JP4807020B2 - 半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法 - Google Patents

半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法に関するものであり、より詳細には、色素増感型太陽電池の負極中の多孔質半導体層の形成に適した半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法に関する。
現在、地球規模の環境問題や化石エネルギー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電に対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シリコン光電変換素子が太陽電池として実用化されている。しかし、この種の太陽電池は、高価格であること、シリコン原料の供給問題などを有しており、シリコン以外の材料を用いた太陽電池の実用化が望まれている。
上記のような見地から、最近では、シリコン以外の材料を用いた太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されている。この色素増感型太陽電池は、図1に示すように、透明ガラスや透明樹脂フィルムなどの透明基板1a上に透明導電膜1b(例えばITO膜)を電極基板1として使用し、この電極基板1の透明導電膜1b上に二酸化チタンなどの金属酸化物半導体の多孔質膜3を設け、この多孔質膜3の表面に増感色素(例えばRu色素)5を吸着させたものを負極7として有しており、このような負極7を、電解質液8を間に挟んで正極10に対峙させた構造を有している。
このような構造の色素増感型太陽電池では、負極7側から可視光を照射すると、色素5が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素5の電子は、半導体の多孔質膜3の伝導帯へ注入され、外部回路12を通って正極10に移動する。正極10に移動した電子は、電解液中のイオンによって運ばれ、色素5に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されるわけである。このような色素増感型太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似たものとなっている。
ところで、上記のような色素増感型太陽電池の負極7は、透明基板1aの透明導電膜1b上に、例えば酸化チタンなどの半導体粒子のスラリーを塗布し、焼成して酸化チタンからなる半導体の多孔質膜3を形成し、この上に色素溶液を塗布し、色素を多孔質膜3に吸着させた後、色素溶液の溶媒を除去することにより製造されている。このようにして色素増感型太陽電池の負極を製造するに際して、酸化チタン半導体の多孔質膜3を、チタンアルコキシドの有機溶媒溶液をバインダーとして使用し、このバインダーに半導体微粒子を分散させ、チタンアルコキシドを加水分解・縮合させてのゾル−ゲル法により形成する方法が提案されている(特許文献1,2)。
特許第2664194号 特公平8−15097号
上記のようなゾルゲル法により半導体の多孔質膜を製造するときには、チタンアルコキシドのゲル化物が半導体微粒子同士を結合するバインダーとして機能するため、太陽電池の変換効率を上昇させることができるというものであるが、本発明者等の研究によると、その変換効率はバラツキが大きく、安定して高い変換効率を得ることが困難であるという問題があった。
従って、本発明の目的は、色素増感型太陽電池の負極を製造するに際して、半導体多孔質膜の形成に使用され、安定して高い変換効率を確保できるような半導体多孔質膜を形成させ得る半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、テトライソプロポキシチタンと有機溶媒とからなり、該テトライソプロポキシチタンの一部が該有機溶媒との反応によって変性された変性物を含んでいるとともに、130℃×2時間でのゲル化によって形成される固形分が、下記式
600cm−1/A400cm−1
式中、A600cm−1は、TiOに由来する波数600cm−1でのピーク高さ
を示し、
400cm−1は、TiOHに由来する波数400cm−1でのピーク高さ
を示す、
で表されるピーク強度比が1.09以上となる赤外線吸収スペクトルを示す半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法であって、
前記有機溶媒として、活性水素を含む官能基を有し且つ該官能基とイソプロポキシル基との置換反応によって前記変性物を形成する有機化合物、又は、テトライソプロポキシチタンのチタン原子とキレートを形成し、該キレートによって前記変性物を形成する有機化合物を使用し、
不活性ガス雰囲気中、0〜25℃の温度で、0.1乃至3モル/L濃度となる量のテトライソプロポキシチタンを、前記有機溶媒中に攪拌下に0.01乃至1ml/secの速度で滴下して、該有機溶媒と反応させることにより、テトライソプロポキシチタンの一部を有機溶媒により変性することを特徴とする半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法が提供される。
本発明の半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法において、前記有機溶媒として、炭素数1、2または4である一価の低級アルコール、アセチルアセトンまたはエチレングリコールを使用することが好適である。
本発明により製造される半導体微粒子分散用バインダー組成物においては、
(1)前記バインダー組成物中に含まれるチタン成分の平均組成が、下記式(1):
Ti・(O−4−xn・R (1)
式中、Rは、有機溶媒との反応によりテトライソプロポキシチタン中に導入さ
れる変性基であり、
xは、前記有機溶媒の反応価数であり、
nは、0<xn<4を満足する数である、
で表されること、
(2)前記有機溶媒が、低級アルコール、アセチルアセトンまたはエチレングリコールであり、前記チタン成分の平均組成が、下記式(1a),(1b)或いは(1c):
Ti・(O−4−n・(OR (1a)
式中、Rは、炭素数1、2または4のアルキル基であり、
nは、0<n<4の数である、
Ti・(O−4−n・(CHCOCHCOCH (1b)
式中、nは、0<n<4の数である、
Ti・(O−4−2n・(OC (1c)
式中、nは、0<n<2の数である、
で表されること、
好適である。
本発明において、上記半導体分散用バインダー組成物は、半導体微粒子と、沸点が200℃以下の有機溶媒とを混合して半導体微粒子分散スラリーとして利用される
この半導体微粒子分散スラリーにおいては、前記半導体微粒子が二酸化チタンであることが好適である。
上記半導体微粒子分散スラリーを塗布することにより形成されたコーティング膜を、200℃以下の温度で焼成することにより半導体多孔質膜が得られる
本発明の方法により製造される半導体微粒子分散用バインダー組成物(以下、単に「本発明の半導体微粒子分散用バインダー組成物」と呼ぶことがある)は、半導体微粒子が分散したスラリー(コーティング用スラリー)の調製に使用され、このスラリーを所定の透明導電性基板上に塗布し、焼成することにより半導体多孔質膜が形成される。このような半導体多孔質膜の形成に使用される本発明のバインダー組成物は、主成分(バインダー成分)としてテトライソプロポキシチタンが有機溶媒中に溶解分散されたものであるが、特に重要な特徴は、有機溶媒としてテトライソプロポキシチタンと反応性を有するもの(具体的には、有機溶媒が官能基として活性水素を有するもの或いはテトライソプロポキシチタンのチタン原子とキレートを形成し得る有機化合物からなるもの)が使用され、テトライソプロポキシチタンの一部が、この有機溶媒との反応により変性されている点にあり、このため、本発明のバインダー組成物では、ゲル化により形成される固形分についての赤外線吸収スペクトルにおいて、下記式:
600cm−1/A400cm−1
で表されるピーク強度比が1.09以上となる。即ち、A600cm−1は、TiOに由来する波数600cm−1でのピーク高さを示し、A400cm−1は、TiOHに由来する波数400cm−1でのピーク高さを示し、上記ピーク強度比が1.09以上であるということは、一定量以上の量でテトライソプロポキシチタンの変性物(Tiに結合している4個のアルコキシル基の一部が、有機溶媒化合物が有している反応性の官能基と置換されているか或いはTiとキレートを形成している)が生成しており、従って、ゲル化物(固形分)には、テトライソプロポキシチタンの縮合によるTiO結合が多量に生成していることを意味している。例えば、テトライソプロポキシチタンと有機溶媒とが単に混合されているに過ぎない場合には、両者は単に同一場に存在しているに過ぎず、有機溶媒中に含まれている水とテトライソプロポキシチタンが極若干量TiOHに反応するだけとなる。従ってTiO結合の量が少なくなるため、上記ピーク強度比は1.09未満となる。
即ち、本発明の半導体微粒子分散用バインダー組成物においては、上記のピーク強度比が1.09以上となるような量で変性物が生成しているために、この組成物に半導体微粒子を分散させてスラリーを調製し、このスラリーを塗布して形成されたコーティング層を焼成して半導体多孔質膜を形成したとき、太陽電池の変換効率を、バラツキが少なく且つ安定して高いレベルに維持することが可能となる。このように安定して高い変換効率を確保できる理由は、正確に解明されたわけではないが、おそらく、本発明のバインダー組成物を用いて形成される半導体多孔質膜では、半導体粒子同士を結合するバインダーとなるTiOが高密度で均一に形成されるためではないかと思われる。例えば、後述する実施例及び比較例の実験結果から理解されるように、ゲル化物の赤外線吸収スペクトルにおける前記ピーク強度比が1.09以上となるように変性物が形成されている本発明のバインダー組成物を用いたときには(実施例1)、得られる太陽電池の変換効率は、3.9〜4.8%の範囲内でばらつく程度であり、バラツキの程度が小さく、且つその平均値も4%以上と極めて高い値となる。一方、前記ピーク強度比1.09未満と小さく、変性物がほとんど生成していないバインダー組成物(比較例1)では、ゲル化物中にかなりのTiOH結合を含み、バインダーとなるTiOの密度が低くなり、このため、得られる太陽電池の変換効率は、最大値は4.8%と高いものの、2〜4.8%の範囲で大きくばらついており、平均値も約3%とかなり低い。
このように本発明によれば、安定して高い変換効率を示す太陽電池を作製することが可能となる。
(半導体微粒子分散用バインダー組成物)
本発明により製造される半導体微粒子分散用バインダー組成物は、テトライソプロポキシチタンを、前記有機溶媒に分散させることにより、該テトライソプロポキシチタンの一部が該有機溶媒と反応して変性されているものであり、前述した図1における半導体多孔質膜3を形成するための材料として使用される。
このバインダー組成物中のテトライソプロポキシチタン(及び変性物)は、半導体多孔質膜3としたときに、該膜中の半導体粒子同士を結合するバインダーとしての機能を有するものであり、ゲル化によりTiOを形成し、このTiOがバインダーとして機能する。
また、テトライソプロポキシチタンと反応する有機溶媒とは、例えば活性水素を含む官能基を含む有機化合物からなるもの、または、テトライソプロポキシチタンのチタン原子とキレートを形成しうる有機化合物であり、前者は、その官能基の部分が活性水素を放出し、テトライソプロポキシチタンのイソプロポキシ基の一部に置換して変性物を形成し、後者は、チタン原子とキレート形成する。従って、このような変性物が形成された状態において、このバインダー組成物のチタン成分の平均組成は、下記式(1)で表されることとなる。
Ti・(O−4−xn・R (1)
式中、Rは、有機溶媒との反応によりテトライソプロポキシチタン中に導入さ
れる変性基であり、
xは、前記有機溶媒の反応価数であり、
nは、0<xn<4 を満足する数である。
本発明において、上記のような反応性の有機溶媒としては、1価アルコールやグリコール等の2価アルコールなどの各種脂肪族アルコール類や、β−ジケトン、β−ケトアミン、β−ケトエルテル、アルカノールアミン類などがあるが、テトライソプロポキシチタンとの反応性や易揮発性であり、比較的低温での加熱により容易に除去できるという点から、メタノール、エタノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等の炭素数が1,2または4の低級アルコール、エチレングリコール及びアセチルアセトンが好適に使用される。
例えば、前記有機溶媒として、炭素数1、2または4である一価の低級アルコールを用いた場合には、その反応価数は1であり、該低級アルコールは次式に示すようにチタンイソプロポキシドと反応する。
Ti・(O−+nROH
→ Ti・(O−4−n・(OR+nCOH
従って、このバインダー組成物のチタン成分の平均組成は、下記式(1a)で表されることとなる。
Ti・(O−4−n・(OR (1a)
式中、Rは、炭素数1、2または4のアルキル基であり、
nは、0<n<4の数である。
また、前記有機溶媒として、アセチルアセトンを使用した場合には、その反応価数は1であり、該低級アルコールは次式に示すようにチタンイソプロポキシドと反応する。
Ti・(O−+nCHCOCHCOCH
→Ti・(O−4−n・(CHCOCHCOCH+nCOH
従って、このバインダー組成物のチタン成分の平均組成は、下記式(1b)で表されることとなる。
Ti・(O−4−n・(CHCOCHCOCH (1b)
式中、nは、0<n<4の数である。
また、有機溶媒として、エチレングリコールを用いた場合においては、その反応価数は2であり、該低級アルコールは次式に示すようにチタンイソプロポキシドと反応する。
Ti・(O−+nC・(OH)
→Ti・(O−4−2n・(OC +2nCOH
従って、このバインダー組成物のチタン成分の平均組成は、下記式(1c)で表されることとなる。
Ti・(O−4−2n・(OC (1c)
式中、nは、0<n<2の数である。
勿論、本発明において、上述した有機溶媒は、1種単独で使用することもできるし、複数種を併用することもできる。上述した有機溶媒を複数種用いた場合には、チタン成分の平均組成は、置換され或いはキレートにより脱落した(O−)基の分だけ、Ti元素1個当りの(O−)基の数が4より小さくなる。
本発明のバインダー組成物において、上記のような変性物が生じている程度は、これをゲル化したときの赤外線吸収スペクトルにより求めることができ、後述する実施例に示されているように、有機溶媒を除去してのゲル化により形成された固形分について、下記式:
600cm−1/A400cm−1
式中、A600cm−1は、TiOに由来する波数600cm−1でのピーク高さ
を示し、
400cm−1は、TiOHに由来する波数400cm−1でのピーク高さ
を示す、
で表されるピーク強度比が1.09以上、特に1.25以上となる程度に変性物が生じていることが必要である。即ち、この値が大きいほど、コーティング組成物中に含まれる変性物の量が多く(前記式(1)等におけるnの値が大きいこと)、形成されるゲル化物(固形分)中にはTiOが高密度で存在することを意味しており、この結果、このバインダー組成物を用いて形成される半導体多孔質膜では、高密度のTiOをバインダーとして半導体粒子が分散されるため、ばらつきが少なく、高い変換効率を安定して得ることができるのである。尚、上記のピーク強度比は、通常、最大で3.0程度である。
本発明のバインダー組成物中に含まれるTi元素量(テトライソプロポキシチタンとその変性物の合計量に対応)は、テトライソプロポキシチタン換算で、0.1乃至3モル/L、特に0.5乃至2モル/Lの範囲にあることが必要となる。即ち、このTi元素量は、このバインダー組成物の調製のために用いたテトライソプロポキシチタンの量に相当するものであり、かかる濃度でTi成分を含有しているときに、最も効率よくテトライソプロポキシチタンの変性を行うことができると同時に、コーティングに適した粘度の半導体微粒子分散スラリーを形成することが可能となり、且つ有機溶媒の除去を短時間で行うことも可能となる。
(半導体微粒子分散用バインダー組成物の調製)
上述したバインダー組成物は、テトライソプロポキシチタンを、不活性ガス雰囲気中、0〜25℃の温度で、有機溶媒中に攪拌下に滴下して反応させることにより製造される。
即ち、本発明の製造方法においては、テトライソプロポキシチタンのゲル化を防止するために、不活性ガス雰囲気中でテトライソプロポキシチタンを前記有機溶媒中に滴下するとともに、該有機溶媒の温度も0〜25℃の低温に保持しておくことが必要となる。
また、テトライソプロポキシチタンの滴下速度は、0.01〜1ml/secの範囲とすることが必要である。上記範囲よりも滴下速度が遅いと、生産性が低下してしまい、また、上記範囲よりも滴下速度を速くすると、反応物の生成量にバラツキを生じ易くなってしまい、特性が不安定になるおそれがある。さらに、攪拌は、例えば100rpm以上、特に300乃至5,000rpmの剪断速度で行うことが、反応を均一に進行させる上で好ましい。
反応時間は、固形分のIRスペクトルのピーク強度比が前述した範囲となる程度であり、用いるテトライソプロポキシチタンや反応性有機溶媒の量によっても異なるが、通常、0.5乃至4時間程度であり、例えば経時毎に、固形分のピーク強度比を予め測定しておくことにより、反応時間を設定しておくことが好適である。
(半導体微粒子分散スラリー)
上記のようにして調製された半導体微粒子分散用バインダーは、これに半導体微粒子を分散させてスラリーとし、このスラリーを用いてのコーティング及び焼成により、図1において3で示されている半導体多孔質膜3が形成される。
半導体微粒子としては、色素増感型太陽電池において従来から使用されているもの、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンなどの金属の酸化物、或いはこれら金属を含有する複合酸化物、例えばSrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト型酸化物などを用いることができる。本発明においては、TiOゲルが半導体微粒子のバインダーとなるため、高い変換率を確保できるという点で、二酸化チタンが最も好適である。このような半導体微粒子は、多孔質化の点で、その粒径が5〜500nm、特に5〜350nmの範囲にあるのがよい。
また、半導体微粒子は、前述したバインダー組成物に直接分散させることもできるが、均一にバインダー組成物に分散させるためには、予め、超音波分散等により半導体微粒子を有機溶媒に分散させておき、この分散液を、攪拌下にバインダー組成物と混合することが望ましい。かかる分散液の調製に用いる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールなどの炭素数が4以下の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの脂肪族グリコール類;メチルエチルケトンなどのケトン類;ジメチルエチルアミンなどのアミン類;を1種単独または2種以上の組み合わせで用いることができるが、特に炭素数4以下の低級アルコールが好適である。このような低級アルコールは、易揮発性であり、低温で容易に揮発して除去できるばかりか、二酸化チタン微粒子に対する分散性が優れており、しかも、バインダー組成物の調製に用いられている反応性有機溶媒に対しても相溶性を示すからである。この場合、有機溶媒分散液中の半導体微粒子濃度は、10乃至50重量%程度とするのがよい。
このようにして半導体微粒子分散スラリーを調製する場合において、用いるバインダー組成物の量は、一般に、テトライソプロポキシチタン換算で示した該組成物中のTi元素量が、半導体微粒子100重量部当り、10乃至40重量部、特に10乃至30重量部となるような量とすることが、半導体微粒子を均一且つ安定に分散させ、しかも均一な半導体多孔質膜を形成する上で好適である。即ち、バインダー組成物の使用量が多すぎると、溶媒量の増大によってスラリーが低粘性となり、垂れ等により安定な厚みのコーティング層を形成することが困難となり、また、半導体多孔質膜中の半導体微粒子密度が低下するため、太陽電池としたときの変換効率が低下するおそれがある。また、バインダー組成物の使用量が上記範囲よりも少ないと、ペーストが高粘性となり作業性が低下してしまい、多孔質膜の厚みムラなどにより均質な半導体多孔質膜を形成することが困難となるおそれがある。
以上のようにして調製される半導体微粒子分散スラリーは、以下のようにして半導体多孔質膜の形成に使用され、色素増感型電池の負極の製造に好適に使用される。
(半導体多孔質膜の形成及び負極の製造)
以下、上述した半導体微粒子分散スラリーを用いての色素増感型太陽電池における半導体多孔質膜の形成及び負極の製造プロセスを、図1を参照して説明する。
先ず、図1で示されている透明電極基板1を用意する。この透明電極基板1は、透明基板1a上に透明導電膜1bを設けたものであり、透明基板1aとしては、透明なガラス板や透明樹脂フィルムが使用される。透明樹脂フィルムとしては、透明である限り任意のものが使用されるが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などからなるフィルムを用いることができる。一般的には、強度や耐熱性等の見地から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に使用される。また、透明基板1aの厚みや大きさは、特に制限されず、最終的に使用される色素増感型太陽電池の用途に応じて適宜決定される。
透明導電膜1bとしては、酸化インジウム−酸化錫合金からなる膜(ITO膜)や酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO膜)が代表的であるが、電気抵抗が低いことから、特にITO膜が好適である。これらは蒸着により上記の透明基板1a上に形成され、その厚みは、通常、0.5乃至0.7μm程度である。
次いで、透明基板1の透明導電膜1b上に、前述した本発明の半導体微粒子分散スラリーを塗布してコーティング層を形成する。このコーティング層は、焼成により図1における半導体多孔質膜(チタニア多孔質膜)3を形成するものである。
半導体微粒子分散スラリーのコーティングは、ドクターブレード法、スピンコート法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法等の周知の方法で行うことができ、その厚みは、焼成後の厚みが5乃至20μm程度、半導体重量としては、0.001乃至0.005g/cm程度となるようにするのがよい。
上記のようにして本発明の半導体微粒子分散スラリーを透明基板1の透明導電膜1b上にコーティングした後に、焼成を行う。この焼成は、200℃以下で行われるが、先の説明から理解されるように、上記スラリーは、非水のバインダー組成物を用いて形成されているため、特に有機溶媒として炭素数4以下の低級アルコールが使用されているときには、100℃未満、特に70乃至95℃の低温で焼成を行うことにより、半導体多孔質膜3を形成することができるという利点がある。即ち、このような低温領域で焼成を行うことができるため、前述した透明ガラスは、勿論のこと、透明な樹脂フィルムを透明基板1aとして用いた場合にも、焼成時の変形を確実に防止することができ、樹脂フィルムも基板材料として好適に使用することが可能となる。
また、かかる焼成は、スラリー中の半導体微粒子が適度に焼結する程度でよく、例えばアルキメデス法による相対密度が50乃至90%に達する程度に緻密化されていればよく、通常、大気中で5乃至30分程度行われる。かかる焼成により形成される半導体多孔質層3では、前述したIR強度比が所定値(1.09)以上のTiOが密のゲル化物をバインダーとして半導体微粒子を結合しているため、半導体微粒子同士が強固に均一に分散されており、この結果、安定して高い変換効率を確保することが可能となる。
負極を製造するには、上記のようにして形成された半導体多孔質膜3に色素溶液を接触させることにより、増感色素5を吸着させる。色素溶液の接触は、通常は、ディッピングにより行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は、通常、30分〜24時間程度であり、吸着後、乾燥して色素溶液の溶媒を除去することにより、表面に増感色素5が形成された半導体多孔質膜3を有する負極7を得ることができる。
用いる増感色素は、カルボキシレート基、シアノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジオキシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチレート基、α−ケト−エノール基などの結合基を有するそれ自体公知のものが使用され、例えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯体などを何ら制限なく使用することができる。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ルテニウム−トリス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)、ルテニウム−シス−ジアクア−ビス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)などのルテニウム系錯体が好適である。このような増感色素の色素溶液は、溶媒としてエタノールやブタノールなどのアルコール系有機溶媒を用いて調製され、その色素濃度は、通常、3×10−4乃至5×10−4mol/l程度である。
また、上記の製造プロセスでは、本発明の半導体微粒子分散スラリーをコーティングし、焼成を行った後に色素の吸着を行っているが、本発明の半導体微粒子分散スラリーを用いている場合には、100℃未満の低温領域で焼成を行うこともできるため、焼成を色素の吸着処理を行った後に行うこともできる。即ち、半導体微粒子分散スラリーを塗布し、乾燥を行った後に、ディッピング等により色素溶液を接触させて増感色素を吸着させ、この後に、焼成を行うことも可能である。この場合の乾燥は、大気中に放置するのみでの自然乾燥でよいが、必要により、100℃未満の温度に加熱してもよい。
上記のようにして得られた負極7は、図1に示すように、電解質液8を間に挟んで対極である正極10に対峙させることにより、色素増感型太陽電池として使用に供される。
尚、電解質液8としては、通常、リチウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等の陰イオンを含む種々の電解質溶液を使用することができる。また、この電解質溶液中には、酸化型構造及び還元型構造を可逆的にとり得るような酸化還元対を存在させることが好ましく、このような酸化還元対としては、例えばヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物、キノン−ヒドロキノンなどを挙げることができる。また、この電解質液8は、一般に、電気絶縁性の樹脂等により封止され、電極間から漏洩しないように構成されている。
また、正極10は、透明、不透明に関係なく、種々の電極基板を用いることができ、例えばガラス基板や透明樹脂フィルムなどの透明基板表面に白金層やITO等の透明電極層を蒸着させたもの、或いは透明基板表面にITO等の透明電極層を蒸着させ、さらにその上に白金層を蒸着させたものなど、任意の構造を採ることができる。
このようにして負極が形成されている色素増感型太陽電池では、以下の実施例に示されているように、高い変換効率を安定して確保することができる。
本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。
窒素ガス雰囲気中、5℃の温度で、速度1,000rpmの攪拌下においた0.4リットルのブタノール中に、滴下速度0.2ml/sec.で140gのテトライソプイロポキシドを滴下して、2時間かけてチタンアルコキシド溶液を調製した。このチタンアルコキシド溶液をゲル化(ゲル化条件:130℃かける2時間)させて形成した固形分を赤外分光分析(IR)したところ、下記式:
600cm−1/A400cm−1
式中、A600cm−1は、TiOに由来する波数600cm−1でのピーク高さ
を示し、
400cm−1は、TiOHに由来する波数400cm−1でのピーク高さ
を示す、
で表されるピーク強度比が1.31であった。
上記で調製したチタンアルコキシド溶液と、二酸化チタン粒子(構成粒子径は、15〜350nmの汎用チタニア粒子)とを、該チタンアルコキシド溶液中のテトライソプロポキシド換算でのTi元素量が二酸化チタン微粒子100重量部当り40重量部となるように混合して、固形分濃度が25重量%の二酸化チタン微粒子ペーストを調製した。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムに導電膜としてITO膜を設けた導電性フィルム(トービ社製、製品名「OTEC」)に、上記で調製した二酸化チタンのペーストを塗布し、その後、1Torr減圧下雰囲気のチャンバー内に二酸化チタンのペーストが塗布されたサンプルを設置し、110℃で10分の加熱を施し、多孔質膜を得た。その半導体ペーストの厚みは約5μmで、半導体重量としては、0.0021g/cmであった。その後、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素[Ru(dcbpy)2(NCS)2]・2H2Oからなる色素溶液中に16時間浸漬させ、負極を得た。
以上のようにして得られた負極を用いて、これと、LiI/I20.5mol/0.05mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャリーブチルピリジン)を添加して作製した電解質を、白金を蒸着したITO/PETフィルムで構成される正極とで挟み込んだ色素増感型太陽電池を作製した。この電池を同様の方法で10ケ用意し、変換効率を測定したところ、3.9%〜4.8%で、その平均は約4%であり、バラツキを抑制でき、且つ平均性能も高くなることが確認された。
窒素ガス雰囲気中、10℃の温度で、速度500rpmの攪拌下においた0.4リットルのブタノール中に、滴下速度0.5ml/sec.で140gのテトライソプイロポキシドを滴下させ、2時間かけてチタンアルコキシド溶液を調製した。このチタンアルコキシド溶液を実施例1と同様にゲル化させて形成した固形分を赤外分光分析(IR)したところ、下記式:
600cm−1/A400cm−1
で表されるピーク強度比が1.09であった。
上記で調製したチタンアルコキシド溶液と、二酸化チタン粒子(構成粒子径は、15〜350nmの汎用チタニア粒子)とを、該チタンアルコキシド溶液中のテトライソプロポキシド換算でのTi元素量が二酸化チタン微粒子100重量部当り40重量部となるように混合して、固形分濃度が25重量%の二酸化チタン微粒子ペーストを調製した。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムに導電膜としてITO膜を設けた導電性フィルム(トービ社製、製品名「OTEC」)に、上記で調製した二酸化チタンのペーストを塗布し、その後、1Torr減圧下雰囲気のチャンバー内に二酸化チタンのペーストが塗布されたサンプルを設置し、110℃で10分の加熱を施し、多孔質膜を得た。その半導体ペーストの厚みは約5μmで、半導体重量としては、0.0021g/cmであった。その後、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素[Ru(dcbpy)2(NCS)2]・2H2Oからなる色素溶液中に16時間漬浸させ、負極を得た。
以上のようにして得られた負極を用いて、これと、LiI/I20.5mol/0.05mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャリーブチルピリジン)を添加して作製した電解質を、白金を蒸着したITO/PETフィルムで構成される正極とで挟み込んだ色素増感型太陽電池を作製した。この電池を同様の方法で10ケ用意し、変換効率を測定したところ、3.9%〜4.7%で、その平均は約4%であり、バラツキを抑制でき、且つ平均性能も高くなることが確認された。
窒素ガス雰囲気中、10℃の温度で、速度500rpmの攪拌下においた0.4リットルのエチレングリコール中に、滴下速度0.5ml/sec.で140gのテトライソプイロポキシドを滴下させ、2時間かけてチタンアルコキシド溶液を調製した。このチタンアルコキシド溶液を実施例1と同様にゲル化させて形成した固形分を赤外分光分析(IR)したところ、下記式:
600cm−1/A400cm−1
で表されるピーク強度比が1.17であった。
上記で調製したチタンアルコキシド溶液と、二酸化チタン粒子(構成粒子径は、15〜350nmの汎用チタニア粒子)とを、該チタンアルコキシド溶液中のテトライソプロポキシド換算でのTi元素量が二酸化チタン微粒子100重量部当り40重量部となるように混合し、固形分濃度が25重量%の二酸化チタン微粒子ペーストを調製した。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムに導電膜としてITO膜を設けた導電性フィルム(トービ社製、製品名「OTEC」)に、上記で調製した二酸化チタンのペーストを塗布し、その後、1Torr減圧下雰囲気のチャンバー内に二酸化チタンのペーストが塗布されたサンプルを設置し、110℃で10分の加熱を施し、多孔質膜を得た。その半導体ペーストの厚みは約5μmで、半導体重量としては、0.0021g/cmであった。その後、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素[Ru(dcbpy)2(NCS)2]・2H2Oからなる色素溶液中に16時間漬浸させ、負極を得た。
以上のようにして得られた負極を用いて、これと、LiI/I20.5mol/0.05mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャリーブチルピリジン)を添加して作製した電解質を、白金を蒸着したITO/PETフィルムで構成される正極とで挟み込んだ色素増感型太陽電池を作製した。この電池を同様の方法で10ケ用意し、変換効率を測定したところ、3.9%〜4.8%で、その平均は約4%であり、バラツキを抑制でき、且つ平均性能も高くなることが確認された。
比較例1
窒素ガス雰囲気中、50℃の温度で、速度500rpmの攪拌下においた0.4リットルのブタノール中に、滴下速度0.5ml/sec.で140gのテトライソプイロポキシドを滴下させ、2時間かけてチタンアルコキシド溶液を調製した。このチタンアルコキシド溶液を実施例1と同様にゲル化させて形成した固形分を赤外分光分析(IR)したところ、下記式:
600cm−1/A400cm−1
で表されるピーク強度比が1.065であった。
上記で調製したチタンアルコキシド溶液と、二酸化チタン粒子(構成粒子径は、15〜350nmの汎用チタニア粒子)とを、該チタンアルコキシド溶液中のテトライソプロポキシド換算でのTi元素量が二酸化チタン微粒子100重量部当り40重量部となるように混合し、固形分濃度が25重量%の二酸化チタン微粒子ペーストを調製した。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムに導電膜としてITO膜を設けた導電性フィルム(トービ社製、製品名「OTEC」)に、上記で調製した二酸化チタンのペーストを塗布し、その後、1Torr減圧下雰囲気のチャンバー内に二酸化チタンのペーストが塗布されたサンプルを設置し、110℃で10分の加熱を施し、多孔質膜を得た。その半導体ペーストの厚みは約5μmで、半導体重量としては、0.0021g/cmであった。その後、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素[Ru(dcbpy)2(NCS)2]・2H2Oからなる色素溶液中に16時間漬浸させ、負極を得た。
以上のようにして得られた負極を用いて、これと、LiI/I20.5mol/0.05mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャリーブチルピリジン)を添加して作製した電解質を、白金を蒸着したITO/PETフィルムで構成される正極とで挟み込んだ色素増感型太陽電池を作製した。この電池を同様の方法で10ケ用意し、変換効率を測定したところ、2.0%〜4.4%で、その平均は約2.6%であり、バラツキ範囲が大きく、且つ平均性能も低くなってしまう。
比較例2
窒素ガス雰囲気中、10℃の温度で、速度50rpmの攪拌下においた0.4リットルのブタノール中に、滴下速度10ml/sec.で140gのテトライソプイロポキシドを滴下させ、2時間かけてチタンアルコキシド溶液を調製した。このチタンアルコキシド溶液を実施例1と同様にゲル化させて形成した固形分を赤外分光分析(IR)したところ、下記式:
600cm−1/A400cm−1
で表されるピーク強度比が1.07であった。
上記で調製したチタンアルコキシド溶液と、二酸化チタン粒子(構成粒子径は、15〜350nmの汎用チタニア粒子)とを、該チタンアルコキシド溶液中のテトライソプロポキシド換算でのTi元素量が二酸化チタン微粒子100重量部当り40重量部となるように混合して、固形分濃度が25重量%の二酸化チタン微粒子ペーストを調製した。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムに導電膜としてITO膜を設けた導電性フィルム(トービ社製、製品名「OTEC」)に、上記で調製した二酸化チタンのペーストを塗布し、その後、1Torr減圧下雰囲気のチャンバー内に二酸化チタンのペーストが塗布されたサンプルを設置し、110℃で10分の加熱を施し、多孔質膜を得た。その半導体ペーストの厚みは約5μmで、半導体重量としては、0.0021g/cmであった。その後、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素[Ru(dcbpy)2(NCS)2]・2H2Oからなる色素溶液中に16時間漬浸させ、負極を得た。
以上のようにして得られた負極を用いて、これと、LiI/I20.5mol/0.05mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャリーブチルピリジン)を添加して作製した電解質を、白金を蒸着したITO/PETフィルムで構成される正極とで挟み込んだ色素増感型太陽電池を作製した。この電池を同様の方法で10ケ用意し、変換効率を測定したところ、2.9%〜4.8%で、その平均は約3.1%であり、バラツキ範囲が大きく、且つ平均性能も低くなってしまう。
色素増感型太陽電池の概略構造を示す図。
符号の説明
1:透明電極基板
1a:透明基板
1b:透明導電層
3:半導体多孔質膜
5:増感色素
7:負極
8:電解質液
10:正極

Claims (2)

  1. テトライソプロポキシチタンと有機溶媒とからなり、該テトライソプロポキシチタンの一部が該有機溶媒との反応によって変性された変性物を含んでいるとともに、130℃×2時間でのゲル化によって形成される固形分が、下記式
    600cm−1/A400cm−1
    式中、A600cm−1は、TiOに由来する波数600cm−1でのピーク高さ
    を示し、
    400cm−1は、TiOHに由来する波数400cm−1でのピーク高さ
    を示す、
    で表されるピーク強度比が1.09以上となる赤外線吸収スペクトルを示す半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法であって、
    前記有機溶媒として、活性水素を含む官能基を有し且つ該官能基とイソプロポキシル基との置換反応によって前記変性物を形成する有機化合物、又は、テトライソプロポキシチタンのチタン原子とキレートを形成し、該キレートによって前記変性物を形成する有機化合物を使用し、
    不活性ガス雰囲気中、0〜25℃の温度で、0.1乃至3モル/L濃度となる量のテトライソプロポキシチタンを、前記有機溶媒中に攪拌下に0.01乃至1ml/secの速度で滴下して、該有機溶媒と反応させることにより、テトライソプロポキシチタンの一部を有機溶媒により変性することを特徴とする半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法。
  2. 前記有機溶媒として、炭素数1、2または4である一価の低級アルコール、アセチルアセトンまたはエチレングリコールを使用する請求項1に記載の半導体微粒子分散用バインダー組成物の製造方法。
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