JP4788130B2 - 燃料電池用ガス拡散層および燃料電池の製造方法 - Google Patents

燃料電池用ガス拡散層および燃料電池の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、燃料電池用ガス拡散層と燃料電池、および、これらの製造方法に関する。
燃料電池の発電時には、発電に伴って一方の電極で生成水が生じるため、燃料電池の発電性能を良好に維持するには、燃料電池内部での生成水の滞留を防止することが重要である。また、特に燃料電池が固体高分子型燃料電池の場合には、電解質層におけるプロトン伝導性を維持するために、電解質層である固体高分子膜を、常に充分な湿潤状態に保つことが必要である。このように、燃料電池においては、電解質層および電極周囲における水の給排状態を適切に保つことが重要である。
電解質層および電極周囲における水の給排状態を良好に保つための構成として、例えば、電解質層上に形成される電極に隣接して設けられるガス拡散層において、ガス流路と相対する領域は撥水性を備え、他の領域は親水性を備える構成が知られている(特許文献1参照)。ここでは、撥水性領域と親水性領域とを上記のように形成するために、親水性を有するカーボン多孔質体の所定の領域に対して、疎水性物質を含むディスパージョンの塗布を行なっている。撥水性領域と親水性領域とを上記のように形成することにより、面内での水分配の均一化を図るものである。
特開2003−197203号公報
しかしながら、親水性を有するカーボン多孔質体上に疎水性物質を含むディスパージョンを塗布しようとすると、基材であるカーボン多孔質体が有する親水基と撥水性物質とが馴染み難いため互いに反発し、撥水層が多孔質体上に固着する強度が不十分となって、耐久性が不十分となる場合がある。さらに、形成した撥水性領域と基材である周囲の親水性領域との間で段差が生じる場合がある。このように、ガス拡散層において電極と接する表面に段差が生じると、撥水層が形成されていない低く形成された領域において接触抵抗が大きくなり、電池性能低下の原因となる可能性がある。また、所定の領域に撥水性領域を形成しようとしても、疎水性物質を含むディスパージョンが親水性基材の上で広がってしまい、撥水性領域を形成する際の精度が不十分となる場合がある。さらに、上記構成としても、低温時や燃料電池における発電量が多いときなど、生成水が過剰になるときには、電極近傍において生成水が滞留する可能性があり、さらなる排水性の向上が望まれていた。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、耐久性や電池性能の低下を伴うことなく、電解質層および電極周辺における水の給排状態を良好に保つことができるガス拡散層を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、電解質層上に形成された電極に隣接して設けられる燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
(a)前記燃料電池用ガス拡散層の基材となる導電性多孔質体を用意する工程と、
(b)一方の面上に電極層を形成した酸化用電解質層の他方の面と、前記導電性多孔質体の一方の表面とが対向するように、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体とを積層する工程と、
(c)前記電極層における電極電位と前記導電性多孔質体における電位との差が、前記導電性多孔質体表面で親水基を生じる電気化学的酸化反応が進行可能となる値となるように、前記電極層と前記導電性多孔質体との間に電圧を印加する工程と
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によれば、電気化学的な酸化を利用することにより導電性多孔質体表面に親水基を導入するため、ガス拡散層表面に親水基を強固に固着させることができ、ガス拡散層の耐久性を向上させることができる。また、親水基を導入することによりガス拡散層表面に段差が生じることがないため、このようにして製造したガス拡散層を備える燃料電池において、ガス拡散層と電極との間の接触抵抗が低下することがない。さらに、ガス拡散層において、所望の位置に正確に親水基を導入することが可能となる。
本発明の燃料電池ガス拡散層の製造方法において、
前記導電性多孔質体は、少なくとも前記一方の表面に炭素を備えており、
前記(c)工程は、前記導電性多孔質体に対して水蒸気を供給しつつ、電圧を印加し、前記水蒸気を用いて前記炭素を酸化することによって前記導電性多孔質体表面に親水基を導入することとしても良い。
このような構成とすれば、電圧印加の際に導電性多孔質体に水蒸気を供給することにより、導電性多孔質体表面の炭素を酸化して、容易に親水基を導入することができる。
このような本発明の燃料電池用ガス拡散層の製造方法において、
前記酸化用電解質層は、プロトン伝導性を有する電解質層であり、
前記(c)工程は、
(c−1)前記導電性多孔質体に対して水蒸気を含有する不活性ガスを供給しつつ、前記電極層に対して所定のガスを供給する工程と、
(c−2)前記導電性多孔質体を所定の外部電源の正極に接続すると共に、前記電極層を前記外部電源の負極に接続し、前記所定のガスを供給したときの前記電極層における電極電位に基づいて定まる大きさの電圧を、前記外部電源によって前記電極層および前記導電性多孔質体間に印加して、前記炭素を酸化する工程と
を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、電極層側に所定のガスを供給したときの電極層における電極電位に基づいて定まる電圧を、電極層と導電性多孔質体との間に印加することで、導電性多孔質体表面に対して効率良く親水基を導入することが可能となる。
このとき、前記電極層に供給する所定のガスは水素であることとしても良い。
所定のガスとして水素を用いることで、電極層と導電性多孔質体との間に印加すべき電圧の設定を、より容易に行なうことが可能となる。
このような本発明の燃料電池用ガス拡散層の製造方法において、
前記(b)工程は、前記導電性多孔質体の前記一方の表面における所定の領域に親水基を導入する工程であり、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体とを積層する際に、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体との界面における前記所定の領域以外の領域に、前記導電性多孔質体と前記酸化用電解質層との間のプロトンの移動を許容しない非プロトン伝導領域を設けることとしても良い。
このような構成とすれば、非プロトン伝導領域では親水基が導入される電気化学的酸化は起こらないため、燃料電池用ガス拡散層の表面において、所望の領域に正確に親水基を導入することができる。このような非プロトン伝導領域は、例えば、前記界面に、プロトン伝導性を有しない材料から成る非プロトン伝導性層を設けることによって形成することができる。また、このような非プロトン伝導性層は、さらに、非電子伝導性を示すことが望ましい。
本発明の燃料電池用ガス拡散層の製造方法において、
前記(a)工程は、前記導電性多孔質体における前記一方の表面を、予め撥水処理する工程を含むこととしても良い。
このような構成とすれば、上記非プロトン伝導領域に対応する領域は撥水性を有し、非プロトン伝導領域に対応しない所定の領域は親水性を有するガス拡散層を得ることができる。このように、ガス拡散層において撥水性を有する領域と親水性を有する領域とを形成する場合には、電気化学的酸化により親水基を導入していることにより、親水基を強固に固着可能となると共にガス拡散層表面に段差などが生じないという既述した効果を、特に顕著に得ることができる。
また、本発明の燃料電池用ガス拡散層の製造方法において、該燃料電池用ガス拡散層は、前記燃料電池用ガス拡散層は、電気化学反応に伴って生成水が生じる電極側において、前記ガス拡散層における前記親水基を導入した表面を前記電極に接するように配設して用いるためのガス拡散層であることとしても良い。
生成水が生じる電極側において、親水基を導入した表面が電極に接するようにガス拡散層を配設することで、効率良く生成水を排水し、電極近傍における生成水の滞留を防止することができる。
本発明の第1の燃料電池の製造方法は、
(A)プロトン伝導性を有する電解質層の両面に、触媒を備える電極を形成する工程と、
(B)前記電極を形成した前記電解質層を挟持するように、電気化学反応に供するガスが流通するガス拡散層として、導電性多孔質体を配設する工程と
を備え、
前記(B)工程は、前記電解質層を挟持する前記導電性多孔質体の少なくとも一方として、請求項1ないし9いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によって製造した前記燃料電池用ガス拡散層を用い、該燃料電池用ガス拡散層を、前記親水基が導入された表面が前記電極に接するように配設する工程であることを要旨とする。
また、本発明の第2の燃料電池の製造方法は、
(A)プロトン伝導性を有する電解質層の両面に、触媒を備える電極を形成する工程と、
(B)前記電極を形成した前記電解質層を挟持するように、電気化学反応に供するガスが流通するガス拡散層として、導電性多孔質体を配設する工程と、
(C)前記導電性多孔質体のさらに外側に、表面に所定の凹凸形状を有して、該凹凸形状の凸部の端部において前記導電性多孔質体と当接すると共に、前記凸部間に形成される凹部によって前記導電性多孔質体との間に前記ガスの流路を形成するガスセパレータを配設する工程と
を備え、
前記(B)工程は、前記電解質層を挟持する前記導電性多孔質体の少なくとも一方として、請求項5ないし8いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によって製造した前記燃料電池用ガス拡散層を用い、該燃料電池用ガス拡散層を、前記親水基が導入された表面が前記電極に接するように配設する工程であり、
前記(C)工程は、前記燃料電池用ガス拡散層において親水基を導入した前記所定の領域と、前記凹部とが対応するように、前記ガスセパレータを位置合わせしつつ配設する工程であることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の第1および第2の燃料電池の製造方法によれば、電極と接するガス拡散層の表面に親水基が導入された燃料電池が得られるため、製造された燃料電池において、発電と共に生成水が生じても、速やかに電極近傍から排水することができる。したがって、電極近傍に水が滞留することに起因する電池性能の低下を防止することができる。また、上記燃料電池用ガス拡散層を用いることによる効果、すなわち、燃料電池全体の耐久性を向上させると共に、電極とガス拡散層との間の接触抵抗増大に起因する電池性能の低下を防止する効果を得ることができる。
さらに、本発明の第2の燃料電池の製造方法によれば、ガス拡散層において親水基が導入された所定の領域に対して、凹部が対応するようにガスセパレータが位置合わせされているため、製造される燃料電池では、上記所定の領域の親水基の働きで排水される水がガス流路に移動する距離が短くて済む。そのため、親水基による排水効率をさらに向上させることができる。
本発明の第2の燃料電池の製造方法において、
前記(B)工程は、少なくとも、電気化学反応に伴って生成水が生じる電極側において、請求項5ないし8いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によって製造した前記燃料電池用ガス拡散層を用いることとしても良い。
このような場合には、生成水が生じる電極側で上記ガス拡散層を用いることにより、製造した燃料電池において、効率良く生成水を排水し、電極近傍における生成水の滞留を防止することができる。
本発明の燃料電池用ガス拡散層は、プロトン伝導性を有する固体高分子膜から成る電解質層上に形成された電極と、所定の凹凸形状を有するガスセパレータとの間に配設され、前記凹凸形状の凸部の端部と接すると共に、前記凸部間に形成される凹部との間で電気化学反応に供されるガスの流路となる空間を形成する燃料電池用ガス拡散層であって、
前記電極と接する側の表面の、前記ガスセパレータの前記凹部に対応する領域が、親水性を示す親水領域となっており、前記ガスセパレータの前記凸部に対応する領域が、撥水性を示す領域となっていることを要旨とする。
本発明の燃料電池は、
プロトン伝導性を有する固体高分子膜から成る電解質層と、
前記電解質層の両面に形成されると共に触媒を備える電極と、
前記電極が表面に形成された前記電解質層を挟持するように配設されると共に、電子伝導性を有する多孔質体によって形成されるガス拡散層と、
前記ガス拡散層のさらに外側に配設されると共に、表面に所定の凹凸形状を有して、該凹凸形状の凸部の端部において前記ガス拡散層と当接し、前記凸部間に形成される凹部によって、前記ガス拡散層との間に電気化学反応に供されるガス流路を形成するガスセパレータと、を備え、
前記ガス拡散層は、前記電極と接する側の表面の、前記ガスセパレータの前記凹部に対応する領域が、親水性を示す親水領域となっており、前記ガスセパレータの前記凸部に対応する領域が、撥水性を示す領域となっていることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池用ガス拡散層を用いた燃料電池、あるいは、本発明の燃料電池によれば、ガス拡散層において電極と接する側の表面に親水領域が設けられているため、この親水領域によって水を導いて、電極近傍から速やかに排水することができる。ここで、親水領域は、ガス流路を形成するセパレータの凹部に対応する領域に形成されているため、親水領域によって電極近傍から導かれた水をガス流路へと排水する際の移動距離が短くて済み、排水効率を向上させることができる。また、ガス拡散層の表面において、ガスセパレータの凸部に対応する領域に撥水性を示す領域が設けられているため、水を電解質側へと押し戻し、固体高分子膜から成る電解質層の水分不足に起因する電池性能低下を防止することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、本発明の燃料電池用ガスセパレータの製造方法により製造されたガスセパレータや、本発明の燃料電池の製造方法により製造された燃料電池などの形態で実現することが可能である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.燃料電池の構成:
B.ガス拡散層17の製造方法:
C.発電時の動作:
D.効果:
E.電気化学的酸化に関するその他の実施例:
F.変形例:
A.燃料電池の構成:
本発明の実施例である燃料電池は、固体高分子型燃料電池であり、単セルを複数積層したスタック構造を有している。図1は、実施例の燃料電池を構成する単セル10の概略構成を現わす断面模式図である。単セル10は、電解質を含むMEA(膜−電極接合体、Membrane Electrode Assembly)12と、MEA12を両側から挟持してサンドイッチ構造を形成するガス拡散層16,17と、このサンドイッチ構造をさらに両側から挟持するセパレータ20,21とを備えている。ここで、セパレータ20とガス拡散層16との間には、水素を含有する燃料ガスが通過する単セル内燃料ガス流路22が形成されている。また、セパレータ21とガス拡散層17との間には、酸素を含有する酸化ガスが通過する単セル内酸化ガス流路23が形成されている。
MEA12は、電解質層13と、電解質層13を間に挟んでその表面に形成された電極であるアノード14およびカソード15を備えている。電解質層13は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製)を使用した。アノード14およびカソード15は、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、あるいは白金と他の金属から成る合金を備えている。アノード14およびカソード15を形成するには、例えば、白金または白金と他の金属からなる合金を担持させたカーボン粉を作製し、この触媒を担持したカーボン粉を適当な有機溶剤に分散させ、電解質溶液(例えば、Aldrich Chemical社、Nafion Solution)を適量添加することで、ペーストを作製すればよい。このペーストを、電解質層13上にスクリーン印刷等の方法により塗布することで、アノード14およびカソード15を形成することができる。
ガス拡散層16,17は、ガス透過性および電子伝導性を有する部材によって構成されている。本実施例では、ガス拡散層16,17は、カーボンクロスやカーボンペーパなどのカーボン多孔質体によって形成されている。このようなガス拡散層16,17は、電気化学反応に供されるガスの流路となると共に、集電を行なう。すなわち、ガス拡散層16を介して、既述した単セル内燃料ガス流路22からアノード14に対して燃料ガスが給排され、ガス拡散層17を介して、単セル内酸化ガス流路23からカソード15に対して酸化ガスが給排される。
セパレータ20,21は、電子伝導性を有する材料で形成されたガス不透過な部材であり、例えば、ステンレス鋼等の金属部材やカーボン部材によって形成することができる。セパレータ20,21の表面には、既述した単セル内燃料ガス流路22や単セル内酸化ガス流路23を形成するための所定の凹凸形状が形成されている。
なお、本実施例では、ガス拡散層17は、カソード15と接する側の表面に、撥水性を示す撥水層30と、親水性を示す親水層32とを備えている。親水層32は、ガス拡散層17の表面であって、セパレータ21に形成された凹部に対応する領域、すなわち、単セル内酸化ガス流路23に対応する領域に形成されている。また、撥水層30は、親水層19が形成された領域以外の領域、すなわち、セパレータ21とガス拡散層17とが接するセパレータ21の凸部端部に対応する領域に形成されている。これに対し、ガス拡散層17は、アノード14と接する側の表面全体にわたって、撥水層34を備えている。
また、単セル10の外周部には、単セル内燃料ガス流路22および単セル内酸化ガス流路23におけるガスシール性を確保するために、ガスケット等のシール部材が配設されている。また、単セル10が積層されたスタック構造の外周部には、単セル10の積層方向と平行であって燃料ガスあるいは酸化ガスが流通する複数のガスマニホールドが設けられている(図示せず)。これら複数のガスマニホールドのうちの燃料ガス供給マニホールドを流れる燃料ガスは、各単セル10に分配され、電気化学反応に供されつつ各単セル内燃料ガス流路22内を通過し、その後、燃料ガス排出マニホールドに集合する。同様に、酸化ガス供給マニホールドを流れる酸化ガスは、各単セル10に分配され、電気化学反応に供されつつ各単セル内酸化ガス流路23内を通過し、その後、酸化ガス排出マニホールドに集合する。
燃料電池に供給される燃料ガスとしては、炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスを用いても良いし、純度の高い水素ガスを用いても良い。また、燃料電池に供給される酸化ガスとしては、例えば空気を用いることができる。
なお、図示は省略しているが、スタック構造の内部温度を調節するために、各単セル間に、あるいは所定数の単セルを積層する毎に、冷媒の通過する冷媒流路を設けても良い。冷媒流路は、隣り合う単セル間において、一方の単セルが備えるセパレータ21と、これに隣接して設けられる他方の単セルのセパレータ20との間に設ければよい。
B.ガス拡散層17の製造方法:
図2は、カソード側で用いるガス拡散層17の製造方法を表わす工程図である。ガス拡散層17を製造する際には、まず、既述したカーボンクロスなどの、カーボン多孔質体を用意する(ステップS100)。次に、ステップS100で用意したカーボン多孔質体の一方の表面を撥水処理し、撥水層を形成する(ステップS110)。具体的には、この撥水処理は、例えば、カーボン粉と、フッ素系樹脂等の撥水性樹脂とを含むペーストを、カーボン多孔質体の一方の面上に塗布することにより行なうことができる。なお、アノード側で用いるガス拡散層16としては、ステップS110で撥水層を形成したカーボン多孔質体と同様のカーボン多孔質体がそのまま用いられる。
その後、カーボン多孔質体において、ステップS110で撥水処理した側の表面の一部の領域を電気化学的酸化を利用して親水化し(ステップS120)、ガス拡散層17を完成する。ここで、一部の領域とは、図1に示した親水層32を形成すべき領域であり、燃料電池を組み立てたときに、単セル内酸化ガス流路23を形成するセパレータ21の凹部に対応する領域である。電気化学的酸化とは、電圧印加などの電気的な方法によって、処理対象の部材の電位状態を変化させ、酸化反応(電子を放出する反応)を進行させることをいう。具体的には、カーボン多孔質体に対して所定の電圧を印加して、カーボン多孔質体表面の炭素を、水(水蒸気)を用いて酸化させることによって、カーボン多孔質体に親水基を導入する。
図3は、電気化学的酸化による親水処理に関わる部材を表わす説明図であり、電気化学的酸化による親水処理を行なうために用いる構造体40と、既述したステップS110で表面を撥水処理したカーボン多孔質体(撥水層118を形成したカーボン多孔質体117)とを示している。図3に示す構造体40は、図1に示した単セル10におけるMEA12よりもアノード側の構造と類似する構造を有している。そのため、構造体40において単セル10と共通する部材には、単セル10における対応する部材の参照番号に100を加えた参照番号を付し、以下、単セル10とは異なる構成についてのみ説明する。構造体40は、電解質層113上に、カソード15に代えて、触媒層42および絶縁層43から成る層を有している。触媒層42は、アノード14およびカソード15と同様の層であり、プロトン伝導性および電子伝導性を有している。また、絶縁層43は、プロトン伝導性を有しない層である。この絶縁層42は、非プロトン伝導性に加えて、さらに、非電子伝導性を有することが望ましく、例えばフッ素系樹脂のように、カーボン多孔質体に対して電気化学的酸化の処理を施す際にも酸化されない物質により形成することが望ましい。ここで、構造体40は、上記カーボン多孔質体117をさらに重ね合わせて電圧を印加することによって、カーボン多孔質体117の表面を酸化させるためのものであり、構造体40が備える触媒層42は、カーボン多孔質体117上に形成すべき親水層19に対応する形状を有している。
図4は、構造体40を用いてカーボン多孔質体117の表面を電気化学的に酸化させる様子を表わす説明図である。図4に示すように、電気化学的酸化による親水処理を行なう際には、構造体40に撥水層118が接するように、構造体40とカーボン多孔質体117とを重ね合わせる。そして、カーボン多孔質体117の外側に、図1に示したセパレータ21と同様のセパレータ121をさらに積層する。なお、ここで用いるセパレータ121は、必ずしもセパレータ21と同じ形状である必要はなく、カーボン多孔質体117との間でガス流路を形成可能であればよい。
その後、セパレータ120とガス拡散層116との間に形成される流路122に加湿水素を供給すると共に、セパレータ121とカーボン多孔質体117との間に形成される流路123に加湿窒素を供給し、セパレータ120,121間に所定の電圧を印加する。本実施例では印加電圧は1.5Vとした。なお、流路122に供給する水素を加湿するのは、構造体40が備える電解質層113の湿潤状態を維持して電解質層におけるプロトン伝導性を確保するためである。また、流路123に供給する窒素を加湿するのは、電解質層113におけるプロトン伝導性を確保するためであると共に、炭素を電気化学的に酸化する際に用いる水を供給するためである。
図5は、上記のように電圧を印加したときに、構造体40と接するカーボン多孔質体117表面で進行する反応の一例を表わす説明図である。図5(A)は、ベンゼン環構造を形成する炭素が水と反応してキノン基を形成する反応を示す。また、図5(B)は、ベンゼン環構造を形成する炭素が水と反応してフェノール基を形成する反応を示す。キノン基は、親水基であるカルボニル基を有し、フェノール基は、親水基であるヒドロキシル基を有している。カーボン多孔質体は、一般的に、六員環の連続体であるため、カーボン多孔質体117の表面においては上記のような酸化反応が進行する。このように、電気化学的酸化による親水処理とは、電圧印加時に水蒸気を用いて炭素を酸化させることによって、カーボン多孔質体117の表面に親水基を導入するものである。なお、カーボン多孔質体117の表面で図5に示す反応が進行すると、キノン基などの形成に伴って生じたプロトンは、構造体40が備える電解質層113に受け渡される。
ここで、上記した炭素の酸化反応は、カーボン多孔質体117が、もう一方の電極(図4においてガス拡散層116に隣接する触媒層114)における電極電位に対して所定の電位差を示すときに進行可能となる。このような酸化反応の進行に必要な電位差は、熱力学的に理論的に求めることができる。本実施例では、上記もう一方の電極は、水素を供給される水素電極であり、水素電極における電極電位は略0V(vs.RHE、RHEは可逆水素電極電位)と考えることができる。このとき、カーボン多孔質体において図5に示した酸化反応が進行するために必要とされる理論的な電位差は、約0.2V(vs.RHE)程度であり、これより大きな電圧を印加することによって、カーボン多孔質体117の表面で酸化反応を進行させることができる。本実施例では、カーボン多孔質体117に隣接するセパレータ121を、外部電源44の正極に接続すると共に、もう一方のセパレータ120を、外部電源44の負極に接続して、1.5Vの電圧を印加しているため、図5に示したような親水基を生じる反応を進行させることができる。これにより、カーボン多孔質体117では、触媒層42と接している領域には親水層32が形成され、絶縁層43と接していた残りの領域は撥水処理されたままの状態で残り、撥水層30となって、ガス拡散層17が完成する。なお、図4の構造体40において、触媒層114では、カーボン多孔質体117から電解質層113を介して伝えられたプロトンと、外部電源から供給される電子とから、水素を生じる反応が進行する。
以下に、電気化学的酸化を行なう際の印加電圧と、親水基の導入の程度との関係について示す。ガス拡散層17の基材と同様のカーボン多孔質体に対して電気化学的酸化を行なう際に、印加電圧を種々異ならせて酸化を行ない、得られた親水化カーボン多孔質体の性質を調べた結果を図6に示す。図6は、上記種々の印加電圧により酸化させた親水化カーボン多孔質体について、サイクリックボルタンメトリーを行なった結果を表わすサイクリックボルタモグラムである。サイクリックボルタンメトリーとは、対象物に循環的な電位変化を与え、そのときの電流値を測定することによって、対象物が有する反応物の酸化還元電位(どのくらいの電位でどのような反応が起こるか)を調べる周知の方法である。ここでは、カーボン多孔質体の電気化学的酸化を行なう際に、処理時間を10分間に固定して、印加電圧を0.6Vから1.5Vまで8段階に異ならせて親水化カーボン多孔質体を作製し、各々について電位掃引を行なった。図6に示すように、いずれの親水化カーボン多孔質体も、共通する電極電位においてピークを示した。ピークを、図6中に矢印で示す。サイクリックボルタモグラムにおいてピークとして示される電極電位は、反応物に応じた値であり、得られたピークにおける電極電位の値より、キノン基の酸化還元反応が検出されているものと考えられる。キノン基の酸化還元反応を、図7に示す。ここで、サイクリックボルタモグラムにおけるピークの高さは、酸化還元反応を行なう反応物の濃度を示すと考えられるが、図6に示すように、カーボン多孔質体を電気化学的に酸化する際の印加電圧が高いほどピークの電流値も大きくなり、より多くのキノン基が導入されていること、すなわち、親水化の度合いが大きいことが分かる。
なお、サイクリックボルタモグラムでピークを検出しているのは、上記のようにキノン基と考えられるが、上記印加電圧の元では、カルボニル基を有するキノン基の他、既述したヒドロキシル基を有するフェノール基や、さらにカルボキシル基やアルデヒド基も生じていると考えられる。そのため、印加電圧を充分に高くすることによって、これら他の親水基が生じる酸化反応も、同様に活発化すると考えられる。
図4に示したように電気化学的酸化を行なった後は、得られたガス拡散層17を構造体40から分離し、MEA12など所定の部材と共に積層して、単セル10を作製する。その際、ガス拡散層17の親水層32の位置と、セパレータ21に形成される凹部の位置とが対応するように、ガス拡散層17とセパレータ21とを重ね合わせる。
C.発電時の動作:
燃料電池が発電する際には、アノード14では以下の(1)式に示す反応が進行すると共に、カソード15では以下の(2)式に示す反応が進行し、燃料電池全体では以下の(3)式に示す反応が進行する。
2 → 2H+ + 2e- …(1)
(1/2)O2 + 2H+ + 2e- → H2O …(2)
2 + (1/2)O2 → H2O …(3)
図8は、燃料電池の発電時におけるカソード15の近傍の様子を拡大して示す説明図である。燃料電池の発電時には、(2)式に示したようにカソード15において水が生じるが、生じた水は、ガス拡散層17の表面に形成された撥水層30によって電解質層13側に押し戻される。撥水層30の表面で水が押し戻される様子を、図8に黒い矢印で示す。このように生成水が撥水層30によって押し戻されることで、電解質層13では充分な湿潤状態を保ち、良好なプロトン伝導性が維持される。
また、カソード15に生じた生成水は、ガス拡散層17の表面に形成された親水層32によって、ガス拡散層17内部へと導かれ、単セル内酸化ガス流路23内へと排出される。すなわち、親水基を有する親水層32の表面は水と馴染み易い性質を有しているため、生成水は速やかにガス拡散層17内部へと取り込まれ、酸化ガス中に気化し、単セル内酸化ガス流路23内を通過する酸化ガスによって外部に排出される。カソード15で生じた生成水が単セル内酸化ガス流路23へと導かれる様子を、図8に白い矢印で示す。
なお、アノード14と接するガス拡散層16の表面には、全面に撥水層34が形成されているが、この撥水層34は、電解質層13側に水を押し戻す機能を有し、電解質層13の湿潤状態の維持に寄与する。
D.効果:
以上のように構成された本実施例の燃料電池によれば、電極周辺における排水性と電解質層13への水の供給とを両立するために親水層32および撥水層30を設けたガス拡散層17を作製する際に、電気化学的酸化によって、撥水層118を形成したカーボン多孔質体117表面の炭素を酸化して親水層32を形成しているため、親水層を設けてもガス拡散層17表面に段差が生じることがない。したがって、親水層を設けることに起因して、ガス拡散層17とカソード15との間で部分的に接触抵抗の大きな領域が生じることがなく、電池性能が低下することがない。さらに、ガス拡散層17表面に電気化学的酸化により親水基を導入しているため、親水層32のガス拡散層17への固着強度が不十分となることがなく、親水層を設けたことに起因して燃料電池の耐久性が低下することがない。特に、本実施例では、一旦撥水処理を施したガス拡散層17表面に親水層32を形成しているが、このように性質の大きく異なる層を隣接して設ける場合にも、電気化学的酸化を利用して親水層を形成する場合には、親水性物質を塗布して親水層を形成する場合とは異なり、親水層32を設けた領域に段差が生じたり親水層32の固着強度が不十分となることがない。
また、本実施例の燃料電池によれば、燃料電池様の構造を有する構造体40を用いて、電気化学的酸化により親水層32を形成しているため、ガス拡散層17表面に導入する親水基の量を、より精度良く調節できるという効果が得られる。ここで、電気化学的酸化により親水基を導入する場合には、導入する親水基量は、電気化学的酸化処理時においてガス拡散層17に流れた電流値を時間で積分した値として制御することができる。したがって、親水性物質を塗布して親水層を形成する場合に比べて、精度良く導入親水基量、すなわち親水化の程度を調節することができる。ガス拡散層17の表面へ導入された親水基は、電極周辺からの速やかな排水に寄与するが、ガス拡散層における親水性が高すぎると、ガス拡散層の保水性が高まりすぎて、例えば通常の発電時などに生成水を内部に過度に蓄えてしまう可能性がある。このように、ガス拡散層に親水基を導入する際には、高い電池性能を得るために、充分な排水性を実現すると共に過度に保水しすぎない程度にガス拡散層を親水化することが重要である。本実施例では、電気化学的酸化により親水基を導入することにより、親水化の程度を、所望のレベルに調節することが容易となる。
さらに、本実施例の燃料電池によれば、ガス拡散層17において、単セル内酸化ガス流路を形成するセパレータ凹部に対応する領域には親水層32を設け、他の領域には撥水層30を設けているため、カソード15近傍における排水性の向上と、電解質層13における水分不足の防止とを、効果的に両立することができる。すなわち、既述したように、親水層32によって生成水を単セル内酸化ガス流路23側へと導く効果と、撥水層30によって生成水を電解質層13側へと押し戻す効果との両方を得ることができる。カソード15において生成水の排水性が向上することにより、カソード15の表面に生成水が滞留して触媒に対する酸化ガスの供給が滞ることがなく、電気化学反応を滞りなく進行させることが可能になる。また、生成水を電解質層13側へと押し戻して電解質層13の湿潤状態を維持することにより、発電継続時に、燃料電池の性能を良好に維持することができる。
特に、ガス拡散層17表面において、セパレータ21の凹部に対応する領域は、単セル内酸化ガス流路23への距離が最も短い領域ということができ、このような領域に親水層32を設けたことで、より効率良く生成水を単セル内酸化ガス流路23へと排出することが可能となる。また、ガス拡散層17表面において、セパレータ21の凸部に対応する領域は、ガス拡散層17がより強くカソード15側へと押さえつけられ、ガス拡散層17とカソード15との接触面積がより大きくなる領域ということができる。したがって、このような領域に撥水層30を設けることで、より効率良く生成水を電解質層13側へと押し戻すことができる。
なお、カソード15近傍における排水性向上の効果は、発電量の増大によって水の生成量が増大した時の他、低温時や、燃料電池の停止後に燃料電池温度が低下した後に再起動する際に、特に顕著に得ることができる。例えば、燃料電池における発電量が急激に増加した場合には、撥水層30が生成水を電解質層13側へ押し戻しても、なお、過剰な生成水がカソード15近傍に留まる場合が考えられる。このような場合には、カソード15へのガス供給が不十分となる可能性があるが、本実施例では、親水層32の働きによって生成水が速やかにカソード15近傍から取り除かれるため、発電量が急増しても、発電を良好に継続することができる。
さらに、燃料電池の発電中であっても、燃料電池の周囲の温度が低下したときには、酸化ガスにおける飽和水蒸気圧が低下して酸化ガス中で水が凝縮し、凝縮水がカソード15近傍に滞留する可能性がある。温度低下の程度が大きいときには、このように滞留した凝縮水が、電極の近傍で凍結する可能性もある。これに対し、本実施例の燃料電池では、温度低下により凝縮水が生じても、親水層32によって速やかに凝縮水をカソード15近傍から取り除くことができる。したがって、発電時に周囲の温度が低い場合であっても、カソード15の表面に水が滞留して触媒への酸素の供給が滞ることに起因する電池性能の低下を防止することができる。
また、燃料電池の運転を停止する際にカソード15表面に水が滞留している場合には、運転停止後に周囲の温度が低下して燃料電池の内部温度も氷点下になると、カソード15の表面が氷に覆われる可能性がある。このような状態になると、次回に燃料電池を起動しようとしても、氷に覆われた触媒には酸化ガスを供給することができず、発電を開始することができなくなってしまう。本実施例の燃料電池では、生成水や凝縮水などの水は、親水層32の働きでカソード15近傍から速やかに除去されるため、燃料電池の運転を停止したときに、カソード15近傍に水が滞留したままとならない。したがって、燃料電池の停止中に気温が低下した場合であっても、燃料電池の再起動時に、カソード15が氷で覆われることに起因する発電開始時の不都合を防止することができる。
なお、親水層32と撥水層30との位置関係による上記した効果は、電気化学的酸化によって親水基を導入する以外の方法によりガス拡散層を作製する場合にも同様に得られる効果である。例えば、親水基を含有する導電性ペーストおよび撥水基を含有する導電性ペーストを、導電性多孔質体上に塗布して、実施例のガス拡散層17と同様の位置に親水層および撥水層を設けてガス拡散層を形成しても、親水層と撥水層の位置関係による上記した効果を同様に得ることができる。
図9は、低温条件下において、本実施例の燃料電池の性能を調べた結果を示す説明図である。実施例の燃料電池は、図1に示したように、親水層32および撥水層30を表面に形成したガス拡散層17をカソード側に備えている。また、比較例の実施例は、親水層32を形成することなく撥水層のみを有するガス拡散層を、カソード側に備えている。これら実施例および比較例の燃料電池を用いて、所定の低温条件で発電を行なわせ、電池性能を比較した。なお、性能を調べる際には、上記実施例および比較例いずれの燃料電池も、単セルの状態で用いた。
低温条件下で電池性能を比較する際の条件は以下の通りである。すなわち、アノード側には300cc/minの流量で水素を供給し、カソード側には300cc/minの流量で空気を供給した。このとき、セル温度は−10℃に維持し、常圧にて、電流密度が50mA/cm2に維持されるように燃料電池に負荷を接続して電流掃引した。図9では、横軸は発電開始からの経過時間を示し、縦軸は、燃料電池の出力電圧を示す。
図9に示すように、−10℃という低温条件であっても、実施例の燃料電池は、発電開始時と同程度の出力電圧を、より長く、具体的には5分以上維持することができた。これに対して比較例の燃料電池では、発電開始から2分程度経過すると急激に出力電圧が低下した。ここで、比較例の燃料電池においてセル電圧が低下したのは、カソード側で生じた生成水が凍結してカソード表面を覆い、カソードへの酸素供給が滞るようになっためと考えられる。これに対して、実施例の燃料電池では、ガス拡散層17表面に親水層32を設けることによって、カソード15表面から効率良く生成水が除去され、凍結した生成水によるカソード15表面の被覆を抑えることができたため、より長く良好な出力電圧を維持することが可能となったと考えられる。
E.電気化学的酸化に関するその他の実施例:
表面に撥水層118を形成したカーボン多孔質体117上に親水層32を形成する際には、図4に示す以外の構成を採用することとしても良い。例えば、図4では、構造体40において、親水層32を形成すべき領域に接するように触媒層42を設けているが、このような触媒層42は設けないこととしても良い。触媒層42を備えない構造体140を用いて電気化学的酸化を行なう様子を図10に示す。図10に示す構造体140は、図4の構造体40と類似の構成を有するため、図4と共通する部分には同じ参照番号を付して説明を省略する。図10では、構造体140の電解質層113上には、図4と同様の絶縁層43が設けられているが、触媒層42は有していないため、カーボン多孔質体117表面における親水層32を形成すべき領域と、電解質層113とは、直接接している。ここでは、構造体140と、カーボン多孔質体117およびセパレータ121との間で、積層方向に加えられる押圧力により、カーボン多孔質体117と電解質層113との間の接触が確保されている。このような構造体140を用いても、既述した実施例と同様のガス拡散層17を作製することができる。このように、電気化学的酸化が進行するためには、触媒層42は必ずしも必要ではなく、カーボン多孔質体117の表面と電解質層113とが接していれば、電気化学的酸化に伴い生じたプロトンを電解質層113に受け渡し、親水層32を形成することができる。
また、電気化学的酸化を行なう構造体において、電解質層は全面に形成されている必要はなく、親水層32に対応する領域にのみ形成することとしても良い。このような形状の電解質層213を備える構造体240を用いて電気化学的酸化を行なう様子を図11に示す。図11に示す構造体240は、図10の構造体140と類似の構成を有するため、図10と共通する部分には同じ参照番号を付して説明を省略する。図11では、構造体240の触媒層114上には、カーボン多孔質体117表面における親水層32を形成すべき領域に対応する領域にのみ、電解質層113と同様の電解質層213が形成されている。また、触媒層114上には、電解質層213が形成される領域以外の領域に、絶縁層43と同様の絶縁層243が形成されている。すなわち、非プロトン伝導性および非電子伝導性を有する絶縁層243が形成されている。このような構造体240を用いても、既述した実施例と同様のガス拡散層17を作製することができる。
ここで、電気化学的酸化に用いる構造体において、カーボン多孔質体において撥水層30として残すべき領域に対応する領域には、必ずしも絶縁層を設けなくても良い。図4および図10の構造体のように、カーボン多孔質体117と接する全面に電解質層113を設ける場合には、カーボン多孔質体117において親水層32を設けない領域において、カーボン多孔質体117と電解質層113との間で、プロトンの伝導が妨げられていればよい。また、図11のように、電解質層213を限定された領域にのみ設ける場合には、カーボン多孔質体117において親水層32を設けない領域において、カーボン多孔質体117と触媒層114との間で、プロトンおよび電子の伝導が妨げられていればよい。
既述した実施例では、電気化学的酸化を行なう際に、セパレータ120とガス拡散層116との間の流路122に水素を供給しているが、他種のガスを用いることも可能である。水素を用いる場合には、電気化学的酸化を行なう際の電圧制御がより容易になって望ましいが、例えば、水素の代わりに酸素や不活性ガスを用いても、電気化学的酸化の処理を同様に行なうことができる。既述したように、カーボン多孔質体117において電気化学的酸化を進行させるためには、触媒層114側における電極電位に対する電位差が、熱力学的に定まる所定の値を超える電位差となるように、カーボン多孔質体117側に電圧を印加すればよい。したがって、水素以外のガスを流路122に流す場合には、用いるガスによって定まる触媒層114側の電極電位に基づいて必要な電位差を熱力学的に求め、充分な電位差が実現されるように、外部電源44によって電圧印加を行なえばよい。
また、セパレータ121とカーボン多孔質体117との間の流路123に供給するガスは、窒素以外のガスを用いても良い。例えば、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)など、他種の不活性ガスを用いることができる。
さらに、電気化学的酸化を行なうための構造体40は、単セル10におけるMEA12よりもアノード側の構造と類似する構造を有することとしたが、異なる構成としても良い。例えば、構造体40が備える電解質層113を、固体高分子以外の電解質によって形成しても良い。プロトン伝導性を有する電解質を用いるならば、固体酸化物など他種の電解質を用いても、同様に電気化学的酸化を行なうことができる。なお、固体高分子膜は、固体酸化物などに比べて柔らかいため、構造体40のように電解質層113を固体高分子膜によって形成する場合には、カーボン多孔質体117と構造体との間の接触面積をより大きく確保することができる。このように、カーボン多孔質体117と構造体との間の接触面積を大きくするならば、カーボン多孔質体において表面からより深い領域にまで親水基を導入することが可能となるため、固体高分子膜は、構造体の電解質層113を構成する電解質として特に望ましい。
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
F1.変形例1:
実施例のガス拡散層17では、セパレータ21の溝部、すなわち単セル内酸化ガス流路23に対応する領域に親水層32を設けることとしたが、これに限るものではない。既述したように、溝部に対応する領域に親水層32を設けると、生成水を排水する際の生成水の移動距離が短くて済み、排水効率が高まり好ましい。しかしながら、ガス拡散層表面における他の領域に部分的に親水層を設ける場合であっても、親水層によって生成水をガス拡散層内に導いて、電極表面での水の滞留を抑える効果と、撥水層によって生成水を電解質層13側へと押し戻す効果とを、同様に得ることができる。
F2.変形例2:
実施例では、ガス拡散層17は、その表面に、親水層32および撥水層30を備えることとしたが、撥水層を設けない構成も可能である。すなわち、図2に示したガス拡散層17の製造工程において、ステップS110の撥水処理の工程を行なうことなく、ステップS120の電気化学的酸化の処理のみを行なうこととしても良い。このような場合にも、親水層を設けることで電極近傍の排水性を向上させる効果を得ることができる。また、親水層を形成するために電気化学的酸化を利用することで、電気化学的酸化の処理の条件を調節して親水化の程度を精度良く調節し、所望の親水性を有するガス拡散層を作製する効果が得られる。
ここで、電気化学的酸化の処理を用いて作製したガス拡散層17は、実施例に示した固体高分子型燃料電池以外の種類の燃料電池、例えば、セラミックス層を電解質層として備える固体電解質型燃料電池に適用することも可能である。他種の燃料電池に適用する場合にも、生成水が生じる電極側に設けるガス拡散層として、ガス拡散層17と同様のガス拡散層を用いれば、電極からの排水性を高め、特に低温時における電池性能を向上させることができる。このように固体高分子膜以外の電解質層を備える燃料電池では、電解質層のプロトン伝導性を維持する目的で電解質層の湿潤状態を維持する必要がないため、生成水を電解質層側へ押し戻す撥水層を設ける効果は小さい。したがって、他種の燃料電池に本発明を適用する場合には、特に撥水層を設けない場合にも、電池性能を向上させる効果を充分に得ることができる。
F3.変形例3:
また、実施例では、ガス拡散層とセパレータ表面の凹部との間に形成される空間を単セル内ガス流路としているが、異なる構成の燃料電池に本発明を適用することも可能である。例えば、平坦な板状のガス拡散層の外側に、同じく凹凸を有しない平坦な板状のセパレータを配設し、多孔質体であるガス拡散層の内部空間全体を、単セル内ガス流路とする構成としても良い。この場合にも、触媒層と接するガス拡散層表面を部分的に親水化すればよく、他の領域は予め撥水処理しておけばよい。また、固体高分子型以外の燃料電池であれば、親水層をより広く形成しても良く、さらに、他の領域は積極的な撥水処理を行なわないこととしても良く、あるいは、触媒層と接するガス拡散層表面の全面に親水層を設けても良い。
F4.変形例4:
実施例では、電気化学的酸化により親水層を形成するガス拡散層を、カーボン多孔質体により形成したが、カーボン以外の導電性材料によってガス拡散層を形成しても良く、例えば、金属多孔質体を用いても良い。この場合には、ガス拡散層と成す多孔質体の表面において、少なくとも電気化学的酸化による親水化処理を施す領域に、カーボンを担持させておけば、同様に炭素の電気化学的酸化による親水処理を施すことができる。カーボンの担持は、例えば、カーボン粒子を含有するペーストを、上記金属多孔質体の表面に塗布することにより行なうことができる。金属多孔質体の表面に予め撥水層を形成する場合には、カーボン粒子と共にフッ素系樹脂などの撥水性物質を含有するペーストを、金属多孔質体表面に塗布し、カーボン粒子および撥水性物質を金属多孔質体上に付着させればよい。
F5.変形例5:
実施例では、親水層32を形成したガス拡散層17を、カソード側に配設したが、同様のガス拡散層を、アノード側、すなわち生成水が生じない側に配設することとしても良い。アノード側に供給する燃料ガスがある程度の水蒸気を含有している場合には、低温時にはこのような燃料ガス中の水が凝縮してアノード表面を覆う可能性があるが、ガス拡散層に親水層を設けることで、凝縮水を速やかに排出し、電池性能の低下を防止することができる。特に、実施例のような固体高分子型燃料電池では、電解質層の湿潤状態を維持するために燃料ガスを積極的に加湿する場合があり、また、電解質層を介したカソード側からアノード側への水分の移動もあるため、アノード側ガス拡散層の表面に親水層を設けて排水性を向上させることによる効果が得られる。
実施例の燃料電池の構成の概略を現わす断面模式図である。 ガス拡散層17の製造方法を表わす工程図である。 電気化学的酸化による親水処理に関わる部材を表わす説明図である。 カーボン多孔質体117の表面を酸化させる様子を表わす説明図である カーボン多孔質体117表面で進行する酸化反応の一例を表わす説明図である。 ガス拡散層の性質をサイクリックボルタンメトリーによって調べた結果を表わすサイクリックボルタモグラムである。 キノン基の酸化還元反応を示す説明図である。 発電時におけるカソード15の近傍の様子を表わす説明図である。 低温条件下において、本実施例の燃料電池の性能を調べた結果を示す説明図である。 構造体140を用いて電気化学的酸化を行なう様子を表わす説明図である。 構造体240を用いて電気化学的酸化を行なう様子を表わす説明図である。
符号の説明
10…単セル
12…MEA
13…電解質層
14…アノード
15…カソード
16,17…ガス拡散層
19…親水層
20,21…セパレータ
22…単セル内燃料ガス流路
23…単セル内酸化ガス流路
30…撥水層
32…親水層
34…撥水層
40,140,240…構造体
42…触媒層
43,243…絶縁層
44…外部電源
113,213…電解質層
114…触媒層
116…ガス拡散層
117…カーボン多孔質体
118…撥水層
120…セパレータ
121…セパレータ
122…流路
123…流路

Claims (12)

  1. 燃料電池用電解質層上に形成された燃料電池用電極に隣接して設けられる燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    (a)前記燃料電池用ガス拡散層の基材となる、一方の表面に炭素分子を備える導電性多孔質体を用意する工程と、
    (b)プロトン伝導性を有する酸化用電解質層を用意し、
    該酸化用電解質層の一方の表面に、プロトンと電子とから水素を生じる反応を促進する触媒を含む酸化用電極層を形成し、
    前記酸化用電解質層の他方の表面に前記炭素分子が接するように、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体とを積層し、
    前記導電性多孔質体を所定の外部電源の正極に接続すると共に、前記酸化用電極層を前記外部電源の負極に接続する工程と、
    (c)前記導電性多孔質体に対して水蒸気を供給し、かつ、前記外部電源により、前記酸化用電極層と前記導電性多孔質体との間に電圧を印可する工程と、
    を備え、
    前記(c)工程においては、前記炭素分子が前記水蒸気により酸化されることで親水基が生じ、前記酸化に伴って生じるプロトンおよび電子が、それぞれ前記酸化用電解質層あるいは前記外部電源を経由して前記酸化用電極層に移動し、前記触媒によって水素を生じる電気化学的酸化反応が進行する電圧が印可される
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  2. 請求項1記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記(c)工程は、
    (c−1)前記導電性多孔質体に対して前記水蒸気を含有する不活性ガスを供給しつつ、前記酸化用電極層に対して、前記酸化用電極層の電位を所定の値に設定するための所定のガスを供給する工程と、
    (c−2)前記所定のガスを供給したときの前記酸化用電極層における電極電位と、前記水蒸気を含有する不活性ガスを供給したときの前記導電性多孔質体における電位との差が、前記電気化学的酸化反応が進行可能となる値となるように、前記酸化用電極層と前記導電性多孔質体との間に電圧を印加する工程と
    を備える燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  3. 請求項2記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記酸化用電極層に供給する所定のガスは水素である
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記(b)工程は、前記導電性多孔質体の前記一方の表面における所定の領域に親水基を導入するために、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体とを積層する際に、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体との間において、前記所定の領域以外の領域に、プロトン伝導性を有しない材料から成る非プロトン伝導性層を設ける工程を備える
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  5. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記(b)工程は、前記導電性多孔質体の前記一方の表面における所定の領域に親水基を導入するために、前記酸化用電解質層と前記導電性多孔質体との積層の動作として、前記所定の領域に前記酸化用電解質層が形成されると共に、前記所定の領域以外の領域にはプロトン伝導性を有しない材料から成る非プロトン伝導性層が形成された層と、前記導電性多孔質体と、の積層を行なう
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  6. 請求項4または5記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記非プロトン伝導性層は、さらに、非電子伝導性を示す
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  7. 請求項4ないし6いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記(a)工程は、前記導電性多孔質体における前記一方の表面を、予め撥水処理する工程を含む
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    該燃料電池用ガス拡散層は、電気化学反応に伴って生成水が生じる電極側において、前記ガス拡散層における前記親水基を導入した表面を前記電極に接するように配設して用いるためのガス拡散層である
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記酸化用電解質層は、前記燃料電池用電解質層と共通する構造を有し、前記酸化用電極は、前記燃料電池用電極と共通する構造を有している
    燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  10. 燃料電池の製造方法であって、
    (A)プロトン伝導性を有する燃料電池用電解質層の両面に、触媒を備える燃料電池用電極を形成する工程と、
    (B)前記燃料電池用電極を形成した前記燃料電池用電解質層を挟持するように、電気化学反応に供するガスが流通するガス拡散層として、導電性多孔質体を配設する工程と
    を備え、
    前記(B)工程は、請求項1ないし9いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によってガス拡散層を製造する工程と、該製造したガス拡散層を前記酸化用電解質層から分離する工程と、該分離したガス拡散層を、前記燃料電池用電解質層を挟持する前記導電性多孔質体の少なくとも一方として、前記親水基が導入された表面が前記燃料電池用電極に接するように配設する工程と、を備える
    燃料電池の製造方法。
  11. 燃料電池の製造方法であって、
    (A)プロトン伝導性を有する燃料電池用電解質層の両面に、触媒を備える燃料電池用電極を形成する工程と、
    (B)前記燃料電池用電極を形成した前記燃料電池用電解質層を挟持するように、電気化学反応に供するガスが流通するガス拡散層として、導電性多孔質体を配設する工程と、
    (C)前記導電性多孔質体のさらに外側に、表面に所定の凹凸形状を有して、該凹凸形状の凸部の端部において前記導電性多孔質体と当接すると共に、前記凸部間に形成される凹部によって前記導電性多孔質体との間に前記ガスの流路を形成するガスセパレータを配設する工程と
    を備え、
    前記(B)工程は、請求項4ないし7いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によってガス拡散層を製造する工程と、該製造したガス拡散層を前記酸化用電解質層から分離する工程と、該分離したガス拡散層を、前記燃料電池用電解質層を挟持する前記導電性多孔質体の少なくとも一方として、前記親水基が導入された表面が前記電極に接するように配設する工程と、を備え、
    前記(C)工程は、前記燃料電池用ガス拡散層において親水基を導入した前記所定の領域と、前記凹部とが対応するように、前記ガスセパレータを位置合わせしつつ配設する工程である
    燃料電池の製造方法。
  12. 請求項11記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記(B)工程は、少なくとも、電気化学反応に伴って生成水が生じる電極側において、請求項4ないし7いずれか記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によって製造した前記燃料電池用ガス拡散層を用いる
    燃料電池の製造方法。
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