JP4809229B2 - アルコール酸化触媒およびその合成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルコール類を酸化する有機酸化触媒に係り、とくに環境調和性に優れた有機触媒およびその合成方法に関する。本発明は、特には、ニトロキシルラジカルに基づく、アルコール類をアルデヒド類、ケトン類、およびカルボン酸類へ選択的に酸化する技術に関連する。
アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸およびその誘導体(カルボニル化合物)は、有機合成化学における最も重要な構築ブロック類の一つである。それらを製造するための調製方法の広範な集積は、第1級アルコール類及び第2級アルコール類を、アルデヒド類、ケトン類及びカルボン酸類のための理想的な原料とさせている。アルコール類のカルボニル化合物への酸化は、有機合成における最も基本的な反応の一つであり、従来から、多数の優れた酸化剤や酸化方法が開発されてきた。従来は、遷移金属等の重金属を用いた酸化剤によりアルコール類の酸化反応が行なわれてきた。慣用の酸化剤類は、重金属試薬類、例えばクロム(VI)化合物類、ルテニウム、マンガン及びバナジウム化合物類、過酸類、活性化されたジメチルスルホキシド(DMSO)並びに超原子価のヨウ素化合物類である。
しかし、遷移金属等の重金属は、環境への悪影響が懸念され、さらに、アルコール類の酸化反応の重要性ゆえに、アルコール類の酸化反応には更なる効率化と環境調和性の向上が望まれていた。多くの酸化反応の不利な点は、それらがしばしば比較的取り扱いにくいか、または調製もしくは取り扱いが困難であることである。重金属含有試薬は、特に大抵の場合に、毒性が強く、環境に非常に有害である。このことは用いる意図が工業的であるとき、決定的に重要である。
近年、非特許文献1に示された実験を契機として、従来の重金属を用いた酸化剤に代えて、2,2,6,6−tetramethylpiperidin−N−oxyl(以下TEMPOともいう)を、アルコール類の酸化触媒として広く利用するようになっている。その反応機構を図2に示す。TEMPOは、重金属に比べて、低環境負荷型の有機酸化剤であるといわれているが、開発当初は、有機系共酸化剤であるmCPBAなどとともに用いられていた。その後、優れた共酸化剤として安価で、簡便な操作性を有し、さらには低環境負荷型のNaOClが見出され、TEMPOはそれらとともに使用されてきた。しかしTEMPOを酸化剤として使用すると、分子内にオレフィンを有する化合物の場合には分解が起こるため、NaOCl以外にも、例えば非特許文献2、非特許文献3に示されるように、様々な共酸化剤とTEMPOの組合せが試行されている。
特開2000−95862号公報 平成06年特許願第69190号公報 Golubev V.A.et al:Izv.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.1965,p.1 927. Lidia D.L.,et al:J.Org.Chem.2003,vol.68,p.4999. Miller R.A.,et al:Org.Lett.2003, vol.53,p.285.
しかしながら、アルコール類の酸化触媒として広く利用されているTEMPOにも、いくつかの問題点が残されていた。TEMPOは、一級水酸基と二級水酸基とが共存する基質での優れた一級選択酸化触媒であるが、さらに立体的に込み入った構造の二級アルコールの酸化には有効でなく触媒性能に限界を有するという問題があった。例えば、TEMPOは、2級アルコール類で立体構造が嵩高い場合、反応の収率が著しく低下してしまうという弱点を有している。また、TEMPOは、その化学構造に由来して図3に示すような分解が起こり易いという化学構造上の安定性にも問題があった。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、化学構造上も安定性に富み、しかも環境調和性に優れ、さらに効率的な酸化が可能なアルコール類の有機酸化触媒およびその合成方法を提案することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、鋭意考究した結果、酸化の活性種として知られるオキソアンモニウムイオン種に着目した。そして、オキソアンモニウム基をアダマンタン骨格上に組み込むことを想到した。これにより、Bredt則によりα位の水素が安定化し、オキソアンモニウム基の安定性が保証され、TEMPOにくらべて活性中心近傍の立体障害性が減少し、広い反応場を確保でき、立体的に複雑な構造を有するアルコール類の触媒的酸化を効率的に進行できるとともに、アダマンタン骨格に由来して高い化学構造上の安定性が付与されることが期待できることに思い至った。
そして、本発明者らは、1−アダマンタノールから出発して、ニトロキシル基(N−オキシル基)をアダマンタン骨格上に組み込んだ、1−アルキル−2−アザアダマンタン−N−オキシル、特には1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル(1−methyl−2−azaadamantane−N−oxyl、以下、1−methyl−AZADOともいう)を合成することに成功した。そして、この化合物は、環境への負荷も少なく、1級アルコールに対してTEMPOよりも高い触媒回転率を示すのみならず、TEMPOでは酸化が困難であった、立体的に複雑な構造を有する2級アルコールをも高効率に酸化できる有機酸化触媒となることを見出した。さらに、合成法の操作性および効率性を向上させて総収率を向上させる技術の開発にも成功している。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)次式(1):
Figure 0004809229
(上式中、Rは、アルキル基を示す)
で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体。
(2) 式(2):
Figure 0004809229
(上式中、Rは、アルキル基を示す)
で表されるアザアダマンタン化合物又はその誘導体を酸化する工程を少なくとも経由することを特徴とする上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体の製造方法。
(3)式(3):
Figure 0004809229
(上式中、Rは、アルキル基又はビシクロ環に二重結合で結合しているアルキリデン基を示す)
で表されるビシクロ〔3.3.1〕ノナニル−3−アミン化合物又はその誘導体を閉環処理せしめてアザアダマンタン環を形成せしめ、得られた上記式(2)で表されるアザアダマンタン化合物又はその誘導体を酸化する工程を少なくとも経由することを特徴とする上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体の製造方法。
(4)1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られるビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンをヨウ素と処理してヨウ素体を合成する第一の工程及び、該ヨウ素体を脱ヨウ素化、水素化、又はアルキル化したのち、酸化する第二の工程からなる群から選択された工程を少なくとも経由することを特徴とする上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体の製造方法。
(5)1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られるビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンをカルバメート化剤と処理してカルバメート体を合成する第一の工程及び、該カルバメート体を酸性処理してアザアダマンタン骨格を形成したのち、脱保護し、酸化する第二の工程からなる群から選択された工程を少なくとも経由することを特徴とする上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体の製造方法。
(6)上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体を含有することを特徴とする有機化合物合成用触媒。
(7)有機化合物の酸化触媒であることを特徴とする上記(6)に記載の触媒。
(8) 有機化合物が、アルコール類であることを特徴とする上記(6)又は(7)に記載の触媒。
(9)上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体の存在下に、アルコール類を酸化せしめて、対応するオキソ体を合成することを特徴とするアルコール類の酸化方法。
(10)アルコール類を酸化させる有機酸化触媒であって、アダマンタン骨格上に、オキソアンモニウム基を組み込んだ、次式(4)
Figure 0004809229
で表示される1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル(1−methyl−2−azaadamantane−N−oxyl)であることを特徴とする環境調和性に優れたアルコール酸化触媒。
(11)アルコール類を酸化させる有機酸化触媒の合成方法であって、1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られるビシクロ体(7−methylenebicyclo[3.3.1]nonan−3−one)を基礎原料とし、該ビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンをヨウ素と処理してヨウ素体(1−iodomethyl−2−azaadamantane)を合成する第一の工程と、該ヨウ素体を脱ヨウ素したのち、酸化し1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルとする第二の工程と、を順次行うことを特徴とする環境調和性に優れた有機酸化触媒の合成方法。
(2) 式(2):
Figure 0004809229
(上式中、Rは、アルキル基を示す)
で表されるアザアダマンタン化合物又はその誘導体。
本発明によれば、アルコール類を酸化させる有機酸化触媒であって、アダマンタン骨格上にニトロキシル基を組み込んだ、1−アルキル−2−アザアダマンタン−2−オキシルである化合物を簡便かつ高収率で合成する技術も提供している。本発明は、1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られるビシクロ体を基礎原料として、該ビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンを塩化カルボベンジルオキシと処理してカルバメート体とし、該カルバメート体を2規定塩酸水溶液にて処理してアザアダマンタン体を合成する第一の工程と、アザアダマンタン体のカルバモイル基を脱保護、酸化し1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルとする第二の工程と、を順次行うことを特徴とする式(1)の化合物の合成方法を提供する。本発明は、上記式(1)の有機化合物を有機酸化触媒として用いる、有機化合物の酸化方法、および上記式(1)の化合物と塩素から調整される、オキソアンモニウム塩を酸化剤として用いる有機化合物の酸化方法を提供する。
本発明によれば、比較的簡単な構造のアルコール類はもちろん、複雑な立体構造を有するアルコール類の酸化をも高効率に、しかも環境への負荷を少なくして行なうことができ、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、比較的簡単な構造のアルコール類の酸化においては、従来の触媒に比較して少ない使用量でも高い収率で生成物が得られるという効果もある。また、本発明によれば、医薬品や、香料、液晶等の有機機能性物質の製造に必須の化学反応であるアルコール酸化反応を効率高く、しかも高度な環境調和性を維持して行うことができるという効果もある。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容は本明細書の開示に含めて解釈されるべきものである。
本発明の1−methyl−AZADOの好ましい合成工程の一例を示す模式的説明図である。 従来のアルコール酸化触媒であるTEMPOの反応機構を示す説明図である。 TEMPOの分解を説明する説明図である。 本発明の1−アルキル−2−アザアダマンタン−N−オキシルの簡便かつ高収率な合成工程を示す模式的説明図である。
本発明では、有機化合物合成用触媒、特には有機触媒であって酸化触媒として有用な、上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体、その合成中間体(例えば、上記式(2)で表されるアザアダマンタン化合物又はその誘導体、上記式(3) で表されるビシクロ〔3.3.1〕ノナニル−3−アミン化合物又はその誘導体、それから誘導されるヨウ素体、カルバメート体など)を提供しているし、それらの合成技術、利用技術を提供している。
本明細書中、置換基R及びRにおける「アルキル基」とは、当該分野で知られているもので且つ所要の目的を達成できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、低級アルキル基を挙げることができ、該「低級アルキル基」としては、炭素原子数1〜5個のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などである。特には、メチル基が好ましい。
置換基Rにおける「アルキリデン基」とは、当該分野で知られているもので且つ所要の目的を達成できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、低級アルキリデン基を挙げることができ、該「低級アルキリデン基」としては、炭素原子数1〜5個のアルキリデン基であり、具体的にはメチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基(1−メチルエチリデン基)、ブチリデン基、sec−ブチリデン基などである。特には、メチリデン基が好ましい。
上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体のうち、代表例である1−アルキル−2−アザアダマンタン−N−オキシルにつき、以下、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル(1−methyl−2−azaadamantane−N−oxyl: 1−methyl−AZADO)を例にして、具体的な説明をするが、他のものについても同様に準じてそれを適用できることは当業者には明らかである。
本発明の有機酸化触媒である1−methyl−AZADOは、アダマンタン骨格上に、ニトロキシル基を組み込んだアザアダマンタン−N−オキシル型化合物であるニトロキシル基の酸化によって生成する。オキソアンモニウムイオンは、穏和な条件下でアルコール類を対応するアルデヒド、ケトンへと速やかに酸化する化学種である。本発明の有機酸化触媒である1−methyl−AZADOは、アダマンタン骨格上に、このオキソアンモニウムイオンを安定に生成する。
1−methyl−AZADOは、次式(4)
Figure 0004809229
で表示される構造を有する。1−methyl−AZADOは、256nm付近に強いUV吸収をもつ揮発性の赤色半結晶である。オキソアンモニウム基をアダマンタン骨格上に組み込むことにより、Bredt則によりα位の水素が安定化し、オキソアンモニウム基の安定性が保証され、TEMPOにくらべて立体障害が減少し、広い反応場を確保できる。このため、TEMPOでは酸化が困難であった、立体的に複雑な構造を有する2級アルコールをも高効率に酸化することができる。また、この化合物は、アダマンタン骨格に由来して高い化学構造上の安定性が付与され、TEMPOにみられるような分解の可能性を大幅に低減させることができる。
次に、1−methyl−AZADOの好ましい合成方法について説明する。
本発明では、好ましくは、1−アダマンタノール(5)に、水酸基を導入し1,3−アダマンタンジオールとし、この1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られたビシクロ体(6)(7−methylenebicyclo[3.3.1]−nonan−3−one)を基礎原料とする。典型的には、Muraoka,O.et al.,Syn.Commun.,26:1555(1996)に準じて行うことができる。本発明では、このビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンをヨウ素と処理してヨウ素体(7)(1−iodomethyl−2−azaadamantane)を合成する第一の工程と、該ヨウ素体を脱ヨウ素したのち、酸化し1−methyl−AZADO(4)を合成する第二の工程と、を順次行う。上記のアミンヘの還元処理は、例えば、Ipaktschi,J.et al.,Chem.Ber.,117:856(1984)などを参考にしてその反応を行うことができる。上記のN−オキシル形成の酸化処理は、例えば、Rychnovsky,et al.,J.Org.Chem.,61:119(1996)などを参考にしてその反応を行うことができる。これらの工程を図1に示す。
基礎原料であるビシクロ体は、1−アダマンタノールのCHCN・CCl・HO溶液にNaIO、RuClを順次加えて60℃で反応させ、1−アダマンタノールに水酸基を導入しジオールとする第一の反応と、このジオールのbenzene・pyridine溶液にTsClを加えて70℃で反応させ、ビシクロ体を得る第二の反応とを順次行なわせて得ることが好ましい。
本発明の第一の工程では、上記した基礎原料であるビシクロ体のpyridine溶液にHONH・HClを加え、オキシムとする第一の反応と、このオキシムのMeOH溶液に、MoOを加え、ついで氷冷下のNaBHを加えて同温で反応させ、アミンへ還元する第二の反応と、このアミンのCHCN溶媒に、遮光下Iを加え室温で反応させ、ヨウ素体を得る第三の反応とを行わせる。なお、第一の反応で使用するHONH・HClに代えて、HONH、あるいはHONH・HSO、HONH・CHCOOH、HONH・HPO等の試薬を用いてもほぼ同等の結果が得られる。また、第三の反応では、Iに代えて、N−ヨードコハク酸イミドを用いてもよい。
第二の工程では、第一の工程で得られたヨウ素体のTHF溶液に、室温でLiAlHを加えて加熱反応させ、脱ヨウ素化しアミンとする第一の反応と、このアミンのHO−MeOH溶液に、室温でNaWO−2HOを加え攪拌したのち、氷冷下まで冷却し30%Hを滴下し、あるいは有機系共酸化剤mCPBAなどを添加し、攪拌したのち室温まで昇温し反応させて、1−methyl−AZADOを得る第二の反応を行なわせる。なお、第一の反応で用いるLiAlHに代えて、種々のアルミニウムヒドリド試薬を用いても同等の結果を得ることができる。
これらの工程を順次施すことにより、環境調和性に優れた有機酸化触媒となる、1−methyl−AZADOを合成できる。
図4は本発明の別の実施態様による1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルの合成を示す図である。以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明では、好ましくは、1−アダマンタノールに水酸基を導入し、1,3−アダマンタンジオールとし、この1,3−アダマンタンジオールのGrob型開裂反応により得られたビシクロ体を基礎原料とする。本発明では、このビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンを塩化カルボベンジルオキシと処理してカルバメート体とし、該カルバメート体を2規定塩酸水溶液にて処理してアザアダマンタン体を合成する第一の工程と、アザアダマンタン体のカルバモイル基を脱保護、酸化し1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルとする第二の工程と、を順次行う。以上の説明で、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル(1−methyl−AZADO)に代えて、上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体に置き換えて解釈できることは明らかである。
また、本発明に用いるアミンの保護基としては、実施例に記載したベンジルオキシカルボニル基に限らず、アミノ基の保護基であるならば、特に、限定されるものではない。また、アザアダマンタンへの閉環条件も塩酸に限らず、プロトン酸、あるいはルイス酸であるならば、特に限定されるものではない。
本態様の合成法では、その操作性が向上されて7工程で、例えば総収率46%で1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシルの合成を可能とする。
本発明の有機ニトロキシルラジカルである1−アルキル−2−アザアダマンタン−2−オキシルは、その触媒量の使用によって、第1級および第2級アルコール類を、水性ナトリウムハイポクロライト溶液を用いて、相当するカルボニル化合物へ変換することができる。
上記式(2)で表されるアザアダマンタン化合物又はその誘導体を酸化して上記(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体を得る反応は、上記した手法、条件下、及び本明細書に開示の手法、条件下で行うことができ、例えば、無水又は含水のメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール溶媒など適当な溶媒中で、NaWO−2HO、H2、NaOCl、有機系共酸化剤などの酸化剤、Lidia D.L.,et al:J.Org.Chem.2003,vol.68,p.4999 Miller R.A.,et al:Org.Lett.2003,vol.53,p.285などに開示の様々な共酸化剤などを接触することで行うことができる。本酸化は、酸素あるいはオゾンなどの活性酸素を含有する気体を反応混合物中に吹き込むことでも行なうことができる。
上記式(3)で表されるビシクロ〔3.3.1〕ノナニル−3−アミン化合物又はその誘導体を閉環処理せしめてアザアダマンタン環を形成せしめ、上記式(2)で表されるアザアダマンタン化合物又はその誘導体を得る反応は、上記した手法、条件下、及び本明細書に開示の手法、条件下で行うことができ、例えば、I、N−ヨードコハク酸イミドなどのヨウ素化剤で処理してヨウ素化物を形成した後、LiAlHなどの水素化アルミニュウムアルカリ金属を含めた還元剤で処理するとか、あるいは塩化カルボベンジルオキシなどのカルバメート化剤を含めたアミノ基の保護基の導入化剤での処理と、引き続いての塩酸などのプロトン酸などによる処理などにより達成できる。
本発明で開示の化合物は、遊離の状態のもの、さらにはその塩のほか、その水和物およびその溶媒和物、そして、化合物分子中に存在する官能基から誘導されたもののいかなる誘導体であってもよい。それら化合物のうちには2つ以上の互変異性体として存在する場合も含まれてよいし、また1個〜複数個の不斉炭素原子を有する場合もあってよいし、その場合、これに基づく(R)体、(S)体等の光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー等が存在する。本発明は、これらの異性体の分離されたものあるいは混合物を全て包含する。本発明で開示の化合物は、ある場合には、水和物、エタノール等の溶媒和物や結晶多形の物質として単離することができる。化合物の塩としては、好適には、使用可能な無毒性ないし低毒性の無機酸および有機酸の塩、無機塩基及び有機塩基との塩が挙げられ、具体的には、ハロゲン原子の陰イオン(例、Cl、Br、Iなど)などとの塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。さらには、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、エチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、アニリン塩、ピリジン塩、ピペリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等が挙げられる。
上記記載の反応は、溶媒の存在下もしくは非存在下に行うことができ、溶媒の存在下に反応を行う場合は、反応に悪影響を及ぼさない常用の溶媒が使用可能であり、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エステル類、エーテル類、脂肪族ハロゲン炭化水素類、アルコール類、アミド類、有機酸類、水等が挙げられ、好適なものとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸、酢酸、ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルイミダゾリジノン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピペリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、ベンゼン、キシレン、へキサン、ペンタン、ヘプタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、塩化メチレン等が使用される。溶媒は、これらの一種又は二種以上の適宜の混合物であってもよいし、無水又は含水のものであってもよく、適宜選択して利用される。反応温度は、−80〜200℃程度であり、好ましくは室温〜150℃程度である。反応時間は、所定の反応が完結するように選択できるが、一般的には約1時間ないし約40時間行われる。
アミノ基の保護基としては、例えば置換基を有していてもよいC1−6アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニルなど)、ホルミル、フェニルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルなど)、フェニルオキシカルボニル(例えば、ベンズオキシカルボニルなど)、C7−10アラルキルオキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルなど)、トリチル、フタロイルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜3個程度である。カルボキシル基の保護基としては、例えば置換基を有していてもよいC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル、トリチル、シリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、ホルミル、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1〜3個程度である。保護基の導入および除去方法としては、それ自体公知またはそれに準じる方法〔例えば、Protective Groups in Organic Chemistry(J.F.W.McOmieet al.,Plenum Press;Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Edition(Theodora W.Greene,Peter G.M.Wuts,John Wiley&Sons,Inc.(ISBN:0−471−16019−9),April 1999)に記載の方法)が用いられるが、除去方法としては、例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどで処理する方法が用いられる。
還元試薬としては、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、または水素化ホウ素ナトリウム等を挙げることができる。
開示の化合物は、適宜、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより、必要に応じて、単離精製することができる。
本発明の有機化合物合成用触媒は、上記式(1)で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物又はその誘導体を含有することを特徴とし、式(1)の化合物又はその誘導体の触媒としての有効量を含有しているものであればよい。触媒としての使用に当っては、反応原料を含有する混合物中に式(1)の化合物又はその誘導体を添加するものであっても、あるいは式(1)の化合物又はその誘導体を含有している溶媒中に反応原料を添加するものであってもよい。式(1)の化合物又はその誘導体は、その原料有機化合物に対する使用割合は、所定の触媒活性が得られる限り、特に制限されないが、例えば、モル比で1/100,000〜1/1、好ましくは1/10,000〜2/3、より好ましくは1/1,000〜1/10で使用できる。本触媒は、式(1)の化合物又はその誘導体と、水性ナトリウムハイポクロライト溶液などの酸化剤との混合物の状態で、反応混合物中に添加されるものであってもよい。該触媒は、典型的には有機化合物の酸化反応に有用であり、例えば、酸化反応に感受性の基を含有する有機化合物を酸化するのに使用できる。該酸化反応に感受性の基としては、−OH基、=O基などが挙げられる。有機化合物としては、水酸基、カルボニル基などを有するものが挙げられ、例えば、Chemical Abstractsのデータベースを使用して検索して見出すことができ、それらを適宜選択使用できる。代表的な有機化合物としては、例えば、アルコール類、チオール類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類及びその誘導体(酸ハライド、エステルなどを包含する)などが含められる。
アルコールとしては、例えば、式A−CH−OH、あるいはA−CH(OH)−Bを有する第1級および第2級アルコール類が挙げられ、それらは当該触媒存在下、例えば、水性ナトリウムハイポクロライト溶液などの酸化剤を用いて、相当するカルボニル化合物へ変換することができる。酸化剤としては、上記式(2)の化合物又はその誘導体の酸化で利用できるものを、ここでも使用できる。
上記置換基A及びBとしては、反応に悪影響を及ぼさない有機基であれば特に制限はなく、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよい芳香族同素または複素環を示す。上記置換基A及びBで表される「置換されていてもよいアルキル基」におけるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルプロピル等のC1−6アルキル等を用いることができる。ここで、アルキル基の置換基としては、低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のC1−6アルコキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等のC1−6アルキル等)、低級アルケニル基(例、ビニル、アリル等のC2−6アルケニル等)、低級アルキニル基(例、エチニル、プロパルギル等のC2−6アルキニル等)、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいスルホニル基、置換されていてもよいスルホニルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、置換されていてもよいアミジノ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル等)、置換されていてもよいカルバモイル基(例、5ないし6員の単環式芳香族複素環(例、ピリジニル等)で置換されていてもよいC1−6アルキル基またはアシル基(例、ホルミル、C2−6アルカノイル、ベンゾイル、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)で置換されていてもよいカルバモイル基、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニル等)、下記置換されていてもよいシクロアルキル基」あるいは「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」で置換されているアルキル基、下記置換されていてもよいシクロアルキル基」あるいは「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」で置換されているアルケニル基、下記置換されていてもよいシクロアルキル基」あるいは「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」で置換されているアルコキシ基、下記置換されていてもよいシクロアルキル基」あるいは「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」で置換されている水酸基、下記置換されていてもよいシクロアルキル基」あるいは「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」で置換されているアミノ基、下記置換されていてもよいシクロアルキル基」あるいは「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」で置換されているアシル基等を用いることができ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1ないし3個置換していてもよい。
上記置換基A及びBで表される「置換されていてもよいシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−7シクロアルキル等を用いることができる。ここで、シクロアルキル基の置換基としては、上記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
上記置換基A及びBで表される「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」の芳香族同素または複素環としては、例えば単環式もしくは縮合多環式芳香族炭素環、または単環式もしくは縮合多環式芳香族複素環を用いることができる。好ましくはC6−14芳香族炭素環(アリール基)または5ないし14員芳香族複素環(ヘテロアリール基)を用いることができ、より好ましくはC6−10芳香族炭素環(アリール基)または5ないし10員芳香族複素環(ヘテロアリール基)であり、さらに好ましくはC芳香族炭素環(アリール基)または5ないし6員芳香族複素環(ヘテロアリール基)である。「芳香族同素環」として具体的に例示すると、例えばペンタゾール;フェニル、ナフチル、アントリル、アズレニル、フェナントリル、アセナフチレニル等のC6−14アリール基等が好ましく、中でもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が特に好ましい。「芳香族複素環」としては、例えば環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環等を用いることができる。「芳香族複素環」として具体的に例示すると、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の単環式芳香族複素環、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズインダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、ブテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリダジニル等の8〜12員の縮合多環式芳香族複素環等を用いることができる。好ましくは5ないし6員の単環式芳香族複素環を用いることができる。ここで、「置換されていてもよい芳香族同素または複素環」の置換基としては、必要により有機化学合成の常法により保護されていてもよく、反応に影響をおよぼさない限り特に制限はなく、さらに当該分野で公知のものであってよい。
本酸化反応は、当該分野において知られている条件を採用することができ、例えば、該触媒の有効量の存在下に反応原料を含有する溶液中へ、酸化剤を添加するとか、反応原料を含有する溶液中へ該触媒の有効量を添加した後、酸化剤を添加するなどにより実施できる。酸化反応は、通常、溶媒中で行われ、溶媒としては、上記したものの中から適宜選択して使用できる。反応原料の種類及び量、触媒の量、酸化剤の種類及び量、溶媒の種類及び量、反応時間、反応温度、攪拌などの酸化反応の条件などについては、特定の対象に応じて、適宜選択でき、必要に応じては、実験を行って最適な条件あるいはより好ましい条件を選択してよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に詳細に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
1−アダマンタノールを出発原料とし、1−アダマンタノール(50.4mmol)のCHCN−CCl−HO(3:3:1v/v)溶液(123ml)にNaIO(116mmol)、RuCl(0.5mmol)を順次加えて60℃で7時間攪拌し反応させたのち、抽出し、乾燥して粗ジオールを得た。ついで、精製することなくこのジオールのbenzene−pyridine(1:1v/v)溶液(150ml)にTsCl(77mmol)を加えて70℃で攪拌し反応させたのち、抽出、乾燥後、残渣からビシクロ体を得た。
ついで、このビシクロ体を基礎原料とし、ビシクロ体(25mmol)のpyridine溶液(38ml)にHONH・HCl(50mmol)を加え、4時間攪拌して反応させたのち、抽出、洗浄、乾燥して、残渣からオキシムを得た。得られたオキシム(25mmol)のMeOH溶液(250ml)に、MoO(30mmol)を加え10分間攪拌したのち、氷冷下のNaBH(120mmol)を加えて同温で2時間攪拌して反応させたのち、抽出、乾燥して、粗アミンを得た。この粗アミンのCHCN溶液に遮光化、I(25mol)を加え室温で3時間攪拌して反応させたのち、抽出、洗浄、乾燥し、残渣からヨウ素体を得た。
ついで、ヨウ素体(12mmol)のTHF溶液(60ml)に、室温でLiAlH(14.5mmol)を加えたのち、30分間加熱還流し反応させ、氷冷下まで冷却後30%NH液を加えて攪拌したのち、反応溶液をろ過し、得られた固体を溶解し、アミンを析出させ、粗結晶のアミンを得た。このアミンのHO−MeOH溶液(100ml)に、室温でNaWO−2HO(1.2mmol)を加え攪拌し、反応溶液が白濁していることを確認し、氷冷下まで冷却し30%H(51mmol)を滴下し攪拌したのち室温まで昇温しさらに攪拌し反応させた。反応溶液から溶媒を除去し残渣から、1−methyl−AZADOを得た。本化合物は、加速電圧3kV、イオン化電圧70eV、イオン化電流300μAの条件で電子イオン化して質量分析を行うと、m/z166に分子イオンピークを、m/z93に基準ピーク(100%)を与える。他に、m/z79、107、134、149に特徴的なフラグメントイオンピークを与える。
1−アダマンタノール(20g,131mmol)のCHCN−CCl−HO(120ml,3:3:1v/v)溶液に、NaIO(67g,302mmol), RuCl(540mg,1.3mmol)を順次加え、60℃で7時間強く攪拌した。10% Na,aq.NaHCOを順次加え、AcOEtで抽出した。有機層をMgSOで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、粗ジオール(19.6g)を得た。本化合物は精製することなく、次反応に用いた。粗ジオールのbenzene−pyridine (200ml,1:1v/v)溶液にp−TsCl(56g,290mmol)を加え、70℃で攪拌した。反応の終了を確認した後、HOを加えEtOで抽出した。有機層をbrineで洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、AcOEt−hexane(1:8v/v)の流分より白色固体のケトン体7−メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン (9.9g,66mmol,50%)を得た。一部をpet.etherから再結晶し、無色針状晶を得た。
次に7−メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(3g,20mmol)のpyridine(30ml)溶液に、HONH・HCl(2.8g,40mmol) を加え、4時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣にHOを加えAcOEtで抽出した。有機層をbrineで洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、AcOEt−hexane (1:6 v/v)の流分より白色固体のオキシム7−メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン オキシム(3.3g,20mmol,100%)として得、一部をpet.etherから再結晶し、無色プリズム晶を得た。
こうして合成した7−メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン オキシム(5 g,30.3mmol)のメタノール(300ml)溶液に、MoO(6.5g,45.5mmol)を加え、氷冷下10分攪拌した後、NaBH(11.5g,303mmol)を分割して加え、同温で2時間攪拌した。原料の消失をTLC(Thin Layer Chromatography)で確認した後、氷冷下、EtN(6.3ml,45.5mmol),CbzCl(6.5ml,45.5mmol)を順次加え、同温で1時間攪拌した。反応の終了を確認した後、(CHCOを加え、10分攪拌した後、反応溶液をセライトろ過し、減圧下溶媒を留去した。残渣にHOを加えAcOEtで抽出し、有機層をbrineで洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、AcOEt−hexane(1:16v/v) の流分より無色油状のN−ベンジル−(7−メチレン−ビシクロ[3.3.1]ノン−3−ニル)−カルバメイト(6.5g,22.7mmol,75%) を得た。
上記カルバメイト(10.8g,37.8mmol)のメタノール(38ml)溶液に、2N HCl(19ml)を加え、1.5時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却した後、溶媒を減圧下留去した。残渣にHOを加えAcOEtで抽出し、有機層をbrineで洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、AcOEt−hexane(1:20v/v)の流分より無色油状のアミン、N−ベンジルオキシカルボニル−1−メチル−2−アザアダマンタン(10.8 g,37.8mmol,100%)を得た。
N−ベンジルオキシカルボニル−1−メチル−2−アザアダマンタン(120mg,0.42mmol)のメタノール(4.2ml)溶液に、10%Pd−C(12mg)を加え、H雰囲気下2時間室温で攪拌した。反応溶液をセライトろ過し、減圧下溶媒を留去した。残渣にaq.NaCOを加えCHClで抽出し、有機層をKCOで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、粗アミン、(60mg)を得た。本化合物は精製することなく次反応に用いた。粗アミンのメタノール(0.85ml)溶液に、NaWO・2HO(69mg, 0.21mmol)を加え、30分攪拌した。溶液の懸濁を確認した後、氷冷下Urea hydrogen peroxide(157mg,1.68mmol)を加え1時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、さらに3時間攪拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去した。残渣にHOを加え、CHClで抽出し、有機層をbrineで洗浄後、KCOで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、AcOEt−hexane(1:4v/v)の流分より赤色半固形のニトロキシルラジカル、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル(53mg,0.32 mmol,76%)を得た。
このようにして、合成された1−methyl−AZADOを用いて、まず、表1に示す1級アルコールについて、酸化触媒としての作用を調査した。反応条件は、触媒を表1に示す量とし、CHCl中、さらにKBr:0.1等量、n−BuNBr:0.05等量、NaCl:1.4等量を添加し、氷冷下、反応時間:20分とした。反応終了後、生成物の収率を求めた。収率は、(生成物の物質量)/(原料の物質量)×100(%)で算出した。なお、比較例としてTEMPOを用いて同様な反応条件で行なった場合の収率を示す。得られた結果を表1に示す。
Figure 0004809229
本発明の1−methyl−AZADOは、触媒量が0.01等量の場合には、1級アルコールの酸化触媒として従来のTEMPOと同等の機能を有するうえ、触媒使用量を少なくしても(0.0001等量)、従来のTEMPOに比べ高い収率で生成物を得ることができ、触媒回転率(TON)も高いことから、本発明の1−methyl−AZADOが、1級水酸基(1級アルコール)の酸化についても、優れた酸化触媒として作用する性能を有することがわかる。
ついで、合成された1−methyl−AZADOを用いて、表2及び3に示す種々の2級アルコールについて、同様に酸化触媒としての作用を調査した。反応条件は、触媒量を0.01等量とし、CHCl中、さらにKBr:0.1等量、n−BuNBr:0.05等量、NaOCl:1.4等量を添加し、氷冷下、反応時間:20分とした。反応終了後、生成物の収率を求めた。収率は、(生成物の物質量)/(原料の物質量)×100(%)で算出した。なお、比較例としてTEMPOを用いて同様な反応条件で行なった場合の収率を示す。得られた結果を表2及び3に示す。
Figure 0004809229
Figure 0004809229
比較的立体構造が複雑でない2級アルコール(例えば試験No.2−1、No.2−7)については、本発明の1−methyl−AZADOを酸化触媒として用いた場合にも、比較例のTEMPOを用いた場合も、どちらも高収率で目的とする生成物が得られる。一方、立体的に崇高い複雑な構造の2級アルコールについては、比較例のTEMPOを用いた場合には、目的とする生成物の収率が低いが、本発明の1−methyl−AZADOを用いた場合には、速やかに酸化し目的とする生成物を高収率で得ることができることがわかる。
このようなことから、1−methyl−AZADOは1級アルコールはもちろん2級アルコールの酸化触媒として有用な触媒であることが明らかである。
環境調和性に優れ、さらに効率的な酸化が可能なアルコール類の有機酸化触媒およびその合成方法を利用できる。
1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られたビシクロ体を基礎原料として合成された、ニトロキシル基をアダマンタン骨格上に組み込んだ1−アルキル−2−アザアダマンタン−N−オキシルをアルコール類の酸化触媒とする。アダマンタン骨格上にオキソアンモニウム基を有することにより、Bredt則によりα位の水素が安定化し、ニトロキシル基の安定性が保証され、従来の酸化触媒であるTEMPOにくらべて立体障害が減少し、広い反応場を確保できる。このため、1級アルコールの酸化はもちろん、TEMPOでは酸化が困難であった、立体的に複雑な構造を有する2級アルコールをも高効率に酸化することができる。
本発明に係る1−アルキル−2−アザアダマンタン−N−オキシルは、医薬品、香料、液晶をはじめとする機能性有機化合物の合成に適用できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。

Claims (8)

  1. 式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物。
  2. 式(2):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン化合物を酸化する工程を少なくとも経由することを特徴とする式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、上記と同義である)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物の製造方法。
  3. 式(3):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基又はビシクロ環に二重結合で結合しているアルキリデン基を示す)
    で表されるビシクロ〔3.3.1〕ノナニル−3−アミン化合物を閉環処理せしめてアザアダマンタン環を形成せしめ、得られた式(2):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン化合物を酸化する工程を少なくとも経由することを特徴とする式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、上記と同義である)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物の製造方法。
  4. 1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られるビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンをヨウ素と処理してヨウ素体を合成する第一の工程及び、該ヨウ素体を脱ヨウ素化、水素化、又はアルキル化したのち、酸化する第二の工程からなる群から選択された工程を少なくとも経由することを特徴とする式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物の製造方法。
  5. 1,3−アダマンタンジオールのGrob型環開裂反応により得られるビシクロ体をオキシム化し、ついで得られたオキシムをアミンに還元し、さらに該アミンをカルバメート化剤と処理してカルバメート体を合成する第一の工程及び、該カルバメート体を酸性処理してアザアダマンタン骨格を形成したのち、脱保護し、酸化する第二の工程からなる群から選択された工程を少なくとも経由することを特徴とする式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物の製造方法。
  6. 式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物を含有することを特徴とする有機化合物酸化触媒。
  7. 有機化合物が、アルコール類であることを特徴とする請求項6に記載の触媒。
  8. 式(1):
    Figure 0004809229
    (上式中、Rは、アルキル基を示す)
    で表されるアザアダマンタン−N−オキシル化合物の存在下に、アルコール類を酸化せしめて、対応するオキソ体を合成することを特徴とするアルコール類の酸化方法。
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