JP4806654B2 - 起泡材、起泡物及びこれを用いた食品 - Google Patents

起泡材、起泡物及びこれを用いた食品 Download PDF

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Description

本発明は、起泡材、起泡物及びこれを用いた食品に関する。
卵白は、強く撹拌されると蛋白質の変性をともなって起泡する特有の性質を有し、この卵白の性質を利用して、スポンジケーキやムース等の菓子類やスフレオムレツ等を製造することが行われている。
このような食品に用いる卵白としては、容積の大きい起泡が得られることが望まれている。また、卵白を起泡させる際には、起泡処理時間が長くなるにつれて起泡させた卵白の容積が徐々に大きくなるが、起泡処理時間が長すぎると破泡が生じかえって容積が小さくなるいわゆる「泡が枯れる」という現象が生じる。そのため、品質のよい起泡を得るためには、起泡の状態を見ながら起泡処理時間を調節する必要があるが、卵白を食品工業的に起泡させる場合、起泡処理時間を卵白の状態を見ながらコントロールすることが難しい。したがって、容積の大きい起泡が得られる適切な処理時間が長く起泡処理時間の制約を受け難いことが望まれる。
また、卵白の起泡性に関しては、pHによる影響があり、酸剤やアルカリ剤を加えることで起泡状態が変わることが知られている(非特許文献1)。このため、例えば、特開2003−334033号公報(特許文献1)に記載しているように、レモン果汁を加えて起泡性を改質することが行われている。また、他にも、卵白の起泡性を助けるために、種々の添加剤を添加することが提案されている。このような添加剤として、例えば、特開2004−194519号公報(特許文献2)には、増粘多糖類と酸剤を併用する方法、特開平9−313100号公報(特許文献3)には、蛋白加水分解物と多糖類を併用する方法、特開平7−170944号公報(特許文献4)には、還元剤及び/又はイースト自己消化液を用いる方法、更に、特公昭55−22号公報(特許公報5)および特公昭55−26824号公報(特許公報6)には、アルカリ剤を用いた処理を行う方法が提案されている。しかしながら、これらの技術はいずれも、添加剤を用いるものであり、充分な効果を得るために添加剤の添加量を増やすと、添加剤により風味に悪影響がでる場合がある。また、容積が大きい高品質の起泡が食品工業的に安定して得られる点からの品質改良効果が充分に満足できるものではない。
中村良編、「卵の科学」、朝倉書店 特開2003−334033号公報 特開2004−194519号公報 特開平9−313100号公報 特開平7−170944号公報 特公昭55−22号公報 特公昭55−26824号公報
本発明は、容積が大きい高品質の起泡が食品工業的に安定して得られる風味のよい起泡材、起泡物及びこれを用いた食品を提供する。
鶏卵の液卵白には二酸化炭素が溶存していることが知られている。また、液卵白を脱糖処理した後、乾燥処理する一般的な乾燥卵白の製造方法において、乾燥処理後の乾燥卵白の水戻し溶液のpHが乾燥前の液卵白のpHに比べて上昇する傾向があることが知られている。その理由は、液卵白中に溶存する二酸化炭素が乾燥処理時に放出されるため、乾燥卵白中には二酸化炭素がほとんど残存していないからであると従来考えられていた。
これに対して、本願発明者は、脱糖処理時の有機酸の添加量が少ない、あるいは、有機酸を添加しないで製造したpH9以上の乾燥卵白は、乾燥卵白中に二酸化炭素がある程度残存していること、この乾燥卵白は、適切に乾熱処理することにより乾燥卵白に含まれる二酸化炭素を散失させることができること、並びに、二酸化炭素を散失させてpHを上昇させた乾燥卵白は、起泡性の点から改質されており、更に、従来から行われている種々の添加剤を加えて起泡性を改質する方法に比べて風味が損なわれておらず良好な風味が保たれていることを見出して、遂に本発明を完成するに至った。
本発明の一態様に係る起泡材は、
pHが9.5以上であり、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下である改質乾燥卵白を有効成分とする。本発明において、「製品」とは、改質乾燥卵白をいうものとする。
上記起泡材において、前記改質乾燥卵白は、乾燥後のpHが9以上となるように液卵白を乾燥処理して乾燥卵白を製した後、該乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより得られたものであることができる。
本発明の一態様に係る食品は、上記起泡材が配合されている。
本発明の一態様に係るケーキ類は、上記起泡材が配合されている。
本発明の一態様に係る起泡物は、pHが9.5以上であり、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下である改質乾燥卵白を起泡させたものである。
上記起泡物において、前記改質乾燥卵白は、乾燥後のpHが9以上となるように液卵白を乾燥処理して乾燥卵白を製した後、該乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより得られたものであることができる。
本発明の一態様に係る食品は、上記起泡物を用いたものである。
本発明の一態様に係るケーキ類は、上記起泡物を用いたものである。
上記起泡材によれば、容積が大きい高品質の起泡が食品工業的に安定して得られる。また、上記起泡材は、添加剤を用いていないに拘らず、卵白の良好な風味のまま起泡性が改質されている。したがって、食品工業的に大量生産が可能であるスポンジケーキやムース等の菓子類やスフレオムレツ等の食品の品質を向上させることができ、これらの需要を拡大することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る起泡材、起泡物及びこれを用いた食品について説明する。なお、本実施形態において、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
1.起泡材および起泡物
本発明の一実施形態に係る起泡材は、改質乾燥卵白を有効成分とする。本実施形態に係る起泡材を用いることにより、通常の卵白に比べて容積が大きい高品質の泡沫が得られる。本実施形態に係る起泡材における改質乾燥卵白の配合量は通常、10〜100%である。また、本発明の一実施形態に係る起泡物は、改質乾燥卵白の水溶液を起泡させたものである。なお、本実施形態に係る起泡物は、最終製品への影響を抑えるために、改質乾燥卵白の水溶液を中性にしてから起泡させたものであってもよい。
一般に、卵白を起泡させる際には、起泡処理時間が長くなるにつれて起泡させた卵白の容積が徐々に大きくなる。起泡処理時間が長くなると破泡が生じ、かえって容積が小さくなるため、食品工業的に卵白を起泡させる場合、卵白の状態を見ながら起泡処理時間をコントロールすることが難しい。
これに対して、本実施形態に係る起泡材によれば、改質乾燥卵白を有効成分とするため、該起泡材を起泡させた場合容積の大きい起泡が得られる適切な起泡処理時間が長く、過撹拌されて起泡処理時間が適切でない場合であっても容積の大きい起泡が得られることから、容積が大きい高品質の泡沫が食品工業的に安定して得られる。更に、添加剤を用いる従来の起泡性改質方法に比べて風味が損なわれておらず、卵白の良好な風味が保たれている。
1.1.改質乾燥卵白
1.1.1.改質乾燥卵白の特性
改質乾燥卵白は、pHが9.5以上であり、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下である。
製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度は、改質乾燥卵白に含まれる二酸化炭素の量を反映する。したがって、前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が高いほど、改質乾燥卵白に含まれる二酸化炭素の量が多いといえる。
具体的には、前記バイアル瓶中の二酸化炭素の濃度は、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃の恒温機で24時間保存した後、恒温機から取り出して1分以内に前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度を二酸化炭素濃度計(PBI-Dansensor社製 Check Point O/CO)で測定される。
また、後述する実施例に示すように、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存することにより、改質乾燥卵白から二酸化炭素を充分に放出させることができる。すなわち、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間以上保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度は、同条件にて24時間以上保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度とほとんど変わらない。
本発明において、「乾燥卵白」とは、液卵白を噴霧乾燥、パンドライ、凍結乾燥、真空乾燥等の種々の方法で乾燥して得られた卵白をいう。また、本発明において、「(改質)乾燥卵白のpH」とは、pHメーター(商品名「MP225」、メトラー・トレド社製)にて測定された、1質量部の(改質)乾燥卵白に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた溶液のpH値をいう。
また、この改質乾燥卵白は二酸化炭素を吸収しにくいため、大気中に常温保存しても二酸化炭素の吸収によってpHが低下して、起泡性が失われたりすることがない。
改質乾燥卵白におけるpHの好ましい範囲は9.5〜10.9である。改質乾燥卵白はアルカリ剤を含まないか、あるいは含有するアルカリ剤が少量であるため、後述するように二酸化炭素を除去しながら乾熱処理しても、pHは10.9以下に留まる。なお、食品工業的に大量生産する観点からは、前記pHまで上昇した乾燥卵白を安定して製造するには、後述する乾熱処理条件を煮え等が発生しないように微調整しながら行う必要があり、製造コストがかかって経済的でないことから、改質乾燥卵白のpHは好ましくは10.7以下である。また、改質乾燥卵白において、改質効果がより得られ易いことから、pHは好ましくは9.5以上であり、より好ましくは10以上、更に好ましくは10.2以上である。
1.1.2.改質乾燥卵白の製造
改質乾燥卵白は、乾燥後のpHが9以上となるように液卵白を乾燥処理して乾燥卵白を製した後、該乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより得ることができる。以下、改質乾燥卵白の製造方法について説明する。
1.1.2−1.乾燥卵白を製する工程
改質乾燥卵白を製するには、まず、液卵白を用意する。液卵白としては、例えば、卵を割卵して卵黄と分離した生液卵白、これにろ過、殺菌、冷凍、濃縮等の処理を施したものの他、卵白中の成分を除去する処理、例えば、糖分を除去する脱糖処理やリゾチームを除去する処理を行ったもの等を用いることができる。これらの液卵白の中でも、後述する乾熱処理中に卵タンパク質中のアミノ基と反応してメイラード反応を起こし、褐変、不快臭の発生等の品質の低下を防止することができる点で、脱糖処理を行った液卵白を用いるのが好ましい。脱糖処理は、酵母、酵素、細菌等を用いて常法により行えばよく、中でも、不揮発性の酸が産出され難く、乾燥後の乾燥卵白のpHを高く調整し易い点から、酵母を用い、具体的には、液卵白中の遊離の糖含有率が好ましくは0.1%以下となるように行うことが好ましい。
次に、前記液卵白を乾燥処理する。ここで、乾燥処理後の乾燥卵白のpHを9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上とする。
一般に、液卵白を酵母脱糖、酵素脱糖等の方法で脱糖処理する際には、これら酵母や酵素の適正pHが弱酸性〜中性であるため、有機酸等の酸剤を添加して液卵白のpHを中性程度とするため、得られる乾燥卵白もpHが7前後となる。
これに対して、改質乾燥卵白の製造においては、前記脱糖処理の際に有機酸等の酸剤を添加しないか、またはごくわずかの添加に抑えることにより、乾燥卵白のpHを9以上に調整するのが好ましい。具体的には、用いる液卵白のpHや乾燥処理方法等にもよるが、有機酸等の酸剤を添加せずに酵母で脱糖処理をした場合、pH9.9〜10.1程度の乾燥卵白を得ることができる。また、乾燥処理後の乾燥卵白のpHが高いほうが改質効果を得易いことから、有機酸等の酸剤を添加しない方が好ましいが、脱糖処理効率を上げる等の目的のために、例えば、酸剤としてクエン酸等の有機酸を用いる場合は、脱糖の際の有機酸添加量を液卵白1kgに対して好ましくは1000mg以下、より好ましくは500mg以下、更に好ましくは200mg以下、特に好ましくは100mg以下とする。
また、乾燥前の液卵白のpHに比べて、乾燥後の乾燥卵白のpHはやや上昇する傾向がある。例えば、乾燥条件にもよるが、通常の噴霧乾燥条件である150〜200℃の熱風で乾燥した場合、pHが1〜3程度高くなるので、これを考慮して、乾燥処理後の乾燥卵白のpHを前記範囲に調整すればよい。
なお、改質乾燥卵白の製造の際に、乾燥卵白のpHを前記特定範囲に調整するために、リン酸三ナトリウム等の少量のアルカリ剤を添加してもよいが、食品に添加した場合に風味や物性の点で悪影響を与える場合があり、また、このような乾燥卵白は、アルカリ剤に由来する塩類により後述する乾熱処理中にタンパク質が熱変性して不溶化するいわゆる煮えが生じ易くなる。したがって、改質乾燥卵白の製造の際に、アルカリ剤の添加量は乾燥前の液卵白1kgに対して好ましくは300mg以下、より好ましくは150mg以下、更に好ましくは50mg以下である。
乾燥処理は、特に制限はなく、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)、パンドライ、凍結乾燥、真空乾燥等の種々の方法により常法に準じて行えばよい。
以上のように、pHが9以上となるように乾燥処理した乾燥卵白は、二酸化炭素含有量が高いのに対し、前記範囲よりもpHが低い場合は、二酸化炭素を含有量が低い。これは、一般的な方法に準じて、有機酸等の酸剤を添加して脱糖処理された液卵白を乾燥処理して得られたpHが7程度の乾燥卵白は、乾燥処理時に卵白中に溶存する二酸化炭素が放出されやすく、該乾燥卵白中には二酸化炭素がほとんど残存していないためであると推察される。
改質乾燥卵白の製造の際に、pHが9以上となるように乾燥処理した乾燥卵白を後述するように乾熱処理することにより、二酸化炭素を散失させてpHを上昇させることができるとともに、起泡性を高めることができる。一方、pHが7程度の乾燥卵白は、加熱しても二酸化炭素をほとんど放出しないことから、乾燥卵白を乾熱処理して二酸化炭素を散失させることが困難である。
1.1.2−2.二酸化炭素を散失させる工程
次いで、上述の乾燥卵白を製する工程により得られた乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させる。ここで、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより、乾燥卵白のpHを上昇させることができ、好ましくは乾燥卵白のpHを9.5以上にすることができる。また、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより、乾燥卵白中の二酸化炭素の濃度を1%以下にすることができる。
また、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させる際に、該乾燥卵白から雰囲気中に放出される二酸化炭素を除去しながら、該乾燥卵白を乾熱処理してもよい。すなわち、乾熱処理により二酸化炭素を雰囲気中に放出させた後、この雰囲気中の二酸化炭素を除去することにより、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることができる。
乾熱処理の温度は、二酸化炭素の放出量が多い点で、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上、特に好ましくは70℃以上である。一方、乾熱処理の温度があまり高すぎると、乾燥卵白から二酸化炭素が充分に放出される前に、前記乾燥卵白中のタンパク質が変性して、不溶化してしまういわゆる煮えが生じ易い。このため、乾熱処理の温度は好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下である。
したがって、乾熱処理の温度は上述の理由により、45〜120℃が好ましい。45〜120℃で乾熱処理することにより、前記乾燥卵白中のタンパク質の変性を防ぎつつ、前記乾燥卵白中の二酸化炭素を効率的に放出させることができる。また、乾熱処理の温度は50〜120℃がより好ましく、60〜100℃が更に好ましく、70〜100℃が特に好ましく、70〜90℃が最も好ましい。
このような乾燥卵白中の二酸化炭素の放出は、35℃程度の雰囲気温度下に放置するだけではほとんど認められず、上述の特定温度以上で乾熱処理することにより初めて認められることから、乾燥卵白に含まれる二酸化炭素は、何らかの形でタンパク質と結合した状態で存在していると考えられる。
上述したように、特定温度以上で乾燥卵白を乾熱処理して該乾燥卵白中の二酸化炭素が散失したかどうかは、乾熱処理前後の乾燥卵白の一部をサンプリングして、下記測定方法によりそれぞれ測定した値を比較することにより判断できる。
例えば、前記pH9以上となるように乾燥処理した乾燥卵白25gを、二酸化炭素を除去しながら行う乾熱処理を施さずに、250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度は通常、2〜4%程度となる。
これに対して、二酸化炭素を除去しながら、上記乾燥卵白を乾熱処理して得られた改質乾燥卵白では、同様に測定された前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下(より好ましくは0.8%以下)である。
二酸化炭素を除去しながら行う乾熱処理によって二酸化炭素を散失させることにより、乾燥卵白のpHは通常、0.01〜1程度上昇する。このため、乾熱処理後の乾燥卵白のpHを9.5以上(好ましくは10以上、より好ましくは10.2以上)となるように二酸化炭素を散失させるのが好ましい。
上述したように、用いる液卵白のpHや乾燥処理方法等にもよるが、有機酸等の酸剤を添加せずに脱糖処理して乾燥卵白を製造しても、得られる乾燥卵白のpHは通常、10.1以下に留まる。これに対して、乾熱処理後の乾燥卵白中の二酸化炭素を上述のように散失させることにより、アルカリ剤を添加しなくても乾燥卵白のpHを10.2以上とすることができる。
なお、改質乾燥卵白の製造の際に、上述した二酸化炭素を散失させる乾熱処理と同時に又はその後に、乾燥卵白の水分含量が一定量以上の状態で一定時間以上乾熱処理することにより、起泡性を高めることができる。この場合、改質効果が得られ易いことから、乾燥卵白の水分含量が4%以上(より好ましくは5%以上)の状態で、1日以上(より好ましくは2日以上)乾熱処理することが好ましい。一方、水分含量が高すぎたり乾熱処理時間が長すぎたりすると煮えが生じ易いことから、前記乾熱処理する際には、乾燥卵白の水分含量を好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下とし、乾熱処理時間を好ましくは30日以下、より好ましくは21日以下とするとよい。
このような乾熱処理を行うには、乾熱処理開始時点の乾燥卵白の水分含量を、好ましくは4〜12%、より好ましくは5〜10%として乾熱処理すればよいが、後述する乾熱処理方法によっては、乾熱処理時に乾燥卵白の水分含量が低下する場合がある。したがって、このような乾燥卵白の水分含量が低下する方法で乾熱処理する場合は、乾熱処理開始時点の乾燥卵白の水分含量を調整することに加えて、乾熱処理後に最終的に得られる改質乾燥卵白の水分含量が3%以上(好ましくは4%以上)になるように、乾燥卵白の水分蒸発を防ぎながら1日以上かけて乾熱処理することが好ましい。
本発明において、「(改質)乾燥卵白の水分含量」は、赤外線水分計((株)ケツト科学研究所、FD−600)によって測定される。
乾熱処理を施す乾燥卵白の水分含量を調整する方法は、特に制限はないが、例えば、乾燥卵白を製造する際の乾燥条件を調節する方法や、乾燥卵白に加水する方法が挙げられる。具体的には、通常の噴霧乾燥条件である150〜200℃の熱風で乾燥した場合、乾燥卵白の水分含量は6〜7%程度となるので、これをそのまま、あるいは、加水して調整すればよい。
また、乾燥卵白の水分含量が好ましくは4%以上の状態で乾熱処理する際には、乾熱処理温度が低すぎても改質効果が得られ難く、一方、このように水分含量が調整された乾燥卵白は、水分が高く煮えが生じ易いため、乾熱処理の温度が高すぎるのは好ましくない。したがって、起泡性を改質する場合の乾熱処理温度は、好ましくは60〜90℃であり、より好ましくは60〜80℃である。
上述のpH9以上の乾燥卵白を45℃以上で乾熱処理して放出された二酸化炭素は、二酸化炭素の濃度が大気よりも高い雰囲気下(例えば、乾熱処理後の雰囲気下(乾燥卵白から放出された二酸化炭素を含む雰囲気下))において、該雰囲気温度が前記温度より下がると、再び乾燥卵白に吸収される傾向がある。
このため、改質乾燥卵白の製造の際に、二酸化炭素を除去しながら乾熱処理する。二酸化炭素を除去しながら乾熱処理する方法としては、例えば、乾燥卵白から放出された二酸化炭素を換気により除去しながら行う方法や、乾燥卵白から放出された二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させながら行う方法が挙げられ、具体的には、例えば、以下の第1〜第3の方法が挙げられる。
第1の方法は、乾燥卵白をバットなどの平坦な容器に厚さが1mmから10cm程度に広げ、該容器を加熱空気が換気されている恒温機、乾燥機、熱蔵庫等に保存する方法である。第1の方法によれば、後述する第2の方法と比較して、比較的短時間で二酸化炭素を散失することができる。
第1の方法において、乾燥卵白から二酸化炭素を短時間で散失させるためには、乾熱処理温度を上げる必要がある。この場合、二酸化炭素が充分に散失される前に乾燥卵白が煮えやすく、一方、換気量を増やすと、空気の流れにより乾燥卵白が庫内で舞い上がることがある。また、乾燥卵白から二酸化炭素は徐々に放出されるため、あまり乾熱処理時間が短くても乾燥卵白に含まれる二酸化炭素を充分に散失させ難い傾向がある。このため、第1の方法においては、乾熱処理温度と換気量を調節して、少なくとも好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上かけて、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることが好ましい。
第2の方法は、乾燥卵白を二酸化炭素透過性がある容器に容器詰めし、該容器を加熱空気が換気されている恒温機、乾燥機、熱蔵庫等に保存する方法である。第2の方法は衛生管理上好ましい。第2の方法では、例えば好ましくは20〜80μm厚(より好ましくは30〜70μm厚)のポリエチレンフィルムからなるパウチに封入し、パウチの外表面の大部分が換気されている加熱空気に接触した状態で乾熱処理することができる。パウチの厚さが前記範囲よりも厚い場合、二酸化炭素の透過が充分に行われないことがあり、一方、パウチの厚さが前記範囲よりも薄い場合、強度が不十分で作業性が悪くなることがある。
ここで、「パウチの外表面の大部分」とは、パウチの外表面の70%以上をいうものとし、好ましくは80%以上である。
また、乾燥卵白が封入されたパウチを複数作製して乾熱処理を行う場合、二酸化炭素を透過しやすくするために、各パウチ間にスペースが設けられた状態で各パウチを配置するのが好ましい。具体的には、例えば、乾燥卵白10〜20kgがそれぞれ封入された複数の包装体を、金網でできた棚に重ねずに並べて、容器の外表面の大部分が換気されている加熱空気に接触した状態で乾熱処理する方法などが挙げられる。
第2の方法は、第1の方法に比べると二酸化炭素を散失させるのに時間がかかるが、乾燥卵白の水分含量が高い状態で長時間保持され易いので、上述したように乾熱処理前の水分含量を適正な値に調整して、乾燥卵白の水分含量が4%以上の状態で、1日以上乾熱処理することにより、起泡性を充分に高めることができるため、好ましい。
第3の方法は、乾燥卵白から放出される二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させながら乾熱処理する方法である。第3の方法は、上述した第1または第2の方法と組み合わせて行うことができる。
例えば、二酸化炭素吸収剤を乾燥卵白と同一包材内に封入して乾熱処理する方法、あるいは、乾燥卵白が封入された包材が二酸化炭素透過性の高い包材である場合、その外側に二酸化炭素吸収剤を配置させて乾熱処理を行う方法が挙げられる。
二酸化炭素吸収剤の使用量が多いほど、乾燥卵白から放出された二酸化炭素を速やかに吸収させることができる。具体的には、乾熱処理温度等にもよるが、10kgの乾燥卵白に対して2000〜6000mLの吸収能を有する二酸化炭素吸収剤を使用すればよい。
第3の方法は、水分含量が高い状態に保持したまま、二酸化炭素のみを選択的に除去できる。このため、上述したように乾熱処理前の水分含量を適正な値に調整しておくことにより、第2の方法と同様に、起泡性を充分に高めることができて好ましい。
1.2.その他の成分
本実施形態に係る起泡材は、必要に応じて、全卵、卵白、卵黄等の卵類、乳蛋白分解物、卵白分解物、大豆蛋白分解物等の蛋白分解物、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、ゼラチン等の増粘材、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、ブドウ糖、砂糖、トレハロース、ソルビトール、デキストリン、デキストリンアルコール等の糖類、有機酸等のpH調整剤、その他の品質改良材等を更に含んでいてもよい。
また、本実施形態に係る起泡物は、必要に応じて、例えば、起泡物がケーキ類を製造するための起泡物である場合、ケーキ類の原料、具体的には、砂糖等の糖類、小麦粉等の穀粉類、植物油、バター等の油脂類、全卵、卵白、卵黄等の卵原料、牛乳、脱脂粉乳等の乳原料、調味料等を更に含んでいてもよい。また、起泡物がムースを製造するための起泡物である場合、ムースの原料、具体的には、砂糖等の糖類、ゼラチン等のゲル化剤、果実原料等を更に含んでいてもよい。
1.3.特徴
本実施形態に係る起泡材に含まれる改質乾燥卵白の特徴を説明するために、比較対照として、起泡性が良好であると刊行物に記載されている乾燥卵白について説明する。
1.3.1.特公昭55−22号公報および特公昭55−26824号公報に記載の乾燥卵白
特公昭55−22号公報には、脱糖処理した卵白液に、乾燥後のpHが凡そ10以上となるようにアルカリ剤を添加した後乾燥して、アルカリ性の粉末乾燥卵白を製し、これを加温状態で一定日数保持後、粉末状有機酸を加配混合して全体のpHを凡そ中性として得られた乾燥卵白が記載されている。
また、特公昭55−26824号公報には、卵白にアルカリ剤を添加して、そのpHを9.5〜11.5まで上げ、次いで酸剤にてほぼ中和し乾燥して得られた乾燥卵白が記載されている。
しかしながら、上記公報記載の乾燥卵白のpHはいずれも中性であり、起泡性に劣る。また、上記公報記載の乾燥卵白にはアルカリ性の塩類が添加されており、このアルカリ性の塩類が最終製品に残存するため、食品に添加した際に食味や物性の点で悪影響を与える場合がある。
1.3.2.本実施形態に係る起泡材
これに対して、本実施形態に係る起泡材によれば、上記改質乾燥卵白を有効成分として含むため、起泡性が高く、容積が大きい高品質の起泡を食品工業的に安定して得ることができ、かつ、風味が良好であるため、食品に添加した場合に食味や物性の点で悪影響を与えることがない。
2.食品
本発明の一実施形態に係る食品には、上記起泡材が配合されている。また、本実施形態に係る食品は、上記起泡物が配合されていてもよい。本実施形態に係る食品によれば、上記起泡材(または起泡物)が配合されていることにより、ふっくらとしていて口当たりが軽く、かつ、風味が良好である。
本実施形態に係る食品としては、例えば、マドレーヌ、スポンジケーキ、エンゼルフードケーキ、ブッセ、ダックワーズ、フィナンシェ、タルト、バームクーヘン、パウンドケーキ及びシャルロットケーキ等のケーキ類、ムース、淡雪羹、ババロア、スフレオムレツ等が挙げられる。
本実施形態に係る食品における改質乾燥卵白の配合量は、食品の種類によって適宜選択すべきであるが、通常好ましくは1〜80%、より好ましくは3〜50%である。改質乾燥卵白の配合量が1%より少ないと、起泡性が乏しい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
3.実施例
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
3.1.実施例1
殻付卵を割卵分離して得られた液卵白10kgにパン用酵母20gを添加し35℃で4時間脱糖処理を行った。次に、この脱糖液卵白を170℃で噴霧乾燥し乾燥卵白(pH10.0、水分含量7%)を得た。この乾燥卵白1kgと二酸化炭素吸収剤(二酸化炭素吸収能500mL、三菱ガス化学(株)製、商品名「エージレスC−500PS」)をアルミ袋(層構成と厚さは、外側からPET12μm、ナイロン15μm、アルミ7μm、CPP70μm)に充填密封した後、この包装体を75℃の恒温機に保存して75℃、2日間の乾熱処理を行い、実施例1の改質乾燥卵白(pH10.6、二酸化炭素濃度0.0%)を得た。
3.2.実施例2
殻付卵を割卵分離して得られた液卵白1000kgにパン用酵母2kgを添加し35℃で4時間脱糖処理を行った。次に、この脱糖液卵白を170℃で噴霧乾燥し乾燥卵白(pH10.0、水分含量7%)を得た。この乾燥卵白を10kgずつ厚み60μmのポリエチレン袋に充填密封し、これらの包装体を、庫内の加熱空気が換気されている庫内温度75℃の熱蔵庫に保存して75℃、14日間の乾熱処理を行い、実施例2の改質乾燥卵白(pH10.4、二酸化炭素濃度0.6%)を得た。なお、乾熱処理する際には、乾燥卵白の包装体を熱蔵庫内の金網でできた棚に一袋ずつ重ねずに並べ、各包装体の外表面の80%程度が庫内の加熱空気に接触した状態で乾熱処理した。
3.3.実施例3
殻付卵を割卵分離して得られた液卵白10kgに10%クエン酸溶液200gとパン用酵母20gを添加し35℃で4時間脱糖処理を行った。次に、この脱糖液卵白を170℃で噴霧乾燥し乾燥卵白(pH9.5、水分含量7%)を得た。この乾燥卵白1kgを厚み60μmのポリエチレン袋に充填密封した後、この包装体を75℃の恒温機に保存して定期的に恒温機内の加熱空気を換気しながら75℃、14日間の乾熱処理を行い、実施例3の改質乾燥卵白(pH9.7、二酸化炭素濃度0.5%)を得た。なお、乾燥卵白の包装体は、外表面の70%程度が恒温機内の加熱空気に接触した状態となるように静置して乾熱処理した。
3.4.実施例4
殻付卵を割卵分離して得られた液卵白10kgにパン用酵母20gを添加し35℃で4時間脱糖処理を行った。次に、この脱糖液卵白を170℃で噴霧乾燥し乾燥卵白(pH10.0、水分含量7%)を得た。この乾燥卵白をバットに厚さが1cmとなるように広げて入れ、これを加熱空気が換気されている乾燥機に保存して75℃、6時間の乾熱処理を行い、実施例4の改質乾燥卵白(pH10.4、二酸化炭素濃度0.2%)を得た。
3.5.比較例1
実施例1において、乾熱処理を行わない以外は実施例1と同様の方法で製して、比較例1の乾燥卵白(pH10.0、二酸化炭素濃度2.9%)を得た。
3.6.比較例2
実施例1において、25℃の恒温機で25℃、7日間の乾熱処理を行った以外は、実施例1と同様な方法で製して、比較例2の乾燥卵白(pH10.0、二酸化炭素濃度2.9%)を得た。
3.7.比較例3
実施例1において、アルミ袋に二酸化炭素吸収剤を封入しないで乾熱処理を行った以外は実施例1と同様な方法で製して、比較例3の乾燥卵白(pH10.0、二酸化炭素濃度3.0%)を得た。
3.8.比較例4
実施例2において、厚み60μmのポリエチレン袋に換えて厚み100μmのポリエチレン袋を用い、かつ更に、この乾燥卵白を充填密封したポリエチレン袋をクラフト袋に入れて乾熱処理を行った以外は実施例2と同様な方法で製して、比較例4の乾燥卵白(pH10.0、二酸化炭素濃度1.8%)を得た。
3.9.比較例5
実施例3において、脱糖処理前の10%クエン酸溶液の添加量を350gに増やした以外は実施例3と同様に脱糖処理後噴霧乾燥して乾燥卵白(pH7.2、水分含量7%)を得た。更に、この乾燥卵白を、乾熱処理時間を14日間から7日間に変えた以外は実施例3と同様に乾熱処理して、比較例5の乾燥卵白(pH7.0、二酸化炭素濃度0.1%)を得た。
3.10.比較例6
殻付卵を割卵分離して得られた液卵白10kgにパン用酵母20gを添加し35℃で4時間脱糖処理を行った。この脱糖処理液卵白に10%水酸化ナトリウム溶液を500g加えた後、170℃で噴霧乾燥し、乾燥卵白(pH10.8、水分含量7%)を得た。更に、得られた乾燥卵白1kgを、二酸化炭素吸収剤を封入しない以外は、実施例1と同様にして乾熱処理を行った。つまり、この乾燥卵白をアルミ袋に充填密封した後、恒温機内で75℃、2日間の乾熱処理を行い比較例6の乾燥卵白を得た。得られた比較例6の乾燥卵白は煮えが生じていた。
3.11.試験例
本試験例においては、乾燥卵白中の二酸化炭素濃度とpHが起泡性に与える影響を調べるため、実施例1、2及び比較例1、4、5の乾燥卵白に加えて、以下の試験品1−6を調製し、これらの起泡試験を行った。
3.11.1.試験品の調製
3.11.1−1.試験品1
実施例2で得られた改質乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた後、10%クエン酸水溶液を加えてpH7.0に調整して、試験品1を得た。
3.11.1−2.試験品2
比較例5で得られた乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた後、水酸化ナトリウムを加えてpH10.4に調整して、試験品2を得た。
3.11.1−3.試験品3
試験品3として、液卵白(pH9.1)を使用した。
3.11.1−4.試験品4
液卵白(pH9.1)に水酸化ナトリウムを加えてpH10.4に調整して、試験品4を得た。
3.11.1−5.試験品5
比較例4の乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた後に、水酸化ナトリウムを加えてpH10.4に調整して、試験品5を得た。
3.11.1−6.試験品6
液卵白(pH9.1)に水酸化ナトリウムを加えてpH10.4に調整して得られた液を低温室(4℃)で16時間放置した後、10%クエン酸水溶液を加えてpH7.0に調整して、試験品6を得た。
3.11.2.試験方法
実施例1、2及び比較例1、4、5の乾燥卵白は、1質量部の(改質)乾燥卵白に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた溶液をサンプル溶液とした。また、試験品1−6は、そのままサンプル溶液とした。
泡の高さは、ミキサーのボール底面から起泡により生じた泡の上端までの高さを測定したものである。
3.11.2−1.無糖試験
・撹拌装置:ホバート社製12コートミキサー、A120
・試料 :サンプル溶液500g(20℃)
・測定項目:泡の高さ
・撹拌条件:中速(196rpm)で2.5分間撹拌して泡の高さを測定した。その後、高速(358rpm)で撹拌して1分間ごとに泡の高さを測定した。
3.11.2−2.加糖試験
・撹拌装置:ホバート社製12コートミキサー、A120
・試料 :サンプル溶液500g(20℃)+グラニュー糖500g
・測定項目:泡の高さ
・撹拌条件:中速(196rpm)で2.5分間撹拌した後、高速(358rpm)で2.5分間撹拌して泡の高さを測定した。その後、高速で撹拌して2.5分間ごとに泡の高さを測定した。
3.11.3.試験結果
上記無糖試験における泡の高さを表1に示し、上記加糖試験における泡の高さを表2に示す。なお、表1では、中速で2.5分間撹拌後=高速撹拌時間0分として示されている。
3.11.3−1.無糖試験
Figure 0004806654
3.11.3−2.加糖試験
Figure 0004806654
3.11.4.考察
表1および表2によれば、実施例1および2で得られた改質乾燥卵白を有効成分とする起泡材を用いることにより、高い泡が得られた。また、これらは起泡処理時間が長くなっても破泡が生じ難い、つまり、「泡が枯れる」という現象が生じ難かった。以上により、pHが9.5以上であり、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下である改質乾燥卵白を有効成分とする改質乾燥卵白を有効成分とする起泡材を用いて、容積が大きい高品質の起泡を食品工業的に安定して得ることができることがわかる。
より具体的には、実施例1、2と、試験品2、4、5との対比より、単にpHが高いことにより起泡性が改善されているわけではなく、二酸化炭素が散失され、かつ、pHが9.5以上であることにより、起泡性が改質されていることがわかる。
また、実施例2と試験品1との対比により、pHを中性の状態で起泡しても効果が得られていることから、起泡する際のpHの値に関わらず、本発明の改質乾燥卵白によって起泡性が改質されていることがわかる。
更に、実施例1、2と、試験品3、4との対比により、本発明の改質卵白は、生卵白よりも起泡性が優れていること、生卵白のpHを調整して起泡性を改質する従来の方法に比べて、添加剤を用いていないにも拘らず、優れた起泡性向上効果が得られていることがわかる。
なお、試験品6は、アルカリ剤(水酸化ナトリウム)にてアルカリ処理を行なった後、酸を添加して中和した例であるが、添加した塩類によりやや異味があった。
3.12.実施例5(スポンジケーキの製造)
実施例2で得られた改質乾燥卵白を用いて、下記のようにスポンジケーキを製造した。
すなわち、実施例2で得られた改質乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた。この溶液700部に砂糖375部を加えてミキサー(ホバート社製12コートミキサー、A120)に投入し高速で15分間撹拌して起泡させた。
また、これとは別に、液卵黄300部に砂糖375部を加えて同様にミキサーで起泡させた。続いて、これらの起泡物と小麦粉(薄力粉)750部を混合機で混ぜて生地を調製した。得られた生地を直径18cmのスポンジケーキ用の丸型に流し込み、170℃のオーブンで30分間焼成し、室温にてあら熱をとり、型からはずし、スポンジケーキを得た。
得られたスポンジケーキは、外観状ふっくらとしてボリューム感があり食味も良好であった。
3.13.実施例6(ブッセの製造)
実施例1で得られた改質乾燥卵白を用いて、下記のようにスポンジケーキを製造した。すなわち、まず、実施例1で得られた改質乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた。この溶液340部に砂糖60部を加えてミキサー(実施例5と同じ)で高速で10分間撹拌して起泡させた。これとは別に、液卵黄160部と砂糖140部を同様にミキサーで起泡させた。次に、これらの起泡物と予め粉体混合した小麦粉(薄力粉)180部及びコーンスターチ20部を混合機で混ぜて生地を得た。続いて、得られた生地を20gずつ絞り袋で天板上に絞り出し、少量の粉糖をふり、180℃のオーブンで13分間焼成してブッセを得た。
得られたブッセは、外観状ふっくらとしてボリューム感があり食味も良好であった。
3.14.実施例7(メレンゲ菓子の製造)
実施例2で得られた改質乾燥卵白を用いて、下記のようにメレンゲ菓子を製造した。すなわち、まず、実施例2で得られた改質乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた。この溶液70部及び砂糖30部をミキサー(実施例5と同じ)に投入し、高速で15分間撹拌して起泡させた。次にこの起泡物を直径8cmのスフレ型に35gずつ絞り出した後、250℃のオーブンで5分間焼成して、メレンゲ菓子を得た。
得られたメレンゲ菓子は、外観状ふっくらとしてボリューム感があり食味も良好であった。
3.15.実施例8(スフレオムレツの製造)
実施例1で得られた改質乾燥卵白を用いて、下記のようにスフレオムレツを製造した。すなわち、まず、実施例1で得られた改質乾燥卵白1質量部に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた。この溶液50部と卵黄50部を撹拌混合して起泡し、得られた起泡物を、油を引いたフライパンに流し込み、加熱凝固させて成型し、スフレオムレツを得た。
得られたスフレオムレツは、外観状ふっくらとしてボリューム感があり食味も良好であった。

Claims (4)

  1. 1質量部の製品に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた溶液のpHが9.5以上であり、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下である改質乾燥卵白を有効成分とする起泡材であって、
    前記改質乾燥卵白は、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより得られた起泡材。
  2. 1質量部の製品に対して、7質量部の清水を加えて溶解させた溶液のpHが9.5以上であり、製品25gを250mL容量のバイアル瓶に密封して75℃で24時間保存した後の前記バイアル瓶内の二酸化炭素濃度が1%以下である改質乾燥卵白を起泡させた起泡物であって、
    前記改質乾燥卵白は、乾燥卵白中の二酸化炭素を散失させることにより得られた起泡物。
  3. 請求項2記載の起泡物を用いた食品。
  4. 請求項2記載の起泡物を用いたケーキ類。
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