JP4778604B2 - 構造部材接合方法及び接合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅、建物などに係り、特に複数の構造部材を接合する建物ユニットなどの構造部材接合方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばユニット建物として、予め工場で生産した建物ユニットを建築現場へ運搬した後、複数の構造部材である接合部材と被接合部材とを水平、垂直方向に接合して形成するものが知られている。
【0003】
ところで、通常、このような金属部分の接合手段としては、主に溶接、例えばアーク溶接やスポット溶接などが用いられていた。また、特開平7−000616号公報に記載のようなリベットやボルトなどの乾式接合によるものも用いられている。
【0004】
このように接合して形成される建物ユニットのうち、例えば床部分については、高さ寸法精度が重要である。特にこの床部分を構造部材で構成する場合には、重要な寸法管理を行うため、接合の際に組み合わせる接合部材と被接合部材との位置決め精度をしっかりと確保する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建物ユニットを形成する場合に、その接合部分を溶接で行うと、溶接時に発生する熱の影響により、構造部材に反りを発生したり構造部材表面に施しためっき層が蒸発し、後の補修が必要となる場合がある。
【0006】
一方、乾式接合の場合には、このようなトラブルを生じる虞れがないので、その点では好都合であるが、リベットやボルトなどの鋲螺を使用すると、その分だけ生産コストの上昇につながる。しかも、この場合には、接合部位に合わせて予め下穴をあけておくなど必要があるが、このような穴あけ作業には、困難を伴う。 また、通常、このような建物ユニットでは用いられていないが、構造部材を接合する手段として、例えばカシメによる接合方法が知られている。ところが、このようなカシメ接合を行う場合、どれでも自由に実施できるというものではなく、通常は以下のような制約がある。
▲1▼接合する2枚の構造部材の板厚の比が、1:3以下であること、
▲2▼カシメる構造部材の板厚が大きく変わる(例えば2mm以上)と、このカシメに使用するツールであるパンチ、ダイスなどのカシメ装置を、その厚さに合わせて、そっくり全体ごと交換しなければ良好なカシメを行なえないこと、
などの不都合を生じている。
【0007】
しかも、このような溶接接合やカシメ接合では、被接合部材に接合部材を接合する際に、被接合部材を位置決めさせてクランプする必要があり、このためカシメ装置や溶接装置と干渉しないようにクランプ用の治具を設置する必要がある。
【0008】
従って、例えば、カシメて接合する場合には、建物ユニットに使用する構造部材の板厚や材質が使用する建物ユニットによって大きく変わると、その大きさにあわせて何種類ものカシメ装置を用意して交換する必要があるから、非効率的であると共に非生産的であり、コスト増大につながっている。
【0009】
また、カシメ接合で使用するこのパンチとダイスには、例えば図11に示すように、角型のパンチ51及びダイス52と、丸型のパンチ61及びダイス62とがある。例えば、上下2枚の金属板(以下、上板21及び下板22とよぶ)をカシメて接合しようとする際に、角型のものでカシメる場合には、例えば図12(A)に示すように、角型パンチ51を接合する構造部材21、22に押し込んで2面をせん断させ、そのせん断面から上板21の流動した塑性金属を下板22に引っかけることで締結させるようになっている。
【0010】
一方、丸型のものでカシメる場合には、例えば特開平6−315836号公報に記載のように、丸型パンチ61を金属板21、22に押し込み、図12(B)において、円周方向に金属を塑性流動させ、上板21の引掛け部を下板22に形成して締結させている。
【0011】
ところで、例えば、このような角形のパンチ51やダイス52を備えたカシメ装置にあっては、構造部材21、22の平面部分に沿った回転方向の力に強い。しかも、構造部材21、22をせん断させてパンチ側の金属板である上板21をせん断面から塑性流動させることで、ダイス側の構造部材である下板22に引っかけて接合するため、丸形のカシメ装置に比べて、上板21の金属が流動し易い。このため同じ種類の材料、板厚を接合する場合、カシメ加圧力が若干低くても済むといった効果があるので、この点では都合がよい。
【0012】
ところが、このようなカシメ装置にあっては、接合部分のせん断強度に方向性を生じており、構造部材21、22のせん断面と直角方向のせん断強度は高いが、平行方向のせん断強度はあまり高くない、といった不都合を生じている。
【0013】
一方、丸形のパンチ61やダイス62を備えたカシメ装置にあっては、構造部材21、22の平面部分に沿った回転方向の力に弱く、接合部分での気密性や水密性が悪いといった不都合を生じている。
【0014】
そこで、この発明は、上記した事情に鑑み、接合部分での反りの発生を防止できるとともに、建物ユニット等に使用する構造部材の板厚や材質が大きく変わる場合でも、その大きさにあわせて何種類ものカシメ装置を用意して交換する必要がないとともにクランプ用の治具を設置する必要がなく、しかも接合部分のせん断強度に方向性がなく、回転方向の力に対しても強く、ひいては、接合部分での気密性や水密性が良好な建物ユニット等の構造部材接合方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、複数の構成部材をパンチとダイスとを有するカシメ装置を用いて接合する接合装置であって、前記カシメ装置では、前記パンチに設けた断面略十字形状の突部と、前記ダイスに設けた平面視で前記パンチの前記突部が嵌り込む大きさの略十字形状の溝部とを有するとともに、前記パンチの断面略十字形状の前記突部の外側端部には、面取りが施され、前記ダイスの略十字形状の前記溝部を形成する受部の中心側端部には、せん断される前記構成部材をせん断の際に半径方向に広がるように塑性流動させるための面取りが施されており、これらでせん断される前記構成部材のせん断面が互いに直交する略十字形となるようにしたことを特徴としている。
【0016】
このように構成された請求項1記載のものでは、前記カシメ装置の前記パンチに設けられた突部と、前記ダイスに設けられた溝部とが、これらでせん断される部材のせん断面を、互いに直交する十字形となるように接合する。
このため、接合部分でのせん断強度に方向性がなく、接合部分での気密性や水密性を確保できるようになり、建物用ユニットの建物ユニットやパネルとして好都合で、錆やカビの発生などを防止することができる。
【0017】
また、請求項2に記載された発明では、複数の建物用の構造部材を接合して形成される構造部材接合方法であって、前記構造部材としての厚板と、この厚板よりも薄い薄板との接合を、断面略十字形状の外側端部に面取りが施された突部が設けられたパンチと、平面視で前記パンチの前記突部が嵌り込む大きさの略十字形状の溝部を形成する受部の中心側端部に、せん断される前記構成部材をせん断の際に半径方向に広がるように塑性流動させるための面取りが施されたダイスを用い、プレスによるカシメ接合によって形成する際、前記パンチの先端部分と前記ダイスの底面部分との間の距離を調整可能な接合装置を用い、前記パンチの先端部分と前記ダイスの底面部分との間の距離を調整して、前記パンチを、前記厚板側からプレスしてせん断し、前記薄板側からも加圧し、前記パンチとダイスでせん断される前記構造部材のせん断面が、互いに直交する略十字形となるようにカシメることを特徴としている。
このように構成された請求項2記載のものでは、カシメによる構造部材同士の接合を行う際、前記構造部材の締結後板厚が、締結前板厚の合計の略半分となるように接合条件が調整される。このため、強度低下を伴うことなく、必要充分な強度を確保できる。
このように、カシメにより構造部材同士の接合が行われるので、接合時に熱に起因した反りを伴うことがなく、床部分などでの接合において不陸の発生を防止することができる。また、メッキを施してある構造部材の接合であっても、熱に伴うメッキの蒸発が防止できるから、後補修が不要となる。
さらに、同一のカシメ装置を使用する場合であっても、締結力を向上させることができるようになっており、カシメ部位の全体での板厚が、大きく異なる場合であっても、確実にカシメて接合させることができる。
そのうえ、構造部材の接合面に平行な回転力について強いばかりか、カシメ加圧力がそれ程大きくなくても済み、しかもせん断面の方向によらず大きな強度が得られるとともに、水密性や気密性が完全に保証される。このため、錆やカビなどの発生原因となる湿度や水分が外部から侵入するのを遮断することができ、建物ユニット等の構造部材の接合方法として好適である。
【0018】
また、請求項3に記載されたものでは、前記厚板には、2.3mm〜6.0mmの板厚のものを用い、前記構造部材の締結後のカシメ部位における前記厚板と前記薄板との合計の板厚が、1.5mm〜2.3mmとなるように接合条件を調整することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図示例と共に説明する。
【0032】
図1は、この発明の実施の形態1に係る建物ユニットの構造部材接合装置1であり、まず、この構成から説明する。
【0033】
この実施の形態1の建物ユニットの構造部材接合装置1では、図5に示す複数の構造部材2(被接合部材21と接合部材22)どうしの接合をカシメ接合により行うようになっており、このため、その構造部材接合装置として、カシメ装置が使用されている。
【0034】
このカシメ装置は、図1において、ベース3上にパンチ4とダイス5とを設けた構成となっており、同一装置で各種の異なる板厚及び材質のものにカシメ接合を行うことができるようになっている。なお、ここで使用するパンチ4及びダイス5には、平均的な板厚の構造部材21,22の組み合わせから成る構造部材2の接合に適した大きさのパンチ4及び深さのダイス5を使用している。
【0035】
すなわち、接合条件として、パンチ4には、要求強度や装置の寸法などからその大きさが決定され、ダイス5には、構造部材2の板厚の略1/2となるような深さのものが使用されている。また、このダイス5には、固定型ではなく、図5に示すような半径方向に拡開可能な可動型のものが使用されて、接合条件を調整可能としている。これは、可動型であれば、加圧力で塑性流動した金属部分が横方向に流れやすくなるので、カシメ加圧条件の自由度が向上し、ダイス5の深さを接合する構造部材2の板厚毎に変更しなくてすむからである。
【0036】
さらに、図2に示すように、カシメ中にパンチ4とダイス5とが最近接するときのパンチ4先端部分とダイス5底面部分との間の距離が、後述する「固有距離L」となるようにする。例えば、この実施の形態1では、この固有距離Lは、以下のようにして決定する。
【0037】
即ち、この接合しようとする各種構造部材2の組み合わせ毎にカシメ加圧力を変化させて強度評価の実験を行い、
(1)加圧力とカシメ後の板厚の関係
(2)カシメ後の板厚と強度
(3)加圧力と強度
との3者の間の関係をもとめる。これについての、実験結果を以下のように表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
なお、表中の強度は、JISのZ3136,Z3137に基づいて実施した。ここで、パンチ4は底面が角形□5×6mm寸法でテーパになっており、ダイス5も溝部の深さは2.5mm寸法のものである。また、これらは、一般的なせん断カシメを行うものを選定し、この同じものを使用して評価テストを行った。
【0040】
この実験結果について、わかりやすく解析・評価するため、たとえば、接合部材21と被接合部材22の2種類の構造部材2について、それらの板厚(下板,上板)が次の3種類、即ち
「A」:(1.6,2.3),
「B」:(1.6,3.2),
「C」:(1.6,4.5)
の場合を例にとると、先の(1)〜(3)の関係についての相関は、図3(A)〜(C)のようになる。
【0041】
これにより、各板厚の組合せ毎に最高強度となる加圧条件を見いだすとともに、そのときに最も低い加圧力で最高強度になる板厚の組合せ(図3(A)ではAがこれに相当する)を見いだし、そのときのカシメ後の板厚寸法を「固有距離L」とする。従って、この表1から分かるように、最も低い加圧条件で最高強度を得るのは、SS400、t2.3の場合である。この実施の形態1では、かかる条件下で、カシメ後のカシメ部分の板厚寸法を測定したところ、1.5mmのデータを得たので、これを「固有距離L」とした。
【0042】
なお、このパンチ4先端部分とダイス5底面部分との間の距離をその「固有距離L」に合わせる方法としては、図2において、カシメ加圧シリンダ6の設置位置を動かして調整してもよいし、ロッド61にスペーサ62を挟んだりして調整してもよい。これにより、カシメ加圧シリンダ6の下死点を合わせるように調整することができる。さらにまた、カシメ装置にメカニカルストッパを設けることで調整してもよい。
【0043】
このような構成とすることで、例えば図3において、組合せ「B」や「C」などの金属板厚でカシメ接合するときに、それぞれの組合せで最高強度になる加圧条件で加圧力を加えても、組合せ「A」でカシメ接合を行う場合に、「固有距離L」以上にカシメられることがなく、カシメ後の接合部は最適な板厚となる。
【0044】
なお、組合せ「B」や「C」などの金属板厚でカシメ接合するときには、各々の最適加圧に設定することが望ましいが、加圧条件の変更が煩わしく、同一の加圧条件でカシメたい場合には、「B」、「C」の加圧力と強度との関係から、最適な条件を設定すればよい。但し、この場合、接合部分の要求強度との兼ね合いによるものとする。
【0045】
また、この実施の形態1では、被接合部材22を位置決めしたり、所定の位置にクランプさせるため、例えば図4に示すように、ストリッパ7を使用している。このストリッパ7は、カシメ時にパンチ4を接合部材21に押し込んだ時に、パンチ4を引き抜きやすくするためのものであり、通常、ウレタンゴムなどのゴムリングをパンチ周囲に取り付けたり、スプリングの付いたプレートやバーを用いる構造のものである。この実施の形態1では、同図に示すように、スプリング71の付いたプレート72(或いはバーでもよい)を用いている。このストリッパ7によれば、カシメ時に、パンチ4が被接合部材22に押し込まれると、スプリング71が圧縮され、パンチ4を被接合部材22から引き抜くための反力が発生するようになっている。
【0046】
特に、この実施の形態1では、ストリッパ7として設けたプレート72を磁石で構成しており、被接合部材22をプレート72にセットし、把持することで、位置決めやクランプ用の治具をなくすことができるようになっている。
【0047】
次に、カシメ後の板厚と強度との関係より、強度低下があまり起こらないように、カシメ後の板厚を各種材料の種類や板厚での組合せで判断し、加圧力を8.6トンに設定して、再度、カシメ接合強度の評価実験を行った。
【0048】
この際の実験結果を次に表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
この表2からわかるように、カシメ後の板厚は、ステレス材で薄くなるが、「固有距離L」を確保しているから、カシメ後の接合部での板厚は,1.5mmよりは小さくならない。その結果、強度低下があまり起こらずに、充分な強度が確保できるようになる。また、ステンレス材の板厚が6.0mmでは、加圧力が不足ぎみになり、最適なカシメ後の板厚よりカシメ後の板厚が少し厚くなったが、充分な強度を得ることができた。また、比較例として、固定型ダイスで丸パンチ4を使用した場合の接合条件を次の表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
なお、この比較例では、この実施の形態1との比較を容易にするため、パンチ4の径を全ての板厚、材料の種類について、同じ条件とした。なお、この場合、そのカシメ接合に使用するツールとしては、3種類のもの、即ち、ダイス深さ2mm及びダイス径φ8のもの、ダイス深さ3mm及びダイス径φ8のもの、そして、ダイス深さ3mm及びダイス径φ10のものが必要になる。
【0053】
なお、この実施の形態1で使用されるストリッパ7としては、図4に示すように、段差Sを設けて、その段差Sに被接合部材22を突き当てた状態で位置決めし、このストリッパ7の被接合部材22との突当面に埋め込まれた磁石、例えば永久磁石により、被接合部材22を把持し、位置決めすることができる。なお、この磁石として、永久磁石の代わりに電磁石を使用してもよい。これにより、通常は、ワークのセット、ワークの位置決め、締結、という4段階の作業ステップを有するものが、ストリッパへワークをセット、締結、という2段階のステップでカシメ作業を行うことができるようになり、作業工程を簡素化することができる。
【0054】
次に、この発明に係る実施の形態1の建物ユニットの構造部材接合装置1を使用した構造部材2の接合方法について説明する。
【0055】
図5において、接合部材21と被接合部材22との2枚の板状の構造部材2を使用して、これらをカシメ接合するものであるが、パンチ4側の接合部材21には、被接合部材22よりも板厚の大きな方を用いる。このように、パンチ4側の構造部材に板厚が薄いものを使用しないのは、薄板側からパンチを押し込むと、板厚比が大きい場合には、薄板側が絞られ過ぎて、カシメ不可能となるからである。
(1)初めに、図5において、厚板(接合部材21)側からパンチ4を押し込むような位置関係となるように、カシメ装置(スポットクリンチ)に、可動型のパンチ4とダイス5とをセットするとともに、これらの間に、ワークである被接合部材21と接合部材22との2枚の板状の構造部材2をセットする。この場合、パンチ4先端部分とダイス5底面部分間の距離をあらかじめ決定されている「固有距離L」となるように調整する。
【0056】
なお、この発明に係る建物ユニットの場合には、例えば図6及び図7に示すように、厚板である接合部材21側には床小梁21Aを、薄板である被接合部材22側には、桁梁22Aが対応している。また、この接合部材21と被接合部材22である床小梁21Aと桁梁22Aとの2枚の板状の構造部材2の板厚比は、1:3以上でもカシメ接合させることができる。
(2)次に、被接合部材22をストリッパ7の磁石を設けたプレート72にセットし、磁力で把持する。これにより、通常は、必要な位置決めやクランプを行わなくても済む。
(3)その後、最適加圧条件下で、カシメ装置を作動すれば、パンチ4とダイス5間に設定された接合部分でカシメが行われる。そのカシメ接合が行われた後、パンチ4の引き抜きはストリッパ7に設けたスプリング71で行われる。
【0057】
【実施の形態2】
次に、この発明の実施の形態2に係る建物ユニットの構造部材接合装置について説明する。なお、この実施の形態2では、実施の形態1と同一もしくは均等部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
この実施の形態2に係るパンチ8及びダイス9については、図8に示すように、十字型のものを使用しており、図9に示す十字型のカシメ部分を形成する。
【0059】
即ち、この実施の形態2に係るパンチ8では、十字型の突部81の各外側端部には面取り82が施されている。一方、ダイス9には、図8及び図10に示すように、十字型の溝部91が穿設されているとともに、その溝91を囲む凸状の受部92の中心側端部には、面取り93が施されている。また、ダイス9の受部92には、図10に示すように、受部92を可動するゴムリング94がダイス9の円周方向に設けられており、カシメ前にはそのゴムリング94で受部92がダイス9の中心側に押し付けられている。
【0060】
次に、この発明に係る実施の形態2の建物ユニットの構造部材接合装置10を使用した構造部材2の接合方法について説明する。
(1)十字型のパンチ8とダイス9とを十字の方向を位置合わせした状態で、かつ、中心軸も合わせた状態でセットされたカシメ装置(加圧装置)に、図9に示すように、ワークである接合部材21と被接合部材22とをセットする。その際に、被接合部材22はダイス9の受部92上面に接しており、この受部92には、ゴムリング94でダイス9中心方向に、押し付けられている。
(2)加圧力を加えてパンチ8を被接合部材22へ押し込んでいくと、図9に示すように、接合部材21と被接合部材22とにおいて、接合部位が十字型にせん断されつつ、ダイス9に被接合部材22が押し流されていく。そして、ダイス9の溝部91深さ(底面部分まで)だけ押し込まれると、せん断面が形成される。これは、ダイス9の溝部91の深さ寸法が、被接合部材22(下板)よりも大きいためである。
(3)さらに、加圧力が加わり、パンチ8とダイス9とに挟まれた接合部材21が圧縮され、潰れた金属部分が被接合部材22の厚さ方向に流れようとする。
(4)ダイス9の面取りされている部分から潰された接合部材21(上板)の金属部分が広がり、面取り分の隙間があるため、この部分から優先的に金属が塑性流動していく。そして、この接合部材21(上板)の塑性流動する金属部分が、この半径方向に広がり、被接合部材22(下板)との引っ掛かりを生じる。
(5)このとき、ダイス9の受部92に接する被接合部材22は、金属の塑性流動により押し広げられ、引っ掛かり部分をより多く取ることができるようになる。なお、この実施の形態2では、SS400どうしで、t4.5とt1.6及びt3.2とt1.6の組合せで行った。このカシメ接合を行う場合の接合条件と、締結強度との関係を表4に示す。また、ここで、上板とはパンチ8側の接合部材21、下板とはダイス9側の被接合部材22のことをいう。
【0061】
【表4】
【0062】
この場合、表中のせん断強度は従来の角形パンチのカシメと同様の直交する2方向について、JIS Z3136、Z3137に基づいて測定したが、この2方向について、締結強度に差はなかった。このように、この実施の形態2によれば、強度に方向性のないせん断カシメが実現でき、低い加圧力で、高強度な締結が行えるようになる。
【0063】
しかも、この実施の形態2によれば、回転方向についての締結強度が、通常のカシメ接合よりも強くなる効果が得られるとともに、位置決め手段やクランプ治具を別途必要としないものである。
【0064】
更に、この実施の形態2によれば、接合部分でのせん断強度に方向性がなく、接合部分での気密性や水密性を良好な状態に確保できるようになり、建築用ユニットとして錆やカビの発生防止などの効果をもたらすことができる。
【0065】
以上、この発明の実施の形態を説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更が可能である。例えば、前記ユニット建物に代え、建物用のパネル等に適用してもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、前記カシメ装置の前記パンチに設けられた突部と、前記ダイスに設けられた溝部とが、これらでせん断される部材のせん断面を、互いに直交する十字形となるように接合する。
このため、接合部分でのせん断強度に方向性がなく、接合部分での気密性や水密性を確保できるようになり、建築用の建物ユニットやパネルとして好都合で、錆やカビの発生などを防止することができる。
また、請求項2,3の発明によれば、カシメによる構造部材としての厚板と、この厚板よりも薄い薄板との接合を行う際、前記パンチの先端部分と前記ダイスの底面部分との間の距離を調整可能な接合装置を用い、パンチの先端部分とダイスの底面部分との間の距離を調整して、パンチを、厚板側からプレスしてせん断し、薄板側からも加圧する。このため、強度低下を伴うことなく、必要充分な強度を確保できる。
【0067】
このように、カシメにより構造部材同士の接合が行われるので、接合時に熱に起因した反りを伴うことがなく、床部分などでの接合において不陸の発生を防止することができる。また、メッキを施してある構造部材の接合であっても、熱に伴うメッキの蒸発が防止できるから、後補修が不要となる。
更に、同一のカシメ装置を使用する場合であっても、締結力を向上させることができるようになっており、カシメ部位の全体での板厚が、大きく異なる場合であっても、確実にカシメて接合させることができる。
そのうえ、構造部材の接合面に平行な回転力について強いばかりか、カシメ加圧力がそれ程大きくなくても済み、しかもせん断面の方向によらず大きな強度が得られるとともに、水密性や気密性が完全に保証される。このため、錆やカビなどの発生原因となる湿度や水分が外部から侵入するのを遮断することができ、建物ユニットの構造部材の接合方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の建物ユニットの構造部材接合装置で、要部の構成を示す説明図である。
【図2】実施の形態1の構造部材接合装置で、パンチとダイスとの取り付け位置関係を示す説明図である。
【図3】各種の厚さの構造部材の組合せを用いたときのカシメ加圧力と、強度と、カシメ後の板厚との関係を示すものであり、(A)は加圧力とカシメ後の板厚、(B)はカシメ後の板厚と加圧力、(C)はカシメ加圧力と強度との相関図である。
【図4】実施の形態1の構造部材接合装置であるカシメ装置に用いるストリッパなどを示す斜視図である。
【図5】(A)、(B)、(C)は、実施の形態1の構造部材接合装置であるカシメ装置によるカシメ方法を示す工程図である。
【図6】実施の形態1に係るカシメ装置を建物ユニットに適用したときの説明図である。
【図7】実施の形態1に係るカシメ装置の取り付け状態を示す側面図である。
【図8】本発明の実施の形態2の建物ユニットの構造部材接合装置であるカシメ装置を示す斜視図である。
【図9】実施の形態2の構造部材接合装置であるカシメ装置によるカシメ部分を示す斜視図である。
【図10】実施の形態2に係るカシメ装置のダイスを示す断面図である。
【図11】(A)は従来の角形パンチ及びダイスを示す斜視図、(B)は従来の角形パンチ及びダイスを示す斜視図である。
【図12】(A)は従来の角形パンチ及びダイスで構造部材がカシメられた状態を示す斜視図、(B)は従来の丸形パンチ及びダイスで構造部材がカシメられた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 構造部材接合装置
2 構造部材
21 被接合部材(上板)
22 接合部材(下板)
3 ベース
4 パンチ
5 ダイス
6 カシメ加圧シリンダ
61 ロッド
62 スペーサ
7 ストリッパ
71 スプリング
72 プレート
8 パンチ
81 突部
82 面取り
9 ダイス
91 溝部
92 受部
93 面取り
94 ゴムリング
Claims (3)
- 複数の構成部材をパンチとダイスとを有するカシメ装置を用いて接合する接合装置であって、
前記カシメ装置では、前記パンチに設けた断面略十字形状の突部と、前記ダイスに設けた平面視で前記パンチの前記突部が嵌り込む大きさの略十字形状の溝部とを有するとともに、前記パンチの断面略十字形状の前記突部の外側端部には、面取りが施され、前記ダイスの略十字形状の前記溝部を形成する受部の中心側端部には、せん断される前記構成部材をせん断の際に半径方向に広がるように塑性流動させるための面取りが施されており、これらでせん断される前記構成部材のせん断面が互いに直交する略十字形となるようにしたことを特徴とする接合装置。 - 複数の建物用の構造部材を接合して形成される構造部材接合方法であって、
前記構造部材としての厚板と、この厚板よりも薄い薄板との接合を、断面略十字形状の外側端部に面取りが施された突部が設けられたパンチと、平面視で前記パンチの前記突部が嵌り込む大きさの略十字形状の溝部を形成する受部の中心側端部に、せん断される前記構成部材をせん断の際に半径方向に広がるように塑性流動させるための面取りが施されたダイスを用い、プレスによるカシメ接合によって形成する際、前記パンチの先端部分と前記ダイスの底面部分との間の距離を調整可能な接合装置を用い、前記パンチの先端部分と前記ダイスの底面部分との間の距離を調整して、前記パンチを、前記厚板側からプレスしてせん断し、前記薄板側からも加圧し、前記パンチとダイスでせん断される前記構造部材のせん断面が、互いに直交する略十字形となるようにカシメることを特徴とする構造部材接合方法。 - 前記厚板には、2.3mm〜6.0mmの板厚のものを用い、前記構造部材の締結後のカシメ部位における前記厚板と前記薄板との合計の板厚が、1.5mm〜2.3mmとなるように接合条件を調整することを特徴とする請求項2に記載の構造部材接合方法。
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