JP4813841B2 - プラバスタチンナトリウムの製造方法 - Google Patents

プラバスタチンナトリウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラバスタチンナトリウムの製造方法に関する。
プラバスタチンは、スタチンと呼ばれる医薬化合物の一種であり、アテローム硬化症および高コレステロール疾患患者の血清コレステロール低下作用を有するHMG−CoA阻害剤である。プラバスタチンナトリウムはプラバスタチンの一ナトリウム塩であり、高脂血症治療剤として販売されている。
プラバスタチン=[1S−[1α(β,δ)2α,6α,8β(R),8aα]]−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−β,δ,6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−(2−メチル−1−オキソブトキシ−1−ナフタレン−ヘプタン酸(CAS発録番号81093−37−0号)
特表2003−516959号には、プラバスタチンナトリウムの多形体フォームの製造方法が開示されている。例えば、特表2003−516959号の例8には、酢酸エチルを用いてプラバスタチンナトリウムの結晶化を行なう方法が開示されている。しかしながら、この例では、結晶化にあたり、5gのプラバスタチンナトリウムを250mlの酢酸エチルで希釈する。このように、酢酸エチルを用いてプラバスタチンナトリウムの再結晶を行なう際に、プラバスタチンナトリウムを酢酸エチルに溶解させるためには、通常、大容量の酢酸エチルが必要である。特に、プラバスタチンナトリウムの工業的生産を行なう上では、使用する有機溶媒の量を低減することにより、効率良い製造方法の開発が求められている。
特表2003−516959号公報
本発明の目的は、使用する有機溶媒の量を大幅に低減することができ、かつ、類縁物質の含有量が極めて低減されたプラバスタチンナトリウムを簡便な方法で効率的に得ることができる、プラバスタチンナトリウムの製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく、プラバスタチンナトリウムの結晶化条件について鋭意研究を重ねた結果、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩と酢酸エチルとの混合物を調製し、エタノールおよび水の混合液にこの混合物を溶解させて調製した溶液から、ナトリウムイオンの存在下でプラバスタチンナトリウムを析出させることにより、使用する有機溶媒(酢酸エチル)の量を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法は、(a)粗製プラバスタチンおよび/またはその塩と、酢酸エチルとの混合物を調製する工程、(b)エタノールおよび水の混合液に前記混合物を溶解させて、溶液を調製する工程、および(c)前記溶液のpHを9以上に調整した後、該溶液をナトリウムイオンの存在下でプラバスタチンナトリウムを析出させる工程を含む。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記工程(a)は、前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を前記酢酸エチルに懸濁させることにより、前記混合物を調製する工程を含むことができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記工程(a)において、前記粗製プラバスタチンナトリウムの使用量1gに対して、前記酢酸エチルの使用量が2〜6mlであることができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記工程(a)において、前記粗製プラバスタチンナトリウムの使用量1gに対して、前記酢酸エチルの使用量が4〜6mlであることができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記工程(b)において、前記混合液におけるエタノールに対する水の割合(容積比)が1/15〜1/5であり、かつ、前記粗製プラバスタチンナトリウムの使用量1gに対して、前記混合液の使用量が1〜6mlであることができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記工程(b)において、前記混合液におけるエタノールに対する水の割合(容積比)が1/15〜1/5であり、かつ、前記粗製プラバスタチンナトリウムの使用量1gに対して、前記混合液の使用量が2〜4mlであることができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記粗製プラバスタチンナトリウムの使用量1gに対して、前記混合液の使用量および前記酢酸エチルの使用量の合計が3〜10mlであることができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記粗製プラバスタチンナトリウムの使用量1gに対して、前記混合液の使用量および前記酢酸エチルの使用量の合計が4〜9mlであることができる。
ここで、上記本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法において、前記工程(a)〜(c)を1セットとして、該セットにおいて、前記工程(c)により得られた前記プラバスタチンナトリウムを前記工程(a)における前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩として、該セットを複数回繰り返す工程を含むことができる。
本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法によれば、使用する有機溶媒(酢酸エチル)の量を大幅に低減することができ、かつ、類縁物質の含有量が極めて低減されたプラバスタチンナトリウムを簡便な方法で効率的に得ることができる。これにより、製造コストを大幅に低減することができる。
以下本発明を説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
1.プラバスタチンナトリウムの製造方法
本発明のプラバスタチンナトリウムの製造方法は、(a)粗製プラバスタチンおよび/またはその塩と、酢酸エチルとの混合物を調製する工程、(b)エタノールおよび水の混合液に前記混合物を溶解させて、溶液を調製する工程、(c)前記溶液のpHを9以上に調整した後、ナトリウムイオンの存在下でプラバスタチンナトリウムを析出させる工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
1.1.工程(a)
工程(a)は、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩と、酢酸エチルとの混合物を調製する工程を含む。
1.1.1.原料(粗製プラバスタチンおよび/またはその塩)
工程(a)ではまず、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を原料として使用する。本発明において、「粗製プラバスタチン」とは、微生物発酵により製造されたプラバスタチンをいう。また、本発明において「粗製プラバスタチンの塩」としては、特に限定されないが、プラバスタチンの化学的に許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
より具体的には、工程(a)で使用する原料としては、粗製プラバスタチンのみであってもよいし、粗製プラバスタチンの塩であってもよいし、あるいはその両方の混合物であってもよい。なお、本発明において、「粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量」とは、粗製プラバスタチンまたは粗製プラバスタチンの塩のいずれか一方を使用する場合はその使用量をいい、粗製プラバスタチンおよび粗製プラバスタチンの塩の両方を使用する場合、これらの使用量の合計をいう。
粗製プラバスタチンおよび/またはその塩には通常、プラバスタチンの類縁物質(例えば、原料であるコンパクチンなど)が含まれている。この類縁物質の存在は、一般的な分析方法(例えば、HPLC)によって同定することができる。
上述するように、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩は、微生物発酵により製造することができる。例えば、粗製プラバスタチンナトリウムを製造する場合、(a−1)微生物培養によりコンパクチン(メバスタチン)を生成する工程、(a−2)コンパクチンを水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、微生物変換によりコンパクチンの6α位に水酸基を導入して、粗製プラバスタチンナトリウムを製造する工程の2段階工程を例示することができる。
工程(a−1)で使用する微生物としては、例えば、Penicillium Citrinumが挙げられる。工程(a−1)では、Penicillium Citrinumを用いて、グルコースからコンパクチンを得ることができる。
工程(a−2)で使用する微生物としては、水酸基導入菌株を用いることができ、例えば、Mucor HiemalisAmycolata AutotrophicaStreptmyces Carbophilusが挙げられる。なお、上述した工程では水酸化ナトリウムを用いてナトリウム塩に変換する例を示したが、他の塩基を用いることにより、各種塩に変換することができる。
なお、工程(a−1)および(a−2)の後、必要に応じて、ろ過による菌体の除去を行なってもよい。さらに、必要に応じて、樹脂吸着により不純物を除去してもよい。この場合、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を樹脂に吸着させた後、含水有機溶媒で溶出することにより、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を得ることができる。使用する樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、アンバーライトXAD(オルガノ株式会社製),ダイヤイオンHP(三菱化学株式会社製)が挙げられる。また、含水有機溶媒に用いられる有機溶媒は、水と混合するものであれば特に限定されない。なお、ここで使用した有機溶媒を例えば減圧濃縮により除去して、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を得るのが好ましい。
本発明において使用する粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の純度は、再結晶による精製を行なわない段階では通常97〜98%である。
1.1.2.混合物の調製
次に、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩と、酢酸エチルとの混合物を調製する。ここで、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を酢酸エチルに懸濁させることにより、流動状の前記混合物を調製することができる。例えば、この混合物において、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の大部分が酢酸エチルに溶解せずに、酢酸エチル中に分散させる。より具体的には、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の結晶の大部分が、固体状態を保持したまま酢酸エチル中で膨潤していることが好ましい。
混合物を調製する場合、使用する酢酸エチルの量は特に限定されないが、後述する工程(b)における溶液の調製を容易にするために、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩(乾燥物)の使用量1gに対して、酢酸エチルの使用量が2〜6mlであることが好ましく、4〜6mlであることがより好ましい。ここで、酢酸エチルの使用量が6mlを超えると、類縁物質の除去が困難になる場合があり、一方、酢酸エチルの使用量が2ml未満であると、後述する工程(c)においてプラバスタチンナトリウムが析出しにくいことがある。
1.2.工程(b)
工程(b)は、エタノールおよび水の混合液に、上記工程(a)で調製した混合物を溶解させて、溶液を調製する工程を含む。
ここで、前記混合液におけるエタノールに対する水の割合(容積比)は、1/15〜1/5であるのが好ましく、1/15〜1/10であるのがより好ましい。この場合、水の割合が1/5を超えると、プラバスタチンナトリウムの結晶が析出しにくくなる場合があり、一方、水の割合が1/15未満であると、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を溶解させるのに必要な混合液の量が著しく増加する場合がある。また、この場合、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩(乾燥物)の使用量1gに対して、前記混合液の使用量が1〜6mlであることが好ましく、2〜4mlであるのがより好ましい。この場合、前記混合液の使用量が上記範囲にあることにより、前記混合液の使用量を大幅に増やすことなく、プラバスタチンナトリウムの結晶を効率的に析出させることができる。
また、ここで、粗製プラバスタチンおよび/またはその塩(乾燥物)の使用量1gに対して、前記混合液の使用量および上記工程(a)で使用する酢酸エチルの使用量の合計が3〜10mlであることが好ましく、4〜9mlであるのがより好ましい。この場合、前記混合液の使用量が上記範囲にあることにより、前記混合液の使用量を大幅に増やすことなく、上記工程(a)で使用する酢酸エチルの使用量を低減することができる。
なお、上記溶液を調製する際に、必要に応じて溶液を加温してもよい。加温温度は、類縁物質の含有量を実質的に増加させない範囲であることが好ましく、使用する酢酸エチルおよび混合液の量にもよるが、例えば40〜55℃であることがより好ましい。
1.3.工程(c)
工程(c)は、前記溶液のpHを9以上に調整した後、ナトリウムイオンの存在下(すなわち、前記溶液中にナトリウムイオンが存在する条件下)でプラバスタチンナトリウムを析出させる工程を含む。この工程によれば、結晶化により精製されたプラバスタチンナトリウムを得ることができる。
工程(c)において、前記溶液のpHを9以上に調整することにより、プラバスタチンナトリウムの析出を促すことができる。その理由は、プラバスタチンナトリウムはpHが9以上の環境下で有機溶媒(酢酸エチル)に溶解しにくいためである。ここで、類縁物質の生成を抑制するためには、前記溶液のpHを9〜10に調整するのがより好ましい。
また、前記溶液のpHを9以上に調整するために使用する塩基は特に限定されないが、溶液中でナトリウムイオンを生じる塩基であることが好ましい。このような塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。これらの塩基は、溶液(例えば、水溶液もしくはアルコール溶液)として前記溶液に添加するのが好ましい。
また、工程(c)において、ナトリウムイオンの存在下でプラバスタチンナトリウムを析出させる際の温度は30℃以下であるのが好ましく、25℃以下であるのがより好ましい。この場合、必要に応じて前記溶液を冷却することにより、溶液を所定の温度に調節してもよい。
なお、上記工程(a)〜(c)を1セットとして、該セットにおいて、工程(c)により得られたプラバスタチンナトリウムを工程(a)における粗製プラバスタチンおよび/またはその塩として、該セットを複数回繰り返してもよい。繰り返す回数は特に限定されないが、前記セットを複数回繰り返すことにより、類縁物質の含有量をさらに低減することができる。
次いで、必要に応じて、得られたプラバスタチンナトリウムをさらに精製してもよい。例えば、得られたプラバスタチンナトリウムを有機溶媒(例えば酢酸エチル)を用いて洗浄したり、あるいは濾別した後乾燥したりしてもよい。
上述の製造方法により、プラバスタチンナトリウムを得ることができる。本発明の製造方法により得られるプラバスタチンナトリウムは、白色の粉末(結晶性粉末)で、pH7.2〜8.2、旋光度〔α20D〕+153〜159°である。
なお、本発明の製造方法によって得られるプラバスタチンナトリウムに含まれる類縁物質は、1つの類縁物質のHPLCのピーク面積が0.1%以下であり、類縁物質のHPLCのピーク面積の合計が0.5%以下である。
2.用途
本発明の製造方法により得られたプラバスタチンナトリウムは医薬品組成物として、家族性コレステロール血症、高脂血症の治療に使用することができる。
3.実施例
次に、本発明を実施例および比較例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
3.1.評価方法
本実施例において、被測定物質のHPLC装置、吸光度、旋光度、およびpHは以下の機器を用いて測定された。
HPLC装置:waters 2690, 996 (waters製)
旋光度:SEPA-200 ((株)堀場製作所製)
pH:F-52 ((株)堀場製作所製)
3.2.実施例1
3.2.1.粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物の製造
Penicillium Citrinumを用いてグルコースを培養してコンパクチンを製造し、次いで、水酸基導入菌株(Mucor Hiemalis)を用いて、コンパクチン0.07%を含有する培養液2000L中で25℃にてpH6〜7の条件下で40時間培養を行なった(例えば、「岸田他,薬学雑誌,111(9),469−487(1991)」参照)。
次いで、使用した菌体をろ過により除去した後、樹脂(アンバーライトXAD(オルガノ株式会社製),ダイヤイオンHP(三菱化学株式会社製))を用いて不純物を吸着させて除去し、含水有機溶媒にて粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物を溶出した。その後、溶出により得られた粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物を減圧濃縮することにより前記含水有機溶媒を除去して、粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物(乾燥物)1.2kgを得た。
3.2.2.プラバスタチンナトリウムの製造
まず、得られた粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物500gを酢酸エチル1000mLに添加して、流動状の混合物を調製した。次に、この混合物にエタノールおよび水の混合液(エタノール:水=10:1)1000mLを添加して、40℃に加温し、1時間攪拌して、粗製プラバスタチンおよびその塩を完全に溶解させることにより、溶液を調製した。
次に、この溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを9.5に調整した後、この溶液を25℃に保持して、一晩静置したところ、結晶が析出した。この結晶を酢酸エチルにて洗浄した後、50〜60℃で10時間減圧乾燥することにより、プラバスタチンナトリウム(PVNa)442.1gを白色の結晶状粉末として得た。
得られたプラバスタチンナトリウムは、pH7.82、旋光度〔α20D〕+156°であり、HPLC装置を用いて類縁物質(類縁物質A〜D)の存在割合を確認したところ、類縁物質A〜Dのピーク面積はいずれも0.1%以下、合計でも0.5%以下に低減されていることが確認された(図1および表1参照)。
3.3.実施例2
実施例1と同様の方法にて、グルコースから粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物の粉末(乾燥物)500gを得た。これに酢酸エチル1500mLを予め添加し、粗製プラバスタチンおよびその塩を物理的に微小化し、結晶が固結していない状態の混合物を得た。
これにエタノールおよび水の混合液1500mL(エタノール:水=5:1)を加え、40℃に加温して1時間攪拌して、粗製プラバスタチンおよびその塩を完全に溶解させることにより、溶液を調製した。
次に、この溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを9.2に調整した後、この溶液を25℃に保持して、一晩静置したところ、結晶が析出した(結晶化1回目)。
次いで、この酢酸エチルを含有する結晶に酢酸エチル500mLを添加して、上述した工程を再度繰り返した。すなわち、エタノールおよび水の混合液1500mLを添加し、40℃に加温して1時間攪拌して、1回目の結晶化処理で得られた結晶を完全に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを9.2に調整した後、この溶液を25℃に保持して、一晩静置したところ、結晶が析出した(結晶化2回目)。
この析出した結晶を酢酸エチルにて洗浄した後、50〜60℃で10時間減圧乾燥することにより、プラバスタチンナトリウム(PVNa)410gを白色の結晶状粉末として得た。
得られたプラバスタチンナトリウムは、pH7.90、旋光度〔α20D〕+156°であり、HPLC装置を用いて類縁物質の存在割合を確認したところ、類縁物質のピーク面積はそれぞれ0.1%以下、合計でも0.5%以下に低減されていることが確認された(表1)。
3.4.実施例3,4
実施例3,4では、酢酸エチルの添加から、溶液の調製、溶液のpH調整、および結晶析出までの操作(結晶化)をそれぞれ3回,4回繰り返した以外は、実施例2と同様の操作を行なうことにより、プラバスタチンナトリウムを白色の結晶状粉末として得た。
実施例1〜4でそれぞれ得られたプラバスタチンナトリウムについて、HPLC装置を用いて純度の確認を行なった。その結果を表1および図1(a)および図1(b)に示す。表1において、実施例1〜4は、最終的に得られたプラバスタチンナトリウムにおける類縁物質の含有量(%)を示し、比較例は、粗製プラバスタチンおよびその塩(原料)における類縁物質の含有量(%)を示している。なお、表1において、「−」は、その類縁物質が検出されなかったことを示している。
図1(a)は、比較例の粗製プラバスタチンおよびその塩(原料)のHPLCチャートの部分拡大図を示し、図1(b)は、実施例1において得られたプラバスタチンナトリウムのHPLCチャートの部分拡大図を示す。図1(a)および図1(b)のHPLCチャートには、プラバスタチンナトリウム(または原料)のピークとともに、類縁物質A〜Dのピークが示されている。
Figure 0004813841
表1に示すHPLCの結果から、実施例1〜4で得られたプラバスタチンナトリウムは、比較例の原料と比較して、類縁物質A〜Dそれぞれの含有量および類縁物質の含有量総量(合計)が低下したことが確認された。また、実施例1〜4を比較すると、結晶化の回数が多いほど類縁物質の含有量が少なくなることが確認された。
したがって、実施例1〜4のプラバスタチンナトリウムの製造方法によれば、使用する有機溶媒(酢酸エチル)の量を大幅に低減し、かつ、類縁物質の含有量を大幅に低減することができた。
3.5.実施例5
実施例5では、使用する混合液におけるエタノールと水との割合(容積比)がそれぞれ、エタノール:水=4:1,5:1,10:1,15:1,20:1である場合に、酢酸エチルの使用量を変えて、実施例1と同様の操作(結晶化1回)を行なった。
なお、実施例5の各試験例においては、粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物の使用量を実施例1と同様に500gとし、混合液の使用量を実施例1と同様に1000mLとした。なお、実施例5で使用する粗製プラバスタチンおよびその塩は、実施例1と同様の方法にて調製した。
表2に、(1)使用する混合液におけるエタノールと水との割合(容積比)、(2)粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する酢酸エチルの使用量(mL/g)、(3)粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する混合液の使用量(mL/g)、および(4)粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する酢酸エチルの使用量および混合液の使用量の合計(mL/g)を示す。
Figure 0004813841
表2において、試験例1〜5(混合液において、エタノール:水=4:1である場合)では、結晶の析出量が微量であった。また、試験例21〜25(混合液において、エタノール:水=20:1である場合)では、粗製プラバスタチンおよび塩が完全に溶解しなかった。
また、表3に、試験例7〜10,12〜15,17〜20で最終的に得られたプラバスタチンナトリウムにおける類縁物質の含有量(%)を示す。
Figure 0004813841
表3に示す結果によれば、試験例10,15,20(粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する酢酸エチルの使用量が8mL以上である場合)と比較して、試験例7〜9,12〜14,17〜19においては、使用する有機溶媒(酢酸エチル)の量を大幅に低減し、かつ、類縁物質の含有量を大幅に低減することができた。
3.6.実施例6
実施例6では、使用する混合液におけるエタノールと水との割合(容積比)がそれぞれ、エタノール:水=4:1,5:1,10:1,15:1,20:1である場合に、混合液の使用量を変えて、実施例1と同様の操作(結晶化1回)を行なった。
なお、実施例6の各試験例においては、粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物の使用量を実施例1と同様に500gとし、酢酸エチルの使用量を1500mLとした。なお、実施例6で使用する粗製プラバスタチンおよびその塩は、実施例1と同様の方法にて調製した。
表4に、(1)使用する混合液におけるエタノールと水との割合(容積比)、(2)粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する酢酸エチルの使用量(mL/g)、(3)粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する混合液の使用量(mL/g)、および(4)粗製プラバスタチンおよびその塩の混合物1gに対する酢酸エチルの使用量および混合液の使用量の合計(mL/g)を示す。
Figure 0004813841
表4において、試験例26〜32(混合液において、エタノール:水=4:1である場合)および試験例38,39,45,46,52,53,59,60(混合液の使用量が3500mL,4000mLである場合)では、結晶の析出量がごく微量であった。また、試験例54〜58(混合液において、エタノール:水=20:1であり、かつ、混合液の使用量が3000mL以下である場合)および試験例33,40,47(混合液の使用量が250mLである場合)では、粗製プラバスタチンおよび塩が完全に溶解しなかった。
また、表5に、試験例34〜37,41〜44,48〜51で最終的に得られたプラバスタチンナトリウムにおける類縁物質の含有量(%)を示す。
Figure 0004813841
表5に示す結果によれば、いずれの試験例においても、使用する有機溶媒(酢酸エチル)の量を大幅に低減し、かつ、類縁物質の含有量を大幅に低減することができた。
図1(a)は、比較例において、結晶化により得られたプラバスタチンナトリウムのHPLCチャートを示し、図1(b)は、実施例1において得られたプラバスタチンナトリウムのHPLCチャートを示す。

Claims (9)

  1. (a)微生物発酵により製造されてプラバスタチンの類縁物質を含む粗製プラバスタチンおよび/またはその塩と、酢酸エチルとの混合物を調製する工程、
    (b)エタノールおよび水の混合液に前記混合物を溶解させて、溶液を調製する工程、および
    (c)ナトリウムイオンを生じる塩基を前記溶液に溶解して該溶液のpHを9以上に調整した後、ナトリウムイオンの存在下でプラバスタチンナトリウムを析出させる工程を含む、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記工程(a)は、前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩を前記酢酸エチルに懸濁させることにより、前記混合物を調製する工程を含む、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記工程(a)において、前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量1gに対して、前記酢酸エチルの使用量が2〜6mlである、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  4. 請求項1または2において、
    前記工程(a)において、前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量1gに対して、前記酢酸エチルの使用量が4〜6mlである、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記工程(b)において、前記混合液におけるエタノールに対する水の割合(容積比)が1/15〜1/5であり、かつ、前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量1gに対して、前記混合液の使用量が1〜6mlである、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記工程(b)において、前記混合液におけるエタノールに対する水の割合(容積比)が1/15〜1/5であり、かつ、前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量1gに対して、前記混合液の使用量が2〜4mlである、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量1gに対して、前記混合液の使用量および前記酢酸エチルの使用量の合計が3〜10mlである、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記粗製プラバスタチンおよび/またはその塩の使用量1gに対して、前記混合液の使用量および前記酢酸エチルの使用量の合計が4〜9mlである、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記工程(a)〜(c)の後に、以下の工程(d)〜(f)の工程を1セットして、該セットを少なくとも1回行う、プラバスタチンナトリウムの製造方法。
    (d)前工程により得られた析出したプラバスタチンナトリウムと、酢酸エチルとの混合物を調製する工程、
    (e)エタノールおよび水の混合液に前記混合物を溶解させて、溶液を調製する工程、および
    (f)ナトリウムイオンを生じる塩基を前記溶液に溶解して該溶液のpHを9以上に調整した後、ナトリウムイオンの存在下でプラバスタチンナトリウムを析出させる工程。
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