JP4779754B2 - プリプレグ積層体及び繊維強化プラスチック - Google Patents

プリプレグ積層体及び繊維強化プラスチック Download PDF

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Description

本発明は、例えば自動車部材、スポーツ用具等に好適に用いられる繊維強化プラスチックの中間基材であるプリプレグ積層体及び該プリプレグ積層体を加熱・硬化せしめた繊維強化プラスチックに関する。詳しくは、成形時に良好な流動性と成形追従性とを有するとともに、繊維強化プラスチックに成形した場合に、優れた力学物性と、その低バラツキ性および優れた寸法安定性を発現し得るプリプレグ基材の積層体及び繊維強化プラスチックに関する。
強化繊維にマトリックス樹脂を含浸・硬化させた繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率が高く、力学特性に優れること、耐候性、耐薬品性などの高機能特性を有することなどから、あらゆる産業用途において注目され、その需要は年々高まりつつある。
かかる繊維強化プラスチックの成形方法としては、連続した強化繊維にマトリックス樹脂を含浸せしめた半硬化状態の中間基材(プリプレグ)を成形型内に積層し、全体を真空パックした状態で高温高圧釜やオーブン内で加熱・加圧して、型内のマトリックス樹脂を硬化させるオートクレーブ成形やオーブン成形法が一般的である。また、近年では、生産効率の向上を目的として、予め成形部材の形状に賦形した樹脂が未含浸の連続強化繊維基材にマトリックス樹脂を注入して含浸後硬化させるRTM(レジントランスファーモールディング)成形法も行われている。
これらの成形法により得られた繊維強化プラスチックは、強化繊維が連続繊維であるため、優れた力学物性を有する。また、連続繊維は規則的な配列であるため、基材の配置により、必要とする力学物性に設計することが可能であり、また、力学物性のバラツキが小さいという利点も有する。
しかしながら、一方でプリプレグ基材を構成する強化繊維の総てが連続繊維である故に強化繊維の腰が強く、三次元形状等の複雑な凹凸形状を有する成形体を形成することは難しい。その為、現在においては主として平面形状に近い部材に用途が限られる。特に、プリプレグの場合は、強化繊維に予め樹脂が含浸されているので、剛性アップとなり、一層困難である。
このような点から、三次元形状等の複雑な形状に適した成形方法として、SMC(シートモールディングコンパウンド)成形法がある。SMC成形法は、通常12から25mm程度に切断されたチョップドストランドに熱硬化性樹脂のマトリックス樹脂を含浸せしめて半硬化状態としたSMCシートを、加熱型プレス機(ホットプレス機)を用いて加熱・加圧することにより成形を行うものである。多くの場合、加圧前にSMCシートを成形体の形状より小さな集合体として成形型上に配置し、加圧により成形体の形状までSMCシートを流動させて成形を行う。そのため、その流動性により、三次元形状等の複雑な形状にも追従可能となる。
しかしながら、SMCはそのシート化工程において、チョップドストランドの分量分布ムラ、配向ムラが必然的に生じてしまうため、得られた成形体の力学的物性が低下し、あるいはその値のバラツキが大きくなってしまう欠点がある。さらには、そのチョップドストランドの分量分布ムラ、配向ムラにより、特に薄物の部材ではソリ、ヒケ等が発生しやすくなり、構造材としては不適な場合が多い。
上述のような材料の欠点を埋めるべく、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグに切り込みを入れることにより、流動性可能で力学物性のバラツキも小さくなるとされる基材が開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の技術では、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いているため、タック性(粘着性)がないという理由により、積層時に基材同士が滑り積層構成がずれるという問題や、ドレープ性(変形性)を有しないという理由や熱可塑性樹脂であるため粘度が高く流動し難いことにより、凹凸部を有する部材においては賦形が困難であるという問題を有している。また、熱可塑性樹脂はタック性がないためプリプレグ基材同士を積層させて積層体として保持できず、またそのために、賦形後の形態保持もできないため、設計どおりの成形が困難という問題もある。さらに、力学的物性面では、前述の総て連続繊維で強化された強化繊維プラスチックに比較して、総ての強化繊維が切り込まれているが為に必然的に大きく劣るという問題がある。
特公平8−5079号公報(請求項1、2、第1図)
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、良好な流動性と複雑形状への追従性とを有すると共に、繊維強化プラスチックとした場合に優れた力学物性とその低バラツキ性および優れた寸法安定性を発現し得るプリプレグ積層体ならびに繊維強化プラスチックを提供することを目的とする。
本発明は、係る課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。即ち、
(1)一方向に引き揃えられて平面状に配列された強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されてなるシート状プリプレグを、複数層積み重ねたプリプレグ積層体において、
(A)前記シート状プリプレグは、強化繊維を連続した炭素繊維とするとともに、前記マトリックス樹脂を熱硬化性樹脂とし
B)前記シート状プリプレグは、前記連続した炭素繊維の繊維方向を横切る方向に断続的に有限長の切り込みを入れたプリプレグ基材を複数層積層してなるプリプレグ基材積層体と、前記切り込みを入れないで連続した炭素繊維を強化繊維とし、かつ、前記プリプレグ基材積層体の最表層の少なくとも片側に配設されたプリプレグ基材と、で構成されており、
(C)前記プリプレグ基材積層体を構成する全てのプリプレグ基材が、該プリプレグ基材の全面に繊維を横切る方向に、2〜50mm(L)の有限長の切り込み列が強化繊維の繊維方向に10〜100mmの距離(L2)を隔てて複数列設けられており、前記複数列のうちの隣り合う列は繊維直交方向にずれており、かつ、隣り合う該列の切り込みが切り込みの重なり幅(L1)で互いに切り込んでいることを特徴とするプリプレグ積層体。
(2)前記積層体の最表層の少なくとも片側に配設されたプリプレグ基材の連続する炭素繊維が、一方向のみに引き揃えられた炭素繊維であることを特徴とする(1)項に記載のプリプレグ積層体。
(3)前記積層体の最表層の少なくとも片側に配設されたプリプレグ基材が、二方向に引き揃えられた連続する炭素繊維で織成された織物を含むことを特徴とする(1)項に記載のプリプレグ積層体。
(4)前記互いに切り込んでいる切り込みの重なり幅(L1)が、0.1mm以上で、かつ、隣り合う列の切り込みのうち、短い方の切り込みの長さの0.1倍以下であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
(5)前記隣り合う列の切り込みの形状、寸法および方向のうちのいずれかが、同一であることを特徴とする(1)〜(4)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
(6)前記切り込みが、前記強化繊維の繊維方向を横切る方向に等間隔で設けられていることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
(7)前記切り込みの横切る方向は、全てが前記炭素繊維の繊維方向と直交する方向であることを特徴とする(1)〜(6)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
(8)任意の1つの切り込みにより切断される繊維本数が、5,000〜50,000本の範囲である(1)〜(7)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
(9)少なくとも、前記連続する炭素繊維を強化繊維とするプリプレグ基材が、事前に製品形状に賦形されていることを特徴とする(1)〜(8)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
(10)(1)〜(9)項のいずれかに記載のプリプレグ積層体を加熱・硬化せしめてなることを特徴とする繊維強化プラスチックである。
本発明によれば、成形時に良好な流動性と、複雑形状への追従性とを有するプリプレグ積層体が得られるとともに、該積層体を加熱・成形した場合に、優れた力学物性と、その低バラツキ性と、優れた寸法安定性とを発現し得る繊維強化プラスチックを得ることができる。
本発明は、前記従来技術の問題点、すなわち連続する強化繊維の繊維方向と直交する方向に切れ目を入れたプリプレグ基材を加熱、成形した繊維強化プラスチックは、マトリックス樹脂を熱硬化性樹脂をとし、繊維長が12から25mm程度の短繊維を強化繊維としたSMC成形品に比べると、遙かに高い引張強度、引張弾性率等の力学特性を示すが、それでも切り込みの全くない連続繊維のみを強化繊維とするプリプレグ基材を加熱成形した繊維強化プラスチックに比べると、特に引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率が低いと言う問題を改善すべく鋭意検討したところ、繊維強化プラスチックに曲げ負荷等の外力が作用した時に、最も負荷が大きい表層部分にだけ切れ目のない連続繊維で補強されたプリプレグを配置することによって、上記問題点を一挙に解決できることを究明したものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて、具体的に説明する。なお、図面は本発明の一実施例であり、これに限定されないことはいうまでもない。
まず、本発明に係るプリプレグ積層体の全体構成について説明する。
図1は、本発明に係るプリプレグ積層体1の全体図であり、このうち図1Aは積層構成を示すために最下層のプリプレグ基材4以外の各プリプレグ基材2、3を一部破断して積層した平面図、図1Bは図1の一部破断を行っていない積層状態でのA−A矢視の断面図である。図2〜図7は、図1のプリプレグ積層基材2の中の各プリプレグ基材における種々のパターン例を示す部分平面図である。
図1において、本発明のプリプレグ積層体1は、大別するとプリプレグ積層基材2と、その表裏面に配置したプリプレグ基材3、4とで構成される。
プリプレグ積層基材2は、いずれもプリプレグ基材の強化繊維(図2符号7参照)に対して繊維方向と直交する方向または所定角度を持って切り込み6を入れたプリプレグ基材2a〜2dを積層してなるもので、最終製品の繊維強化プラスチックとした場合に前述した強化繊維の流動性および成形型の凹凸表面への追従効果を発揮するものである。また、プリプレグ基材3、4は、表面に切れ目を有するプリプレグの弱点であった引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率を補うため、強化繊維に切れ目を入れていない連続繊維のみで構成したものである。図では、プリプレグ基材3、4は、連続繊維のタテ糸とヨコ糸からなる織物の態様とした基材である。
これらプリプレグ基材2a〜2d、3、4を構成する強化繊維としては、本発明においては比強度および比弾性率の点で特に優れた性質を有している炭素繊維を用いる。この炭素繊維としては、PAN系、ピッチ系の2種類のものが挙げられるが、高強度の炭素繊維が得られやすいPAN系炭素繊維が好ましい。炭素繊維は、上記特性の他、軽量であり、しかも耐熱性や耐薬品性にも優れている点で好適である。
マトリックス樹脂としては、本発明では従来技術の問題点の原因の一つでもあった熱可塑性樹脂に代え、熱硬化性樹脂を用いる。熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、それらの混合樹脂であっても良い。これら樹脂の常温(25℃)における樹脂粘度としては、1×10Pa・s以下であることが好ましく、この範囲内であれば本発明を満たすタック性およびドレープ性を有するプリプレグ基材を得ることができる。
各プリプレグ基材2a〜2d、3、4の1層の厚みとしては、成形品の厚みにもよるが0.02〜1mmの範囲が好ましい。0.02mmより薄い場合は、必然的に任意の1つの切り込みにより切断される繊維本数が少なくなり、成形に過度に流動し易くなり繊維がうねり等の変形を生じやすくなる。また、例えば、成形品の厚みが2mmの繊維強化プラスチック部材を得るためには100層以上のプリプレグ基材の積層が必要となり、生産効率の面からも現実的ではない。一方、プリプレグ基材1層の厚みが1mmよりも厚い場合は、積層した時に1つの層が受け持つ繊維占有率(配分率)が大きくなるので、異方性が顕著に表れ、成形部材にソリ等が生じる可能性がある。
次に、本発明のプリプレグ積層体1の構成基材であるプリプレグ積層基材2について詳細に説明する。
図2は、図1のプリプレグ積層基材2のうちのプリプレグ基材2bの部分拡大平面図であり、図のY軸方向が強化繊維7の繊維軸方向(以下、単に繊維方向と言う)を、X軸方向が繊維方向とは直交する方向を示している。
図2に示すように、プリプレグ基材2bは、強化繊維7として、図のY方向へ一方向に引き揃えられた炭素繊維に、マトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂(図示せず)が含浸されたプリプレグ5から構成され、繊維方向と直交するX方向に複数の切り込み6a、6bが入れられた状態で、離型紙(図示せず)に密着・支持され、且つゴミ付着等から保護されている。
このように、プリプレグ基材は、離型紙によって密着・支持されていることにより、全ての強化繊維7が切り込み6により切断されてもその形態を保持することが可能となり、搬送時に繊維が個々に分離してバラバラになってしまうという問題はない。この密着・支持は、マトリックス樹脂がタック性を有する熱硬化性樹脂であることによって初めて可能になることであり、タック性を持たない従来技術の熱可塑性樹脂から構成されるプリプレグ基材では離型紙を密着出来ないため、搬送やプリプレグ基材の積層が困難である。なお、本発明において、「離型紙」とは、例えばクラフト紙などの紙類やポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリマーフィルム類、アルミなどの金属箔類などをシート状に形成したもので、樹脂との離型性を得るために、支持体表面にシリコーン系や“テフロン(登録商標)”系の離型剤や金属蒸着等を付与してもよい。
切り込み6a、6bは、いずれも強化繊維7を横切るX方向に断続して一列上に設けられている。例えば、切り込み6aは、切り込み長さLが2〜50mmの範囲の有限長のもので、次の切り込み6aまでの切り込みなしの間隔L3を経て、複数本が一列上に設けられている。切り込み長さLが2mmよりも小さい場合は、ひとまとまりの繊維の集合体が小さくなるため、成形時の流動により繊維がうねりなどの変形を生じやすく力学特性の低下を招き、50mmより大きい場合は、ひとまとまりの繊維の集合体が大きくなるため、繊維の流動性が悪くなり力学物性のバラツキが大きくなる。この点から、切り込み長さLは5〜30mmがより好ましい。
また、切り込み6aの両側には、切り込み6aの切り込みなしの間隔L3を跨ぐ位置に、切り込み6bが断続して一列上に設けられている。すなわち、切り込み6bは、該列を繊維長手方向に平行移動した際に最初に重なる切り込み6b列との間隔L2が、繊維長さとして10〜100mmの範囲の位置関係に設けられている。
また、切り込み6bは、切り込み6aに比べると、切り込み6bが切り込み6aを跨ぐ位置まで繊維直交方向にずれているとともに、隣り合う列の切り込み6aとのX方向における相対的位置は、切り込み6aによって長さL1だけ切り込まれて、切り込みが重なり合う関係を有する。一方、切り込み6a側から見ても同様であり、切り込み6bによって長さL1だけ切り込まれている関係を有する。本発明では、この切り込みの重なりが存在することが必須の要件であり、その切り込みの重なり幅L1は0.1mm以上である。
L1が0.1mmよりも小さい場合、現実上機械的裁断の制御が難しく、切り込み操作により切断されず所望繊維長さより長い繊維が発生することがあり、その繊維が流動性を著しく阻害するため好ましくない。
また、切り込み6a、6bを有するそれぞれの切り込み列は、図6に示すように、切り込み長さLが必ずしも同じではなく、それぞれ切り込み長さが異なる(La、Lbで、La>Lb)場合もある。この場合は、隣り合う切り込み(6a、6b)のうち短い方の長さ(Lb)の0.1倍以下の長さであることも必須の条件である。(従って、この場合の切り込みの重なり幅L1は、L1≦0.1×Lbということになる。)
一方、切り込みの重なり幅L1が隣り合う切り込みのうち短い方(Lb)の0.1倍より大きい場合は、任意の1つの切り込みにより切断される繊維本数に対する互いに切り込んでいる繊維本数の割合、すなわち所望繊維長さL2より短い繊維(L4、L5)の割合が多くなり、成形後の繊維強化プラスチックの力学特性の低下が顕著に表れるため好ましくない。なお、ここでいう「隣り合う切り込みのうち短い方」とは、プリプレグ基材の端部で切り込みが途切れているような場合は含めないものとし、このような場合には、端部に掛からない一つ内側の切り込みを基準として判断するものとする。なお、各隣り合う該列がX方向に長さL3だけずれていない場合は、切り込みにより切断されない繊維が存在するので、成形型へのマトリックス樹脂充填時における強化繊維の流動性が著しく低下する。
また、前述の「間隔L2」とは、強化繊維7に対する切断長さであるから、成形すべき繊維強化プラスチックの力学特性に大きく影響する値であり、本発明では以下「所望繊維長さ」と称することにする。前述したとおり、間隔L2は10〜100mmの範囲が好ましいが、10mmより小さい場合は、繊維の長さも短くなるため、繊維による補強効果が低下し、繊維強化プラスチックとしたときに十分な力学特性を得ることができない。一方、100mmよりも大きい場合は、成形時の流動性が悪くなり複雑形状を形成するのは難しい。よって、より好ましい該間隔は10〜50mmである。図2の場合、所望繊維長さL2を有する短冊状のプリプレグの幅はL3であり、因みに上記切り込み6b自体の長さLbと、切り込み重なり幅L1との関係は、Lb=L3+2L1の関係にある。そして、任意の1つの切り込みにより切断される繊維本数は、5,000〜50,000本の範囲であるのが好ましい。繊維の本数が5,000本より少ない場合、成形時の流動により繊維がうねり等の変形を生じやすく、力学特性が低下することがある。繊維の本数が50,000本より多い場合、繊維長手方向に隣り合う切り込みの間隔に囲まれたひとまとまりの繊維の集合体が大きくなるため、繊維の流動性が悪くなり、力学特性の低下だけでなくバラツキも大きくなり好ましくない。
切り込みの基本構成は上述の通りあるが、プリプレグ基材2a〜2dに適用する場合、以下の種々の形態とすることができる。
すなわち、各プリプレグ基材2a〜2dに適用する切り込みの方向としては、後述する図5や図7のように繊維方向に対して傾斜させることもできるが、切り込みの方向が全て繊維直交方向であることが好ましい。切り込みの方向が全て繊維直交方向であると、特定の本数の繊維を切断するのに要する切り込みの長さが最小となり、力学特性の低下を最小限に抑えることが可能となる。さらには、等方性に流動させるためには、切り込みの方向が全て繊維直交方向であることが好ましい。
また、切り込みの形状、寸法および方向としては、同一であることが好ましい。切り込みの形状、寸法および方向が2種以上であっても本発明の効果は得られるが、全て同一であることにより、繊維の流動性が異方性でなく均等となるため繊維の流動性制御が容易になり、反りの発生も抑制され、かつ繊維方向の配向制御により任意の力学物性を有する成形体の設計も容易になるからである。
また、各プリプレグ基材2a〜2dは、該切り込みが繊維を横切る方向に沿って等間隔で連続して分布してなることが好ましい。等間隔の場合、上記の切り込みの形状、寸法および方向と同様に、繊維の流動が均等となるため繊維の流動性の制御が容易になり、反りの発生も抑制され、かつ繊維方向の配向制御により任意の力学特性を有する成形体の構造設計も容易になるため好ましい。
また、プリプレグ積層基材2を構成するプリプレグ基材2a〜2dのパターンとしては、2〜6パターンの複数のものを含むことが好ましい。すなわち、強化繊維が0/90゜方向ばかりではなく±45゜様な斜行方向を有するパターンがこの範囲内であると、パターンが一つだけである欠点を他のパターンを有するプリプレグ基材が互いに補い合い、強化繊維の流動性において、より等方性を発現することができる。しかし、構成プリプレグ基材のパターンが1つだけの場合、切り込みにより切断されない繊維が存在し、繊維の流動性が著しく低下する。一方、該切り込みからなる列のパターンが7以上ある場合、繊維の流動制御が困難になり、設計どおりの成形体の成形が困難となる。
次に、図3〜図7は、図2の切り込み6a、6bとは異なる切り込みパターンを示す平面図で、図3は、切込みが第1の切り込み列9と第2の切り込み列10とからなる2パターンのもので、切り込みの形状、寸法および方向が同一のものである。図4は、切り込み列が3列9〜11からなる3パターンのもの、図5は、図3のパターン列9、10を45°傾斜させたもの、図6は、図3の切り込み列9、10のうち切り込み列10の長さを短くして配置したもの、図7は、図3のパターン列9、10を交互に方向を変えて45°傾斜させたものである。
このように、切り込みパターンは、成形型、成形すべき繊維強化プラスチックの構造および強化繊維の流動方向に応じて種々のパターンとすることができる。すなわち、本発明では、該プリプレグ積層基材の隣り合う該列の切り込みが互いに切り込み合うことによって、所望繊維長さと所望繊維長さよりも短い強化繊維とにより構成され、繊維の流動性は非常に良好となる。一方、隣り合う該列の切り込みが互いに切り込んでいない場合、切り込みにより切断されず所望繊維長さよりも長い繊維が発生し、その繊維が流動性を著しく阻害する。これは、一方向に引き揃えられた連続繊維を強化繊維とするプリプレグにおいて、繊維はその繊維自体の特性上、およびプリプレグ化の工程上の理由により厳密には一方向に真直にはなっておらず、うねり・ヨレ等の変形を伴っていることに起因する。そのため、切り込みを有するプリプレグ基材の隣り合う列の切り込みが互いに切り込むこと、すなわち切り込みの重なり合う部分を有することにより、確実に所望繊維長さよりも長い強化繊維が発生することを防ぐことができ、プリプレグ積層基材2は、全ての強化繊維が連続繊維ではなく、少なくとも2種以上の異なる長さの短繊維の強化繊維により構成される。なお、本発明でいう「短繊維」とは、長さが100mm以下のものとする。切り込みを有する該プリプレグ基材の全面に上記の条件を満たす切り込みが挿入されることにより、成形時に強化繊維は流動可能、特に繊維長手方向にも流動可能となり、複雑形状への追従性、即ち賦形性に極めて優れる。該切り込みがない場合、即ち総ての強化繊維が連続繊維のみの場合、繊維長手方向には流動しないため、複雑形状を形成することは出来ず、かなり限られた形状にしか適用できない。図1に示すように、プリプレグ積層基材2は、前述のプリプレグ基材2a〜2dを順次積層し、一体化したものであるが、積層構成としては、用途に応じてそれぞれに適した積層構成とすればよく、特に制限はないが中でも積層体の繊維配向が[0/±45/90]s、[60/0/−60]等の如く疑似等方積層が、得られる成形体を均等な物性とし、反りの発生抑制効果が大である。さらに、積層して一体化させることにより、成形時の取扱い性が向上し、更に設計通りの積層構成を保ったままで成形することができる。また、本発明のプリプレグ基材のマトリックス樹脂は熱硬化性樹脂であるため、タック性を有し、基材同士は粘着により容易に一体化させることが可能となり、相乗効果を有する。
次に、本発明のプリプレグ積層体1の構成基材であるプリプレグ基材3、4について説明する。
プリプレグ基材3、4は、前述したように、プリプレグ積層基材2の欠点である短繊維構成のための力学特性低下を改善するために設けるものである。すなわち、切り込み6a、6bのない連続した繊維のみを強化繊維とするプリプレグ基材で構成されたプリプレグ積層基材の場合は、前述の通り、形状追随性、即ち賦形性が悪く、成形形状に制限を有するという問題があるため、本発明では図1に示すように、厚み方向の中心部分は切り込みが入ったプリプレグ積基材2で構成し、曲げ負荷が作用した時、最も負荷が大きい表層部分にだけ切れ目のない連続繊維補強プリプレグを配置する。この連続繊維補強プリプレグ3、4は、必ずしもプリプレグ積層基材2の両面に配置する必要はなく、用途や負荷条件によっては片側だけに配置しても大きな改善に繋がる。
また、この連続繊維補強プリプレグ3、4の積層枚数は、プリプレグ基材の条件(繊維の品種や目付など)や成形形状などによって異なるが、例えば目付が200g/m以上の場合は、片側で8層以下、好ましくは4層以下が好適である。なお、目付としては、150〜450g/mの範囲のものが好ましい。150g/m未満では、強化繊維の量が少ないため補強効果が低下したり、繊維が過度に流動し易いことから繊維の乱れを生じ易く、450g/mを超えると基材の剛性が高くて複雑形状に追随し難いからである。
更に、このプリプレグ基材3、4の形態としては、平織、綾織、繻子織等の織組織を有する織物や、一方向基材が挙げられる。なお、繊維が曲がっているマット状基材は不適である。
本発明のプリプレグ積層体は、その構成としては以上の通りであるが、以下のような優れた作用、効果を有する。
プリプレグ積層体1を構成するプリプレグ積層基材2は、強化繊維7の方向が一方向で、かつ、繊維配向の角度を変えた種々のパターンのプリプレグ基材2a〜2dを含むので、流動時の繊維方向の配向制御が容易になり、任意の力学特性を有する繊維強化プラスチック成形体の構造設計が可能となる。強化繊維の炭素繊維は、軽量であり、しかも比強度および比弾性率において特に優れた性質を有し、さらに耐熱性や耐薬品性にも優れていることから、軽量化が望まれる自動車部材、自転車・オートバイ部品や風車などの各種部材に好適である。
また、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂であることにより、プリプレグ基材が室温においてタック性を有している。よって、該基材を積層した際に隣接する基材と粘着により一体化され易く、意図したとおりの積層構成を保ったままで成形することができる。すなわち、熱硬化性樹脂から構成されるプリプレグ基材は、室温において優れたドレープ性を有するため、例えば、凹凸部を有する成形型を用いて成形する場合、予めその凹凸に沿わした予備賦形を容易に行うことが出来る。この予備賦形により成形性は格段に向上し、成形型の凹凸に沿った強化繊維とマトリックス樹脂に対する流動制御も容易になる。一方、室温においてタック性のない従来技術の熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とするプリプレグ基材では、室温でのプリプレグ基材の積層自体が困難であるため、予め加熱して軟化した状態でしか賦形が出来ず、取扱いが難しいため結果として繊維の配向ムラの大きい繊維強化プラスチックとなる。特に、凹凸部を有する成形型で成形する際は、その差異が顕著に現れる。
以上に説明した本発明に係るプリプレグ積層体及び繊維強化プラスチックは、例えば次のようにして製造することができる。
まず、公知の方法により、一方向に引き揃えた炭素繊維を強化繊維、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とするプリプレグ基材を作成し、前述の離型紙で支持する。
次に、プリプレグ基材表面に種々の方向の切り込み6a、6bを入れて、図1のプリプレグ基材2a〜2dの個々の基材を作成する。プリプレグ基材に切り込みを入れる方法としては、カッターを用いての手作業や自動裁断機により切り込みを入れる方法、あるいは一方向に引き揃えられた連続繊維のプリプレグ製造工程において所望繊維長さの間隔を隔てて切断刃を配置した回転ローラ等を介して連続的に切り込みを入れる方法等がある。簡易的にプリプレグ基材に切り込みを入れる場合には前者が、生産効率を考慮し大量に作製する場合には後者が適している。また、プリプレグ積層基材2としては、強化繊維を切断する方向のみに切り込みを入れることにより期待される効果は発現するが、横方向への繊維同士の繋がりを除きたい場合は、加えて繊維長手方向に切り込みを入れても差し支えない。そして、得られたプリプレグ基材2a〜2dをこの順に積層し、図1のプリプレグ積層基材2を得る。
次に、タテ糸とヨコ糸を連続した炭素繊維で織成した織物とし、これに熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とするプリプレグ基材3、4を準備し、前述のプリプレグ積層基材2の最表面の両側に積層し、本発明のプリプレグ積層体1とする。
得られたプリプレグ積層体1は、成形型内の凹凸形状沿って必要枚数が設置場所に応じて更に積層され、成形型とともに全体が所定時間、所定温度にて加熱硬化され、脱型されて本発明の繊維強化プラスチックとなる。加熱硬化せしめる方法としては、真空バッグ成形、金型プレス成形、オートクレーブ加圧成形、シートワインディング成形等が挙げられ、生産効率を考慮すると金型プレス成形、即ちホットプレス成形が好ましい。
本発明のプリプレグ積層体及びこれを成形した繊維強化プラスチックは、あらゆる産業用途に好適に使用できることは勿論であるが、特に強度、剛性、軽量性が要求される、自転車のクランクやフレームなどの部材、ゴルフ等のスポーツ部材のシャフトやヘッド、ドアやシートフレームなどの自動車部材、ロボットアームなどの機械部品に適用できる。中でも、強度、軽量に加え、部材形状が複雑で、本材料のように形状追従性が要求されるクランクなどの自転車部材、シートパネルやシートフレーム等の自動車部品に好ましく適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特にこれに限定されるものではない。なお、本実施例で用いた平板成形方法および機械特性評価方法は次のとおりとした。
<平板成形方法>
一方向に引き揃えられた炭素繊維と熱硬化性樹脂からなるプリプレグ5を作成し、これから繊維長手方向と、繊維長手方向から45゜回転してずらした方向の二方向に、それぞれ250×250mmの大きさに切り出した。切り出した各プリプレグ基材を16層疑似等方(([45/0/−45/90]2Sに積層してプリプレグ積層体1を作製した。そして、外形寸法が300×300mmの金型上に該プリプレグ積層体を配置した後、加熱型プレス成形機により、6MPaの加圧下で、150℃×30分間の加熱条件により加熱硬化せしめ、外形が同様に300×300×1.7mmの平板状の成形体を得た。
<機械特性評価方法>
得られた平板状の成形体より、長さが250mm±1mm、幅が25mm±0.2mmの引張強度試験片を切り出した。そして、これをJIS K−7073に規定する試験方法に従い、標点間距離を150mmとし、クロスヘッド速度2.0mm/分で引張強度を測定した。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン(登録商標)万能試験機4208型を用いた。測定した試験片の数はn=10とし、平均値を引張強度とした。
(実施例1)
図2において、プリプレグ5として、一方向に引き揃えられた炭素繊維7にエポキシ樹脂が含浸され、表面がシリコーンコーティング処理された厚さ100μmの離型紙上に巻き取られたプリプレグ(東レ(株)製品P3052S−15:繊維重さ150g/mで、樹脂含有率33wt%、厚み0.15mm)を得た。そして、このプリプレグ5に対し、自動裁断機を用いて図2に示すような切り込み6a、6bを炭素繊維の繊維方向と直交する方向に断続的に入れたプリプレグ基材2cを得た。
切り込みの長さL(La=Lb)は、10.5mmであり、所望繊維長さL2は30mmである。また、隣り合う切り込み6bの列は、切り込み6aの列に対して、繊維直交方向に10mmずれている。すなわち、切り込み列のパターンは、切り込み6aと切り込み6bとからなる2パターンである。更に、隣り合う列の切り込みは切り込みの重なり幅L1として0.5mmずつ切り込み合っている。また、任意の1つの切り込みにより切断された繊維本数は23,625本である。エポキシ樹脂の25℃雰囲気下における粘度は、2×10Pa・sであり、該基材はタック性を有していた。上記切り込み入りのプリプレグ基材から、繊維長手方向と、繊維長手方向から45゜回転してずらした方向に、それぞれ外形寸法が250mm×250mmの大きさに切り出し、各プリプレグ基材を16層疑似等方([45/0/−45/90]2S)に積層した。
次に、その16層からなるプリプレグ積層基材の両側表層に、外形寸法が300×300mmの大きさで平織からなる連続繊維強化プリプレグ(東レ(株)製品F6343B−05)を各々1plyずつ配置したプリプレグ積層体を作製した。その積層体を、キャビティ部分の外形寸法が300mm×300mmの金型上に配置した後、加熱型プレス成型機により、6MPaの加圧下、150℃×30分間の条件にて硬化せしめ、300mm×300mm×2.1mmの平板状の成形体を得た。
得られた成形体は、強化繊維のうねり等の変形を伴うことなく、切り込み入りプリプレグの繊維も成形体端部まで均等かつ充分に流動していた。また、反りもなく良好な平面平滑性であった。また、成形体の機械特性を前述の機械特性評価方法で評価した結果、引張強度は440MPa、引張弾性率は48GPaであり、平織の0/90方向に曲げ負荷を掛けて測定した曲げ強度は630MPa、曲げ弾性率は52GPaと高い値であった。
(実施例2)
本実施例では、それぞれの切り込みの長さを12mmとし、隣り合う列の切り込みが互いにL1=2mm切り込んでおり、また、任意の1つの切り込みにより切断された繊維本数を27000本としたこと以外は、実施例1と同様(16層疑似等方積層)にして、切り込みを有するプリプレグ積層基材を作製した。
次に、該プリプレグ積層基材の両側表層に、300×300mmの大きさで一方向からなる連続繊維強化プリプレグ(東レ(株)製品P3052S−15)を各々2plyずつ(表面側[0/90]、裏面側[90/0])配置したプリプレグ積層体を作製した。このプリプレグ積層体を実施例1と同様の金型、加熱型プレス機を用い、実施例1と同様の成形条件でホットプレス成形した。その結果、外形寸法が300mm×300mm×2.2mmの平板状の成形体を得た。得られた成形体は繊維のうねりを伴うことなく、成形体端部まで切り込み入りプリプレグの繊維が均等かつ充分に流動していた。また、反りもなく良好な平面平滑性であった。
そして、この成形体の機械特性を連続繊維方向に負荷を掛けて前述の方法によって評価した結果、引張強度は640MPa、引張弾性率は51GPaと実施例1に比べ、高い値であり、曲げ強度は840MPa、曲げ弾性率は62GPaと非常に高い値であった。
(比較例)
今度は使用したプリプレグ基材は実施例1と全く同様で、両側表層に配置した連続繊維補強プリプレグを除去した16層からなる切り込みを有するプリプレグ積層基材だけを用いて、実施例1と同様の成形条件にて成形して、外形寸法が300×300×1.7mmの平板状の成形体を得た。
得られた成形体は繊維のうねりを伴うことなく、繊維が成形体端部まで均等かつ充分に流動しており、実施例1同様に反りもなく良好な平面平滑性であった。
しかし、成形体の機械特性を連続繊維の前述の方法で評価した結果、引張強度は390MPa、引張弾性率は43GPaであり、曲げ強度は560MPa、曲げ弾性率は42GPaと、実施例1や実施例2と比べて低い値であった。
以上の実施例と比較例のデータを纏めたのが次の表1である。
Figure 0004779754
上記表1から、切り込みを有するプリプレグ積層基材の最表層に(少なくとも片側に)連続繊維で強化されたプリプレグを配置することによって、かかるプリプレグを配置しない場合と比較して、引張強度や引張弾性率も向上しており、特に曲げ強度、曲げ弾性率が大幅に向上していることが判る。
本発明に係るプリプレグ積層体の全体図で、このうち図1Aは最下層のプリプレグ基材以外のプリプレグ基材を一部破断して積層した平面図、図1Bは一部破断を行っていない図1におけるA−A矢視の断面図である。 図1のプリプレグ積層基材2を構成する基材のパターン例を示す部分平面図である。 図2とは異なるパターンの図1のプリプレグ基材のパターン例を示す部分平面図である。 図3とは異なるパターンの図1のプリプレグ基材のパターン例を示す部分平面図である。 図4とは異なるパターンの図1のプリプレグ基材のパターン例を示す部分平面図である。 図5とは異なるパターンの図1のプリプレグ基材のパターン例を示す部分平面図である。 図6とは異なるパターンの図1のプリプレグ基材のパターン例を示す部分平面図である。
符号の説明
1:プリプレグ積層体
2:プリプレグ積層基材
2a〜2d:切り込みを有するプリプレグ基材
3:最表層の連続炭素繊維を強化繊維とするプリプレグ基材(表面側)
4:最表層の連続炭素繊維を強化繊維とするプリプレグ基材(裏面側)
5:プリプレグ
6、6a〜6c:切り込み
7:強化繊維
9:第1の切り込み列
10:第2の切り込列
11:第3の切り込み列
L :切り込み長さ
La:切り込み6aの切り込み長さ
Lb:切り込み6bの切り込み長さ
L1:切り込みの重なり幅
L2:所望繊維長さ
L3:切込みのない長さ
L4:切り込み6a、6b間の長さ
L5:切り込み6a、6b間の他方の長さ
X:強化繊維の長手方向
Y:強化繊維の長手方向と直交する方向

Claims (10)

  1. 一方向に引き揃えられて平面状に配列された強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されてなるシート状プリプレグを、複数層積み重ねたプリプレグ積層体において、
    (A)前記シート状プリプレグは、強化繊維を連続した炭素繊維とするとともに、前記マトリックス樹脂を熱硬化性樹脂とし
    B)前記シート状プリプレグは、前記連続した炭素繊維の繊維方向を横切る方向に断続的に有限長の切り込みを入れたプリプレグ基材を複数層積層してなるプリプレグ基材積層体と、前記切り込みを入れないで連続した炭素繊維を強化繊維とし、かつ、前記プリプレグ基材積層体の最表層の少なくとも片側に配設されたプリプレグ基材と、で構成されており、
    (C)前記プリプレグ基材積層体を構成する全てのプリプレグ基材が、該プリプレグ基材の全面に繊維を横切る方向に、2〜50mm(L)の有限長の切り込み列が強化繊維の繊維方向に10〜100mmの距離(L2)を隔てて複数列設けられており、前記複数列のうちの隣り合う列は繊維直交方向にずれており、かつ、隣り合う該列の切り込みが切り込みの重なり幅(L1)で互いに切り込んでいることを特徴とするプリプレグ積層体。
  2. 前記積層体の最表層の少なくとも片側に配設されたプリプレグ基材の連続する炭素繊維が、一方向のみに引き揃えられた炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載のプリプレグ積層体。
  3. 前記積層体の最表層の少なくとも片側に配設されたプリプレグ基材が、二方向に引き揃えられた連続する炭素繊維で織成された織物を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリプレグ積層体。
  4. 前記互いに切り込んでいる切り込みの重なり幅(L1)が、0.1mm以上で、かつ、隣り合う列の切り込みのうち、短い方の切り込みの長さの0.1倍以下であることを特徴とする請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
  5. 前記隣り合う列の切り込みの形状、寸法および方向のうちのいずれかが、同一であることを特徴とする請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
  6. 前記切り込みが、前記強化繊維の繊維方向を横切る方向に等間隔で設けられていることを特徴とする請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
  7. 前記切り込みの横切る方向は、全てが前記炭素繊維の繊維方向と直交する方向であることを特徴とする請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
  8. 任意の1つの切り込みにより切断される繊維本数が、5,000〜50,000本の範囲である請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
  9. 少なくとも、前記連続する炭素繊維を強化繊維とするプリプレグ基材が、事前に製品形状に賦形されていることを特徴とする請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体。
  10. 請求項1〜項のいずれかに記載のプリプレグ積層体を加熱・硬化せしめてなることを特徴とする繊維強化プラスチック。
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