JP4770726B2 - 膜ろ過装置の運転条件の決定方法、それを用いた膜ろ過装置 - Google Patents

膜ろ過装置の運転条件の決定方法、それを用いた膜ろ過装置 Download PDF

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Description

本発明は、液体を分離膜によってろ過する膜ろ過装置の運転条件の決定方法、およびそれを用いた膜ろ過装置の運転方法、ならびに膜ろ過装置に関し、さらに詳しくは、活性汚泥や微生物培養液などを膜ろ過によって固液分離することを特徴とする膜ろ過装置の運転条件の決定方法、およびそれに基づいた膜ろ過装置の運転方法、ならびに該運転条件に基づいて運転を制御する手段を有する膜ろ過装置に関する。
液体を分離膜によって膜ろ過する膜ろ過装置において、分離膜の単位面積あたりの膜ろ過流量、即ち膜ろ過流束が常時高く維持できることは大きなメリットとなる。なぜなら、一定流量の膜ろ過液を取得するために必要な膜面積が小さくなり、膜ろ過装置の設置面積の省スペース化や膜設備費の削減が図れるためである。しかしながら、膜ろ過流束を高く設定したり、高膜ろ過流束を維持するために膜ろ過駆動力となる膜ろ過圧力を高く設定すると、被ろ過液に含まれる非膜透過物質が膜表面に蓄積し易く、蓄積された物質が膜抵抗の上昇を引き起こすこととなる。膜抵抗が上昇すると、膜をろ過するために必要な圧力を上昇させることが必要であり、また、膜ろ過液を定膜ろ過流量(定膜ろ過流束)で取得する場合には膜間差圧が上昇し、膜ろ過液を定膜ろ過圧力で取得する場合には膜ろ過流量(膜ろ過流束)が低下することとなる。このような膜間差圧の上昇や膜ろ過流量の低下が発生すると、次第に膜ろ過装置の運転が困難となるので、分離膜の薬洗や交換が必要となる。即ち、膜ろ過流束を高く設定したり、高膜ろ過流束を維持するために膜ろ過駆動力となる膜ろ過圧力を高く設定すると、分離膜の薬洗や交換の頻度が高くなり、膜の交換費用の増大などにより、上記メリットが消失する可能性がある。
上記問題を解決するために、被ろ過液用改質剤を注入することにより、被ろ過液に含まれる非膜透過物質を膜表面に蓄積しにくくさせ、膜ろ過流束を高く設定したり、高膜ろ過流束を維持するために膜ろ過駆動力となる膜ろ過圧力を高く設定しても、膜抵抗および膜間差圧の上昇、あるいは膜ろ過流量(膜ろ過流束)の低下を抑制できるようにすることができる。このことにより、分離膜の薬洗や交換の頻度が少なくなり、結果的に膜の交換費用が低く抑えられる。但し、使用する改質剤の注入量が過剰な場合、改質剤の費用が高くなるため、適正な改質剤注入量を調整することが非常に重要となる。
特許文献1では、前記改質剤の注入量が膜ろ過装置内の固形分重量あたり0.1〜1%となる量であることが好ましく、0.2〜0.8%となることが特に好ましいとしている。そして、0.1%未満では、被ろ過液に含まれる非膜透過物質の凝集効果が不十分で、低い膜間差圧で長時間にわたり高膜ろ過流束を維持することができず、また1%を超えて注入しても、被ろ過液に含まれる非膜透過物質の凝集効果が余り変わりなく、改質剤のコストが高くつくので好ましくないとしている。
特開平8−332483号公報
前記改質剤の適正な注入量は、被ろ過液の膜ろ過性状、膜ろ過条件、及び、水温の条件により、大きく異なることが考えられるが、特許文献1に基づく運転方法の場合、一定の範囲の改質剤注入量を示しているのみであるため、例えば、ある被ろ過液の性状、膜ろ過条件、水温の条件が与えられた場合、どれぐらいの量の改質剤を注入すれば、長時間にわたり高膜ろ過流束を維持した上で、運転コストを一番小さくできるかということは決定できないという問題点があった。
本発明は、この問題点を受けてなされたものであって、その目的は、被ろ過液の膜ろ過性状、膜ろ過条件、及び、水温に適した前記改質剤の注入量を決定し、その決定値に基づき膜ろ過装置を運転することによって、運転コストの削減、膜ろ過装置の負担の低減に寄与する膜ろ過装置の運転条件の決定方法、およびそれに基づいた膜ろ過装置の運転方法、ならびに該運転条件に基づいて運転を制御する手段を有する膜ろ過装置を提供するものである。
上記問題を解決するために、本発明の膜ろ過装置の運転条件の決定方法は、以下の構成のいずれかであることを必須とする。
(1)少なくとも、分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段を有する膜ろ過装置を用いて、前記被ろ過液を前記分離膜によりろ過し、ろ過と同時または逐次的に前記改質剤の注入量の調整を行う膜ろ過装置の運転条件の決定方法であって、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータから、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測し、前記予測結果に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することを含む膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
(2)少なくとも、分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段を有する膜ろ過装置を用いて、前記被ろ過液を前記分離膜によりろ過し、ろ過と同時または逐次的に前記改質剤の注入量の調整を行う膜ろ過装置の運転条件の決定方法であって、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータから、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量もしくは膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測し、前記予測結果に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することを含む膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
本発明によれば、様々な被ろ過液の種類に応じて、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する調整手段の適正な運転条件を決定し、その決定結果に基づいて、膜ろ過装置を運転することによって、長期間にわたり膜抵抗や膜ろ過圧力の上昇や膜ろ過流束の低下を抑制したり、分離膜を長期間利用したりすることが可能となり、結果的に膜交換の費用が低く抑えられる。また必要な改質剤の費用と膜交換の費用を含む全体の運転コストを最も小さくすることも可能である。例えば、膜ろ過流束が非常に大きい場合と小さい場合、間欠ろ過をする場合と連続ろ過をする場合、膜表面の洗浄効果が大きい場合と小さい場合など、それぞれの条件によって、長期間膜抵抗や膜ろ過圧力の上昇や膜ろ過流束の低下を抑制するため、あるいは、長期間分離膜を利用するための適正な改質剤注入量が異なるはずであるが、本発明では、それら条件に応じて適正な改質剤注入量を決定することが可能となる。
以下、本発明を詳細かつ具体的に説明する。
本発明は、少なくとも、分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段を有する膜ろ過装置を用いて、前記被ろ過液を前記分離膜によりろ過し、ろ過と同時または逐次的に前記改質剤の注入量の調整を行う膜ろ過装置の運転条件の決定方法に関するものである。
ここにおいて、分離膜とは、被ろ過液に圧力を加えて、もしくは透過側から吸引することによって、被ろ過液中に含まれる一定粒子径以上の物質を捕捉する機能を有するものであり、その捕捉粒子径の違いにより、ダイナミックろ過膜、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがある。本発明で用いられる分離膜としては、好ましくは、ダイナミックろ過膜、精密ろ過膜、限外ろ過膜である。また、分離膜の形状としては、平膜や中空糸膜などがあるが、形状は特に限定しない。
また、膜ろ過に供される被ろ過液は、一般に懸濁物質を含有する液であり、特に限定しないが、例えば、微生物を含む液体の場合には、一般的に被ろ過液の中には物質としての微生物と微生物の代謝産物が比較的高濃度で存在するため、被ろ過液を膜ろ過した際の抵抗などの変動を予測することが困難となるが、本発明に従えば、被ろ過液を膜ろ過した際の抵抗などの変動を予測することが可能となり、被ろ過液を膜ろ過する膜ろ過装置における調整手段(後述の改質剤注入量調整手段)の運転条件を精度よく決定することが可能となる。この点からして、本発明における被ろ過液は、微生物培養液や活性汚泥などの微生物を含む液体であることが好ましい。また、本発明では、懸濁物質の濃度が100mg/L以上の被ろ過液が好ましい。
また、被ろ過液用改質剤は、被ろ過液の膜ろ過性を変化させる効力のあるものであればよく、例えば、凝集剤や生物製剤や薬品などが挙げられる。凝集剤は、被ろ過液中の非膜透過物質を凝集し、分離膜表面に蓄積される非膜透過物質中の水路を大きくさせるなどの効果により、結果的に膜抵抗の上昇を抑制する効果を有するものであり、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などの無機系凝集剤、アミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩(共)重合体、ポリアミノメチルアクリルアミド塩、キトサンなどのカチオン性高分子凝集剤、アクリルアミド/アクリル酸ソーダ共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ソーダ/AMPS共重合物、ポリアクリル酸ソーダなどのアニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミドなどの非イオン性高分子凝集剤がある。また、生物製剤は、微小後生動物、原生動物、及び細菌などの(微)生物を含有するものであり、被ろ過液中の非膜透過物質を摂食することなどにより、結果として膜抵抗の上昇を抑制する効果を有するものである。微小後生動物としては、例えばRotaria属、Philodina属などの輪虫類、原生動物としては、例えばMonosiga属、Bicosoeca属、Codosiga属などの鞭毛虫類、Tokophrya属、Campanella属、Vorticella属などの繊毛虫類、細菌としては、例えばフロックを形成するフロック形成細菌などが挙げられる。また、薬品は、被ろ過液中の非膜透過物質を分解することなどにより、結果として膜抵抗の上昇を抑制する効果を有するものであり、例えばオゾンや次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、被ろ過液用改質剤注入手段とは、前記被ろ過液用改質剤を膜ろ過装置に注入させることが可能であるものなら、その形態は特に限定しないが、例えば、ポンプを利用して、被ろ過液用改質剤を膜ろ過装置に注入する方法がある。
また、改質剤注入量調整手段とは、改質剤の注入量を調整・変化させることが可能であるものなら、その形態は特に限定しないが、例えば、ポンプにおける吐出(送液)量、吐出(送液)時間などを変化させて、改質剤の注入量を調整・変化させる方法がある。
また、膜ろ過装置には、分離膜を被ろ過液に浸漬させることを特徴とする浸漬型の膜ろ過装置、分離膜を収容した容器に被ろ過液を送液しながら膜ろ過することを特徴とする膜ろ過装置、分離膜の全てまたは一部を被ろ過液に浸漬させ分離膜を回転させることを特徴とする回転型の膜ろ過装置などがある。膜ろ過方式は、デッドエンド型でもクロスフロー型でもよい。なかでも、本発明が適用できる装置としては、下水や工場排水や屎尿などの処理に利用される膜分離式活性汚泥法、膜分離工程を含む微生物学的物質生産プロセスなどがある。
本発明では、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータから、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測する(以下、予測ステップ1とする)。あるいは、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータから、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量もしくは膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測する(以下、予測ステップ2とする)。
ここにおいて、被ろ過液の構成成分とは、被ろ過液を構成する成分のことであり、例えば、遠心分離、ろ紙によるろ過、分離膜によるろ過などによって被ろ過液を分画し、その画分となる液体を構成成分とすることができる。また、本発明では、被ろ過液の構成成分の種類として、上清成分を利用することが好ましく、上清成分と固形成分を利用することがさらに好ましく、上清成分と固形成分と溶解成分を利用することが最も好ましい。ここで、上清成分は、例えば、被ろ過液を遠心分離したときの遠心上清、前記膜ろ過装置における分離膜より孔径の大きい分離膜(例えば、前記膜ろ過装置における分離膜として精密ろ過膜や限外ろ過膜などを用いた場合にはろ紙など)を用いて被ろ過液をろ過したときのろ過液などとすることができ、また、固形成分は、例えば、被ろ過液を遠心分離したときの沈殿物、前記膜ろ過装置における分離膜より孔径の大きい分離膜(例えば、前記膜ろ過装置における分離膜として精密ろ過膜や限外ろ過膜などを用いた場合にはろ紙など)を用いて被ろ過液をろ過したときの非膜ろ過液物とすることができる。また、溶解成分は、膜ろ過装置における分離膜、あるいは、前記分離膜と同じ素材の分離膜からの透過液とすることが好ましい。
また、被ろ過液の構成成分量とは、前記構成成分中に含まれる溶解物質や懸濁物質などの物質量のことであり、例えば、全有機炭素量(TOC)、化学的酸素要求量(COD)、生物化学的酸素要求量(BOD)、細胞外高分子物質量(EPS)、浮遊固形物濃度(MLSS)、乾燥重量、浮遊固形物強熱減量(MLVSS)などによって測定することができる。本発明では、測定の容易性・精度・自動化を鑑みた場合、TOCに基づいて測定された物質量で規定することを推奨する。
また、本発明では、上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量を構成成分量として用いること、あるいは、固形成分の物質量を構成成分量として用いることが好ましく、上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量、および、固形成分の物質量を構成成分量として用いることがさらに好ましい。被ろ過液の上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量、および、固形成分の物質量は、実際に膜を透過することができずに、膜表面に付着することによって抵抗に寄与する物質量であるためである。特に、被ろ過液を膜ろ過する際には、被ろ過液の上清成分の中で膜ろ過装置における分離膜を透過しない物質(その物質量は、上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量として表現される)が膜に付着し、膜抵抗を主として形成していることが多く、被ろ過液の構成成分量として、上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量を用いることによって、より精度良く、分離膜に付着している被ろ過液の構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは、膜抵抗の値の変化を予測することが可能となる。また、被ろ過液の構成成分量として固形成分量のみを用いることによって、被ろ過液全体を包括的かつ容易に定義することができる。また、被ろ過液の固形成分に含まれる物質は、膜に付着すれば抵抗に寄与し、また、前記上清成分の中で膜ろ過装置における分離膜を透過しない物質と比較して膜から剥離しやすいため、膜に付着した前記上清成分の中で膜ろ過装置における分離膜を透過しない物質を巻き込んでともに剥離する効果がある。従って、上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量、および、固形成分の物質量を構成成分量として用いることによって、分離膜に付着している被ろ過液の構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは、膜抵抗の値の変化を予測する際に、上記現象を再現することが可能となる。
また、膜ろ過流量とは、膜から得られる透過液の流量である。また、膜ろ過流量の値を膜面積で除したものが膜ろ過流束である(即ち、膜ろ過流束とは、前記分離膜の単位面積あたりの膜ろ過流量である。)。膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータとは、任意の時間に対する膜ろ過流量の値を時系列的に組み合わせたものであり、経時的に膜ろ過流量の値が変動してもよいが、変動せずに一定でも構わない。また、膜ろ過流量の値を膜ろ過流束に換算し、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータを膜ろ過流束の時系列的変化を表すデータに置き換えても構わない。
また、膜ろ過圧力とは、分離膜の被ろ過液側の圧力と透過液側の圧力との差として算出されるものであり、ポンプによって加圧あるいは吸引することによって膜ろ過液を得る場合には加圧や吸引圧など、サイフォンの原理を利用して膜ろ過液を得る場合には水頭差などから算出することができる。膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータとは、任意の時間に対する膜ろ過圧力の値を時系列的に組み合わせたものであり、経時的に膜ろ過圧力の値が変動してもよいが、変動せずに一定でも構わない。
また、分離膜に付着している構成成分量とは、膜表面に付着している前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質量である。ここで、被ろ過液の構成成分量として2種類以上の物質量(例えば、上清成分の物質量と溶解成分の物質量との差分量と、固形成分の物質量など)を用いる場合には、それぞれの種類の構成成分について、分離膜に付着している構成成分量を意味する。
また、膜抵抗とは、被ろ過液を膜によってろ過する際に発生する抵抗のことであり、一般的に、(1)式によって定義される。
R=ΔP/(μJ) (1)
ここで、ΔPは膜ろ過圧力[Pa]、μは膜ろ過液の粘度[Pa・s]、Rは膜抵抗[1/m]、Jは膜ろ過流束[m/s]である。ここで、μは膜ろ過液の粘度を直接測定してもよいが、(2)式に従い、温度から換算してもよい。
μ×10=F・exp[(1+BT)/(CT+DT)] (2)
ここで、F=0.01257187、B=−0.005806436、C=0.001130911、D=−0.000005723952であり、Tは絶対温度[K]である。すなわち、摂氏温度をσ[℃]とすると、T=σ+273.15として表される。
また、予測とは、インプットとなるデータ(即ち、予測ステップ1の場合は、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータであり、予測ステップ2の場合は、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータである。)から、対象とする変動(即ち、予測ステップ1の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の値の変動であり、予測ステップ2の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の値の変動である。)をアウトプットとして出力することである。
前記、予測ステップ1あるいは予測ステップ2の手段としては、ニューラルネットなどを利用して実データを学習させた結果に基づいて予測する方法、入力されたデータの関数として膜抵抗の値や膜ろ過圧力の値の変化を表現する方法があるが、本発明においては、前記被ろ過液の構成成分量の時系列的変化を表すデータ、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータ、あるいは、膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータに基づいて、前記分離膜に付着している構成成分量の値を計算する計算ステップ100を含む予測方法であることが好ましい。このことにより、予測ステップ1の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、予測ステップ2の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、より精度良く予測することが可能となる。
また、前記計算ステップ100が、前記分離膜に付着した構成成分量の変化量を、前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質が分離膜に付着する速度と剥離する速度との差として表現される計算式に基づいて計算される計算ステップ101であることがさらに好ましい。このことにより、分離膜に付着している構成成分量の変化量を計算することができ、それによって、任意の時間tの分離膜に付着している構成成分量の値があれば、一定時間後のti+1における分離膜に付着している構成成分量の値が計算できる。さらに、膜ろ過流量の値や膜ろ過流束の値や膜ろ過圧力の値が一定でなく変動している場合などについても、被ろ過液の構成成分の膜付着量の変動を計算することが可能となる。また、前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質が前記分離膜から剥離する速度が、前記分離膜に付着している構成成分量の値の2次以上の高次式に基づいて決定されることが、さらに好ましい。このことによって、予測ステップ1の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、予測ステップ2の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、より精度良く予測することが可能となる。
また、前記分離膜に付着している上清成分の物質量の変化量を表現した計算式が、前記分離膜に付着している固形成分の物質量の値を含んでいる、あるいは、前記分離膜に付着している固形成分の物質量の変化量を表現した計算式が、前記分離膜に付着している上清成分の物質量の値を含んでいる計算式であることが最も好ましい。このことによって、分離膜に付着している固形成分に含まれる物質が、膜に付着している上清成分に含まれる非膜透過性の物質を巻き込んでともに剥離する現象(被ろ過液の固形成分は、膜に付着すれば抵抗に寄与し、また上清成分に含まれる非膜透過性の物質と比較して膜から剥離しやすいため)を予測することが可能となり、予測ステップ1の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、予測ステップ2の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、より精度良く予測することが可能となる。
ここにおいて、前記予測ステップ1および前記予測ステップ2における計算手順として以下のような手順がある。
前記予測ステップ1および前記予測ステップ2は、任意の時刻における膜ろ過流束の値あるいは膜ろ過圧力の値を計算する計算ステップ10、任意の時刻における分離膜に付着している構成成分量の値を計算する計算ステップ20、任意の時刻における膜抵抗の値を計算する計算ステップ30によって構成され、時刻を更新しながら、前記計算ステップ10、前記計算ステップ20、および、前記計算ステップ30を繰り返すことによって、前記予測ステップ1あるいは前記予測ステップ2において、予測対象としている値の時間変化(すなわち、変動)を求めることができる。
ここで、前記計算ステップ10では、前記(1)式に従うことが好ましい。このとき、(1)式を次のような(1’)式に変換してもよい。
R=AΔP/(μQ) (1’)
ここで、Qは膜ろ過流量[m/s]、Aは膜面積[m]である。
(1)式あるいは(1’)式を用いることにより、予測ステップ1の場合には任意の時刻における膜ろ過圧力の値を、予測ステップ2の場合には任意の時刻における膜ろ過流量の値あるいは膜ろ過流束の値を計算することができる。
また、計算ステップ20では、上記のように、前記分離膜に付着している構成成分量の変化量を、前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質が分離膜に付着する速度と剥離する速度との差として表現される計算式に基づいて計算される計算ステップ101であることが好ましく、前記分離膜に付着している上清成分の物質量の値の変化量を表現した計算式が、前記分離膜に付着している固形成分の物質量の値を含んでいる、あるいは、前記分離膜に付着している固形成分の物質量の値の変化量を表現した計算式が、前記分離膜に付着している上清成分の物質量の値を含んでいる計算式であることがさらに好ましい。このような計算式として、例えば、次の(3)式および(4)式があり、本発明においては、(3)式および(4)式に従うことを推奨する。しかし、本発明の範囲は(3)式及び(4)式に限定されるものではない。
dXm/dt=X・J−γx・(τ−λx・ΔP)・(ηx・Xm+ηp・Pm)・Xm (3)
dPm/dt=P・J−γp・(τ−λp・ΔP)・(ηx・Xm+ηp・Pm)・Pm (4)
ただし、(τ−λx・ΔP)≧0、(τ−λp・ΔP)≧0である。
ここで、Xは固形成分に含まれる物質量[gC/m]、Pは上清成分に含まれる非膜透過性物質の物質量[gC/m]、Xmは単位膜面積あたりの分離膜に付着した固形成分に含まれる物質量[gC/m]、Pmは単位膜面積あたりの分離膜に付着した上清成分に含まれる非膜透過性物質の物質量[gC/m]、tは時間[s]、τは膜洗浄力[−]、γxは固形成分に含まれる物質の剥離係数[1/m/s]、γpは上清成分に含まれる非膜透過性物質の剥離係数[1/m/s]、λxは固形成分に含まれる物質の摩擦係数[1/Pa]、λpは上清成分に含まれる非膜透過性物質の摩擦係数[1/Pa]、ηxは固形成分に含まれる物質の密度の逆数[m/gC]、ηpは上清成分に含まれる非膜透過性物質の密度の逆数[m/gC]である。ここで、(3)式及び(4)式の右辺の第1項は、構成成分に含まれる物質が分離膜に付着する速度、及び、第2項は、構成成分に含まれる物質が分離膜から剥離する速度を示している。また、(3)式及び(4)式の両辺に膜面積Aを乗ずることによって、(3)式の左辺を分離膜に付着した固形成分に含まれる物質量の変化量、(4)式の左辺を分離膜に付着した上清成分に含まれる非膜透過性物質の物質量の変化量に、右辺の膜ろ過流束Jを膜ろ過流量Qに変換することが可能である。
また、前記のように、分離膜に付着している構成成分量の変化量を、前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質が分離膜に付着する速度と剥離する速度との差として表現される計算式に基づく場合、分離膜に付着した被ろ過液の構成成分量に関する微分方程式として表現されるが、そのとき、この微分方程式を解く方法として、Euler法や、Runge−Kutta法や、Runge−Kutta−Gill(RKG)法などがある。
計算ステップ20を上記のように行うことにより、任意の時刻における分離膜に付着している構成成分量の値を計算することができる。
また、前記計算ステップ30では、例えば、(5)式に従うことにより任意の時刻における膜抵抗の値を計算できる。
R=Rm+αxXm+αpPm (5)
ここで、Rmは初期膜抵抗の値[1/m]、αxは前記Xmの単位量あたりの抵抗発生量[m/gC]、αpは前記Pmの単位量あたりの抵抗発生量[m/gC]である。
以上のように、前記計算ステップ10、前記計算ステップ20、および、前記計算ステップ30の3つの計算ステップによって、予測対象の値の変動を計算することができるが、膜抵抗の値の変動のみを予測する場合には、前記計算ステップ10を省略し、前記計算ステップ20および前記計算ステップ30の2つの計算ステップで構成することも可能である。例えば、前記計算ステップ20において、予測ステップ1の場合には、膜ろ過圧力の値を含む計算式(例えば(3)式や(4)式)を用いるとき、前記計算ステップ10において膜ろ過圧力の値の計算のために利用する計算式(例えば(1)式)を、前記計算ステップ20における膜ろ過圧力の値を含む計算式に代入した計算式を前記計算ステップ20に用いることによって、前記膜ろ過圧力の値を計算する計算ステップを省略でき、予測ステップ2の場合には、膜ろ過流量や膜ろ過流束の値を含む計算式(例えば(3)式や(4)式)を用いるとき、前記計算ステップ10において膜ろ過流量や膜ろ過流束の値の計算のために利用する計算式(例えば(1)式)を、前記計算ステップ20における膜ろ過流量や膜ろ過流束の値を含む計算式に代入した計算式を前記計算ステップ20に用いることによって、前記膜ろ過圧力の値を計算する計算ステップを省略できる。同様に、予測ステップ1の場合には膜ろ過圧力の値の変動のみを、予測ステップ2の場合には膜ろ過流量あるいは膜ろ過流束の値の変動のみを予測する場合には、前記計算ステップ30を省略し、前記計算ステップ10および前記計算ステップ20の2つの計算ステップで構成することも可能である。例えば、前記計算ステップ10において、膜ろ過抵抗の値を含む計算式(例えば(1)式)を用いる場合、前記計算ステップ30において膜抵抗の値の計算のために利用する計算式(例えば(5)式)を、前記計算ステップ10における膜抵抗の値を含む計算式に代入した計算式を前記計算ステップ10に用いることによって、前記計算ステップ30を省略できる。上記のように、計算ステップ10あるいは計算ステップ30は適宜省略することが可能であるが、計算ステップ20は省略しないことが推奨される。
また、予測ステップ1あるいは予測ステップ2のインプットとなるデータに、前記改質剤の注入量を表すデータの代わりに、前記改質剤注入量に依存するパラメータを用い、前記パラメータと前記改質剤注入量との相関関係をあらかじめ決定しておくことが好ましい。これらのパラメータを前記予測ステップ1あるいは予測ステップ2のインプットとなるデータとして用い、これらのパラメータと前記改質剤注入量との相関関係をあらかじめ決定しておくことにより、改質剤注入量、及びそれに基づく改質剤注入量調整手段の運転条件を適正に決定することが可能となる。また、前記パラメータは、(5)式における抵抗係数(αx、αp)、(3)、(4)式における剥離係数(γx、γp)及び/又は、摩擦係数(λx、λp)のうちのいずれか1以上であることが好ましく、それらのうちの2以上であることがさらに好ましい。抵抗係数とは、(5)式からわかるように、分離膜に付着している構成成分量の単位量あたりに発生する膜抵抗の値である。また、剥離係数とは、(3)、(4)式からわかるように、分離膜に付着している構成成分の分離膜からの剥離のし易さを表すパラメータである。また、摩擦係数とは、(3)、(4)式からわかるように、膜ろ過圧力が、分離膜に付着している構成成分の分離膜からの剥離を阻害する程度を表すパラメータである。これら被ろ過液の膜ろ過性を反映するパラメータを用いることにより、予測ステップ1の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、予測ステップ2の場合は、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の値の変動を、より精度良く予測することが可能となる。
また、前記パラメータの値が、前記被ろ過液を試験用分離膜によりろ過し、ろ過過程における膜ろ過圧力の値、膜ろ過流束あるいは膜ろ過流量の値、膜抵抗の値の変化に基づいて決定されることが好ましい。このことにより、前記パラメータの値を精度良く決定することが可能となるだけでなく、膜ろ過装置を実際に運転することなく、簡便に前記パラメータの値を決定することが可能となる。
前記試験としては、例えば図10に示した膜ろ過試験装置400を用いる方法がある。膜ろ過試験装置400は、窒素ガス405を用いてろ過対象液を加圧し(その圧力は、圧力計411によって測定)、分離膜402でろ過対象液をろ過する装置である。ここにおいて、分離膜402の面積は0.01m以下であることが好ましく、膜ろ過装置の分離膜と同じ素材・形状の分離膜であることがさらに好ましい。このことにより、使用する分離膜は小さいものですむため、簡便に前記パラメータの値を決定することが可能となる。また、膜ろ過装置の分離膜と同じ素材・形状の分離膜を用いることにより、前記パラメータの値を精度良く決定することが可能となる。ろ過対象液としては、純水、膜ろ過装置から採取した被ろ過液に任意の濃度で前記改質剤を添加したもの(以下、改質剤添加被ろ過液)、及び、その上清成分を用いることが好ましい。このことにより、前記パラメータの値を精度良く決定することが可能となる。
純水をろ過対象液として用いる場合は、例えば純水を純水チャンバー410に収容し、純水チャンバー410を窒素ガス405で加圧することにより、純水を攪拌式セル401(例えば、ミリポア(株)製Amicon8010)に導入し、膜固定ホルダー406に設置された分離膜402で、純水をろ過する方法が考えられる。膜ろ過圧力は、試験に要する時間、得られるデータの精度、膜ろ過試験装置の安全面を考慮すると、5〜20kPaであることが好ましい。
改質剤添加被ろ過液、あるいは、その上清成分をろ過対象液として用いる場合は、純水チャンバー410を外し、図8の点線のライン415を接続して、攪拌式セル401に改質剤添加被ろ過液、あるいは、その上清成分を投入し、攪拌式セル401を窒素ガス405で加圧することにより、膜固定ホルダー406に設置された分離膜402で、改質剤添加被ろ過液、あるいは、その上清成分をろ過する方法が考えられる。ここにおいて、攪拌式セル401には、攪拌子404が付属され、マグネティックスターラー403によって、ろ過対象液を攪拌できる構造となっていることが好ましい。このことにより、分離膜402に付着した改質剤添加被ろ過液、あるいは、その上清成分中の非膜透過成分を剥離する効果が得られるため、前記パラメータ、特に剥離係数、及び、摩擦係数の値を精度良く決定することが可能となる。また、投入する改質剤添加被ろ過液、あるいは、その上清成分の量は100ml以下であることが好ましい。このことにより、使用するろ過対象液は少量ですむため、簡便に前記パラメータの値を決定することが可能となる。また、被ろ過液は1.1倍以上で希釈して、攪拌式セル401に投入することが好ましい。このことにより、試験に要する時間を短縮することが可能となる。膜ろ過圧力は、試験に要する時間、得られるデータの精度、膜ろ過試験装置の安全面を考慮すると、5〜20kPaであることが好ましい。また、試験中には、バルブ414を閉じることにより、10秒以上ろ過を休止する期間が1回以上含まれることが好ましい。このことにより、前記パラメータの値を精度良く決定することが可能となる。
各試験において、バルブ412、バルブ413、バルブ414を開閉することにより、膜ろ過試験装置各部の加圧の有無を調整できることが好ましい。また、膜透過液は電子秤408上に載せたビーカー407に受けて、その膜透過液量を電子秤408によって測定し、その測定値をパソコン409に取り込む構造とすることが好ましい。このことにより、データの取得が簡便になり、また、得られるデータの精度が高くなるため、前記パラメータの値を精度良く決定することが可能となる。パソコン409内に取り込まれたろ過時間とろ過液量との関係を示したデータは次のように処理を行う。まず、任意のろ過時間におけるろ過液量の微分係数を用いて、任意のろ過時間における膜ろ過流束を算出する。次に、前記任意のろ過時間における膜ろ過流束から、膜ろ過圧力を用いて、前記(1)式に従い、任意のろ過時間における膜ろ過抵抗を算出する。上記のように算出された結果から、単位膜面積あたりの総ろ過液量と膜ろ過抵抗との関係を作成する。
このようにして得られた単位膜面積あたりの総ろ過液量と膜ろ過抵抗との関係から前記パラメータの値を決定する方法として、前記パラメータに様々な値を与えて前記予測ステップ2を実行することにより、膜ろ過抵抗の変動を予測し、その予測結果と実際に得られた膜ろ過抵抗の変動との差異が最小となるようなパラメータの値を、決定すべきパラメータの値とする方法がある。ここで、予測ステップ2は前記計算ステップ10、前記計算ステップ20、および、前記計算ステップ30の3つの計算ステップによって構成され、さらに、計算ステップ10として前記(1)式もしくは(1)’式を利用し、計算ステップ20として前記(3)式、及び、前記(4)式を利用し、計算ステップ30として前記(5)式を利用することが好ましい。このことにより、前記パラメータの値を精度良く決定することが可能となる。(1)式(あるいは(1)’式)、(3)式、(4)式、(5)式を用いて膜ろ過抵抗の変動を予測するには、初期膜抵抗Rm、膜洗浄力τの値を与える必要がある。このうち初期膜抵抗Rmについては、前記純水をろ過対象液として行った試験の結果から作成された単位膜面積あたりの総ろ過液量と膜ろ過抵抗との関係から、膜ろ過抵抗がほぼ一定となっている部分の平均値をRmとすることが好ましい。また、膜洗浄力τについては、ある一定値(例えば1)を与えることが好ましい。
前記パラメータ(即ち、抵抗係数αx、αp、剥離係数γx、γp、摩擦係数λx、λp)の値を決定する手順は以下のようになる。まず、改質剤添加被ろ過液の上清成分をろ過対象液として行った試験結果から、αp、γp、λpの値を決定する。具体的には単位膜面積あたりの分離膜に付着した固形成分に含まれる物質量Xmを0とし、αp、γp、λpに様々な値を与え、(1)式(あるいは(1)’式)、(4)式、(5)式を用いて、膜ろ過抵抗の変動を予測する。その予測結果と実際に得られた膜ろ過抵抗の変動との差異が最小となるようなαp、γp、λpの値を、決定すべきαp、γp、λpの値とする。次に、改質剤添加被ろ過液をろ過対象液として行った試験結果から、αx、γx、λxの値を決定する。具体的にはαp、γp、λpに上で示した手順で決定した値を与え、αx、γx、λxに様々な値を与え、(1)式(あるいは(1)’式)、(3)式、(4)式、(5)式を用いて、膜ろ過抵抗の変動を予測する。その予測結果と実際に得られた膜ろ過抵抗の変動との差異が最小となるようなαx、γx、λxの値を、決定すべきαx、γx、λxの値とする。
本発明では、上記のように予測された結果に基づいて、改質剤注入量、及びそれに基づく改質剤注入量調整手段の運転条件を決定する。かかる運転条件の決定方法としては、前記予測結果に基づき、膜ろ過装置の運転コストを計算し、該運転コストに基づいて、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することが好ましい。ここにおいて、膜ろ過装置の運転コストとは、膜ろ過装置を運転するために必要なコストのことである。膜ろ過装置に改質剤を注入する効果は、被ろ過液に含まれる非膜透過物質を膜表面に蓄積しにくくさせることにより、膜ろ過流束を高く設定しても、膜抵抗および膜間差圧の上昇を抑制できること、また、同じ膜ろ過圧力を設定しても、改質剤を注入すれば高い膜ろ過流束が得られることにあるが、このことにより、分離膜の薬洗や交換の頻度が少なくなり、結果的に膜の交換費用が低く抑えられる。しかし、改質剤を必要以上に注入すると、改質剤の費用が分離膜の交換費用の低減分を上回る可能性がある。よって、このトレードオフの関係の中で膜ろ過装置の運転コストを最小にすることを目的とした場合、前記運転コストに、改質剤の費用、及び、分離膜の交換費用が含まれることが不可欠である。膜ろ過装置の運転コストには、改質剤の費用、分離膜の交換費用以外にも、曝気のためのブロア、ポンプの電力費、汚泥処理費などがあるが、これらの費用は改質剤の注入量が増減しても、大きな変動はないため、実質的には前記2つの費用の合計が最小となるような改質剤注入量を探索することが好ましい。改質剤の費用は例えば以下の(6)式で計算される。
=W×P/Q’ (6)
ここで、Cは改質剤の費用[円/m]、Wは改質剤注入量[kg/日]、Pは改質剤の値段[円/kg]、Q’は処理水量[m/日]である。
一方、分離膜の交換費用は例えば以下の(7)式で計算される。
=N×P/(Y×365)/Q’ (7)
ここで、Cは分離膜の交換費用[円/m]、Nは分離膜枚数[枚]、Pは分離膜の値段[円/枚]、Yは分離膜の寿命[年]である。
例えば、膜ろ過装置の処理水量、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、膜ろ過流量(膜ろ過流束)が決まっている場合、前記予測ステップ1、及び、(6)〜(7)式を用いて、膜ろ過装置の運転コストが最小となるような改質剤注入量、及びそれに基づく改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することが可能である。例えば、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、任意の改質剤注入量、膜ろ過流量(膜ろ過流束)をインプットのデータとして前記予測ステップ1を実行することにより、膜ろ過圧力の経時変化を計算する。そして、膜ろ過圧力が所定値に達したときに分離膜の薬洗を行うとする。ここにおいて、所定値に達するまでの時間をt(1)とする。ここにおいて、括弧内の数字は薬洗回数を表す。薬洗を行うと分離膜中に蓄積された非膜透過物質が除去されるため、膜ろ過圧力は低下するが、ろ過を行い続けると膜ろ過圧力は上昇し、再度所定値に達する。薬洗を行ってから膜ろ過圧力が所定値に達するまでの時間をt(2)とすると、t(2)はt(1)よりも小さくなる。これは、薬洗を行っても分離膜中に蓄積された非膜透過物質が完全に除去されないためである。前記計算を繰り返し、(n−1)回目の薬洗を行ってから膜ろ過圧力が所定値に達するまでの時間が所定時間以下になったとき、分離膜の交換を行うとする。ここにおいて、薬洗を行ってから膜ろ過圧力が所定値に達するまでの時間をt(n)とすると、前記(7)式における分離膜の寿命Yは t(1)+t(2)+・・・+t(n) で表される(図5参照)。計算された分離膜の寿命Yから(7)式を用いて、分離膜の交換費用Cを計算し、一方で改質剤注入量Wから(6)式を用いて、改質剤の費用Cを計算し、CとCの合計を計算する。そして、その合計費用が最小となるような改質剤注入量を、改質剤注入量の適正値、及び、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件とする。ここにおいて、所定値は、膜ろ過圧力を発生させるポンプの出力最大値に基づいて決定する方法、膜ろ過圧力を発生させるポンプのエネルギー消費許容最大値に基づいて決定する方法などが例示される。また、所定時間は、薬洗に要する労力などから決定する方法などがある。
また、膜ろ過圧力と分離膜の寿命Yとの相関関係があらかじめわかっている場合は、前記計算において、計算された膜ろ過圧力から分離膜の寿命Yを予測し、(7)式を用いて、分離膜の交換費用Cを計算してもよい。
また、上記のように予測された結果に基づいて、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件(即ち、改質剤注入量)の是非を判断し、前記判断結果において是と判断された前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件の中から、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件を決定し、前記決定された適正な改質剤注入量調整手段の運転条件に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を決定してもよい。かかる決定方法として、例えば、図6に示した方法がある。図6は、本発明を実施するためのフローチャートの一例である。まず、予測ステップ1を利用する場合には、被ろ過液の構成成分量の時系列的な変化を表すデータ、膜ろ過流量の時系列的な変化を表すデータ、および、n通りの任意の改質剤注入量の値を準備する。被ろ過液の構成成分量の時系列的な変化を表すデータ、膜ろ過流量の時系列的な変化を表すデータを利用し、仮想的な改質剤注入量の値には、仮に1番目の値(改質剤注入量1とする)を利用する。これらのデータ及び値に基づいて、予測ステップ1に基づいて分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測し、その予測結果に基づいて、仮想的な改質剤注入量の是非を判断する。ここにおいて、改質剤注入量の代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを予測ステップ1の入力データとして用いる場合は、あらかじめ決定している改質剤注入量と前記パラメータとの相関関係から、前記改質剤注入量1に対する前記パラメータの値1を計算し、前記パラメータの値1を用いて、予測ステップ1を実行し、その予測結果に基づいて、仮想的な改質剤注入量の是非を判断する(図7)。この判断結果を判断結果1とする。同様に、2番目〜n番目までの仮想的な改質剤注入量を利用して、予測を行い、その予測結果に基づいて仮想的な改質剤注入量の是非を判断し、判断結果2〜判断結果nを得る。上記のようにして得られた判断結果1〜判断結果nのうち、是と判断された判断結果にあたる仮想的な改質剤注入量の中から、適正な改質剤注入量の値を決定する。
また、予測ステップ2を利用する場合には、被ろ過液の構成成分量の時系列的な変化を表すデータ、膜ろ過圧力の時系列的な変化を表すデータ、および、n通りの任意の改質剤注入量の値を準備する。被ろ過液の構成成分量の時系列的な変化を表すデータ、膜ろ過圧力の時系列的な変化を表すデータを利用し、仮想的な改質剤注入量の値には、仮に1番目の値(改質剤注入量1とする)を利用する。これらのデータ及び値に基づいて、予測ステップ2に基づいて分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動あるいは膜抵抗の変動を予測し、その予測結果に基づいて、仮想的な改質剤注入量の是非を判断する。ここにおいて、改質剤注入量の代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを予測ステップ1の入力データとして用いる場合は、あらかじめ決定している改質剤注入量と前記パラメータとの相関関係から、前記改質剤注入量1に対する前記パラメータの値1を計算し、前記パラメータの値1を用いて、予測ステップ2を実行し、その予測結果に基づいて、仮想的な改質剤注入量の是非を判断する(図7)。この判断結果を判断結果1とする。同様に、2番目〜n番目までの仮想的な改質剤注入量を利用して、予測を行い、その予測結果に基づいて仮想的な改質剤注入量の是非を判断し、判断結果2〜判断結果nを得る。上記のようにして得られた判断結果1〜判断結果nのうち、是と判断された判断結果にあたる仮想的な改質剤注入量の中から、適正な改質剤注入量の値を決定する。
また、本発明では、前記判断結果において、前記仮想的な改質剤注入量の値を非と判断したときに、前記仮想的な改質剤注入量の値を所定量増加させた後に、再び仮想的な改質剤注入量の値から、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、膜ろ過流量の変動、膜ろ過流束の変動、あるいは、膜抵抗の変動を予測し、該予測結果に基づいて、前記所定量増加後の仮想的な改質剤注入量の値の是非を判断すること、および、前記判断結果において、前記仮想的な改質剤注入量の値を是と判断したときに、前記仮想的な改質剤注入量の値を改質剤注入量の適正値とすることが好ましい。
例えば、図8(改質剤注入量を予測ステップ1あるいは予測ステップ2の入力データに用いる場合)および図9(改質剤注入量の代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを予測ステップ1あるいは予測ステップ2の入力データとして用いる場合)に、仮想的な改質剤注入量の値を変更する変更ステップ40を備えた場合のフローチャートの例を示す。ここでは、まず、十分に小さな値の仮想的な改質剤注入量の値を準備し、前記予測ステップ1あるいは前記予測ステップ2によって予測を行う。前記予測の結果から仮想的な改質剤注入量を判断し、その判断結果が非となるときに、変更ステップ40において仮想的な改質剤注入量の値を所定量増加させ、再度、予測ステップ1あるいは予測ステップ2以降を繰り返し行う。このとき、判断結果が是となるときに用いた仮想的な改質剤注入量の値を、改質剤注入量の適正値とする。このような手順に従えば、図6あるいは図7で示した手順より効率的に改質剤注入量の適正値を決定することができる。また、変更ステップ40において、判断結果が是となる仮想的な改質剤注入量の値と、非となる仮想的な改質剤注入量の値との間の仮想的な改質剤注入量の値に変更することによって、改質剤注入量の適正値として推定される範囲を次第に小さくする方法があるが、このような方法に従う場合、最終的に改質剤注入量の適正値を決定する際には、前記図8あるいは図9で示した手順に従うことが好ましい。
また、前記予測結果に基づいて、前記仮想的な改質剤注入量の値の是非を判断する方法としては、所定時間内に前記分離膜に付着している構成成分量の値、膜抵抗の値あるいは膜ろ過圧力の値があらかじめ決定された所定値以下、あるいは、膜ろ過流束の値あるいは膜ろ過流量の値があらかじめ決定された所定値以上となったときに、前記仮想的な改質剤注入量の値を是と判断することや、前記予測結果において、前記分離膜に付着している構成成分量の値、膜抵抗の値あるいは膜ろ過圧力の値が収束するときに、前記仮想的な改質剤注入量の値を是と判断することが好ましい。このことにより、改質剤注入量の適正値を客観的に決定することができる。
ここにおいて、所定値は、あらかじめ設定しておく必要があるが、その所定値を、膜ろ過圧力を発生させるポンプの出力最大値に基づいて決定する方法、膜ろ過圧力を発生させるポンプのエネルギー消費許容最大値に基づいて決定する方法、膜の寿命や洗浄間隔を増加させるために膜抵抗の値や膜ろ過圧力の値の許容最大値に基づいて決定する方法、あらかじめ計画された膜ろ過流量を満足するために膜ろ過流束の値や膜ろ過流量の値の許容最小値に基づいて決定する方法などが例示される。例えば、所定値を、膜ろ過圧力を発生させるポンプの出力最大値とした場合、膜ろ過条件が非と判断されるときには、当初予定していた膜ろ過液量が獲得できないことになり、膜ろ過条件が是と判断されるときには、予定している膜ろ過液量が獲得できることとなる。また、所定時間は、薬洗に要する労力などから決定する方法などがある。
本発明では、前記決定された改質剤注入量の適正値に基づいて前記改質剤注入量の値、及びその値に基づく改質剤注入量調整手段の運転条件を決定する。このとき、前記改質剤注入量の適正値をそのまま改質剤注入量の値として決定しても良く、また、本発明が対象とする膜ろ過装置においては、改質剤注入量が必要十分量よりも小さいときには急速な膜目詰まりを引き起こす危険を孕むため、より安全にするために、改質剤注入量の適正値に一定値を安全率として乗じたり、一定値を加えたりしてもよい。
また、上記判断結果1〜判断結果nのうち、是と判断された判断結果にあたる仮想的な改質剤注入量の中から、(6)式、(7)式により算出される膜ろ過装置の運転コストが最も小さくなるような改質剤注入量を適正な改質剤注入量としてもよい。
また、本発明では、上記のように決定された膜ろ過装置の運転条件に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を制御することを特徴とする膜ろ過装置の運転方法、および、少なくとも分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段、および該改質剤注入量調整手段の運転を制御する改質剤注入量制御手段を有する膜ろ過装置であって、前記制御手段が、上記のように決定された膜ろ過装置の運転条件に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転を制御することを特徴とする膜ろ過装置を提供する。ここにおいて、改質剤注入量調整手段の改質剤注入時間を可変できるタイマーを備えたものを利用し、改質剤注入量調整手段を制御することが好ましい。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例に用いた膜ろ過装置500の構造概略を図11に示す。膜ろ過装置500は、浸漬型の膜分離式活性汚泥装置であり、酢酸を主成分とする工場排水を処理する排水処理装置である。原水508である酢酸を主成分とする工場排水を、断続的に平均流量2.3m/dで有効容量2.3mの被ろ過液収容槽501に投入した。被ろ過液収容槽501には、被ろ過液504として活性汚泥が収容されており、被ろ過液504中に分離膜502を浸漬させ、前記分離膜502の下方部には散気管509が設置され、前記散気管509には洗浄手段である曝気ブロア503からエアが供給される構造とした。すなわち、本装置においては、散気管509から供給されるエアバブルが膜表面に接触し、また曝気による活性汚泥の流動も同時に発生するために、膜表面の付着成分が膜から剥離する効果が得られることとなる。曝気風量は300L/minで設定した。また水温は20℃で運転を行った。なお、分離膜502には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製の平膜型の精密ろ過膜(有効膜面積7.8m)を用いた。また、ろ過については、膜透過液側に設置した吸引ポンプを膜ろ過液獲得手段513を用いて行った。また、ろ過は8分間連続で行い、その後2分間休止し、これを繰り返した。平均膜ろ過流束は1.0m/日に設定した。また、改質剤506を収容した改質剤収容槽505を用意し、ポンプを改質剤注入手段507として、これを用いて改質剤を被ろ過液収容槽501に供給した。改質剤はカチオン系凝集剤(三洋化成社製)を用いた。前記ポンプについては吐出時間を調整することにより、改質剤注入量を調整できるようにした。本実施例では、このような膜ろ過装置において、改質剤を活性汚泥重量あたり、0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%の量で注入した場合、どの量で注入した場合に、最も運転コストが安くなるかどうかを計算し、その結果に基づき、改質剤注入量を決定した。
本実施例では、被ろ過液全体を包括的かつ容易に定義するため、被ろ過液の構成成分量として固形成分量X[gC/m]のみを用いた。Xは、被ろ過液のMLSS[g/m]を下水道試験法に従って測定し(3260[g/m])、その示性式がCNであると仮定し、その測定値に60/113を乗じることで算出した。その結果、Xは1731[gC/m]と算出された。
また、本実施例では、前記改質剤注入量を表すデータの代わりに、改質剤注入量に依存するパラメータをインプットとして、及び、上記のようにして算出した膜ろ過流束、被ろ過液の構成成分量の値をインプットとして、予測ステップ1を実行することにより、膜ろ過流束の値の変動を予測した。前記パラメータとしては、抵抗係数(αx)、剥離係数(γx)、摩擦係数(λx)を用いた。改質剤注入量に依存するパラメータをインプットとして、予測ステップ1を実行するためには、改質剤注入量と前記パラメータとの相関関係を決定する必要がある。本実施例では、かかる関係を以下のようにして求めた。
まず、被ろ過液収容槽501から被ろ過液504(活性汚泥)を100ml採取した。採取した活性汚泥を水道水で5倍に希釈を行った後、4個のビーカーに分けて入れ、そのうち3個のビーカーには、改質剤を活性汚泥重量あたり2.0%、1.0%、0.5%の量で添加した。残りの1個のビーカーには改質剤を添加しなかった。この4種類の活性汚泥を、膜ろ過装置500で使用されている分離膜502と同じ素材・形状の分離膜(分離膜面積4.1×10−4)を備えた攪拌式セル401(図10参照、ミリポア(株)製Amicon8010、容積12ml)に12ml投入し、図10に示した装置を用いて膜ろ過の試験を行った。膜ろ過圧力は20kPa、マグネティックスターラー403による攪拌速度は600rpmで設定した。ろ過については、まず総ろ過液量が5mlになるまで連続的にろ過を行った後、バルブ414を閉じて2分間ろ過を休止し、その後バルブ414を開けることにより、再びろ過を開始し、総ろ過液量が7mlになるまでろ過を行った。
上記試験により得られた単位膜面積あたりの総ろ過液量と膜ろ過抵抗との関係から、αx、γx、λxの値を以下のように決定した。即ち、3つのパラメータに様々な値を与えて予測ステップ2を実行することにより、膜ろ過抵抗の変動を予測し、その予測結果と実際に得られた膜ろ過抵抗の変動との差異が最小となるようなパラメータの値を、決定すべきパラメータの値とした。前記予測ステップ2において、計算ステップ10としては前記(1)式(ここにおいて、μは前記(2)式を利用した)、計算ステップ20としては前記(3)式(但し、Pm=0とした)を利用し、計算ステップ30として前記(5)式(但し、Pm=0とした)を利用した。(5)式における初期膜抵抗Rmについては、純水をろ過して行った前記試験の結果から作成された単位膜面積あたりの総ろ過液量と膜ろ過抵抗との関係から、膜ろ過抵抗がほぼ一定となっている部分の平均値(8.5×1010[1/m])を与えた。また、(3)式における膜洗浄力τについては一定値1を与えた。また本実施例では、数値計算ソフトMATLAB(米国 Mathworks社製)を用いて、膜ろ過予測プログラムを作成し、上記計算を行った。ここでは、積分法としてRunge−Kutta法を用いた。
上記のようにして求められた、各改質剤添加量に対する抵抗係数αx、剥離係数γx、摩擦係数λxの値を表1に示す。
Figure 0004770726
表1の結果から、改質剤添加量と各パラメータとの相関関係を指数近似により、以下の(9)式、(10)式、(11)式のように定式化した。
αx=2.5×1011×exp(−1.7295×W) (9)
γx=2.0×10 (10)
λx=4.2×10−5×exp(0.0958×W) (11)
ここにおいて、Wは活性汚泥重量あたりの改質剤添加量[%]である。本実施例では、上記のようにして求めた改質剤添加量と前記パラメータとの相関関係を用いて、前記予測ステップ1を実行することにより、改質剤を活性汚泥重量あたり、0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%の量で添加した場合の、膜ろ過圧力の値の変動を予測した。ここにおいて、計算ステップ10としては前記(1)式(ここにおいて、μは前記(2)式を利用した)、計算ステップ20としては前記(3)式(但し、Pm=0とした)を利用し、計算ステップ30として前記(5)式(但し、Pm=0とした)を利用した。計算期間は3600秒とした。(5)式における初期膜抵抗Rmについては、上記試験により求めた値(8.5×1010[1/m])を与えた。また、固形成分に含まれる物質の密度の逆数ηxについては2.0×10[m/gC]を与えた。
また、(3)式における膜洗浄力τについては以下のように決定した。まず、前記膜ろ過装置500において、分離膜502のろ過液側にチューブを接続し、サイフォンの原理を利用して水頭差により膜ろ過液を取得できるような構造とした。また、そのチューブの途中に流量計510(デジタル式)を設置し、流量計510の指示値の経時変化を記録計515に連続的に記録できる構造とした。また、流量計510の下流にバルブ512を設置し、間欠運転が手動で可能な構造とした。そして、分離膜502のろ過液側に接続したチューブ出口の高さを経時的に変化させ、また、断続的にバルブ512を開閉することで間欠的に膜ろ過を行った。膜ろ過圧力については、被ろ過液収容槽501中の被ろ過液の水位と、前記チューブ出口の高さとの差(図11参照)をΔHとし、ΔHから膜ろ過圧力を算出した。このような膜ろ過圧力の条件下で得られた膜ろ過流量の経時変化を、予測ステップ2を用いて予測した。予測ステップ2では、計算ステップ10として前記(1’)式を利用し(ここにおいて、μは前記(2)式を利用した)、計算ステップ20として前記(3)式(但し、Pm=0とした)にJ=Q/Aを代入したもの利用し、計算ステップ30として前記(5)式を利用した。抵抗係数αx、剥離係数γx、摩擦係数λxには、表1における改質剤添加なしの値を与えた。そして、任意の仮想的な膜洗浄力の値における膜ろ過流量の値の経時変化の計算結果と実測の膜ろ過流量の値の経時変化との差の積分値を算出し、その積分値が最小となる膜洗浄力の値を求めた結果、0.3であった。
上記に示した方法で、改質剤を活性汚泥重量あたり、0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%の量で添加した場合の、膜ろ過圧力の値の変動を予測したものを図12に示す。本実施例では、各添加量について、計算期間における膜ろ過圧力の平均値を算出し、あらかじめ決定されている膜ろ過圧力と分離膜の寿命Yとの相関関係(以下(12)式で表される)から、分離膜の寿命Y[年]を算出し、さらに(7)式を用いて分離膜の交換費用C[円/m]を算出した。
=7.7×exp(−0.09×ΔPave) (12)
ここにおいて、ΔPaveは計算期間における膜ろ過圧力の平均値[kPa]である。
一方、改質剤の費用C[円/m]は(6)式を用いて算出した。但し、改質剤は膜ろ過装置に注入後、14日程度で凝集効果が消失してしまうため、14日ごとに改質剤を注入することとした。また改質剤の値段Pは1000[円/kg]とした。このような方法で、各添加量について計算した分離膜の交換費用C[円/m]、改質剤の費用C[円/m]、及びその合計を表2に示す。
Figure 0004770726
この結果から、改質剤を活性汚泥重量あたり1.5%の量で注入した場合に、膜ろ過装置の運転コストが最も安くなることがわかったため、本実施例では、上記の注入量になるように、改質剤注入量を調整することとした。
(実施例2)
本実施例に用いた膜ろ過装置の構造概略は実施例1で用いた膜ろ過装置500と全く同じである。本実施例では、このような膜ろ過装置において、平均膜ろ過流束を1.0[m/日](8分ろ過、2分休止)、膜ろ過圧力の許容最大値を10[kPa]と設定した場合、改質剤を活性汚泥重量あたり何%以上注入すればよいか(以下、改質剤最低注入量)を算出し、その結果に基づき、改質剤の注入量を決定した。
本実施例では、実施例1と同じく、被ろ過液全体を包括的かつ容易に定義するため、被ろ過液の構成成分量として固形成分量X[gC/m]のみを用い、X=1731[gC/m]とした。
また、本実施例では、前記改質剤注入量を表すデータの代わりに、改質剤注入量に依存するパラメータをインプットとして、及び、上記のようにして決定した膜ろ過流束、被ろ過液の構成成分量の値をインプットとして、予測ステップ1を実行することにより、膜ろ過圧力の値の変動を予測した。前記パラメータとしては、抵抗係数(αx)、剥離係数(γx)、摩擦係数(λx)を用いた。本実施例で用いた被ろ過液および分離膜は実施例1で用いたものと同じである。したがって、本実施例では、実施例1で決定した改質剤添加量と抵抗係数αx、剥離係数γx、摩擦係数λxの相関関係(即ち、(9)式、(10)式、(11)式)、初期膜抵抗Rmの値、固形成分に含まれる物質の密度の逆数ηxの値、膜洗浄力τの値をそのまま用いた。
改質剤最低注入量の算出は以下のようにして行った。まず、改質剤の注入量を活性汚泥重量あたり0%注入する(即ち、改質剤添加なし)と設定し、予測ステップ1を実行し、膜ろ過圧力の値の変動を予測した。この場合、ろ過を行っている時間での膜ろ過圧力が膜ろ過圧力の許容最大値を上回ったため、改質剤の注入量を活性汚泥重量あたり0.2%増加させて、再度予測ステップ1を実行し、膜ろ過圧力の値の変動を予測した。この場合も、ろ過を行っている時間での膜ろ過圧力が膜ろ過圧力の許容最大値を上回ったため、更に改質剤の注入量を活性汚泥重量あたり0.2%増加させて再度予測ステップ1を実行し、膜ろ過圧力の値の変動を予測した。この計算プロセスを繰り返し、ろ過を行っている時間での膜ろ過圧力が膜ろ過圧力の許容最大値を下回る改質剤注入量を探索したところ、活性汚泥重量あたり1.2%注入したときに、初めて膜ろ過圧力が膜ろ過圧力の許容最大値を下回った(図13)。これに基づき、本実施例では、活性汚泥重量あたり1.2%の注入量を改質剤最低注入量とし、前記注入量になるように、改質剤注入量を調整することとした。
本発明において予測ステップ1を含む場合のフローチャートである。 本発明において予測ステップ2を含む場合のフローチャートである。 本発明において予測ステップ1あるいは予測ステップ2を含み、改質剤の注入量を表すデータの代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを用いる場合のフローチャートである。 本発明において予測ステップ1あるいは予測ステップ2を含み、前記予測結果に基づき、膜ろ過装置の運転コストを計算し、該運転コストに基づいて、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件を決定する場合のフローチャートである。 (7)式における分離膜の寿命Yを予測するにあたっての経過時間と膜ろ過圧力との関係を示す図である。 本発明において予測ステップ1あるいは予測ステップ2を含み、前記予測結果に基づいて、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件の是非を判断し、前記判断結果において是と判断された前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件の中から、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件を決定する場合のフローチャートである。 図6において、改質剤注入量の代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを予測ステップ1あるいは予測ステップ2の入力データとして用いる場合のフローチャートである。 本発明において予測ステップ1あるいは予測ステップ2を含み、変更ステップ40を利用して、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件を決定する場合のフローチャートである。 図8において、改質剤注入量の代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを予測ステップ1あるいは予測ステップ2の入力データとして用いる場合のフローチャートである。 前記改質剤注入量に依存するパラメータの値を決定するための試験装置の概略図である。 実施例1で用いた膜ろ過装置の概略図である。 実施例1で得られた膜ろ過圧力の時系列的変化の予測結果を示す図である。 実施例2で得られた膜ろ過圧力の時系列的変化の予測結果を示す図である。
符号の説明
400:膜ろ過試験装置
401:攪拌式セル
402:分離膜
403:マグネティックスターラー
404:攪拌子
405:窒素ガス
406:膜固定ホルダー
407:ビーカー
408:電子秤
409:パソコン
410:純水チャンバー
411:圧力計
412、413,414:バルブ
500:膜ろ過装置
501:被ろ過液収容槽
502:分離膜
503:曝気ブロア
504:被ろ過液
505:改質剤収容槽
506:改質剤
507:改質剤注入手段
508:原水
509:散気管
510:流量計
511:記録計
512:バルブ
513:膜ろ過液取得手段

Claims (16)

  1. 少なくとも、分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段を有する膜ろ過装置を用いて、前記被ろ過液を前記分離膜によりろ過し、ろ過と同時または逐次的に改質剤の注入量の調整を行う膜ろ過装置の運転条件の決定方法であって、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータから、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測し、前記予測結果に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することを特徴とする膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  2. 少なくとも、分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段を有する膜ろ過装置を用いて、被ろ過液を前記分離膜によりろ過し、ろ過と同時または逐次的に前記改質剤の注入量の調整を行う膜ろ過装置の運転条件の決定方法であって、被ろ過液の構成成分の種類および構成成分量、前記改質剤の注入量、および、膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータから、前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過流量もしくは膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測し、前記予測結果に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することを特徴とする膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  3. 前記改質剤の注入量を表すデータの代わりに改質剤注入量に依存するパラメータを用い、前記パラメータと前記改質剤注入量との相関関係をあらかじめ決定しておくことを特徴とする請求項1または2に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  4. 前記パラメータが、抵抗係数、剥離係数、及び、摩擦係数のうちのいずれか1以上であることを特徴とする請求項3に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  5. 前記パラメータの値が、前記被ろ過液を試験用分離膜によりろ過し、ろ過過程における膜ろ過圧力の値、膜ろ過流束あるいは膜ろ過流量の値、膜抵抗の値の変化に基づいて決定されることを特徴とする請求項3又は4に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  6. 前記パラメータの値を決定するための膜ろ過試験において、試験用分離膜の面積が0.01m以下であること、試験用分離膜によってろ過するための被ろ過液の量が100ml以下であること、前記試験用分離膜によってろ過するための被ろ過液を1.1倍以上で希釈した後にろ過すること、及び、ろ過中に10秒以上のろ過休止期間が1回以上含まれること、のうちのいずれか1以上の条件を用いることを特徴とする請求項5に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  7. 前記予測が、前記被ろ過液の構成成分量の時系列的変化を表すデータ、膜ろ過流量の時系列的変化を表すデータ、あるいは、膜ろ過圧力の時系列的変化を表すデータに基づいて、前記分離膜に付着している構成成分量を計算する計算ステップ100を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  8. 前記計算ステップ100が、前記分離膜に付着している構成成分量の変化量を、前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質が前記分離膜に付着する速度と前記分離膜から剥離する速度との差として表現される計算式に基づいて計算される計算ステップ101であることを特徴とする請求項7に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  9. 前記被ろ過液の構成成分に含まれる物質が前記分離膜から剥離する速度が、前記分離膜に付着している構成成分量の値の2次以上の高次式に基づいて決定されることを特徴とする請求項7に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  10. 前記被ろ過液の構成成分の種類として、被ろ過液の上清成分及び/又は固形成分を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  11. 前記分離膜に付着している上清成分の物質量の変化量を表現した計算式が、前記分離膜に付着している固形成分の物質量の値の項を含んでいる計算式であること、及び/又は、前記分離膜に付着している固形成分の物質量の変化量を表現した計算式が、前記分離膜に付着している上清成分の物質量の値の項を含んでいる計算式であることを特徴とする請求項10に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  12. 仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件から、前記分離膜に付着している前記被ろ過液の構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、膜ろ過流量もしくは膜ろ過流束の変動、あるいは膜抵抗の変動を予測し、前記予測結果に基づいて、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件の是非を判断し、前記判断結果において是と判断された前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件の中から、適正な改質剤注入量調整手段の運転条件を決定し、前記決定された適正な改質剤注入量調整手段の運転条件に基づいて、前記改質剤注入量調整手段の運転条件を決定することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  13. 前記判断結果において、仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を非と判断したときに、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件に相当する仮想的な改質剤注入量の値より、仮想的な改質剤注入量の値が大きくなるような仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件に変更し、変更された仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件から、再度前記分離膜に付着している構成成分量の変動、膜ろ過圧力の変動、膜ろ過流量もしくは膜ろ過流束の変動、あるいは、膜抵抗の変動を予測し、該予測結果に基づいて、前記変更後の仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件の是非を判断すること、および、前記判断結果において、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を是と判断したときに、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を適正な改質剤注入量調整手段の運転条件とすることを特徴とする請求項12に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  14. 前記予測に際し、仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を用いて予測を行い、前記予測の結果において、所定時間内に、前記分離膜に付着している構成成分量の値、膜抵抗の値あるいは膜ろ過圧力の値があらかじめ決定された所定値以下、あるいは、膜ろ過流量の値あるいは膜ろ過流束の値があらかじめ決定された所定値以上となったときに、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を是と判断することを特徴とする請求項12まは13に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  15. 前記予測に際し、仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を用いて予測を行い、前記予測の結果において、前記分離膜に付着している構成成分量の値、膜抵抗の値、膜ろ過圧力の値、膜ろ過流量の値、あるいは膜ろ過流束の値が収束するときに、前記仮想的な改質剤注入量調整手段の運転条件を是と判断することを特徴とする請求項12まは13に記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法。
  16. 少なくとも分離膜、被ろ過液用改質剤注入手段、被ろ過液用改質剤の注入量を調整する改質剤注入量調整手段、および該改質剤注入量調整手段の運転を制御する改質剤注入量制御手段を有する膜ろ過装置であって、前記改質剤注入量制御手段が、請求項1〜15のいずれかに記載の膜ろ過装置の運転条件の決定方法において決定された前記改質剤注入量調整手段の運転を制御するものであることを特徴とする膜ろ過装置。
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