JP4779407B2 - 補助冷却装置及びそれを用いた配向ポリエステルフィルムの製造方法並びに配向性ポリエステルフィルムロール - Google Patents

補助冷却装置及びそれを用いた配向ポリエステルフィルムの製造方法並びに配向性ポリエステルフィルムロール Download PDF

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Description

本発明は、主にディスプレイ関連用途、詳細には、拡散板における光拡散層、プリズムシートにおけるプリズム層、反射防止用フィルムにおける反射防止層、偏光板加工に使用される光学機能性フィルムの基材として用いられ、特に表面異物が少なく、加工後の光学的な特性の均一性に非常に優れた配向ポリエステルフィルムロール、並びにその製造方法及びその製造装置に関するものである。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイは、年々、画像を鮮やかに表示させるための高輝度化が進み、さらに大型化と低コスト化が進んできている。これに応じ、ディスプレイの大型化に対応するための各種ディスプレイ部材の軽量化と、ディスプレイ部材の低コスト化を達成できる理想的な材料としての光学用フィルム基材の市場は、ますます拡大している。近年では、1台のディスプレイの製造において、各種機能を有した光学用フィルム(光学機能性フィルム)が使用されることも多くなってきており、さらに、一枚のシートの両面に別々の機能を付与した複合機能を有する高付加価値光学機能性フィルム(例えば、片面に傷つき防止機能、防汚機能、光拡散機能等を有し、反対面に集光機能、近赤外線吸収機能、電磁波遮断機能等複数の機能を有するような光学複合機能フィルム)が要求されるようになってきている。
この光学機能性フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル系ポリマー、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリオレフィン等からなる各種の透明フィルムを基材とし、機能性付与のため、例えば傷つきを防止する保護膜(ハードコート層)、AR層(反射防止層)、集光・光拡散層、偏光板等を基材に積層する各種表面処理加工が施されて得られるものであり、基材フィルムとしては、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性を有することから、配向ポリエステルフィルムが特に利用されている。そして、光学用フィルム基材は、特にディスプレイの大型化に対応するための広幅化、低コスト化に対応するための長尺化が進んでおり、さらには大型ディスプレイ等に組み込んで加工される際に、十分な強度を持つようにフィルム厚みが100μm以上といった厚いものが好んで用いられるようになってきている。
基材となる配向ポリエステルフィルムの製造では、溶融樹脂をシート状に押出して冷却し、未延伸シートを製造する工程が重要となる。溶融樹脂シートを速やかに冷却して結晶配向のない未延伸シートを得ることで、透明性に優れた配向ポリエステルフィルムを製造することができるのである。この溶融樹脂を速やかに冷却する方法としては、冷却ドラムに溶融樹脂シートを密着させる方法が有効であるが、それに加えて100μm以上といった厚みの大きい配向ポリエステルフィルムの製造の場合は、冷却ドラムに接しない面からも積極的に冷却を行う必要がある。これは、特に溶融樹脂のTg近傍における冷却速度が十分でないと、徐冷による溶融樹脂の結晶化が進行し、その結果、延伸配向を完了したポリエステルフィルムの透明性が低下するためである。この反冷却ドラム面側を速やかに冷却する有効な方法として、補助冷却装置を用い、冷却風を吹き付けて冷却を行う方法が適用されている(例えば、特許文献1参照)。
従来の光学用フィルムにおいては、フィルム品質管理として要求されていたのは、主として優れた透明性と取り扱い性、異物等の表面不良がないこと、および表面加工を施す際の加工性であり、この要求に対しては、十分満足できる品質の物が提供されていた。
しかしながら、近年におけるディスプレイの高輝度化に伴い、拡散層、プリズム層、偏光板といった加工を施した後の光学用フィルムをディスプレイに組み込み加工すると、従来はほとんど見られなかった極めてわずかな輝度むらが、ディスプレイ上の出力画像に顕在化するようになってきた。さらには、この加工により顕在化する輝度むらが見られる部分のフィルムを不良品とした場合、ディスプレイの大型化によって光学用フィルムの製品歩留まりが大幅に低下するという問題が近年発生してきた。また、これらの輝度むらは、光学用基材フィルムの製造直後および各種光学加工を施した直後に行われていた従来の検品では、ほとんど確認することができず、その後のディスプレイ加工における最終検品工程になって初めて確認され、不良品として処理されるために品質トラブルとしても非常に損害の大きいものであった。
例えば、図1に示すように、ディスプレイには、バックライトユニット1上に配向ポリエステルフィルム2、液晶パネル4、液晶パネルの表面偏光板5が積層された構造のものがある。なお、7はディスプレイ表面出力画像状態のイメージ図である。このようなディスプレイにおいて、前記した最終検品工程で初めて顕在化するディスプレイの輝度むらを解析すると、フィルム2上に横段状の凹部ともいえる、長手方向200mmの間で12μm以上も厚みが変動するような急峻な厚み変動が存在し(図2参照)、この厚み変動部分3を透過した光が偏光されたとき、もしくは偏光された光が厚み変動部分3を透過したとき、あるいは偏光された光が厚み変動部分3を通過後さらに偏光されたときにディスプレイの輝度むら8が顕在化していることが判明した。このことより、輝度むらの原因を考えると、配向ポリエステルフィルムには旋光性があり、厚み変動部分を透過した光が旋光されるため、当該光を偏光光としてみた場合に輝度むらとなって現れるものと推測される。
さらにこの厚み変動について解析を進めたところ、100μm以上と厚みの大きい配向ポリエステルフィルムを製造するための溶融樹脂シートの冷却固化工程において使用される冷却風による補助冷却装置(例えば、特許文献1記載の装置)に、厚み変動の原因があることが明らかになった。すなわち、補助冷却装置から冷却ドラム上のシートに吹き付けられる冷却風が、該シートに衝突して冷却ドラムに沿った方向に向きを変えて強い勢いで流れ、この向きを変えた気流がダイス直下の溶融樹脂シートに衝突して該溶融樹脂シートを押すために、該溶融樹脂シートが冷却ドラムに着地する位置が変動してしまうことが、厚み変動の原因となっていることが明らかになった。
これに対応すべく、単純に補助冷却装置の操作条件の調整により厚み変動の解消を試みると、フィルムにオリゴマ起因の表面異物が発生したり、あるいはヘイズが1.5%を超えるほどに透明性が著しく低下して、製品として提供できる水準の配向ポリエステルフィルムロールを得ることはできなかった。
従って、ディスプレイ組み込み加工後の出力画像に輝度むらが発生せず、かつオリゴマによる表面異物の少ないという特性を両立し、透明性に優れ光学用に適した配向ポリエステルフィルムは、従来の方法では得ることができなかった。
特開平7−266406号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、オリゴマによる表面異物が少なく、ディスプレイ等の光学用途に加工した際に初めて顕在化する輝度むらを起こすだけの厚み変動の無い配向ポリエステルフィルムを提供すること、当該配向ポリエステルフィルムを得るための製造装置および製造方法を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、溶融樹脂の冷却固化工程における補助冷却装置の設計と、製造時の好ましい室内環境をも含めたその工程条件設定の高度な組み合わせにより、配向ポリエステルフィルムの特性を本発明の範囲に規定することにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記本発明の課題は、以下の達成手段により達成される。
第一の発明は、配向ポリエステルフィルムを製造する際の冷却固化工程での外径1300mm〜2600mmの冷却ドラムで使用される、下記(1)〜(7)を満足する補助冷却装置。
(1)冷却風をシート面に向かって吹き付け、溶融樹脂シートを冷却するための複数の吹出しノズルと、シート近傍の空気を吸引、排出するための複数の吸引ダクトが冷却ドラムの回転方向に沿って交互に配置された構造からなる。
(2)溶融樹脂シートが押出されるダイスに最も近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
(3)上記第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、300mm以上である。
(4)溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、上記第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、300mm以上である。
(5)溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、前記(3)で規定される長さと前記(4)で規定される長さとの和であり、さらに600mm以上1400mm以下である。
(6)少なくとも第一吸引ダクト内部の壁面に、オリゴマ付着防止のためのヒーターが設けられている。
(7)吹出しノズルと吸引ダクトの両側部に、整流板が設けられている。
第2の発明は、溶融されたポリエステル樹脂をシート状に押出し、冷却固化して未延伸シートを得て、少なくとも1軸方向に延伸配向せしめる配向ポリエステルフィルムの製造方法において、溶融樹脂シートを冷却固化する工程で、第1の発明の補助冷却装置を使用することを特徴とする、配向ポリエステルフィルムの製造方法である。
第3の発明は、冷却固化する工程が、クリーン度クラス5000以下の環境下で行われ、全吸引ダクトの合計吸引風量と全吹出しノズルの合計吹出し風量の比(全吸引ダクトの合計吸引風量/全吹出しノズルの合計吹出し風量)が、3.40〜4.50に設定されることを特徴とする第2の発明に記載の製造方法である。
第4の発明は、冷却固化する工程において、冷却固化装置の上方に排気装置を設けることを特徴とする第2の発明又は第3の発明に記載の製造方法である。
第5の発明は、溶融された樹脂をシート状に押出し、冷却ドラムに密着せしめて冷却固化する工程を含み、当該工程において第1の発明の補助冷却装置を使用する製造方法により得られる、ベース厚みが100μm〜350μmである配向ポリエステルフィルムロールである。
第6の発明は、長さ100m以上10000m以下、幅500mm以上2000mm以下の配向ポリエステルフィルムロールであって、以下の(A)〜(D)の条件を満足する事を特徴とする配向ポリエステルフィルムロールである。
(A)フィルムベース厚み(Tbase)が、100μm≦Tbase≦350μmである。
(B)フィルムの任意の位置において長手方向に連続する200mmの範囲のフィルム厚みについて、最小厚みをTminとした場合に、
Tbase−Tmin≧12μmであるような厚みの低減部が15箇所/100m以下である。
(C)フィルムが有するポリエステルオリゴマ起因である長径0.5mm以上の表面異物の量が10個/100m2以下である。
(D)フィルムのヘイズが1.5%以下である。
第7の発明は、フィルムが、プリズムレンズシート又は光拡散板の基材として用いられることを特徴とする第6の発明に記載の配向ポリエステルフィルムロールである。
本発明の補助冷却装置を使用して配向ポリエステルフィルムロールを製造すれば、オリゴマによる表面異物が少なく、ディスプレイ等の光学用途に加工した際に初めて顕在化する輝度むらを起こすだけの厚み変動の無い配向ポリエステルフィルムを得ることができる。得られた配向ポリエステルフィルムロールから巻き出されるフィルムは、優れた光学特性を有しており、かつ、従来厚みの大きい配向ポリエステルフィルムの製造技術では両立しえなかった、加工後のフィルムにおける光学的特性の均一性、特に最終検品工程において初めて顕在化するような組み込み加工後のディスプレイの輝度むらの問題、表面異物のトラブルが同時に解決されており、主にディスプレイ関連用途、詳細には、拡散板における光拡散層、プリズムシートにおけるプリズム層、反射防止用フィルムにおける反射防止層、偏光板加工に使用される光学機能性フィルムの基材として好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、配向ポリエステルフィルムを製造する際の冷却固化工程で使用される、下記(1)〜(7)を満足する補助冷却装置である(図3および図4参照)。
(1)冷却風をシート面に向かって吹き付け、溶融樹脂シートを冷却するための複数の吹出しノズル12と、シート近傍の空気を吸引、排出するための複数の吸引ダクト11が冷却ドラム10の回転方向に沿って交互に配置された構造からなる。
(2)溶融樹脂シートが押出されるダイス9に最も近い部分には、第一吸引ダクト11aが配置されている。
(3)上記第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズル(第一吹出しノズル)12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ17が、300mm以上である。
(4)溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、上記第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ15が、300mm以上である。
(5)溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズル(第一吹出しノズル)12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ16が、1400mm以下である。
(6)少なくとも第一吸引ダクト11a内部の壁面に、オリゴマ付着防止のためのヒーター(図示しない)が設けられている。
(7)吹出しノズル12と吸引ダクト11の両側部に、整流板13が設けられている。
従来の冷却風を吹き付ける補助冷却装置は、シート面に対して垂直に冷却風を吹き付け、樹脂シートを冷却するためのスリット状の吹出しノズルと、シート近傍の空気を吸引、排出するための吸引ダクトを、シートの流れ方向に沿って交互に配置した構造からなるものであり、溶融樹脂(溶融樹脂ダイス)に一番近い部分には、吹出しノズルが配置されていた。これは、溶融樹脂がダイスから押出された直後から速やかに冷却を開始できるという利点に加え、表面異物を防止する効果があるためである。つまり、溶融樹脂内に含まれるオリゴマがダイス付近で最も多く雰囲気中に気化するため、吸引ダクトをダイスに近い部分に配置すると、吸引ダクトはこの気化オリゴマを多く含む空気を吸引してしまう。吸引された気化オリゴマを多く含む空気は、ダクト内でその温度が下がり、オリゴマが固体となって析出する。この析出した固体オリゴマが、冷却固化が十分に進んでいない未延伸シートに落下して付着し、問題となるフィルムの表面異物となる。しかし、溶融樹脂に一番近い部分に吹出しノズルを配置すると、吹出される空気が壁となって、オリゴマを多く含む空気が吸入ダクトへ吸入されるのを防ぐため、吸入ダクト内での固体オリゴマの析出が起こらなくなるのである。
しかし本発明の補助冷却装置では、複数の吹出しノズル12と複数の吸引ダクト11を交互に配置した構造において(構成(1))、溶融樹脂ダイスに一番近い部分に第一吸引ダクト11aが配置されていることが必要である(構成(2))。これは、吹出しノズル12から吹出され、冷却ドラム10上の溶融樹脂シートに衝突してはねて、冷却ドラム10に沿った方向に向きを変えた冷却風を、ダイス9より押出された直後の溶融樹脂シートにぶつかる前に第一吸引ダクト11aにより減衰させ、はねた冷却風によってダイス9から供給される溶融樹脂シートが押されて、冷却ドラム10に着地する位置が変動してフィルム厚が減少することを抑制するためである。このような配置をとることで、溶融樹脂ダイス9に一番近い部分の第一吸引ダクト11aに気化オリゴマが多く含まれる空気が流れ込み、該オリゴマが固化してなる表面異物が発生する危険性が大きくなるが、後述の手段によって、このオリゴマの固化は防止される。
配置する吹出しノズル12の数は、所望する冷却の度合いにより冷却ドラムの大きさ等の諸条件を考慮して適宜決定すればよい。吹出しノズル12の数は下限として好ましくは3本、より好ましくは5本であり、その上限として好ましくは12本、好ましくは10本であるが、もちろん冷却ドラムの大きさ、冷却ドラムの引き取り速度等によっては、13本以上や2本以下の本数であってもよい。
吹出しノズル12を配置する間隔は、狭く配置するほど冷却効率は向上するが、狭く配置しすぎると、吸引ダクトによる吸引に支障をきたすおそれがでてくるため、この点を踏まえた上で所望する冷却の度合いにより諸条件を考慮して適宜決定すればよい。目安として、該吹出しノズル12の配置間隔の下限として好ましくは100mm、より好ましくは125mmであり、上限として好ましくは450mm、より好ましくは350mmである。
吹出しノズル12のノズルスリット幅は、所望する冷却風の強さ、冷却の度合いにより諸条件を考慮して適宜決定すればよい。目安として、その下限として好ましくは5mm、より好ましくは7mmであり、その上限として好ましくは30mm、より好ましくは20mmである。
各吹出しノズルは、冷却ドラム10上の溶融樹脂シートに冷却風が垂直に当たるように設置するのが良い。
本発明の補助冷却装置では、第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ17は、300mm以上であることが必要である(構成(3))。ここで、第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面をとる場合には、図4に示されるように該ダイス側壁面の冷却ドラム側の終端から、冷却ドラム中心14を結ぶ面をとる(下記の長さ15についても同じ)。また、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面をとる場合には、図4に示されるように第一吹出しノズル12aのスリット開口部の中心を通るようにとる(下記の長さ16についても同じ)。長さ17は、好ましくは350mm以上であり、さらに好ましくは400mm以上である。長さ17が300mm未満では、溶融樹脂シートに衝突してはねて冷却ドラム10に沿った方向に流れる冷却風を第一吸引ダクト11aで十分減衰することができず、当該冷却ドラム10に沿った方向に流れる冷却風が、その着地位置を変動させるような強さで溶融樹脂シートにぶつかることを防ぐという、本発明の補助冷却装置が目的とする効果が十分に発揮されない。上限については特に限定されないが、下記に示す溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ15、および溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ16に要求される範囲から自動的に決まる。
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ15については、300mm以上が必要である(構成(4))。下限は、好ましくは350mm以上であり、さらに好ましくは400mm以上である。上記長さ15が300mm未満では、溶融樹脂ダイス付近から気化したオリゴマを多く含む空気を第一吸引ダクト11aが吸引しやすくなり、気化オリゴマが冷却されてダクト内で固化して析出して未延伸シート上に落下すると、表面異物となり大きな品質トラブルにつながる。また、析出してダクト内部に固着したオリゴマを取り除くために製造工程を止める必要が生じるため、コスト面でも非常に不利となる。上限については特に限定されないが、溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ16の上限および第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ17の下限から自動的に決まる。
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ16については、1400mm以下であることが必要である(構成(5))。当該長さ16は、好ましくは1350mm以下であり、より好ましくは1300mm以下である。当該長さ16が1400mmを超えると、反冷却ドラム面において冷却風が吹き付けられるまでに徐冷が進み、特に溶融樹脂のTg付近の温度域において徐冷されるため、樹脂シートの結晶化が進み、その結果、延伸配向後のフィルムヘイズが上昇して光学用に適したフィルムを得ることができなくなる。さらに極端な場合には、徐冷結晶化が進みすぎると、延伸そのものができなくなり、フィルムを製造することができない。長さ16の下限については特に限定はないが、700mm以上が好ましく、より好ましくは750mm以上であり、さらに好ましくは800mm以上である。長さが700mm未満では、必然的に第一吸引ダクト11aのダイス側壁面から冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズル12aと冷却ドラム中心14を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ17が短くなり、シートに吹き付けられてはねた冷却風を第一吸引ダクト11aで十分に減衰することができず、はねた冷却風が溶融樹脂にその着地位置を変動させるような強さでぶつかることを防ぐという、本発明の補助冷却装置が目的とする効果が十分に発揮されない可能性がある。
さらに本発明の補助冷却装置では、少なくとも溶融樹脂から気化したオリゴマが流れ込みやすい第一吸引ダクト11a内部の壁面に、オリゴマの析出防止の処理としてヒーター(図示しない)を設置することが必要である(条件(6))。具体的には、第一吸引ダクト11a内部の壁面に取り付けた面状のヒーターであって、補助冷却装置の冷却機能を阻害しない程度にダクト壁面を加熱することのできる装置を設置する。当該ヒーターの設置により、吸引された気化オリゴマが冷却されて壁面に析出するのを防止することができ、また、析出した場合であっても、オリゴマを再気化させて吸引ダクトから系外に排出することができる。第一吸引ダクト内部の壁面におけるヒーターの設置位置であるが、特に、第一吸引ダクト11a内の第一吹出しノズル12aと接する側の壁面は、吸引ダクト11aとの風量バランスから気化オリゴマを多量に含んだ空気が滞留しやすく、さらに冷却風によってダクト壁面の温度が他の部分よりも低いためにオリゴマが析出し巨大化しやすいので、この部分を中心としてヒーターを設置することが好ましい。また、第一吸引ダクト11a以外の吸引ダクト11の内部の壁面にもヒーターを設置してもよい。なお、オリゴマ析出防止の方法として、ダクト内部の壁面をフッ素樹脂コートなどの表面処理を施すことにより、オリゴマが析出しにくいようにする方法がある。しかし、ダクト壁面にオリゴマがわずかでも析出して付着してしまうと表面処理の効果がなくなるばかりか、表面処理の逆効果として付着したオリゴマが壁面から剥れて樹脂シート上に落下しやすくなるため、本発明においては、好適に用いることはできない。
さらに本発明の補助冷却装置の両側部には、吹出しノズル12からの冷却風と吸引ダクト11へ流れ込む風の流れを整えて、冷却風による冷却効率を向上させ、かつ吸引ダクト11へ周辺空気から異物やオリゴマが流入することを防止するための側板(整流板)13が設けられていることが必要である(構成(7))。側板13を設置しないと、前記した他の条件を補助冷却装置が満たしていても、冷却装置からの冷却風と吸引風が安定せず、十分な冷却効率を得られないため、フィルムの透明性が低下したり、あるいは溶融樹脂ダイス9に面した部分での気流が安定せず、溶融樹脂シートに冷却風がぶつかって溶融樹脂のドラム着地点が変動し、その結果、急峻なフィルム厚み変動の発生につながる。
その他の補助冷却装置の構成(例えば、吹出しノズル12より冷却風を吹出すための手段、吸引ダクト11より空気を吸引するための手段、電源手段等)については、従来の補助冷却装置にならった構成とすればよい。
本発明の補助冷却装置は、冷却ドラム10の大きさに応じて構築することができるものであるが、使用に特に適した冷却ドラムの外径としては、下限として好ましくは1300mm、より好ましくは1500mmであり、上限として好ましくは2600mm、より好ましくは2300mmである。
本発明の補助冷却装置は、配向ポリエステルフィルムの製造はもちろん、他の熱可塑性樹脂(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等)フィルムの製造にも好適に使用することができる。
特に、厚みが、冷却固化後未延伸時の厚みで900μm以上、より好ましくは1000μm以上、3800μm以下、延伸後の厚みで100μm以上、より好ましくは100μm以上、350μm以下であるフィルムの補助冷却に好適である。
次に、本発明は、溶融されたポリエステル樹脂をシート状に押出し、冷却固化して未延伸シートを得て、少なくとも1軸方向に延伸配向せしめる配向ポリエステルフィルムの製造方法において、溶融樹脂シートを冷却固化する工程で、上記補助冷却装置を使用することを特徴とする配向ポリエステルフィルムの製造方法である。
本発明の製造方法に用いるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートが特に好適である。ポリエステル樹脂として、ポリエステル共重合体を用いる場合、そのカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリロット酸及びピロメリロット酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p−キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。共重合体組成比の一例としては、ポリエチレンテレフタレートを構成するモノマー成分に、他のコモノマー成分を20モル%未満(コモノマー成分がカルボン酸成分である場合には、全カルボン酸成分中。コモノマー成分がグリコール成分である場合も同様)添加するのが好ましい。20モル%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る場合がある。上記のカルボン酸成分とグリコール成分とを所定量調合して、触媒に、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などを使用して、ポリエステル共重合体が製造される。また、上記ポリエステル系樹脂には、各種の添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂には、光学用途としての優れた透明性をより発揮するため、易滑性付与を目的とした粒子は、実質的に含有させない(つまり配合しない)ことが望ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが工程内で混入する場合もあるためである。
上記ポリエステル樹脂は、市販品、合成品のいずれであっても構わない。
原料であるポリエステル樹脂は、通常ペレット状であるが、該ペレットの固有粘度は、0.45〜0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/g未満であると、耐引き裂き性向上効果が悪化する。一方、固有粘度が0.70dl/gを超えると、濾圧上昇が大きくなり、後述する高精度濾過が困難となる。
このポリエステル樹脂ペレットを公知方法により、溶融押出ししてシート状とすることができる。具体的には、例えば、易滑性付与を目的とした粒子を実質的に含有していない樹脂ペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、適切な温度(例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合には約280℃)でシート状に溶融押出しする。
溶融押出しの際、原料樹脂中に含まれている異物を除去するために、上記適切な温度(例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合には約280℃)に保たれた任意の場所で高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材には、特に限定はないが、ステンレス焼結体の濾材が、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことは、生産性が低下する場合があるものの、光学的欠点の少ないフィルムを得るには極めて好適である。
参考までに、溶融樹脂の押出し工程において濾材を通過する微細な異物であっても、シート状溶融物の冷却過程において異物の周囲で結晶化が進み、これが延伸工程において延伸の不均一性を引き起こし、微小な厚みの差異を生じせしめレンズ状態となる。ここでは光はレンズがあるかの様に屈折又は散乱し、肉眼で観察した時には実際の異物より大きく見える様になる。この微小な厚みの差は、凸部の高さと凹部の深さの差として観測することができ、凸部の高さが1μm以上で、凸部に隣接する凹部の深さが0.5μm以上であると、レンズ効果により、大きさが20μmの形状の物でも肉眼的には50μm以上の大きさとして認識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識される場合もある。高透明なフィルムを得るためには、基材フィルム中に易滑性を付与するための粒子を含有させない方が望ましいが、粒子添加量が少なく透明性が高い程、微小な凹凸による光学欠点はより鮮明となる傾向にある。
溶融押出しされたポリエステル樹脂シートを、冷却固化することにより未延伸シートが得られる。具体的には、溶融ポリエステル樹脂を、回転冷却ドラム上にダイスからシート状に押出し、シート状溶融物を回転冷却ドラムに密着させながら、急冷してシートとする。ここで100μm以上といった厚みの大きいフィルムを作成する場合、反冷却ドラム面の冷却速度が十分に得られないため、反冷却ドラム面側を冷却する方法が必要となる。反冷却ドラム面側の冷却速度が十分でなく、特に溶融樹脂のTg近傍で徐冷されると、樹脂の結晶化が進行し、その結果、得られる配向ポリエステルフィルムのヘイズが1.5%を超えるほどに透明性が著しく低下するため、光学用途として好適に用いることができなくなる。そこで、溶融樹脂シートの冷却効率を向上するため、シートの反冷却ドラム面側に補助冷却装置を配置することが必要であり、前記本発明の補助冷却装置を使用する。
補助冷却装置としては、冷却風を溶融樹脂シートに吹き付ける方法が有効であり、従来より、補助装置は一般に用いられている。しかし、この方法で溶融樹脂シートを冷却する工程において、冷却ドラム上のシートに吹き付けられて、はねて方向を変えた冷却風がダイスより押出された直後の溶融樹脂シートにぶつかり、それによって溶融樹脂が押されて冷却ドラムに着地する位置が変動する。この変動が冷却固化された未延伸シートにごくわずかな厚み変動を与える。この厚み変動は、未延伸シートを延伸し配向せしめたあとも保存され、長手方向に連続的に厚みを測定した場合に200mm以内の長さでフィルム厚みが12μmも変動するような急峻なフィルム厚みの凹部として観察される。
この厚み変動部分を透過した光が偏光されたときもしくは偏光された光が厚み変動部分を透過したとき、あるいは偏光された光が厚み変動部分を通過後さらに偏光されたときにディスプレイ上における輝度むらが認識され得るレベルとなり、トラブルの原因となっている。また、透明性と強度を得るために高度に延伸配向を行うほど、加工後にディスプレイ上の輝度むらは認識されやすくなる。
しかし、上記本発明の補助冷却装置を適切な操作条件で使用することにより、配向ポリエステルフィルムの上記輝度むらの問題は解消される。
本発明の冷却補助装置は、十分な冷却効率が得られるよう冷却ドラムに対し配置するのがよい。目安としては、冷却ドラムの表面から、5mm以上、150mm以下離れた距離に配置するのが好ましく、より好ましい距離は10mm以上、100mm以下である。
補助冷却装置の操作条件としては、補助冷却装置のダイスに面した部分の空気の流れが、補助冷却装置側(特に第1吸引ダクト)に向かってゆるやかに流れる状態にすることが重要である。補助冷却装置のダイスに面した部分の空気の流れが、補助冷却装置側(特に第一吸引ダクト)に向かってゆるやかに流れるような状態では、冷却ドラム上のシートに吹き付けられてはねて方向を変えた冷却風の強度が、十分に減衰されており、結果、冷却風がその着地位置を変動させるような強さでダイスより押出された直後の溶融樹脂シートにぶつかることにより起こる厚みの低減部の発生を抑制できる。さらに、上記の状態にすることにより、吸引ダクト内に入り込む気化オリゴマを最小限に抑えることができる。補助冷却装置付近の空気が過剰に吸引ダクトに流れ込むような条件では、前記したような補助冷却装置を用いても、吸引ダクト内に気化オリゴマの流入が多くなり、その結果表面異物による品質トラブルが避けられなくなる。
補助冷却装置のダイスに面した部分の空気の流れが、補助冷却装置側(特に第一吸引ダクト)に向かってゆるやかに流れるような状態となっていれば、操作条件は特に限られないが、かかる状態にする操作条件の一例としては、全吸引ダクトの合計吸引風量と全吹出しノズルの合計吹出し風量の比を以下の範囲に規定することが挙げられる。
3.40≦全吸引ダクトの合計吸引風量/全吹出しノズルの合計吹出し風量≦4.50
吹出し風量には特に制限はないが、風量が小さいほど冷却効率は悪くなるものであるため、好ましい吹出し風量としては、100m3/min以上であり、より好ましくは125m3/min以上である。ただし、吹出し風量がある程度大きくなると、冷却効率は飽和してくるため、吹出し風量としては、最大でも300m3/min程度でよく、より好ましくは250m3/min以下である。
空気の流れを調整し確認するには、例えば補助冷却装置付近にドライアイスの欠片を吊るし、ドライアイス昇華白煙の流れを目視で確認しながら吹出しノズルと吸引ダクトの風量を設定するといった方法で、工程雰囲気のクリーン度などに影響を与えることなく最適な操作条件を決定することができる。
なお、通常、このように吸引ダクト内に空気が流れ込むように操作条件を調節すると、ダクト周辺の空気に含まれる気化オリゴマも同時にダクト内に流れ込む。これが冷却されてダクト内で析出し、未延伸シートに落下すると表面異物となり大きな品質トラブルにつながる。また、一度ダクト内の壁面にオリゴマが析出し固着すると、流れ込んだ気化オリゴマがこれを核として成長し、ある程度以上の大きさになると未延伸シートに落下する。またこの固着したオリゴマを取り除くためには製造工程を止める必要が生じるため、コスト的にも不利となる。しかし、本発明では前記したように最適に設計された補助冷却装置を用いることによって吸引ダクト内に入り込む気化オリゴマを可能な限り少なくし、さらに壁面への析出オリゴマの発生および固着を装置設計の面から防止することによって、前記の操作条件でも、オリゴマ析出の問題なく冷却を行える。
また、吹出しノズルからの冷却風にはHEPAフィルターなどを用いてクリーン化された空気を用いることが好ましい。これによって未延伸シートに付着する異物をより減らすことができ、高品質の配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
さらに本発明の効果をより確実に達成するために、冷却固化工程が行われる環境(例えば、キャスティング室の室内)の空調、特にクリーン度を最適化することが必要である。当該環境のクリーン度は、通常、クラス5000以下とし、クラス3000以下がより好ましい。さらに好ましくはクラス1000以下である。クリーン度がクラス5000を超えると、空気中に含まれる微細な粒子が当該環境内に気化しているオリゴマ成分の核となり、凝集を促進するためオリゴマの析出が早まり、その析出オリゴマが空気中から落下して冷却シートに付着し、表面異物となりより大きな品質トラブルにつながる。
また本発明では、冷却固化装置の上方に排気装置を設けることが好ましい。例えば、キャスティング室のドラム真上付近の天井に、排気システムを配置する。これは、溶融樹脂より気化したオリゴマは上に向かって流れるため、冷却固化装置の上方からオリゴマを速やかに系外に排出することにより、空気中で冷却され析出したオリゴマが未延伸シートに落下し、表面異物となることを防ぐためである。
通常、室内のクリーン度を高めるために、室内の天井付近にフィルターによってクリーン化された空気を送り込む給気システムを配置すると共に、床付近に排気システムを配置し、室内の全体的な空気の流れを上から下に流れるように調整する。これは、空気中に漂う埃等を落下方向に逆らわずに速やかに流すことにより、要求されるレベルのクリーン度を容易に達成することができるからである。従って、前記したように天井付近に排気システムを配置すると、室内のクリーン度を保つことは通常の空調に比べ難しくなり、その結果、空気中の微細粒子を核とした析出オリゴマによる表面異物が発生する危険性が増すが、それに対し、空調の換気流量を上げることで前記したクリーン度を達成することができる。例えば、20m3〜200m3程度のキャスティング室であれば、換気回数30回/hr以上で空調を行えば天井からの排気を行った場合でも本発明の目標とするクリーン度を達成することができる。
補助冷却装置より吹出される冷却風の温度としては、溶融樹脂シートが冷却できる温度であれば特に制限はないが、冷却効率を高めるために、その上限として好ましくは30℃であり、より好ましくは25℃である。また、該温度の下限として好ましくは12℃であり、より好ましくは15℃である。冷却風の温度が12℃未満では、冷却工程の室内環境によっては冷却風温度が室内露点より低くなるため、わずかな水分が結露して未延伸シートに付着し、空気中のオリゴマを吸着するおそれがある。
冷却ドラムの温度としては、溶融樹脂シートが冷却できる温度であれば特に制限はないが、冷却効率を高めるために、その上限として好ましくは40℃であり、より好ましくは30℃である。また、該温度の下限として好ましくは12℃であり、より好ましくは15℃である。冷却風の温度が12℃未満では、ドラム上に水滴が結露しやすくなり、結露した水滴が冷却途中にある熱可塑性樹脂の結晶化を促すため好ましくない。
冷却ドラムロールの引き取り速度としては、溶融樹脂シートの冷却が十分に行える速度であれば特に制限はないが、その上限として好ましくは40m/minであり、より好ましくは30m/minである。また、その下限として好ましくは3m/minであり、より好ましくは5m/minである。
冷却されるシートの厚みとしては、当該冷却固化後未延伸時の段階の厚みでは、900μm以上が好ましく、1000μm以上、3800μm以下がより好ましい。
冷却ドラムおよび本発明の冷却補助装置により冷却固化して得られた未延伸シートを、公知方法により少なくとも1軸方向に延伸配向せしめ、必要に応じ、乾燥、熱固定を行い、配向ポリエステルフィルムを得る。
例えば、PETフィルムの場合には、冷却固化して得られた未延伸シートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して、一軸配向PETフィルムを得る。
その後、必要に応じて一軸配向PETフィルムの片面、若しくは両面に、樹脂塗布層を設ける。例えば本発明では、フィルム原料の樹脂ペレットに易滑性付与を目的とした粒子を含有しないことが望ましいため、当該樹脂塗布層により易滑性を付与することができる。あるいは光学用加工を施す際の加工性向上のため、接着性を付与することができる。
上記樹脂塗布層を設けるには、公知の任意の方法で行うことができる。例示すると、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールフラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独でまたは組み合わせて行うことができる。
次いでフィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、塗布液を乾燥後、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き220〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜20秒間の熱固定処理を行い、延伸配向を完了させる。この熱固定処理工程中で、必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
その後、フィルム両端部をトリミングし、さらに巻き取り装置にて巻き取り、配向ポリエステルフィルムをフィルムロールとして得ることができる。さらに得られたフィルムを必要な幅および長さにスリットして巻き取ってもよい。
さらに本発明は、溶融された樹脂をシート状に押出し、冷却ドラムに密着せしめて冷却固化する工程を含み、当該工程において上記補助冷却装置を使用する製造方法により得られる、ベース厚みが100μm〜350μmである配向ポリエステルフィルムロールである。すなわち、上記製造方法により得られる配向ポリエステルフィルムロールと同一の配向ポリエステルフィルムロールであり、当該配向ポリエステルフィルムロールの具体的な特性としては、長さ100m以上10000m以下、幅500mm以上2000mm以下の配向ポリエステルフィルムロールとしてみた場合に、以下の(A)〜(D)特性を有する。
(A)フィルムベース厚み(Tbase)が、100μm≦Tbase≦350μmである。
(B)フィルムの任意の位置において長手方向に連続する200mmの範囲のフィルム厚みについて、最小厚みをTminとした場合に、
Tbase−Tmin≧12μmであるような厚みの低減部が15箇所/100m以下である。
(C)フィルムが有するポリエステルオリゴマ起因である長径0.5mm以上の表面異物の量が10個/100m2以下である。
(D)フィルムのヘイズが1.5%以下である。
フィルムベース厚み(Tbase)とは、厚みの変動にイレギュラーのない、本来所望する厚みであり、フィルムの長さ方向に沿って100mにわたって厚みを測定した場合に、その厚みの変動が±2μm内の変動におさまっている平坦部分のみの平均厚みを意味する。ベース厚みは、100μm以上350μm以下である必要がある。下限については、好ましくは125μmである。上限については300μmが好ましく、より好ましくは275μmである。フィルムベース厚みが100μm未満では剛性が不十分となり、近年要求されている大型ディスプレイの製造においては加工上好ましくない。一方、フィルムベース厚みが350μmを超えると、フィルムの剛性が増大し加工が困難となる上、ロールにした際に巻き癖がついてカールが残り、加工適性が著しく悪くなる。なお、フィルムの長さ方向に沿って100mにわたって厚みを測定するには、例えば、接触式厚み計(例、「KG60/A」;アンリツ(株)製)を用いればよい。
長手方向に連続する200mmの範囲において、フィルム厚みが12μm以上減少する厚み低減部があった場合に、輝度むらが起こるのであるが、本発明の配向ポリエステルフィルムでは、フィルムの任意の位置において長手方向に連続する200mmの範囲のフィルム厚みについて、最小厚みをTminとした場合に、
Tbase−Tmin≧12μm
であるような厚みの低減部が15箇所/100m以下である。
Tbase−Tminの値は、好ましくは8μm以上である。また、厚みの低減部は、好ましくは10箇所/100m以下であり、より好ましくは、5箇所/100m以下である。なお、Tminは、ベース厚みと同様に、例えば、接触式厚み計で測定される。
ポリエステルオリゴマ起因である表面異物とは、上記にあるように、気化して一度ポリエステル樹脂フィルム外に放出されたポリエステルオリゴマが固化し、フィルムに落下して付着することにより形成される表面異物をいう。長径とは、表面異物の表面上の任意の2点間の距離を測定した場合において、その2点間距離が最大となるときの距離をいう。本発明の配向ポリエステルフィルムロールでは、フィルムが有するポリエステルオリゴマ起因である長径0.5mm以上の表面異物の量が10個/100m2以下である。好ましくは、長径0.5mm以上の表面異物の量が5個/100m2以下である。また、好ましくは、長径0.3mm以上の表面異物の量が10個/100m2以下であり、より好ましくは長径0.3mm以上の表面異物の量が5個/100m2以下である。
本発明においてヘイズとは、ヘイズメーター(例、日本電色製、NDH2000)を用いてランダムに異なる箇所30箇所について測定し、その平均をとった値を意味する。本発明の配向ポリエステルフィルムのヘイズは、1.5%以下であることが、透明性が高度に要求される光学機能性フィルムまたはシートの基材フィルムとして使用する際に、重要である。前記のヘイズは1%以下であることがさらに好ましい。ヘイズが1.5%を超えると、フィルムをLCD用のレンズフィルムや、バックライト用基材フィルム等に用いた場合、画面の鮮明度が低下してしまう。
本発明の配向ポリエステルフィルムロールは、巻き長が下限としては1000m、上限としては5000mであることが特に好ましく、幅が下限としては600mm、上限としては1600mmであることが特に好ましい。
上記を満たす配向ポリエステルフィルムロールから巻き出されるフィルムは、優れた光学特性を有しており、かつ、従来厚みの大きい配向ポリエステルフィルムの製造技術では両立しえなかった、加工後のフィルムにおける光学的特性の均一性、特に最終検品工程において初めて顕在化するような組み込み加工後のディスプレイの輝度むらの問題、表面異物のトラブルが同時に解決されており、主にディスプレイ関連用途、詳細には、拡散板における光拡散層、プリズムシートにおけるプリズム層、反射防止用フィルムにおける反射防止層、偏光板加工に使用される光学機能性フィルムの基材として好適である。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
最初に、実施例および比較例のフィルムロールの評価方法について説明する。
(1)フィルム厚み、厚み凹部の数
実施例および比較例のフィルムロールを用いて、長さ100m、幅500mmの配向ポリエステルフィルムサンプルロールを作成した。サンプルロールから、ロールの幅方向中心部および端部から100mmの位置をサンプル中央とするようにして幅50mmの厚み測定サンプルを3箇所切り出した。接触式厚み計[「KG60/A」;アンリツ(株)製]を用いて、各厚み測定サンプルの長手方向の厚みを連続的に測定してチャートレコーダに出力した。なおこの際、接触式厚み計におけるサンプルフィード速度は200mm/minとした。該出力結果から、厚み変動が±2μm内の変動におさまってほぼ一定となっている部分の平均厚み(ベース厚み)を求めた。さらに連続した長手方向200mmにおいて下記式(1)および式(2)を満たすような厚み凹部を数えた。なお、式(1)を満たす厚み凹部を凹部A、式(2)を満たす厚み凹部を凹部Bとした。ただし、凹部Aは凹部Bにも含まれる。
切り出した3箇所のサンプルについてこの測定を行い、その平均を100mあたりの厚み凹部の数とした。
Tbase−Tmin≧12μm 式(1)
Tbase−Tmin≧8μm 式(2)
Tbase:ベース厚み(μm)
Tmin:連続した200mm内における最小厚み(μm)
(2)表面異物欠点
長さ100m、幅500mmの配向ポリエステルフィルムロールサンプルを暗室内で垂直方向に垂らした。次いでフィルム背面の全面に光沢の無い黒色の布を配置し、配向フィルムを巻き出しつつ、前面(被覆層面)からブロムライト(VIDEO LIGHT VLG301 100V 300W LPL社製)を用いてフィルム面に対し約10°から45°の範囲で該ブロムライトの角度を変えながら、フィルム正面から観察し、ロール表層から長手方向100mについて表面異物欠点を拡大率10倍のスケール付きルーペ(PEAK社製SCALE LUPE ×10)を用いて検出し、マーキングを行った。さらにハケ(コクヨ社製TZ-4021N)を用いて欠点部を軽く払い埃付着ではないことを確認し、樹脂塗布層を持つフィルムの場合はメチルエチルケトンを含浸させたキムワイプ(WIPRS S200:クレシア社製)を用いて欠点部を3回軽く擦り、欠点部が消失しないことで樹脂塗布層由来の異物でないことを確認した上で、長径0.5mm以上の表面異物欠点を欠点A、長径0.3mm以上の表面異物欠点を欠点Bとして、下記式(3)により表面異物欠点の個数を算出した。なお、欠点Aは欠点Bにも含まれる。
表面異物欠点数(個/100m2)
=〔ロール長100m中で確認された表面異物の個数(個)〕/[1000(mm)/サンプルロールの幅(mm)] 式(3)
(3)ヘイズの測定
フィルム試料を、ヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いてランダムに異なる箇所30箇所について測定し、その平均値をヘイズとした。
(4)輝度むら
長さ100m、幅500mmの配向ポリエステルフィルムサンプルロールについて、ロールの幅方向中央部を、長手方向1mおきに長さ210mm幅300mmの形状に切り抜いたサンプルを100枚作成した。切り抜いた各々のサンプルをライトボックス(フジカラー製 ライトボックスNEW5000インバーター)に置き、さらにその上に偏光板を配置した。この状態でライトボックスの照明を点灯し、偏光板を360°回転させながら偏光板を通したフィルム透過光の状態を観察し、透過光の輝度に帯状のむらが見られるサンプルの枚数を数え、以下の基準に基づき輝度むら歩留まりの指標とした。なお、歩留まり評価Aが当然理想ではあるが、歩留まり評価B以上の配向ポリエステルフィルムロールであれば光学用途として好適に用いることができる。
輝度むらが見られるサンプル枚数が 0枚 : 歩留まり評価A
輝度むらが見られるサンプル枚数が 1〜 5枚 : 歩留まり評価B
輝度むらが見られるサンプル枚数が 6〜10枚 : 歩留まり評価C
輝度むらが見られるサンプル枚数が 10枚以上 : 歩留まり評価D
(5)ディスプレイ用途としての使用適合性
前記したフィルムロールの評価結果から、表面異物欠点Aが10個以下、ヘーズ1.5%以下、輝度むら歩留まり評価B以上の条件をすべて満たす配向ポリエステルフィルムロールを使用適合性合格とした。
次に、本発明における製造工程条件の確認・調整方法としては以下の方法を用いた。
(6)補助冷却装置周辺の空気の流れ
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分の近辺にドライアイスの欠片を吊るし、ドライアイスからの昇華白煙の流れを目視で確認することにより、補助冷却装置付近の空気の流れを確認し5段階で評価した。
評価1:補助冷却装置付近の空気が溶融樹脂ダイスに向かって勢いよく吹出している。
判断基準としては、補助冷却装置から200mm以上離れた箇所においても吹出している空気の流れが確認できること。
評価2:補助冷却装置付近の空気が溶融樹脂ダイスに向かって緩やかに吹出している。
評価3:補助冷却装置付近の空気がほとんど滞留して無風、あるいは吸込みと吹出しをランダムに繰り返している。
評価4:補助冷却装置付近の空気がゆるやかに補助冷却装置内に吸込まれている。
評価5:補助冷却装置付近の空気が勢いよく補助冷却装置内に吸込まれている。
判断基準としては、補助冷却装置から200mm以上離れた箇所においても吸込まれる空気の流れが確認できること。
(7)キャスティング室のクリーン度
FED−8TD−209D規格に準じ、パーティクルカウンタを用いてキャスティング室内クリーン度を測定した。測定箇所は冷却ドラムの真上500mmの位置および冷却ドラム中心軸に沿って冷却ドラムの左右1000mmの位置の3箇所で行い、その平均値をクリーン度の指標とした。
(実施例1)
(易滑性付与のための塗布液A)
まず、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)ジメチルテレフタレート49モル%、ジメチルイソフタレート49モル%及び5−スルホナトイソフタル酸2モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%を用いて、常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。
次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、および界面活性剤である大日本インキ化学工業(株)社製のメガファック(登録商標)F−142D0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したところで、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加えた。樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。
さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を、水50質量部にホモジナイザーにより1000rpmで1時間分散させた。上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部に、このサイリシア310の水分散液0.54質量部を加え、さらに撹拌しながら水20質量部を加えて塗布液Aを得た。
(1)配向ポリエステルフィルムロールの製造
配向ポリエステルフィルムロールの製膜実施例原料ポリマーとして、粒子を含有していない固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(133.3Pa)した後、押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押出しした。これを表面温度20℃に保った冷却ドラム(ドラム径=1800mmφ)に静電印加法にて密着させると同時に、以下の条件を満たす補助冷却装置Aを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmの未延伸シートを得た。
なおこの際、溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用い、溶融樹脂の高精度濾過を行った。
<補助冷却装置A>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=425mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第6吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室は床5m四方、天井高さ6mで容積150m3であり、キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000であった。
次に、この未延伸シートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで95℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.2倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
次いで、前記塗布液Aを濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で一軸延伸ポリエステルフィルムの一方の表面に塗布、乾燥した。なお、この時の塗布量は幅方向の延伸工程終了後における固形分換算で、0.08g/m2となるように調整した。
引き続いてフィルムの端部をクリップで把持して温度120℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.2倍に延伸した。次にその延伸された幅を保ったまま、温度220℃の熱風ゾーンにて熱固定処理を行い、さらに温度200℃の熱風ゾーンにて幅方向に3%の緩和処理後、フィルム両端部をトリミングし、さらに大型巻き取り装置にて巻き取り、厚さ188μm、幅4200mmの配向ポリエステルフィルムを得た。
次いで、得られた配向ポリエステルフィルムを、両端から100mmずつ除き、1000mm幅に4等分してスリットすることで、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロール4本を得た。なお評価には、この4本のうち製造工程の流れ方向から見て中央右寄りのロールを用い、ロール表層から100mのフィルムで表面異物の評価を、その巻き内100mのフィルムでフィルムベース厚みおよび流れ方向厚み変動の評価を行った。
(実施例2)
未延伸シートの厚みを3260μm、冷却ドラムの引き取り速度を6.5m/minとした以外は実施例1と同様にして、厚さ250μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
(実施例3)
未延伸シートの厚みを1630μm、冷却ドラムの引き取り速度を12.6m/minとした以外は実施例1と同様にして、厚さ125μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
(実施例4)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Bを用い、冷却風の温度を15℃とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置B>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=600mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1200mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で5本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第5吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
(実施例5)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Cを用い、冷却風の温度を18℃とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置C>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=450mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=80mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=400mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で7本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第7吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
(実施例6)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 180m3/min
全吸引ダクト合計風量 670m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室内のクリーン度 クラス1000
(実施例7)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 120m3/min
全吸引ダクト合計風量 520m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 15℃
キャスティング室内のクリーン度 クラス1000
(実施例8)
冷却固化工程において、キャスティング室内の空調換気回数を40回/hrとし、クリーン度クラス3000とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
(実施例9)
冷却固化工程におけるキャスティング室の空調を以下の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<キャスティング室空調条件>
キャスティング室の空調が、冷却ドラム真上に排気装置を配しておらず室内の空気が上から下へ向かって流れるように調整されている。空調流量は換気回数30回/hr、室内のクリーン度はクラス1000。
(実施例10)
樹脂塗布層を設けるための塗布液として、塗布液Bを用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
(易滑性および接着性付与のための塗布液B)
水55質量部、n−ブチルセルソルブ15質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したところで、塗布液Aの調製に用いた水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂30質量部を加えた。樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度30.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂の30質量%水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液(第一工業製薬製、エラストロン(登録商標)H−3)を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を39.8質量部およびイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部添加した。
次いで、凝集体シリカ(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)0.02質量部を水2.68質量部にホモジナイザーにより1000rpmで1時間分散させた。上記水分散性ウレタン樹脂および水分散性ポリエステル共重合樹脂の樹脂混合液97.5質量部に、このサイリシア310の水分散液2.7質量部を撹拌しながら加えた。さらに、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、塗布液Bとした。
(比較例1)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Dを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置D>
吹出しノズルが冷却ドラムの回転方向に沿って175mm間隔で6本配置されており、吸引ダクトは設置されていない。
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価1(強い吹出し)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例2)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Eを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置E>
吹出しノズルが冷却ドラムの回転方向に沿って175mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第1〜第5吸引ダクトとして機能する。
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には吹出しノズルが配置されている。
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価1(強い吹出し)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例3)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Fを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置F>
吹出しノズルが冷却ドラムの回転方向に沿って100mm間隔で7本配置されており、各ノズルの間の部分が第1〜第6吸引ダクトとして機能する。
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には吹出しノズルが配置されている。
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1550mm
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価1(強い吹出し)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例4)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Gを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置G>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=250mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=850mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で7本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第7吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例5)
補助冷却装置として補助冷却装置Gを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 100m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価2(ゆるやかな吹出し)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例6)
補助冷却装置として補助冷却装置Gを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 100m3/min
全吸引ダクト合計風量 700m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価2(ゆるやかな吹出し)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例7)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Hを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置H>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=825mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=200mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第6吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例8)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Iを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置I>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=950mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1550mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って100mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第6吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例9)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Jを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置J>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=425mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第6吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には側板が配置されていない。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、ヒーターを配置。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価3(ランダム状態)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例10)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Kを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置K>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=425mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第6吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止の処理が施されていない。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例11)
補助冷却装置として以下の条件を満たす補助冷却装置Lを用いて下記の条件で冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<補助冷却装置L>
溶融樹脂が押出されるダイスに一番近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ=425mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=1025mm
溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ=600mm
吹出しノズルのノズルスリット幅=10mm
吹出しノズルは冷却ドラムに沿って175mm間隔で6本配置されており、各ノズルの間の部分が第2〜第6吸引ダクトとして機能する。
補助冷却装置の両側部には整流板を配置。
第一吸引ダクトの内部の壁面にオリゴマの析出防止手段として、フッ素樹脂コーティングが施されている。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(比較例12)
補助冷却装置を用いず、冷却ドラムのみで溶融樹脂を冷却固化し、厚さ2450μmのキャストフィルムを得た以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
(参考例1)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 220m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価1(強い吹出し)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(参考例2)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 180m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価3(ランダム状態)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(参考例3)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 100m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価5(強い吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(参考例4)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 750m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価5(強い吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数60回/hr、室内のクリーン度はクラス1000
(参考例5)
冷却固化工程において、前記した補助冷却装置Aを用い、以下の工程条件とした以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mの配向ポリエステルフィルムロールを得た。
<冷却固化工程条件>
冷却ドラム引き取り速度 8.8m/min
全吹出しノズル合計風量 160m3/min
全吸引ダクト合計風量 600m3/min
補助冷却装置の溶融樹脂ダイスに面した部分近傍の空気の流れ:評価4(ゆるやかな吸込み)
補助冷却装置冷却風温度 16℃
キャスティング室の空調は冷却ドラム真上に排気装置を配しており、空調流量は換気回数15回/hr、室内のクリーン度はクラス10000
実施例1〜10、比較例1〜12、参考例1〜5における、使用した補助冷却装置の構造を表1に、冷却工程およびフィルム製造工程条件を表2に、フィルム物性及び特性を表3に示す。
Figure 0004779407
Figure 0004779407
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本発明の配向ポリエステルフィルムロールから巻き出されるフィルムは、優れた光学特性を有しており、かつ、従来厚みの大きい配向ポリエステルフィルムの製造技術では両立しえなかった、加工後のフィルムにおける光学的特性の均一性、特に最終検品工程において初めて顕在化するような組み込み加工後のディスプレイの輝度むらの問題、表面異物のトラブルが同時に解決されており、主にディスプレイ関連用途、詳細には、拡散板における光拡散層、プリズムシートにおけるプリズム層、反射防止用フィルムにおける反射防止層、偏光板加工に使用される光学機能性フィルムの基材として好適であり、本発明の製造方法および冷却補助装置は、当該配向ポリエステルフィルムロールの製造に好適である。
ディスプレイ部品構成の略図であり、本発明において解決すべき組込加工後のディスプレイの輝度むらを、イメージとして示した。 前記図1内の鎖線矢印部分のフィルム厚み測定値を表すグラフである。 溶融樹脂冷却ドラムおよび本発明の補助冷却装置の略図である。 本発明における補助冷却装置設計に関わる長さを示した略図である。
符号の説明
1:ディスプレイバックライトユニット
2:表面加工(拡散板加工)された配向ポリエステルフィルム
3:フィルム上にある横段状の厚み凹部
4:液晶パネル部
5:液晶パネル表面偏光板
6:ディスプレイバックライトからの透過光
7:ディスプレイ表面出力画像状態のイメージ図
8:ディスプレイ上の輝度むら
9:溶融樹脂ダイス
10:冷却ドラム
11:吸引ダクト
11a:第一吸引ダクト
12:吹出しノズル
12a:第一吹出しノズル
13:整流板
14:冷却ドラム中心部
15:溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ(2つの矢印が重複するのを避けるため、矢印はロール内部に記載したが、実際はロール外周に沿う長さである)
16:溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラム面に沿った長さ
17:第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ(2つの矢印が重複するのを避けるため、矢印は第一吸引ダクト上に記載したが、実際はロール外周に沿う長さである)

Claims (9)

  1. 配向ポリエステルフィルムを製造する際の冷却固化工程での外径1300mm〜2600mmの冷却ドラムで使用される、下記(1)〜(7)を満足する補助冷却装置。
    (1)冷却風をシート面に向かって吹き付け、溶融樹脂シートを冷却するための複数の吹出しノズルと、シート近傍の空気を吸引、排出するための複数の吸引ダクトが冷却ドラムの回転方向に沿って交互に配置された構造からなる。
    (2)溶融樹脂シートが押出されるダイスに最も近い部分には、第一吸引ダクトが配置されている。
    (3)上記第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、300mm以上である。
    (4)溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、上記第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、300mm以上である。
    (5)溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、溶融樹脂ダイスに最も近い吹出しノズルと冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、前記(3)で規定される長さと前記(4)で規定される長さとの和であり、600mm以上1400mm以下である。
    (6)少なくとも第一吸引ダクト内部の壁面に、オリゴマ付着防止のためのヒーターが設けられている。
    (7)吹出しノズルと吸引ダクトの両側部に、整流板が設けられている。
  2. 上記補助冷却装置において、溶融樹脂ダイス出口からの懸垂面と冷却ドラム面との交差位置から、上記第一吸引ダクトのダイス側壁面から冷却ドラム中心を結ぶ面と冷却ドラム面との交差位置までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さが、350mm以上である請求項1に記載の補助冷却装置。
  3. 上記冷却固化する工程で使用される補助冷却装置は、クリーン度クラス5000以下の環境下で用いられ、上記補助冷却装置の全吸引ダクトの合計吸引風量と全吹出しノズルの合計吹出し風量の比(全吸引ダクトの合計吸引風量/全吹出しノズルの合計吹出し風量)が、3.40〜4.50に設定されている請求項1または2に記載の補助冷却装置。
  4. 溶融されたポリエステル樹脂をシート状に押出し、冷却固化して未延伸シートを得て、少なくとも1軸方向に延伸配向せしめる配向ポリエステルフィルムの製造方法において、溶融樹脂シートを冷却固化する工程で、請求項1〜のいずれかに記載の補助冷却装置を使用することを特徴とする、配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 冷却固化する工程が、クリーン度クラス5000以下の環境下で行われ、冷却補助装置の全吸引ダクトの合計吸引風量と全吹出しノズルの合計吹出し風量の比(全吸引ダクトの合計吸引風量/全吹出しノズルの合計吹出し風量)が、3.40〜4.50に設定されることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  6. 冷却固化する工程において、冷却固化装置の上方に排気装置を設けることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 溶融された樹脂をシート状に押出し、冷却ドラムに密着せしめて冷却固化する工程を含み、当該工程において請求項1〜のいずれかに記載の補助冷却装置を使用する製造方法により得られる、長さ100m以上10000m以下、幅500mm以上2000mm以下の配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる配向ポリエステルフィルムロールであって、以下の(A)〜(D)の条件を満足する事を特徴とする配向ポリエステルフィルムロール。
    (A)フィルムの長さ方向に沿って100mにわたって厚みを測定した場合に、その厚みの変動が±2μm内の変動におさまっている平坦部分のみの平均厚みであるフィルムベース厚み(Tbase)が、100μm≦Tbase≦350μmである。
    (B)フィルムの任意の位置において長手方向に連続する200mmの範囲のフィルム厚みについて、最小厚みをTminとした場合に、
    Tbase−Tmin≧12μmである厚みの低減部が15箇所/100m以下である。
    (C)フィルムが有するポリエステルオリゴマ起因である長径0.5mm以上の表面異物の量が10個/100m2以下である。
    (D)フィルムのヘイズが1.5%以下である。
  8. フィルムが、プリズムレンズシート又は光拡散板の基材として用いられることを特徴とする請求項記載の配向ポリエステルフィルムロール。
  9. 上記フィルムベース厚みが188μm以上350μm以下である請求項7または8に記載の配向ポリエステルフィルムロール。
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