JP4814135B2 - 硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents
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このようなアルカリ現像型の硬化性組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸の反応物に多塩基酸無水物を付加させて得られる硬化性樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー及び従来市販の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂からなる組成物(特許文献1参照)、多官能エポキシ化合物と、ヒドロキシル基含有置換基を有するフェノール化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸との反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性プレポリマー、光重合開始剤、感光性(メタ)アクリレート化合物、従来市販の多官能エポキシ樹脂及び硬化触媒を含むことを特徴とする組成物(特許文献2参照)、1分子中に2個のグリシジル基を有する芳香族エポキシ樹脂と1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する芳香族アルコール樹脂とを反応させて得られるアルコール性の二級の水酸基にエピハロヒドリンを反応させ、得られた反応物に不飽和基含有モノカルボン酸、次いで酸無水物を付加して得られる硬化性樹脂、光重合開始剤、従来市販の多官能エポキシ樹脂あるいはさらに感光性(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする組成物(特許文献3及び4参照)、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、光重合開始剤、従来市販の多官能エポキシ樹脂、あるいはさらに感光性(メタ)アクリレート化合物を含有する硬化性組成物(例えば、特許文献5参照)等が挙げられる。
また、本発明の他の態様によれば、(A)前記多官能エポキシ樹脂にアルデヒドを部分的に付加反応させて得られる、1,3−ジオキソラン環を有するエポキシ樹脂、(B’)カルボキシル基含有感光性化合物及び(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする硬化性組成物が提供される。
好適な態様によれば、前記エポキシ樹脂(A)において、多官能エポキシ樹脂に対するアルデヒドの反応割合は、エポキシ基1当量に対して、カルボニル基が0.03〜0.9当量である。
従って、本発明の他の側面によれば、支持体と、該支持体上に形成された上記硬化性組成物からなる層とを備えることを特徴とするフィルムが提供される。本発明の好適な態様によれば、上記フィルムの硬化性組成物層上に、さらに剥離可能なカバーフィルムを備えたフィルムが提供される。
本発明のさらに他の側面によれば、上記硬化性組成物を用いて得られる硬化物が提供される。
また、本発明の硬化性組成物は、上記(B)成分又は(B’)成分がカルボキシル基を有するため、その塗膜はアルカリ水溶液により現像可能である。さらに、保存安定性に優れ、一液型に組成することができること、及び室温保存性に優れた感光性ドライフィルムを作成できることから、作業性の点でも有利である。
まず、本発明で用いる1,3−ジオキソラン環を有するエポキシ樹脂(A)は、多官能エポキシ樹脂とアルデヒドとを、酸を触媒として部分的に付加反応させることにより、容易に得ることができる。多官能エポキシ樹脂に対するアルデヒドの反応割合は、エポキシ基1当量に対して、カルボニル基が0.03〜0.9当量であるが、好ましくは0.05〜0.8当量、より好ましくは0.1〜0.7当量、特に好ましくは0.2〜0.5当量である。
(2)不飽和カルボン酸(a)と不飽和二重結合を有する化合物(b)の共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(3)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物(c)と不飽和二重結合を有する化合物(b)の共重合体に、不飽和カルボン酸(a)を反応させ、生成した二級の水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(4)不飽和二重結合を有する酸無水物(e)と不飽和二重結合を有する化合物(b)の共重合体に、水酸基と不飽和二重結合を有する化合物(f)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(5)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(g)のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸(h)のカルボキシル基をエステル化反応(全エステル化又は部分エステル化、好ましくは全エステル化)させ、生成した水酸基にさらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(6)不飽和二重結合を有する化合物(b)とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸(i)を反応させ、生成した二級の水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有化合物、
(7)水酸基含有ポリマー(j)に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有化合物、
(8)水酸基含有ポリマー(j)に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有化合物に、エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物(c)をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(9)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(g)と、不飽和モノカルボン酸(h)と、1分子中に少なくとも2個の水酸基と、エポキシ基と反応する水酸基以外の1個の他の反応性基を有する化合物(k)との反応生成物(I)に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(10)上記反応生成物(I)と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)と、不飽和基含有モノイソシアネート(m)との反応生成物からなる不飽和基含有ポリカルボン酸ウレタン化合物、
(11)1分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物(n)に不飽和モノカルボン酸(h)を反応させ、得られた変性オキセタン化合物中の一級水酸基に対して飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(12)ビスエポキシ化合物(p)とジカルボン酸(q)との反応生成物に、不飽和二重結合を導入し、引き続き飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、
(13)ビスエポキシ化合物(p)とビスフェノール類(r)との反応生成物に、不飽和二重結合を導入し、引き続き飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物、及び
(14)ノボラック型フェノール樹脂(s)とアルキレンオキシド(t)及び/又は環状カーボネート(u)との反応生成物に不飽和モノカルボン酸(h)を反応させ、得られた反応生成物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物。
一方、前記(8)のカルボキシル基含有感光性化合物は、前記カルボキシル基含有化合物(7)のカルボキシル基に、前記エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物(c)のエポキシ基を反応させ、該化合物(c)の不飽和二重結合を側鎖に導入した化合物である。
前記1分子中に少なくとも2個以上の水酸基と、エポキシ基と反応する水酸基以外の1個の他の反応性基(例えば、カルボキシル基、二級アミノ基等)を有する化合物(k)の具体例としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸等のポリヒドロキシ含有モノカルボン酸;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミン類等が挙げられる。
前記不飽和基含有モノイソシアネート(m)の具体例としては、例えばメタクリロイルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートや、有機ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と前記1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類を約等モル比で反応させることにより得られる反応生成物等が挙げられる。
また、前記したようなカルボキシル基含有化合物(B)及びカルボキシル基含有感光性化合物(B’)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。有機溶剤の配合量は、用途等に応じた任意の量とすることができる。
前記したような環状エーテルを有する化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが適当である。その他、レーザー光線なども活性エネルギー線として利用できる。
撹拌装置、温度計、及び連続滴下用の滴下ロートを備えた反応容器に、ノボラック型エポキシ樹脂(東都化成(株)製のエポトートYDCN−704、エポキシ当量200g/eq.)200部とプロピオンアルデヒド100部を仕込み、20〜25℃で撹拌し、エポキシ樹脂をプロピオンアルデヒドに溶解させた。次に、85%リン酸2部とプロピオンアルデヒド40部の混合溶液を徐々に滴下し、20〜25℃で20時間反応させた。その後、液温を35〜40℃まで上昇させ、4時間反応させ、不揮発分71%、固形分のエポキシ当量247g/eq.の反応物溶液を得た。出発原料のエポキシ樹脂に対するプロピオンアルデヒドの反応割合は、エポキシ基1当量に対して、カルボニル基が約0.15当量であった。
撹拌装置、温度計、及び連続滴下用の滴下ロートを備えた反応容器に、ノボラック型エポキシ樹脂(東都化成(株)製のエポトートYDCN−704、エポキシ当量200g/eq.)200部とプロピオンアルデヒド10部及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル90部を仕込み、20〜25℃で撹拌し、エポキシ樹脂を溶解させた。次に、85%リン酸2部とプロピオンアルデヒド40部の混合溶液を徐々に滴下し、20〜25℃で20時間反応させた。その後、液温を35〜40℃まで上昇させ、4時間反応させ、不揮発分62%、固形分のエポキシ当量240g/eq.の反応物溶液を得た。出発原料のエポキシ樹脂に対するプロピオンアルデヒドの反応割合は、エポキシ基1当量に対して、カルボニル基が約0.13当量であった。
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置及び撹拌装置を備えたオートクレーブに、昭和高分子(株)製ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショーノールCRG951」、フェノール性水酸基当量:119.4g/eq.)119.4部、水酸化カリウム1.19部、トルエン119.4部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合し、水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、アルコール性水酸基当量が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均約1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部、トルエン252.9部を、撹拌機、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水はトルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部、トリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性化合物は、不揮発分70.6%、固形分酸価87.7mgKOH/gであった。
ガス導入管、撹拌装置、冷却管、温度計、及びアルカリ金属水酸化物水溶液の連続滴下用の滴下ロートを備えた反応容器に、フェノール性水酸基当量80g/eq.の1,5−ジヒドロキシナフタレン224部とビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、JER828、エポキシ当量189g/eq.)1075部を仕込み、窒素雰囲気下にて、撹拌下110℃で溶解させた。その後、トリフェニルホスフィン0.65部を添加し、反応容器内の温度を150℃まで昇温し、温度を150℃で保持しながら、約90分間反応させ、エポキシ当量452g/当量のエポキシ化合物(a)を得た。次にフラスコ内の温度を40℃まで冷却し、エピクロルヒドリン1920部、トルエン1690部、テトラメチルアンモニウムブロマイド70部を加え、撹拌下45℃まで昇温し保持した。その後、48wt%水酸化ナトリウム水溶液364部を60分間かけて連続滴下し、その後、さらに6時間反応させた。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリン及びトルエンの大半を減圧蒸留して回収し、副生塩とトルエンを含む反応生成物をメチルイソブチルケトンに溶解させ水洗した。有機溶媒層と水層を分離後、有機溶媒層よりメチルイソブチルケトンを減圧蒸留して留去し、エポキシ当量277g/eq.の多核エポキシ樹脂(b)を得た。得られた多核エポキシ樹脂(b)は、エポキシ当量から計算すると、エポキシ化合物(a)におけるアルコール性水酸基1.98個のうち約1.59個がエポキシ化されている。従って、アルコール性水酸基のエポキシ化率は約80%である。
次に、多核エポキシ樹脂(b)277部を撹拌装置、冷却管及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート290部を加え、加熱溶解し、メチルハイドロキノン0.46部と、トリフェニルホスフィン1.38部を加え、95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物129部を加え、8時間反応させた。反応は、電位差滴定による反応液の酸化、全酸化測定を行ない、得られる付加率にて追跡し、反応率95%以上を終点とする。このようにして得られたカルボキシル基含感光性樹脂は、不揮発分62%、固形分の酸価100mgKOH/gであった。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量:220)220部を撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート220部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.46部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.38部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性化合物は、不揮発分64%、固形分の酸価97mgKOH/gであった。
前記合成例1、2で得られたエポキシ樹脂の反応物溶液及び合成例3〜5で得られたカルボキシル基含有感光性化合物溶液を用い、表1に示す配合組成(数値は質量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルでそれぞれ別々に混練し、各硬化性組成物を調製し、保存安定性について評価した。次に、これをスクリーン印刷法により、100メッシュのポリエステルスクリーンを用いて20〜30μmの厚さになるように、パターン形成されている表面処理された銅スルホールプリント配線基板に全面塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器を用いて30分間乾燥し、次いで、レジストパターンを有するネガフィルムを塗膜に密着させ、紫外線露光装置((株)オーク製作所製、型式HMW−680GW)を用いて、紫外線を照射(露光量600mJ/cm2)した後、1wt%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、試験基板を作製した。
得られた硬化皮膜を有する各試験基板について、後述の試験方法及び評価方法にて、耐クラック性、PCT耐性、密着性、はんだ耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、無電解金めっき耐性の各試験を行なった。
また、銅スルホールプリント配線基板の代わりにIPCで定められたプリント回路基板(厚さ1.6mm)のBパターンを用い、上記と同じ条件で試験基板を作製し、電気絶縁抵抗の試験を行なった。
硬化皮膜の耐クラック性を楠本化成社製のThermal Shock Chamber NT 1020Wを用い、−65〜150℃を1サイクルとし、以下の基準で評価した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
○:クラックが300サイクル以上で発生したもの
△:クラックが200〜299サイクルで発生したもの
×:クラックが199サイクル以下で発生したもの
試験結果を表3に示す。
硬化皮膜のPCT耐性を、121℃、飽和水蒸気中50時間の条件にて以下の基準で評価した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
○:硬化皮膜にふくれ、剥がれ、変色がないもの
△:硬化皮膜に若干のふくれ、剥がれ、変色があるもの
×:硬化皮膜にふくれ、剥がれ、変色があるもの
試験結果を表4に示す。
JIS D 0202の試験方法に従って硬化皮膜に碁盤目状にクロスカットを入れ、次いでセロハン粘着テープによるピーリングテスト後の剥れの状能を目視判定した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
○:100/100で全く剥れのないもの
△:50/100〜90/100
×:0/100〜50/100
試験結果を表5に示す。
JIS C 6481の試験方法に従って、260℃のはんだ浴への試験基板の10秒浸漬を3回行ない、外観の変化を評価した。なお、ポストフラックス(ロジン系)としては、JIS C 6481に従ったフラックスを使用した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
○:外観変化なし
△:硬化皮膜の変色が認められるもの
×:硬化皮膜の浮き、剥れ、はんだ潜りあり
試験結果を表6に示す。
試験基板を10vol%硫酸水溶液に20℃で30分間浸漬後取り出し、硬化皮膜の状態を以下の基準で評価した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
○:変化が認められないもの
△:ほんの僅か変化しているもの
×:硬化皮膜にフクレあるいは膨潤脱落があるもの
試験結果を表7に示す。
試験基板を、10vol%硫酸水溶液を10wt%水酸化ナトリウム水溶液に代えた以外は耐酸性試験と同ように評価した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
試験結果を表8に示す。
後述する工程に従って試験基板に無電解金めっきを行ない、その試験基板について外観の変化及びセロハン粘着テープを用いたピーリング試験を行ない、硬化皮膜の剥離状態を以下の基準で判定した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
○:外観変化もなく、硬化皮膜の剥離も全くない。
△:外観の変化はないが、硬化皮膜にわずかに剥れがある。
×:硬化皮膜の浮きが見られ、めっき潜りが認められ、ピーリング試験で硬化皮膜の剥れが大きい。
試験結果を表9に示す。
1.脱脂:試験基板を、30℃の酸性脱脂液((株)日本マクダーミッド製、Metex L−5Bの20vol%水溶液)に3分間、浸漬した。
2.水洗:試験基板を、流水中に3分間、浸漬した。
3.ソフトエッチ:試験基板を、14.3wt%の過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間、浸漬した。
4.水洗:試験基板を、流水中に3分間、浸漬した。
5.酸浸漬:試験基板を、10vol%の硫酸水溶液に室温で1分間、浸漬した。
6.水洗:試験基板を、流水中に30秒〜1分間、浸漬した。
7.触媒付与:試験基板を、30℃の触媒液((株)メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に7分間、浸漬した。
8.水洗:試験基板を、流水中に3分間、浸漬した。
9.無電解ニッケルめっき:試験基板を、85℃、pH=4.6のニッケルめっき液((株)メルテックス製、メルプレートNi−865M、20vol%水溶液)に20分間、浸漬した。
10.酸浸漬:試験基板を、10vol%の硫酸水溶液に室温で1分間、浸漬した。
11.水洗:試験基板を、流水中に30秒〜1分間、浸漬した。
12.無電解金めっき:試験基板を、95℃、pH=6の金めっき液((株)メルテックス製、オウロレクトロレス UP 15vol%、シアン化金カリウム3wt%の水溶液)に10分間、浸漬した。
13.水 洗:試験基板を、流水中に3分間、浸漬した。
14.湯洗:試験基板を、60℃の温水に浸漬し、3分間充分に水洗後、水をよくきり、乾燥した。
このような工程を経て無電解金めっきした試験基板を得た。
硬化皮膜の電気絶縁性を以下の基準にて評価した。但し、ゲル化しないサンプルについてのみ試験を行った。
加湿条件:温度120℃、湿度85%RH、印加電圧30V、50時間。
測定条件:測定時間60秒、印加電圧500V。
○:加湿後の絶縁抵抗値1010Ω以上、銅のマイグレーションなし
△:加湿後の絶縁抵抗値1010Ω以上、銅のマイグレーションあり
×:加湿後の絶縁抵抗値109Ω以下、銅のマイグレーションあり
試験結果を表10に示す。
前記合成例2で得られたエポキシ樹脂の反応物溶液及び合成例3で得られたカルボキシル基含有感光性化合物溶液を用い、表11に示す配合組成(数値は質量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルでそれぞれ別々に混練し、さらに、それぞれメチルエチルケトン100部を加えて、撹拌し、各硬化性組成物を調製した。次いで、この硬化性組成物を支持体上に塗布し、加熱乾燥して、厚さ20〜30μmの硬化性組成物層を形成し、カバーフィルムを貼り合わせ、得られたフィルムの保存安定性について評価した。次に、カバーフィルムを剥がし、パターン形成されている表面処理された銅スルホールプリント配線基板に、フィルムを貼り合わせ、次いで、レジストパターンを有するネガフィルムを支持体側に密着させ、紫外線露光装置((株)オーク製作所製、型式HMW−680GW)を用いて、紫外線を照射(露光量400mJ/cm2)し、支持体を剥がし、1wt%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、試験基板を作製した。得られた硬化皮膜を有する試験基板について、前述の試験方法及び評価方法にて、耐クラック性、PCT耐性、密着性、はんだ耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、無電解金めっき耐性の各試験を行なった。
また、銅スルホールプリント配線基板の代わりにIPCで定められたプリント回路基板(厚さ1.6mm)のBパターンを用い、上記と同じ条件で試験基板を作製し、電気絶縁抵抗の試験を行なった。
上記各試験の結果を表12に示す。
(10)保存安定性:
表11中の組成物のフィルムを5℃で保管し、以下の基準で評価した。
○:現像時間が90秒以内のもの
△:現像時間が91秒以上のもの
×:現像できないもの
Claims (6)
- (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂にアルデヒドを部分的に付加反応させて得られる、1,3−ジオキソラン環を有するエポキシ樹脂、(B)カルボキシル基含有化合物、(C)感光性(メタ)アクリレート化合物及び(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする硬化性組成物。
- (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂にアルデヒドを部分的に付加反応させて得られる、1,3−ジオキソラン環を有するエポキシ樹脂、(B’)カルボキシル基含有感光性化合物及び(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする硬化性組成物。
- 前記エポキシ樹脂(A)において、エポキシ樹脂に対するアルデヒドの反応割合が、エポキシ基1当量に対して、カルボニル基が0.03〜0.9当量であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 支持体と、該支持体上に形成された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬化性組成物からなる層とを備えることを特徴とするフィルム。
- 前記硬化性組成物層上に、剥離可能なカバーフィルムをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のフィルム。
- 前記請求項1乃至3の何れか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
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