JP4806982B2 - ポリイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、有機材料からなるフィルムを電子部品の基材として用いる検討がなされ、ポリイミドからなるフィルムが提案されている。
照射された光を吸収し電気に変換するため光を反射によって失うことは変換効率のロスとなり、この点を改善する事が変換効率を上げるための重要な要素となる。
このため,微小凹凸を表面に形成して,表面で反射した光が、また、入射するように工夫する事が行われてきており、テクスチャーと呼ばれる構造が使われてきている(特許文献6、参照)、しかしながら、該構造を形成するためにエッチング工程を行う必要がある。
下地側にテクスチャーを持たせたものも提案されている(特許文献7、参照)が、薄膜層をつけてこれをテクスチャーとするため、工程が長くなりコストがかかる事が問題である。
このように、耐熱性、接着性、フレキシブル性および光線の有効利用のための凹凸構造を具備した太陽電池基材用のフィルムは未だ充分に得られていない現状である。
本発明は、ポリイミドフィルムの耐熱性に優れていること、強靭な性状を保持して、安価に任意の表面凹凸構造をポリイミドフィルムに付与し、接着性に優れかつ任意表面構造を付与した太陽電池の基板などに有用なポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
1.芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるポリアミド酸を支持体上に流延してポリイミド前駆体フィルムを得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理および又はイミド化して得られるポリイミドフィルムであって、該フィルムの少なくとも片方の面がフィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有することを特徴とするポリイミドフィルム。
2.フィルムの凹凸構造を有している面の反対面が、フィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有さない請求項1記載のポリイミドフィルム。
3.ポリアミド酸が、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと、芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるものである1.又は2.記載のポリイミドフィルム。
4.前記1.〜3.記載のいずれかのポリイミドフィルム上の光電変換層を設けたことを特徴とする太陽電池。
5.芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるポリアミド酸を支持体上に流延してポリイミド前駆体フィルムを得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理および又はイミド化して得られるポリイミドフィルムの製造方法であって、支持体にあらかじめ深さが1μm〜50μmである凹凸構造を形成し、該支持体上にポリアミド酸を流延してポリイミド前駆体フィルムを得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理および又はイミド化して、フィルムの一面がフィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有しているポリイミドフィルムを得ることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
6.ポリアミド酸が、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと、芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるものである5.記載のポリイミドフィルムの製造方法。
本発明においては、特にこれら芳香族ジアミンの中でベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類が好適なジアミンである。本発明で特に好適に使用されるベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類としては以下のものが挙げられる。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが2.0dl/g以上が好ましく、3.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
また、適度な剛性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。
金属支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。
支持体表面はフィルムの必要表面凹凸構造に応じて、任意の表面凹凸構造を付与することができ、この支持体上の表面凹凸構造は支持体全面に付与してもよく、部分的に付与してもよく、またドラム又はベルト状回転体支持体に直接付与してもよく、フィルムや金属に付与したものを貼り合わせて使用してもよい。凹凸構造の深さは1μm〜50μmが好ましいが、より好ましくは2μm〜30μm、さらに好ましくは3μm〜20μmである。
支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜1μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。これらのポリイミドフィルムとしては、無延伸フィルムが好ましく適用されるが、1軸又は2軸に延伸したフィルムでも使用することができる。
ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
以下、フィルム状太陽電池を構成するよう形成される上記積層体の典型例として、光電変換層を一対の電極層で挟んでなる積層構造を説明する。しかし、本発明で形成される積層構造は以下に記載される態様に限定されず、従来技術の太陽電池が有する積層体の構成を適宜参照してよく、保護層や公知補助手段を付加してもよいものである。
上記一対の電極層の一つの電極層(以下、裏面電極層とも記載する)は、好ましくは、フィルム基材の一主面上に形成される。裏面電極層は自体公知の方法、例えばCVD(ケミカル・ベ−パ−・デポジション)法やスパッタ法によって、導電性無機材料を積層することによって得られる。導電性無機材料としては、Al、Au、Ag、Cu、Ni、ステンレス鋼などの金属薄膜や、In2O3、SnO2、ZnO、Cd2SnO4、ITO(In2O3 にSnを添加したもの)などの酸化物半導体系の導電材料などが挙げられる。裏面電極層の厚さは特に限定はなく、通常、30〜1000nm程度である。好ましくは、裏面電極層は金属箔膜である。
薄膜シリコン層は、プラズマCVD法、熱CVD法、スパッタリング法、クラスタイオンビーム法、蒸着法などによって得られるシリコン層である。
無定形シリコン層は、実質的に結晶性をもたないシリコンからなる層である。実質的に結晶性をもたないことは、X線を照射しても回折ピークを与えないことによって確かめることができる。無定形シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、例えば、プラズマCVD法や熱CVD法などが含まれる。
多結晶シリコン層は、シリコンからなる微小結晶の集合体からなる層である。上述の無定形シリコン層とは、X線の照射により回折ピークを与えることによって区別される。多結晶シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、無定形シリコンを熱処理する手段などが含まれる。
本発明で用いる光電変換層は、シリコン系半導体層に限られず、例えば、厚膜半導体層であってもよい。厚膜半導体層とは酸化チタン、酸化亜鉛、ヨウ化銅などのペーストから形成される半導体層である。
半導体材料を光電変換層として構成する手段は公知の方法を適宜参照してよい。例えば、200〜500℃の温度下で、SiH4にフォスフィン(PH3)を添加したガス中で高周波プラズマ放電を行うことで約20nmのa−Si(n層)を形成し、続いてSiH4ガスのみで約500nmのa−Si(i層)を形成し、続いてSiH4にジボラン(B2H6)を添加して、約10nmのp−Si(p層)を形成することができる。
かくして、本発明の好適な態様例である、透明電極/p型a−Si/i型a−Si/n型a−Si/金属電極/表面凹凸構造面のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの順で積層されてなるフィルム状太陽電池が得られる。また、p層をa−Si、n層を多結晶シリコンとして、両者の間に薄いアンド−プa−Si層を挿入した構造にしてもよい。特に、a−Si/多結晶シリコン系のハイブリッド型にすると、太陽光スペクトルに対する感度が改善される。
太陽電池の作製においては、上記構成に加えて、反射防止層、表面保護層などを付加せしめてもよい。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
測定対象の基材フィルムを、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度および破断伸度を測定した。
測定対象のフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向、TD方向の意味は上述のとおりである。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
変換効率をAM=1に調節したオリエル社製のソーラーシュミレータで測定した。
9.フィルム表面凹凸構造の深さ
JIS B0601−1994に準じて触針式表面粗さ計(東京精密社製)を用い、形状を作りこんだフィルム表面の形状を測定して凹凸構造の深さを確認した。触針半径2μm、測定評価長さ0.8mmで十点平均粗さ(Rz:基準長さ毎の山頂の高い方から5点、谷底の低い方から5点を選び、その平均高さ)を測定し、突起の深さとした。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、5000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、485質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて53時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.1dl/gであった。
このポリアミド酸溶液を、高さ7μm底面7μm×7μmの正方形である四角錐を密接して形成したステンレスベルトにコーティングして、3つのゾーンを有する連続式の乾燥炉を用いて、所定条件で乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルム(ポリイミド前駆体フィルム、あるいはグリーンフィルムともいう)をステンレスベルトから剥離して、各実施例のグリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムを、3つの区画を有し窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、加熱を施してイミド化反応を進行させた。高さ7μmの四角錘の凹凸構造を有するステンレスベルト支持体に対して、フィルム表面には深さ6.3μmの凹凸構造が形状されていた。
スパッタリング装置でステンレスのターゲットを使用して、上記各フィルム上に厚さ1000nmのステンレス層を形成した。次いで、真空反応器中の対向電極と支持電極の間にステンレス層を形成したフィルムを設置して、反応器内を一旦10-5Torrに排気し、支持電極の温度を350℃に高めた。その後、対向電極と支持電極に30Wの15MHzの高周波電圧を印加しつつ、アルゴンガスを反応器内に導入して3mTorrのアルゴン雰囲気下でプレスパッタし、次いで水素ガスで10%に希釈したSiH4、同様に水素ガ
スで1%に希釈したPH3ガスを同時に導入して、1Torrの雰囲気下で上記ステンレ
ス層上に25nmのn型アモルファスシリコン層を形成した。次いで、SiH4のみを導
入して、前記n型アモルファスシリコン層の上に、厚さ500nmのi型アモルファスシリコン層を積層し、さらにSiH4ガス中に1%のB2H6を含有する混合ガスを導入する
ことで、前記i型アモルファスシリコン層の上に、厚さ25nmのp型アモルファスシリコン層を形成した。
次いでこのpin型アモルファスシリコン層を形成したフィルムを真空蒸着装置内に装着し、電子ビーム法で100nmの厚さの酸化インジウム錫層を蒸着してヘテロ電極層とした。最後にその上に100nmのパラジウム層を櫛形に真空蒸着した。以上のようにして各実施例のフィルム状太陽電池を得た。フィルム状太陽電池の製造工程において、フィルム基材が熱で変形したり、シワが生じたりするなどの問題はなく、平面性の優れた太陽電池が得られた。
前記した各実施例における、高さ7μm、底面7μm×7μmの正方形である四角錐を密接して形成したステンレスベルトに代えて、四角錘を全く形成しない平面ステンレスベルとを使用した以外は実施例と同様にしてポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得て、フィルム状太陽電池を得た。
各実施例、比較例のフィルム状太陽電池の評価結果を表1にまとめる。
Claims (3)
- ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるポリアミド酸を支持体上に流延してポリイミド前駆体フィルムを得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理および/又はイミド化して得られるポリイミドフィルムであって、該フィルムの 片方の面がフィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有し、フィルムの凹凸構造を有している面の反対面が、フィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有さないことを特徴とする太陽電池基板用ポリイミドフィルム。
- 請求項1に記載のポリイミドフィルム上に光電変換層を設けたことを特徴とする太陽電池。
- ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸とを反応させて得られるポリアミド酸を支持体上に流延してポリイミド前駆体フィルムを得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理および又はイミド化して得られるポリイミドフィルムの製造方法であって、支持体にあらかじめ深さが1μm〜50μmである凹凸構造を形成し、該支持体上にポリアミド酸を流延してポリイミド前駆体フィルムを得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理および又はイミド化して、フィルムの一面がフィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有し、フィルムの凹凸構造を有している面の反対面が、フィルム厚さ方向に深さが1μm〜50μmである凹凸構造を有さないポリイミドフィルムを得ることを特徴とする太陽電池基板用ポリイミドフィルムの製造方法。
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