一の符号を構成する再帰的組織畳込み符号化器の一例を示す図である。したがって、図5(b)に示す再帰的組織畳込み符号化器を、図6の回路構成に置き換えた場合においても、上記と同様の効果が得られる。
図6に示す再帰的組織畳込み符号化器において、71,72,73,74は遅延器であり、75,76,77,78は加算器である。この再帰的組織畳込み符号化器は、1段目の加算器75が、入力される送信データ:u1(またはデータ:u2t)と遅延器71の出力とを加算出力し、2段目の加算器76が、入力される送信データ:u1(またはデータ:u2t)と送信データ:u2(またはデータ:u1t)と遅延器72の出力とを加算出力し、3段目の加算器77が、入力される送信データ:u1(またはデータ:u2t)と遅延器73の出力とフィードバックされた遅延器74の出力とを加算出力し、最終段の加算器78が、入力される送信データ:u2(またはデータ:u1t)と遅延器74の出力とを加算し、最終的に冗長データ:ua(冗長データ:ub)を出力する。
つぎに、図1(b)に示す復号器の動作について説明する。なお、本実施の形態では、多値直交振幅変調(QAM)として、たとえば、16QAM方式を採用する場合について説明する。また、本実施の形態の復号器においては、受信データの下位2ビットに対してターボ復号を実施し、軟判定により元の送信データを推定し、他の上位ビットについては、受信データを第3の判定器22で硬判定することにより、元の送信データを推定する。ただし、受信信号Lcy:y4,y3,y2,y1,ya,ybは、それぞれ前記送信側の出力:u4,u3,u2,u1,ua,ubに伝送路のノイズやフェージングの影響を与えた信号である。
まず、受信信号Lcy:y2,y1,ya,ybを受け取ったターボ復号器では、第1の復号器11が、受信信号Lcy:y2,y1,yaを抽出し、これらの受信信号から推定される情報ビット(元の送信データ:u1k,u2kに相当):u1k´,u2k´の対数尤度比:L(u1k´),L(u2k´)を算出する(kは時刻を表す)。すなわち、ここでは、u2kが0である確率に対するu2kが1である確率と、u1kが0である確率に対するu1kが1である確率と、を求めることとなる。なお、以降の説明では、u1k,u2kのことを単にukと呼び、u1k´,u2k´のことを単にuk´と呼ぶ。
ただし、図1(b)において、Le(uk)は外部情報を表し、La(uk)は1つ前の外部情報である事前情報を表す。なお、対数尤度比を算出する復号器としては、たとえば、既知の最大事後確率復号器(MAPアルゴリズム:Maximum A-Posteriori)が用いられることが多いが、たとえば、既知のビタビ復号器を用いることとしてもよい。
つぎに、加算器12では、前記算出結果である対数尤度比から、第2の復号器15に対する外部情報:Le(uk)を算出する。ただし、1回目の復号においては、事前情報が求められていないため、La(uk)=0である。
つぎに、インタリーバ13および14では、受信信号Lcyと外部情報:Le(uk)に対して信号の並べ替えを行う。そして、第2の復号器15では、第1の復号器11と同様に、受信信号Lcy、および先に算出しておいた事前情報:La(uk)に基づいて、対数尤度比:L(uk´)を算出する。
その後、加算器16では、加算器12と同様に、外部情報:Le(uk)を算出する。このとき、デインタリーブ17にて並べ替えられた外部情報は、事前情報:La(uk)として、前記第1の復号器11にフィードバックされる。
そして、上記ターボ復号器では、上記処理を、所定の回数(イテレーション回数)にわたって繰り返し実行することにより、より精度の高い対数尤度比を算出し、そして、第1の判定器18および第2の判定器20が、この対数尤度比に基づいて信号の判定を行い、もとの送信データを推定する。具体的にいうと、たとえば、対数尤度比が“L(uk´)>0”であれば、推定情報ビット:uk´を1と判定し、“L(uk´)≦0”であれば、推定情報ビット:uk´を0と判定する。なお、同時に受信する受信信号Lcy:y3,y4…については、第3の判定器22を用いて硬判定される。
最後に、第1のR/Sデコーダ19および第2のR/Sデコーダ21では、所定の方法でリードソロモン符号を用いたエラーのチェックを行い、推定精度がある特定の基準を超えたと判断された段階で上記繰り返し処理を終了させる。そして、リードソロモン符号を用いて、各判定器にて前記推定されたもとの送信データの誤り訂正を行い、より推定精度の高い送信データを出力する。
ここで、第1のR/Sデコーダ19および第2のR/Sデコーダ21によるもとの送信データの推定方法を具体例にしたがって説明する。ここでは、具体例として、3つの方法をあげる。第1の方法としては、たとえば、第1の判定器18または第2の判定器20にてもとの送信データが推定される毎に、対応する第1のR/Sデコーダ19、または第2のR/Sデコーダ21が、交互にエラーのチェックを行い、いずれか一方のR/Sデコーダが「エラーがない」と判断した段階でターボ符号器による上記繰り返し処理を終了させ、そして、リードソロモン符号を用いて前記推定されたもとの送信データの誤り訂正を行い、より推定精度の高い送信データを出力する。
また、第2の方法としては、第1の判定器18または第2の判定器20にてもとの送信データが推定される毎に、対応する第1のR/Sデコーダ19、または第2のR/Sデコーダ21が、交互にエラーのチェックを行い、両方のR/Sデコーダが「エラーがない」と判断した段階でターボ符号器による上記繰り返し処理を終了させ、そして、リードソロモン符号を用いて前記推定されたもとの送信データの誤り訂正を行い、より推定精度の高い送信データを出力する。
また、第3の方法としては、上記第1および第2の方法にて誤って「エラーがない」と判断され、繰り返し処理が実施されなかった場合に誤訂正をしてしまうという問題を改善し、たとえば、予め決めておいた所定回数分の繰り返し処理を実施し、ある程度、ビット誤り率を低減しておいてから、リードソロモン符号を用いて前記推定されたもとの送信データの誤り訂正を行い、より推定精度の高い送信データを出力する。
このように、図1(b)に示す復号器を用いた場合には、変調方式の多値化に伴ってコンスタレーションが増大する場合においても、特性劣化の可能性がある受信信号の下位2ビットに対する軟判定処理とリードソロモン符号による誤り訂正とを実施するターボ復号器と、受信信号におけるその他のビットに対して硬判定を行う判定器と、を備えることで、計算量の多い軟判定処理の削減と、良好な伝送特性と、を実現することが可能となる。
また、第1のR/Sデコーダ19および第2のR/Sデコーダ21を用いて送信データを推定することにより、イテレーション回数を低減することができ、計算量の多い軟判定処理およびその処理時間をさらに削減することが可能となる。なお、ランダム誤りとバースト誤りが混在するような伝送路においては、シンボル単位での誤り訂正を行うR−S符号(リードソロモン)や他の既知の誤り訂正符号等との併用により優れた伝送特性が得られることが一般的に知られている。
ここで、本発明のターボ符号器を用いて送信データを復号した場合のBER(ビットエラーレート)特性と、従来のターボ符号器を用いて送信データを復号した場合のBER特性と、を比較する。図7は、両者のBER特性を示す図である。たとえば、BERを用いてターボ符号の性能を判断する場合、ターボ符号後の「最小ハミング重み:wmin」が、高SNRのBERに対して影響を与える。すなわち、最小ハミング重みが小さいと、エラーフロア領域(BERの下落が緩やかになる領域)のBERが高くなることが一般的に知られている。このように、高Eb/No領域、すなわち、エラーフロア領域では、最小ハミング重み:wminが最もBER特性に影響を与えることがわかる。そこで、ここでは、各符号器の性能比較の指標として、ターボ符号語の最小ハミング重みを採用した。
また、図8は、ある特定のインタリーバを採用した場合における、本発明のターボ符号器の最小ハミング重みと従来のターボ符号器における最小ハミング重みとを示す図である。この最小ハミング重みは、入力される情報ビット系列のハミング重みが‘2’および‘3’であるものを全パターンにわたってターボ符号化し、その後、その符号化された系列のハミング重みを求め、その中の最小値を示したものである。
図7および図8における比較検討結果から、最小ハミング重みが大きく、エラーフロア領域のBER特性が低い、図1に示すターボ符号器の性能の方が、従来技術より明らかに優れているといえる。
このように、ターボ符号器1で使用する再帰的組織畳込み符号化器(エンコーダ)に、たとえば、図5(b)および図6に示すような、送信データのいずれか一方の系列を最終段の加算器に入力する形を採用することで、送信データの影響を冗長データに対してより強く反映させることができるようになる。すなわち、受信側における復調特性を、従来技術と比較して大幅に向上させることができる。
以上、ここまでの説明では、従来のターボ符号器と図1に示すターボ符号器との両方で、同一のインタリーバを用いることを前提とし、再帰的組織畳込み符号化器の違いにより、受信側における復調特性を向上させた。以降の説明では、本実施の形態にかかるインタリーバを用いることで、さらに、受信側における復調特性を大幅に向上させ、シャノン限界に近い最適な伝送特性、すなわち、最適なBER特性を得る。
図9,図10,および図11は、図5(a)に示すターボ符号器で用いられるインタリーバ32,33の実施の形態1の処理を示す図である。ここで、本実施の形態のインタリーバ32,33を用いて、情報ビット系列をランダムに入れ替える処理について説明する。
たとえば、W−CDMAにおいては、インタリーバとして、一般的に、PILが用いられているが、ここでは、このPILに代わって、本発明にインタリーバであるパラレル・プライム・インタリーバ(以降、PPIと呼ぶ)を用いることとする。このPPIは、以下の3つの特徴をもつ。
(1)N(縦軸:自然数)×M(横軸:自然数)バッファにおける行と列の入れ替えを行う。
(2)マッピングパターンを、行単位に、(g0×c(i−1))modPずつシフトする。
(3)行の入れ替えによりクリティカルパターンを回避する。
ここで、本実施の形態のインタリーバであるPPIの動作について説明する。なお、本実施の形態においては、性能を性格に評価するために、従来技術にて説明したインタリーバと同一の条件で並べ替えを行う。具体的にいうと、たとえば、インタリーバ長:Lturbo=512bit,N=10,M=P=53(Lturbo/N≦P+1),原始根:g0=2とし、マッピングパターン:cを、前述した式(1)を用いて作成する。
その結果、マッピングパターンCは、従来同様、{1,2,4,8,16,32,11,22,44,35,17,34,15,30,7,14,28,3,6,12,24,48,43,33,13,26,52,51,49,45,37,21,42,31,9,18,36,19,38,23,46,39,25,50,47,41,29,5,10,20,40,27}となる。
また、PPIにおいては、上記マッピングパターンCを、行単位に、(g0×c(i−1))modPずつ、すなわち、行単位に、1,2,4,8,16,32,11,22,44ずつ、シフトすることでビットの入れ替えを行い、j行のマッピングパターン:Cjを生成する。図9は、上記の方法で並べ替えられたマッピングパターンCjを示す図である。なお、j=0〜N−1とする。
そして、図10は、上記並び替え後のマッピングパターンに、インタリーバ長:Lturbo=512bitのデータをマッピングした場合のデータ配列を示す図である。ここでは、1行目にデータ{0〜52}を、2行目にデータ{53〜105}を、3行目にデータ{106〜158}を、4行目にデータ{159〜211}を、5行目にデータ{212〜264}を、6行目にデータ{265〜317}を、7行目にデータ{318〜370}を、8行目にデータ{371〜423}を、9行目にデータ{424〜476}を、10行目にデータ{477〜529}を、それぞれマッピングする。
最後に、図11は、最終的な並べ替えパターンを示す図である。ここでは、所定の規則にしたがって、図10のデータ配列における行間の入れ替えを行い、最終的な並べ替えパターンを生成する。なお、本実施の形態では、図10のデータ配列における各行の順番を逆にしている。そして、PPIでは、生成した並べ替えパターンを、列単位、すなわち、縦に読み出す。
図12は、本実施の形態のPPIと従来のPILを定量的に比較した図である。なお、ここでいう信号点間最小距離(1,x)とは、N×Mのバッファにおける隣同士の行における信号点間の最小距離のことをいい、信号点間最小距離(2,x)とは、N×Mのバッファにおいて最終的に左の列から順に縦に読み出してシリアルにつなげたインタリーブデータの中の配列中2つ先のデータ、または2つ後のデータとの信号点間の最小距離のことをいい、以降、9つ先のデータまたは9つ後のデータとの信号点間の最小距離まで順に記載されている。また、Variance(またはNormalized dispersionと表現される)は、ランダム性をあらわす指標として用いられ、1が最大(100%ランダム)となる。
このように、本実施の形態においては、インタリーバとして本発明のPPIを用いることで、従来と同等の信号点間距離を維持しつつ、ランダム性を向上させることができるため、誤り訂正能力を向上させることが可能となる。これにより、受信側における復調特性を大幅に向上させることができるため、シャノン限界に近い最適な伝送特性、すなわち、最適なBER特性を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、性能比較のために、従来技術と同様の条件で並べ替えを行ったが、インタリーブ長等の各パラメータは任意であり、適宜変更可能である。
実施の形態2.
図13,図14,および図15は、図5(a)に示すターボ符号器で用いられるインタリーバ32,33の実施の形態2の処理を示す図である。ここで、本実施の形態のインタリーバ32,33を用いて、情報ビット系列をランダムに入れ替える処理について説明する。なお、インタリーバ以外の構成については、前述の実施の形態1と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態のPPIは、以下の3つの特徴をもつ。
(1)N(縦軸:自然数)×M(横軸:自然数)バッファにおける行と列の入れ替えを行う。
(2)マッピングパターンを、行単位に、1列ずつ順に(左)シフトする。
(3)行の入れ替えによりクリティカルパターンを回避する。
ここで、本実施の形態のインタリーバであるPPIの動作について説明する。なお、本実施の形態においては、性能を性格に評価するために、従来技術にて説明したインタリーバと同一の条件で並べ替えを行う。具体的にいうと、たとえば、インタリーバ長:Lturbo=512bit,N=10,M=P=53(Lturbo/N≦P+1),原始根:g0=2とし、マッピングパターン:cを、前述した式(1)を用いて作成する。
その結果、マッピングパターンCは、従来および実施の形態1同様、{1,2,4,8,16,32,11,22,44,35,17,34,15,30,7,14,28,3,6,12,24,48,43,33,13,26,52,51,49,45,37,21,42,31,9,18,36,19,38,23,46,39,25,50,47,41,29,5,10,20,40,27}となる。
また、PPIにおいては、上記マッピングパターンCを、行単位に、行単位に、1列ずつシフトすることでビットの入れ替えを行い、j行のマッピングパターン:Cjを生成する。図13は、上記の方法で並べ替えられたマッピングパターンCjを示す図である。なお、j=0〜N−1とする。
そして、図14は、上記並び替え後のマッピングパターンに、インタリーバ長:Lturbo=512bitのデータをマッピングした場合のデータ配列を示す図である。ここでは、1行目にデータ{0〜52}を、2行目にデータ{53〜105}を、3行目にデータ{106〜158}を、4行目にデータ{159〜211}を、5行目にデータ{212〜264}を、6行目にデータ{265〜317}を、7行目にデータ{318〜370}を、8行目にデータ{371〜423}を、9行目にデータ{424〜476}を、10行目にデータ{477〜529}を、それぞれマッピングする。
最後に、図15は、最終的な並べ替えパターンを示す図である。ここでは、所定の規則にしたがって、図14のデータ配列における行間の入れ替えを行い、最終的な並べ替えパターンを生成する。なお、本実施の形態では、図14のデータ配列における各行の順番を逆にしている。そして、PPIでは、生成した並べ替えパターンを、列単位、すなわち、縦に読み出す。
図16は、本実施の形態のPPIと従来のPILを定量的に比較した図である。なお、ここでいう信号点間最小距離(1,x)とは、N×Mのバッファにおける隣同士の行における信号点間の最小距離のことをいい、信号点間最小距離(2,x)とは、N×Mのバッファにおいて最終的に左の列から順に縦に読み出してシリアルにつなげたインタリーブデータの中の配列中2つ先のデータ、または2つ後のデータとの信号点間の最小距離のことをいい、以降、9つ先のデータまたは9つ後のデータとの信号点間の最小距離まで順に記載されている。また、Variance(またはNormalized dispersionと表現される)は、ランダム性をあらわす指標として用いられ、1が最大(100%ランダム)となる。
このように、本実施の形態においては、インタリーブとして本発明のPPIを用いることで、従来と比較して信号点間距離を大幅に改善することができるため、畳込み符号器との組合わせにより誤り訂正能力をさらに向上させることが可能となる。これにより、受信側における復調特性をさらに大幅に向上させることができるため、シャノン限界に近い最適な伝送特性、すなわち、最適なBER特性を得ることができる。
実施の形態3.
図5(a)に示すようなターボ符号器を用いる場合、インタリーバ32とインタリーバ33が同一であれば、信号点間距離が0となる。したがって、たとえば、一方の出力がノイズ等の影響を受けた場合には、もう一方の出力も同様に影響を受けることになる。そこで、本実施の形態は、図5(a)に示すような2系統の情報ビット系列をもつターボ符号器に最適なインタリーバ、すなわち、情報ビット系列間の信号点間距離を十分に取ることができるインタリーバ、を提供する。
以下、本実施の形態のインタリーバの動作を、実施の形態1のインタリーバを用いて説明する。たとえば、本実施の形態においては、2系統の情報ビット系列の信号点間距離が0とならないように、並べ替えを行う。具体的にいうと、たとえば、情報ビット系列:U1を、インタリーバ32内のN×Mバッファの1行目,2行目,3行目,…,10行目の順に並べ、同時に、情報ビット系列:U2をインタリーバ33内のN×Mバッファの5行目,6行目,7行目,…,4行目の順に並べる。そして、実施の形態1のとおり並べ替え処理終了後、両方のインタリーバ内のN×Mバッファに配置されたそれぞれのデータ系列を、1行目の1列目から順に縦に読み出す。
図17は、上記のように、情報ビット系列:U1と情報ビット系列:U2との距離を5行とした場合の、U1とU2の信号点間距離を示す図である。また、本実施の形態においては、U1とU2との距離を5行とした場合だけでなく、さらに、上記と同様の方法で、U1とU2との距離が1行〜9行とした場合におけるすべての信号間距離を求める。そして、本実施の形態では、この中から、最適な伝送特性が得られるU1とU2との距離をもつ2つのインタリーバを用いて、並べ替えを行う。
図18は、実施の形態1と同様の条件で並べ替えを行う場合における、2つのインタリーバの最適値を示す図である。ここでは、情報ビット系列:U1と情報ビット系列:U2との距離が9行の場合に、最適な伝送特性が得られる。
このように、本実施の形態においては、情報ビット系列:U1と情報ビット系列:U2とのすべての距離をもとめ、さらに、その距離毎のすべての信号間距離を求めることにより、最適な伝送路特性が得られるインタリーバを選択する。これにより、図5(a)に示すような2系統の情報ビット系列をもつターボ符号器に最適なインタリーバ、すなわち、情報ビット系列間の信号点間距離を十分に取ることができるインタリーバ、を実現することができる。
なお、本実施の形態においては、説明の便宜上、実施の形態1を用いたが、これ限らず、実施の形態2のインタリーバに適用することとしてもよいし、また、他の2系統の情報ビット系列を持つターボ符号器に適用することとしてもよい。
また、本実施の形態においては、2系統の情報ビット系列をインタリーバ32内のN×Mバッファの異なる行に配置することとしたが、これに限らず、たとえば、2系統の情報ビット系列をインタリーバ32内のN×Mバッファの同一位置に配置し、並べ替え後の読み出し開始位置をずらすこととしてもよい。