JP4781582B2 - 強化繊維成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂に配合するための強化繊維成形体、強化繊維成形体の製造法、樹脂組成物及び繊維強化樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
合成樹脂成形体の剛性等の機械的強度を高めるため、合成樹脂に対してガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が配合され、各種用途に提供されている。
【0003】
しかし、ガラス繊維や金属繊維を配合した場合、成形体の重量が増加することや、成形体を消却処分したときに燃焼残渣が残るという問題があり、炭素繊維は高価であり、製品価格を上昇させるという問題がある。
【0004】
また、ガラス繊維等に替えて各種合成繊維を用いることもできるが、合成樹脂と混練するため押出機内にホッパーから投入する際、毛羽立って綿状になるため、押出機内に送り込み難いという問題がある。このため、デンプンやカルボキシメチルセルロース等の水溶性重合体で束ねた繊維成形体を投入する方法が採用されているが、このような繊維成形体は崩壊性が悪いので合成樹脂中に分散し難く、得られた樹脂成形体の機械的強度を低下させるという問題がある。更に、前記繊維成形体における繊維同士の結合力を弱めれば、合成樹脂中への分散性は或る程度改善されるものの、運搬時等に加えられる衝撃によって崩れてしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、運搬等における形状保持性と、溶融混練時における崩壊性が共に優れており、合成樹脂の強化材として適した強化繊維成形体、前記強化繊維成形体の製造法、前記強化繊維成形体を用いた樹脂組成物、前記樹脂組成物を成形した樹脂成形体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題の解決手段として、合成樹脂に配合する水不溶性繊維を含む繊維成形体であり、水不溶性繊維と、ガラス転移温度が−170〜350℃にある水不溶性乃至は難溶性の重合体を含む、前記水不溶性繊維の集合体である強化繊維成形体、前記強化繊維成形体の製造法、前記強化繊維成形体を溶融混練してなる樹脂組成物、前記樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体を提供する。
【0007】
なお、本発明において「(メタ)アクリル」と称するときは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルを意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる水不溶性繊維は、天然又は合成樹脂からなる繊維であり、セルロース系繊維、亜麻繊維、クズ繊維、ヤシ繊維、ジュート繊維、麻繊維、アスペン繊維、ネズ繊維、タンパク質繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維、ポリアクリル系繊維等を挙げることができる。
【0009】
水不溶性繊維は可撓性の高いものが良く、上記したものの中でもセルース系繊維、亜麻繊維、クズ繊維、ヤシ繊維、ジュート繊維、麻繊維、アスペン繊維、ネズ繊維が好ましく、セルロース系繊維がより好ましい。
【0010】
セルロース系繊維は、草木を叩解したもの、綿、麻、木綿等から得られるもの、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等を用いることができ、αセルロース含量が80質量%以上のものが好ましく、90質量%以上のものがより好ましく、98質量%以上のものが更に好ましい。
【0011】
セルロース系繊維は、平均直径が、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜50μm、特に好ましくは20〜30μmであり、平均長さが、好ましくは0.1〜1000mm、より好ましくは0.2〜500mm、更に好ましくは0.3〜50mm、特に好ましくは0.5〜5mmである。
【0012】
本発明で用いるガラス転移温度が−170〜350℃にある水不溶性乃至は難溶性の重合体は、バインダーとして、水不溶性繊維同士間を、形状保持性と崩壊性を併有する適度な結合力で束ねるように作用するものである。
【0013】
前記重合体のガラス転移温度が−170℃以上であると、押出機に供給する際に強化繊維成形体同士が融着したり、保存運搬時に強化繊維成形体同士がブロッキングを生じたりすることが防止される。350℃以下であると、強化繊維成形体の崩壊性が良いので、合成樹脂への分散性が良い。
【0014】
ガラス転移温度が−170〜350℃にある水不溶性乃至は難溶性の重合体としては、ポリエチレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル−シリコーン共重合体、(メタ)アクリル−エポキシ共重合体、(メタ)アクリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、(メタ)アクリル−スチレン共重合体から選ばれるものを挙げることができる。
【0015】
なお、水不溶性繊維を束ねる作用を行うバインダー成分として、前記の水不溶性乃至は難溶性の重合体と共に、水溶性重合体を併用することができる。この水溶性重合体としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロン等から選ばれるものを挙げることができる。
【0016】
水不溶性繊維と水不溶性乃至は難溶性の重合体の含有割合は、水不溶性繊維が80〜99.99質量%、好ましくは90〜99.95質量%、より好ましくは95〜99.9質量%であり、前記重合体が0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。前記重合体の含有割合が0.01質量%以上であると、形状保持性が良いので運搬時等に強化繊維成形体が崩れることが防止されると共に、毛羽立ち等も防止される。20質量%以下であると、崩壊性が良いので合成樹脂への分散性が良い。なお、水溶性重合体を併用する場合には、水不溶性乃至は難溶性の重合体と水溶性重合体の合計量が上記範囲内になるようにすれば良い。
【0017】
強化繊維成形体には、必要に応じて、他の成分を配合することができる。他の成分としては、熱硬化性樹脂、配合対象となる熱可塑性樹脂、酸化防止剤、紫外線防止剤、潤滑剤、銅害防止剤、顔料、染料、帯電防止剤、発泡剤、放射線遮蔽剤等を挙げることができる。
【0018】
本発明の強化繊維成形体は、外周が好ましくは5〜35mm、より好ましくは7〜30mm、更に好ましくは10〜15mmであり、長さが好ましくは3〜20mm、より好ましく3〜10mm、更に好ましくは3〜5mmである柱状成形体が好ましい。この柱状成形体の幅方向の断面形状は、円、方形、五角形以上の多角形、不定形のいずれでもよい。
【0019】
本発明の強化繊維成形体は、下記の形状保持率が、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは99%以上で、かつ崩壊率が、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下のものである。
【0020】
(形状保持率)
常温において、強化繊維成形体をポリエチレンの袋に入れ、高さ1mから計10回自然落下させた後の強化繊維成形体の重量(W2)と、強化繊維成形体の初期重量(W1)を用い、次式:(W2/W1)×100から求める。
【0021】
(崩壊率)
40〜350℃の温度雰囲気において、2×2×0.2cmのプラスチック板により、鉛直方向から強化繊維成形体の初期重量(WA)の1000倍量の圧力(荷重)を加え、崩壊させたときに残った最大成形体の重量(WB)と初期重量を用い、次式:(WB/WA)×100から求める。
【0022】
本発明の強化繊維成形体は、適当な混合手段中に、水不溶性繊維と、ガラス転移温度が−170〜350℃にある水不溶性乃至は難溶性の重合体を含むエマルション又はサスペンションを添加混合した後、或いは更に水溶性重合体の水溶液を添加混合した後、成形して得ることができる。
【0023】
エマルション又はサスペンションは、前記した水不溶性乃至は難溶性の重合体を乳化剤(陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤)の存在下で乳化又は懸濁させて得られるものであり、固形分濃度(重合体濃度)は特に制限されるものではないが、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましい。固形分濃度が0.01質量%以上であると、得られる強化繊維成形体の形状保持性が良いので運搬時等に強化繊維成形体が崩れることが防止されると共に、毛羽立ち等も防止される。20質量%以下であると、得られる強化繊維成形体の崩壊性が良いので合成樹脂への分散性が良い。
【0024】
混合手段としては、ターボミル、攪拌翼付き反応釜、V型混合機、タンブラー、高速ミキサー、リボン式ミキサー、ジェット粉砕機等を用いることができ、成形手段としては、ローラー加圧式ディスクダイ付き造粒機、スクリュー押出式造粒機、スプレークーラー式造粒機、多段式円筒造粒機等を用いることができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、合成樹脂100質量部と、強化繊維成形体5〜500質量部、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜50質量部を溶融混練して得られるものである。
【0026】
合成樹脂は熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でも良く、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、スチレン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステルエーテル、ポリアミドエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を挙げることができ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0027】
本発明の繊維強化樹脂成形体は、上記樹脂組成物を押出成形、射出成形等の周知の成形手段により、用途に応じた所望形状に成形して得られるものである。この樹脂成形体は、特に剛性等の機械的強度が要求される用途に適しており、例えば、下記の自動車に用いる各種部品を挙げることができる。
【0028】
インストルメントパネル、メータケース、エアコン、オーディオ、グローブボックス、エアダクト、エアバッグリッド、レジスター、ピラーガーニッシュ、ルーフライナー、サンルーフスライダー、リアーパーセルシェルフ、リアトレイ、ドアトリム、ステアリングホイール、スイッチ類、スリップジョイント、ベンチレーターフィン、ワイパーレバー等の内装部品やバンパー、バンパービーム、バンパーフェイシア、ルーフ、バンパーガード、フロントフェンダー、リアーフェンダー、キャノピー、フード、ラジエーターグリル、テールゲートアウターパネル、スポイラー、サイドモール、サイドプロテクター、サイドシルガーニッシュ、カウルトップガーニッシュ、ホイールカバー、ホイールキャップ、アウトサイドハンドル、アウタドアハンドル、ピラーガーニッシュ、フェンダーミラー、リアランプ、ヘッドランプ、ランプハウジング、カウルトップベンチレーション、エンブレム、オーナメント、リヤーパネル、エアスポイラー、リアワイパーアーム、ドアミラーステイ等の外装部品やエンジンカバー、シリンダーヘッドカバーやシャーシ系のエンジンマウントやオイル・ブローバイ系のシリンダーヘッドカバー、オイルフィラーダクト、オイルフィラーキャップ、オイルリザーブタンク、プラグシール、オイルレベルゲージ、ホースコネクター、オイルセパレーター、ブローバイパイプ、オイルストレーナー、フューエルインジェクター、フューエルストレーナー、フューエルデリバリーパイプ、バキュームタンク、キャニスタや吸気系のエアクリーナーケース、エレメントホルダー、エアインレットパイプ、エアインテークダクト、過給気継手ダクト、過給気バイパスホース、インタークーラータンク、インタークーラーホース、吸気チャンバー、サージタンク、レゾネーター、インテークマニホールドや冷却系のポンプインペラー、サーモスタットカバー、LLCリザーブタンク、LLCアウトレットダクト、LLCホースコネクター、ウォータインレット、ラジエータータンク、クーリングファンやカム駆動系のカムスプロケット、テンショナーブッシュ、ベルトアイドラー、タイミングベルトカバー、チェンガイド、キャニスターや燃料系のデリバリーパイプ、燃料配管、フィルターハウジングや電装系のコネクター、ジャンクションボックス、フューズブロック、センサーハウジング、スイッチケース、角度センサーホルダー、ABSアクチュエーター、排ガスコントロールバルブ、ECUハウジング、リレーブロック、ユニットケース、ハーネスコネクター、エアフロメーターハウジング、ディストリビュータカバー、ディストリビュータローター、イグニッションコイルカバーやトランスミッションのインヒビターズウィッチ、オイルストレーナー、バキュームポンプケース、シールリング、スピードメータギア、スピードメータホルダー、アキュムレータピストン、ガバナギア、エアブリザーホース、トルクコンバーターステーター、シフトレバーベース等のエンジン回り、機構部品やリレー、パワーウィンドウギアケース・センサー、ドアロックアクチュエーター、スパイラルケーブル、コンビネーションレバー、各種スイッチ・メーターボビン・カウンター、パワーシートベース等の車体関係電装部品やブレーキ回りのブレーキブースターピストン、ピストンリング等の部品やその他のクリップ、ファスナー。
【0029】
本発明の繊維強化樹脂成形体は、その他にも、各種機械部品、電気・電子部品、摺動部品、吸音材、使用後に焼却処分する医療器具容器材、建築用の木材代替品(木目材)、通信機器用筺体、放射線遮蔽材等に用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0031】
実施例1
水不溶性繊維として、平均直径20μm、平均長さ0.85mmで、αセルロース含量が99質量%のセルロース系繊維凝集体を用い、エマルションとしてアクリル−エポキシ共重合体エマルション(ガラス転移温度35℃;固形分濃度30質量%)(ダイセル化学工業(株)製,AST−483)を用い、次の方法で強化繊維成形体を得た。
【0032】
まず、セルロース系繊維凝集体をターボミル(ターボ工業(株)製の粉砕機)にかけ、単繊維状態になるまで解砕した後、ターボミルから吐出されるセルロース系繊維にエマルションを噴霧した。このときの噴霧量は、ターボミルのセルロース系繊維の吐出量100kg/hrに対し、エマルションが5kg/hrとした。
【0033】
次に、セルロース系繊維と熱可塑性重合体の混合物を、そのままローラー加圧式ディスクダイ付き造粒機((株)ダルトン製)にかけ、周囲10mm、長さ4mmの円柱状の強化繊維成形体を得た。
【0034】
この強化繊維成形体を90℃で5時間乾燥した後に重量を測定し、原料として用いたセルロース系繊維凝集体の重量との差をアクリル−エポキシ共重合体の付着量(g)とした。更に強化繊維成形体について、形状保持率及び崩壊率を測定した。なお、崩壊率の測定は、温度50℃、強化繊維成形体重量20g、プラスチック(ナイロン6)板による荷重20kgで行った。結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
エマルションとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体(ガラス転移温度60℃;固形分濃度16質量%)(日本合成化学工業製,ソアノール16D)を用いたほかは実施例1と同様にして、強化繊維成形体を得た。形状保持率及び崩壊率の測定結果を表1に示す。
【0036】
比較例1
水不溶性繊維として、シランカップリング剤〔ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン〕で処理した直径15μm、長さ3mmのガラス繊維(旭硝子(株)製)を用いたほかは実施例1と同様にして、繊維成形体を得た。形状保持率及び崩壊率の測定結果を表1に示す。
【0037】
比較例2
エマルションに替えてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)(ダイセル化学工業(株)製,CMCダイセル)の5質量%水溶液を用いたほかは実施例1と同様にして、繊維成形体を得た。形状保持率及び崩壊率の測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004781582
【0039】
表1から明らかなとおり、実施例1、2のセルロース繊維とエマルションから製造された強化繊維成形体は、形状保持性と崩壊性の両方が良かった。一方、比較例1は形状保持性、崩壊性とも悪いので実用困難であり、比較例2は水溶液の調製が必要であり、しかも崩壊性が悪いので、樹脂用の配合剤としては不適である。
【0040】
実施例3、4、比較例3、4
ホモポリプロピレン(230℃、2.16kgのメルトレートフローが10g/min)100質量部に対して、それぞれ実施例1、2で得た強化繊維成形体、比較例1、2で得た繊維成形体30質量部を混合し、スクリュー径30mmの同方向2軸押出機(シリンダー温度は190℃に設定)を用いて溶融混練して、ペレットを得た。
【0041】
これらのペレットを型締め圧100トン、スクリュー径32mmの射出成形機(シリンダー温度は190℃に設定)により、ISO規格のテストピースを作製し、表2に示す各試験項目の測定を行った。測定方法の詳細は下記の通りである。結果を表2に示す。
【0042】
引張強さ(MPa):ISO引張試験片(厚み4mm、全長150mmのダンベル片)を、23℃、湿度50%RHの状態で90時間放置後、オリエンテック(株)製UTM−5Tを用いて測定した。つかみ具間の間隔115mm、標線間距離50mmに設定し、引張速度50mm/minで測定した。
【0043】
曲げ弾性率(MPa):ISO曲げ試験片(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)を、23℃、湿度50%RHの状態で90時間放置後、オリエンテック(株)製UTM−5Tを用いて測定した。支持台のR=5mm、圧子のR=5mm、支持点間距離64mmに設定し、試験速度2mm/minで測定した。
【0044】
燃焼残渣(質量%):オーブン中で800℃で5分間燃焼させたときの初期重量に対する燃焼残渣重量の割合を求めた。
【0045】
分散性:ペレットを用いて熱プレス成形し、厚さ0.5mmのシートを作製し、直径が1mm以上の繊維凝集塊の有無を確認した。
【0046】
【表2】
Figure 0004781582
【0047】
実施例3、4の成形体は、ポリプロピレン中に実施例1、2の強化繊維成形体が均一に分散されているので、引張強さ、曲げ弾性率が優れていた。更に、比重が小さいので比較例3、4の成形体に比べて軽量であり、燃焼残渣も無かった。
【0048】
比較例3の成形体は、分散性は良いので、引張強さ、曲げ弾性率が優れていたが、実施例1、2の成形体に比べて重く、燃焼残渣が多かった。更に、シランカップリング剤処理しているので、実施例1、2に比べて製造コストが高くなった。
【0049】
比較例4の成形体は、分散性が悪く、繊維の凝集塊が認められ、比重も均一ではなく、幅があった。このため、引張強さ、曲げ弾性率が劣っていた。
【0050】
【発明の効果】
本発明の強化繊維成形体は、形状保持性及び崩壊性が優れているので、合成樹脂中における分散性が良く、合成樹脂用の強化材として適している。更に、本発明の強化繊維成形体を配合した樹脂成形体は、軽量で機械的強度が高いので、剛性等が要求される分野の材料用として適しており、燃焼残渣も無いので、廃棄処理も容易である。

Claims (8)

  1. 合成樹脂に配合する水不溶性繊維を含む繊維成形体であり、水不溶性繊維95〜99.9質量%と、ガラス転移温度が−170〜350℃にある水不溶性乃至は難溶性の重合体0.1〜5質量%を含む、前記水不溶性繊維の集合体であり、
    前記水不溶性繊維がセルロース系繊維であり、
    前記水不溶性乃至は難溶性の重合体が、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル−シリコーン共重合体、(メタ)アクリル−エポキシ共重合体、(メタ)アクリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体から選ばれるものである強化繊維成形体。
  2. 外周が5〜35mmで、長さが3〜20mmの柱状成形体である請求項1記載の強化繊維成形体。
  3. セルロース系繊維が、αセルロース含量が80%以上のものである請求項1記載の強化繊維成形体。
  4. セルロース系繊維が、平均直径が0.1〜1000μmで、平均長さが0.1〜1000mmのものである請求項1〜3のいずれか1記載の強化繊維成形体。
  5. ガラス転移温度が−170〜350℃にある重合体が、(メタ)アクリル−エポキシ共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体から選ばれるものである請求項1〜4のいずれか1記載の強化繊維成形体。
  6. 下記の形状保持率が50%以上で、かつ崩壊率が50%以下である請求項1〜5のいずれか1記載の強化繊維成形体。
    (形状保持率)
    常温において、強化繊維成形体をポリエチレンの袋に入れ、高さ1mから計10回自然落下させた後の強化繊維成形体の重量(W2)と、強化繊維成形体の初期重量(W1)を用い、次式:(W2/W1)×100から求める。
    (崩壊率)
    40〜350℃の温度雰囲気において、2×2×0.2cmのプラスチック板により、鉛直方向から強化繊維成形体の初期重量(WA)の1000倍量の圧力(荷重)を加え、崩壊させたときに残った最大成形体の重量(WB)と初期重量を用い、次式:(WB/WA)×100から求める。
  7. 請求項1〜6のいずれか1記載の強化繊維成形体の製造法であり、水不溶性繊維と、ガラス転移温度が−170〜350℃にある重合体を含むエマルション又はサスペンションとを混合し、そのまま成形する強化繊維成形体の製造法。
  8. 合成樹脂100質量部と、請求項1〜7のいずれか1で得られた強化繊維成形体5〜500質量部とを溶融混練してなる樹脂組成物を成形してなる繊維強化樹脂成形体
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