JP4771284B2 - セレン含有排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、セレン含有排水の処理方法及び処理装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、特に6価セレンを含有する排水を2種以上の金属を用いて還元処理し、極めて少量の金属溶出量で効果的にセレンを除去することができ、その際に発生する汚泥が白色で処理が容易なセレン含有排水の処理方法及び処理装置に関する。
石炭火力発電所の排煙脱硫排水、銅精錬所排水、石油精製工場排水などは、セレンを含有する場合がある。また、セレンは工業原料として、ガラスの脱色剤や着色剤、乾式複写機の感光ドラムの製造などに使用されるので、これらの工場排水にもセレンが含有される可能性がある。さらに、セレンを含有するスクラップや汚泥などから、焙焼、アルカリ融解などによりセレンを抽出し、セレン化合物を製造する工場からもセレン含有排水が排出される。セレンが排水中に高濃度に含有されることは稀であるが、環境保全のためにセレンに対する規制が行われ、水質汚濁防止法に基づくセレンの一律排水基準は0.1mg/Lと定められている。しかし、セレン含有排水に対する安定的な処理技術はいまだ開発途上にあり、直ちに一律排水基準を達成することは困難な状況にあるために、セレン化合物製造業については、暫定排水基準0.3mg/Lの適用を平成21年まで延長することが予定されている。
排水中のセレンは、通常コロイド状のセレン、4価の亜セレン酸イオン(SeO3 2-)又は6価のセレン酸イオン(SeO4 2-)として存在する場合が多い。このようなセレン含有排水の処理方法として、凝集沈殿法が多数提案されている。例えば、廃水中のSeO3 2-とSeO4 2-をともに除去し、かつ系外に廃棄される沈降濃縮物の量を減少させるセレン含有廃水の処理方法として、SeO3 2-、SeO4 2-、Cu2+及び懸濁質を含有する廃水に水酸基を含む中和剤を添加して水酸化銅と懸濁質の混合物を共沈除去する1次処理と、1次処理水に酸とFe2+との塩を添加後、再度前記中和剤を添加し、1次処理水中に残存するSeO3 2-とSeO4 2-をセレンと水酸化鉄の混合物として共沈除去する2次処理を行うセレン含有廃水の処理方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では、必要な2価鉄塩の添加量が多い上に、発生する汚泥が着色しているので、その処理が容易ではない。
また、セレン、フッ素、過酸化物、重金属などの有害物質を含む排煙脱硫排水から、これらの有害物質を同時に効果的に除去することができ、しかも、過酸化物によるCOD吸着樹脂の劣化を防止することにより、長期間良好な水質の処理水を得ることができる排煙脱硫排水の処理方法として、排煙脱硫排水のpHを5以下に調整して鉄と接触させたのち、凝集処理及び固液分離を行い、さらにCOD吸着樹脂と接触させる排煙脱硫方法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法でも、処理に微粒子状などの鉄を用いるので、発生する汚泥は着色しており、その処理には困難が伴う。
さらに、4価セレンのみならず、6価セレンをも含めて最終的に排水のセレン濃度を0.1mg/L以下とすることが容易にできるセレンの除去方法として、セレン含有排水のpHを6以下に調整しながら2価鉄イオンを添加し、次いでアルミニウムなどの還元剤を添加する第1工程と、さらにアルカリ剤を添加してpHを8〜10に調整して、得られた水酸化物を固液分離する第2工程とからなる排液中のセレンの除去方法が提案されている(特許文献3)。しかし、この方法では、鉄成分による汚泥の着色が生ずる上に、排水のpHを酸性に調整して金属アルミニウムと接触させても、アルミニウムの溶出は容易ではなく、期待するほどの還元効果は得られない。
特開平6−79286号公報 特開平9−187778号公報 特開平8−224585号公報
本発明は、6価セレンを含有する排水を還元処理し、極めて少量の金属溶出量で効果的にセレンを除去することができ、その際に発生する汚泥が白色で処理が容易なセレン含有排水の処理方法及び処理装置を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、セレン含有排水をイオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物と接触させ、該金属の一部を溶出させて6価セレンを還元することにより、極めて少量の金属溶出量で効果的にセレンを除去することができ、しかも、その際に発生する汚泥が処理が容易な白色の汚泥となるように金属を選択し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)6価セレンを含むセレン含有排水を、金属アルミニウムと、該金属アルミニウムより相対的にイオン化傾向の小さい金属との合金又は混合物とを接触させると共に、前記排水に酸を添加して前記金属アルミニウムの一部を溶出させることにより6価セレンを4価ないし0価セレンまで還元した還元処理水を得、該還元処理水にアルカリを添加して前記溶出した金属アルミニウムを金属水酸化物として析出させると共に、還元処理水中に残存する4価セレンを金属水酸化物と共沈させて該金属水酸化物が析出した凝集反応処理水を得、該凝集反応処理水を固液分離することによりセレン濃度が低下した処理水を得ることを特徴とするセレン含有排水の処理方法、
)セレン含有排水が、排煙脱硫排水である(1)記載のセレン含有排水の処理方法、及び、
金属アルミニウムと、該金属アルミニウムより相対的にイオン化傾向の小さい金属の合金又は混合物が存在し、6価セレンを含むセレン含有排水に酸が添加された排水が導入されて排水中の6価セレンを還元処理する還元反応器と、該還元反応器から流出する還元処理水が導入される凝集反応槽と、凝集反応槽にpH調整剤としてアルカリを添加してpHをアルカリ性に調整するpH調整剤添加手段と、前記凝集反応槽から送られた凝集反応処理水を固液分離する固液分離装置を有することを特徴とするセレン含有排水の処理装置、
を提供するものである。
本発明のセレン含有排水の処理方法及び処理装置によれば、極めて少量の金属溶出量でセレンを還元処理することができ、特に6価セレンを含む排水の処理に有効である。また、金属の選択により発生する汚泥を白色とすることができるので、汚泥処理が容易であり、石灰石膏法により排煙脱硫を行っている事業場では、回収石膏と混合して汚泥を回収することができる。さらに、排煙脱硫排水にはセレンに加えてフッ素とホウ素が含有される場合があるが、本発明方法及び装置によれば、セレンのみならず、フッ素とホウ素も同時に除去することができる。
本発明のセレン含有排水の処理方法においては、セレン含有排水を、イオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物と接触させ、該金属の一部を溶出させることによりセレンを還元する。本発明方法は、石炭火力発電所の排煙脱硫排水、銅精錬所排水、石油精製工場排水、ガラス製造工場排水、乾式複写機の感光ドラム製造工場排水、セレン化合物製造工場排水などのセレンを含有する排水の処理に適用することができ、6価セレンを含有する排煙脱硫排水の処理に特に好適に適用することができる。
本発明方法においては、セレン含有排水を、イオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物と接触させる。イオン化傾向は、金属が水と接触してイオンになろうとする傾向であり、定量的には水中における金属(M)/金属陽イオン(Mz+)系の標準電極電位E0の大きさでその序列が決まり、標準電極電位E0が小さいほどイオン化傾向が大きい。本発明方法に用いる金属に特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al→Al3++3e、−1.66V(25℃におけるE0、以下同じ。))、亜鉛(Zn→Zn2++2e、−0.763V)、クロム(Cr→Cr3++3e、−0.74V))、カドミウム(Cd→Cd2++2e、−0.40V)、ニッケル(Ni→Ni2++2e、−0.25V)、スズ(Sn→Sn2++2e、−0.136V)、鉛(Pb→Pb2++2e、−0.126V)、銅(Cu→Cu2++2e、0.337V)などを挙げることができる。これらの中で、アルミニウム、亜鉛、スズ及び銅は、有害性が比較的低いので好適に用いることができる。クロム、カドミウム、鉛などの有害物質を使用する場合には、処理水にそれらの金属が残留しないように注意を要する。
本発明方法において用いる金属は、溶出後のpH調整により生成する水酸化物からなる汚泥が白色を呈する金属であることが好ましい。汚泥が白色であると、褐色などに着色している場合に比べて、汚泥の処理が容易である。白色の汚泥が生成する金属として、アルミニウムとスズの合金又は混合物及び亜鉛とスズの合金又は混合物を特に好適に用いることができる。
本発明方法において、2種以上の金属の25℃における標準電極電位E0の最大値と最小値との差が0.5V以上であることが好ましく、1V以上であることがより好ましく、1.5V以上であることがさらに好ましい。標準電極電位E0の最大値と最小値との差が0.5V未満であると、セレンの還元が十分に進行しないおそれがある。イオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物を水と接触させると、イオン化傾向の大きい金属が先に溶出する。このために、2種のイオン化傾向の異なる金属の合金又は混合物においては、イオン化傾向の小さい金属1モルに対して、イオン化傾向の大きい金属が2〜1,000モルであることが好ましく、8〜100モルであることがより好ましい。
本発明方法において、金属の溶出は中性では長時間を要するために、セレン含有排水に酸を添加して金属の溶出を促進することが好ましい。添加する酸としては、例えば、塩酸、硫酸などを挙げることができる。酸の添加量は、溶出させる金属の量に応じて設定することが好ましい。金属の溶出量は概ね酸の添加量と比例関係にあり、予め実験によって求めた関係式により、酸の添加量を定めることができる。また、金属の溶出量は、還元処理すべき6価セレン濃度に応じて設定することができる。セレン含有排水中に溶出したアルミニウム及び亜鉛は、セレン酸イオンとそれぞれ下式のように反応して、セレンを還元すると考えられる。
2Al0 + SeO4 2- + 8H+→ 2Al3+ + Se0 + 4H2
3Zn0 + SeO4 2- + 8H+→ 3Zn2+ + Se0 + 4H2
本発明方法において、2種以上の金属の合金又は混合物の形状は、表面積が大きいものであることが好ましい。表面積の大きい形状としては、例えば、粒径10μm〜5mm程度の粉状物や粒状物、あるいは、繊維状物、微細薄膜などを挙げることができる。本発明方法において、セレン含有排水を、2種以上の金属の合金又は混合物と接触させる方法に特に制限はなく、例えば、反応槽に排水を導入したのち金属粉状物を添加して反応させる反応槽方式、充填塔に金属粒状物、金属繊維状物などを充填し、充填層に排水を通水する充填塔方式などを挙げることができる。
本発明方法に用いる2種以上の金属の合金に特に制限はなく、固溶体、金属間化合物、共融合金のいずれをも用いることができる。2種以上の金属の合金を製造する方法としては、例えば、金属のイオン化傾向の差を利用する方法、電解法、溶融法などを挙げることができる。本発明方法において、セレン含有排水をイオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物と接触させることにより、金属単体と接触させる場合に比べて、大幅にセレン還元処理性能が向上する機構の詳細は明らかではないが、イオン化傾向の大きい金属が溶出してイオン化傾向の小さい金属を通して電子が移動し、イオン化傾向が小さい金属の表面でセレンが還元され、その際に何らかの電気的効果が発現すると考えられる。
本発明方法において、2種以上の金属の粒状の合金又は混合物を充填した反応塔や、2種以上の金属の粉末の合金又は混合物を添加した反応槽にセレン含有排水を通水し、6価セレンを還元処理するとき、温度及び通水速度に特に制限はないが、温度が高いほど、また、通水速度が遅いほど処理水中のセレン濃度が低下する。0価のセレンまで還元されたセレンは、反応塔又は反応槽内で合金又は金属混合物に付着し除去されるが、4価のセレンは、反応塔又は反応槽の還元処理水のpHを溶出金属が水酸化物を生成するpHに調整することにより、析出した金属水酸化物と共沈して除去される。セレン含有排水が、排煙脱硫排水などのフッ素やホウ素が共存する排水である場合、溶出する金属をアルミニウムとすることにより、フッ素及びホウ素を同時に共沈により除去することができる。また、溶出する金属をアルミニウムとすると、固液分離して生じた汚泥は白色であるので、排煙脱硫装置で発生する石膏と混合して回収することができ、汚泥処理の負荷が軽減される。
本発明のセレン含有排水の処理装置は、イオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物が存在し、セレン含有排水が導入されて排水中のセレンを還元処理する還元反応器と、該還元反応器から流出する還元処理水が導入される凝集反応槽と、凝集反応槽のpHを調整するpH調整剤添加手段と、凝集反応処理水を固液分離する固液分離装置を有する。
図1は、本発明装置の一態様の工程系統図である。本態様の装置は、還元反応器1、凝集反応槽2及び固液分離装置3を有する。セレン含有排水に、溶出すべき金属の量に応じて酸が添加され、イオン化傾向が異なる2種以上の金属の合金又は混合物が充填された還元反応器1に通水される。酸を添加したセレン含有排水を通水することにより、イオン化傾向が大きい金属の方がイオン化傾向が小さい金属よりも多く溶出し、6価セレンは4価ないし0価セレンまで還元される。還元反応器1から流出する還元処理水は、凝集反応槽2に導かれ、pH調整剤添加手段によりアルカリが添加され、水中に溶出してイオン化された金属が水酸化物となって析出する。このとき、水中に存在する還元されたセレンが、金属水酸化物と共沈して除去される。金属水酸化物が析出した凝集反応処理水は、必要に応じて高分子凝集剤が添加され、凝集反応槽2から固液分離装置3に送られ、固液分離装置の底部から汚泥が引き抜かれ、セレン濃度が低下した処理水が上澄水として得られる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例においては、超純水1L当りセレン酸ナトリウム(Na2SeO4)2.39mgと無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)1.48gを溶解して調製したSe(VI)1mg/LとSO41,000mg/Lを含有する合成排水を用いた。
実施例1
塩化スズ(SnCl2・2H2O)21.6gを超純水100mLに濃塩酸0.5mL加えた液に溶解した溶液を、粒径1〜2mm、純度99.5%の金属アルミニウム50mL(86.3g)を充填したガラスカラムに、60℃で、SV2.5h-1で通水し、Al−Sn合金を調製した。使用したAlとSnのモル比は、33:1である。
合成排水に塩酸35mg/L(濃塩酸0.42mL/5L−排水)添加して原水とした。上記のAl−Sn合金を充填したガラスカラムに、60℃に加温しながら、この原水をSV5h-1の流速で通水した。
ガラスカラムから流出する還元処理水のアルミニウム濃度は1.8mg/L、スズ濃度は1.2mg/Lであった。ガラスカラムから流出した還元処理水のpHを水酸化ナトリウム水溶液により7に調整し、10分間反応したのち、No.5Cろ紙を用いてろ過した。ろ紙上の固体は、白色であった。ろ過水のセレン濃度は、0.33mg/Lであった。除去されたセレンの量と、溶出したアルミニウムとスズの合計量の比は、0.18である。
実施例2
実施例1と同じ操作を繰り返して、Al−Sn合金を充填したガラスカラムを調製した。
合成排水に塩酸100mg/L(濃塩酸1.2mL/5L−排水)添加し原水とした。実施例1と同様にして、Al−Sn合金を充填したガラスカラムにこの原水を通水し、流出する還元処理水のアルミニウムとスズの濃度の測定と、水酸化ナトリウム水溶液による中和後のろ過水のセレン濃度の測定を行った。
アルミニウム濃度は19.0mg/L、スズ濃度は1.1mg/L、セレン濃度は0.046mg/Lであった。ろ紙上の固体は、白色であった。除去されたセレンの量と、溶出したアルミニウムとスズの合計量の比は、0.041である。
実施例3
硫酸銅(CuSO4・5H2O)80.0gを超純水400mLに溶解した溶液を、粒径1〜2mm、純度99.5%の金属アルミニウム50mL(86.6g)を充填したガラスカラムに、60℃で、SV1.7h-1で通水し、Al−Cu合金を調製した。使用したAlとCuのモル比は、10:1である。
合成排水に塩酸100mg/L(濃塩酸1.2mL/5L−排水)添加し原水とした。実施例1と同様にして、Al−Cu合金を充填したガラスカラムにこの原水を通水し、流出する還元処理水のアルミニウムと銅の濃度の測定と、水酸化ナトリウム水溶液による中和後のろ過水のセレン濃度の測定を行った。
アルミニウム濃度は17.8mg/L、銅濃度は0.1mg/L以下、セレン濃度は0.55mg/Lであった。ろ紙上の固体は、白色であった。除去されたセレンの量と、溶出したアルミニウムと銅の合計量の比は、0.023である。
参考例
塩化スズ(SnCl2・2H2O)25.8gを、超純水400mLに濃塩酸3mLを加えた液に溶解した溶液250mLを、粒径1〜2mmの金属亜鉛20mL(74.9g)を充填したガラスカラムに、60℃で、SV5h-1で通水し、Zn−Sn合金を調製した。使用したZnと通水した溶液中のSnのモル比は、約16:1である。
合成排水に塩酸35mg/L(濃塩酸0.42mL/5L−排水)添加して原水とした。上記のZn−Sn合金を充填したガラスカラムに、60℃に加温しながら、この原水をSV5h-1の流速で通水した。
ガラスカラムから流出する還元処理水の亜鉛濃度は13.8mg/L、スズ濃度は0.29mg/Lであった。ガラスカラムから流出した還元処理水のpHを水酸化ナトリウム水溶液により10に調整し、10分間反応したのち、No.5Cろ紙を用いてろ過した。ろ紙上の固体は、白色であった。ろ過水のセレン濃度は、0.41mg/Lであった。除去されたセレンの量と、溶出した亜鉛とスズの合計量の比は、0.041である。
参考例
粒径1〜2mmの金属亜鉛15mLと、粒度12〜16メッシュ、純度99.99%以上の金属銅5mLを混合してガラスカラムに充填した。
参考例4と同じ原水を、Zn−Cu混合物を充填したガラスカラムに、参考例4と同様にして通水し、流出する還元処理水の亜鉛と銅の濃度の測定と、水酸化ナトリウム水溶液によるpH調整後のろ過水のセレン濃度の測定を行った。
亜鉛濃度は24.4mg/L、銅濃度は0.1mg/L以下、セレン濃度は0.27mg/Lであった。ろ紙上の固体は、白色であった。除去されたセレンの量と、溶出した亜鉛と銅の合計量の比は、0.030である。
比較例1
粒径1〜2mm、純度99.5%の金属アルミニウム50mLを、ガラスカラムに充填した。
合成排水に塩酸500mg/L(濃塩酸6.05mL/5L−排水)添加して原水とした。上記の金属アルミニウムを充填したガラスカラムに、60℃に加温しながら、この原水をSV5h-1の流速で通水した。
ガラスカラムから流出する還元処理水のアルミニウム濃度は、123mg/Lであった。ガラスカラムから流出した還元処理水のpHを水酸化ナトリウム水溶液により7に調整し、10分間反応したのち、No.5Cろ紙を用いてろ過した。ろ紙上の固体は、白色であった。ろ過水のセレン濃度は、0.88mg/Lであった。除去されたセレンの量と、溶出したアルミニウムの量の比は、0.00073である。
比較例2
合成排水に塩酸2,000mg/L(濃塩酸24.2mL/5L−排水)添加して原水とした以外は、比較例1と同じ操作を繰り返した。
ガラスカラムから流出する還元処理水のアルミニウム濃度は344mg/Lであり、ろ過水のセレン濃度は0.79mg/Lであった。ろ紙上の固体は、白色であった。除去されたセレンの量と、溶出したアルミニウムの量の比は、0.00052である。
比較例3
粒径1〜2mmの金属亜鉛20mLを、ガラスカラムに充填した。
合成排水に塩酸500mg/L(濃塩酸6.05mL/5L−排水)添加して原水とした。上記の金属亜鉛を充填したガラスカラムに、60℃に加温しながら、この原水をSV5h-1の流速で通水した。
ガラスカラムから流出する還元処理水の亜鉛濃度は、440mg/Lであった。ガラスカラムから流出した還元処理水のpHを水酸化ナトリウム水溶液により10に調整し、10分間反応したのち、No.5Cろ紙を用いてろ過した。ろ紙上の固体は、白色であった。ろ過水のセレン濃度は、0.21mg/Lであった。除去されたセレンの量と、溶出した亜鉛の量の比は、0.0017である。
比較例4
粒径12〜32メッシュ、純度99.99%以上の金属スズ50mLをガラスカラムに充填した。
合成排水に塩酸100mg/L(濃塩酸1.2mL/5L−排水)添加して原水とし、比較例3と同様にして通水し、流出する還元処理水のスズの濃度の測定と、水酸化ナトリウム水溶液によるpH調整後のろ過水のセレン濃度の測定を行った。
スズ濃度は30.7mg/L、セレン濃度は0.58mg/Lであった。ろ紙上の固体は、白色であった。除去されたセレンの量と、溶出したスズの量の比は、0.014である。
比較例5
粒度12〜16メッシュ、純度99.99%以上の金属銅50mLを、ガラスカラムに充填した。
合成排水に塩酸500mg/L(濃塩酸6.05mL/5L−排水)添加して原水とし、比較例3と同様にして通水し、流出する還元処理水の銅の濃度の測定と、水酸化ナトリウム水溶液によるpH調整後のろ過水のセレン濃度の測定を行った。
銅濃度は42.2mg/L、セレン濃度は0.91mg/Lであった。ろ紙上の固体は、白色であった。除去されたセレンの量と、溶出した亜鉛と銅の合計量の比は、0.0021である。
実施例1〜3及び参考例4〜5及び比較例1〜5の結果を、第1表に示す。
Figure 0004771284
第1表に見られるように、6価セレンを含有する合成排水をアルミニウム−スズ合金、アルミニウム−銅合金、亜鉛−スズ合金又は亜鉛−銅混合物と接触させた実施例1〜5においては、少量の金属溶出量でセレン濃度の低い処理水が得られている。これに対して、6価セレンを含有する合成排水をアルミニウム、亜鉛、スズ又は銅の金属単体に接触させた比較例1〜5においては、セレンの除去に多量の金属の溶出が必要とされている。
実施例6
実施例1と同じ操作を繰り返して、Al−Sn合金を充填したガラスカラムを調製した。
セレン0.46mg/Lとフッ素54mg/Lを含む排煙脱硫排水に、塩酸を添加して塩化水素濃度2,000mg/Lとし、実施例1と同じ条件で、Al−Sn合金を充填したガラスカラムに通水した。
ガラスカラムから流出する還元処理水のアルミニウム濃度は382mg/L、スズ濃度は2.1mg/Lであった。ガラスカラムから流出した還元処理水のpHを水酸化ナトリウム水溶液により6.8に調整し、10分間反応したのち、No.5Cろ紙を用いてろ過した。ろ紙上の汚泥(SS)は白色であり、排煙脱硫装置で発生する石膏と同色であった。ろ過水のセレン濃度は0.01mg/L以下であり、フッ素濃度は4.7mg/Lであった。除去されたセレンの量と、溶出したアルミニウムとスズの合計量の比は、0.0012以上である。
この結果、本発明方法によれば、排煙脱硫排水中のセレンを十分に低濃度まで除去し、同時に排煙脱硫排水中のフッ素も放流可能な規制値以下に除去することができ、そして、生成する汚泥が白色であり、石膏に混合して回収し得ることが明らかになった。
本発明のセレン含有排水の処理方法及び処理装置によれば、極めて少量の金属溶出量でセレンを還元処理することができ、特に6価セレンを含む排水の処理に有効である。また、金属の選択により発生する汚泥を白色とすることができるので、汚泥処理が容易であり、石灰石膏法により排煙脱硫を行っている事業場では、回収石膏と混合して汚泥を回収することができる。さらに、排煙脱硫排水にはセレンに加えてフッ素とホウ素が含有される場合があるが、本発明方法及び装置によれば、セレンのみならず、フッ素とホウ素も同時に除去することができる。
本発明装置の一態様の工程系統図である。
符号の説明
1 還元反応器
2 凝集反応槽
3 固液分離装置

Claims (3)

  1. 6価セレンを含むセレン含有排水を、金属アルミニウムと、該金属アルミニウムより相対的にイオン化傾向の小さい金属との合金又は混合物とを接触させると共に、前記排水に酸を添加して前記金属アルミニウムの一部を溶出させることにより6価セレンを4価ないし0価セレンまで還元した還元処理水を得、該還元処理水にアルカリを添加して前記溶出した金属アルミニウムを金属水酸化物として析出させると共に、還元処理水中に残存する4価セレンを金属水酸化物と共沈させて該金属水酸化物が析出した凝集反応処理水を得、該凝集反応処理水を固液分離することによりセレン濃度が低下した処理水を得ることを特徴とするセレン含有排水の処理方法。
  2. セレン含有排水が、排煙脱硫排水である請求項1記載のセレン含有排水の処理方法。
  3. 金属アルミニウムと、該金属アルミニウムより相対的にイオン化傾向の小さい金属の合金又は混合物が存在し、6価セレンを含むセレン含有排水に酸が添加された排水が導入されて排水中の6価セレンを還元処理する還元反応器と、該還元反応器から流出する還元処理水が導入される凝集反応槽と、凝集反応槽にpH調整剤としてアルカリを添加してpHをアルカリ性に調整するpH調整剤添加手段と、前記凝集反応槽から送られた凝集反応処理水を固液分離する固液分離装置を有することを特徴とするセレン含有排水の処理装置。
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