JP4787821B2 - 頸椎用プロテーゼ - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

近接する椎体の端面に接続された２つのカバープレートを有し、さらにこれらカバープレートの間にスライディングコア部を備える頸椎用プロテーゼが知られており、当該スライディングコアは、置換される椎間板の関節式動作を真似た相対的な動きをカバープレートに与えることができる。椎体間の意図されたポジションにカバープレートを固定するために、既知のプロテーゼにおけるカバープレートは、固定プレートに接続され、該固定プレートは、カバープレートの腹側端部からその垂直方向に延び、そして関連する椎体の腹側表面に螺着される。固定プレートが載置される予定の、椎体の腹側表面は、通常カバープレートの主面が載置されることになる椎体の端面に対して正確に垂直方向に延びる。これにより、固定プレートが椎体上の全表面に亘って載置されることを妨害し、カバープレートの安定性を低下させる。

この欠点は、請求項１に記載された発明の特徴部により改善される。この発明によれば、固定プレートは、カバープレートに強固に接続されていない分離された部材である。その結果、カバープレートの位置と独立して、固定プレートは椎体の腹側表面のポジション及び形状に従った姿勢をとる。これは、２つの部材の非固定的接続、例えば柔軟な接続若しくは関節的接続が与えられた場合保証される。そのような接続は、固定プレートによりカバープレートが不慮により腹側及び背側の両方に移動しないように設計することができる。

しかしながら、多くの場合、固定プレートが完全にカバープレートに接続されていないことが好ましい。なぜならば、この場合、医者は２つの部材のそれぞれの位置決めにおいてより大きな自由度を有することとなるからである。それぞれのケースにおいて、椎体に固定プレートを適切に締め付け固定することが可能である。歯止め部材（limit stop part）を備える当該固定プレートは椎間腔の前面において突出し、それにより関連するカバープレートが腹側方向に移動できないことが保証される。

それゆえ、固定プレートの固定機能は、当該固定プレートがカバープレートから完全に分離されている場合でも低下しない。しかしながら、この場合当該固定プレートはカバープレートが背側方向にシフトしないよう防止することはできない。部材が完全に分離した形態の本発明では、この背側方向の移動を抑制する適切な手段を備えるカバープレートを設けることが好ましい。背側方向に向いた歯止め表面が設けられたカバープレート（ＷＯ−Ａ−０３０７５８０４）が特に適切である。

本発明の重要な利点は、カバープレートを、固定プレートを用いて若しくはこれを用いずに使用することができるということである。このためには、これまでは様々なカバープレート、つまり、固定プレートを有するものと有しないものとを在庫として保管しておく必要があった。

本発明の別の利点は、通常の首の移動の結果として起こりうるカバープレートの微小移動が固定プレートに伝わらず、そのため締め付け手段をゆるめる可能性がないことである。この場合でも、不慮のルーズニングに対抗して固定プレートを固定する工夫を締め付け用スクリューに与えることが好ましい。

１つのプロテーゼに関連して、２つの固定プレートを使用してプロテーゼのどちらか一方のカバープレートを固定することができる。２つの固定プレートは、互いに反対方向に配置され、近接する椎体に対して締め付け固定されている。しかしながら、一般的に、一方のカバープレートのみに固定プレートが固定されているだけで十分である。これは、椎間腔から腹側方向にプロテーゼの全部のパーツが逃げるのを効果的に防止することができるからである。

固定プレートは、カバープレートとの関係で、予め決定されたポジションを有するべきであることは分かるであろう。実際、固定機能を完遂することができるように、固定プレートは椎体の殆どの部分に亘って、かつ椎間腔の前面に亘って延びているべきである。一方、関節的な動きの間に互いに対する椎体若しくはプロテーゼの部材の相対的な動きを邪魔しないように、当該固定プレートはあまり遠くまで突出しているべきではない。固定プレートを位置決めするためには、固定プレートの締め付け用スクリューのためのドリルゲージとして設計された工具を使用することが好ましい。挿入されたプロテーゼに対する予め決定されたポジションをドリルゲージに与えるような手段をこのドリルゲージに設けてもよい。別の実施の形態では、プロテーゼの挿入前に、プロテーゼは、椎間腔にフィットされるプロテーゼ雛形と相互作用するか、若しくはこれと強固に接続されていてもよい。

本発明の特別の特徴によれば、固定プレートは、生分解可能であってもよい。このために、プロテーゼの近接するカバープレートが、隣接する骨組織に確実に接続されるまで、それがそのままそこに残り、少なくとも一定の期間その固定機能を果たすことができるように材料を選択しその大きさを決定する。力を加えた状態でも、もはや相対的に変位することができなくなるほど緊密にカバープレートの表面に骨組織が接続された場合においては固定プレートは必要でない。このようになるのに必要な時間は、数ヶ月のオーダー、例えば２ヶ月〜６ヶ月のオーダーである。

以下、例示の好ましい実施の形態を示した図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。

頸椎の脊椎１及び２の間に椎間腔が存在し、当該椎間腔に椎間プロテーゼが挿入される。この椎間プロテーゼは、上部カバープレート３、下部カバープレート４、及びプロテーゼコア部５とからなる。当該プロテーゼコア部５は、プロファイル６及び留め部材（catch）７により下部カバープレート４に保持されている。また、プロテーゼコア部５は、上部カバープレート３と共にスライド表面対８を形成している。カバープレート３及び４は鋸歯状構造体９を有し、この鋸歯状構造体９により、これらのカバープレート３及び４は椎体１及び２の関連する端面に保持される。背面方向に向いた歯止め表面１１を備える短いフランジ１０により、カバープレート３及び４は、椎体１及び２に対して背面方向に、望ましい距離以上遠くへは移動することができない。腹面方向への望ましくない移動は、プロファイル９の鋸歯状構造体により抑制することができる。骨組織がカバープレートの表面に成長し、そしてこれらのカバープレートに強固に接続される、術後少なくとも数ヶ月については上述のことを適用する。この構成の詳細が、公報ＷＯ０３／０７５８０４Ａ１に記載されている。

特別の生理学的事情のため、プロテーゼが腹側へ変位する危険を考慮しなければならない。この危険性は、カバープレートと骨組織との間の上記接続が固定されるまでの一定の期間において生じる。この場合、目的のカバープレートは固定プレート１２と組み合わされている。当該固定プレート１２は、図１の具体例においては、スクリュー１３により尾側の椎体２の腹側表面に取り付けられている。歯止め部材１４として設定された固定プレート１２の一部が椎体２を超えて延び、対応するプロテーゼカバープレート４の部材の前面にくる。プロテーゼカバープレート４が腹面方向に椎間腔から移動する可能性を有する場合、プロテーゼカバープレート４は、固定プレート１２の歯止め部材１４に衝突しそれによりこの方向にさらに移動することが防止される。

固定プレート１２が尾側椎体２に示されている。しかしながら、固定プレートは、上記に追加して又は上記に代えて、頭側椎体１に取り付けられていてもよい。

固定プレートが取り付けられる方法は、本発明に関しては重要でない。最も自明の方法は、固定プレートをルーズニングに対抗して固定するための手段（不図示）を備えるボーンスクリューを使用することである。これらは、椎体に、プロテーゼの主面に実質的に平行に螺入してもよい。しかし、図示したように、これらのボーンスクリューは背側方向にプロテーゼに対して傾斜していることが特に好ましい。

固定プレート１２は、それ程正確に位置決めする必要はない。固定プレート１２は、プロテーゼの幅方向の大部分に亘って適切な位置に配置され、望ましくない腹側方向への移動中においてプロテーゼが取りうる道筋（path）に延在しているだけで十分である。このため、椎体２の端部１５から１若しくは２ｍｍ延びているだけで十分であり、椎体１、２及びプロテーゼの部材の相対的な屈曲運動を邪魔しないように、端部１５から約２．５〜３ｍｍ以上延びているべきではない。

位置決めを容易にするため、固定プレート１２に端部１５を設けてもよい。端部１５は、同じ参照番号で示された、椎体２の端部に対応し、椎体の前面に締め付けられるべき部分から固定プレートの歯止め部材１４を分離している。歯止め部材１４が、約２ｍｍという所望の高さを有する場合、外科医は、固定プレートの端部１５と椎体とが互いの上に配置されるように、椎体２に固定プレートを配置することにより進行させる。そのとき、彼は、ドリルゲージとして、固定プレートのスクリューホール１６を使用することにより、締め付け用スクリュー１３を受けるための穴を掘削する。

図３に示すような工具を使用することにより、さらに強固な位置決めを達成することができる。ドリルを案内するための骨ホール２１を備えるドリルゲージ２０が、２つのアーム２２、２３を具備する鉗子工具に配置され、２つのアーム２２、２３は、不図示の手段により、矢印１８の方向に互いに向かって移動することができ、おおまかなポジションに固定することができる。互いに対向するフランクにおいて、アーム２２、２３は、突出部２４、２５を備え、突出部２４、２５は、プロテーゼの対応する凹部２６、２７に適合する形状を有している。図示した具体例においては、これらの突出部は、孔２６に対応するピン２４、及び、スリット２７に対応するブレード２５である。図１に示すように、プロテーゼ３、４、５が椎間腔に挿入された後、上記工具が、構成部材２４〜２７の補助を受けて、プロテーゼに取り付けられ、そしてそこで調整される。現在、ドリルゲージ２０の孔２１は、固定プレートの締め付け用スクリュー１３のための孔が設けられることが意図されたポジションにおける軸と同じ軸上に配置されている。

図３に示す工具は、特にプロテーゼから尾側方向に固定プレートを配置する際に適切である。これは、構成要素２４〜２７の配置のためである。頭部方向に締め付けられる固定プレートを下処理するため、図３に示すように、それを対応するドリルゲージと共にその上面に設けてもよい。

腹側方向から見ると、図１に示した固定プレートは、頭尾方向より、横方向においてより大きい大きさを有するような小さな矩形若しくは楕円としてもよい。特に好ましい実施の形態において、中央部にスクリューホールを有するような、衣服のボタン等の円形状円板として設計してもよい。この実施の形態の利点は、作業の間、固定プレートの方向付けに対してだけでなく、締め付け用スクリューの正確な位置決めに対して注意を払う必要がないということである。円形状円板の形状は、矩形のプレートより外周の器官を傷つける可能性が低いということである。このことは、端部、特に腹側端部が湾曲している場合特に当てはまる。

固定プレートは、金属から形成されてもよいし、十分抵抗力のあるプラスティックから形成されていてもよい。それと相互作用するカバープレートが、金属からなる場合、プラスティック若しくはプラスティック含有物を選択することが好ましい。これらは、歯止め部材１４の背側方向に向けられた表面を形成している。

固定プレートの固定機能が一時的に、例えばプロテーゼのカバープレートが隣接する骨組織に十分に接合されるまで必要な場合、固定プレート、及び例えばスクリュー１３等の締め付け手段は、生分解可能な物質から構成されていてもよい。そのような材料は既に知られており、そのため、ここでは説明する必要がない。当該生分解可能な物質は、身体により浸食され破壊される。このようなことが完了するに必要な時間は材料の選択により影響を受けうる。固定プレート及びその締め付け手段が、必要な間、例えば術後４ヶ月の間十分な固定力を作用させるように選択される。

図１は、挿入状態のプロテーゼの矢状断面を示している。 図２は、固定プレートがないプロテーゼの側面図を示している。 図３は、固定プレートの締め付けスクリューのためのドリルゲージを示している。

Claims (4)

1. ２つの近接する椎体（１、２）の一方に接続される少なくとも１つのカバープレート（３、４）と、
   背側方向に向けられた歯止め用表面（１１）を有し上記カバープレート（３、４）を上記椎体（１、２）に固定させるフランジ（１０）と、を有し、
   上記カバープレート（３、４）に固定されない分離した部材であり、かつ、上記椎体（１、２）に固定され上記カバープレート（３、４）の移動を制限する固定プレート（１２）をさらに有する椎間関節プロテーゼ。
2. 上記固定プレート（１２）が、上記カバープレート（３、４）に接続されていない部材である請求項１記載の椎間関節プロテーゼ。
3. 上記固定プレートが、生体分解可能である請求項１又は２に記載の椎間関節プロテーゼ。
4. 上記固定プレートが円形状の円板である請求項１又は２に記載の椎間関節プロテーゼ。

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