JP4789431B2 - 水中探知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波の送受信に基づいて水中情報を得るスキャニングソナーのような水中探知装置に関し、特に、干渉波の影響を除去するための技術に関する。
漁場で使用されるスキャニングソナー(以下では、単に「ソナー」とも表記)は、複数の振動子を備えた送受波器から水中へ超音波を送信し、各振動子で受信されたエコー信号を解析することにより水中情報を得る装置である。後記の特許文献1、特許文献2には、このようなスキャニングソナーの構成が記載されている。ところで、スキャニングソナーで受信される信号には、魚群などからのエコー信号以外に、同じ漁場で操業する他船のソナーから送信される超音波(以下、「干渉波」と表記)がある。この干渉波が送受波器で受信されると、ソナーの表示部に干渉波の画像が現れ、この画像が魚群からのエコー信号の画像を覆い隠すことにより、魚群の探知が困難になる。また、他船から直接受信した干渉波の場合は、強度が大きく画面上に比較的明瞭な画像として現れるため、乗員は干渉波であることを容易に判別できるが、海底で一旦反射した後に受信される干渉波の場合は、強度が小さいために画面上で干渉波の画像と魚群の画像とを乗員が判別することは、一般的に難しい。
上記のような干渉波の影響を除去する方策として、図12に示すような周波数特性(foは中心周波数)をもった通過帯域の狭い狭帯域振動子を用いることが考えられる。このようにすれば、通過帯域外の周波数を有する干渉波の影響を除去できる。しかしながら、同一周波数の超音波を送信する他船からの干渉を除去するためには、自船の送信周波数を、通過帯域の中心周波数foから、通過帯域内の別の周波数fに変更しなければならない。この場合、図12からわかるように、エコー信号のレベルは低下する。すなわち、狭帯域振動子を用いた従来のソナーでは、エコー信号に対する感度を劣化させずに干渉波を除去することができない。したがって、干渉波の影響を避けるには、ソナー同士が互いの送信した超音波を受信しないように、帯域の異なる複数種類のソナーが必要になる。このため、ソナーの製造と保守に要するコストが増大してしまうという問題がある。
一方、近年では、図13に示すような周波数特性(foは中心周波数)をもった通過帯域の広い広帯域振動子を用いたソナーが商品化されている。この広帯域ソナーにおいては、他船からの干渉波が画像上に現れた場合、受信信号に作用させるフィルタの帯域と送信信号の周波数とを連動させることによって、すなわち、フィルタの中心周波数を送信信号の周波数に合致するように切り換えることによって、エコーの受信感度を低下させずに、干渉波の影響を除去することができる。
特開2003−84060号公報(段落0003〜0005、0021〜0025、図1、図10) 特開2001−99914号公報(段落0067、図12)
しかしながら、上述した広帯域ソナーでは、干渉波の電力がエコー信号の電力よりも大きく、かつ、干渉波が前記フィルタの前段で飽和すると、エコー信号の電力が低下し、エコー信号のSN比が劣化するという問題がある。以下、これについて説明する。
図14は、広帯域ソナーにおける受信系回路の一部を表したブロック図である。送信系回路については図示を省略してある。70は超音波を送受信する広帯域振動子、71は広帯域振動子70で受信した信号を増幅するアナログアンプ(以下、単に「アンプ」と表記)、72はアンプ71から出力される信号のうち所定帯域の信号のみを通過させるフィルタ、73はフィルタ72から出力される信号に対してA/D変換を行うA/D変換器である。なお、図14は広帯域振動子70が1個しか図示されていないが、実際には、振動子70は数百個程度の数だけ設けられ、それぞれの振動子に対して、71〜73の回路が付属している。
上記構成において、広帯域振動子70が、魚群等で反射したエコー(周波数f1)と他船からの干渉波(周波数f2)を受信した場合、干渉波の信号レベルがエコーの信号レベルに比べて非常に大きいと、エコー信号の重畳した干渉波信号がアンプ71に入力される。ところが、アンプ71での増幅により干渉波はフィルタ72の前段で飽和状態となってしまうため、干渉波からエコーの波形が正常に取り出せなくなり、エコー信号の電力が大幅に減少する。この結果、エコー信号のSN比が低下し、探知性能が劣化する。振動子の有効帯域が広くなるほど、より多くの機器(たとえば、ソナーと別に装備された魚群探知機)からの干渉波を受信しやすくなるため、この探知性能の劣化は顕著となる。
これに対して、干渉波を除去するためのアナログフィルタをアンプ71の前段に配置すれば、アンプ71で干渉波が飽和することはないので、エコー信号を正常に取り出すことができ、エコー信号の電力減少によるSN比の低下を防ぐことができる。この場合、干渉波の周波数は不定であるから、アンプ71の前段に設けるアナログフィルタとして、通過帯域が可変のアナログ・プログラマブル・フィルタを用いる必要がある。しかるに、典型的なソナーの場合、数百個から千個近い振動子が用いられるから、各々の振動子に対してアナログ・プログラマブル・フィルタを用いたのでは、コストと回路規模が大幅に増大する。したがって、この方法は現実的とはいえない。
一方、上述のアナログ・プログラマブル・フィルタに代えて、図15に示すように、通過帯域が可変のデジタル・プログラマブル・フィルタ74をA/D変換器73の後段に設けることが考えられる。このフィルタ74は、各振動子からの受信信号を時分割で処理することにより、各振動子に共通な単一のIC群で構成することができ、コストの増大を抑えることができる。しかしながら、この場合には、アンプ71で干渉波が飽和しないように、アンプ71の増幅率を下げる必要がある。一方、A/D変換器73では、図16に示したように、エコー信号のサンプリング値を量子化する際に、サンプリング値と量子化閾値A,A,A,…とが一致しないことによる量子化雑音の発生が不可避であるが、この量子化雑音の電力はA/D変換器73の特性で決まり、アンプ71の増幅率には依存しない。したがって、上記のようにアンプ71の増幅率を下げると、量子化雑音は減らないのにエコー信号の電力だけが減少し、この結果、エコー信号のSN比が低下して探知性能が劣化するという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、探知性能を劣化させることなく干渉波の影響を除去することが可能な水中探知装置を低コストで実現することにある。
本発明に係る水中探知装置は、複数の振動子を備えた送受波器から水中へ超音波を送信し、前記振動子で受信されたエコー信号を解析することにより水中情報を得る水中探知装置であって、各振動子ごとに複数設けられ、当該振動子の出力を増幅する、増幅率が互いに異なるアンプと、これらのアンプの出力を順次切換えるマルチプレクサと、このマルチプレクサの出力から、非飽和で、かつ、最も増幅率の大きいアンプに対応する出力を選択するデータ選択部と、このデータ選択部で選択された出力に対して、振幅の不連続および位相の不連続を補正する振幅位相補償部と、この振幅位相補償部の出力に基づいて、ビームフォーミング処理により受波ビームを形成するビーム形成部とを備える。
このようにすることで、振動子で受信された信号に微弱なエコー信号だけが含まれる時間範囲では、増幅率の最も大きいアンプの出力データを用いることにより、良好なSN比でエコー信号を得ることができる。一方、振動子で受信された微弱なエコー信号に大きな電力の干渉波が重畳している時間範囲では、飽和に至らない範囲で増幅率が最も大きいアンプの出力データを用いることにより、エコー信号の電力を低下させることなく、干渉波だけを除去することができる
本発明の第1形態に係る水中探知装置は、マルチプレクサの出力に基づいて、各アンプの出力に対する複素データを生成してデータ選択部へ出力するA/D変換器と、データ選択部で選択された出力が入力され、当該出力の所定帯域の周波数成分を通過させる、通過帯域が可変のデジタル・プログラマブル・フィルタとを備える。そして、振幅位相補償部は、デジタル・プログラマブル・フィルタの出力に対して、複素数からなる補正係数を乗じることにより、振幅の不連続および位相の不連続を補正する。
このようにすることで、振動子で受信された信号に微弱なエコー信号だけが含まれる時間範囲では、増幅率の最も大きいアンプの出力データを用いることにより、良好なSN比でエコー信号を得ることができる。一方、振動子で受信された微弱なエコー信号に大きな電力の干渉波が重畳している時間範囲では、飽和に至らない範囲で増幅率が最も大きいアンプの出力データを用いることにより、エコー信号の電力を低下させることなく、デジタル・プログラマブル・フィルタで干渉波だけを除去することができる。また、アナログ・プログラマブル・フィルタを用いないので、コストが大幅に高くなるという間題は生じない。さらに、マルチプレクサと振幅位相補償部を備えることによって、複数のアンプに個別のA/D変換器を用いる必要がなくなるので、コストをさらに抑えることができる。
この第1形態の水中探知装置では、例えば以下のような信号処理が行われる。A/D変換器は、所定周期でのサンプリングによって、各アンプの出力に対する複素データの実部データと虚部データを出力する。データ選択部は、デジタル・プログラマブル・フィルタの次数をMとしたとき、各アンプに対応するM+1個の複素データからなる複素データ列をそれぞれ保持するバッファメモリを有していて、当該メモリに保持された各複素データ列における複素データの中で絶対値が最大のものをそれぞれ検出するとともに、検出した最大値のうち、所定の閾値以下の絶対値をもつ複素データを選択し、さらに、選択した複素データの中から絶対値が最大のものを検出して、当該最大値をとるアンプに対応する複素データ列を出力する。デジタル・プログラマブル・フィルタは、指定された中心周波数と通過帯域幅の値に応じてフィルタ係数を算出し、データ選択部から出力される複素データ列に対しフィルタ係数を用いて所定の演算を実行して、その演算結果を出力する。
より具体的な例を挙げると、A/D変換器は、各アナログアンプの番号をk(k=1,2,3,…,N)としたとき、所定周期でのサンプリングによって、各アンプの出力に対する複素データ
k [n]=Ik[n]+jQk [n] (n=0,1,2,…)
の実部データIk[n]と虚部データQk [n]を出力する。
データ選択部は、デジタル・プログラマブル・フィルタの次数をMとしたとき、各アンプに対応するM+1個の複素データからなる複素データ列
Figure 0004789431
をそれぞれ保持するバッファメモリを有する。データ選択部は、各アンプ番号kについて、
{|Z[n]|,|Z[n+1]|,…,|Z[n+M]|}
の中の最大値max(k=1,2,3,…,N)、すなわち各複素データ列における複素データの中で絶対値が最大のものをそれぞれ検出する。次に、検出した最大値のうち、所定の閾値S以下の絶対値をもつmaxを選択し、さらに、選択したmaxの中で最大のものを検出して、当該最大値に対応するアンプを同定する。そして、同定したアンプのアンプ番号をk0として複素データ列
{Zk0[n],Zk0[n+1],…,Zk0[n+M]}
を出力する。
デジタル・プログラマブル・フィルタは、指定された中心周波数と通過帯域幅の値に応じてフィルタ係数h[m](m=0,1,2,…,M)を算出し、次に、データ選択部から出力される上記複素データ列とフィルタ係数との畳み込み演算
Figure 0004789431
を実行して、その演算結果Y[n]を出力する。
第1形態の水中探知装置において、各複素データ列から検出した複素データの絶対値がすべて前記閾値より大きい場合は、データ選択部が、増幅率の最も小さいアンプに対応する複素データ列を出力するようにすればよい。こうすることで、アンプでの干渉波の飽和による影響を最小限に抑えることができる。
本発明の第2形態に係る水中探知装置では、振幅位相補償部がデジタル・プログラマブル・フィルタの前段に設けられる。この第2形態の水中探知装置は、マルチプレクサの出力に基づいて、各アンプの出力に対する複素データを生成してデータ選択部へ出力するA/D変換器と、振幅位相補償部の出力が入力され、当該出力の所定帯域の周波数成分を通過させる、通過帯域が可変のデジタル・プログラマブル・フィルタとを備える。そして、振幅位相補償部は、データ選択部の出力に対して、複素数からなる補正係数を乗じることにより、振幅の不連続および位相の不連続を補正する。
このような第2形態の水中探知装置によっても、振動子で受信された信号に微弱なエコー信号だけが含まれる時間範囲では、増幅率の最も大きいアンプの出力データを用いることにより、良好なSN比でエコー信号を得ることができる。一方、振動子で受信された微弱なエコー信号に大きな電力の干渉波が重畳している時間範囲では、飽和に至らない範囲で増幅率が最も大きいアンプの出力データを用いることにより、エコー信号の電力を低下させることなく、デジタル・プログラマブル・フィルタで干渉波だけを除去することができる。また、アナログ・プログラマブル・フィルタを用いないので、コストが大幅に高くなるという間題は生じない。さらに、マルチプレクサと振幅位相補償部を備えることによって、複数のアンプに個別のA/D変換器を用いる必要がなくなるので、コストをさらに抑えることができる。
第2形態の水中探知装置では、例えば以下のような信号処理が行われる。A/D変換器は、所定周期でのサンプリングによって、各アンプの出力に対する複素データの実部データと虚部データを出力する。データ選択部は、各アンプに対応する複素データをそれぞれ1個ずつ保持するバッファメモリを有していて、当該メモリに保持された各複素データのうち、所定の閾値以下の絶対値をもつ複素データを選択する。そして、選択した複素データの中から絶対値が最も大きいものを検出して、当該複素データを出力する。デジタル・プログラマブル・フィルタは、指定された中心周波数と通過帯域幅の値に応じてフィルタ係数を算出し、振幅位相補償部から出力される複素データに対しフィルタ係数を用いて所定の演算を実行して、その演算結果を出力する。
この結果、バッファメモリは各アンプごとに1個の複素データを保持するだけでよいので、選択制御部では、各アンプごとの複素データ列の中から最大のものを抽出する処理が不要となる。したがって、バッファメモリの容量と選択制御部の処理量とを同時に低減することができる。
第2形態においても、複素データの絶対値がすべて前記閾値より大きい場合は、データ選択部が、増幅率の最も小さいアンプに対応する複素データを出力するようにすればよい。こうすることで、アンプでの干渉波の飽和による影響を最小限に抑えることができる。
また、第2形態において、各アンプの出力に含まれるDCオフセットのレベルがエコー信号のレベルに比べて十分に小さくない場合は、A/D変換器とデータ選択部との間にデジタル・ハイパス・フィルタを設けることにより、DCオフセットを除去することができる。
本発明の水中探知装置によれば、干渉波の有無や干渉波のレベルによらず、常に、飽和が生じない最適な増幅率をもつアンプの出力を自動的に選択することができるので、探知性能を劣化させることなく干渉波を除去することが可能になる。また、アナログ・プログラマブル・フィルタを用いないので、コストが大幅に高くなるという問題は生じない。さらに、マルチプレクサと振幅位相補償部とを備えることによって、複数のアンプに個別のA/D変換器を用いる必要がなくなるので、コストをさらに抑えることができる。
図1は、本発明に係る水中探知装置の一実施形態であるスキャニングソナーのブロック図である。ここでは、受信系のブロックのみを示してあり、送信系のブロックは省略してある。
1は所定の有効帯域をもつ複数個の広帯域振動子(以下、「振動子」と表記)であって、入射した超音波を電気信号に変換する。各振動子1は、例えば円筒形や球形の送受波器の表面に設けられている。101は信号処理回路であって、以下に述べる2〜12のブロックから構成される。2はアナログ・バンドパス・フィルタ(以下、「バンドパス・フィルタ」と表記)であって、振動子1より取り出された電気信号から、振動子1の有効帯域以外の成分を除去する。31〜33はバンドパス・フィルタ2の出力を増幅するアナログアンプ(以下、「アンプ」と表記)であって、アンプ31の増幅率G1と、アンプ32の増幅率G2と、アンプ33の増幅率G3とは、互いに異なっている。以下の説明では、G1<G2<G3と仮定する。また、Gの添字(1,2,3)をアンプ番号と呼び、kで表すこととする。
4はアナログマルチプレクサ(以下、「マルチプレクサ」と表記)であって、上記3個のアンプ31〜33の出力を順次切換えてA/D変換器5へ出力するものである。A/D変換器5は、マルチプレクサ4の出力をデジタル信号に変換するもので、後で詳細に述べるように、時分割サンプリングによって各アンプ31〜33に対応する複素データを出力する。8はデータ選択部であって、選択制御部6とバッファメモリ7とから構成され、A/D変換器5から出力される複素データのうち最適のものを選択する。9は通過帯域が可変のデジタル・プログラマブル・フィルタであって、データ選択部8で選択された複素データに対して、所定のフィルタ係数を用いて演算を行うことにより、所定帯域の周波数成分を通過させる。12は振幅位相補償部であって、補正係数メモリ10と乗算器11とから構成され、デジタル・プログラマブル・フィルタ9の出力における振幅の不連続および位相の不連続を補正する。データ選択部8、デジタル・プログラマブル・フィルタ9および振幅位相補償部12の詳細な動作については後述する。
なお、図1において、102,103,…10nは、信号処理回路101と同じ構成を備えた信号処理回路である。すなわち、振動子1のそれぞれに対して、上述した2〜12のブロックから構成される信号処理回路が設けられている。但し、デジタル・プログラマブル・フィルタ9は、通過帯域が各振動子1に対応して設定されることから、便宜上、1個の振動子1に対して1個のフィルタ9が対応するように図示してあるが、実際には、フィルタ9は各振動子1からの受信信号を時分割で処理するため、各振動子1に共通な単一のIC群から構成される。
13はゲイン調整部であって、同一のターゲットからのエコー信号の振幅が送受波器とターゲットとの距離に依存することなく一定となるように、振幅位相補償部12の出力に対して、超音波を送信してからの経過時間に応じて増大するTVG(Time Variable Gain)係数を乗じる処理を行う。14はビーム形成部であって、信号処理回路101,102,…10nおよびゲイン調整部13で処理された各チャンネルの受信信号に対し公知のビームフォーミング処理を行うことにより、受波ビームを形成する。15は映像処理部であって、ビーム形成部14で生成された受波ビームデータに基づいて、エコーの映像データを生成する。16は例えばカラー液晶ディスプレイからなる表示部であって、映像処理部15で生成された映像データを画面上に表示する。
次に、以上の構成からなるスキャニングソナーの動作を詳細に説明する。各振動子1は、図示しない送信回路からの出力を受けて、所定周波数の超音波を水中に送信する。このときの送信ビームは、送受波器から所定のティルト角(俯角)で水中の全方位に向けて発射され、傘形のビームを形成する。送信された超音波は水中の魚群や水底で反射し、エコーとなって各振動子1で受信される。各振動子1は、受信したエコーを電気信号に変換する。各振動子1から出力される受信信号は、それぞれに対して設けられた信号処理回路101,102,…10nに入力される。前述のように信号処理回路の構成は全て同じなので、以下では信号処理回路101を用いて説明する。
振動子1からの受信信号は、バンドパス・フィルタ2で振動子1の有効帯域以外の成分を除去され、3個のアンプ31〜33へ同時に入力される。アンプ31では、入力された受信信号に対して増幅率G1で増幅を行い、アンプ32では、入力された受信信号に対して増幅率G2で増幅を行い、アンプ33では、入力された受信信号に対して増幅率G3で増幅を行う。前述のように、増幅率はG1<G2<G3の関係にあるから、アンプ31の出力が最も小さく、アンプ33の出力が最も大きくなる。アンプ31〜33の各出力は、マルチプレクサ4へ入力される。マルチプレクサ4は、3個のアンプ31〜33の出力を31→32→33→31→32→33…の順に切換えて、A/D変換器5へ出力する。
A/D変換器5は、アンプ31〜33の出力に対し時分割サンプリングを行うことによって、各アンプ出力に対する複素データを生成する。図2は、時分割サンプリングを説明する図である。図2の(a)はアンプ31の出力信号波形、(b)はアンプ32の出力信号波形、(c)はアンプ33の出力信号波形をそれぞれ示している。ここでは一例として、A/D変換器5が送信信号の0.25周期に1回ずつサンプリングを実行する場合を例に挙げている。
各アンプの出力信号を複素データとしたとき、時刻t1ではアンプ31の出力信号の虚部データQ[0]が抽出され、時刻t2では実部データI[0]が抽出される。時刻t3ではアンプ32の出力信号の虚部データQ[0]が抽出され、時刻t4では実部データI[0]が抽出される。時刻t5ではアンプ33の出力信号の虚部データQ[0]が抽出され、時刻t6では実部データI[0]が抽出される。
時刻t7ではアンプ31の出力信号の虚部データQ[1]が抽出され、時刻t8では実部データI[1]が抽出される。時刻t9ではアンプ32の出力信号の虚部データQ[1]が抽出され、時刻t10では実部データI[1]が抽出される。時刻t11ではアンプ33の出力信号の虚部データQ[1]が抽出され、時刻t12では実部データI[1]が抽出される。
時刻t13ではアンプ31の出力信号の虚部データQ[2]が抽出され、時刻t14では実部データI[2]が抽出される。時刻t15ではアンプ32の出力信号の虚部データQ[2]が抽出され、時刻t16では実部データI[2]が抽出される。時刻t17ではアンプ33の出力信号の虚部データQ[2]が抽出され、時刻t18では実部データI[2]が抽出される。
以下同様にして、上記のような時分割サンプリングを行うことで、A/D変換器5は、各アンプ31〜33の出力信号に対する複素データ
k [n]=Ik[n]+jQk [n] (n=0,1,2,…)
の実部データIk[n]と虚部データQk [n]を出力する。
このようにしてA/D変換器5で生成される各出力信号の複素データは、データ選択部8のバッファメモリ7に順次格納される。ここで、デジタル・プログラマブル・フィルタ9の次数をM(M=フィルタ長−1)とした場合、バッファメモリ7には、各アンプ31〜33の出力に対応する複素データが、それぞれM+1個ずつ格納される。すなわち、バッファメモリ7は次のような複素データ列を保持する。
{Z1[n],Z1[n+1],…,Z1[n+M]}
{Z2[n],Z2[n+1],…,Z2[n+M]}
{Z3[n],Z3[n+1],…,Z3[n+M]}
今、説明を簡単にするためにM=3とすると、バッファメモリ7には図3に示したように、各複素データが4個ずつ格納される。71はアンプ31(k=1)に対応する複素データが格納されるエリア、72はアンプ32(k=2)に対応する複素データが格納されるエリア、73はアンプ33(k=3)に対応する複素データが格納されるエリアである。図3(a)は、n=0のときに、バッファメモリ7に複素データ列
{Z1[0],Z1[1],Z1[2],Z1[3]}
{Z2[0],Z2[1],Z2[2],Z2[3]}
{Z3[0],Z3[1],Z3[2],Z3[3]}
が保持されている状態を示している。例えば、Z1[0]は、図2(a)のI1[0]とQ1[0]からなる複素データであり、Z1[1]は、I1[1]とQ1[1]からなる複素データである(以下も同様)。また、Z2[0]は、図2(b)のI[0]とQ[0]からなる複素データであり、Z2[1]は、I[1]とQ[1]からなる複素データである(以下も同様)。また、Z[0]は、図2(c)のI[0]とQ[0]からなる複素データであり、Z[1]は、I[1]とQ[1]からなる複素データである(以下も同様)。
これらの複素データに対して後述する選択処理が完了すると、n=1に移行し、バッファメモリ7には図3(b)のような複素データ列
{Z1[1],Z1[2],Z1[3],Z1[4]}
{Z2[1],Z2[2],Z2[3],Z2[4]}
{Z3[1],Z3[2],Z3[3],Z3[4]}
が保持される。そして、これらの複素データに対して後述する選択処理が完了すると、n=2に移行し、バッファメモリ7には図3(c)のような複素データ列
{Z1[2],Z1[3],Z1[4],Z1[5]}
{Z2[2],Z2[3],Z2[4],Z2[5]}
{Z3[2],Z3[3],Z3[4],Z3[5]}
が保持される。以下同様にして、バッファメモリ7は、時分割サンプリングにより得られた複素データを各アンプごとに順次保持する。
選択制御部6は、バッファメモリ7に保持された複素データを読み出し、以下の手順に従って、最適なアンプ(非飽和で増幅率の最も大きいアンプ)のアンプ番号k0を同定する。すなわち、まず、各アンプ番号kについて、
{|Z[n]|,|Z[n+1]|,…,|Z[n+M]|}
の中の最大値max(k=1,2,3)を検出する。この結果、例えば図4に示すように、n=0において、アンプ31(k=1)に対応する最大値maxとしてZ[2]が検出され、アンプ32(k=2)に対応する最大値maxとしてZ[1]が検出され、アンプ33(k=3)に対応する最大値maxとしてZ[3]が検出される。
次に、所定の閾値以下の値をとるmaxを選択する。ここでは、図5に示したように、A/D変換器5の出力がとりうる上限値Sを閾値として用いる。ただし、これは一例であって、閾値として上限値Sより少し小さい値を用いてもよい。maxが上限値Sを越えているということは、アンプ出力が飽和していることであるから、上限値S以下の値を選択することは、非飽和のアンプ出力だけを取り出すことを意味する。ここで、maxは複素数の絶対値であるから、図6のような複素平面上でベクトルの長さとして表すことができる。上限値Sは半径Sの円(破線)で表される。図6では、一例としてmax<S、max<S、S<maxとしている。したがって、この場合は、maxとmaxが選択される。次に、選択制御部6は、選択したmaxの中で最大値を有するものを抽出し、この最大値をとるアンプ番号をk0として出力する。前述したように、アンプ31〜33の増幅率はG1<G2<G3の関係にあるから、maxとmaxの値を比較した場合、maxの方がmaxよりも大きくなる。したがって、maxが最大値として抽出され、最適なアンプのアンプ番号としてk0=2が出力されることになる。
図7は、S=31とした場合を例にとって、max〜maxの値とアンプ番号k0との関係を場合分けして示したテーブルである。イの場合は、max〜maxの全てが上限値S=31より小さく、3つとも選択候補となるが、その中で一番値が大きいのはmaxであるから、このmaxに対応するアンプ番号として「3」が決定される。ロの場合は、maxおよびmaxが上限値S=31より小さく、maxが上限値S=31より大きいので、maxとmaxが選択候補となる。そして、そのうちで値の大きいmaxが採用され、このmaxに対応するアンプ番号として「2」が決定される。ハの場合は、maxだけが上限値S=31より小さく、maxとmaxは上限値S=31より大きいので、maxが採用され、このmaxに対応するアンプ番号として「1」が決定される。ニの場合は、max〜maxの全てがS=31より大きくなっており、飽和状態にある。この場合は、アンプ番号k0として無条件に「1」が選択される。すなわち、増幅率の最も小さいアンプ31のアンプ番号が採用される。このようにするのは、飽和状態にあるデータの中で最小のものを選択することで、アンプでの干渉波の飽和による影響を最小限に抑えるためである。
以上のようにして、バッファメモリ7に保持された各アンプごとの複素データ列につき、各列における最大値maxを検出して、この最大値を上限値Sと比較し、上限値S以下である最大値maxの中で最も値の大きなものを選択することによって、非飽和で、かつ、最も増幅率の大きいアンプを同定することができる。選択制御部6は、このアンプ番号k0をバッファメモリ7へ出力する。バッファメモリ7は、このアンプ番号k0を受けて、k0に対応する複素データ列
{Zk0[n],Zk0[n+1],…,Zk0[n+M]}
をデジタル・プログラマブル・フィルタ9へ出力する。
デジタル・プログラマブル・フィルタ9は、次数MのFIR(Finite Impulse Response)フィルタであり、データ選択部8で選択された上記の複素データに対し、以下のような演算処理を行うことで、所定帯域の周波数成分を通過させる。まず、操作者が入力装置(図示省略)において指定した中心周波数と通過帯域幅の値に応じて、フィルタ係数h[m](m=0,1,2,…,M)を算出する。前述のように、本実施形態では説明を簡単にするためM=3であって、フィルタ長(M+1)が4であるため、4つのフィルタ係数h[0]〜h[3]が算出される。次に、データ選択部8から出力される前述の複素データと、上記フィルタ係数との畳み込み演算(積和演算)を実行し、その演算結果Y[n]を出力する。この畳み込み演算は、次式で定義される。
Figure 0004789431
図8は、畳み込み演算を行う演算回路の例であって、簡単のために、M=3の場合の回路を示している。演算回路は、遅延器51〜53、乗算器54〜57、加算器58〜60から構成される。図8では、Z[0]〜Z[3]の複素データと、フィルタ係数h[0]〜h[3]との畳み込み演算が例示されており、加算器60から演算結果
Y[0]=h[3]・Z[0]+h[2]・Z[1]
+h[1]・Z[2]+h[0]・Z[3]
が出力される。
デジタル・プログラマブル・フィルタ9で得られた演算結果は、振幅位相補償部12に入力される。振幅位相補償部12の補正係数メモリ10には、各アンプ31〜33の増幅率に応じた補正係数が予め記憶されている。この補正係数は複素数からなる。補正係数メモリ10は、選択制御部6が出力するアンプ番号k0を受けて、当該アンプ番号k0に対応する補正係数を出力する。乗算器11は、補正係数メモリ10から出力される補正係数をデジタル・プログラマブル・フィルタ9の出力に乗算する。これによって、各アンプ31〜33の増幅率G1〜G3の違いに起因する振幅の不連続と、各アンプ31〜33の出力に対するサンプリング時刻の違いに起因する位相の不連続とが補正される。
例えば、アンプ31の出力の振幅と位相を基準として、これに振幅と位相を合わせたい場合、データ選択部8で選択されたアンプの番号がk0=2であれば、アンプ32の出力の振幅と位相をアンプ31相当の振幅と位相に補正するような補正係数Cをフィルタ9の出力に乗じる。また、データ選択部8で選択されたアンプの番号がk0=3であれば、アンプ33の出力の振幅と位相をアンプ31相当の振幅と位相に補正するような補正係数Cをフィルタ9の出力に乗じる。また、データ選択部8で選択されたアンプの番号がk0=1であれば、補正の必要はないので、フィルタ9の出力はそのままとする。したがって、補正係数メモリ10は、少なくとも2つの補正係数を保持しておればよい。
なお、デジタル・プログラマブル・フィルタ9の出力はZ=R・ejθ(R:絶対値、θ:偏角)で表される複素数であるから、振幅の補正はRの値を調整することで可能であり、位相の補正はθの値を調整することで可能である。したがって、補正係数(複素数)の絶対値と偏角の値を、それぞれ増幅率とサンプリングタイミングを補正する値に選定し、この補正係数をフィルタ9の出力に乗じることで、振幅と位相とを適正に補正することができる。
このようにして振幅と位相が補正された複素データは、ゲイン調整部13へ入力される。前述のように、ゲイン調整部13では、振幅位相補償部12の出力に対して、超音波送信後の経過時間とともに増大するTVG係数を乗じる処理を行う。これにより、エコー信号の振幅が送受波器とターゲットとの距離に関係なく一定に維持される。ゲイン調整部13は公知の回路から構成され、本発明の要部ではないので、回路の詳細については説明を省略する。
ゲイン調整部13の出力は、ビーム形成部14へ入力される。ビーム形成部14では、前述のように、各チャンネルの受信信号に対しビームフォーミング処理を行うことにより、受波ビームを形成する。この場合、受信信号の振幅および位相に不連続が生じないように受信信号を振幅位相補償部12で補正済であるため、受波ビームは正常に形成される。このビーム形成部14も公知の回路から構成され、本発明の要部ではないので、回路の詳細については説明を省略する。
ビーム形成部14の出力は、映像処理部15へ入力される。映像処理部15では、前述のように、ビーム形成部14で生成された受波ビームデータに基づいて、エコーの映像データを生成する。この映像処理部15も公知の回路から構成され、本発明の要部ではないので、回路の詳細については説明を省略する。映像処理部15で生成された映像データは表示部16へ出力され、表示部16にエコーの映像が表示される。
以上述べた実施形態においては、振動子1で受信された信号に微弱なエコー信号だけが含まれる時間範囲では、増幅率の最も大きいアンプの出力データを用いることにより、良好なSN比でエコー信号を得ることができる。一方、振動子1で受信された微弱なエコー信号に大きな電力の干渉波が重畳している時間範囲では、飽和に至らない範囲で増幅率が最も大きいアンプの出力データを用いることにより、エコー信号の電力を低下させることなく、デジタル・プログラマブル・フィルタ9で干渉波だけを除去することができる。
すなわち、干渉波の有無や干渉波のレベルにかかわらず、常に、飽和が生じない最適な増幅率をもつアンプの出力をデータ選択部8で自動的に選択することができ、かつ、時間とともに増大する係数を乗算するゲイン調整部13の前段で干渉波を除去できるので、探知性能を劣化させることなく干渉波を除去することが可能になる。また、アナログ・プログラマブル・フィルタを用いないので、コストが大幅に高くなるという問題は生じない。さらに、アナログマルチプレクサ4と振幅位相補償部12とを備えることによって、複数のアンプ31〜33ごとに個別のA/D変換器を設ける必要がなくなるので、コストをさらに抑えることができる。
図9は、本発明の他の実施形態に係るスキャニングソナーのブロック図である。ここでも受信系のブロックのみを示してあり、送信系のブロックは省略してある。図9において図1と異なる点は、図1の信号処理回路101,102,…では、振幅位相補償部12がデジタル・プログラマブル・フィルタ9の後段に設けられているのに対し、図9の信号処理回路201,202,…では、振幅位相補償部12がデジタル・プログラマブル・フィルタ9の前段に設けられている点である。この結果、図9では、データ選択部8で選択された出力に対して、振幅位相補償部12が振幅の不連続および位相の不連続を補正し、この補正された出力がデジタル・プログラマブル・フィルタ9に入力され、ここで干渉波が除去されて所定帯域の周波数成分のみが取り出される。その他の構成については、基本的に図1と同じであるので、図1と同一部分には同一符号を付してある。
図9において、A/D変換器5は、図2で説明した要領で時分割サンプリングを行い、各アンプ31〜33の出力に対する複素データの実部データと虚部データを出力する。データ選択部8は、各アンプ31〜33に対応する複素データをバッファメモリ7にそれぞれ1個ずつ保持し、保持された各複素データのうち、A/D変換器5の出力がとりうる上限値以下の絶対値をもつ複素データを選択する。そして、選択した複素データの中から絶対値が最も大きいものを検出して、当該複素データを出力する。デジタル・プログラマブル・フィルタ9は、指定された中心周波数と通過帯域幅の値に応じてフィルタ係数を算出し、振幅位相補償部12から出力される複素データに対しフィルタ係数を用いて畳み込み演算を実行して、その演算結果を出力する。フィルタ9の出力はゲイン調整部13へ与えられ、以降は図1の場合と同様の処理が行われる。
図1の場合は、データ選択部8の出力に対して、デジタル・プログラマブル・フィルタ9で畳み込み演算を行った後に振幅と位相の補正を行うため、バッファメモリ7は各アンプごとにM+1個(図3の例では4個)の複素データを保持する必要があり、選択制御部6においても、M+1個の複素データの中から最大のものを抽出する処理が必要であった(図4)。これに対して、図9の場合は、データ選択部8の出力に対して、直接、振幅と位相の補正を行うため、図10に示すように、バッファメモリ7は各アンプごとに1個の複素データを保持するだけでよい。これにより、選択制御部6では、各アンプごとの複素データ列の中から最大のものを抽出する処理が不要となる。したがって、バッファメモリ7の容量と選択制御部6の処理量とを同時に低減することができる。なお、図9では、振幅位相補償部12がデジタル・プログラマブル・フィルタ9の前段にあるので、アンプ31〜33の出力に含まれるDCオフセットのレベルが大きいと、振幅位相補償部12での振幅補正が適正に行われない可能性があるが、上記DCオフセットのレベルがエコー信号のレベルに比べて十分に小さければ、振幅位相補償部12での振幅補正に支障はなく、本実施形態によって図1の場合と同等の効果を得ることができる。
また、アンプ31〜33の出力に含まれるDCオフセットのレベルがエコー信号のレベルに比べて大きい場合でも、デジタル・ハイパス・フィルタを用いることで、DCオフセットを除去することができる。図11は、この実施形態を示すもので、図9の信号処理回路201の一部を図示したブロック図である。図11のように、本実施形態では、A/D変換器5とデータ選択部8との間に、デジタル・ハイパス・フィルタ80が設けられている。このデジタル・ハイパス・フィルタ80は、各アンプ31〜33の出力に対する複素データ列の実部データ列と虚部データ列のそれぞれに作用して、各データ列に含まれるDCオフセットを除去する。また、このデジタル・ハイパス・フィルタ80は、デジタル・プログラマブル・フィルタ9と同様に、各振動子からの受信信号を時分割で処理することにより、各振動子に共通な単一のIC群で構成することができる。
上記実施形態では、アナログアンプとして3個のアンプ31〜33を用いたが、本発明では任意の複数個のアナログアンプを用いることができ、アナログアンプの数が多くなるほど、エコー信号のSN比の平均値が向上する。
また、上記実施形態では、ゲイン調整部13をビーム形成部14の前段に配置したが、ゲイン調整部13はビーム形成部14の後段に配置してもよい。
また、上記実施形態では、A/D変換器5において送信信号の0.25周期に1回ずつサンプリングを実行することによって複素データを得ているが、これに代えて、公知のヒルベルト変換器や直交検波器をA/D変換器5と併用することもできる。
また、上記実施形態では、広帯域振動子1とアンプ31〜33との間にバンドパス・フィルタ2が設けられているが、このフィルタ2は省略してもよい。さらに、干渉波の除去という目的に照らせば、ゲイン調整部13は本発明において必須のものではない。
また、上記実施形態では、本発明をスキャニングソナーに適用した例を挙げたが、本発明はスキャニングソナー以外の水中探知装置、例えば、前掲の特許文献2にあるようなクロスファンビーム方式のソナーなどにも適用することができる。
本発明の一実施形態であるスキャニングソナーのブロック図である。 時分割サンプリングを説明する図である。 バッファメモリの内容を示す図である。 バッファメモリの内容を示す図である。 A/D変換器の出力の上限値を説明する図である。 絶対値が最大となる複素データをベクトル表示した図である。 複素データの絶対値の最大値とアンプ番号との関係を場合分けして示したテーブルである。 畳み込み演算を行う演算回路の例である。 本発明の他の実施形態に係るスキャニングソナーのブロック図である。 他の実施形態におけるバッファメモリの内容を示す図である。 図9の変形例を示す部分ブロック図である。 狭帯域振動子の周波数特性を示す図である。 広帯域振動子の周波数特性を示す図である。 従来の広帯域ソナーにおける受信系回路のブロック図である。 従来の広帯域ソナーにおける受信系回路の他の例を示すブロック図である。 量子化雑音を説明する図である。
符号の説明
1 広帯域振動子
2 アナログ・バンドパス・フィルタ
31〜33 アナログアンプ
4 アナログマルチプレクサ
5 A/D変換器
6 選択制御部
7 バッファメモリ
8 データ選択部
9 デジタル・プログラマブル・フィルタ
10 補正係数メモリ
11 乗算器
12 振幅位相補償部
13 ゲイン調整部
14 ビーム形成部
15 映像処理部
16 表示部
80 デジタル・ハイパス・フィルタ
101,102,103,10n 信号処理回路
201,202,203,20n 信号処理回路

Claims (9)

  1. 複数の振動子を備えた送受波器から水中へ超音波を送信し、前記振動子で受信されたエコー信号を解析することにより水中情報を得る水中探知装置において、
    各振動子ごとに複数設けられ、当該振動子の出力を増幅する、増幅率が互いに異なるアンプと、
    前記複数のアンプの出力を順次切換えるマルチプレクサと、
    前記マルチプレクサの出力から、非飽和で、かつ、最も増幅率の大きいアンプに対応する出力を選択するデータ選択部と、
    前記データ選択部で選択された出力に対して、振幅の不連続および位相の不連続を補正する振幅位相補償部と、
    前記振幅位相補償部の出力に基づいて、ビームフォーミング処理により受波ビームを形成するビーム形成部と、
    を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  2. 請求項1に記載の水中探知装置において、
    前記マルチプレクサの出力に基づいて、各アンプの出力に対する複素データを生成して前記データ選択部へ出力するA/D変換器と、
    前記データ選択部で選択された出力が入力され、当該出力の所定帯域の周波数成分を通過させる、通過帯域が可変のデジタル・プログラマブル・フィルタと、
    をさらに備え、
    前記振幅位相補償部は、前記デジタル・プログラマブル・フィルタの出力に対して、複素数からなる補正係数を乗じることにより、振幅の不連続および位相の不連続を補正することを特徴とする水中探知装置。
  3. 請求項2に記載の水中探知装置において、
    前記A/D変換器は、所定周期でのサンプリングによって、各アンプの出力に対する複素データの実部データと虚部データを出力し、
    前記データ選択部は、前記デジタル・プログラマブル・フィルタの次数をMとしたとき、各アンプに対応するM+1個の複素データからなる複素データ列をそれぞれ保持するバッファメモリを有していて、当該メモリに保持された各複素データ列における複素データの中で絶対値が最大のものをそれぞれ検出するとともに、検出した最大値のうち、所定の閾値以下の絶対値をもつ複素データを選択し、さらに、選択した複素データの中から絶対値が最大のものを検出して、当該最大値をとるアンプに対応する複素データ列を出力し、
    前記デジタル・プログラマブル・フィルタは、指定された中心周波数と通過帯域幅の値に応じてフィルタ係数を算出し、前記データ選択部から出力される複素データ列に対し前記フィルタ係数を用いて所定の演算を実行して、その演算結果を出力することを特徴とする水中探知装置。
  4. 請求項3に記載の水中探知装置において、
    前記データ選択部は、前記各複素データ列から検出した複素データの絶対値がすべて前記閾値より大きい場合に、増幅率の最も小さいアンプに対応する複素データ列を出力することを特徴とする水中探知装置。
  5. 請求項1に記載の水中探知装置において、
    前記マルチプレクサの出力に基づいて、各アンプの出力に対する複素データを生成して前記データ選択部へ出力するA/D変換器と、
    前記振幅位相補償部の出力が入力され、当該出力の所定帯域の周波数成分を通過させる、通過帯域が可変のデジタル・プログラマブル・フィルタと、
    をさらに備え、
    前記振幅位相補償部は、前記データ選択部の出力に対して、複素数からなる補正係数を乗じることにより、振幅の不連続および位相の不連続を補正することを特徴とする水中探知装置。
  6. 請求項5に記載の水中探知装置において、
    前記A/D変換器は、所定周期でのサンプリングによって、各アンプの出力に対する複素データの実部データと虚部データを出力し、
    前記データ選択部は、各アンプに対応する複素データをそれぞれ1個ずつ保持するバッファメモリを有していて、当該メモリに保持された各複素データのうち、所定の閾値以下の絶対値をもつ複素データを選択し、選択した複素データの中から絶対値が最大のものを検出して、当該複素データを出力し、
    前記デジタル・プログラマブル・フィルタは、指定された中心周波数と通過帯域幅の値に応じてフィルタ係数を算出し、前記振幅位相補償部から出力される複素データに対し前記フィルタ係数を用いて所定の演算を実行して、その演算結果を出力することを特徴とする水中探知装置。
  7. 請求項6に記載の水中探知装置において、
    前記データ選択部は、前記各複素データの絶対値がすべて前記閾値より大きい場合に、増幅率の最も小さいアンプに対応する複素データを出力することを特徴とする水中探知装置。
  8. 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の水中探知装置において、
    前記A/D変換器とデータ選択部との間に、デジタル・ハイパス・フィルタを設けたことを特徴とする水中探知装置。
  9. 請求項2または請求項5に記載の水中探知装置において、
    同一のターゲットからのエコー信号の振幅が前記送受波器と前記ターゲットとの距離に依存することなく一定となるように、前記振幅位相補償部の出力に対して、前記超音波を送信してからの経過時間に応じて増大する係数を乗じるゲイン調整部をさらに備えたことを特徴とする水中探知装置。
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