以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(写真処理システムの全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置Aを備えた写真処理システムの構成を示す。この写真処理システムは、画像データを取得し、この画像データに基づいてペーパー(画像形成媒体に相当)の乳剤面(画像形成面に相当)に画像を焼付露光し、写真プリントを作成する機能を備えている。また、この写真処理システムは、現像済みの写真フィルムに形成されているコマ画像をスキャニングし、画像データを取得するためのフィルムスキャナー(図示省略)や、デジタルカメラ用の記憶メディアや、その他の記録媒体に格納されている画像データを読み取るためのメディア読取部(図示省略)を備えている。
前記図1に示すペーパーマガジン3,3には、それぞれ、長尺のペーパーがロール状に巻かれたロールRとして収容されており、該ペーパーマガジン3,3は、画像形成装置A本体に着脱可能に取り付けられている。そして、該画像形成装置A本体に取り付けられた2台のペーパーマガジン3,3のうち、一方のペーパーマガジン3がプリントサイズ等に応じて選択され、該選択された方のペーパーマガジン3から引き出されたペーパーPが、所定の搬送経路に沿って搬送されるようになっている。すなわち、ペーパーマガジン3から引き出されたペーパーは、アドバンスローラユニット4により方向変換され、ペーパーカッター5により、所定のプリントサイズに切断される。そして、切断されたペーパーPは、搬送ユニット6によって、下流側に位置する露光エンジン7(画像形成部に相当)へと搬送される。
前記露光エンジン7には、上流側露光搬送ローラ9a及び下流側露光搬送ローラ9bが設けられている。これらの露光搬送ローラ9a,9bの間には、ペーパーPをレーザー光によって露光処理するための露光位置が設定されている。露光搬送ローラ9の上流側には、ペーパー検出センサー10が設けられており、ペーパーPが送り込まれてくると、その先端(搬送方向前端)部分を検出して信号を出力するようになっている。このペーパー検出センサー10は、赤外光を出力する発光素子と、これを受光する受光素子とにより構成される。このペーパー検出センサー10によってペーパーPの位置を検出することで、前記露光位置における露光開始タイミングを決めることができる。
前記露光エンジン7は、公知の構造のもので、レーザー光源(レーザーダイオード等)から出力されるレーザー光を画像データに基づいて光変調し、この光変調されたレーザー光をペーパーPに照射することで、画像の露光を行う。すなわち、ペーパーPは、露光搬送ローラ9a,9bにより挟持された状態で、所定速度(一定速度)で搬送される一方、前記レーザー光は、ペーパーPの搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に走査されるため、ペーパーP上には1ラインごとに画像(潜像)が焼付露光される。
そして、上述のような走査露光が行われながら、ペーパーPは、下流側の露光搬送ローラ9bによって露光位置よりも下流側へ送り出されていく。前記露光エンジン7の下流側には、第1及び第2搬送ユニット11,12が設けられており、詳しくは後述するが、第1搬送ユニット11は、所定の回転軸芯まわりに回転可能に設けられていて、下流側の露光搬送ローラ9bにより受け渡されたペーパーPを第2搬送ユニット12に受け渡す機能を備えている。そして、第2搬送ユニット12が、前記第1搬送ユニット11から受け取ったペーパーPを図示しない現像処理部へと送り込む。
また、前記露光エンジン7の下流側(図1において露光エンジン7の左側)には、搬送方向の長さが所定以上(例えば594.1mm以上)のペーパーPを一時的に収容(貯留)するための収容空間部Sが設けられている。すなわち、露光エンジン7の露光位置から現像処理部までの距離よりもペーパーPが長いと、その一部において走査露光が行われている状態でペーパーPの先端が現像処理部に入ることになり、これに伴い発生する振動や負荷変動がペーパーPの露光部分に伝達されて、露光ムラを引き起こす虞れがあるが、斯かる負荷変動等が発生しないように、この実施形態では、露光搬送ローラ9bにより送り出されるペーパーPを一時、貯留するようにしたものである。
また、この実施形態では、前記収容空間部SにペーパーPを巻き取るための巻き取りドラム20が配置されている。この巻き取りドラム20には、その外周面にペーパーPの先端部を圧着して挟持するための圧着ローラ21が付設されており、両者間にペーパーPの先端部を挟持して巻き取る巻き取り機構8を構成している。収容空間部S及び巻き取り機構8により、露光エンジン7から搬出されるペーパーPを巻き取って一時、貯留する巻き取り貯留部が構成される。
さらに、前記巻き取りドラム20の下方には、後述の如くその下側にたるんだペーパーPを検出するための光学式センサー22が設けられている。このセンサー22は、発光素子22aからの光を受けた受光素子22bが画像形成装置Aの制御系(後述のたるみ量検出手段41)に信号を出力するように構成されており、受光素子22bへの入射光がペーパーPによって遮断されると、ペーパーPのたるみ量が所定量よりも大きいことが判定されるようになっている。以下、前記センサー22をたるみ検出センサー22と呼ぶ。
(収容空間部の構成)
次に、前記収容空間部S内の構成を図2に基づいて説明する。まず、第1搬送ユニット11は、下流側露光搬送ローラ9bのさらに下流側に配置されていて、挟持搬送ローラ対11aと、ガイド板11bとを備えている。この挟持搬送ローラ対11aの高さ方向位置は、露光搬送ローラ9と同じ高さ位置になるように設定されているとともに、前記ガイド板11bの上流側端部には開口部11cが形成されており、ペーパーPの受け入れが容易になっている。
また、前記第1搬送ユニット11は、所定の回転軸芯周りに90゜回転可能に構成されていて(図12参照)、90゜回転した状態では、第2搬送ユニット12へペーパーPを受け渡すことができる。第2搬送ユニット12は、搬送経路に沿って配置され、図示しない駆動機構によって駆動される複数の挟持搬送ローラ対12aと、ペーパーPをガイドするガイド板12bとを備えており、第1搬送ユニット11から受け取ったペーパーPを現像処理部へと送り込む役割を果たす。
巻き取りドラム20は、回転軸芯20a周りに回転可能に構成されている。この巻き取りドラム20によりペーパーPの巻き取りを開始する前は、巻き取りドラム20の外周面と圧着ローラ21の表面とは離間していて隙間が形成された状態になっている。これにより、搬送されてくるペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に容易に挿入される。
また、前記巻き取りドラム20によるペーパーPの受け入れ高さは、露光搬送ローラ9による搬送面の高さや、第1搬送ユニット11の回動前の搬送面と同じ高さになるように設定されている。これにより、露光搬送ローラ9によって送り出されるペーパーPを巻き取りドラム20側でスムーズに受け入れることができる。なお、図2に示す状態では、圧着ローラ21の軸芯は、巻き取りドラム20の軸芯のちょうど真上に位置している。
さらに、前記収容空間部S内には、前記巻き取りドラム20を上下方向に移動させるための巻き取り移動機構13が設けられており、この巻き取りドラム20に圧着ローラ21を含めた巻き取り機構8全体を、露光エンジン7の露光位置に近い上方の第1位置(図2の位置)と、露光位置から遠ざかる下方の第2位置(図9の位置)との間で上下に移動させるようになっている。
すなわち、前記巻き取り移動機構13は、上下方向に延びるガイド部材13aと、巻き取り機構8を該ガイド部材13aに沿って移動させるためのタイミングベルト13bとを備えているとともに、このタイミングベルト13bには巻き取り機構8を支持するための支持体15が固定されていて、該タイミングベルト13bを図示しないモータ等によって駆動させることで巻き取り機構8を上下動させることができるようになっている。前記支持体15には、巻き取りドラム20を回転駆動するためのドラム駆動手段(モーターや減速機構など)が搭載されている。
ここで、前記収容空間部Sは、現像処理部と隣接していて、壁面14によって仕切られているが、前記巻き取りドラム20にペーパーPを巻き取った状態で上下動させるときに、ペーパーPが該壁面14を擦らないようにするのが好ましい。これに対して、前記収容空間部Sを大きくすれば、壁面14とペーパーPとの擦れを解消することはできるが、装置全体が大きくなるという問題点がある。
そこで、前記巻き取り移動機構13は、図2に示すように、巻き取り機構8が斜め下方に移動するように構成している。具体的には、前記巻き取り移動機構13は、巻き取り機構8が下方に下がるほど壁面14から遠ざかる方向に移動するように構成されており、これにより、ペーパーPが壁面14をこすることなく、巻き取り機構8を収容空間部S内の下方に向かって移動させることができる。
また、以下に詳述するが、前記巻き取り機構8の巻き取りドラム20にペーパーPを巻き取るときや、該巻き取り機構8全体を巻き取り移動機構13によって下方に移動させるときには、基本的にペーパーPにたるみを生じさせるようにしている。こうすることで、前記のようにペーパーPの一部において画像形成が行われている状態で、その先端側を巻き取ったり、それを下方に移動させたりしても、露光位置には大きな振動や負荷変動が伝わることがなく、露光ムラなどの発生を防止することができる。
−巻き取り機構−
以下に、巻き取り機構8を構成する巻き取りドラム20及び圧着ローラ21の詳細構成を図3に基づいて説明する。また、該圧着ローラ21を圧着方向に移動させるためのカム機構(ローラ間隔変更手段に相当)について図4に示す。
前記巻き取りドラム20は、固定軸200の周りに回転可能に構成されている。該巻き取りドラム20は、樹脂製であり、その外周面上にペーパーPを巻き取るようになっている。巻き取りドラム20の軸方向両端部には、圧着ローラ21を圧着方向に付勢するためのコイルスプリング24を掛ける円周溝202が設けられていて、該巻き取りドラム20の軸方向両端部のうち一方の端部の円周溝202よりも端側には、巻き取りドラム20を回転させるための連結ギヤ201が設けられている。
圧着ローラ21は、巻き取りドラム20の軸線に対して略平行に配置されるローラ支軸210と、このローラ支軸210の外周面を覆うように軸方向に複数個並んで設けられる樹脂製の支軸211,211,…と、さらにこの各支軸211の表面にそれぞれ取り付けられる圧着部材212,212,…と、を備えている。この圧着部材212は、スポンジのような弾性を有する発泡部材(例えば発泡ウレタン等)により形成され、巻き取りドラム20の外周面との間でペーパーPの先端部を挟持する際に容易に弾性変形することで、このペーパーPへの負荷変動を緩和する。
前記ローラ支軸210には、支軸211,211,…が該ローラ支軸210に対して軸方向に移動するのを防止するためのEリング213が嵌合されている。また、その軸方向両端部には、前記コイルスプリング24を掛けるための溝部214,214が形成されている。さらに、ローラ支軸210の軸方向両端部で前記溝部214,214よりも軸方向内側には、それぞれ、カム連結軸215,215が設けられていて、該各カム連結軸215が後述するカム機構のカム面203aの形状に応じて上下動することで、前記圧着ローラ21を圧着方向若しくは非圧着方向へと移動させることができるようになっている。
斯かる巻き取り機構8の構成により、巻き取りドラム20が回転すると、これに連動して圧着ローラ21も巻き取りドラム20の外周方向に沿って回転移動(固定軸200回りに回転移動)するようになる。なお、圧着ローラ21自体は、ローラ支軸210に対して回転自在に嵌挿され、フリーに回転できるようになっている。
次に、前記圧着ローラ21を圧着方向に移動させるためのカム機構を図4に基づいて説明する。図4は、図3に示す巻き取り機構8を、カムの形成されている箇所で固定軸200に垂直な面で切断した断面図を示している。図示の如く、カム部材203は、クラッチ部材204を介して固定軸200に対して結合されている。該カム部材203は、カム面203aを有しており、先ほど説明したコイルスプリング24の付勢力により、カム連結軸215の先端215aがカム面203aに常時接触するようになっている。
前記カム面203aは、カム部材203の外周面上のθ=210゜の範囲に形成されているため、カム連結軸215(圧着ローラ21)がカム部材203に対して回転移動できる範囲も210゜となる。そして、このカム面203aの周方向両端には、第1壁面203b及び第2壁面203cが形成されていて、カム連結軸215が該カム面203a上を相対移動すると、該カム連結軸215がこれらの壁面203b,203cに当接して位置決めされる。
図4(a)は、圧着ローラ21と巻き取りドラム20との間に隙間が形成された初期状態を示す図であり、図4(b)は圧着ローラ21が210゜回転し、圧着ローラ21によってペーパーPが圧着された状態を示す図である。このように、巻き取りドラム20を210゜回転させると、図4(b)の状態となるが、さらに巻き取りドラム20を回転させると、カム連結軸215が第2壁面203cに当接して、強制的にカム部材203も一緒に固定軸200回りに回転させることになる。このとき、クラッチ部材204には滑りが生じている。すなわち、前記クラッチ部材204を設けることで、圧着ローラ21をカム部材203によって規制される範囲(210゜)以上に回転させることが可能になる。
−たるみ検出センサー−
次に、巻き取りドラム20の下方に設けられているたるみ検出センサー22について説明する。このたるみ検出センサー22の発光素子22aと受光素子22bとは、図2に示すように巻き取りドラム20の下方においてその回転軸の方向(図の紙面に直交する方向)と交差する方向に互いに対向し、両者を結ぶ光軸のラインが水平線に対し傾斜するように上下にオフセットして配置されているとともに、前記巻き取りドラム20の回転軸方向にもオフセットして配置されている。
そうして前記発光素子22a及び受光素子22bが巻き取りドラム20の回転軸方向にもオフセットして配置されていることから、両者を結ぶ光軸のラインは、巻き取りドラム20の回転軸に直交する面内(例えば図の紙面内)にはなく、上下方向に見ると、光軸のラインは前記回転軸の方向(即ちペーパーPの幅方向)に対して直交せず、斜めになっている。このため、かなり幅の狭いペーパーPを用いた場合でも、また、仮にそれが撚れていたとしても、このペーパーPが光軸を遮る可能性が十分に高くなり、検出精度が向上する。
(制御ブロック図)
次に、画像形成装置Aの制御ブロック構成を図5に基づいて説明する。この図5において、ペーパー先端検出手段30は、ペーパー検出センサー10からの出力信号によってペーパーPの先端を検出して、ペーパーPが到来したことを判定するものである。また、ペーパーPの先端が検出されるタイミングによって、現在、ペーパーPが下流側のどの位置にあるかを認識することができる。ローラ駆動手段31は、露光搬送ローラ9を駆動するための駆動機構や駆動回路等により構成される。さらに、搬送量検出手段32は、露光搬送ローラ9の回転量をエンコーダ等により検出することで、ペーパーPの搬送量を検出するように構成されている。
ペーパー位置検出部33は、前記ペーパー先端検出手段30により検出されたペーパーPの先端位置と、前記搬送量検出手段32により検出されたペーパーPの搬送量とに基づいて、ペーパーPの種々の位置を演算して求める機能を有する。具体的には、前記ペーパー位置検出部33は、露光開始タイミング検出手段33a、ペーパー後端脱出検出手段33b及び挿入検出手段33cを備えている。
前記露光開始タイミング検出手段33aは、ペーパー先端検出手段30によって検出されたペーパーPの先端位置に基づいてレーザー光による露光開始タイミングを検出するように構成されている。すなわち、ペーパー検出センサー10の位置及びレーザー光による露光位置は、設計的に定まっているため、ペーパーPの先端位置が分かれば前記露光開始タイミング検出手段33aによって露光位置における露光開始タイミングを演算することができる。
また、前記ペーパー後端脱出検出手段33bは、画像の焼付露光が完了したペーパーPの後端が、その焼付露光位置から脱出したことを検出するためのものである。さらに、前記挿入検出手段33cは、ペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に挿入されたことを検出するためのものである。この隙間への挿入量は適宜、設定することができるが、通常は約20mm程度とされている。
露光制御部34は、露光開始タイミング検出手段33aによる露光タイミングの演算結果に基づいてレーザー光による画像の走査露光を開始するように構成されている。これにより、所定速度で搬送されるペーパーPの乳剤面に画像データにより光変調されたレーザー光を走査して、潜像を形成することができる。
第1搬送ユニット駆動部35は、第1搬送ユニット11を駆動するための機構を有する。具体的には、この第1搬送ユニット駆動部35は、搬送ローラ対11aを圧着状態と非圧着状態とに切り替えるための圧着駆動手段35aと、第1搬送ユニット11の全体を90゜回転させて水平状態と垂直状態とに切り替えるためのユニット回転手段35bと、搬送ローラ対11aを回転駆動させるローラ駆動手段35cと、を備えている。ここで、前記圧着駆動手段35aは、露光エンジン7により画像の露光が行われているときは、搬送ローラ対11aを非圧着状態とし、ペーパーPに負荷が作用しないようにする。
第2搬送ユニット駆動部36は、第2搬送ユニット12を駆動するための機構を有するもので、搬送ローラ対12aを回転駆動させるローラ駆動手段36aを備えている。そして、搬送ユニット駆動制御手段37が第1搬送ユニット11及び第2搬送ユニット12の駆動制御を行う。例えば、ペーパー位置検出部33によってペーパーPの後端が焼付露光位置から脱出したことが検出されたときに、搬送ローラ対11aを圧着状態に切り替える。
プリントサイズ設定手段40には、画像の露光されるペーパーPのプリントサイズのデータが設定記憶される。そして、このプリントサイズ設定手段40に記憶されているプリントサイズデータに基づいて巻き取り移動機構13に対する制御や巻き取りドラム20に対する制御が行われる。例えば、ペーパーPの長さが所定長さ(本実施形態では430.1mm)よりも短い場合には、巻き取り機構8によるペーパーPの巻き取りは行わないようにする。
たるみ量検出手段41は、たるみ検出センサー22からの出力信号に基づいて、たるみ量が所定量以上か(即ち、巻き取りドラム20の下方にたるむペーパーPの下端部が、収容空間部Sに臨む装置Aの底面から所定高さまで降りてきたか)どうかを検出する。ドラム駆動手段42は、巻き取りドラム20を回転駆動するための機構を備えている。回転量検出手段43は、巻き取りドラム20の回転量を検出できるように構成されている。例えば、巻き取りドラム20に連動して回転するエンコーダにより、回転量をモニターすることができる。
ドラム回転制御手段44は、巻き取りドラム20の回転駆動制御を行う機能を有する。すなわち、ドラム回転制御手段44は、挿入検出手段33cによるペーパーPの先端挿入の検出結果や、プリントサイズ設定手段40に記憶・設定されているプリントサイズのデータ、さらにはたるみ検出センサー22からの信号などに基づいて、詳しくは以下にフローチャートを参照して説明するように、巻き取りドラム20の回転及び停止制御を行う。
巻き取り制御手段45は、ペーパーPの搬送方向の長さに応じて巻き取り移動機構13の駆動制御を行う。例えば、長さの短いペーパーPの場合は、巻き取り機構8による巻き取り動作を行わないため、巻き取りドラム20を一番下の第2位置に逃がしておく。それ以外のペーパーPでは、回転量検出手段43により圧着ローラ21による圧着動作が完了(θ=210゜回転)したことを検出すると、巻き取りドラム20を第1位置から第2位置へ移動させるように制御する。但し、その中で比較的長さの短い(つまり、中間の長さの)ペーパーPの場合には、巻き取り機構8によるペーパーPの圧着は行うが、たるみ検出センサー22によるたるみ量の検出は行わないため、巻き取りドラム20を第1位置と第2位置の中間位置(第3位置)まで移動させる。なお、ペーパーPの長さ寸法に関する情報は、前記プリントサイズ設定手段40から得ることができる。
前記図5に示す制御ブロックは、コンピュータソフトウェアやハードウェアの機能により構築することができる。どの機能をソフトウェアで実現し、どの機能をハードウェアにより実現するかについては、ペーパー処理の能力等に応じて適宜決めることができる。
(露光後の搬送動作)
次に、露光エンジン7にて画像が露光されたペーパーPを現像処理部へ送り出す搬送動作について、図6A,6Bのフローチャート及び図2、図7〜図12により説明する。なお、プリントサイズ設定手段40には、巻き取り機構8を第2位置まで下降させる必要がある長さのプリントサイズが設定されているものとする。
まず、所定のプリントサイズに切断されたペーパーPの先端がペーパー検出センサー10及びペーパー先端検出手段30により検出される(ステップST1)。ペーパーPの先端が検出されてから所定タイミングが経過して、露光開始タイミング検出手段33aによって露光開始のタイミングであることが検出された後、露光制御部34によってペーパーPの乳剤面に対してレーザー光が走査露光され、画像が形成されていく(ステップST2)。
このようにレーザー光による走査露光が行われながら、ペーパーPは露光搬送ローラ9により下流側に向かって搬送されて、ペーパーPの先端は、第1搬送ユニット11のガイド板11bを通過する。このとき、第1搬送ユニット11の搬送ローラ対11aは圧着が解除された状態であるため、ペーパーPに大きな負荷が作用することなく、該ペーパーPは第1搬送ユニット11の位置を通過することができる。
巻き取りドラム20は、予め図2に示すような第1位置に設定されているため、上述のように第1搬送ユニット11を通過したペーパーPは、そのまま巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に向かって搬送される。そして、ペーパーPの先端位置は、ペーパー検出センサー10による検出結果とペーパーPの搬送量とに基づいてペーパー位置検出部33により演算され、この演算結果に基づいて挿入検出手段33cにより、ペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に挿入されたか否かを判断する(ステップST3)。
なお、前記挿入検出手段33cは、ペーパー検出センサー10からの出力信号に基づいてペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間の隙間に挿入されたことを検出するようにしているが、この限りではなく、ペーパーPの挿入を検出するための専用のセンサーを挿入位置の近傍に設けてもよい。
そして、前記のようにペーパーPの先端が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との隙間に挿入されたことが検出されれば(ステップST3においてYES)、巻き取りドラム20の回転を開始する(ステップST4)。図2は、ペーパーPの先端が前記隙間に挿入された直後の状態を示している。そして、巻き取りドラム20は、図2において反時計方向に回転するとともに、圧着ローラ21も同様に回転軸芯20a周りに回転する。その後、上述したカム機構によって圧着ローラ21と巻き取りドラム20との間の隙間は徐々に狭くなっていき、圧着ローラ21は圧着方向に移動することになる。
このとき、前記ペーパーPの搬送方向後側においてはレーザー光による走査露光が行われている。すなわち、一部分において露光中のペーパーPの先端部が巻き取りドラム20と圧着ローラ21との間に挟持されることになるが、そうしてペーパーPの先端部を挟持する巻き取りドラム20の周速度が、露光搬送ローラ9によるペーパーPの送り速度(搬出速度)と略同じになるか、或いは少しだけ遅くなるように設定されているため、ペーパーPに若干のたるみを持たせて、これに大きな負荷変動を加えることなく、その先端側を巻き取ることができる。
そして、前記巻き取りドラム20が所定量(図の例では210゜)回転したかどうか判定し(ステップST5)、所定量回転したと判定されたとき(ステップST5でYESの場合)には、巻き取りドラム20の回転を停止する(ステップST6)。この回転量の検出は回転量検出手段43により行う。図7は、巻き取りドラム20の回転が停止した直後の状態を示す図である。
前記ステップST6で巻き取りドラム20の回転を停止した後、巻き取り制御手段45によって巻き取り移動機構13を駆動して、巻き取り機構8を第1位置から第2位置へと下降させる(ステップST7)。このステップST6、ST7の制御手順は略同時に行ようにしてもよい。例えば、巻き取りドラム20が停止する直前に、巻き取り機構8の下方への移動を開始してもよい。
そのような巻き取り機構8の下方への移動速度も、ペーパーPが収容空間部S内へ送り込まれてくる速度よりも遅くなるように設定されており、これにより、ペーパーPにたるみを持たせて、これに大きな負荷変動を加えることなく、巻き取り機構8を下方へ移動するることができる。図8は、巻き取りドラム20が第1位置と第2位置との中間位置(第3位置)まで移動した状態を示しており、巻き取りドラム20と第1搬送ユニット11との間のペーパーP部分にたるみが生じ始めていることを示す。図9は、巻き取り機構8が第2位置まで下降完了した状態を示す。
上述のように巻き取りドラム20の回転を停止して、これを第2位置へ移動した後も、ペーパーPは露光搬送ローラ9により収容空間部S内に送り込まれてくる。このとき、ペーパー後端脱出検出手段33bによってペーパーPの後端が第1搬送ユニット11に到達したか否かを判断する(ステップST8)。なお、第1搬送ユニット11にペーパーPの後端が到達した状態とは、挟持搬送ローラ対11aよりもペーパーPの後端が少し上流側に突出した状態であり、このこともペーパー検出センサー10による検出結果とペーパーPの搬送量とに基づいて判断される。但し、ペーパー後端の到達を検出するための専用のセンサーを第1搬送ユニット11に設けてもよい。
そして、ペーパーPの後端が到達していると判定すれば(ステップST8でYESの場合)、後述のステップST15へ移行する一方、ステップST8で後端が到達していないと判定すれば(NOの場合)、ステップST9に進んで、たるみ量が所定量以上かどうかを判定する。すなわち、前記のように巻き取り機構8を第2位置へ移動した後も、ペーパーPが送り込まれてくることで、そのたるみが徐々に大きくなり、やがては図10に示すように、発光素子22aから受光素子22bへの光が、巻き取りドラム20の下方にたるむペーパーPの下端部によって遮断されるようになる。
そうなると、たるみ検出センサー22からの信号に基づいて、たるみ量検出手段41により所定量以上のたるみが生じたものと判断し(ステップST9でYESの場合)、巻き取りドラム20を再び回転させる(ステップST10)。この巻き取りドラム20の回転は、先ほどのステップST4における回転駆動よりも高速で行われるので、ペーパーPは速やかに巻き取られ、大きくなったたるみが早期に解消される。
つまり、大きくたるんだペーパーPが巻き取りドラム20から下方に垂れ下がっても、その下端部が装置底面に接触することはなく、そこに溜まったペーパーPの切断屑(紙粉)などの塵埃がペーパーPの乳剤面に付着することがない。なお、前記のようにたるみが大きくなったときでも、巻き取りドラム20が斜め下方に壁面14から遠ざかる方向に移動しているため、側方にたるんだペーパーPの乳剤面が壁面14と擦れることもない。
そうして、前記巻き取りドラム20の回転により発光素子22aからの光の遮断状態が解消されると、受光素子22bの出力、即ちたるみ検出センサー22からの信号に基づいて、たるみ量検出手段41によりたるみ量が所定量未満になったと判断し(ステップST11でYESの場合)、再び巻き取りドラム20を停止させる(ステップST12)。その後、前記ステップST8へ戻って、ペーパーPの後端が第1搬送ユニット11に到達したか否かを判断する。
一方、前記巻き取りドラム20の回転によっても発光素子22aの光の遮断状態が解消されないときには、ステップST11でたるみ量が所定量未満でない(NO)と判定して、一旦ステップST13に移行し、ステップST8と同じ判定を行う。そして、ペーパー後端が第1搬送ユニット11に到達していなければ(ステップST13でNOの場合)、ステップST11に戻り、再びたるみ量のモニターを行う。一方、ペーパー後端が第1搬送ユニット11に到達していれば(ステップST13でYESの場合)、巻き取りドラム20の回転を停止する(ステップST14)。図11は、図10の状態からさらに巻き取りドラム20が回転した状態を示しているが、圧着ローラ21は210゜以上回転していることから、クラッチ部材214が滑っている状態である。
以上のような巻き取りドラム20の回転及び停止の制御は、ドラム回転制御手段44の機能に基づいて行われる。すなわち、たるみ検出センサー22によってペーパーPのたるみ量を検出し、これに基づいて巻き取りドラム20の回転及び停止を繰り返す間欠駆動制御を行うことで(この回転、停止の繰り返し回数はプリントサイズによって決まる)、巻き取りドラム20の下方にたるむペーパーPの下端部が装置底面に接触しないようにして、ペーパーPへの塵埃の付着を効果的に抑制することができる。
言い換えると、前記ドラム回転制御手段44は、露光エンジン7から搬出されるペーパーPにたるみを生じるように、間欠的に(即ち、搬出速度に対し平均的には低い速度で)ペーパーPを巻き取るものであり、その際に、巻き取りドラム20の下方にたるむペーパーPの下端部が装置底面に接触しないように、たるみ検出センサー22からの検出信号に応じてペーパーPの巻き取りを再開する巻き取り速度制御手段である。
斯くして、ペーパーPの後端が第1搬送ユニット11に到達し、且つ巻き取りドラム20の回転が停止すると、圧着駆動手段35aによって、第1搬送ユニット11の挟持搬送ローラ対11aは非圧着状態から圧着状態へと切り替えられる(ステップST15)。そして、図12に示すように、ユニット回転手段35bによって第1搬送ユニット11は90゜回転して垂直姿勢となる(ステップST16)。このとき、第1搬送ユニット11の搬送面と第2搬送ユニット12の搬送面とが一列に並んだ状態となる。
次に、搬送ローラ対11aを回転駆動させて、ペーパーPを第2搬送ユニット12へ向かって搬送し、受け渡す(ステップST17)。この際、巻き取りドラム20は逆回転(時計回り)させる。これにより、第2搬送ユニット12によって挟持されたペーパーPは上方に搬送され、図示しない現像処理部に送り込まれて現像処理が施される。すなわち、ペーパーPは、巻き取り機構8によりペーパーPが巻き取られる前と、その後、第2搬送ユニット12によって搬送されるときとで、搬送方向における前側と後側とが入れ替わることになる。
前記のように第2搬送ユニット12へのペーパーPの受け渡しが完了すると(ステップST18)、次のペーパーPを受け入れるべく初期状態にリセットする。すなわち、巻き取りドラム機構8を第2位置から第1位置へと上昇させるとともに、圧着ローラ21も初期位置に復帰させ、次のペーパーPを受け入れ可能な状態にする。また、第1搬送ユニット11も水平状態に復帰させるとともに、搬送ローラ対11aを非圧着状態とする。
なお、以上の説明では、ペーパーPの搬送方向の長さが所定値(例えば594.1mm、第1の長さ)以上のプリントサイズの場合の搬送方法について述べたが、ペーパーPの長さが前記所定値以下の場合には、その長さに応じて次のような2通りの動作を行う。
すなわち、サービスサイズのようにペーパーPの搬送方向長さが所定長さよりも短い場合(例えば430.1mmよりも短い場合、第2の長さ)は、該ペーパーPを巻き取りドラム20で巻き取る必要がないため、巻き取り機構8を最初から第2位置へと移動させておく。これにより、露光エンジン7により画像が露光されたペーパーPは、第1搬送ユニット11により直ちに方向変換され、第2搬送ユニット12へと受け渡しされる。
一方、ペーパーPの長さが第1の長さと第2の長さとの中間の第3の長さ(本実施形態の例では430.1〜594.1mm)の場合には、巻き取り機構8による巻き取り動作、及び巻き取り機構8の第1位置と第2位置との中間位置(第3位置)への移動のみを行う。すなわち、図6AのステップST7において、巻き取りドラム20を中間位置まで下降させる。このとき、第3の長さのペーパーPの場合は、たるみ検出センサー22によるたるみ検出の必要がないため、たるみ検出は行わない。従って、図6A,Bにおいて、たるみ検出に関するステップを除いた動作が行われる。
以上、説明したように、この実施形態に係る画像形成装置Aによると、露光エンジン7の搬送路下流側に露光後バッファとして設けた収容空間部S内に、巻き取り機構8を配設して、これによりペーパーPを巻き取るようにしたから、収容空間部Sをあまり大きくすることなく、露光後バッファの容量を十分に大きくすることができる。従って、装置全体の小型化を図りつつ、非常に長いサイズ(例えば430.1mm以上)のプリントを行う場合でも、露光中のペーパーPの先端が現像処理部に到達することをなくして、現像処理等に起因する露光ムラの発生を防止することができる。
しかも、そうして露光エンジン7から送られてくるペーパーPは、これに或る程度のたるみを持たせて巻き取ったり、下方に移動させるようにしているから、こうしてペーパーPを巻き取って貯留する際に負荷変動が加わっても、ペーパーPの露光されている部分には大きな振動や負荷変動が伝わることはなく、露光ムラなどが発生することはない。
さらに、そうして巻き取られるペーパーPのたるみが大きくなって、巻き取りドラム20から下方に或る程度以上、垂れ下がるようになると、これを速やかに巻き取ってたるみを解消するようにしているので、装置底面に溜まった紙粉などの塵埃がペーパーPの乳剤面に付着することを抑制し、これによる現像不良の発生を未然に防止することができる。
なお、本発明に係る画像形成装置Aの構成は、上述した実施形態に限定されることなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上述の実施形態では、露光エンジン7から送られてくるペーパーPにたるみを生じるように、巻き取り機構8によるペーパーPの巻き取り動作を間欠的におこなうようにしているが、これに限らず、露光エンジン7からの送り速度よりも低速でペーパーPを巻き取るようにしておいて、たるみ検出センサー22による検出時に巻取り速度を増大させるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、たるみ検出センサー22を巻き取りドラム20の下方に設けて、その下側にたるんだペーパーPを検出するようにしているが、これに限らず、たるみ検出センサー22は巻き取りドラム20の側方や場合によっては上方に設けて、そのドラム20から外方に広がるペーパーPのたるみを検出するようにしてもよい。
さらに、必ずしもたるみ検出センサー22を設ける必要はなく、露光エンジン7からの送り量等からペーパーPの弛み量を計算し、これが所定以上に大きくなったときに巻取り速度を増大させる(巻き取りの再開も含む)ようにしてもよい。
さらにまた、必ずしも前記のような巻き取りりドラム20の回転制御をしなくてもよく、例えば、巻き取りりドラム20の下方において装置底面から所定高さの位置に糸状の保持部材を数本、架け渡して、これによりペーパーPを保持するようにするだけでも、このペーパーPへの塵埃の付着を抑制することはできる。
また、前記実施形態では、画像形成部としてレーザー光を用いる露光エンジンについて説明したが、この限りではなく、例えば、液晶シャッターを用いた画像の露光エンジンであってもよい。