JP4784817B2 - ブラックインク組成物、これを用いた記録方法及び記録物 - Google Patents

ブラックインク組成物、これを用いた記録方法及び記録物 Download PDF

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Description

本発明は、ブラックインク組成物、これを用いた記録方法及び記録物に関し、更に詳細には、光学濃度値(Optical Density値:以下、「OD値」と称する)、定着性等の印字品質が優れたブラックインク組成物、これを用いた記録方法及び記録物に関する。
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。インクとしては、一般に各種の水溶性染料を水または水と水溶性有機溶剤とに溶解させたものが使用されている。このような水溶性染料を含むインクにより形成された画像は耐水性や耐光性に劣ることが一般に指摘されている。
これに対して、顔料を水性媒体に分散させて得られたインクは、耐水性及び耐光性に優れる。例えば、顔料を界面活性剤や高分子分散剤で分散した水性顔料インクが提案されている。しかしながらこれらのインクでは、記録物のOD値を上げる為に着色剤のインク含有量を増やすと、それに伴いインク粘度も急激に増加してしまう場合があった。また、インク中に安定に顔料を分散させるためには過剰の界面活性剤または高分子分散剤が必要であり、気泡発生や消泡性低下を原因とする印字安定性の悪化を引き起こす場合があった。
一般的に、顔料の沈降特性とOD値とはトレードオフの関係にある。これらの特性を両立させるため、原料となるカーボンブラックと樹脂との関係を規定したカーボンブラック分散液が提供されている。例えば、水性媒体中に、少なくとも着色剤とエマルジョン樹脂とが分散しているインクジェット用インクにおいて、該エマルジョン樹脂の平均粒子径を、該着色剤の平均粒子径の1/2以下とすることにより、耐光性、耐水性、定着性、吐出安定性及び保存安定性に優れたインクジェット用インクが得られる旨が開示されている(特許文献1)。また、少なくとも水と、顔料と、樹脂粒子の一種又は二種以上とを含むインクにおいて、該樹脂粒子の大きさを、該顔料の粒子の大きさに対し1〜1.5倍とすることにより、普通紙において高い印字品質と高いOD値を付与し、インクジェット用光沢メディアにおいて光沢性を有しかつ定着性が良好なインク組成物が得られる旨が開示されている(特許文献2)。
特開2003−12975号公報 特開2004−238445号公報
従来のインク組成物は、印刷された際の耐擦化性に未だ改善の余地があるという課題を有している。また、用いる顔料によっては、OD値が低く、所望の印字品質を満足できない場合がある。
しかしながら、高いOD値を確保できるような特定のパラメータを有する顔料を使用した場合には、顔料が沈降しやすくなり、安定した印字品質を確保できないという問題がある。
耐擦化性に関しては、印刷された記録物の耐擦化性を向上させる目的で、樹脂等の定着剤を用いる場合がある。特にインクの粘度を急激に上昇させることがなく取り扱いが容易である等の理由により、乳化重合方法により調整された不溶性ポリマーを主成分とする樹脂エマルジョンが多く利用されている。
しかしながら、OD値と耐擦化性が共に優れたインク組成物を得る目的で単に顔料分散液と樹脂エマルジョンとを併せて使用した場合、顔料の沈降率が高くなる場合があることが判明した。その原因は明らかでない部分もあるが、樹脂エマルジョン単独では沈降しないため、顔料との何らかの相互作用により顔料の沈降を促進させてしまうものと推定されている。
そこで、本発明は、顔料分散液と樹脂エマルジョンとを併せて使用しても、顔料の沈降を促進させることなく、OD値、定着性等の印字品質が優れたブラックインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、特定のパラメータを有するカーボンブラック及びその分散液を使用するブラックインク組成物において、顔料との粒径比率が特定範囲にある樹脂エマルジョンを組み合わせて使用することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、少なくとも水と、カーボンブラックと、樹脂エマルジョンとを含むブラックインク組成物であって、該カーボンブラックは、一次粒子径が10〜30nmであり、DBP吸油量が180〜250ml/100gであり、BET比表面積(m2/g)/DBP吸油量(ml/100g)の値が0.3〜2.5であり、分散液中の50%体積平均粒径が100〜250nmであり、該樹脂エマルジョンは、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であり、該樹脂エマルジョンの体積平均粒径/該カーボンブラックの50%体積平均粒径の値が、0.7以下であることを特徴とするブラックインク組成物を提供するものである。
このような構成により、高いOD値を有した記録物の十分な定着性を確保でき、且つ、インク中の顔料の沈降率、即ち、OD値の変化を抑制することができるため、安定した印字品質を確保できるインク組成物を得ることができる。
上記発明の好ましい態様は次の通りである。前記樹脂エマルジョンの含有量は、前記ブラックインク組成物の全量を基準(100重量%)としたときに、1〜10重量%であることが好ましい。
前記カーボンブラックの含有量は、前記ブラックインク組成物の全量を基準(100重量%)としたときに、2〜15重量%であることが好ましい。
また、上記ブラックインク組成物は、インクジェット記録方式に用いられることが好ましい。
また、本発明は、上記ブラックインク組成物を記録媒体に付着させて印字を行うことを特徴とする記録方法を提供するものである。
また、本発明は、上記ブラックインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法を提供するものである。
また、本発明は、上記記録方法によって記録が行われた記録物を提供するものである。
次に、本発明の好ましい実施形態について、更に詳細に説明する。本発明は、既述の通り、少なくとも水と、カーボンブラックと、樹脂エマルジョンとを含むブラックインク組成物であって、該カーボンブラックは、一次粒子径が10〜30nmであり、DBP吸油量が180〜250ml/100gであり、BET比表面積(m2/g)/DBP吸油量(ml/100g)の値が0.3〜2.5であり、分散液中の50%体積平均粒径が100〜250nmであり、該樹脂エマルジョンは、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であり、該樹脂エマルジョンの体積平均粒径/該カーボンブラックの50%体積平均粒径の値が、0.7以下である。
[カーボンブラック]
本実施形態におけるブラックインク組成物に用いられるカーボンブラックは、一次粒子径が10〜30nmであり、DBP吸油量が180〜250ml/100gであり、BET比表面積(m2/g)/DBP吸油量(ml/100g)の値が0.3〜2.5であるものが用いられる。これらパラメータを有するカーボンブラックを使用することにより、高いOD値を有した記録物を得ることができるブラックインク組成物を実現できる。以下、各パラメータについて説明する。
カーボンブラックは、その一次粒子径が10〜30nmであるものを使用する。カーボンブラックの一次粒子径としては、その製法上一般に10〜100nmの範囲で製造することができるが、30nm以下であればブラックインク組成物中での顔料粒子の沈降を抑制することができ、好適である。
本実施形態において、「一次粒子径」とは、単結晶又はそれに近い結晶子が集まって形成している粒子の大きさをいう。顔料の一次粒子径の測定は、電子顕微鏡法による。これは電子顕微鏡写真から顔料粒子の大きさを計測するもので、顔料を有機溶媒に分散し、支持膜に固定して透過型電子顕微鏡写真から画像処理し計測することにより、より信頼性がある値を求めることができる。具体的には、個々の一次粒子径の短軸径と長軸径を計測し、その面積と等しい円の直径を算術的に求めそれを一次粒子径とし、一定の視野から50個以上の顔料粒子をランダムに選択して平均値を求める。他の測定法でも同等の信頼性が得られれば差し支えないが、数値に実質的な差がある場合は上記の方法で求めた値を採用する。
また、カーボンブラックは、記録物のOD値を高めるという観点から、そのDBP吸油量が180〜250ml/100gであるものが使用され、180〜230ml/100gであることが好ましく、180〜210ml/100gであることがより好ましい。
カーボンブラックのDBP吸油量が180ml/100g未満である場合、水性分散液にしてインク組成物として用いた場合に記録物の十分なOD値が得られない可能性がある。また、カーボンブラックのDBP吸油量が高いほど、水性分散液にしてインク組成物として用いた場合に記録物のOD値が高くなるが、その一方、DBP吸油量が250ml/100gを超えると、得られるインク組成物の粘度が高くなり好ましくない。なお、DBP吸油量の測定はJIS K−6221による。
また、カーボンブラックは、記録物のOD値を高めるという観点から、BET比表面積(m2/g)/DBP吸油量(ml/100g)の値が0.3〜2.5であり、0.3〜1.75であることがより好ましい。
本実施形態において、「BET比表面積」は、GEMINI2360(マイクロメリティックス社製のBET比表面積測定装置)を使用して測定した値をいう。同等の測定値を求めることができる他の機種を用いても差し支えないが、測定値に差がある場合は上記の機種で求めた値を採用するものとする。測定方法は、あらかじめ、サンプルセルに顔料を入れて窒素ガスで置換しつつ、150℃で1.5時間乾燥させて水分を除去する。より詳細には、顔料の質量と測定時の気圧を測定し、この気圧の0.1、0.15、0.2、0.25、0.3倍の相対気圧5点での1gあたりの窒素吸着量を測定する。この5点の窒素吸収量からBET法にて計算し、比表面積を算出する。
なお、本実施形態において、カーボンブラックのBET比表面積という場合には、後述する表面処理型顔料、およびその原料とされる表面未改質の顔料のいずれの態様のカーボンブラックに基づくBET比表面積も包含されるものとする。また、表面処理型顔料のBET比表面積と、表面未改質の顔料のBET比表面積とは、実質的に同じであり、ほぼ同等の値を示すと推定される。
また、DBP吸油量(ml/100g)は、カーボンブラック100gにより吸収されるフタル酸ジブチル(DBP)量として表される値であり、JIS K6221に規定されている測定法に従って求めることができる。なお、前記測定法によれば、アブソープトメーターを使用し、カーボンブラックにDBPを添加した時の最大トルクの70%から求めた100g当たりのDBP吸収量が求められる。
[顔料分散液]
本実施形態における特に好ましい顔料分散液として、前述の特定のパラメータを有するカーボンブラックの表面に、多数の親水性官能基および/またはその塩(以降、分散性付与基という)を、直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させた、いわゆる表面処理型顔料を用いた顔料分散液を挙げることができる。
表面処理型顔料は、分散剤なしに水に分散及び/または溶解が可能であり、カーボンブラックが分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能な最小粒子径で安定に存在している。前記カーボンブラックの表面に結合される分散性付与基としては、カルボキシル基、ラクトン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基、燐酸基および第4級アンモニウム、およびそれらの塩等が例示できる。
前記表面処理型顔料分散液は、インク組成物として用いた場合、通常の顔料を分散させるために含有させる分散剤を含む必要が無いため、分散剤に起因する消泡性の低下や発泡がほとんど無く、取り扱いが容易であり、かつ印刷に用いる場合の印字安定性が優れるインクが調製しやすい。またカーボンブラック自身の黒色度が高いのみならず、分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるので、顔料をより多く含有することが可能となり、OD値をさらに高めることができる。
本実施形態において、カーボンブラックの分散液中の50%体積平均粒径は、高OD値及び沈降抑制の観点から、100〜250nmであり、100〜200nmであることが好ましく、120〜200nmであることがより好ましい。カーボンブラックの分散液中の50%体積平均粒径が100nm未満の場合、インク組成物として用いた際に記録物の所望のOD値を確保できない場合がある。一方、カーボンブラックの分散液中の50%体積平均粒径が250nmを超える場合は、顔料粒子の沈降を生じやすいという問題がある。
[樹脂エマルジョン]
本実施形態において、樹脂エマルジョンは、記録物の定着性の観点から、ガラス転移点(Tg)が0℃以下のものが使用される。このような樹脂エマルジョンを用いることにより、記録媒体上で樹脂が広がり、顔料であるカーボンブラックを記録媒体上に良好に定着させることができる。樹脂エマルジョンのガラス転移点(Tg)は、上記のように0℃以下のものが使用されるが、その効果を有効に発現するためには、0℃以下、−80℃以上、特に、−10℃以下、−80℃以上であることが好ましい。
なお、本実施形態において、ガラス転移点(Tg)は、通常の方法、例えば、示差走査熱量計(DSC)等の熱分析装置を用いて測定することができる。熱分析装置としては、例えば、セイコー電子社製SSC5000が挙げられる。また、ガラス転移点(Tg)は、樹脂エマルジョンが共重合体の場合、ガラス転移点(Tg)及びその評価の方法論は以下の通りである。特定の単量体組成を有する共重合体のガラス転移点(Tg)は、フォックス(Fox)の式により求めることができる。ここで、フォックスの式とは、共重合体を形成する個々の単量体について、その単量体の単独重合体のTgに基づいて、共重合体のTgを算出するためのものであり、その詳細は、ブルテン・オブ・ザ・アメリカン・フィジカル・ソサエティー,シリーズ2(Bulletin of the American Society, Series 2)1巻・3号・123頁(1956年)に記載されている。フォックスの式による共重合体のTgを計算するための基礎となる各種モノマーについての単独共重合体のTgは、例えば、高分子データ・ハンドブック基礎編(高分子学会編)525〜546頁に記載されている数値又は通常の方法で測定した実測値を採用することができる。
本実施形態に使用される樹脂エマルジョンに適用できる樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられるが特に限定されない。これらの樹脂は、使用に際して1種または2種以上で用いることができる。
また、本実施形態に使用される樹脂エマルジョンは、不飽和単量体の乳化重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョン(例えば、いわゆる「アクリルエマルジョン」)の形態でインク組成物中に配合されることが好ましい。その理由は、樹脂粒子のままインク組成物中に添加しても該樹脂粒子の分散が不十分となる場合があるため、インク組成物の製造上エマルジョンの形態が好ましいからである。また、樹脂エマルジョンとしては、インク組成物の保存安定性の観点から、アクリルエマルジョンであることが好ましい。
樹脂エマルジョン(アクリルエマルジョン等)は、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を重合開始剤、及び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和単量体としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類等が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体も使用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましい。
本実施形態において、樹脂エマルジョンの含有量は、本実施形態のブラックインク組成物の全量を基準(100重量%)としたときに、1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜7重量%であることがより好ましく、1〜6重量%であることが更に好ましい。
樹脂エマルジョンの含有量の好適範囲は、ブラックインク組成物のインクジェット適正物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)の観点から上限値を規定し、本発明の効果(高OD値、定着性等)をより有効に得る観点から下限値を規定したものである。
樹脂エマルジョンは、ブラックインク組成物中における分散安定性の観点から、その平均粒子径が30〜175nm、特に30〜120nmであることが好ましい。
また、樹脂エマルジョンの樹脂粒子としては、単相構造及び複相構造(コアシェル型)の何れのものも使用できる。
本実施形態において、「樹脂粒子」とは、水に不溶性の樹脂が主として水からなる分散媒中に粒子状に分散しているもの、あるいは水に不溶性の樹脂を主として水からなる分散媒中に粒子状に分散させたもの、更にはその乾燥物をも包含したものを意味する。
また、本実施形態において、「樹脂エマルジョン」というときは、ディスパージョン、ラテックス、サスペンジョンと呼ばれる固/液の分散体をも包含したものを意味するものとする。
また、樹脂エマルジョンは、カーボンブラックの分散安定性向上の観点から、アニオン性であることが好ましい。尚、同様の観点から、表面がカチオン性の顔料(例えば、表面処理によりカチオン基で分散させたもの)を用いる場合は、エマルジョンはカチオン性であることが好ましい。
本実施形態においては、顔料としてのカーボンブラックが顔料分散液中で沈降するのを防止する観点から、顔料分散液中の樹脂エマルジョンの体積平均粒径/カーボンブラックの50%体積平均粒径の値が0.7以下であり、0.2〜0.6であることが好ましく、0.3〜0.6であることがより好ましい。顔料分散液中の樹脂エマルジョンの体積平均粒径/カーボンブラックの50%体積平均粒径の値が0.7を超える場合、樹脂エマルジョンと顔料との何らかの相互作用により顔料の沈降率が高くなるという問題がある。
なお、上記の値は、樹脂エマルジョンの体積平均粒径が30〜175nm、カーボンブラックの50%体積平均粒径が100〜250nmであるときの値とする。
[その他のインク成分]
本実施形態におけるブラックインク組成物は、水を主溶媒とすることが好ましい。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、ブラックインク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
本実施形態の好ましい態様においては、ブラックインク組成物は、前記した顔料分散液を含んでなるものであって、記録媒体へのブラックインク組成物の塗布量が1mg/cm2であるとき、インク組成物の浸透時間が1秒未満であるような浸透性を有するものであることが好ましい。
ここで、塗布量が1mg/cm2であるときの浸透時間が1秒未満であるような浸透性とは、具体的には、例えば360dpi(ドット/インチ)×360dpiの面積に50ngのインク組成物を普通紙に塗布した場合に、印刷面を触ってもインク組成物で汚れなくなるまでの時間が1秒未満である場合をいう。このとき、普通紙としては、中性普通紙、例えばゼロックス−P(商品名、富士ゼロックス株式会社製)を用いる。
このようなブラックインク組成物の浸透性は、水溶液の表面張力を低下させる水溶性有機溶剤もしくは界面活性剤のような浸透促進剤を添加することによって、記録媒体への濡れ性を向上することにより得ることができる。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール類、および、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオール等の1,2−アルキルジオール類が挙げられる。
本実施形態の更に好ましい態様においては、浸透促進剤として使用される水溶性有機溶剤としては、グリコールブチルエーテル系の水溶性有機溶剤がより好ましい。このようなグリコールブチルエーテル系の水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、およびトリエチレングリコール−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
前記のような界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
より好ましい界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらはイオン性の界面活性剤に比較してインクの発泡を低減できる点から有利である。このようなノニオン性界面活性剤の具体例としては、ニッサンノニオンK−211、K−220、P−213、E−215、E−220、S−215、S−220、HS−220、NS−212、およびNS−220(以上いずれも商品名、日本油脂社製)等が挙げられる。さらに好ましい界面活性剤の例としては、ノニオン性界面活性剤の中で、サーフィノール61、82、104、440、465、485(以上いずれも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。これらを、インク組成物に添加すると、発泡がほとんど生じなくなるため、インク組成物をインクジェット記録方法において使用する場合には特に好適である。
本実施形態においては、浸透促進剤として、前記したような水溶性有機溶剤もしくは界面活性剤を単独で、またはそれらを併用して使用することによって、ブラックインク組成物の表面張力を、40mN/m未満、好ましくは35mN/m未満に調整することが望ましい。
本実施形態によるブラックインク組成物は、インクジェット記録方法に用いた場合に、インクを吐出するノズルの先端のインク乾燥防止を目的として、保湿剤をさらに含んでなることができる。
このような保湿剤は、通常、水溶性かつ吸湿性の高い材料から選択される。具体的には、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類が挙げられる。
これらの保湿剤は、他のインク添加剤と併用することによって、ブラックインク組成物の粘度を25℃で25mPa・s以下になるような量で本実施形態のブラックインク組成物に添加することができる。
本実施形態によるブラックインク組成物には、必要に応じて、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤および防かび剤等をさらに添加することができる。
定着剤としては、水溶性の樹脂類を用いることができる。そのような定着剤としては、例えば、水溶性ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸半エステル樹脂、アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカリ金属の水酸化物あるいはアミン類が挙げられる。
酸化防止剤および紫外線吸収剤としては、例えば、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024、またはランタニドの酸化物等が挙げられる。
防腐剤および防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、従来公知の装置、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等を使用して、従来のインク組成物と同様に調製することができる。調製に際しては、ノズルの目詰まり防止の観点から粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子の除去は、例えば前記各成分を混合して得られたインクをメンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、好ましくは10μm以上、より好ましくは5μm以上の粒子を除去することにより行われる。
[記録方法]
本実施形態におけるブラックインク組成物は、インク組成物を用いた記録方法に用いられる。インク組成物を用いた記録方法とは、例えば、インクジェット記録方法、ペン等による筆記具による記録方法、その他各種の印字方法が挙げられる。したがって、本実施形態によるブラックインク組成物は、例えば水性ペンなどの筆記具類、インクジェット記録方法、印刷、スタンプなどの用途に好ましく用いることができる。
本実施形態の別の態様によれば、本実施形態のブラックインク組成物の液滴を吐出し記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法が提供される。本実施形態によるインクジェット記録方法としては、ブラックインク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方法であればいかなる方法も使用することができる。そのような方法の具体例としては、種々の態様の方法が知られている。
そのような方法の一例としては、例えば、静電吸引方式が挙げられる。この方式では、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。また、この方法においては必要に応じて、インク滴を偏向させることなく印刷情報信号に対応して噴射させてもよい。
他の態様としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方法がある。この方法では、噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
別の態様としては、圧電素子を用いる方法が挙げられる。この方法では、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射させ、記録を行う。
さらに別の態様としては、熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方法がある。この方法では、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射させ、記録を行う。
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙、プラスチック、フィルム、金属等の種々の記録媒体を用いることができる。
[記録物]
更に、本実施形態によれば、これらの記録方法により記録された記録物も提供される。この記録物は、少なくとも上記ブラックインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着して記録が行われたものである。上記記録方法により記録された記録物は、上記ブラックインク組成物を用いて記録が行われたため、OD値が高く、十分な定着性を有している。記録媒体の具体例としては、上記に示した記録媒体を用いることが可能である。
(顔料分散液Aの調製)
ファーネス法で調製した一次粒子径=17nm、BET比表面積(表1中、「BET」と表記する)=215m2/g、DBP吸油量(表1中、「DBP」と表記する)=210mL/100g、BET比表面積/DBP吸油量(表1中、「BET/DBP」と表記する)=1.02のカーボンブラック原末500gを、イオン交換水3750gに加え、ディゾルバーで攪拌し50℃まで昇温した。その後、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いたサンドミルにより、粉砕しながら次亜塩素酸ナトリウム6600g(有効塩素濃度=12%)の水溶液を50〜60℃で3.5時間かけて滴下し、引き続きサンドミルにより30分間粉砕し続け、カーボンブラックが含まれている反応液を得た。この反応液を400メッシュ金網で濾過し、ジルコニアビーズ並びに未反応カーボンブラックと反応液とを分別した。分別して得た反応液にKOH 5%水溶液を加えpH=7.5に調整した後、限外濾過膜で電導度が1.5mS/cmになるまで脱塩及び精製し、更にカーボンブラック濃度が17重量%になるまで濃縮した。この濃縮液を遠心分離機にかけ、粗大粒子を取り除き、0.6μmフィルターで濾過を行った。得た濾液にイオン交換水を加え、カーボンブラックを濃度13重量%になるまで希釈し、顔料分散液Aを得た。
この顔料分散液Aを2.31g精秤し、1000mLメスフラスコで希釈した分散体(カーボンブラック濃度に換算すると0.30g/L)を作製し、粒度分析計MICROTRAC9340−UPA(マイクロトラック社製)を用いて50%体積平均粒径を測定したところ、240nmであった。
(顔料分散液Bの調製)
ファーネス法で調製した一次粒子径=18nm、BET比表面積=185m2/g、DBP吸油量=200mL/100g、BET比表面積/DBP吸油量=0.93のカーボンブラック原末200gを、イオン交換水1500gに加え、ディゾルバーで攪拌しながら50℃まで昇温した。その後、次亜塩素酸ナトリウム2220g(有効塩素濃度12%)の水溶液を50〜60℃で3.5時間かけて滴下し、滴下終了直後に直径3mmのガラスビーズを加え、50℃で30分間撹拌し、カーボンブラックが含まれている反応液を得た。この反応液を400メッシュ金網で濾過し、ガラスビーズ及び未反応カーボンブラックと反応液とを分別した。分別して得た反応液にNaOH 5%水溶液を加えpH=7.5に調整した後、限外濾過膜で電導度が1.5mS/cmになるまで脱塩及び精製し、更にカーボンブラック濃度が17重量%になるまで濃縮した。この濃縮液を遠心分離機にかけ、粗大粒子を取り除き、0.6μmフィルターで濾過を行った。得た濾液にイオン交換水を加え、カーボンブラックを濃度13重量%になるまで希釈し、顔料分散液Bを得た。
この顔料分散液Bを2.31g精秤し、1000mLメスフラスコで希釈した分散体(カーボンブラック濃度に換算すると0.30g/L)を作製し、粒度分析計MICROTRAC9340−UPA(マイクロトラック社製)を用いて50%体積平均粒径を測定したところ、190nmであった。
(顔料分散液Cの調製)
ファーネス法で調製した一次粒子径=16nm、BET比表面積=250m2/g、DBP吸油量=155mL/100g、BET比表面積/DBP吸油量=1.61のカーボンブラック原末200gを、イオン交換水1500gに加え、ディゾルバーで攪拌しながら50℃まで昇温した。その後、次亜塩素酸ナトリウム2220g(有効塩素濃度12%)の水溶液を50〜60℃で3.5時間かけて滴下し、滴下終了直後に直径3mmのガラスビーズを加え、50℃で30分間撹拌し、カーボンブラックが含まれている反応液を得た。この反応液を400メッシュ金網で濾過し、ガラスビーズ及び未反応カーボンブラックと反応液とを分別した。分別して得た反応液にNaOH 5%水溶液を加えpH=7.5に調整した後、限外濾過膜で電導度が1.5mS/cmになるまで脱塩及び精製し、更にカーボンブラック濃度が17重量%になるまで濃縮した。この濃縮液を遠心分離機にかけ、粗大粒子を取り除き、0.6μmフィルターで濾過を行った。得た濾液にイオン交換水を加え、カーボンブラックを濃度13重量%になるまで希釈し、顔料分散液Cを得た。
この顔料分散液Cを2.31g精秤し、1000mLメスフラスコで希釈した分散体(カーボンブラック濃度に換算すると0.30g/L)を作製し、粒度分析計MICROTRAC9340−UPA(マイクロトラック社製)を用いて50%体積平均粒径を測定したところ、120nmであった。
(顔料分散液Dの調製)
チャネル法で調製した一次粒子径=20nm、BET比表面積=125m2/g、DBP吸油量=170mL/100g、BET比表面積/DBP吸油量=0.74のカーボンブラック原末500gを、イオン交換水3750gに加え、ディゾルバーで攪拌し50℃まで昇温した。その後、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いたサンドミルにより、粉砕しながら次亜塩素酸ナトリウム6600g(有効塩素濃度=12%)の水溶液を50〜60℃で3.5時間かけて滴下し、引き続きサンドミルにより30分間粉砕し続け、カーボンブラックが含まれている反応液を得た。この反応液を400メッシュ金網で濾過し、ジルコニアビーズ並びに未反応カーボンブラックと反応液とを分別した。分別して得た反応液にKOH 5%水溶液を加えPH=7.5に調整した後、限外濾過膜で電導度が1.5mS/cmになるまで脱塩及び精製し、更にカーボンブラック濃度が17重量%になるまで濃縮した。この濃縮液を遠心分離機にかけ、粗大粒子を取り除き、0.6μmフィルターで濾過を行った。得た濾液にイオン交換水を加え、カーボンブラックを濃度13重量%になるまで希釈し、顔料分散液Dを得た。
この顔料分散液Dを2.31g精秤し、1000mLメスフラスコで希釈した分散体(カーボンブラック濃度に換算すると0.30g/L)を作成し、粒度分析計MICROTRAC9340−UPA(マイクロトラック社製)を用いて50%体積平均粒径を測定したところ、220nmであった。
Figure 0004784817
(樹脂エマルジョンAの調製)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水1000g及びラウリル硫酸ナトリウム2.5gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにスチレン300g、ブチルアクリレート640g、メタクリル酸30g、及びエチレングリコールジメタクリレート2gを撹拌下に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分40重量%、pH8に調整した。
得られた樹脂エマルジョンにおける樹脂粒子の体積平均粒径は80nmであり、ガラス転移温度(Tg)は−15℃であった。
(樹脂エマルジョンBの調製)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水800g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら75℃まで昇温した。内温を75℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム6gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにスチレン300g、ブチルアクリレート640g、メタクリル酸30g、及びエチレングリコールジメタクリレート2gを撹拌下に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分40重量%、pH8に調整した。
得られた樹脂エマルジョンにおける樹脂粒子の体積平均粒径は130nmであり、ガラス転移温度(Tg)は−15℃であった。
(樹脂エマルジョンCの調製)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水800g及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.48gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら75℃まで昇温した。内温を75℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム5gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにスチレン300g、ブチルアクリレート640g、メタクリル酸30g、及びエチレングリコールジメタクリレート2gを撹拌下に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分40重量%、pH8に調整した。
得られた樹脂エマルジョンにおける樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、ガラス転移温度(Tg)は−15℃であった。
(樹脂エマルジョンDの調製)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム6gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン615g、ブチルアクリレート295g、メタクリル酸30g、及びエチレングリコールジメタクリレート2gを撹拌機に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分40重量%、pH8に調整した。
得られた樹脂エマルジョンにおける樹脂粒子の体積平均粒径は130nmであり、ガラス転移温度(Tg)は36℃であった。
Figure 0004784817
(ブラックインク組成物の調製)
表3に示す各顔料分散液を8部(固形分換算)、各樹脂エマルジョンをそれぞれ3部(固形分換算)、グリセリン5部、2−ピロリドン5部、エタノール2部、オルフィンE1010(日信化学工業社製)1部、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル3部、1,2−ヘキサンジオール5部、プロキセルXL−2(AVECIA社製)0.3部、次いでpHが7.5になるようにトリエタノールアミンを加え、全量が100部になるように超純水を添加した。この混合液を室温にて2時間攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製、孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、インク1〜9(実施例1〜4及び比較例1〜5)のブラックインク組成物を得た。
[試験例1]光学濃度値(OD値)の評価
調製した各ブラックインク組成物を、インクジェット記録装置PX−V700(セイコーエプソン社製)に充填し、100%べた印刷を行った。記録媒体は、中性普通紙としてゼロックスP、ゼロックス4024(以上、富士ゼロックス社製)、酸性普通紙としてEPP(セイコーエプソン社製)、再生紙としてゼロックスR(富士ゼロックス社製)の4種類を用い、記録物を得た。印刷後、各記録物を一般環境で1時間放置した後、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてべた部分のOD値を測定した。そして、4種の記録物の平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の評価基準で光学濃度値(OD値)を評価した。結果を表3に示す。なお、顔料分散液の種類(A〜D)、樹脂エマルジョンの種類(A〜D)、樹脂エマルジョンの体積平均粒径/カーボンブラックの50%体積平均粒径(表3中、「EMφ/顔料φ」と表記する)の値も併せて示す。
A:OD値が1.35以上
B:OD値が1.30以上1.35未満
C:OD値が1.30未満
[試験例2]定着性の評価
調製した各ブラックインク組成物を、インクジェット記録装置PX−V700(セイコーエプソン社製)に充填し、べた及び文字の含まれるパターンを印刷した。得られた記録物を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製のイエロー水性蛍光ペンZEBRA PEN2(商標)を用いて、印刷文字を筆圧300g/15mm2で擦り、ペン先に付着した汚れの有無を目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。結果を表3に示す。
A:同一部分を2回擦っても全く汚れが生じない
B:1回の擦りまでは汚れが生じないが、2回の擦りでは汚れが生じる
C:1回の擦りで汚れが生じる
[試験例3]保存安定性の評価(1)
調製した各ブラックインク組成物30gを沈降管に封入し、11000Gの重力加速度で10分間遠心分離処理を行った。その上澄み液4gを精秤した後、1Lメスフラスコで希釈した。さらにこの希釈液を5mLホールピペットに計り取り、100mLメスフラスコで希釈した。この液の500nm波長における吸光度W1、及び遠心処理前のブラックインク組成物を同様に希釈したときの吸光度W0を測定し、下記計算式により沈降率Sを算出した。
沈降率S(%)=〔1−(吸光度W1)/(吸光度W0)〕×100
そして、算出した沈降率S(%)につき、下記の評価基準に基づいてブラックインク組成物の保存安定性を評価した。結果を表3に示す。
A:20%未満
B:20%以上30%未満
C:30%以上
[試験例4]保存安定性の評価(2)
調製した各ブラックインク組成物をインクカートリッジに充填し、下記の条件で遠心処理した。
・回転半径:20cm
・遠心加速度:600r.p.m.
・遠心時間:15時間
・遠心方向:プリンタに装着する際の向きと同方向
得られた遠心済みインクカートリッジを振倒することなく、インクジェット記録装置PX−V700(セイコーエプソン社製)に装着し、100%べた印刷を連続して行った。記録媒体は中性普通紙であるゼロックスP(富士ゼロックス社製)とし、印刷はカートリッジ内のインクが終了し、完全に印刷が不能になるまで行った。印刷後、記録物を一般環境で1時間放置した後、得られた印刷物の各ページにおけるOD値をグレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、横軸に印刷ページ数、縦軸に測定OD値をプロットしたグラフを得た。そのグラフから最高/最低OD値を与えるページ数およびそのときのOD値を読み取り記録した。ここで得られたΔOD値(最高OD値−最低OD値)が、沈降によって1カートリッジ内で発生する最大のOD値変動である。そして、得られたΔOD値につき、下記の評価基準に基づいてブラックインク組成物の保存安定性を評価した。結果を表3に示す。
A:0.10未満
B:0.10以上0.15未満
C:0.15以上
Figure 0004784817
以上説明したように、本発明は、特定のパラメータを有するカーボンブラック及び樹脂エマルジョンを使用し、樹脂エマルジョンの体積平均粒径とカーボンブラックの50%体積平均粒径の値を特定することにより、高い光学濃度値(OD値)を有した記録物の十分な定着性を確保でき、且つ、インクの保存安定性にも優れ、安定した印字品質を確保することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも水と、カーボンブラックと、樹脂エマルジョンとを含むブラックインク組成物であって、
    該カーボンブラックは、
    一次粒子径が10〜30nmであり、
    DBP吸油量が180〜250ml/100gであり、
    BET比表面積(m2/g)/DBP吸油量(ml/100g)の値が0.3〜2.5であり、
    分散液中の50%体積平均粒径が100〜250nmであり、
    該樹脂エマルジョンは、
    ガラス転移点(Tg)が0℃以下であり、
    該樹脂エマルジョンの体積平均粒径/該カーボンブラックの50%体積平均粒径の値が、0.7以下である
    ことを特徴とするブラックインク組成物。
  2. 前記樹脂エマルジョンの含有量が、前記ブラックインク組成物の全量を基準(100重量%)としたときに、1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載のブラックインク組成物。
  3. 前記カーボンブラックの含有量が、前記ブラックインク組成物の全量を基準(100重量%)としたときに、2〜15重量%であることを特徴とする請求項1記載のブラックインク組成物。
  4. インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のブラックインク組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のブラックインク組成物を記録媒体に付着させて印字を行うことを特徴とする記録方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載のブラックインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 請求項5又は6に記載の記録方法によって記録が行われた記録物。


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