JP4802692B2 - 走行体 - Google Patents

走行体 Download PDF

Info

Publication number
JP4802692B2
JP4802692B2 JP2005355819A JP2005355819A JP4802692B2 JP 4802692 B2 JP4802692 B2 JP 4802692B2 JP 2005355819 A JP2005355819 A JP 2005355819A JP 2005355819 A JP2005355819 A JP 2005355819A JP 4802692 B2 JP4802692 B2 JP 4802692B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle body
value
occupant
torque command
traveling body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005355819A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007160956A (ja
Inventor
快之 仙波
耕嗣 山田
稔夫 不破
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2005355819A priority Critical patent/JP4802692B2/ja
Publication of JP2007160956A publication Critical patent/JP2007160956A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4802692B2 publication Critical patent/JP4802692B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62KCYCLES; CYCLE FRAMES; CYCLE STEERING DEVICES; RIDER-OPERATED TERMINAL CONTROLS SPECIALLY ADAPTED FOR CYCLES; CYCLE AXLE SUSPENSIONS; CYCLE SIDE-CARS, FORECARS, OR THE LIKE
    • B62K11/00Motorcycles, engine-assisted cycles or motor scooters with one or two wheels
    • B62K11/007Automatic balancing machines with single main ground engaging wheel or coaxial wheels supporting a rider
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/72Electric energy management in electromobility

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Motorcycle And Bicycle Frame (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

本発明は、乗員が乗車する車体と、車体に対して回転自在とされた駆動輪とを有し、駆動輪を駆動することで車体を倒立状態に維持しながら走行する走行体に関する。ここで、本明細書において「倒立状態」とは、主として駆動輪によって車体が接地面に対して支持されており、駆動輪にトルクを適切に付与し、鉛直方向に対する車体の傾斜角の絶対値がある特定の値を超えて増加しないように保たれている状態にあることをいう。
車体を倒立状態に維持しながら走行する走行体が開発されている(例えば、特許文献1)。この走行体は、乗員が乗車する車体と、車体に対して回転自在とされた駆動輪と、駆動輪にトルクを与える駆動装置と、駆動装置にトルク指令値を出力する駆動制御部を備えている。駆動制御部は、車体を倒立状態に維持するためのトルク指令値と、走行指令値に応じて走行体を走行させるためのトルク指令値を駆動装置に出力する。駆動装置は、駆動制御部から出力された各トルク指令値に基づいて駆動輪にトルクを与え、これによって走行体は倒立状態を維持しながら走行する。なお、走行指令値は、予め決められた走行指令値が自動的に入力される場合もあれば、走行体を遠隔操作する操縦者あるいは走行体の乗員が入力する場合もある。
特開平4−201793号公報
この種の走行体では、駆動制御部の制御プログラムによって、駆動制御部が駆動装置に出力するトルク指令値の大きさや、走行体の目標速度の絶対値の上限値や、目標加速度の絶対値の上限値などが設定されている。これらの値を大きな値に設定すると、走行体をより軽快に走行させることができる反面、これらの値を大きくし過ぎると、車体が倒立状態を維持することができず転倒し、あるいは、乗員に車体が転倒してしまうのではないかという不安感を与えてしまう。このため、従来の走行体では、車体が安定して倒立状態を維持しながら走行でき、また、大多数の人間が不安感を感じることがないように、これらの値が小さな値に設定されていた。
しかしながら、走行体に乗車する乗員には、車体の傾斜角変化に対して迅速に反応してその重心の位置を変化させ車体が倒立状態を維持するようにバランスをとることができる者もいれば、車体の傾斜角変化に対する反応が遅くバランスを上手くとれない者もいる。また、走行体が転倒するのではないかという不安感を感じる程度は個人差があり、ある者にとっては不安感を覚える場合であっても、他の者にとっては不安感を感じない場合もある。したがって、従来の走行体は、身体能力の優れた者や不安感を感じ難い者にとっては、より大きな加速度や速度で走行体を移動させることができるにもかかわらず、走行体の加速度や速度等が低めに設定されてしまうという問題があった。
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行体が安定して倒立状態を維持でき、あるいは、乗員に不安感を与えることなく、走行体をより軽快に走行することができる走行体を提供することである。
本発明の走行体は、乗員が乗車する車体と、車体に対して回転自在とされた駆動輪とを有し、駆動輪を駆動することで車体が倒立状態を維持しながら走行する。この走行体は、駆動輪にトルクを与える駆動装置と、車体を倒立状態に維持するとともに走行体を走行させるためのトルク指令値を駆動装置に出力する駆動制御部と、車体の状態を検出するセンサと、乗員が車体に乗車し、かつ、駆動制御部によって車体が倒立状態に維持された状態で、予め設定された波形の初期トルク指令値を駆動装置に出力する初期指令値出力部と、初期トルク指令値に対するセンサ検出値の応答波形に基づいて前記駆動制御部の制御プログラムを修正する修正部と、を備える。
「予め設定された波形のトルク指令値」とは、パルス波形、矩形波形、特定の周波数を有する正弦波形などでよい。
「制御プログラムを修正する」とは、制御プログラムの一部あるいは全部を修正するものであってもよいし、制御プログラム中に内在するゲインなどの制御変数を修正するものであってもよい。
なお、「車体の状態」とは、例えば車体の傾斜角、駆動輪の位置や速度や加速度などを意味する。さらに、車体に乗車している乗員が車体に設けられている座席の背もたれあるいは座面に加える圧力や乗員の発汗量など、センサによって計測することのできる乗員の状態をも含む概念で「車体の状態」という表現を用いる。
この走行体では、車体に乗員が乗車し、かつ、駆動制御部によって車体が倒立状態に維持された状態で、予め設定された初期トルク指令値が駆動装置に入力され、駆動輪が駆動される。これによって、車体が揺動し、このときの車体の状態がセンサによって検出される。車体が揺動すると、乗員はその重心を変化させてバランスをとろうとするため、センサによって検出される車体の状態は、乗員の身体的能力(例えばバランス能力等)に応じて相違することとなる。したがって、初期トルク指令値に対するセンサ検出値の応答波形に基づいて制御プログラム(例えば、駆動制御部が駆動装置に出力するトルク指令値の大きさや、走行体の目標速度の絶対値の上限値や、目標加速度の絶対値の上限値など)を修正すれば、修正された制御プログラムは乗員の身体的能力に応じたものとなる。このため、走行体が安定して倒立状態を維持することができ、かつ、走行体をより軽快に走行させることができる。
上記走行体において、前記センサを、鉛直方向に対する車体の傾斜角又は傾斜角速度を検出するセンサとすることができる。走行体を揺動させると、乗員は走行体が倒立状態を維持するようにバランスをとるため、乗員の挙動によって鉛直方向に対する車体の傾斜角又は傾斜角速度が変化する。したがって、センサで検出した車体の傾斜角又は傾斜角速度の応答波形に基づいて制御プログラムを修正することで、修正後の制御プログラムは乗員の身体的能力に応じたものとすることができる。
あるいは、前記センサを、水平面内における車体の位置、速度又は加速度を検出するセンサとすることもできる。走行体が揺動すると、駆動制御部は走行体を倒立状態に維持しようと駆動装置を駆動し、水平面内における車体の位置、速度又は加速度が変化する。したがって、乗員の挙動によって走行体を倒立状態に維持するための駆動制御部の出力が変化し、水平面内における車体の位置、速度又は加速度も変化する。このため、センサで検出した水平面内における車体の位置、速度又は加速度の応答波形に基づいて制御プログラムを修正することで、修正後の制御プログラムは乗員の身体的能力に応じたものとすることができる。
さらに、前記センサを、乗員の状態である乗員の脈拍又は発汗量を検出するセンサとすることもできる。乗員の脈拍又は発汗量は、乗員が不安感を感じているか否かによって変化する。したがって、センサが検出する乗員の脈拍又は発汗量の応答波形に基づいて制御プログラムを修正することで、乗員が不安感を感じることがない範囲で、走行体を軽快に走行させることができる。
上記走行体において、駆動制御部は、車体の傾斜角又は傾斜角速度に応じて車体が倒立状態を保ち、かつ、車体の水平面内における位置、速度又は加速度に応じて車体が目標位置、目標速度又は目標加速度となるように、トルク指令値を駆動装置に出力するように構成することができる。
この走行体では、車体の傾斜角又は傾斜角速度に応じて駆動装置にトルク指令値を出力するため、車体を安定して倒立状態に維持することができ、また、車体の水平面内における位置、速度又は加速度に応じて車体が目標位置、目標速度又は目標加速度に応じて駆動装置にトルク指令値を出力するため、車体を所望の位置、速度、又は加速度で移動させることができる。
上記走行体において、修正部は、制御プログラムのうち、走行体の目標加速度の絶対値の上限値、走行体の目標速度の絶対値の上限値、及び傾斜角に対して倒立状態を維持するトルク指令値を算出するためのゲインの少なくとも一つを修正することが好ましい。これらの値を修正することで、乗員の身体的能力に応じて走行体を軽快に走行させることができる。
また、修正部は、初期トルク指令値を入力してから応答波形が安定化するまでの収束時間、初期トルク指令値を入力してから応答波形が予め設定されている予想応答波形からずれるまでの反応時間、初期トルク指令値を入力した後の応答波形の振幅の少なくとも一つに応じて制御プログラムを修正する。
発明者らの検討によれば、初期トルク指令値を入力してから応答波形が安定化するまでの収束時間は乗員のバランス能力と相関があり、初期トルク指令値を入力してから応答波形が予め設定されている予想応答波形からずれるまでの反応時間は乗員の俊敏性と相関があり、初期トルク指令値を入力した後の応答波形の振幅は車体の揺れに対する乗員の順応性と相関がある。したがって、これらの値に応じて制御プログラムを修正することで、制御プログラムを乗員の身体的能力(バランス能力、俊敏性、順応性)に応じたものとすることができる。
上記走行体の一態様としては、前記修正部は、初期トルク指令値に対するセンサ出力値の応答波形の最大振幅が大きいほど、走行体の目標加速度の絶対値の上限値を小さな値に修正することが好ましい。
初期トルク指令値を入力した後の応答波形の振幅は、車体の揺れに対する乗員の順応性と相関がある。順応性の高い乗員は、車体の揺れに対してその揺れが小さくなるように自身の揺れを調整することができる。その結果、応答波形の最大振幅は小さくなる。逆に、順応性の低い乗員は、車体の揺れに対して自身の体をどう動かせばよいか分からず、不安を感じて車体の揺れとは無関係に自身の体を動かす。その結果、応答波形の最大振幅は大きくなる傾向となる。一方、車体の揺れの大きさは走行体の加減速度が影響する。そのため、車体の揺れに対する順応性の高い乗員に対しては加減速度の上限を大きくして走行体の軽快な走行性を重視した設定をすることが好ましい。順応性の低い乗員は加減速度の上限を小さくして乗員に不安感を与えないようにすることが好ましい。
上記走行体の他の態様としては、修正部は、初期トルク指令値に対するセンサの応答波形が安定化するまでの収束時間が長いほど、前記ゲインを小さな値に修正することが好ましい。
初期トルク指令値を入力してから応答波形が安定化するまでの収束時間は乗員のバランス能力と相関がある。バランス能力の高い乗員は、車体の揺れを小さくする方向に身体を動かすことができる。その結果、応答波形の収束時間が小さくなる。そのような乗員に対しては、前記ゲインを大きく設定して車体が大きく揺れても車体の走行特性を向上させる方が乗員にとって快適性を与えることができる。逆にバランス能力の低い乗員は、車体の揺れを小さくする方向に身体を動かすことが得意ではない。その結果、応答波形の収束時間が長くなる。車体が揺れている時間が長くなると乗員は不安を感じやすくなる。そのような乗員に対しては、前記ゲインを小さく設定することによって、車体の揺れを小さくし、乗員に不安を与えることを低減できる。
前記初期トルク指令値は第1周波数を成分に含む第1初期トルク指令値と、第1周波数より高い第2周波数を成分に含む第2初期トルク指令値を駆動装置に出力し、
前記修正部は、第1初期トルク指令値に対する応答波形の最大振幅が大きいほど、走行体の目標加速度の絶対値の上限値を小さな値に修正し、
第2初期トルク指令値に対する応答波形の収束時間が長いほど、前記ゲインを小さな値に修正することが好ましい。
乗員の順応性を見るには比較的に低い周波数成分を含むトルク指令値を入力して、車体をゆっくり揺動させるほうがよい。乗員のバランス感覚を見るには比較的に高い周波数成分を含むトルク指令値を入力して車体を高速に揺動させるほうがよい。したがって、乗員のバランス感覚に合わせてゲインを修正するための第2初期トルク指令値に含む第2周波数は、乗員の順応性に合わせて目標加速度の絶対値の上限値を設定するための第1初期トルク指令値に含む第1周波数より高い方が、より的確にゲインや目標加速度の絶対値の上限値を設定することができる。
前記修正部は、前記反応時間が長いほど、走行体の目標速度の絶対値の上限値を小さな値に修正することが好ましい。初期トルク指令値を入力してから応答波形が予め設定されている予想応答波形からずれるまでの反応時間は、乗員の俊敏性と相関がある。したがって、反応時間が長いほど、走行体の目標速度の絶対値の上限値を小さな値に修正することによって、乗員に不安を感じさせない程度に走行体の目標速度の上限値を設定することができる。
本発明によれば、乗員を乗せた車体の倒立状態を維持しながら走行する走行体について、乗員によって異なる不安感を与えることを低減するとともに、走行体をより軽快に走行させることができるように走行体の制御プログラムを修正する技術を提供することができる。
車体を倒立状態に維持しながら走行する走行体は、その制御プログラムを適切に構築すれば、走行体をより軽快に走行させることができる。「倒立状態」とは、主として駆動輪によって車体が接地面に対して支持されており、駆動輪にトルクを適切に付与し、鉛直方向に対する車体の傾斜角の絶対値がある特定の値を超えて増加しないように保たれている状態にあることをいう。別言すれば、「倒立状態」とは、駆動輪にトルクを適切に付与することができなければ、車体の傾斜角が一方方向に増加していき、結果的に、本来は接地面に接触するべきでない走行体の一部が接地してしまう状態をいう。
走行体を軽快に走行させる場合には、車体の傾斜角を大きく、あるいは素早く変化させる必要がある。以下では、制御プログラムによって規定される走行体の性能を走行性能と称することにする。
一方、そのような走行体は、車体を倒立状態に維持しながら走行するため、高速で走行したり、加速度の絶対値が大きいときには、乗員は車体が転倒してしまうのではないかという不安感を感じる場合がある。速度が速いと、駆動輪の接地面の僅か凹凸によっても車体の傾斜角が大きく変化するからである。また加速度が大きいときも車体の傾斜角が大きくなるからである。どの程度の走行性能で不安感を感じるかには個人差がある。大多数の人間が不安感を感じないように当初から走行性能が低くなるように制御プログラムを設定しておくと、走行体の軽快な走行性能が損なわれる。そこで、走行体を乗員に不安を与えない範囲で軽快に走行させるように、乗員に応じて制御プログラムを修正する技術が望まれる。制御プログラムの修正とは、例えば、駆動制御部が出力するトルク指令値を算出するためのゲイン、走行体の目標速度の絶対値の上限値、目標加速度の絶対値の上限値などの制御プログラム中に内在する変数を修正することが考えられる。
発明者らの検討によれば、車体の傾斜角が変化すると、車体を倒立状態に維持しようとして乗員は車体上で自身の身体を動かす傾向があることが判明した。また、乗員が車体上で身体を動かす速さや大きさはその乗員のバランス感覚や俊敏性などの運動能力の個人差によって異なることも判明した。そして倒立状態に維持された車体上での乗員の挙動は、車体の傾斜角の応答波形に少なからず影響を与える。車体上で乗員が動くと、乗員を含む車体の重心位置や慣性モーメントが変化するからである。即ち、乗員の挙動を含む車体の傾斜角の応答波形はその乗員の運動能力の個人差により顕著に異なる。例えばバランス感覚の優れた乗員は、その乗員よりバランス感覚の優れていない乗員よりも車体が傾斜してから傾斜角が元の状態に収束するまでの時間が短い。バランス感覚の優れた乗員の挙動は、車体を倒立状態に維持する制御の安定性の向上に寄与するからである。
さらに、運動能力の優れている乗員ほど、同じ走行性能でも不安感を感じる度合いが低い傾向がある。運動能力の優れている乗員は、車体を倒立状態に維持する制御を補助するように乗員自身の身体を動かすことができるという認識があるからと考えられる。逆に運動能力の優れていない乗員は、車体の傾斜角が変化した際に、車体の傾斜角を元に戻すようにうまくは身体を動かすことができず、その結果、車体の傾斜角の応答波形も乱れ、不安を感じてしまうと考えられる。
本発明は、乗員の運動能力の個人差は車体の傾斜角の応答波形に顕著に表れるという、車体を倒立状態に維持する走行体に特有の特徴を活用する。また、運動能力の優れていない乗員に対しては走行性能を低く設定しなければ走行体の挙動によって乗員に不安感を与える可能性が高い、という傾向を活用する。
本発明は、この特徴と傾向を利用して、走行体そのものを乗員の運動能力測定器のように活用し、乗員の運動能力を定量化してその乗員の運動能力に見合った走行特性となるように駆動制御部内の制御プログラムを修正する。走行体そのものを乗員の運動能力測定器のように活用することによって、駆動制御部内の制御プログラムを乗員の運動能力の個人差に合わせて修正することが可能となる。
具体的には、乗員が乗車したのちに車体に特定の微小な揺動を与える。そのときの車体の傾斜角の応答波形を検出する。与える揺動は、予め設定された波形のトルク指令値を駆動輪に与えることで実現する。予め設定されたトルク指令値の波形と、傾斜角の応答波形の特徴を示す変数の相関関係から、乗員の運動能力に見合った走行性能となるように駆動制御部内の制御プログラムを修正する。
乗員が乗った車体を倒立状態に維持しながら走行する走行体について、走行体そのものを乗員の運動能力測定器として活用し、乗員の運動能力に見合うように駆動制御部内の制御プログラムを修正することによって、その乗員に不安感を与えない範囲で良好な走行性能、即ち乗員にとっての快適性を与える走行体を実現することに成功した。
なお、同一の乗員でも、走行体の動作に慣れてくると、不安感を感じる走行性能の上限も高くなる。本発明では、乗員が乗車する毎に、その乗員の「慣れ」を含む走行体に対する運動能力を計測することで、同じ乗員に対しても「慣れ」の程度によって、そのときの乗員の運動能力に見合うように駆動制御部内の制御プログラムを修正することができる。
また、上記の説明では、車体の傾斜角の応答波形を例とした。車体の傾斜角の応答波形の他に、初期トルク指令値に対する駆動輪の応答波形でも同様に乗員の運動能力を計測することができる。
本明細書では、車体の傾斜角、駆動輪の位置や速度や加速度、あるいは車体に搭乗している乗員の状態を車体の状態と称する。その意味では、車体の状態とは、車体の傾斜角や位置に加えて車体の傾斜角速度、車体の速度又は加速度を含む広義の車体の位置状態と、乗員の状態を含む概念である。車体に搭乗している乗員の状態とは、例えば乗員が車体に設けられている座席の背もたれあるいは座面に加える圧力や、乗員の発汗量も車体の状態に含む意味で用いる。乗員が車体に設けられている座席の背もたれあるいは座面に加える圧力や、乗員の発汗量は適切なセンサによって計測することができる。その意味では、乗員の状態とは、センサによって計測することのできる乗員の状態と表現することができる。乗員が車体に設けられている座席の背もたれあるいは座面に加える圧力や、乗員の発汗量をセンサによって検出し、そのセンサ検出値の応答波形によっても同様に制御プログラムを乗員の運動能力に合わせて修正することができる。
実施例の主要な特徴を列記する。
(第1形態) 車体には乗員が着座する座席が設けられており、その座席の背もたれに乗員の背面の圧力を検出する圧力検出器を備えており、圧力検出器によって検出された圧力が、乗員が座席に正常に着座したときの圧力よりも大きい場合には、走行体を前方へ加速する目標加速度の上限値よりも走行体を後方へ加速する目標加速度の上限値を小さく設定することが好ましい。なお、「走行体を後方へ加速する目標加速度の上限値」とは、走行体の前方を加速度の正の向きとした場合に加速度の下限値に相当する。
まず、図1を参照して実施例の走行体10の概要を説明する。図1は実施例の走行体10の全体構成を模式的に示す図である。走行体10は、車体12と、2つの駆動輪14L、14Rと、補助輪20を備えている。車体12は、車体本体12aと、車体本体12aと駆動輪14R、14Lの車軸とを連結する連結部12bとで構成されている。なお、車体本体12aは内部にバッテリなどを搭載している。図1では、車体本体12aに搭載された装置を見易くするために、車体本体12aの底面以外の面を省略して描いてある。
2つの駆動輪14R、14Lは、略同一の車軸Cの回りで車体12に対して回転可能となっている。補助輪20は、補助輪移動部材18を介して車体12に取り付けられている。補助輪20は、補助輪移動部材18によって、車体12が倒立状態に制御されていない状態のときに駆動輪14R、14Lとともに接地面に接地するように車体12の下前方に移動される。図1は、補助輪20が車体12の下前方に移動したときの状態を示している。補助輪20が駆動輪14R、14Lとともに接地面に接地することによって、走行体10は、車体12が倒立状態に制御されていないときであっても車体12を転倒させることなく接地面に対して安定した姿勢を維持することができる。なお、走行体10の車体12が2つの駆動輪14R、14Lにより倒立状態に維持されるように制御されると、補助輪移動部材18は補助輪20を上方へ移動させる。
車体12の上部には、乗員が着座するための座席22が取り付けられている。なお、図1では車体本体12aに搭載された他の部品を説明しやすいように、車体12に取り付けられた状態の座席22を2点鎖線で示している。また車体本体12aから取り外した状態の座席22を実線で示している。座席22の背もたれ部分には、座席22に着座した乗員が背もたれに加える圧力を検出するための感圧センサ34が取り付けられている。感圧センサ34は後述する制御装置28に接続されている。感圧センサ34の機能については、後述する本実施例の変形例で説明する。
車体12には、駆動輪14Rにトルクを与えるためのモータ16R(駆動装置)が取り付けられている。同様に駆動輪14Lにトルクを与えるためのモータ16L(駆動装置)が取り付けられている。車体12の駆動輪14Rの付近には、駆動輪14Rの回転角を検出するためのエンコーダ24Rが取り付けられている。同様に駆動輪14Lの付近には、駆動輪14Lの回転角を検出するためのエンコーダ24Lが取り付けられている。
車体本体12aには、車体12の鉛直方向に対する傾斜角を検出するための傾斜角センサ26と、走行体の全体を制御するための制御装置28と、制御装置28やモータ16R、16Lに電源を供給するためのバッテリ30が搭載されている。傾斜角センサ26は、実際には車体12の傾斜角速度を検出するジャイロであり、ジャイロが出力する車体12の傾斜角速度を制御装置28内で積分して車体12の傾斜角を求める。本明細書では説明を簡単にするため、傾斜角センサ26が車体12の鉛直方向に対する傾斜角を検出するものとして説明を続ける。
制御装置28には、座席22に着座した乗員が走行体10の起動・停止の指令や、走行指令を入力するための入力装置32が接続されている。
次に走行体10の動作について概要を説明する。なお、以下では2つの駆動輪14R、14Lを総称する場合には英文字R、Lを略して駆動輪14と記すことにする。モータ16R、16Lについても総称する場合にはモータ16と記すことにする。エンコーダ24R、24Lについても総称する場合にはエンコーダ24と記すことにする。
乗員が座席22に着座して入力装置32の起動スイッチを入れると制御装置28が作動を開始する。制御装置28は、補助輪20を上方へ移動させる。同時に、傾斜センサ26から車体12の傾斜角を取得して傾斜角を略一定に維持するように、モータ16に対してトルク指令値を出力する。モータ16はトルク指令値に従って駆動輪14を駆動する。駆動輪14が駆動、即ち回転することによって車体12の傾斜角が略一定に維持される。即ち、車体12が倒立状態に維持される。
車体12が倒立状態に維持されると、制御装置28は、走行性能を規定する制御プログラムの修正処理を行う。制御プログラムの修正処理とは、モータ16を駆動することによって、車体12に微小な揺動を与え、そのときの乗員を含めた車体12の傾斜角の応答波形に基づいて、その乗員の運動能力に合わせて制御装置内の制御プログラムを修正する処理である。
制御プログラムの修正処理が終了すると、制御装置は乗員からの走行指令を受け付けるようになる。例えば乗員が走行体10を前や後ろ、あるいは旋回するように走行指令を入力装置32に入力すると、制御装置28は車体12を倒立状態に維持したまま、走行指令に従って走行体10が走行するように夫々のモータ16へトルク指令値を出力する。制御プログラムの修正処理により、走行体10の走行性能は乗員に不安感を与えないように修正されているので乗員は走行体10を快適に走行させることができる。
なお、本実施例における制御プログラムの修正は、制御プログラムに内在する制御変数を修正する処理である。その意味で、以下では、「制御プログラムの修正」という表現の代わりに「制御変数の修正」という表現を用いる。本実施例で修正の対象となる制御変数については後述する。
次に図2を参照して車体12の傾斜角について説明する。図2は乗員60が乗車して車体12が倒立状態に維持された状態の走行体10の側面の模式図である。なお、図2では、車体12の傾斜角の説明に必要な部品以外は図示を省略してある。本実施例の走行体10では、駆動輪14の車軸Cから車体12の連結部12bに沿った方向に伸びる仮想線Lを仮定する。この仮想線Lと鉛直方向Gとのなす角が傾斜角θである。本実施例の走行体10は略同一の車軸Cを有する2つの駆動輪14を有しているため、車体12の傾斜角θは、鉛直方向Gに対する車体12の前後方向の角度となる。傾斜角θは、車体12に取り付けられた傾斜角センサ26によって検出される。
次に図3のブロック図を参照して走行体10の制御について説明する。
制御装置28はその内部に、駆動制御部40と、初期指令値出力部42と、修正部44と、修正用データ記憶部46を有する。
駆動制御部40は、車体12を倒立状態に維持しながら入力装置32からの走行指令に従って走行体10を走行させるためのトルク指令値を計算し、計算されたトルク指令値をモータ16に出力する。
初期指令値出力部42は、駆動制御部40内の制御変数の修正処理を行う際に、モータ16へ初期トルク指令値を出力する。
修正部44は、車体12に取り付けられた傾斜角センサ26によって検出される、初期トルク指令値に対する車体12の傾斜角の応答波形から駆動制御部40内の制御変数の修正値を求め、求めた修正値によって駆動制御部40内の制御変数を修正する。なお、図6に示した、修正部44から駆動制御部40へ向って斜めに描かれている線Sは、修正部44によって駆動制御部40内の制御変数が修正されることを示している。
修正用データ記憶部46には、初期指令値出力部42が出力すべき種々の初期トルク指令値の波形データと、車体12の傾斜角の応答波形と制御変数の修正値の対応関係を定めたデータが記憶されている。
本実施例では、乗員の運動能力に合わせて駆動制御部の制御プログラムを修正する処理は制御プログラムに内在する制御変数の修正を行うものである。従って制御プログラムそのものについては説明を割愛する。但し、トルク指令値を生成する際には、まず、走行体の目標速度が設定され、その目標速度へ達するための目標加速度が設定される。そして設定された目標加速度を走行体10で実現するようにトルク指令値が設定される。駆動制御部40内に実装されるアルゴリズムには種々の構造のものが利用可能であるが、いずれのアルゴリズムであっても、そのアルゴリズムは、走行体10の目標速度の絶対値の上限値を制限する速度リミッタ50を備える。また、走行体10の目標加速度の絶対値の上限値を制限する加速度リミッタ52を備える。また、目標加速度の値をトルク指令値に変換する際のゲイン乗算器54を備える。図3では、駆動制御部40内の詳細なアルゴリズムは図示を省略しているが、駆動制御部40内に速度リミッタ50、加速度リミッタ52、ゲイン乗算器54がそのアルゴリズムに内在していることを模式的に示すために、駆動制御部40内に速度リミッタ50、加速度リミッタ52、ゲイン乗算器54を描いてある。駆動制御部40内で算出される目標速度の絶対値の上限値、即ち速度リミッタ50の初期設定値はVLに設定されている。また、目標加速度の絶対値の上限値、即ち加速度リミッタ52の初期設定値はGLに設定されている。また、ゲイン乗算器54のゲインの初期値はKに設定されている。本実施例の走行体10では、修正する対象となる制御変数は、速度リミッタ50の初期設定値VL、加速度リミッタ52の初期設定値GL、ゲインの初期値Kの3種である。
次に図4から図6を参照して、制御変数の修正処理の原理を説明する。図4は、図3に示した初期指令値出力部42が所定の波形の初期トルク指令値を出力した際に車体12が前後に揺動する様子を模式的に示している。初期指令値出力部42が初期トルク指令値を出力する前は、車体12は略一定の傾斜角を維持して倒立状態にある。ここで初期指令値出力部42が例えば微小振幅で所定期間継続する正弦波で与えられる初期トルク指令値をモータ16に出力すると、駆動輪14は矢印56に示すように前後に揺動する。駆動輪14が図面上で時計周りに回転すると、その反動で車体12は後方へ傾斜する。逆に駆動輪14が図面上で反時計周りに回転すると、その反動で車体12は前方へ傾斜する。その結果、矢印58で示すように車体12に固定された仮想線Lが前後に揺動する。即ち、車体12が前後に揺動する。図4では乗員60の姿勢は固定して描かれているが、実際には車体12が揺動すると、乗員は次の図5や図6に示すように、車体12の傾斜角を元に戻そうとその身体を動かす。
例えば図5は、車体12が後方に傾斜したときの乗員60の挙動を模式的に示している。図5に示すように、車体12が後方に傾斜すると、乗員は車体12を前方に傾斜させようとして上半身を前傾させる。場合によっては、足を前方へ付き出すようにしてまで車体12を前方へ傾斜させようとすることもあり得る。
また、図6は、車体12が前方へ傾斜したときの乗員60の挙動を模式的に示している。図6に示すように、車体12が前方に傾斜すると、乗員は車体12を後方に傾斜させようとして上半身を後傾させる。場合によっては、足を縮めるようにしてまで車体12を後方へ傾斜させようとすることもあり得る。なお、図5や図6では、説明を理解しやすくするために乗員60の姿勢を誇張して描いている。
このように、車体12が前後に揺動すると、乗員は車体の傾斜角を元へ戻すようにその身体を車体12上で動かす。車体12を倒立状態に維持する走行体では、車体12上での乗員の挙動により、乗員を含む車体の重心位置や慣性モーメントなどの物理的特性が変化する。このような走行体では、倒立状態に維持する制御対象である車体12の物理的特性の変化に対する車体12の傾斜角の変化の感度が高い。そのため、初期トルク指令値に対する車体12の傾斜角の応答波形は、乗員の挙動により大きく異なるものとなる。そして乗員の挙動は、バランス感覚や、俊敏性や、順応性等、個々人の乗員の運動能力によって異なる。さらに車体12上での乗員の挙動は、その乗員が車体12の傾斜に対して不安感をどの程度感じるかによっても異なる。
例えば、運動能力に優れており、車体12の前後の揺動に対して不安感を感じない乗員は、身体を動かさないか、傾斜角の揺動を抑えるように身体を動かすことができるため、初期トルク指令値による駆動輪14の揺動が停止した後に車体傾斜角の応答波形が収束するまでの時間(収束時間)は短くなる。逆に、運動能力が優れておらず、車体12の揺動に対して不安感を感じる乗員は、傾斜角を元に戻そうと身体を大きく動かす。しかし運動能力が優れていない場合、傾斜角の揺動を低減する方向にうまく身体を動かすことができないため、収束時間が長くなる。概略して言えば、運動能力が優れている乗員ほど、また不安感を感じない乗員ほど、初期トルク指令値に対する車体12の傾斜角の応答波形は、きれいな波形で収束する。従って初期トルク指令値に対する車体12の傾斜角の応答波形の特徴を表す値(例えば収束時間や振幅など)によって、その乗員の運動能力と不安感の度合いをある程度定量化することができる。即ち、走行体10そのものを、乗員の運動能力を定量化する測定器として利用することができる。そこで、初期トルク指令値に対する車体12の傾斜角の応答波形に基づいて駆動制御部40内の制御変数を修正することによって、その乗員の運動能力に適した走行性能を備えた走行体10を実現できる。
発明者らの種々の実験によると、矩形波やパルス波等の高周波を含む波形の初期トルク指令値を与えたときの車体12の傾斜角の応答波形の収束時間は、乗員のバランス感覚の指標になることが判明した。乗員のバランス感覚が良ければ、何らかの要因で車体12の傾斜角が大きくなった際に、素早く元の安定した倒立状態に戻すように駆動輪14に大きなトルク指令値を与えても乗員はこれに反応できることを意味する。逆に乗員のバランス感覚が悪い場合には、車体12の傾斜角が大きくなった際に、素早く元の安定した倒立状態に戻すように駆動輪14に大きなトルク指令値を与えると、乗員はバランスを崩し不安感を感じることになる。車体12の傾斜角が大きくなった際に、元の安定した倒立状態に戻すように駆動輪14に与えるトルクの大きさは、傾斜角をフィードバックして駆動装置へのトルク指令値を出力するフィードバック制御系の一巡伝達関数のゲインの大きさ(図3に示すゲイン乗算器54内のゲインの大きさ)で規定できる。従って、高周波を含む波形の初期トルク指令値を与えた場合の車体12の傾斜角の応答波形の収束時間が長いほど、ゲイン乗算器54に設定されているゲインの値を初期値からそれよりも小さい値に修正する。
また発明者らの実験によると、矩形波やパルス波等の高周波を含む波形の初期トルク指令値を与えてから乗員が動作を起こすまでの時間(反応時間)は、乗員の俊敏性の指標になることが判明した。乗員の反応時間が長いほど、走行体10の目標速度の絶対値の上限値を小さく修正する。速度が速くなるほど、駆動輪14が接地面の僅か凹凸に触れた際に車体の傾斜角が急激に変化するからである。
さらに、発明者らの実験によると、より低周波の波形の初期トルク値を与えたときの車体12の傾斜角の応答波形の最大振幅は、乗員の順応性の指標になることが判明した。ここでいう順応性とは、バランス感覚に近いものであるが、車体12の傾斜角がゆっくり変化する場合に対して身体の動きを同調させる能力を意味する。この順能性が優れていない乗員に対しては、目標加速度の絶対値の上限値を小さく修正する。加速度の絶対値が大きいと、傾斜角は大きく変化するからである。
次に図7から図9を参照して、制御変数の修正処理を具体例を挙げて説明する。図7から図9は、ある乗員Aが走行体10に乗車したときに、乗員Aの運動能力に合わせて制御変数を修正する処理を説明する図である。図7は、ゲインの初期値Kの修正値を求める処理を説明する図である。図8は、目標速度の絶対値の上限値の初期値VLの修正値を求める処理を説明する図である。図9は、目標加速度の絶対値の上限値の初期値GLの修正値を求める処理を説明する図である。
図7(A)は、初期指令値出力部42(図3参照)が出力する初期トルク指令値の波形を示す図である。図7(B)は、図7(A)の図に示した波形の初期トルク指令値が与えられた場合における、乗員Aが乗車した車体12の傾斜角の応答波形を示す図である。図7(C)は、図7(B)に示した車体12の応答波形から、制御変数のひとつであるゲイン(図3のゲイン乗算器に設定されている)の初期値Kの修正値を求める図である。図7(C)のグラフの縦軸はゲインの修正値である。また横軸は後述する収束時間である。図7(C)のグラフは、収束時間が長くなるほどゲインの修正値が小さくなるように設定されるグラフとなっている。なお、図7(A)に示す初期トルク指令値の波形のデータは、修正用データ記憶部46(図3参照)に格納されている。同様に、図7(C)のグラフ、即ち、応答波形の収束時間とゲインの修正値との対応関係を定めるデータも修正用データ記憶部46(図3参照)に格納されている。
まず図7を参照してゲインの修正値を求める処理を説明する。
乗員Aが座席22(図1参照)に乗車して起動スイッチを入力した後、制御装置28が作動を開始して車体12が倒立状態に維持されると、図3に示す初期指令値出力部42が修正用データ記憶部46を参照して出力すべきトルク指令値の波形データを取得する。そして取得したトルク指令値をモータ16に出力する。このとき初期指令値出力部42が出力する初期トルク指令値の波形は、図7(A)に示すように時刻t0で立ち上がる矩形波である。矩形波は高周波成分を含む。高周波成分を含む波形の初期トルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形からゲインの修正値を求める。
この初期トルク指令値に対する車体12の傾斜角の応答波形は、図7(B)に示すように時間t1で収束する波形となる。車体12の傾斜角は、図3に示す傾斜角センサ26により検出されて修正部44に送られる。図7(B)の応答波形は、図3に示す修正部44で取得される。次に修正部44は、応答波形の収束時間とゲインの修正値との対応関係を示すグラフ(図7(C))を参照して、収束時間t1の場合のゲインKの修正値KAを得る。そして得られたゲインKの修正値KAによって、図3に示すゲイン乗算器54内のゲインを初期値Kから修正値KAに修正する。
また、収束時間が例えばより短いt2であった場合には、図7(C)のグラフから、収束時間t2に対応するゲインの修正値はKBとなる。この場合には、ゲイン乗算器54内のゲインを初期値Kよりも大きい修正値KBに修正する。収束時間が長いほどゲインの値を小さい値に修正する、とは逆にいえば、収束時間が短いほど、ゲインの値を大きい値に修正することを意味する。
なお、図7(C)には、ゲインの初期値Kの値も示されている。収束時間が図7(C)に示すtaの間であった場合には、ゲインの値は初期値Kのままとなる。
また、図7(A)に示す矩形波の初期トルク指令値は、後述する図9(A)で示す他の初期トルク指令値の波形の周波数(請求項の「第1周波数」に相当する)より高い周波数(第2周波数)の成分を含むものである。第1周波数より高い第2周波数を成分に含む図7(A)に示す矩形波の初期トルク指令値が請求項の第2初期トルク指令値の一態様に相当する
次に図8を参照して目標速度の絶対値の上限値の初期値VLの修正値を求める処理を説明する。
図8(A)は、図7(A)に示す初期トルク指令値と同じものである。従って図8(B)に実線で示す車体12の傾斜角の応答波形も図7(B)と同じである。即ち、修正部44は、図7で説明した処理を行った後に、そのときの傾斜角の応答波形(図7(B)に示した応答波形)から、別の処理によって、目標速度の絶対値の上限値の初期値VLの修正値を求める。
図8(C)の図は、図8(B)に示した車体12の応答波形から、目標速度の絶対値の上限値の初期値VLの修正値を求める図である。図8(C)のグラフの縦軸は、目標速度の絶対値の上限値である。横軸は反応時間である。図8(C)のグラフは、反応時間が長くなるほど目標速度の絶対値の上限値の修正値が小さくなるように設定されるグラフとなっている。なお、図8(C)に示すグラフのデータ、即ち、反応時間と目標速度の絶対値の上限値の修正値との対応関係を定めるデータもデータ記憶部46(図3参照)に格納されている。
図3に示す修正部44は、修正用データ記憶部46に格納された予想応答波形と乗員Aの応答波形を比較する(図8(B))。予想応答波形とは、図8(A)に示す波形の初期トルク指令値が出力された場合の車体12の傾斜角の標準的な応答波形である。この予想応答波形は、事前に複数人の被験者の応答波形を収集し、収集した応答波形を平準化したものである。予想応答波形は図8(B)に点線Eで示してある。初期トルク指令値が出力された時刻t0から、乗員Aが乗車時の車体の傾斜角の応答波形が予想応答波形とずれるまでの時間t3が反応時間を表す。
修正部44は、応答波形の反応時間と目標速度の絶対値の上限値の修正値との対応関係を定めるデータ(図7(C)のグラフ)を参照して、反応時間t3の場合の修正値VAを得る。そして得られた目標速度の絶対値の上限値の修正値VAによって、図3に示す速度リミッタ50内の目標速度の絶対値の上限値の初期値VLを置き換える(初期値VLを修正値VAで修正する)。
また、反応時間が例えばより短いt4であった場合には、図8(C)のグラフから収束時間t4に対応する修正値はVBとなる。この場合には、速度リミッタ50内の目標速度の絶対値の上限値を初期値VLよりも大きい修正値VBで修正する。応答時間が長いほど目標速度の絶対値の上限値を小さい値に修正する、とは逆にいえば、応答時間が短いほど、前記上限値の値を大きい値に修正することを意味する。
なお、図8(C)には、目標速度の絶対値の上限値の初期値VLの値も示されている。反応時間が図8(C)に示すtbであった場合には、目標速度の絶対値の上限値は初期値VLのままとなる。
次に図9を参照して目標加速度の絶対値の上限値の初期値GLの修正値を求める処理を説明する。
図8で説明した処理が終了すると、初期指令値出力部42は、修正用データ記憶部46を参照して次に出力すべきトルク指令値の波形データ(第1初期トルク指令値に相当する)を取得する。そして取得したトルク指令値をモータ16に出力する。図7(A)に示す波形のトルク指令値の次に出力するトルク指令値の波形を図9(A)に示す。このトルク指令値の波形は、図7(A)に示す波形より低い一定周波数の正弦波である。図7(A)に示す低周波のトルク指令値が請求項の「第1周波数」に相当する。
この低周波のトルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形から目標加速度の絶対値の上限値の初期値GLの修正値を求める。
このトルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形を図9(B)に示す。図3に示す修正部44は、図9(B)の応答波形からその波形の最大振幅値wAを得る。修正部44は、図9(A)に示す波形の初期トルク指令値に対する応答波形の最大振幅と目標加速度の絶対値の上限値の修正値との対応関係を定めるデータ(図9(C)のグラフ)を参照して、最大振幅wAの場合の加速度の絶対値の上限値の修正値GAを得る。図9(C)の図は、図9(B)に示した車体12の応答波形から、目標加速度の絶対値の上限値の初期値GLの修正値を求める図である。図9(C)のグラフの縦軸は、目標加速度の絶対値の上限値である。横軸は応答波形の最大振幅である。図9(C)のグラフは、最大振幅が大きくなるほど目標加速度の絶対値の上限値の修正値が小さくなるように設定されるグラフとなっている。なお、図9(C)に示すグラフのデータも修正用データ記憶部46(図3参照)に格納されている。
修正部44は、得られた加速度の絶対値の上限値の修正値GAによって、図3に示す加速度リミッタ52に設定されている目標加速度の絶対値の上限値の初期値GLを修正する(初期値上限値GLを修正値上限値GAで置き換える)。
また、最大振幅が例えばより小さいwBであった場合には、図9(C)のグラフから最大振幅wBに対応する修正値はGBとなる。この場合には、加速度リミッタ52内の目標加速度の絶対値の上限値を初期値GLよりも大きい修正値GBで修正する。最大振幅が長いほど目標加速度の絶対値の上限値を小さい値に修正する、とは逆にいえば、最大振幅が小さいほど、前記上限値の値を大きい値に修正することを意味する。
なお、図9(C)には、目標加速度の絶対値の上限値の初期値GLの値も示されている。最大振幅が図9(C)に示すwCであった場合には、目標加速度の絶対値の上限値は初期値GLのままとなる。
こうして、図3に示す初期トルク指令値出力部42と修正部44により、乗員Aの場合の各制御変数の初期値、即ちゲインの初期値K、目標速度の絶対値の上限値の初期値VL、目標加速度の絶対値の上限値GLは、夫々KA、VA、GAに修正される。制御変数の修正処理が終了すると、乗員Aが操作する入力装置32(図3参照)から入力される走行指令に従って走行体10は走行を開始する。このとき、走行体10の制御は乗員Aの運動能力に合わせた制御変数の値KA、VA、GAが使用される。走行体10が走行指令値に従って走行を開始する時点から走行体10の走行特性は、乗員Aの運動能力に見合ったものとなっている。よって、走行体10の走行中の車体12の挙動が乗員Aに不安感を与える可能性を低減しつつ、より良好な走行性能を実現することができる。
他の乗員が走行体10に乗車した場合にも上記に説明した修正処理が行われる。新たな乗員が乗車する毎に修正処理が行われるので、駆動制御部40(図3参照)内の制御変数は、夫々の乗員の運動特性に見合った値に修正される。新たな乗員に対しても走行体の挙動が不安感を与える可能性を低減できる。また、乗員Aが一旦走行体10を停止させ、改めて走行体10に乗車した際にも再び修正処理が行われる。乗員Aが走行体10の乗り方に慣れてくれば、修正処理における車体12の傾斜角の応答波形も前回の修正処理のときとは変わる。乗員Aが走行体10の乗り方に慣れてくれば、修正処理における車体傾斜角の応答波形の収束時間や反応時間や最大振幅は小さくなる。従って、制御変数の修正値も、より走行性能を向上させる値に修正される。同じ乗員に対しても、走行体10の動作に対してその乗員の慣れに見合った制御変数の値に修正される。乗員が走行体10の動作に慣れるに従い、走行体10の走行性能は、乗員に不安感を与えない範囲で走行性能を向上させた制御変数に修正することができる。
以上説明したように、実施例の走行体10は、乗員が乗車し、駆動制御部40が車体12を倒立状態に維持した後に、駆動制御部40内の制御変数の修正処理を実行する。この修正処理は、走行体10を乗員の運動能力計測器のように利用するものである。即ち、走行体に微小な揺動を与え、そのときの車体の傾斜角の応答波形の特徴を表す値(例えば収束時間や最大振幅など)によって、乗員の運動能力を定量化する。そして、応答波形の特徴を表す値によって定量化された乗員の運動能力に合わせて駆動制御装置40内の制御変数を修正する。そうすることによって、乗員の運動能力により適した制御変数に修正された走行体を実現できる。即ち、乗員に不安感を与えることのない範囲でよりよい走行性能を有する走行体を実現できる。
走行体10を乗員の運動能力計測器のように利用することができるのは、車体を倒立状態に維持する走行体では、車体上の乗員の挙動に対して車体の傾斜角の応答波形が敏感に変化するという特徴に基づく。乗員の運動能力の個人差が車体の傾斜角の応答波形に顕著に表れる。従って車体の傾斜角の応答波形から乗員の運動能力の個人差をある程度定量化できるのである。そして乗員の運動能力の個人差を定量化できるからこそ、駆動制御部40内の制御変数をより乗員の個人差に適したものに修正することが可能となる。
次に上記実施例の変形例を図1と図10を参照して説明する。この変形例では、図1に示した、座席22の背もたれに取り付けられた感圧センサ34を利用する。
この変形例は、乗員が座席22の背もたれによりかかる度合いが大きいほど、走行体10を前方へ加速する加速度の上限値よりも走行体10を後方へ加速する加速度の上限値を小さく設定する。なお、「走行体を後方へ加速する加速度の上限値」とは、走行体の前方を加速度の正の向きとした場合に加速度の下限値に相当する。
乗員が座席22の背もたれによりかかる度合いが大きいということは、乗員が座席22の背もたれに体重を預けるように着座している場合である。この場合、車体12の前方への傾斜よりも、後方への傾斜に対して乗員は不安感を感じ易い傾向がある。そのような場合に、車体12を前方に傾斜させる「走行体10を前方へ加速する目標加速度の上限値」よりも、車体12を後方へ傾斜させる「走行体10を後方へ加速する目標加速度の上限値」を小さい値に修正する。これによって、車体12の後方への傾斜角を、前方への傾斜角より小さくすることができる。車体12の後方への傾斜角が小さくなるように制御変数を修正することによって、座席22の背もたれに体重を預けるように着座している乗員に対して車体12が後方に傾斜する際にも不安感を与える可能性を小さくすることができる。
乗員が座席22の背もたれによりかかる度合いが大きいか否かは、座席22の背もたれに取り付けられた感圧センサ34が出力する圧力の値を利用する。即ち、感圧センサ34は、乗員の状態のひとつである乗員が背もたれによりかかる度合いを検出するセンサの役目を果たす。
感圧センサ34が出力する圧力の値と、目標加速度の上限値の修正値の関係を図10に示す。図10の横軸は、感圧センサ34が出力する圧力の値を示す。図10の縦軸は、「走行体10を前方へ加速する目標加速度の上限値」に対する、「走行体10を後方へ加速する目標加速度の上限値」の割合をパーセント表示したものである。「走行体10を前方へ加速する目標加速度の上限値」は、図9で説明した方法によって修正された値である。
図10によれば、感圧センサ34の出力値がP1までは、「走行体10を前方へ加速する目標加速度の上限値」と「走行体10を後方へ加速する目標加速度の上限値」は同じ値となる。一方、例えば感圧センサ34の出力値がP2の場合は、「走行体10を後方へ加速する目標加速度の上限値」は、「走行体10を前方へ加速する目標加速度の上限値」の65%の値に修正される。走行体10の前方を加速度の正の方向と設定した場合には、上記の変形例は、圧力検出器34によって検出された圧力が、大きいほど目標加速度の下限値をより大きい値に修正する、と表現することもできる。
上記変形例と同様にして、乗員の着座姿勢が前傾しているほど、走行体の目標加速度の上限値(走行体の前方を加速度の正の方向と定義した場合)を、目標加速度の下限値の絶対値よりも小さい値に設定するように構成することも好適である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、図7(C)、図8(C)、図9(C)のグラフは車体傾斜角の応答波形の特徴を表す値と制御変数の修正値との対応関係を表す一例である。車体傾斜角の応答波形の特徴を表す値と制御変数の修正値との対応関係を定めるデータを表すグラフは、図7(C)、図8(C)、図9(C)のグラフに限られるものではない。走行体の目標速度の絶対値の上限値の修正値に関しては、車体の傾斜角の応答波形が予想応答波形とずれるまでの時間が長いほど、走行体の目標速度の絶対値の上限値の修正値が小さくなるような対応関係であればよい。走行体の目標加速度の絶対値の上限値の修正値に関しては、ある周波数(第1周波数)を成分に含む第1初期トルク指令値に対する車体の傾斜角の応答波形の中の最大振幅が大きいほど、走行体の目標加速度の絶対値の上限値の修正値が小さくなるような対応関係であればよい。ゲインの修正値に関しては、第1周波数より高い周波数(第2周波数)を成分に含む第2初期トルク指令値に対する車体の傾斜角の応答波形が変化し始めてから収束するまでの収束時間が長いほど、前記ゲインの修正値が小さくなるような対応関係であればよい。
また例えば、図7(A)や図9(A)に示した波形の初期トルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形の周波数を計算し、応答波形の周波数が低いほど、制御変数を走行性能を低下させる方向に修正させるように構成してもよい。応答波形の周波数が低いほど、その乗員の運動能力は優れていないと推定できるからである。
また、実施例では、制御プログラムの修正の一例として、制御プログラムに内在する制御変数を修正した。制御プログラムの修正の例としては、実施例に限らず、制御プログラムの一部あるいは全部を修正してもよい。制御プログラム自体を修正することによっても駆動制御部内の制御プログラムを、走行体の走行性能重視した制御プログラムとするか、乗員に不安を与えないことを重視した制御プログラムとするか、乗員に合わせて修正することができる。
また、実施例では、制御変数(制御プログラム)の修正値を求めるために、車体の状態のひとつである車体の傾斜角の応答波形を利用した。制御プログラムの修正を行うために利用する車体の状態は、駆動輪の位置あるいは角速度の応答波形であってもよい。さらに、制御プログラムの修正を行うために利用する乗員の状態は、乗員が背もたれに加える圧力の応答波形のほかに、乗員の発汗量の応答波形であってもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
実施例の走行体の構成を示す模式図である。 車体の傾斜角を説明する図である。 走行体のブロック図である。 車体が前後に揺動する様子を模式的に示す図である。 車体が後ろに傾斜したときの乗員の挙動を説明する図である。 車体が前に傾斜したときの乗員の挙動を説明する図である。 図7(A)は、初期トルク指令値の波形を示す図である。図7(B)は、図7(A)の初期トルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形を示す図である。図7(C)は、収束時間とゲインの修正値の関係を表す図である。 図8(A)は、初期トルク指令値の波形を示す図である。図8(B)は、図8(A)の初期トルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形を示す図である。図8(C)は、反応時間と目標速度上限値の修正値の関係を表す図である。 図9(A)は、他の初期トルク指令値の波形を示す図である。図9(B)は、図9(A)の初期トルク指令値に対する車体傾斜角の応答波形を示す図である。図9(C)は、最大振幅と目標加速度上限値の修正値の関係を表す図である。 座席の背もたれに加わる圧力と、目標加速度の上限値に対する下限値の割合の関係を示す図である。
符号の説明
10:走行体
12:車体
12a:車体本体
12b:連結部
14R、14L:駆動輪
16R、16L:モータ(駆動装置)
18:補助輪移動部材
20:補助輪
22:座席
24R、24L:エンコーダ
26:傾斜角センサ
28:制御装置
30:バッテリ
32:入力装置
34:感圧センサ
40:駆動制御部
42:初期指令値出力部
44:修正部
46:修正用データ記憶部
50:速度リミッタ
52:加速度リミッタ
54:ゲイン乗算器
60:乗員

Claims (9)

  1. 乗員が乗車する車体と、車体に対して回転自在とされた駆動輪とを有し、駆動輪を駆動することで車体が倒立状態を維持しながら走行する走行体であり、
    駆動輪にトルクを与える駆動装置と、
    車体を倒立状態に維持するとともに走行体を走行させるためのトルク指令値を駆動装置に出力する駆動制御部と、
    車体の状態を検出するセンサと、
    乗員が車体に乗車し、かつ、駆動制御部によって車体が倒立状態に維持された状態で、予め設定された波形の初期トルク指令値を駆動装置に出力する初期指令値出力部と、
    初期トルク指令値に対するセンサ検出値の応答波形に基づき、初期トルク指令値を入力してから応答波形が安定化するまでの収束時間、初期トルク指令値を入力してから応答波形が予め設定されている予想応答波形からずれるまでの反応時間、初期トルク指令値を入力した後の応答波形の振幅の少なくとも一つに応じて、前記駆動制御部の制御プログラムを修正する修正部と、
    を備えることを特徴とする走行体。
  2. 前記センサは、鉛直方向に対する車体の傾斜角又は傾斜角速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の走行体。
  3. 前記センサは、水平面内における車体の位置、速度又は加速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の走行体。
  4. 前記駆動制御部は、車体の傾斜角又は傾斜角速度に応じて車体が倒立状態を保ち、かつ、車体の水平面内における位置、速度又は加速度に応じて車体が目標位置、目標速度又は目標加速度となるように、トルク指令値を駆動装置に出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の走行体。
  5. 前記修正部は、前記制御プログラムのうち、走行体の目標加速度の絶対値の上限値、走行体の目標速度の絶対値の上限値、及び傾斜角に対して倒立状態を維持するトルク指令値を算出するためのゲインの少なくとも一つを修正することを特徴とする請求項4に記載の走行体。
  6. 前記修正部は、応答波形の最大振幅が大きいほど、走行体の目標加速度の絶対値の上限値を小さな値に修正することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の走行体。
  7. 前記修正部は、応答波形の収束時間が長いほど、前記ゲインを小さな値に修正することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の走行体。
  8. 前記初期トルク指令値は第1周波数を成分に含む第1初期トルク指令値と、第1周波数より高い第2周波数を成分に含む第2初期トルク指令値を駆動装置に出力し、
    前記修正部は、第1初期トルク指令値に対する応答波形の最大振幅が大きいほど、走行体の目標加速度の絶対値の上限値を小さな値に修正し、
    第2初期トルク指令値に対する応答波形の収束時間が長いほど、前記ゲインを小さな値に修正することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の走行体。
  9. 前記修正部は、前記反応時間が長いほど、走行体の目標速度の絶対値の上限値を小さな値に修正することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の走行体。
JP2005355819A 2005-12-09 2005-12-09 走行体 Expired - Fee Related JP4802692B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005355819A JP4802692B2 (ja) 2005-12-09 2005-12-09 走行体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005355819A JP4802692B2 (ja) 2005-12-09 2005-12-09 走行体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007160956A JP2007160956A (ja) 2007-06-28
JP4802692B2 true JP4802692B2 (ja) 2011-10-26

Family

ID=38244362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005355819A Expired - Fee Related JP4802692B2 (ja) 2005-12-09 2005-12-09 走行体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4802692B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011255887A (ja) * 2006-06-12 2011-12-22 Equos Research Co Ltd 車両
JP5152626B2 (ja) * 2007-08-10 2013-02-27 株式会社エクォス・リサーチ 車両
JP5151308B2 (ja) * 2007-08-10 2013-02-27 株式会社エクォス・リサーチ 車両
JP4766031B2 (ja) 2007-10-23 2011-09-07 トヨタ自動車株式会社 倒立型移動体および倒立型移動体の制御方法
JP5024160B2 (ja) * 2008-03-31 2012-09-12 株式会社エクォス・リサーチ 車両
JP2010125969A (ja) * 2008-11-27 2010-06-10 Toyota Motor Corp 移動体
DE112009005239B4 (de) * 2009-09-18 2021-07-22 Honda Motor Co., Ltd. Regelungs-/Steuerungsvorrichtung eines inverspendel-artigen Fahrzeugs
WO2011036695A1 (ja) * 2009-09-23 2011-03-31 本田技研工業株式会社 倒立振子型車両
US8494746B2 (en) 2009-09-23 2013-07-23 Honda Motor Co., Ltd. Inverted pendulum type vehicle
JP2011068216A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Honda Motor Co Ltd 全方向移動車両の制御装置
JP5471456B2 (ja) * 2010-01-07 2014-04-16 トヨタ自動車株式会社 訓練システム、その訓練方法及び訓練プログラム
JP6081271B2 (ja) * 2013-03-29 2017-02-15 本田技研工業株式会社 倒立振子型車両
DE102016116329B4 (de) 2016-09-01 2019-11-14 Sandro Suess Geschwindigkeitsbegrenzung für ein selbstbalancierendes Fahrzeug

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3927340B2 (ja) * 1998-07-28 2007-06-06 松下電工株式会社 バランス能力判定方法およびその装置
JP4327566B2 (ja) * 2003-11-17 2009-09-09 トヨタ自動車株式会社 前輪の接地と浮遊が切換え可能な走行体および走行状態切換え方法
JP4269055B2 (ja) * 2004-03-31 2009-05-27 国立大学法人広島大学 障害物回避装置および移動体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007160956A (ja) 2007-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4802692B2 (ja) 走行体
EP2356016B1 (en) Apparatus and method for control of a dynamically self-balancing vehicle
JP5152673B2 (ja) 横置き二輪車両
US20180022242A1 (en) Variable gain control in roll compensating seat
US10232871B2 (en) Pushcart
JP5013256B2 (ja) 車両
JP6299793B2 (ja) 立ち乗り型移動装置
CN110072731A (zh) 车辆座椅
US9317039B2 (en) Inverted pendulum type vehicle
JP2005529655A (ja) ハイブリッド式人力/電動乗物
JP6081271B2 (ja) 倒立振子型車両
US9845101B2 (en) Pushcart
JP2005022631A5 (ja)
CN113771702B (zh) 座椅调整***及乘客传感***
JP4982655B2 (ja) 倒立振子型移動体及び教育教材
US9139224B2 (en) Inverted pendulum type vehicle
EP2783958B1 (en) Inverted pendulum type vehicle
US10981617B2 (en) Inverted pendulum type vehicle
JP2020168949A (ja) 車両制御装置
JP2012020735A (ja) 走行装置及びその制御方法
JP6081270B2 (ja) 倒立振子型車両
JP2021187349A (ja) 移動体の制御装置
JP2005253867A (ja) 車両用シート
JP2008097058A (ja) 運転感覚調整システム
JP2016049787A (ja) 倒立型移動体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080321

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110712

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110725

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4802692

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140819

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees