しかしながら、前述した従来の部品実装装置では、同時吸着可能な許容範囲を、部品と吸着ノズルとのズレ量を基準にして設定するため、許容範囲が狭くなり、同時吸着できる1グループの吸着ノズルの数が少なくなる。このため、吸着ノズルのグループ数が多くなり、吸着操作の回数が増えるため作業時間が長くなる。また、この部品実装装置では、吸着位置にある部品の次に吸着位置に搬送される部品の位置が考慮されていないため、その部品が部品供給部から外部に跳び出てしまう虞もある。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、部品を同時吸着できる吸着ノズルの数を多くすることのできる部品実装装置および部品実装方法を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明に係る部品実装装置の構成上の特徴は、部品を収容する収容部が長手方向に間隔を保って形成されたキャリアテープの各収容部に収容された部品を、収容部の上方に位置して収容部から部品が外部に跳び出さないようにする蓋部材の下流端よりも下流側の部品吸着位置に間欠的に搬送するとともに、収容部の上面を部品吸着位置の上流側近傍位置で開口させて部品を取り出し可能にする複数のテープフィーダと、複数のテープフィーダで搬送される一組の部品を部品吸着位置でそれぞれ吸着する複数の吸着ノズルを備えた吸着ヘッドと、一組の部品が部品吸着可能位置に搬送されたときの一組の部品のそれぞれの位置を確認する位置確認手段と、位置確認手段が位置を確認した一組の部品のうち、部品吸着可能位置にあり、かつ次に部品吸着位置に搬送される部品を収容する収容部の下流端と蓋部材の下流端との間の長さとして設定されるテープ送り側調整可能範囲と、部品吸着可能位置で吸着待ちの部品を収容する収容部の上流端と蓋部材の下流端との間の長さとして設定されるテープ反送り側調整可能範囲との和として設定される各部品の位置調整可能範囲に、キャリアテープの送り方向において共通部分がある部品どうしを同時吸着グループとしてグループ化するグループ化手段と、グループ化手段によってグループ化されたグループごとの部品を、吸着ノズルに順次同時吸着させる吸着制御手段とを備えたことにある。
本発明に係る部品実装装置では、部品吸着可能位置にあることと、次に部品吸着位置に搬送される部品を収容する収容部の下流端と蓋部材の下流端との間の長さとして設定されるテープ送り側調整可能範囲と、部品吸着可能位置で吸着待ちの部品を収容する収容部の上流端と蓋部材の下流端との間の長さとして設定されるテープ反送り側調整可能範囲との和として設定される各部品の位置調整可能範囲に、キャリアテープの送り方向において共通部分がある部品どうしを一つの同時吸着グループとしている。そして、他の部品についてもそれぞれの位置調整可能範囲に共通部分がある部品どうしを一つの同時吸着グループとしている。例えば、基板に実装される部品の順番にグループ化していき、1番目の部品と2番目の部品との位置調整可能範囲に共通部分があれば、まず、1番目の部品と2番目の部品とを一つのグループ内に入れる。
次に、3番目の部品の位置調整可能範囲に、1番目の部品と2番目の部品との位置調整可能範囲の共通部分と共通する部分がなければ、3番目の部品は他のグループに入るものとする。ついで、4番目の部品の位置調整可能範囲に、1番目の部品と2番目の部品との位置調整可能範囲の共通部分と共通する部分がなく、3番目の部品の位置調整可能範囲とに共通部分があれば、4番目の部品は3番目の部品が属する他のグループに入れる。このように、順次、位置調整可能範囲に共通する部分があるか否かでグループを分けていく。そして、グループ化が終了したところで、各グループに属する部品ごとに吸着ノズルで同時吸着していく。
この場合の同時吸着する基準は、吸着される部品が部品吸着可能位置にあることと、次の部品が収容部から跳び出せないことを満たすか否かであるから、同時吸着できる吸着ノズルの数を、吸着に支障がでない範囲で最大にすることができる。なお、位置調整可能範囲の共通部分とは、複数のキャリアテープを搬送方向に直交する方向から見たときに、キャリアテープの送り方向でそれぞれの位置調整可能範囲が重複する部分である。また、この場合の一組の部品の数は、吸着ノズルの数と同数であり、例えば、多数あるキャリアテープの中の平行に並んだ5個のキャリアテープから、順次、5個の部品を吸着ノズルで吸着する場合は、一組の部品は5個となる。
そして、この5個の部品を前述した方法によってグループ化する。また、通常、テープフィーダにおける部品吸着位置の上流側部分には、部品が外部に跳び出さないようにする蓋部材が設けられている。収容部の上面を開口させて部品を取り出し可能にする位置とは、収容部がこの蓋部材の下流端から所定長さ分下流側に移動して部品が跳び出す可能性が出る位置をいう。また、部品吸着可能位置は、蓋部材の下流端よりも下流側で吸着ノズルが部品を吸着できる範囲である。この部品吸着可能位置は、吸着ノズルの吸着能力や位置に応じて設定される。
そして、位置調整可能範囲は、部品吸着可能位置にある部品が収容された収容部の上流端と蓋部材の下流端との間の長さと、そのときに、次に搬送される部品を収容する収容部の下流端と蓋部材の下流端との間の長さとの和になる。すなわち、部品吸着可能位置にある部品が収容された収容部の上流端と蓋部材の下流端との間の長さは、その部品が上流側に後退した場合に収容部から取り出し可能な状態を維持できる範囲であり、次の部品を収容する収容部の下流端と蓋部材の下流端との間の長さは、その部品が下流側に搬送された場合に、収容部から跳び出すことのできない状態を維持できる範囲である。ただし、次の部品を収容する収容部については、多少上面が開口していても部品が跳び出ることを防止できるため、多少の幅を持たせて設定してもよい。
また、本発明に係る部品実装装置の他の構成上の特徴は、部品における搬送方向の長さに基づいて許容ズレ量を予め設定し、許容ズレ量を位置調節可能範囲に加味してグループ化手段が一組の部品をグループ化することにある。
吸着ノズルが部品を吸着できる条件としては、吸着ノズルと部品とのそれぞれの中心が一致する場合だけでなく、吸着ノズルに対して部品の位置が多少ずれていてもそのずれが吸着ノズルが部品を吸着できる範囲であればよい。本発明は、このような吸着ノズルと部品との許容できるズレ量(部品の搬送方向のズレ量)を加味してグループ化を行うため、1グループ化できる範囲が、位置調整可能範囲と許容ズレ量との和になり、さらに、1グループに含まれる部品、すなわち、同時吸着可能な吸着ノズルの数を多くすることができる。また、この場合、吸着ノズルが部品を吸着できる許容ズレ量としては、部品の送り方向に沿った長さの0〜35%程度に設定しておくことが好ましい。
また、本発明に係る部品実装装置のさらに他の構成上の特徴は、グループ化手段によって同時吸着グループとしてグループ化された各グループに属する部品の位置調整可能範囲の共通部分における任意の位置を吸着ノズルの吸着位置としてそれぞれ設定することにある。これによると、吸着ノズルで1グループの部品を確実に同時吸着できる範囲内で吸着ノズルの吸着位置を簡単に求めることができる。
また、本発明に係る部品実装装置のさらに他の構成上の特徴は、複数のテープフィーダに、キャリアテープの搬送状態を制御する搬送制御手段がそれぞれ備わっており、各搬送制御手段の制御によって、各キャリアテープが搬送されることで、位置調整可能範囲で、吸着対象部品が吸着位置に位置付けられるように、または、吸着位置に近接するようにすることにある。これによると、各キャリアテープの搬送制御を精度よく行うことができるため、確実に同時吸着することができる。
また、本発明に係る部品実装装置のさらに他の構成上の特徴は、複数のテープフィーダで搬送される部品の吸着位置に対するズレ量を検出するズレ量検出手段を備え、ズレ量検出手段が検出するキャリアテープの送り方向のズレ量を加味して、複数のテープフィーダで間欠的に搬送される各部品の停止位置を設定することにある。これによると、テープ送り量を補正して、各テープフィーダごとにテープフィーダにおける部品の間欠停止位置を設定できるため、部品の間欠停止位置設定を適正にすることができる。
本発明に係る部品実装方法の構成上の特徴は、部品を収容する収容部が長手方向に間隔を保って形成された複数のキャリアテープを平行に配置して、複数のキャリアテープの各収容部に収容された部品を、収容部の上方に位置して収容部から部品が外部に跳び出さないようにする蓋部材の下流端よりも下流側の部品吸着位置に間欠的に搬送するとともに、収容部の上面を部品吸着位置の上流側近傍位置で開口させて部品を取り出し可能にする部品搬送工程と、一組の部品が部品吸着可能位置に搬送されたときの一組の部品のそれぞれの位置を確認する位置確認工程と、一組の部品のうち、部品吸着可能位置にあり、かつ次に部品吸着位置に搬送される部品を収容する収容部の下流端と蓋部材の下流端との間の長さとして設定されるテープ送り側調整可能範囲と、部品吸着可能位置で吸着待ちの部品を収容する収容部の上流端と蓋部材の下流端との間の長さとして設定されるテープ反送り側調整可能範囲との和として設定される各部品の位置調整可能範囲に、キャリアテープの送り方向において共通部分がある部品どうしを同時吸着グループとしてグループ化するグループ化工程と、グループ化されたグループごとの部品を、吸着ノズルに順次同時吸着させる吸着工程とを備えたことにある。
本発明によると、同時吸着できる吸着ノズルの数を、吸着に支障がでない範囲で最大にすることができる。
また、本発明に係る部品実装方法の他の構成上の特徴は、部品の搬送方向の長さに基づいて許容ズレ量を予め設定し、グループ化工程において、許容ズレ量を位置調節可能範囲に加味して一組の部品のグループ化が行われることにある。これによると、吸着ノズルと部品との間の許容されるズレ量として設定した許容ズレ量を加味してグループ化を行うため、1グループ化できる範囲が、位置調整可能範囲と許容ズレ量との和になり、さらに、1グループに含まれる部品の数を多くすることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1および図2は、同実施形態に係る部品実装装置10を示している。この部品実装装置10は、プリント基板A上に、ICチップ等の部品B(図3参照)を実装するための装置である。なお、図1は部品実装装置10の概略を示したもので、図2とは多少異なっている部分もある。部品実装装置10は、基台11の上方で、プリント基板AをX方向(図1および図2の左右方向)に移動させて予め設定された設置部に設置するための一対のコンベア12と、プリント基板Aの設置部の上方に設置されX方向およびY方向(前後方向で図1では上下方向)に移動するヘッドユニット13と、固定カメラ14a,14bと、複数のテープフィーダ20がそれぞれ設置された一対のフィーダユニット20a,20bとを備えている。
一対のコンベア12は、基台11上で、プリント基板Aの前後方向の長さに合わせて前後方向に一定間隔を保って左右方向に延びており、複数のプリント基板Aを順次設置部に搬送する。そして、設置部においてプリント基板Aへの部品Bの実装が終了すると、そのプリント基板Aを下流側に搬送する。また、基台11の左右両側における一対のコンベア12の上方には、一対のYレールユニット15が一定間隔を保って前後方向に延びており、その一対のYレールユニット15にXレールユニット16が前後方向に移動可能な状態で掛け渡されている。そして、このXレールユニット16に、ヘッドユニット13が左右方向に移動可能な状態で取り付けられている。
Yレールユニット15には、Y軸モータ15aとボールねじ(図示せず)を備えた駆動装置が設けられており、Xレールユニット16は、Yレールユニット15の駆動装置の駆動により前後方向に移動する。また、Xレールユニット16には、X軸モータ16aとボールねじ16bとを備えた駆動装置が設けられており、ヘッドユニット13は、Xレールユニット16の駆動装置の駆動により左右方向に移動する。このヘッドユニット13には、Z方向(上下方向で図2でも上下方向)に移動可能で、かつZ軸周り(回転方向)に回転可能に支持される複数の吸着ヘッド13aと、この複数の吸着ヘッド13aにそれぞれ設けられ部品Bを吸着する吸着ノズル13bとが備わっている。
さらに、ヘッドユニット13には、複数の吸着ノズル13bがそれぞれ吸着する部品Bを撮像するスキャンカメラ17と、プリント基板Aおよびテープフィーダ20の所定部分を撮像する基板カメラ18とが備わっている。スキャンカメラ17は、スキャン軸モータ17aとボールねじ17bとを備えた駆動装置の駆動により、左右方向に移動して部品Bを吸着した吸着ノズル13bを下方から撮像する。基板カメラ18は、ヘッドユニット13に固定され、ヘッドユニット13とともに移動する。この基板カメラ18は、プリント基板Aの設置位置の確認や、テープフィーダ20の部品吸着可能位置に部品Bが位置していることを確認するためなどに用いられるものである。
また、ヘッドユニット13には、複数の吸着ヘッド13aを個別に昇降するZ軸モータ13c(図5参照)と、複数の吸着ヘッド13aを個別に回転方向に回転させるR軸モータ13d(図5参照)とが備わっている。このため、ヘッドユニット13は、一対のYレールユニット15とXレールユニット16との設置範囲で基台11上を移動でき、さらに、吸着ヘッド13aは、上下方向に移動できるとともにZ軸周り方向に回転できる。
また、吸着ノズル13bは、吸引装置(図示せず)の作動により生じる吸引力で部品Bを吸着してピックアップする。そして、固定カメラ14a,14bおよびスキャンカメラ17が撮像する吸着ノズル13bに吸着された部品Bの画像は、部品Bの吸着姿勢の良否の判定に用いられる。なお、固定カメラ14a,14bは、部品Bが大型部品である場合の部品Bの吸着姿勢の判定に用いられ、スキャンカメラ17は、部品Bが小型部品である場合の部品Bの吸着姿勢の判定に用いられる。この固定カメラ14a,14b、スキャンカメラ17および基板カメラ18は、使用の態様に応じて本発明に係る位置確認手段や本発明に係るズレ量検出手段を構成する。
フィーダユニット20a,20bは、それぞれフィーダベース21上に複数個のテープフィーダ20を同じ向きに設置して構成されており、この複数のテープフィーダ20を備えたフィーダユニット20a,20bが、一対のコンベア12の両外側にそれぞれ配置されている。各テープフィーダ20は、それぞれ部品Bの取り出し側をコンベア12側に向けた状態になっている。このように配置されたテープフィーダ20は、図3に示した部品供給テープ19内に収容された部品Bを、それぞれコンベア12と離れた位置からコンベア12側に搬送する。
部品供給テープ19は、キャリアテープ19aと、キャリアテープ19aよりも幅の小さなカバーテープ19bとで構成されている。キャリアテープ19aの幅方向の中央よりも一方の側部側に位置する部分には、長手方向に一定間隔を保って平面視が四角形の凹部からなる複数の収容部19cが形成され、キャリアテープ19aの他方の側部側には、長手方向に一定間隔を保って複数の係合穴19dが形成されている。そして、カバーテープ19bは、キャリアテープ19aの上面における複数の係合穴19dが形成された部分を除く部分に、複数の収容部19cを覆うようにして貼着されている。各収容部19cの内部には部品Bが収容されており、キャリアテープ19aからカバーテープ19bを剥離することにより、部品Bが取り出し可能になる。また、この部品供給テープ19は、リールに巻回された状態で、テープフィーダ20の後方部分に設置される。
テープフィーダ20の先端側部分(プリント基板A側に位置する部分)は、図4に示したように、上面に搬送路22aが形成された本体ケース22と、本体ケース22の上方に取り付けられたテープガイド23と、テープガイド23を搬送路22aに合わせて本体ケース22の上面に固定するための保持部24とを備えている。また、本体ケース22の一方の側面には、円形の切欠き凹部22bが形成され、この切欠き凹部22b内にスプロケット25が設置されている。切欠き凹部22bの上端部は、本体ケース22の上面に達して、本体ケース22の上面を開口しており、スプロケット25の上端側に位置する爪部25aは、切欠き凹部22bの上端部から上方に突出する。
テープガイド23は、本体ケース22の上面を覆うことのできる細長い断面形状がコ字状の部材で構成されており、テープガイド23の外幅は本体ケース22の幅と同じになっている。このテープガイド23は、平行に配置された一対の側面部23a,23bと、側面部23a,23bの対向面の上端側部分を長手方向に沿って連結する上面部23cとからなっている。側面部23a,23bは、それぞれ下端縁部が、対応する本体ケース22の側面部の上端側に形成された段部(切欠き凹部22bが形成された部分は除く)に沿う板状に形成されている。そして、側面部23a,23bの前端下部には、開放側を上方に向けたフック状の係止部23dが形成されている。
上面部23cには、上下に貫通する前後に長い挿通穴26と、挿通穴26の中央部側方、側面部23a寄りの部分に上下に貫通する逃がし窓部27とが形成されている。この逃がし窓部27は、スプロケット25の外周に形成された爪部25aのうちの上端側に位置するものが干渉することを防止するためのものである。また、上面部23cにおける逃がし窓部27の前後方向の中央よりもやや後方位置に、部品吸着位置Oを示す先細りになった突起28a,28bが形成されている。そして、上面部23cの裏側における挿通穴26の後部側部分には、ステンレス製のボトムプレート29が固着されている。
挿通穴26の後端側部分は、部品供給テープ19のカバーテープ19bを下方から上方に挿通させることのできる幅を備えた幅広部26aに形成されている。そして、ボトムプレート29における幅広部26aの前端に対応する部分にスリット29aが形成されており、ボトムプレート29におけるこのスリット29aより前方側部分は、側面部23b側の部分が側面部23bから僅かに遊離した形状の蓋部29bで構成されている。また、挿通穴26におけるボトムプレート29の前端部より前側の部分は部品吸着可能位置になっており、この部品吸着可能位置の略中央に対向する側面部23a,23bの部分に、前述した突起28a,28bが形成されている。
すなわち、搬送路22a上を搬送される部品供給テープ19のカバーテープ19bは、スリット29aの部分で、キャリアテープ19aから剥離されて、スリット29aを通ってテープガイド23の上面後方(図4(a)、(b)においては右側)に引っ張られる。そして、テープフィーダ20の後部側に設けられた巻取り部(図示せず)に巻き取られていく。また、カバーテープ19bが剥離されたキャリアテープ19aが蓋部29bの下流端を通過したところで、収容部19cの上面が開口して、収容部19c内の部品Bが取り出し可能になる。この場合、スリット29aと蓋部29bとを設けることによって、カバーテープ19bが剥離される位置と、収容部19cが開口する位置との間に距離を設け、カバーテープ19bに生じる静電気等により部品Bが、カバーテープ19b付着して、収容部19cから跳び出ることを防止している。
保持部24は、本体ケース22の前端部に、支軸(図示せず)を介して回転可能に取り付けられており、付勢手段(図示せず)によって、図4(b)の時計周り方向に付勢されている。また、保持部24の上部には、テープガイド23の係止部23dに係合可能な突起24aが形成されており、突起24aと係止部23dとの係合により、テープガイド23の前端部は本体ケース22の前端部に固定される。また、図示は省略するが、テープガイド23の後端部と、本体ケース22の上面におけるテープガイド23の後端部に対向する部分とにも着脱可能な連結機構が設けられており、この連結機構によって、テープガイド23の後端部は本体ケース22に固定される。
さらに、本体ケース22の内部前部側には、リールに巻回された部品供給テープ19をリールから引っ張り出し、部品供給後の空テープとなったキャリアテープ19aを前方に送る搬送機構が配置されている。この搬送機構は、送りモータ31(図5参照)と、送りモータ31の駆動力をスプロケット25に伝達するための各種のギアとで構成されている。スプロケット25は、支軸に回転可能に支持された状態で本体ケース22の切欠き凹部22b内に設置されており、各ギアを介して伝達される送りモータ31の駆動力によって支軸を中心に間欠的に回転する。スプロケット25の外周面には、周方向に一定間隔を保って突部からなる複数の爪部25aが設けられており、この複数の爪部25aの間隔は、部品供給テープ19に設けられた複数の係合穴19dの間隔と同じに設定されている。
このスプロケット25は、上端位置が、ヘッドユニット13の吸着ノズル13bが部品Bをピックアップする部品吸着位置Oになるように配置されている。また、本体ケース22の内部後部側には、搬送機構によって搬送される部品供給テープ19から、搬送機構による搬送と同期してカバーテープ19bを後方に引っ張って剥離させるとともに、剥離されたカバーテープ19bを本体ケース22の収容部内に送る巻取り機構が配置されている。この巻取り機構は、巻取りモータ32(図5参照)と、カバーテープ19bを挟持する一対のローラからなるピンチローラと、巻取りモータ32の駆動力をピンチローラに伝達してカバーテープ19bを収容部内に送る各種のギアとで構成されている。
また、本体ケース22の下部後方側には、フィーダ制御部33等を収容する収容ボックスが配置されており、この収容ボックスにはコネクタが取り付けられている。このコネクタは、テープフィーダ20をフィーダベース21上に取り付けたときに、フィーダベース21側に取り付けられたコネクタと電気的に接続され、これにより、フィーダベース21を介して、部品実装装置10から電力供給や各種の制御信号が入力される。また、フィーダ制御部33は、部品実装装置10が備えるコントローラ40の外部入出力部41と連係してテープフィーダ20の送りモータ31や巻取りモータ32を制御する。
部品実装装置10には、前述した装置の他、図5に示した各種の装置が備わっている。すなわち、コントローラ40が備える演算処理部42、実装プログラム記憶手段43、搬送系データ記憶手段44、モータ制御部45および画像処理部46と、演算処理部42の制御により各種の画像を表示する表示ユニット47と、負圧センサ48を含む各種のセンサ類とが備わっている。実装プログラム記憶手段43には、後述する種々の実行プログラムや各種のデータが記憶されており、搬送系データ記憶手段44には、プリント基板Aを設置部に搬送するためのデータ等が記憶されている。演算処理部42は、搬送系データ記憶手段44や実装プログラム記憶手段43が記憶する各種のデータに基づいて、実装プログラム記憶手段43が記憶するプログラムを実行する。
モータ制御部45は、演算処理部42の制御により、ヘッドユニット13および吸着ヘッド13aを移動するX軸モータ16a等の各種のモータの駆動を制御する。画像処理部46は、固定カメラ14a,14b、スキャンカメラ17および基板カメラ18の撮像を画像処理して、演算処理部42の制御により、表示ユニット47に表示する。また、負圧センサ48は、吸着装置の作動により、吸着ノズル13bが部品Bを吸着したときの吸着ノズル13bの圧力を検出する。これによって、吸着ノズル13bによる部品Bの吸着状態の良否を判定できる。さらに、図示していないが、吸着装置の作動を制御する吸引制御部も備わっており、この吸引制御部で、本発明に係る吸着制御手段が構成される。
このように構成された部品実装装置10を用いて、プリント基板A上に部品Bを実装する場合には、まず、部品供給テープ19の先端側部分を、リールから本体ケース22の搬送路22aに延ばし、テープガイド23のボトムプレート29のスリット29aの部分で、カバーテープ19bをキャリアテープ19aから剥離する。そして、カバーテープ19bの先端部は、ピンチローラに挟持させ、キャリアテープ19aの係合穴19dをスプロケット25の上端側のいくつかの爪部25aに係合させる。この場合、隣り合って配置された5個のテープフィーダ20から順次部品Bを搬送して、ヘッドユニット13に設けられた5個の吸着ノズル13bで、各テープフィーダ20の部品Bを吸着するものとする。
キャリアテープ19aおよびカバーテープ19bのセットができた状態で、送りモータ31と巻取りモータ32とを同期して駆動させる。これによって、スプロケット25が回転を始め、リールから部品供給テープ19が繰り出されていく。そして、キャリアテープ19aから剥離されたカバーテープ19bは、本体ケース22の収容部内に順次送られ、カバーテープ19bが剥離されたキャリアテープ19aの部品Bは、搬送路22a上を部品吸着位置Oに向けて順次送られていく。キャリアテープ19aの所定の収容部19cの中央が部品吸着位置Oに到達したときに、キャリアテープ19aの搬送は一端停止され、ヘッドユニット13の吸着ノズル13bが収容部19c内の部品Bを吸着する。
この場合の吸着は、5個の部品Bの部品吸着可能位置内での位置や、後述する部品Bにおける送り方向の長さに基づいて予め設定した許容ズレ量を考慮して、所定の条件を満たす部品Bどうしを同時吸着グループとしてグループ化しながら行われる。この処理は、コントローラ40の演算処理部42が、図6ないし図9に示したプログラムを実行することによって行われる。このプログラムは実装プログラム記憶手段43に記憶されており、部品実装装置10に電力が供給され、所定のスイッチがオン状態にされたのちに実行される。すなわち、このプログラムはステップ100において開始され、ステップ102において、基板カメラ18による各部品Bの撮像が行われる。
これによって、各部品Bの搬送路22a上での位置およびズレ量が確認される。このズレ量は、テープ送り方向のズレ量であり、例えば、予め位置が分かっている吸着ノズル13bに対する部品Bの位置ズレとして認識される。次に、プログラムは、ステップ104に進み、搭載データの中から部品未割当データを検索する処理が行われる。実装プログラム記憶手段43には、搭載データと部品データとが記憶されており、搭載データには、搭載番号、搭載座標(X、Y)および搭載部品番号等のデータが含まれている。部品データには、部品番号および吸着座標(X、Y)のデータが含まれ、搬送路22a上の各部品BのX方向のズレ量XおよびY方向のズレ量Yや、吸着ノズル13bで吸着された後に検出するX方向の吸着ズレ量XおよびY方向の吸着ズレ量Yが書き込み可能になっている。
すなわち、搭載データと部品データは、複数の部品Bの搭載順序、各部品Bを吸着する吸着位置の座標、各部品Bが実装されるプリント基板A上の座標などの各部品Bに関する各種のデータである。所定の搭載番号を選ぶと、その搭載部品番号から部品データの中の該当する部品番号が検索される。この場合、プリント基板Aに実装される部品Bの数が100個で、搭載番号が1〜100であるとすると、まず、搭載番号が1〜5の5個のうちの搭載番号が1の部品番号に該当する部品Bが検索される。また、ここでは、説明の便宜上、部品番号は1〜5であるとし、部品番号が1〜5の部品Bが順次検索されるものとする。
プログラムは、ステップ106に進み、吸着する部品Bの部品実装装置10における吸着座標を取得する処理が行われる。この場合、部品番号が1の部品Bの吸着座標を、部品データの中から取得する。次に、ステップ108において、ステップ102の処理で認識した結果からズレ量Fcを求める。すなわち、基板カメラ18が撮像した画像から部品Bのズレ量を求める。このズレ量Fcは、前述したように、テープ送り方向のズレ量であり、図10に示したように、吸着ノズル13bに部品Bが吸着されたときには、吸着ノズル13bの中心(×印の中心)と部品Bの中心(+印の中心)との間のテープ送り方向の距離になる。
ついで、ステップ110において、ステップ108で求めたズレ量Fcから、テープフィーダ20の搬送路22a上での部品番号が1の部品Bの中心位置を求める。そして、ステップ112において、部品番号が1の部品Bを既存の同時吸着グループに追加できるか否かの判定が行われる。この処理は、図8に示したプログラムの判定に基づいて行われる。このプログラムはステップ200において開始され、ステップ202において、追加対象の部品Bが追加可能であるかを判定していない同時吸着グループが存在するか否かが判定される。ここでは、まだ、同時吸着グループは存在しないため、「No」と判定して、ステップ204に進む。ステップ204で追加不能と判定したのちに、ステップ214に進み、プログラムは一旦終了する。
次に、プログラムはステップ114に進んで、部品番号が1の部品Bで新規の同時吸着グループを作成したのちに、ステップ118に進み、同時吸着の対応可能な範囲と、同時吸着位置とを更新する処理を行う。この場合の部品Bの吸着の対応可能な範囲は、部品番号が1の部品Bのテープ送り側の調整可能範囲とテープ反送り側の調整可能範囲との和になる。すなわち、図11に示した点C1に中心位置がある部品Bを最初に判定した部品番号が1の部品Bとし、点C1を挟んだ矢印で示した範囲をその部品Bの位置調整可能範囲とすると、矢印で示した範囲が、中心位置が点C1にある部品Bの吸着の対応可能な範囲となる。
この部品Bの位置は、搬送路22a上での位置を示しており、矢印における点C1よりもテープ送り方向の前方側部分は、図12における次の部品Bを収容する収容部19cの前端と蓋部29bの前端との間の長さ(テープ送り側調整可能範囲)を示している。また、矢印における点C1よりもテープ送り方向の後方側部分は、図12における吸着待ちの部品Bを収容する収容部19cの後端と蓋部29bの前端との間の長さ(テープ反送り側調整可能範囲)を示している。すなわち、吸着の対応可能な範囲とは、部品Bが矢印で示した位置よりも前方に移動すると、図13に示したように、次の部品Bが収容部19cから跳び出す可能性が生じ、部品Bが矢印で示した位置よりも後方に移動すると、吸着待ちの部品Bが蓋部29bの下方に位置して部品Bを吸着することができなくなるので、このようなことがない範囲である。
また、同時吸着の対応可能な範囲の算出には、許容ズレ量が加味され、この同時吸着の対応可能な範囲の算出は、図9に示したプログラムにしたがって行われる。この算出は、ステップ300において開始され、ステップ302において、実際に吸着された部品Bの中心位置の座標を取得する。この座標は、ステップ110の処理ですでに求めたものである。なお、今回のステップ110の処理では、まだ、部品Bは吸着ノズル13bによって吸着されてないが、ここでは、実際に吸着された部品Bの中心位置の座標と、テープフィーダ20の搬送路22a上での部品Bの中心位置の座標とは同じものとする。
ついで、ステップ304において、吸着された部品Bの送り方向の寸法を取得し、ステップ306において、部品Bの中心に対する吸着ノズル13bの吸着位置の吸着対応可能な範囲を算出する。ここでも、まだ、部品Bは吸着ノズル13bによって吸着されてないため、テープフィーダ20の搬送路22a上での部品Bの寸法とする。この場合の部品Bの中心に対する吸着ノズル13bの吸着位置の吸着対応可能な範囲は、吸着ノズル13bの中心位置に対して部品Bの中心位置がずれていても、吸着ノズル13bが部品Bを吸着できるズレ量の許容範囲を示すもので、部品Bの送り方向の寸法の0〜35%の範囲で設定しておく。すなわち、ズレ量Fcが、部品Bの送り方向の寸法の0〜35%であれば吸着ノズル13bが部品Bを吸着できる。
そして、ステップ308において、前述したテープ送り側調整可能範囲とテープ反送り側調整可能範囲との和、すなわち、位置調整可能範囲に、ステップ306で求めた許容ズレ量を加算して、同時吸着の対応可能な範囲とする。ただし、ここでは、まだ、部品Bが一つだけであるため、部品番号が1の部品Bの吸着の対応可能な範囲と許容ズレ量との和がそのまま同時吸着の対応可能な範囲となる。そして、ステップ310においてこの算出処理が終了する。ステップ120においては、登録可能ヘッドがまだあるか否かの判定が行われ、ここでは、「Yes」と判定して、ステップ122に進む。ステップ122においては、部品未割当データがまだあるか否かの判定が行われ、「Yes」と判定して、ステップ104に進む。
ステップ104では、搭載番号から部品番号が2の部品Bが検索される。なお、図14は、各吸着ノズル13bと各部品Bとの位置関係を示したものであるが、ここでは、説明の便宜上、図14に示した部品B1〜部品B5は、部品番号が1〜5の部品Bであるものとする。また、ここでは、部品B2、部品B1、部品B3、部品B5、部品B4の順に、プリント基板Aに実装されるものとする。ステップ106においては、部品B2の部品実装装置10における吸着座標を取得する処理が行われる。次に、ステップ108において、ステップ102の処理で認識した結果から部品B2のズレ量Fcを求める。
ついで、ステップ110において、ステップ108で求めたズレ量Fcから、テープフィーダ20の搬送路22a上での部品B2の中心位置を求める。そして、ステップ112において、部品B2を既存の同時吸着グループに追加できるか否かの判定が行われる。ここでは、前述した図8のプログラムにしたがって判定が行われ、プログラムは、再度ステップ200から開始される。ステップ202において、次の部品B2が追加可能かを判定していない同時吸着グループが存在するか否かが判定される。
ここでは、同時吸着グループは存在するため、「Yes」と判定して、ステップ206に進む。ステップ206では、既存の同時吸着グループの同時吸着の対応可能な更新された範囲を取得する処理が行われる。この場合の同時吸着の対応可能な更新された範囲は、図11に示した点C1に中心位置がある部品Bから求められた同時吸着の対応可能な範囲である。次ぎ、ステップ208において、同時吸着グループに追加する部品B2の吸着の対応可能な範囲を算出する処理が行われる。この場合の部品B2の吸着の対応可能な範囲の算出は、図9に示したプログラムにしたがって行われる。
ここでは、図11に示した点C2に中心位置がある部品B2の前後に矢印で示した位置調整可能範囲と、許容ズレ量との和が吸着の対応可能な範囲となる。この中心位置が点C2にある部品B2の位置調整可能範囲も図12に示したテープ送り側調整可能範囲とテープ反送り側調整可能範囲との和になる。次に、ステップ210において、同時吸着グループに追加する部品Bが既存の同時吸着グループに追加可能か否かの判定が行われる。
この判定は、図11にそれぞれ矢印で示した、点C1に中心位置がある部品B1の吸着の対応可能な範囲と、点C2に中心位置がある部品B2の吸着の対応可能な範囲とにテープ送り方向で共通する部分があるか否かによってなされる。この場合、中心位置が点C1にある部品Bの吸着の対応可能な範囲と、中心位置が点C2にある部品Bの吸着の対応可能な範囲とにテープ送り方向で共通する部分があるため、「Yes」と判定して、ステップ212に進む。ステップ212で、部品B2が同時吸着グループに追加可能と判定したのちに、ステップ214に進み、プログラムは一旦終了する。
そして、ステップ116において、部品B2を既存の同時吸着グループに追加する処理が行われ、これによって、図14(a)に示したように、部品B1と部品B2とでグループ1が形成される。次に、ステップ118に進み、同時吸着の対応可能な範囲と、同時吸着位置とを更新する。この場合の同時吸着の対応可能な範囲は、部品B1の吸着の対応可能な範囲と、部品B2の吸着の対応可能な範囲とのテープ送り方向での共通部分になる。また、同時吸着位置は、その同時吸着の対応可能な範囲の中央の位置になる。すなわち、図11に示した、点C1に中心位置がある部品Bの吸着の対応可能な範囲と、中心位置が点C2にある部品Bの吸着の対応可能な範囲との共通部分のテープ送り方向での中央の位置aが同時吸着位置として設定される。
そして、ステップ120,122の処理を行ったのちに、さらに、ステップ104〜122の処理を順次行うことにより、部品B3〜部品B5についても同様の処理を行う。部品B3が、グループ1に追加する条件を満たしていれば、図14(b)に示したように、部品B3をグループ1に追加して、部品B1〜部品B3でグループ1を形成する。そして、部品B3の吸着の対応可能な範囲を含めて、新たなグループ1の同時吸着の対応可能な範囲と、同時吸着位置とを求めて更新する。
この場合の判定は、図11にそれぞれ矢印で示した、点C1に中心位置がある部品B1と点C2に中心位置がある部品B2との同時吸着の対応可能な範囲と、中心位置が点C3にある部品B3の吸着の対応可能な範囲とにテープ送り方向で共通する部分があるか否かによってなされる。この場合、中心位置が点C1にある部品B1と中心位置が点C2にある部品B2の同時吸着の対応可能な範囲と、中心位置が点C3にある部品B3の吸着の対応可能な範囲とにテープ送り方向で共通する部分があるためグループ化される。また、この場合の同時吸着の対応可能な更新された範囲は、部品B1、部品B2および部品B3のそれぞれの吸着の対応可能な範囲がテープ送り方向で共通する部分となり、同時吸着位置は、その同時吸着の対応可能な範囲のテープ送り方向での中央の位置b(図11)として更新して設定される。
次に、同様の処理が実行され、図14(c)に示したように部品B4が、グループ1に追加する条件を満たしてなければ、部品B4で、新規のグループ2が作成される。そして、部品B4の同時吸着の対応可能な範囲と、同時吸着位置とが設定される。ついで、部品B5が、図14(d)に示したように、グループ1に追加する条件を満たしてなく、図14(e)に示したようにグループ2に追加する条件を満たしていれば、部品B5をグループ2に追加して、部品B4と部品B5とでグループ2を形成する。グループ2の同時吸着の対応可能な範囲は、部品B4の吸着の対応可能な範囲と、部品B5の吸着の対応可能な範囲とのテープ送り方向での共通部分に更新される。
また、グループ2の同時吸着位置は、部品B4と部品B5との同時吸着の対応可能な範囲のテープ送り方向での中央の位置に更新される。そして、図14(f)に示したように、部品B1〜部品B5の5個の部品Bは、部品B1〜部品B3で形成されるグループ1と、部品B4および部品B5で形成されるグループ2とにグループ化される。そして、部品B1〜部品B5のグループ化処理が終了すると、ステップ120において、「No」と判定してステップ124に進む。ステップ124では、同時吸着グループの各テープフィーダ20のテープ送り位置の補正量を算出する処理が行われる。この算出は、ステップ118の処理によって更新された補正後の同時吸着位置と、各部品Bの中心位置との距離によって求められる。
図15には、図11に示した各部品Bの補正後の位置をそれぞれ示している。すなわち、中心位置が点C1にある部品B1の点C1と同時吸着位置bとの間のテープ送り方向の距離はδ1であり、点C1を反テープ送り方向に距離δ1分後退させることにより補正後の中心点C1aは、同時吸着位置b上に位置する。また、中心位置が点C2にある部品B2の点C2と同時吸着位置bとの間のテープ送り方向の距離はδ2であり、点C2をテープ送り方向に距離δ2分前進させることにより補正後の中心点C2aは、同時吸着位置b上に位置する。
さらに、中心位置が点C3にある部品B3の点C3と同時吸着位置bとの間のテープ送り方向の距離はδ3であり、点C3を反テープ送り方向に距離δ3分後退させることにより補正後の中心点C3aは、同時吸着位置b上に位置する。このように、それぞれ補正量を加味することにより、すべての部品Bの中心が同一線上に位置する関係になるように、補正量δ1〜δ3が算出される。同様に、他の同時吸着グループについても補正量δ4〜δ5が算出される。
ついで、ステップ126において、各キャリアテープ19aの送りピッチ(各キャリアテープ19aにおける収容部19cの中央部間の長さ)に、補正量δ1〜δ5を加味して、各テープフィーダ20を駆動させる。各テープフィーダ20は、それぞれフィーダ制御部33の制御に基づいて送りモータ31を駆動させて各キャリアテープ19aを適正長さ分搬送する。これによって、部品B1〜部品B5は、それぞれ属するグループの補正後の同時吸着位置まで移動したのちに停止する。そして、ステップ128において、吸引装置を作動させて、吸着ノズル13bで同時吸着分の5個の部品Bを吸着する。ステップ130では、同時吸着分の5個の部品Bのすべての吸着が完了したか否かの判定が行われる。吸着されてない部品Bがあれば、ステップ128に進み、再度吸着操作が行われる。
同時吸着分の5個の部品Bのすべての吸着が完了して、「Yes」と判定すると、プログラムは、ステップ132に進む。ステップ132においては、固定カメラ14a(,14b)またはスキャンカメラ17でそれぞれ5個の吸着ノズル13bに吸着された5個の部品Bを下方から撮像して、各吸着ノズル13bに対する各部品Bの位置を認識しておく。この吸着ノズル13bに吸着された部品Bの画像からズレ量Fc(この場合は、吸着ズレ量Fcになる。)を求め、各部品Bの吸着ズレ量Fcを部品データの中に保存する処理がステップ134において行われる。この吸着ズレ量Fcは、次回の部品Bの吸着の際に利用される。
そして、ステップ136において、各吸着ノズル13bが吸着する各部品Bを、それぞれプリント基板Aに装着する。これは、ヘッドユニット13がプリント基板Aの上方で移動するとともに、吸着ヘッド13aがプリント基板Aに対して進退しながら行われる。ステップ138では、同時吸着分の5個の部品Bのすべてのプリント基板Aへの装着が完了したか否かの判定が行われる。装着されてない部品Bがあれば、ステップ136に進み、再度装着操作が行われる。同時吸着分の5個の部品Bのすべての装着が完了して、ステップ138において「Yes」と判定すると、プログラムは、ステップ140に進む。
ステップ140においては、搭載データのすべての装着が完了したか否かの判定が行われる。ここでは、まだ、5個の部品Bの装着しか完了していないため、「No」と判定して、ステップ104に進む。ステップ104においては、まだ実装されていない搭載番号が6〜10までの部品Bのうちの、例えば、部品番号が1の部品Bが検索される。そして、次の部品番号が1の部品Bから部品番号が5の部品Bについて順次、前述した処理によってプリント基板Aへの装着が行われ、さらに、5個の部品Bずつが同じ処理によってプリント基板Aに装着される。
2回目以降のプログラムの処理においては、部品認識結果から求めるズレ量は、固定カメラ14a(,14b)またはスキャンカメラ17で撮像した画像データから求める。そして、100個すべての部品Bの装着が完了すると、ステップ142に進み、すべての処理が終了する。なお、図8に示したプログラムおよびステップ112〜116の処理を演算処理部43が実行することによって、本発明のグループ化手段が構成される。
このように、本実施形態に係る部品実装装置10では、吸着される部品Bが部品吸着可能位置にあることと、次に部品吸着位置に搬送される部品Bを収容する収容部19cの上面がその部品Bが外部に跳び出るほど開口していないことを条件として各部品Bの位置調整可能範囲が設定される。そして、この位置調整可能範囲に、予め設定した許容ズレ量を加味して吸着の対応可能な範囲を設定し、それぞれの吸着の対応可能な範囲にテープ送り方向で共通部分がある部品Bどうしを一つの同時吸着グループとしている。また、他の部品Bについてもそれぞれの吸着の対応可能な範囲にテープ送り方向で共通部分がある部品Bどうしを一つの同時吸着グループとしている。
そして、各グループの部品Bごとに吸着ノズル13bで同時吸着したのちに、プリント基板Aに実装していく。このため、本実施形態に係る部品実装装置10によると、部品Bを同時吸着できる吸着ノズル13bの数を、吸着に支障がでない範囲で最大にすることができる。また、本実施形態に係る部品実装装置10では、各テープフィーダ20における送り量を、ズレ量Fcを加味して設定するため、テープフィーダ20における各部品Bの間欠停止位置を正確に求めることができる。また、各グループの同時吸着の対応可能な範囲の中心の位置を吸着ノズル13bの同時吸着位置として設定するため、吸着ノズル13bで1グループの部品Bを確実に吸着できる。
また、本発明に係る部品実装装置は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、実装開始後、基板カメラ18で各部品Bを撮像することにより、各部品Bの搬送路22a上での位置を確認するようにしているが、この基板カメラ18に代えてセンサ等の検出装置で各部品Bの搬送路22a上での位置を確認することもできる。また、前述した実施形態では、プログラムを実行するたびに、ステップ108において、ズレ量Fcを求める処理を行っているが、これに代えて、同一のテープフィーダ20における3〜5個の部品Bの認識結果のズレ量の平均値を求め、この平均値をズレ量Fcとするようにしてもよい。これによると安定したズレ量Fcを求めることができる。
さらに、前述した実施形態では、各グループに属する部品Bの位置調整可能範囲の共通部分における中心の位置を吸着ノズル13bの吸着位置としたが、この吸着位置は、各グループに属する部品Bの位置調整可能範囲の共通部分内であればどの部分に位置させてもよい。これによると、吸着位置の設定が容易になる。ただし、吸着ノズル13bの位置は、同一グループ内のすべての部品Bが吸着ノズル13bの中心位置でずれることなく吸着できる位置にすることが望ましい。
なお、位置調整可能範囲を設定する際に、吸着位置にある部品Bの次の部品Bを収容する収容部19cについては、多少上面が開口していても部品Bが跳び出ることを防止できるため、多少の幅を持たせて設定してもよい。ただし、吸着位置にある部品Bを収容する収容部19cについては、蓋部29bが収容部19cの上面の一部を塞いだ場合でも、吸着される部品Bが蓋部29bに当接して吸着不良が生じる可能性があるため、余裕を持たすことなく位置調整可能範囲を設定する。さらに、本発明に係る部品実装装置のそれ以外の部分の構成についても、本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
10…部品実装装置、13a…吸着ヘッド、13b…吸着ノズル、14a,14b…固定カメラ、17…スキャンカメラ、18…基板カメラ、19a…キャリアテープ、19c…収容部、20…テープフィーダ、29b…蓋部、31…送りモータ、33…フィーダ制御部、41…外部入出力部、42…演算処理部、A…プリント基板、B…各部品、Fc…ズレ量。