JP4811168B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents

転がり軸受装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4811168B2
JP4811168B2 JP2006203170A JP2006203170A JP4811168B2 JP 4811168 B2 JP4811168 B2 JP 4811168B2 JP 2006203170 A JP2006203170 A JP 2006203170A JP 2006203170 A JP2006203170 A JP 2006203170A JP 4811168 B2 JP4811168 B2 JP 4811168B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peripheral surface
ring
damping member
rolling bearing
outer ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006203170A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008032042A (ja
Inventor
英夫 芝田
正 深尾
健 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2006203170A priority Critical patent/JP4811168B2/ja
Publication of JP2008032042A publication Critical patent/JP2008032042A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4811168B2 publication Critical patent/JP4811168B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C35/00Rigid support of bearing units; Housings, e.g. caps, covers
    • F16C35/04Rigid support of bearing units; Housings, e.g. caps, covers in the case of ball or roller bearings
    • F16C35/06Mounting or dismounting of ball or roller bearings; Fixing them onto shaft or in housing
    • F16C35/07Fixing them on the shaft or housing with interposition of an element
    • F16C35/073Fixing them on the shaft or housing with interposition of an element between shaft and inner race ring
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C35/00Rigid support of bearing units; Housings, e.g. caps, covers
    • F16C35/04Rigid support of bearing units; Housings, e.g. caps, covers in the case of ball or roller bearings
    • F16C35/06Mounting or dismounting of ball or roller bearings; Fixing them onto shaft or in housing
    • F16C35/07Fixing them on the shaft or housing with interposition of an element
    • F16C35/077Fixing them on the shaft or housing with interposition of an element between housing and outer race ring
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/04Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly
    • F16C19/06Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly with a single row or balls

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Mounting Of Bearings Or Others (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

本発明は、転がり軸受と、制振材料からなる制振部材とを備える転がり軸受装置に関する。本発明は、特に、車両のトランスミッション内の軸サポート軸受として使用されれば好適な転がり軸受装置に関する。
従来、転がり軸受装置としては、特開2004−108539号公報(特許文献1)に記載されているものがある。
この転がり軸受装置は、内輪、外輪、玉、第1制振部材、および、第2制振部材を備える。上記内輪、外輪および玉が、鋼材からなる一方、第1および第2の制振部材は、双晶型制振合金材料からなっている。上記第1および第2制振部材は、玉軸受の軸方向の断面において、断面コ字状の形状をしている。上記第1制振部材は、外輪の外周面と、外輪の軸方向の両側の端面とに当接するように、外輪に嵌め込み固定されている一方、第2制振部材は、内輪の内周面と、内輪の軸方向の両側の端面とに当接するように、内輪に嵌め込み固定されている。
上記従来の転がり軸受装置は、上記第1および第2制振部材を、断面コ字状の形状にすることにより、制振部材を、玉軸受に容易に組み付けできるようにしている。
しかしながら、上記従来の転がり軸受装置では、制振部材が、線膨張係数が鋼材よりも大きい双晶型制振合金材料からなっているから、常温域において、制振部材と、軌道輪との嵌合いの締め代が小さく設定されている場合、高温域において、制振部材と、軌道輪との嵌合いがルーズとなる場合があり、この場合、制振部材と軌道輪との間でクリープが発生することになる。
一方、上記クリープの発生の問題を、回避するために、常温域において、制振部材と、軌道輪との嵌合いの締め代を大きく設定すると、軸受軌道が、変形することがあり、この場合、玉の円滑な転動が妨げられることになる。
特開2004−108539号公報
そこで、本発明の課題は、嵌合部材と軌道輪との間のクリープを抑制できて、かつ、軌道輪の軌道面の変形も抑制できる、嵌合部材を有する転がり軸受装置を提供することにある。また、本発明の課題は、制振部材と軌道輪との間のクリープを抑制できて、かつ、軌道輪の軌道面の変形も抑制できる、制振性を有する転がり軸受装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の転がり軸受装置は、
内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
環状溝を有する嵌合部材と
を備え、
上記環状溝は、上記外輪の外周面に当接可能な第1周面と、上記外輪の内周面に当接可能な第2周面とを有し、
第1所定温度以下において、上記外輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記外輪の上記外周面は、その外周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなり
上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記外輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記外輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴としている。
尚、上記所定温度は0℃を含む正の温度である。このことから上記第1所定温度と上記第2所定温度とが同一温度であっても良い。
本発明によれば、全ての温度で、嵌合部材を外輪に確実に固定することができ、嵌合部材と外輪との間でクリープが発生することがない。
本発明を実現させるためには、例えば、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数と同一である場合や、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数よりも小さい場合に、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間を、常温(この明細書では、常温を60℃〜80℃と定義する)において、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させるようにすれば良い。このようにすれば、本発明を実現でき、如何なる温度においても、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数と同一である場合、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合い、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いは、温度変動によって変わることがない。したがって、常温において、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間を、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、如何なる温度においても、嵌合部材と外輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と外輪との間でクリープが発生することを防止できる。
また、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数よりも小さい場合、常温において、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間を、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域では、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、嵌合部材と外輪との線膨張係数の違いに起因して、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、外輪の内周面と、第2外周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
したがって、如何なる温度においても、嵌合部材と外輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と外輪との間でクリープが発生することを防止できるのである。
また、この発明の転がり軸受装置は、
内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
環状溝を有する嵌合部材と
を備え、
上記環状溝は、上記外輪の外周面に当接可能な第1周面と、上記外輪の内周面に当接可能な第2周面とを有し、
第1所定温度以下において、上記外輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記外輪の上記内周面は、その内周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなり
上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記外輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記外輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴としている。
尚、上記所定温度は0℃を含む正の温度である。このことから上記第1所定温度と上記第2所定温度とが同一温度であっても良い。
本発明によれば、全ての温度で嵌合部材を外輪に確実に固定でき、嵌合部材と外輪との間でクリープが発生することがない。
本発明を実現させるためには、例えば、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数と同一である場合や、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数よりも大きい場合に、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間を、常温において、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させるようにすれば良い。このようにすれば、本発明を実現でき、如何なる温度においても、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数と同一である場合、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合い、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いは、温度変動によって変わることがない。したがって、常温において、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間を、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、如何なる温度においても、嵌合部材と外輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と外輪との間でクリープが発生することを防止できる。
次に、嵌合部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数よりも大きい場合、常温において、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との間を、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域で、嵌合部材と外輪との線膨張係数の違いに起因して、外輪の外周面と、第1周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、嵌合部材と外輪との線膨張係数の違いに起因して、外輪の内周面と、第2周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、外輪の外周面と、第1外周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
したがって、如何なる温度においても、嵌合部材と外輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と外輪との間でクリープが発生することを防止できるのである。
また、一実施形態の転がり軸受装置は、
上記第2周面は、上記転動体の軸方向の両側に存在して、
上記嵌合部材は、一方の部分と、他方の部分とを備え、
上記一方の部分の上記外輪の外周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面と、上記他方の部分の上記外輪の外周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態であるか、または、当接せずに対向した状態である。
また、本発明の転がり軸受装置は、
内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
環状溝を有する嵌合部材と
を備え、
上記環状溝は、上記内輪の内周面に当接可能な第1周面と、上記内輪の外周面に当接可能な第2周面とを有し、
第1所定温度以下において、上記内輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記内輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなり
上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記内輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記内輪の上記内周面は、その内周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴としている。
尚、上記所定温度は0℃を含む正の温度である。このことから上記第1所定温度と上記第2所定温度とが同一温度であっても良い。
本発明によれば、全ての温度で嵌合部材を内輪に確実に固定でき、嵌合部材と内輪との間でクリープが発生することがない。
本発明を実現させるためには、例えば、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数と同一である場合や、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数よりも小さい場合に、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間を、常温において、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させるようにすれば良い。このようにすれば、本発明を実現でき、如何なる温度においても、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数と同一である場合、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合い、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いは、温度変動によって変わることがない。したがって、常温において、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間を、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、如何なる温度においても、嵌合部材と内輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と内輪との間でクリープが発生することを防止できる。
また、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数よりも小さい場合、常温において、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間を、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域では、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間の嵌合いが、常温時よりも大きな締め代を有した状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、嵌合部材と内輪との線膨張係数の違いに起因して、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、内輪の内周面と、第1外周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
したがって、如何なる温度においても、嵌合部材と内輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と内輪との間でクリープが発生することを防止できるのである。
また、本発明の転がり軸受装置は、
内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
環状溝を有する嵌合部材と
を備え、
上記環状溝は、上記内輪の内周面に当接可能な第1周面と、上記内輪の外周面に当接可能な第2周面とを有し、
第1所定温度以下において、上記内輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記内輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなり
上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記内輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
また、上記内輪の上記外周面は、その外周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴としている。
尚、上記所定温度は0℃を含む正の温度である。このことから上記第1所定温度と上記第2所定温度とが同一温度であっても良い。
本発明によれば、全ての温度で嵌合部材を内輪に確実に固定でき、嵌合部材と内輪との間でクリープが発生することがない。
本発明を実現させるためには、例えば、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数と同一である場合や、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数よりも大きい場合に、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間を、常温において、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させるようにすれば良い。このようにすれば、本発明を実現でき、如何なる温度においても、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数と同一である場合、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合い、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いは、温度変動によって変わることがない。したがって、常温において、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間を、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、如何なる温度においても、嵌合部材と内輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と内輪との間でクリープが発生することを防止できる。
次に、嵌合部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数よりも大きい場合、常温において、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との間、および、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との間を、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域で、内輪の外周面と、第2周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、嵌合部材と内輪との線膨張係数の違いに起因して、内輪の内周面と、第1周面に対応する嵌合部材の外周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、内輪の外周面と、第2外周面に対応する嵌合部材の内周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
したがって、如何なる温度においても、嵌合部材と内輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、嵌合部材と内輪との間でクリープが発生することを防止できるのである。
また、一実施形態の転がり軸受装置は、
上記第2周面は、上記転動体の軸方向の両側に存在して、
上記嵌合部材は、一方の部分と、他方の部分とを備え、
上記一方の部分の上記内輪の内周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面と、上記他方の部分の上記内輪の内周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態であるか、または、当接せずに対向した状態である。
また、一実施形態の転がり軸受装置は、上記第2周面が、上記転動体の軸方向の両側に存在している。
上記実施形態によれば、上記第2周面が、上記転動体の軸方向の両側に存在しているから、外輪の内周面(または内輪の外周面)を、第2周面に対応する嵌合部材の外周面(または嵌合部材の内周面)に係止する力を大きくできる。
また、上記実施形態によれば、上記第2周面が転動体の軸方向の両側に存在していて、第2周面が転動体の軸方向の片側のみに存在している場合と比較して、嵌合部材の質量が大きいから、嵌合部材が制振部材である場合には、マス効果、すなわち、制振部材の質量が大きくなるにしたがって制振部材の制振性が増大する効果によって、制振性を向上させることができる。
また、一実施形態の転がり軸受装置は、上記嵌合部材が、制振材料からなる制振部材である。
上記実施形態によれば、上記嵌合部材が、制振材料からなる制振部材であるから、上記嵌合部材で、振動を減衰させることができて、転がり軸受に伝わる振動のエネルギーを小さくすることができる。したがって、転がり軸受に振動に起因する不具合が発生することを抑制できる。
また、上記実施形態によれば、上記嵌合部材が、制振材料からなる制振部材である。本発明は、制振部材が、軌道輪の外周面および内周面の両方を抱く構成を有しているから、制振部材が、鋼材よりも線膨張係数が大きくまたは小さくて、温度によって鋼製の軌道輪と制振部材の嵌合いが大きく変動し、高温において、制振部材と軌道輪との嵌合いがルーズとなる場合があって、従来、軌道輪と制振部材との間にクリープが発生し易いという問題を抱えていた双晶型制振合金材料からなる制振部材であっても、如何なる温度においても、制振部材を、軌道輪に問題なく固定できる。
また、一実施形態の転がり軸受装置は、上記制振材料が、双晶型制振合金材料である。
上記実施形態によれば、上記制振材料が、双晶型制振合金材料である。本発明は、制振部材が、軌道輪の外周面および内周面の両方を抱く構成を有しているから、鋼材よりも線膨張係数が大きくまたは小さくて、温度によって鋼製の軌道輪と制振部材の嵌合いが大きく変動し、高温において、制振部材と軌道輪との嵌合いがルーズとなる場合があって、従来、軌道輪と制振部材との間にクリープが発生し易いという問題を抱えていた双晶型制振合金材料からなる制振部材を用いたとしても、如何なる温度においても、制振部材を、軌道輪に問題なく固定できる。
また、一実施形態の転がり軸受装置は、上記制振材料が、強磁性型制振合金材料である。
上記実施形態によれば、上記制振材料が、強磁性型制振合金材料である。本発明は、制振部材が、軌道輪の外周面および内周面の両方を抱く構成を有しているから、鋼材よりも線膨張係数が大きくまたは小さくて、温度によって鋼製の軌道輪と制振部材の嵌合いが大きく変動し、高温において、制振部材と軌道輪との嵌合いがルーズとなる場合があって、従来、軌道輪と制振部材との間にクリープが発生し易いという問題を抱えていた強磁性型制振合金材料からなる制振部材を用いたとしても、如何なる温度においても、制振部材を、軌道輪に問題なく固定できる。
また、上記実施形態によれば、上記制振材料が、強磁性型制振合金材料である。本発明は、制振部材が、軌道輪の外周面および内周面の両方を抱く構成を有しているから、鋼材よりも線膨張係数が大きくまたは小さくて、温度によって鋼製の軌道輪と制振部材の嵌合いが過剰に大きくなることを防止でき、制振性が低下することを抑制することができる。強磁性型制振合金材料は、嵌合いが大きくなり、圧縮歪みが大きくなると、損失係数が小さくなり、制振性が低下する。制振部材の損失係数と制振部材の嵌合する内輪または外輪の損失係数が同じになると、制振部材の制振性は制振部材の嵌合する内輪または外輪の制振性と同じになってしまう。
本発明の転がり軸受装置によれば、軌道輪(内輪または外輪)の軌道面の変形を防止でき、かつ、如何なる温度においても、軌道輪と嵌合部材とのクリープを防止できる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。
この転がり軸受装置は、転がり軸受の一例としての玉軸受1と、嵌合部材としての制振部材2とを備える。
上記玉軸受1は、内輪5と、外輪6と、転動体の一例としての玉7とを有する。内輪5、外輪6および玉7は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)からなっている。上記内輪5は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等の回転軸(図示せず)に外嵌されて固定されている。上記玉7は、内輪5の軌道面としての軌道溝と、外輪6の軌道面としての軌道溝との間に、保持器(図示しない)によって保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記制振部材2は、双晶型制振合金材料からなっている。上記制振部材2の線膨張係数は、外輪6の線膨張係数よりも大きくなっている。ここで、双晶型制振合金材としては、例えば、Mn−Cu系合金、Cu−Al−Ni系合金、Ti−Ni系合金等がある。
図1に示すように、上記制振部材2は、断面略凸形状の環状溝を有している。詳しくは、上記制振部材2は、外輪6の軸方向の半断面(外輪6の中心軸を境にした半分の領域)において、断面矩形状の内部空間を有する断面矩形状の枠において、長手方向に延びる二つの枠のうちで径方向内方に位置する枠部分における長手方向の中央部分が、切除されたような形状をしている。
すなわち、上記制振部材2は、外輪6の軌道溝を含む外輪6の内周面の中央部分を除いた外輪6の外面部分に当接する外面を有している。詳しくは、上記環状溝は、外輪6の外周面20に当接する第1周面、外輪6の軸方向の一方の側の端面に当接する第1端面、外輪6の軸方向の他方の側の端面に当接する第2端面、外輪6の内周面における軸方向の上記一方の側の端部21に当接する第2周面としての第1の第2周面、および、外輪6の内周面における軸方向の上記他方の側の端部22に当接する第2周面としての第2の第2周面とを有している。
換言すると、上記制振部材2は、上記第1周面に対応する内周面10、外輪6の軸方向の一方の側の端面に当接する軸方向の端面11、外輪6の軸方向の他方の側の端面に当接する軸方向の端面12、上記第1の第2周面に対応する外周面13、および、上記第2の第2周面に対応する外周面14を有している。
上記制振部材2の径方向の最外方の外周面18は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等のハウジング19の内周面40に締まり嵌めされている。また、上記制振部材2の内周面10は、常温において、外輪6の外周面20に締まり嵌めされている一方、制振部材2において、外輪6の径方向の内方に位置する外周面13,14は、外輪6の内周面の端部21,22に締まり嵌めされている。言い換えれば、常温において、制振部材2の内周面10は、外輪6の外周面20に外嵌されて固定されている一方、制振部材2の外周面13,14は、外輪6の内周面の端部21,22に内嵌されて固定されている。
上記制振部材2は、外輪6の中心軸の垂直二等分面を境に、2分割できる構造になっている。制振部材2を、外輪6に組み付けるときには、外輪6の軸方向の一方の側に、制振部材2の一方の部分を組み付けた後、外輪6の軸方向の他方の側に、制振部材2の他方の部分を組み付けて、外輪6に制振部材2を組み付けるようにする。
上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材2が、外輪6の外周面20に当接する内周面10と、外輪6の内周面の端部21,22に当接する外周面13,14とを有し、制振部材2の内周面10と外輪6の外周面20との間、および、外輪6の内周面の端部21,22と制振部材2の外周面13,14との間を、常温において、外輪6の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させているから、如何なる温度においても、外輪6の軌道溝の変形を抑制でき、かつ、制振部材2の内周面10と外輪6の外周面20との間、および、外輪6の内周面の端部21,22と制振部材2の外周面13,14との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、第1実施形態では、制振部材2の線膨張係数が、外輪6の線膨張係数よりも大きいから、常温において、制振部材2の内周面10と外輪6の外周面20との間、および、外輪6の内周面の端部21,22と制振部材2の外周面13,14との間を、外輪6の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域で、制振部材2と外輪6の線膨張係数の違いに起因して、制振部材2の内周面10と外輪6の外周面20との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材2の外周面13,14と外輪6の内周面の端部21,22との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、制振部材2と外輪6の線膨張係数の違いに起因して、制振部材2の外周面13,14と外輪6の内周面の端部21,22との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材2の内周面10と外輪6の外周面20との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合となる。
したがって、如何なる温度においても、制振部材2と外輪6とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、制振部材2と外輪6との間の嵌合いが所定以下まで弱くなることがなく、制振部材2と外輪6との間でクリープが発生することを防止できるのである。
換言すると、第1実施形態では、常温または常温以上の第1所定温度以下の領域において、制振部材2の内周面10と、外輪6の外周面20とは、締め代を有した状態で嵌合しており、常温または常温以下の第2所定温度(第1所定温度以下の温度)以上において、外輪6の内周面の端部21,22と、制振部材2の外周面13,14とは、締め代を有した状態で嵌合している。このことから、第1実施形態では、全ての温度領域において、制振部材2を外輪6に確実に固定できるのである。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、外輪6の内周面と嵌合する制振部材2の外周面13,14が、玉7の軸方向の両側に存在しているから、制振部材2を外輪6に係止する力を大きくすることができる。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材2が、外輪6の軌道溝を含む外輪6の内周面の中央部分を除いた外輪6の外面部分を囲むように配置され、制振部材2の外周面13,14が、玉9の軸方向の両側に存在しているから、制振部材2の質量を格段に大きくすることができる。したがって、マス効果、すなわち、制振部材の質量が大きくなるにしたがって制振部材の制振性が増大する効果によって、制振性を大幅に向上させることができる。
尚、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、内外輪5,6および玉7が、高炭素クロム軸受鋼製であったが、この発明では、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つは、浸炭焼入鋼(SAE5120)等、高炭素クロム軸受鋼製以外の鋼材からなっていても良い。また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、制振部材2が、双晶型制振合金材料からなっていたが、この発明では、制振部材は、防振ゴムまたは制振性を有する樹脂材料からなっていても良い。制振部材は、制振性を有する材料であれば如何なる材料からなっていても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、外輪6の内周面に当接する制振部材2の外周面13,14が、玉7の軸方向の両方の側に存在したが、この発明では、外輪の内周面に当接する制振部材の外周面は、転動体の軸方向の一方の側のみに存在しても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、非分離な制振部材2を用いたが、この発明では、制振部材を、外輪の外周面に当接する内周面を有する第1制振部材と、外輪の内周面に当接する外周面を有すると共に、第1制振部材と分離した第2制振部材とで構成しても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置は、玉軸受1を含む構成であったが、この発明の転がり軸受装置は、ころ軸受(円筒ころ軸受、円錐ころ軸受)等、玉軸受以外の転がり軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、図1に示すように、玉軸受1の軸方向の両側において、内輪5と外輪6との間の開口が、シールされていない構造であった。しかしながら、この発明では、外輪の内周面に当接する制振部材の外周面が、転動体の軸方向の一方の側のみに存在し、内外輪の間の軸方向の他方の側の開口が、金属製の板からなるシール部材(シールド板)、または、金属製の芯金部とゴム製のシールリップとを有するシール部材でシールされていても良い。また、上記他方の側の開口をシール部材でシールする場合、シール部材は、回転輪に対して接触して摺動する構造であっても良く、回転輪に対して非接触なラビリンス構造であっても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、玉7を保持する保持器を使用したが、この発明の転がり軸受装置が玉軸受を含む構成である場合、保持器として、冠形保持器を使用しても良く、二つの環状部の間を複数の柱部で連結してなる構造の保持器を使用しても良い。また、この発明の転がり軸受装置は、保持器を有さない構造であっても良く、この発明の転がり軸受装置は、所謂総玉軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、制振部材2が外輪6に固定されている転がり軸受装置を、回転軸(図示せず)と、静止部材であるハウジング19との間に配置したが、この発明では、制振部材が外輪に固定されている転がり軸受装置を、静止部材である軸と、回転部材であるハウジング(スリーブ)との間に配置しても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、転がり軸受装置が、ハウジング19および回転軸によって、軸方向の移動が制限されない構造であったが、この発明では、ハウジングおよび軸の少なくとも一方における、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方に、径方向に延在する突出部を設け、この突出部に転がり軸受装置の端面を当接させることによって、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方の側の移動を制限するようにしても良い。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、図1に示すように、外輪6に制振部材2を組み付けた状態で、制振部材2の一方の部分における、外輪6の外周面20の径方向の外方に位置している軸方向の端面と、制振部材2の他方の部分における、外輪6の外周面20の径方向の外方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態となっている。しかしながら、この発明では、図2に示すように、外輪6に制振部材52を組み付けた状態で、制振部材52の一方の部分54における、外輪6の外周面20の径方向の外方に位置している軸方向の端面57と、制振部材52の他方の部分56における、外輪6の外周面20の径方向の外方に位置している軸方向の端面58とが、軸方向に隙間を有した状態で、軸方向に当接せずに対向した状態となっていても良い。この場合、図2に示すように、制振部材52の一方の部分54および制振部材52の他方の部分56の夫々が、断面矩形状の環状溝60,61を有することは、言うまでもない。
尚、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、制振部材2が、外輪6よりも大きな線膨張係数を有していたが、この発明では、制振部材を構成する双晶型制振合金材料が、外輪と同一の線膨張係数を有していても、または、外輪よりも小さな線膨張係数を有していても、いずれの場合でも、全ての温度領域で、制振部材を外輪に問題なく嵌合固定することができる。
詳しくは、制振部材が、外輪と同一の線膨張係数を有している場合、常温で、制振部材の内周面と外輪の外周面との間、および、制振部材の外周面と外輪の内周面との間のうちの少なくとも一方を、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくだけで、制振部材の内周面と外輪の外周面と嵌合いと、制振部材の外周面と外輪の内周面との嵌合いの両方が、温度変動によって殆ど変わらないことから、この場合、如何なる温度域においても、制振部材を、外輪に確実に嵌合固定することができる。
また、制振部材の線膨張係数が、外輪の線膨張係数よりも小さい場合、常温において、制振部材の内周面と外輪の外周面との間、および、外輪の内周面と制振部材の外周面との間を、外輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温よりも温度が高い領域では、外輪の内周面と制振部材の外周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材の内周面と外輪の外周面との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。一方、常温よりも温度が低い領域では、制振部材の内周面と外輪の外周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、外輪の内周面と制振部材の外周面との嵌合いが常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。このことから、如何なる温度においても、制振部材と外輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、制振部材と外輪との間でクリープが発生することを防止できる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。
第2実施形態では、制振部材202が、強磁性型制振合金材料からなっていることが、制振部材2が、双晶型制振合金材料からなっている第1実施形態の転がり軸受装置と異なる。
この転がり軸受装置は、転がり軸受の一例としての玉軸受201と、嵌合部材としての制振部材202とを備える。
上記玉軸受201は、内輪205と、外輪206と、転動体の一例としての玉207とを有する。内輪205、外輪206および玉207は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)からなっている。上記内輪205は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等の回転軸(図示せず)に外嵌されて固定されている。上記玉207は、内輪205の軌道面としての軌道溝と、外輪206の軌道面としての軌道溝との間に、保持器(図示しない)によって保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記制振部材202は、Fe−Al合金系の強磁性型制振合金材料からなっている。このことから、制振部材202の線膨張係数は、外輪206の線膨張係数よりも小さくなっている。
図3に示すように、上記制振部材202は、断面略凸形状の環状溝を有している。詳しくは、上記制振部材202は、外輪206の軸方向の半断面(外輪206の中心軸を境にした半分の領域)において、断面矩形状の内部空間を有する断面矩形状の枠において、長手方向に延びる二つの枠のうちで径方向内方に位置する枠部分における長手方向の中央部分が、切除されたような形状をしている。
すなわち、上記制振部材202は、外輪206の軌道溝を含む外輪206の内周面の中央部分を除いた外輪206の外面部分に当接する外面を有している。詳しくは、上記環状溝は、外輪206の外周面220に当接する第1周面、外輪206の軸方向の一方の側の端面に当接する第1端面、外輪206の軸方向の他方の側の端面に当接する第2端面、外輪206の内周面における軸方向の上記一方の側の端部221に当接する第2周面としての第1の第2周面、および、外輪206の内周面における軸方向の上記他方の側の端部222に当接する第2周面としての第2の第2周面とを有している。
換言すると、上記制振部材202は、上記第1周面に対応する内周面210、外輪206の軸方向の一方の側の端面に当接する軸方向の端面211、外輪206の軸方向の他方の側の端面に当接する軸方向の端面212、上記第1の第2周面に対応する外周面213、および、上記第2の第2周面に対応する外周面214を有している。
上記制振部材202の径方向の最外方の外周面218は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等のハウジング219の内周面240に締まり嵌めされている。また、上記制振部材2の内周面210は、常温において、外輪206の外周面220に締まり嵌めされている一方、制振部材202において、外輪206の径方向の内方に位置する外周面213,214は、外輪206の内周面の端部221,222に締まり嵌めされている。言い換えれば、常温において、制振部材202の内周面210は、外輪206の外周面220に外嵌されて固定されている一方、制振部材202の外周面213,214は、外輪206の内周面の端部221,222に内嵌されて固定されている。
上記制振部材202は、外輪206の中心軸の垂直二等分面を境に、2分割できる構造になっている。制振部材202を、外輪206に組み付けるときには、外輪206の軸方向の一方の側に、制振部材202の一方の部分を組み付けた後、外輪206の軸方向の他方の側に、制振部材202の他方の部分を組み付けて、外輪206に制振部材202を組み付けるようにする。
上記第2実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材202が、外輪206の外周面220に当接する内周面210と、外輪206の内周面の端部221,222に当接する外周面213,214とを有し、制振部材202の内周面210と外輪206の外周面220との間、および、外輪206の内周面の端部221,222と制振部材2の外周面213,214との間を、常温において、外輪206の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させているから、如何なる温度においても、外輪206の軌道溝の変形を抑制でき、かつ、制振部材202の内周面210と外輪206の外周面220との間、および、外輪206の内周面の端部221,222と制振部材202の外周面213,214との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、第2実施形態では、制振部材202の線膨張係数が、外輪206の線膨張係数よりも小さいから、常温において、制振部材202の内周面210と外輪206の外周面220との間、および、外輪206の内周面の端部221,222と制振部材202の外周面213,214との間を、外輪206の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域で、制振部材202と外輪206の線膨張係数の違いに起因して、制振部材202の外周面213,214と外輪206の内周面の端部221,222との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材202の内周面210と外輪206の外周面220との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、制振部材202と外輪206の線膨張係数の違いに起因して、制振部材202の内周面210と外輪206の外周面220との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材202の外周面の端部213,214と外輪206の内周面221,222との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合となる。
したがって、如何なる温度においても、制振部材202と外輪206とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、制振部材202と外輪206との間の嵌合いが所定以下まで弱くなることがなく、制振部材202と外輪206との間でクリープが発生することを防止できるのである。
換言すると、第2実施形態では、常温または常温以上の第1所定温度以下の領域において、制振部材202の外周面の端部213,214と外輪206の内周面221,222とは、締め代を有した状態で嵌合しており、常温または常温以下の第2所定温度(第1所定温度以下の温度)以上において、制振部材202の内周面210と外輪206の外周面220とは、締め代を有した状態で嵌合している。このことから、第2実施形態では、全ての温度領域において、制振部材202を外輪206に確実に固定できるのである。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置によれば、外輪206の内周面と嵌合する制振部材202の外周面213,214が、玉207の軸方向の両側に存在しているから、制振部材202を外輪206に係止する力を大きくすることができる。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材202が、外輪206の軌道溝を含む外輪206の内周面の中央部分を除いた外輪206の外面部分を囲むように配置され、制振部材202の外周面213,214が、玉209の軸方向の両側に存在しているから、制振部材202の質量を格段に大きくすることができる。したがって、マス効果、すなわち、制振部材の質量が大きくなるにしたがって制振部材の制振性が増大する効果によって、制振性を大幅に向上させることができる。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置によれば、上記制振部材202が、強磁性型制振合金材料からなる。本発明は、制振部材202が、外輪206の外周面220および内周面222の両方を抱く構成を有しているから、鋼材よりも線膨張係数が小さいため、高温になることによって鋼製の外輪206と制振部材202の嵌合いが、過剰に大きくなることを防止でき、制振性が低下することを抑制することができる。強磁性型制振合金材料は、嵌合いが大きくなり、圧縮歪みが大きくなると、損失係数が小さくなり、制振性が低下する。制振部材の損失係数と制振部材の嵌合する外輪の損失係数が同じになると、制振部材の制振性は制振部材の嵌合する外輪の制振性と同じになってしまう。
尚、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、内外輪205,206および玉207が、高炭素クロム軸受鋼製であったが、この発明では、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つは、浸炭焼入鋼(SAE5120)等、高炭素クロム軸受鋼製以外の鋼材からなっていても良い。また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、制振部材202が、Fe−Al合金系の強磁性型制振合金材料からなっていたが、この発明では、制振部材は、Fe−Al合金系以外の強磁性型制振合金材料からなっていても良い。具体的には、制振部材は、Fe−Cr系合金材料(例えば、サイレンタロイ(登録商標)やジェンタロイ(登録商標)等)、または、Co−Ni系合金等からなっていても良い。尚、強磁性型制振合金材料としては、例えば、特開昭52−73118号公報、特開平04−99148号公報および特開平06−220583号公報に記載されている強磁性型制振合金材料等がある。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、外輪206の内周面に当接する制振部材202の外周面213,214が、玉207の軸方向の両方の側に存在したが、この発明では、外輪の内周面に当接する制振部材の外周面は、転動体の軸方向の一方の側のみに存在しても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、非分離な制振部材202を用いたが、この発明では、制振部材を、外輪の外周面に当接する内周面を有する第1制振部材と、外輪の内周面に当接する外周面を有すると共に、第1制振部材と分離した第2制振部材とで構成しても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置は、玉軸受201を含む構成であったが、この発明の転がり軸受装置は、ころ軸受(円筒ころ軸受、円錐ころ軸受)等、玉軸受以外の転がり軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、図3に示すように、玉軸受201の軸方向の両側において、内輪205と外輪206との間の開口が、シールされていない構造であった。しかしながら、この発明では、外輪の内周面に当接する制振部材の外周面が、転動体の軸方向の一方の側のみに存在し、内外輪の間の軸方向の他方の側の開口が、金属製の板からなるシール部材(シールド板)、または、金属製の芯金部とゴム製のシールリップとを有するシール部材でシールされていても良い。また、上記他方の側の開口をシール部材でシールする場合、シール部材は、回転輪に対して接触して摺動する構造であっても良く、回転輪に対して非接触なラビリンス構造であっても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、玉207を保持する保持器を使用したが、この発明の転がり軸受装置が玉軸受を含む構成である場合、保持器として、冠形保持器を使用しても良く、二つの環状部の間を複数の柱部で連結してなる構造の保持器を使用しても良い。また、この発明の転がり軸受装置は、保持器を有さない構造であっても良く、この発明の転がり軸受装置は、所謂総玉軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、制振部材202が外輪206に固定されている転がり軸受装置を、回転軸(図示せず)と、静止部材であるハウジング219との間に配置したが、この発明では、制振部材が外輪に固定されている転がり軸受装置を、静止部材である軸と、回転部材であるハウジング(スリーブ)との間に配置しても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、転がり軸受装置が、ハウジング219および回転軸によって、軸方向の移動が制限されない構造であったが、この発明では、ハウジングおよび軸の少なくとも一方における、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方に、径方向に延在する突出部を設け、この突出部に転がり軸受装置の端面を当接させることによって、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方の側の移動を制限するようにしても良い。
また、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、図3に示すように、外輪206に制振部材202を組み付けた状態で、制振部材202の一方の部分における、外輪206の外周面220の径方向の外方に位置している軸方向の端面と、制振部材202の他方の部分における、外輪206の外周面220の径方向の外方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態となっている。しかしながら、この発明では、図4に示すように、外輪206に制振部材252を組み付けた状態で、制振部材252の一方の部分254における、外輪206の外周面220の径方向の外方に位置している軸方向の端面257と、制振部材252の他方の部分256における、外輪206の外周面220の径方向の外方に位置している軸方向の端面258とが、軸方向に隙間を有した状態で、軸方向に当接せずに対向した状態となっていても良い。この場合、図4に示すように、制振部材252の一方の部分254および制振部材252の他方の部分256の夫々が、断面矩形状の環状溝260,261を有することは、言うまでもない。
尚、上記第2実施形態の転がり軸受装置では、制振部材202が、外輪206よりも小さな線膨張係数を有していたが、この発明では、制振部材を構成する強磁性型制振合金材料が、外輪と同一の線膨張係数を有していても、または、外輪よりも大きな線膨張係数を有していても、いずれの場合でも、全ての温度領域で、制振部材を外輪に問題なく嵌合固定することができる。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。
この転がり軸受装置は、転がり軸受の一例としての玉軸受101と、嵌合部材としての制振部材102とを備える。
上記玉軸受1は、内輪105と、外輪106と、転動体の一例としての玉107とを有する。内輪105、外輪106および玉107は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)からなっている。上記外輪106の外周面140は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等のハウジング119の内周面141に内嵌されて固定されている。上記玉107は、内輪105の軌道面としての軌道溝と、外輪106の軌道面としての軌道溝との間に、保持器(図示しない)によって保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記制振部材102は、双晶型制振合金材料からなっている。制振部材102の線膨張係数は、内輪105の線膨張係数よりも大きくなっている。ここで、双晶型制振合金材としては、例えば、Mn−Cu系合金、Cu−Al−Ni系合金、Ti−Ni系合金等がある。
図5に示すように、上記制振部材102は、断面略凸形状の環状溝を有している。詳しくは、上記制振部材102は、内輪105の軸方向の半断面(内輪105の中心軸を境にした半分の領域)において、断面矩形状の内部空間を有する断面矩形状の枠において、長手方向に延びる二つの枠のうちで径方向外方に位置する枠部分における長手方向の中央部分が、切除されたような形状をしている。
すなわち、上記制振部材102は、内輪105の軌道溝を含む内輪105の外周面の中央部分を除いた内輪105の外面部分に当接する外面を有している。詳しくは、上記環状溝は、内輪105の内周面120に当接する第1周面、内輪105の軸方向の一方の側の端面に当接する第1端面、内輪105の軸方向の他方の側の端面に当接する第2端面、内輪105の外周面における軸方向の上記一方の側の端部121に当接する第2周面としての第1の第2周面、および、内輪105の外周面における軸方向の上記他方の側の端部122に当接する第2周面としての第2の第2周面とを有している。
換言すると、上記制振部材102は、上記第1周面に対応する内周面110、内輪105の軸方向の一方の側の端面に当接する軸方向の端面111、内輪105の軸方向の他方の側の端面に当接する軸方向の端面112、上記第1の第2周面に対応する内周面113、および、上記第2の第2周面に対応する内周面114を有している。
上記制振部材102の径方向の最内方の内周面118は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等の回転軸108に締まり嵌めされている。また、上記制振部材102の外周面110は、常温において、内輪105の内周面120に締まり嵌めされている一方、制振部材102において、内輪105の径方向の外方に位置する内周面113,114は、内輪105の外周面における軸方向の端部121,122に締まり嵌めされている。言い換えれば、常温において、制振部材102の外周面110は、内輪105の内周面120に内嵌されて固定されている一方、制振部材102の内周面113,114は、内輪105の外周面の端部121,122に外嵌されて固定されている。
上記制振部材102は、内輪105の中心軸の垂直二等分面を境に、2分割できる構造になっている。制振部材102を、内輪105に組み付けるときには、内輪105の軸方向の一方の側に、制振部材102の一方の部分を組み付けた後、内輪105の軸方向の他方の側に、制振部材102の他方の部分を組み付けて、内輪105に制振部材102を組み付けるようにする。
上記第3実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材102が、内輪105の内周面120に当接する外周面110と、内輪105の外周面の端部121,122に当接する内周面113,114とを有し、制振部材102の外周面110と内輪105の内周面120との間、および、内輪105の外周面の端部121,122と制振部材102の内周面113,114との間を、常温において、内輪105の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させているから、如何なる温度においても、制振部材102の外周面110と内輪105の内周面120との間、および、内輪105の外周面の端部121,122と制振部材102の内周面113,114との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、第3実施形態では、制振部材102の線膨張係数が、内輪105の線膨張係数よりも大きいから、常温において、制振部材102の外周面110と内輪105の内周面120との間、および、内輪105の外周面の端部121,122と制振部材102の内周面113,114との間を、内輪105の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域で、制振部材102と内輪105の線膨張係数の違いに起因して、制振部材102の内周面113,114と内輪105の外周面の端部121,122との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材102の外周面110と内輪105の内周面120との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域では、制振部材102と内輪105の線膨張係数の違いに起因して、制振部材102の外周面110と内輪105の内周面120との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材102の内周面113,114と内輪105の外周面の端部121,122との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合となる。
したがって、如何なる温度においても、制振部材102と内輪105とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、制振部材102と内輪105との間の嵌合いが所定以下まで弱くなることがなく、クリープが発生することを防止できるのである。
換言すると、第3実施形態では、常温または常温以上の第1所定温度以下の領域において、制振部材102の内周面113,114と、内輪105の外周面の端部121,122とは、締め代を有した状態で嵌合しており、常温または常温以下の第2所定温度(第1所定温度以下の温度)以上において、内輪105の内周面120と、制振部材102の外周面110とは、締め代を有した状態で嵌合している。このことから、第3実施形態では、全ての温度領域において、制振部材102を内輪105に確実に固定できるのである。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置によれば、内輪105の外周面と嵌合する制振部材102の内周面113,114が、玉107の軸方向の両側に存在しているから、制振部材102を内輪105に係止する力を大きくできる。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材102が、内輪105の軌道溝を含む内輪105の外周面の中央部分を除いた内輪105の外面部分を囲むように配置され、制振部材102の内周面113,114が、玉109における軸方向の両側に存在しているから、制振部材102の質量を格段に大きくすることができる。したがって、マス効果、すなわち、制振部材の質量が大きくなるにしたがって制振部材の制振性が増大する効果によって、制振性を格段に向上させることができる。
尚、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、内外輪105,106および玉107が、高炭素クロム軸受鋼製であったが、この発明では、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つは、浸炭焼入鋼(SAE5120)等、高炭素クロム軸受鋼製以外の鋼材からなっていても良い。また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、制振部材102が、双晶型制振合金材料からなっていたが、この発明では、制振部材は、防振ゴムまたは制振性を有する樹脂材料からなっていても良い。制振部材は、制振性を有する材料であれば如何なる材料からなっていても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、内輪105の外周面に当接する制振部材102の内周面113,114が、玉107の軸方向の両方の側に存在したが、この発明では、内輪の外周面に当接する制振部材の内周面は、転動体の軸方向の一方の側のみに存在しても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、非分離の制振部材102を用いたが、この発明では、制振部材を、内輪の内周面に当接する外周面を有する第1制振部材と、内輪の外周面に当接する内周面を有すると共に、第1制振部材と分離した第2制振部材とで構成しても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置は、玉軸受101を含む構成であったが、この発明の転がり軸受装置は、ころ軸受(円筒ころ軸受、円錐ころ軸受)等、玉軸受以外の転がり軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、図5に示すように、玉軸受101の軸方向の両側において、内輪105と外輪106との間の開口が、シールされていない構造であるが、この発明では、内輪の外周面に当接する制振部材の内周面が、転動体の軸方向の一方の側のみに存在し、内外輪の間の軸方向の他方の側の開口が、金属製の板からなるシール部材(シールド板)、または、金属製の芯金部とゴム製のシールリップとを有するシール部材でシールされていても良い。また、上記他方の側の開口をシール部材でシールする場合、シール部材は、回転輪に対して接触して摺動する構造であっても良く、回転輪に対して非接触なラビリンス構造であっても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、玉107を保持する保持器を使用したが、この発明の転がり軸受装置が玉軸受を含む構成である場合、保持器として、冠形保持器を使用しても良く、二つの環状部の間を複数の柱部で連結してなる構造の保持器を使用しても良い。また、この発明の転がり軸受装置は、保持器を有さない構造であっても良く、この発明の転がり軸受装置は、所謂総玉軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、制振部材102が内輪105に固定されている転がり軸受装置を、回転軸108と、静止部材であるハウジング119との間に配置したが、この発明では、制振部材が内輪に固定されている転がり軸受装置を、静止部材である軸と、回転部材であるハウジング(スリーブ)との間に配置しても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、転がり軸受装置が、ハウジング119および回転軸108によって、軸方向の移動が制限されない構造であったが、この発明では、ハウジングおよび軸の少なくとも一方における、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方に、径方向に延在する突出部を設け、この突出部に転がり軸受装置の端面を当接させることによって、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方の側の移動を制限するようにしても良い。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、図5に示すように、内輪105に制振部材102を組み付けた状態で、制振部材102の一方の部分における、内輪105の内周面120の径方向の内方に位置している軸方向の端面と、制振部材102の他方の部分における、内輪105の内周面120の径方向の内方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態となっている。しかしながら、この発明では、図6に示すように、内輪105に制振部材152を組み付けた状態で、制振部材152の一方の部分154における、内輪105の内周面120の径方向の内方に位置している軸方向の端面157と、制振部材152の他方の部分156における、内輪105の内周面120の径方向の内方に位置している軸方向の端面158とが、軸方向に隙間を有した状態で、軸方向に当接せずに対向した状態となっていても良い。この場合、図6に示すように、制振部材152の一方の部分154および制振部材152の他方の部分156の夫々が、断面矩形状の環状溝160,161を有することは、言うまでもない。
尚、上記第3実施形態の転がり軸受装置では、制振部材102が、内輪105よりも大きな線膨張係数を有していたが、この発明では、制振部材を構成する双晶型制振合金材料が、内輪と同一の線膨張係数を有していても、または、内輪よりも小さな線膨張係数を有していても、いずれの場合でも、全ての温度領域で、制振部材を内輪に問題なく嵌合固定することができる。
詳しくは、制振部材が、内輪と同一の線膨張係数を有している場合、常温で、制振部材の内周面と内輪の外周面との間、および、制振部材の外周面と内輪の内周面との間のうちの少なくとも一方を、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくだけで、制振部材の内周面と内輪の外周面と嵌合いと、制振部材の外周面と内輪の内周面との嵌合いの両方が、温度変動によって殆ど変わらないことから、この場合、如何なる温度域においても、制振部材を、内輪に確実に嵌合固定することができる。
また、制振部材の線膨張係数が、内輪の線膨張係数よりも小さい場合、常温において、制振部材の内周面と内輪の外周面との間、および、制振部材の外周面と内輪の内周面との間を、内輪の軌道面が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温よりも温度が高い領域では、制振部材の外周面と内輪の内周面との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材の内周面と内輪の外周面との間の嵌合いが、常温時よりも大きな締め代を有した状態の嵌合になる。一方、常温よりも温度が低い領域では、制振部材の内周面と内輪の外周面との間の嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材の外周面と内輪の内周面との嵌合いが常温時よりも大きな締め代を有した状態の嵌合になる。このことから、如何なる温度においても、制振部材と内輪とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、制振部材と内輪との間でクリープが発生することを防止できるのである。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。
第4実施形態では、制振部材302が、強磁性型制振合金材料からなっていることが、制振部材102が、双晶型制振合金材料からなっている第3実施形態の転がり軸受装置と異なる。
この転がり軸受装置は、転がり軸受の一例としての玉軸受301と、嵌合部材としての制振部材302とを備える。
上記玉軸受301は、内輪305と、外輪306と、転動体の一例としての玉307とを有する。内輪305、外輪306および玉307は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)からなっている。上記外輪306の外周面340は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等のハウジング319の内周面341に内嵌されて固定されている。上記玉307は、内輪305の軌道面としての軌道溝と、外輪306の軌道面としての軌道溝との間に、保持器(図示しない)によって保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記制振部材302は、Fe−Al合金系の強磁性型制振合金材料からなっている。このことから、制振部材302の線膨張係数は、内輪305の線膨張係数よりも小さくなっている。
図7に示すように、上記制振部材302は、断面略凸形状の環状溝を有している。詳しくは、上記制振部材302は、内輪305の軸方向の半断面(内輪305の中心軸を境にした半分の領域)において、断面矩形状の内部空間を有する断面矩形状の枠において、長手方向に延びる二つの枠のうちで径方向外方に位置する枠部分における長手方向の中央部分が、切除されたような形状をしている。
すなわち、上記制振部材302は、内輪305の軌道溝を含む内輪305の外周面の中央部分を除いた内輪305の外面部分に当接する外面を有している。詳しくは、上記環状溝は、内輪305の内周面320に当接する第1周面、内輪305の軸方向の一方の側の端面に当接する第1端面、内輪305の軸方向の他方の側の端面に当接する第2端面、内輪305の外周面における軸方向の上記一方の側の端部321に当接する第2周面としての第1の第2周面、および、内輪305の外周面における軸方向の上記他方の側の端部322に当接する第2周面としての第2の第2周面とを有している。
換言すると、上記制振部材302は、上記第1周面に対応する内周面310、内輪305の軸方向の一方の側の端面に当接する軸方向の端面311、内輪305の軸方向の他方の側の端面に当接する軸方向の端面312、上記第1の第2周面に対応する内周面313、および、上記第2の第2周面に対応する内周面314を有している。
上記制振部材302の径方向の最内方の内周面318は、この転がり軸受装置が設置されている工作機械等の回転軸308に締まり嵌めされている。また、上記制振部材302の外周面310は、常温において、内輪305の内周面320に締まり嵌めされている一方、制振部材302において、内輪305の径方向の外方に位置する内周面313,314は、内輪305の外周面における軸方向の端部321,322に締まり嵌めされている。言い換えれば、常温において、制振部材302の外周面310は、内輪305の内周面320に内嵌されて固定されている一方、制振部材302の内周面313,314は、内輪305の外周面の端部321,322に外嵌されて固定されている。
上記制振部材302は、内輪305の中心軸の垂直二等分面を境に、2分割できる構造になっている。制振部材302を、内輪305に組み付けるときには、内輪305の軸方向の一方の側に、制振部材302の一方の部分を組み付けた後、内輪305の軸方向の他方の側に、制振部材302の他方の部分を組み付けて、内輪305に制振部材302を組み付けるようにする。
上記第4実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材302が、内輪305の内周面320に当接する外周面310と、内輪305の外周面の端部321,322に当接する内周面313,314とを有し、制振部材302の外周面310と内輪305の内周面320との間、および、内輪305の外周面の端部321,322と制振部材302の内周面313,314との間を、常温において、内輪305の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させているから、如何なる温度においても、制振部材302の外周面310と内輪305の内周面320との間、および、内輪305の外周面の端部321,322と制振部材302の内周面313,314との間のうちの少なくとも一方を、締め代を有した状態で嵌合させることができる。
詳しくは、第4実施形態では、制振部材302の線膨張係数が、内輪305の線膨張係数よりも小さいから、常温において、制振部材302の外周面310と内輪305の内周面320との間、および、内輪305の外周面の端部321,322と制振部材302の内周面313,314との間を、内輪305の軌道溝が変形しない程度の締め代を有した状態で嵌合させておくと、常温より温度が高い領域で、制振部材302と内輪305の線膨張係数の違いに起因して、制振部材302の外周面310と内輪305の内周面320との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材302の内周面313,314と内輪305の外周面の端部321,322との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
一方、常温より温度が低い領域で、制振部材302と内輪305の線膨張係数の違いに起因して、制振部材302の内周面313,314と内輪305の外周面の端部321,322との嵌合いがルーズとなる場合があるが、その領域では、制振部材302の外周面310と内輪305の内周面320との嵌合いが、常温時よりも締め代が大きい状態の嵌合になる。
したがって、如何なる温度においても、制振部材302と内輪305とを、締め代を有した状態で嵌合させることができて、制振部材302と内輪305との間の嵌合いが所定以下まで弱くなることがなく、クリープが発生することを防止できるのである。
換言すると、第4実施形態では、常温または常温以上の第1所定温度以下の領域において、制振部材302の外周面310と内輪305の内周面320とは、締め代を有した状態で嵌合しており、常温または常温以下の第2所定温度(第1所定温度以下の温度)以上において、制振部材302の内周面313,314と内輪305の外周面の端部321,322とは、締め代を有した状態で嵌合している。このことから、第4実施形態では、全ての温度領域において、制振部材302を内輪305に確実に固定できるのである。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置によれば、内輪305の外周面と嵌合する制振部材302の内周面313,314が、玉307の軸方向の両側に存在しているから、制振部材302を内輪305に係止する力を大きくできる。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置によれば、制振部材302が、内輪305の軌道溝を含む内輪305の外周面の中央部分を除いた内輪305の外面部分を囲むように配置され、制振部材302の内周面313,314が、玉309における軸方向の両側に存在しているから、制振部材302の質量を格段に大きくすることができる。したがって、マス効果、すなわち、制振部材の質量が大きくなるにしたがって制振部材の制振性が増大する効果によって、制振性を格段に向上させることができる。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置によれば、上記制振部材302が、強磁性型制振合金材料からなる。本発明は、制振部材302が、内輪305の外周面322および内周面320の両方を抱く構成を有しているから、鋼材よりも線膨張係数が小さいため、高温になることによって鋼製の内輪305と制振部材202の嵌合いが、過剰に大きくなることを防止でき、制振性が低下することを抑制することができる。強磁性型制振合金材料は、嵌合いが大きくなり、圧縮歪みが大きくなると、損失係数が小さくなり、制振性が低下する。制振部材の損失係数と制振部材の嵌合する内輪の損失係数が同じになると、制振部材の制振性は制振部材の嵌合する内輪の制振性と同じになってしまう。
尚、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、内外輪305,306および玉307が、高炭素クロム軸受鋼製であったが、この発明では、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つは、浸炭焼入鋼(SAE5120)等、高炭素クロム軸受鋼製以外の鋼材からなっていても良い。また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、制振部材302が、Fe−Al合金系の強磁性型制振合金材料からなっていたが、この発明では、制振部材は、Fe−Al合金系以外の強磁性型制振合金材料からなっていても良い。具体的には、制振部材は、Fe−Cr系合金材料(例えば、サイレンタロイ(登録商標)やジェンタロイ(登録商標)等)、または、Co−Ni系合金等からなっていても良い。尚、強磁性型制振合金材料としては、例えば、特開昭52−73118号公報、特開平04−99148号公報および特開平06−220583号公報に記載されている強磁性型制振合金材料等がある。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、内輪305の外周面に当接する制振部材302の内周面313,314が、玉307の軸方向の両方の側に存在したが、この発明では、内輪の外周面に当接する制振部材の内周面は、転動体の軸方向の一方の側のみに存在しても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、非分離の制振部材302を用いたが、この発明では、制振部材を、内輪の内周面に当接する外周面を有する第1制振部材と、内輪の外周面に当接する内周面を有すると共に、第1制振部材と分離した第2制振部材とで構成しても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置は、玉軸受301を含む構成であったが、この発明の転がり軸受装置は、ころ軸受(円筒ころ軸受、円錐ころ軸受)等、玉軸受以外の転がり軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、図7に示すように、玉軸受301の軸方向の両側において、内輪305と外輪306との間の開口が、シールされていない構造であるが、この発明では、内輪の外周面に当接する制振部材の内周面が、転動体の軸方向の一方の側のみに存在し、内外輪の間の軸方向の他方の側の開口が、金属製の板からなるシール部材(シールド板)、または、金属製の芯金部とゴム製のシールリップとを有するシール部材でシールされていても良い。また、上記他方の側の開口をシール部材でシールする場合、シール部材は、回転輪に対して接触して摺動する構造であっても良く、回転輪に対して非接触なラビリンス構造であっても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、玉307を保持する保持器を使用したが、この発明の転がり軸受装置が玉軸受を含む構成である場合、保持器として、冠形保持器を使用しても良く、二つの環状部の間を複数の柱部で連結してなる構造の保持器を使用しても良い。また、この発明の転がり軸受装置は、保持器を有さない構造であっても良く、この発明の転がり軸受装置は、所謂総玉軸受を含む構成であっても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、制振部材302が内輪305に固定されている転がり軸受装置を、回転軸308と、静止部材であるハウジング319との間に配置したが、この発明では、制振部材が内輪に固定されている転がり軸受装置を、静止部材である軸と、回転部材であるハウジング(スリーブ)との間に配置しても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、転がり軸受装置が、ハウジング319および回転軸308によって、軸方向の移動が制限されない構造であったが、この発明では、ハウジングおよび軸の少なくとも一方における、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方に、径方向に延在する突出部を設け、この突出部に転がり軸受装置の端面を当接させることによって、転がり軸受装置の軸方向の少なくとも一方の側の移動を制限するようにしても良い。
また、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、図7に示すように、内輪305に制振部材302を組み付けた状態で、制振部材302の一方の部分における、内輪305の内周面320の径方向の内方に位置している軸方向の端面と、制振部材302の他方の部分における、内輪305の内周面320の径方向の内方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態となっている。しかしながら、この発明では、図8に示すように、内輪305に制振部材352を組み付けた状態で、制振部材352の一方の部分354における、内輪305の内周面320の径方向の内方に位置している軸方向の端面357と、制振部材352の他方の部分356における、内輪305の内周面320の径方向の内方に位置している軸方向の端面358とが、軸方向に隙間を有した状態で、軸方向に当接せずに対向した状態となっていても良い。この場合、図8に示すように、制振部材352の一方の部分354および制振部材352の他方の部分356の夫々が、断面矩形状の環状溝360,361を有することは、言うまでもない。
尚、上記第4実施形態の転がり軸受装置では、制振部材302が、内輪305よりも小さな線膨張係数を有していたが、この発明では、制振部材を構成する強磁性型制振合金材料が、内輪と同一の線膨張係数を有していても、または、内輪よりも大きな線膨張係数を有していても、いずれの場合でも、全ての温度領域で、制振部材を内輪に問題なく嵌合固定することができる。
尚、上記第1乃至第4実施形態では、嵌合部材は、制振部材であったが、この発明では、内輪および外輪のうちの少なくとも一方に、制振部材でない鋼製部材や、制振性を有さない樹脂部材等を嵌合しても良く、内輪および外輪のうちの少なくとも一方に、嵌合できる部材であれば、内輪および外輪のうちの少なくとも一方に、如何なる部材を嵌合しても良い。
また、本発明が、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、または、第2実施形態の変形例、が有する制振部材と、第3実施形態、第3実施形態の変形例、第4実施形態、または、第4実施形態の変形例が有する制振部材とを有する一体でない制振部材を備えていても良いことは、勿論である。
本発明の第1実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第2実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第2実施形態の変形例の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第3実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第3実施形態の変形例の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第4実施形態の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。 本発明の第4実施形態の変形例の転がり軸受装置の軸方向の断面図である。
1,101,201,301 玉軸受
2,52,102,152,202,252,302,352 制振部材
5,105,205,305 内輪
6,106,206,306 外輪
7,107,207,307 玉
10,210 制振部材の内周面
13,14,213,214 制振部材の外周面
20,220 外輪の外周面
21,22,221,222 外輪の内周面における軸方向の端部
110,310 制振部材の外周面
113,114,313,314 制振部材の内周面
120,320 内輪の内周面
121,122,321,322 内輪の外周面における軸方向の端部

Claims (9)

  1. 内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
    環状溝を有する嵌合部材と
    を備え、
    上記環状溝は、上記外輪の外周面に当接可能な第1周面と、上記外輪の内周面に当接可能な第2周面とを有し、
    第1所定温度以下において、上記外輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記外輪の上記外周面は、その外周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなり
    上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記外輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記外輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴とする転がり軸受装置。
  2. 内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
    環状溝を有する嵌合部材と
    を備え、
    上記環状溝は、上記外輪の外周面に当接可能な第1周面と、上記外輪の内周面に当接可能な第2周面とを有し、
    第1所定温度以下において、上記外輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記外輪の上記内周面は、その内周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなり
    上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記外輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記外輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴とする転がり軸受装置。
  3. 請求項1または2に記載の転がり軸受装置において、
    上記第2周面は、上記転動体の軸方向の両側に存在して、
    上記嵌合部材は、一方の部分と、他方の部分とを備え、
    上記一方の部分の上記外輪の外周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面と、上記他方の部分の上記外輪の外周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態であるか、または、当接せずに対向した状態であることを特徴とする転がり軸受装置
  4. 内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
    環状溝を有する嵌合部材と
    を備え、
    上記環状溝は、上記内輪の内周面に当接可能な第1周面と、上記内輪の外周面に当接可能な第2周面とを有し、
    第1所定温度以下において、上記内輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記内輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなり
    上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記内輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記内輪の上記内周面は、その内周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴とする転がり軸受装置。
  5. 内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
    環状溝を有する嵌合部材と
    を備え、
    上記環状溝は、上記内輪の内周面に当接可能な第1周面と、上記内輪の外周面に当接可能な第2周面とを有し、
    第1所定温度以下において、上記内輪の上記外周面は、その外周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記内輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に対して嵌合いがルーズとなり
    上記第1所定温度より所定温度低い第2所定温度以上において、上記内輪の上記内周面は、その内周面に径方向に対向する上記嵌合部材の上記第1周面に締め代を有した状態で嵌合しており、
    また、上記内輪の上記外周面は、その外周面の径方向に対向する上記嵌合部材の上記第2周面に対して嵌合いがルーズとなることを特徴とする転がり軸受装置。
  6. 請求項4または5に記載の転がり軸受装置において、
    上記第2周面は、上記転動体の軸方向の両側に存在して、
    上記嵌合部材は、一方の部分と、他方の部分とを備え、
    上記一方の部分の上記内輪の内周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面と、上記他方の部分の上記内輪の内周面の径方向の外方に位置している軸方向の端面とが、当接した状態であるか、または、当接せずに対向した状態であることを特徴とする転がり軸受装置
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の転がり軸受装置において、
    上記嵌合部材は、制振材料からなる制振部材であることを特徴とする転がり軸受装置。
  8. 請求項7に記載の転がり軸受装置において、
    上記制振材料は、双晶型制振合金材料であることを特徴とする転がり軸受装置。
  9. 請求項7に記載の転がり軸受装置において、
    上記制振材料は、強磁性型制振合金材料であることを特徴とする転がり軸受装置。
JP2006203170A 2006-07-26 2006-07-26 転がり軸受装置 Expired - Fee Related JP4811168B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006203170A JP4811168B2 (ja) 2006-07-26 2006-07-26 転がり軸受装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006203170A JP4811168B2 (ja) 2006-07-26 2006-07-26 転がり軸受装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008032042A JP2008032042A (ja) 2008-02-14
JP4811168B2 true JP4811168B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=39121701

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006203170A Expired - Fee Related JP4811168B2 (ja) 2006-07-26 2006-07-26 転がり軸受装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4811168B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010090952A (ja) * 2008-10-07 2010-04-22 Ntn Corp ボールねじ軸の支持構造
JP5942413B2 (ja) * 2011-12-20 2016-06-29 株式会社ジェイテクト クラッチレリーズ軸受装置
CN102797757A (zh) * 2012-08-21 2012-11-28 清华大学 一种用于电磁轴承的辅助轴承***
JP2014211178A (ja) * 2013-04-17 2014-11-13 株式会社ジェイテクト 分割転がり軸受装置およびロール組立品
JP6339336B2 (ja) * 2013-09-13 2018-06-06 株式会社ハイレックスコーポレーション 軸受構造

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49146341U (ja) * 1973-04-18 1974-12-17
JPS5512123U (ja) * 1978-07-08 1980-01-25
JP2001200854A (ja) * 2000-01-13 2001-07-27 Koyo Seiko Co Ltd 転がり軸受
JP2005127453A (ja) * 2003-10-27 2005-05-19 Koyo Seiko Co Ltd ころ軸受
JP2005308032A (ja) * 2004-04-19 2005-11-04 Ntn Corp 制振軸受
JP2006170420A (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Jtekt Corp 二つ割り軸受用外輪およびこれを備えた二つ割り軸受

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008032042A (ja) 2008-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5285457B2 (ja) 転がり軸受
JP4811168B2 (ja) 転がり軸受装置
US8157453B2 (en) Bearing device for wheel
JP5304524B2 (ja) 内輪と外輪および玉軸受
JP2010190241A (ja) 自動調心ころ軸受
JP2005076660A (ja) 転がり軸受装置
JP4735453B2 (ja) 転がり軸受装置
JP2013092206A (ja) シール付車輪支持用軸受ユニット
US7862241B2 (en) Rolling bearing apparatus
CN109661523B (zh) 车轴用轴承装置
JP4650341B2 (ja) 転がり軸受装置
JP4687494B2 (ja) 転がり軸受装置
JP5581719B2 (ja) スラストころ軸受
JP2008075677A (ja) 密封装置と密封装置を備えた車輪支持用ハブユニット
JP2016023727A (ja) 転がり軸受の密封装置及び転がり軸受
JP4380155B2 (ja) スラスト軸受
JP6396681B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP2008014475A (ja) 転がり軸受装置
JP2008025766A (ja) 円錐ころ軸受装置
JP2019060441A (ja) シール付き玉軸受
JP2008069841A (ja) 転がり軸受装置
JP2008069842A (ja) 転がり軸受装置
JP2008014366A (ja) 転がり軸受装置
JP5223460B2 (ja) クラッチレリーズ軸受
JP5056104B2 (ja) 転がり軸受装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110726

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110808

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees