JP4770667B2 - 温間金型潤滑成形用鉄基粉末混合物 - Google Patents

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Description

本発明は、粉末冶金用鉄基粉末成形体および鉄基焼結体の製造に使用する鉄基粉末混合物に係り、とくに、温間成形により高密度の鉄基粉末成形体を製造する際に使用する潤滑剤の改善に関する。
粉末冶金用鉄基粉末成形体は、鉄基粉末に、銅粉、黒鉛粉などの合金粉末と、さらにステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の潤滑剤を混合した鉄基粉末混合物を金型に充填したのち、加圧成形し製造されるのが一般的である。成形体の密度としては、6.6 〜7.1Mg/m3が一般的である。
これら鉄基粉末成形体は、さらに焼結処理を施され焼結体とされ、さらに必要に応じてサイジングや切削加工が施され、粉末冶金製品とされる。また、さらに高強度が必要な場合は焼結後に浸炭熱処理や光輝熱処理を施されることもある。
この粉末冶金技術により、高寸法精度の複雑な形状の部品をニアネット形状に生産することが可能となり、従来の製造方法に比べ大幅に切削コストの低減が可能である。
さらに、最近では、切削加工の省略によるコスト削減のための一層の高寸法精度化や、部品の小型軽量化のための高強度化が鉄系の粉末冶金製品へ強く要求されている。
粉末冶金製品(焼結部品)の高強度化に対しては、成形体の高密度化による焼結部品の高密度化が有効である。焼結部品の密度が高いほど、部品中の空孔が減少し、引張強さ、衝撃値や疲労強度などの機械的特性が向上する。
鉄基粉末成形体の高密度化を可能とする成形方法として、鉄基粉末混合物を通常の成形と焼結を施したのち、さらに成形・焼結を繰り返して行う2回成形2回焼結法や、1回成形1回焼結後熱間で鍛造する焼結鍛造法などが提案されている。
また、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4には、金属粉末を加熱しつつ成形する温間成形技術が開示されている。この温間成形技術は、温間成形時に潤滑剤の一部または全部を溶融させて粉末粒子間に潤滑剤を均一に分散させ、粒子間および成形体と金型の間の摩擦抵抗を下げ成形性を向上させようとするものであり、上記した高密度成形体の製造方法のなかではコスト的には最も有利であると考えられている。この温間成形技術によれば、Fe-4Ni-0.5Mo-1.5Cu系の部分合金化鉄粉に0.5 質量%の黒鉛、0.6 質量%の潤滑剤を配合した鉄基粉末混合物を150 ℃で7t/cm2(686 MPa )の圧力で成形した場合、7.30Mg/m3 程度の成形体が得られる。
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載された技術では、粉末混合物の流動性が不十分で、生産性が低下するうえ、成形体の密度にばらつきが生じ、焼結体の特性が変動するという問題があり、さらに、成形時の抜き出し力が高く、成形体表面に疵が発生するとともに金型の寿命が短いなどの問題があった。
さらに、これらの温間成形技術では、粒子間および成形体と金型の間の摩擦抵抗を下げ成形性を向上させる目的で、鉄基粉末混合物中に潤滑剤を含有させるが、潤滑剤は、温間成形時にその一部又は全部が溶融して成形体表面付近に押し出され、その後の焼結処理により、加熱分解あるいは蒸発して成形体から逸散し、焼結体表面付近に粗大な空孔を形成する。そのため、焼結体の機械的強度を低下させるという問題があった。
この問題を解決するために、特許文献5には常温または温間成形において、帯電させた潤滑剤粉末を金型表面に塗布して、鉄基粉末混合物中の潤滑剤量を低減し、高密度の成形体を成形する技術が開示されている。
特開平2-156002号公報 特公平7-103404号公報 USP 第5,256,185 号公報 USP 第5,368,630 号公報 特開平8-100203号公報
しかしながら、特許文献5に記載された方法では、塗布する潤滑剤の種類が単体であるため、その融点前後で潤滑剤の形態が変わり、潤滑機能が著しく変化する。このため、成形温度範囲が潤滑剤の融点によって限定されるという問題があった。さらに金型潤滑剤を金型表面に塗布し鉄基粉末混合物中の潤滑剤量を低減したとしても、混合する潤滑剤の成分によっては量の低減によって潤滑効果を失い、圧粉密度の増大が実現できないという問題も生じている。
また、自動車用部品の高強度化という観点と、コストという観点からは、更なる高密度の成形体を、しかも1回の成形で得ることのできる、高密度鉄基粉末成形体の製造方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、例えば、Fe-4Ni-0.5Mo-1.5Cu組成の部分合金化鉄粉に0.5 重量%の黒鉛粉を混合した鉄基粉末混合物を温間加圧成形した場合には7.4 Mg/m3 以上の、高密度の成形体を1回の成形で得ることができる、高密度鉄基粉末成形体の製造に使用できる鉄基粉末混合物を提案することを目的とする。
本発明者らは、温間成形技術および金型潤滑成形技術を利用して上記した課題を達成するために、金型潤滑用潤滑剤および鉄基粉末混合粉の潤滑剤配合について鋭意検討を行った。その結果、抜き出し力を低減させるため、予熱した金型表面に帯電付着により付着させることのできる金型潤滑用潤滑剤として、所定の加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤とその温度より高い融点を有する潤滑剤を適正な配合で混合した潤滑剤がよいという知見を得た。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討して完成されたものである。
すなわち、第1の本発明は、0.5〜80質量%の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤と残部が加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤とからなる金型潤滑用潤滑剤を表面に帯電付着させた金型を用いて、温間で成形される、温間金型潤滑成形用の鉄基粉末混合物であって、鉄基粉末と、粉末成形用潤滑剤とを含み、前記粉末成形用潤滑剤が、粉末成形用潤滑剤全量に対して10〜75質量%の、加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤を含み、残部が、加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤であり、前記粉末成形用潤滑剤の含有量が、0.05〜0.40質量%であることを特徴とする温間金型潤滑成形用鉄基粉末混合物である。
本発明によれば、一回の加圧成形で高密度の成形体を容易に得ることができる。
本発明によれば、外観性状、断面性状いずれも良好である、高密度の成形体を1回の成形で容易に製造でき、しかも成形後の抜き出し力が低く、金型を長寿命化することができ、さらに高密度の焼結体が容易に得られるという産業上格段の効果を奏する。
本発明では、金型に、加熱した鉄基粉末混合物を充填したのち、所定の温度で加圧成形し、鉄基粉末成形体とする。
本発明では、成形に用いる金型は、予め所定の温度に予熱される。金型の予熱温度は、鉄基粉末混合物が所定の加圧成形の温度に保持できる温度であればよく、とくに限定する必要はないが、所定の加圧成形の温度より20〜60℃高い温度とするのが望ましい。
予熱された金型に、帯電された金型潤滑用潤滑剤を導入し、金型表面に帯電付着させる。金型潤滑用潤滑剤(固体粉末)は金型潤滑装置(例えば、Gasbarre社製Die Wall Lubricant System )に装入し、潤滑剤(固体)粉末と装置内壁の接触帯電により帯電されるのが好ましい。帯電された金型潤滑用潤滑剤は、噴射により金型内に導入され、金型表面に帯電付着される。金型表面に帯電付着させる金型潤滑用潤滑剤の付着量は、5〜100g/m2 とするのが好ましい。付着量が5g/m2未満では潤滑効果が不足し、成形後の抜き出し力が高くなり、100g/m2 を超えると、成形体表面に潤滑剤が残存し,成形体の外観不良となる。
粉末を予熱した金型で加圧成形する際に金型表面に帯電付着させて使用する温間金型潤滑用潤滑剤は、所定の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤を 0.5〜80質量%含有し、残部が前記所定の加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤からなる混合潤滑剤とする。なお、本発明でいう所定の加圧成形の温度は、加圧成形時の金型表面での温度をいうものとする。
所定の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤は、成形時、金型内で未溶融であり金型内で「ころ」のような固体潤滑剤の働きをし、抜き出し力を低下させるとともに、さらに、溶融あるいは部分溶融した潤滑剤(所定の加圧成形の温度より低い融点を有する潤滑剤)の金型内での移動を防止し、成形体と金型表面との摩擦抵抗を低減して抜き出し力の増加を防止する役割を有している。
所定の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤の含有量が、 0.5質量%未満では、加圧成形の温度より低い融点の潤滑剤が多くなり、潤滑剤が溶融する量が多くなり、潤滑剤が移動し金型表面で均一な分布とならず、成形体と金型表面との摩擦抵抗が増大して抜き出し力の低減効果が少ない。一方、80質量%を超えると、金型内で溶融しない潤滑剤の量が多くなりすぎ、金型表面の潤滑剤の分布が不均一となり、金型潤滑が不十分で抜き出し力が増加する。このため、温間金型潤滑用潤滑剤における所定の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤の配合量は、 0.5〜80質量%の範囲に限定した。
金型潤滑用潤滑剤における残部は、所定の加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤である。所定の加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤は、加圧成形の温度で、溶融あるいは部分溶融し、金型表面でグリースのような状態になり、抜き出し力を下げる効果を有している。
温間金型潤滑用潤滑剤における所定の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤は、金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機潤滑剤または有機潤滑剤のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが好ましい。所定の加圧成形の温度に応じ、下記した潤滑剤から適宜選択できる。
金属石鹸としては、ステアリン酸リチウム、ヒドロキシステアリン酸リチウム等が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリアミド、フッ素樹脂等が好適である。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が好適である。また、層状の結晶構造を有する無機潤滑剤としては、黒鉛、MoS2、フッ化炭素のいずれでも良く、粒度は細かいほど、抜き出し力の低減に有効である。層状の結晶構造を有する有機潤滑剤としては、メラミン−シアヌル酸付加物(MCA )、N −アルキルアスパラギン酸−β−アルキルエステルのいずれも使用することができる。
一方、温間金型潤滑用潤滑剤における所定の加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤は、所定の加圧成形の温度で金型表面で溶融あるいは部分溶融する低融点で帯電しやすい潤滑剤とするのが望ましい。このような潤滑剤としては、金属石鹸、アミド系ワックス、ポリエチレンおよびこれらのうちの2種以上の共溶融物のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが好ましい。所定の加圧成形の温度に応じ、下記した潤滑剤から選択できる。金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムが好適であり、アミド系ワックスとしては、エチレンビスステアロアミド、ステアリン酸モノアミド等が好適であり、共溶融物としては、エチレンビスステアロアミドとポリエチレンの共溶融物、エチレンビスステアロアミドとステアリン酸亜鉛の共溶融物、エチレンビスステアロアミドとステアリン酸カルシウムの共溶融物が好適である。
ついで、金型潤滑用潤滑剤を帯電付着された金型に、加熱された鉄基粉末混合物を装入し、加圧成形し、成形体とする。
鉄基粉末混合物の加熱温度は、70〜200 ℃とするのが好ましい。加熱温度が70℃未満では、鉄粉の降伏応力が高く、成形体の密度が低下する。一方、加熱温度が200 ℃を超えても実質的に密度の増加はなく、鉄粉の酸化の懸念が生じるため、鉄基粉末混合物の加熱温度は、70〜200 ℃の範囲とするのが望ましい。
鉄基粉末混合物は、鉄基粉末に潤滑剤(粉末成形用潤滑剤)あるいはさらに合金用粉末を混合したものである。鉄基粉末と粉末成形用潤滑剤あるいはさらに合金用粉末との混合は、とくに限定する必要はなく、通常公知の混合方法がいずれも好適に利用できる。なかでも、鉄基粉末に合金用粉末を混合する場合には、含有粉末の偏析を避けるため、鉄基粉末、合金用粉末に粉末成形用潤滑剤の1部を加えて1次混合したのち、さらに粉末成形用前記潤滑剤のうち少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加熱しつつ撹拌して、前記粉末成形用潤滑剤のうち少なくとも1種の潤滑剤を溶融し、溶融後の混合物を撹拌しながら冷却し、前記鉄基粉末表面に溶融した潤滑剤を固着させることによって前記合金用粉末を付着させた後、粉末成形用潤滑剤の残部を加えて2次混合する混合方法が好ましい。
本発明における鉄基粉末は、アトマイズ鉄粉または還元鉄粉などの純鉄粉、または部分拡散合金化鋼粉、完全合金化鋼粉、またはこれらの混合粉が好ましい。
鉄基粉末混合物に含まれる粉末成形用潤滑剤の含有量は、鉄基粉末混合物全体に対し0.05〜0.40質量%とするのが好ましい。粉末成形用潤滑剤の含有量が0.05質量%未満では、鉄基混合粉末の流動性が悪く金型表面へ均一に充填されないため、成形体の密度が低下する。一方、粉末成形用潤滑剤含有量が0.40質量%を超えると、焼結後気孔率が高くなり成形体密度が低下する。
鉄基粉末混合物に含まれる粉末成形用潤滑剤は、所定の加圧成形の温度以下の低い融点をもつ潤滑剤と所定の加圧成形の温度より高い融点をもつ潤滑剤とからなる混合潤滑剤とする。所定の加圧成形の温度以下の低い融点をもつ潤滑剤の含有量は、含まれる粉末成形用潤滑剤全量の10〜75質量%とし、残部の25〜90質量%を所定の加圧成形の温度より高い融点とからなる潤滑剤とする。所定の加圧成形の温度以下の低い融点をもつ潤滑剤は、加圧成形時に溶融し、粉末粒子間に毛細管力により浸透して、粉末粒子内部に均等に分散し、粒子相互の接触抵抗を低減し、粒子再配列を促進して成形体の高密度化を促進する効果を有する。所定の加圧成形の温度以下の低い融点をもつ潤滑剤の含有量が、10質量%未満では、粉末粒子内部に潤滑剤が均等に分散せず、成形体密度が低下する。また、75質量%を超えると、成形体の密度が増加するにしたがい、溶融した潤滑剤が成形体表面へ絞り出され、表面に、潤滑剤の逃げ道が形成され、成形体表面に多数の粗大な空孔が形成されて、焼結部材の強度低下を招く。
鉄基粉末混合物に含まれる、所定の加圧成形の温度より高い融点をもつ潤滑剤は、成形時、固体として存在し、溶融した潤滑剤がはじかれる鉄基粉末粒子表面の凸部において「ころ」として作用して、粒子の再配列を促進し、成形体の密度を増加させる効果を有する。
鉄基粉末混合物に含まれる粉末成形用潤滑剤のうち、所定の加圧成形の温度より高い融点をもつ潤滑剤としては、金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機または有機潤滑剤のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが好ましい。所定の加圧成形の温度に応じ、下記した潤滑剤から適宜選択できる。
金属石鹸としては、ステアリン酸リチウム、ヒドロキシステアリン酸リチウム等が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリアミド、フッ素樹脂等が好適である。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が好適である。また、層状の結晶構造を有する無機潤滑剤としては、黒鉛、MoS2、フッ化炭素のいずれでも良く、粒度は細かいほど、抜き出し力の低減に有効である。層状の結晶構造を有する有機潤滑剤としては、メラミン−シアヌル酸付加物(MCA )、N-アルキルアスパラギン酸−β- アルキルエステルのいずれも使用することができる。
鉄基粉末混合物に含まれる粉末成形用潤滑剤のうち、所定の加圧成形の温度以下の低い融点をもつ潤滑剤としては、金属石鹸、アミド系ワックス、ポリエチレンおよびこれらのうちの少なくとも2種以上の共溶融物のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが好ましい。所定の加圧成形の温度に応じ、下記した潤滑剤から適宜選択できる。
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が好ましい。また、アミド系ワックスとしては、エチレンビスステアロアミド、ステアリン酸モノアミド等が好適である。共溶融物としては、エチレンビスステアロアミドとポリエチレンの共溶融物、エチレンビスステアロアミドとステアリン酸亜鉛の共溶融物、エチレンビスステアロアミドとステアリン酸カルシウムの共溶融物等が好適である。また、成形温度によっては、これらの潤滑剤の一部を加圧成形温度より高い融点をもつ潤滑剤として使用することもできる。
鉄基粉末混合物に合金用粉末として含まれる黒鉛は、焼結体を強化する効果を有する。黒鉛の含有量が少ないと焼結体強化の効果が充分でなく、一方、多すぎると初析セメンタイトが析出して強度が低下する。このようなことから、鉄基粉末混合物中に含有される黒鉛は、鉄基粉末混合物全量に対し、0.5 〜1.2 質量%とするのが好ましい。
本発明では、上記した製造方法で得られた高密度鉄基粉末成形体に焼結処理を施し、高密度の鉄基焼結体を得る。本発明における焼結処理は、とくに限定する必要はなく、通常公知の焼結処理方法がいずれも好適に使用できる。また、焼結後急冷して強度を高める方法(シンターハードニング)も使用できる。
(実施例1)
鉄基粉末として、アトマイズ純鉄粉にNi、Mo、Cuが拡散付着した、Fe-4Ni-0.5Mo-1.5Cu組成の部分合金化鋼粉を用いた。この部分合金化鋼粉に、0.5 質量%の黒鉛粉と、表1に示す各種潤滑剤を高速ミキサーによる加熱混合法で混合し、鉄基粉末混合物とした。
まず、加圧成形用の金型を表1に示す温度に予熱し、金型潤滑装置(Gasbarre 社製)を用いて帯電させた温間金型潤滑用潤滑剤を金型内に噴霧導入し、金型表面に帯電付着させた。なお、温間金型潤滑用潤滑剤は、表2に示す各種潤滑剤から選択し、加圧成形温度以下の低い融点をもつ潤滑剤と、加圧成形温度より高い融点をもつ潤滑剤とを表1に示すように混合したものを使用した。なお、金型表面の温度を測定し、加圧成形の温度とした。
ついで、このように処理された金型に、加熱した鉄基粉末混合物を充填したのち、加圧成形し、10×10×55mmの直方体の成形体とした。なお、加圧力は、7t/cm2(686 MPa )とした。また、加圧成形条件を表1に示す。また、鉄基粉末混合物に含まれる粉末成形用潤滑剤は、表2に示す各種潤滑剤から選択し、加圧成形温度以下の低い融点をもつ潤滑剤と、加圧成形温度より高い融点をもつ潤滑剤とを表1に示すように混合したものである。
なお、従来例として、金型潤滑用潤滑剤を塗布しない金型に、加熱した鉄基粉末混合物を充填し、加圧成形し、同様の直方体の成形体とした例を従来例とした(成形体No.38 )。
成形後、成形体を抜き出す時の抜き出し力を測定した。
また、これら成形体について、アルキメデス法で密度を測定した。なお、アルキメデス法とは、被測定物である成形体をエタノール中に浸漬して体積を測定することにより密度を測定する方法である。さらに、これら成形体の外観を目視で観察し、疵、割れ等の欠陥の有無を調査した。また、これら成形体を中央部で切断し、樹脂に埋め込んで研磨し、断面における空孔の有無を光学顕微鏡で観察した。
抜き出し力、成形体密度、成形体の外観および成形体断面の性状についての結果を表1に示す。
Figure 0004770667
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本発明例は、いずれも成形後の抜き出し力が20MPa 以下と低く、さらに7.4 Mg/m3 以上の高密度を有する成形体となっている。さらに、成形体には加熱による表面酸化はもとより、疵、割れ等の欠陥は認められなかった。また、成形体の断面性状は、正常で、粗大な空孔は認められなかった。
本発明の範囲を外れる比較例、従来例は、抜き出し力が20MPa を超えて高いか、密度が7.35Mg/m3 未満と低いか、あるいは成形体断面の表面付近に粗大な空孔が観察された。
本発明によれば、外観性状、断面性状いずれも良好である、高密度の成形体を抜き出し力が低く成形できるという効果がある。
(実施例2)
鉄基粉末として、(1)アトマイズ純鉄粉に、Ni、Mo、Cuが拡散付着した、Fe-4Ni-0.5Mo-1.5Cu組成の部分合金化鋼粉a、(2)アトマイズ純鉄粉に、Ni、Moが拡散付着した、Fe-2Ni-1Mo組成の部分合金化鋼粉b、(3)Cr、Mo、Vを予合金した、Fe-3Cr-0.3Mo-0.3V組成のプレアロイ鋼粉c、(4)Cr、Mo、Vを予合金した、Fe-1Cr-0.3Mo-0.3V組成のプレアロイ鋼粉d、(5)アトマイズ鉄粉e、(6)還元鉄粉fを用いた。なお、アトマイズ鉄粉とは、溶鋼を高圧水で噴霧して得られた鉄基粉末であり、還元鉄粉とは、酸化鉄を還元して得られた鉄基粉末である。
これら部分合金化鋼粉a、部分合金化鋼粉b、プレアロイ鋼粉c、プレアロイ鋼粉d、アトマイズ鉄粉e、還元鉄粉fそれぞれに、表3に示す含有量の黒鉛と、表3に示す各種潤滑剤とを高速ミキサーによる加熱混合法で混合し、鉄基粉末混合物とした。なおアトマイズ鉄粉eおよび還元鉄粉fの場合には0.8 質量%の黒鉛に加えて、2.0 質量%のCu粉を混合した。黒鉛の含有量は、鉄基粉末と黒鉛あるいはさらに合金粉末との合計量に対する質量比である。
まず、加圧成形用の金型を表3に示す温度に予熱し、金型潤滑装置(Gasbarre 社製)を用いて帯電させた温間金型潤滑用潤滑剤を金型内に噴霧導入し、金型表面に帯電付着させた。なお、温間金型潤滑用潤滑剤は、表2に示す各種潤滑剤から選択し、加圧成形温度以下の低い融点をもつ潤滑剤と、加圧成形温度より高い融点をもつ潤滑剤とを表3に示すように混合したものを使用した。なお、金型表面の温度を測定し、加圧成形の温度とした。
ついで、このように処理された金型に、加熱した鉄基粉末混合物を充填したのち、加圧成形し、10×10×55mmの直方体の成形体とした。なお、加圧力は、7t/cm2(686 MPa )とした。加圧成形条件を表3に示す。また、鉄基粉末混合物に含まれる粉末成形用潤滑剤は、表2に示す各種潤滑剤から選択し、加圧成形温度以下の低い融点をもつ潤滑剤と、加圧成形温度より高い融点をもつ潤滑剤とを表3に示すように混合したものである。
これら鉄基粉末成形体について、実施例1と同様にアルキメデス法で密度を測定した。
ついで、これら鉄基粉末成形体に、N2 −10%H2 雰囲気中で、1130℃×20min の焼結処理を施し、鉄基焼結体とした。得られた鉄基焼結体について、まず、アルキメデス法で密度を測定した。また、これらの鉄基焼結体から、機械加工により平行部径5mm×長さ15mmの小型丸棒試験片を採取し、引張試験を実施し、引張強さを測定した。
なお、金型潤滑用潤滑剤を塗布しない金型に、加熱した鉄基粉末混合物を充填し、加圧成形し、同様の直方体の成形体とし、さらに焼結処理を施し鉄基焼結体とした例を従来例とした。
それらの結果を表3に示す。
Figure 0004770667
本発明例は、金型潤滑を行わない従来例(焼結体No. 2-12)と比べ、高い密度が得られ、しかも高引張強さを有している。

Claims (1)

  1. 0.5〜80質量%の加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤と残部が加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤とからなる金型潤滑用潤滑剤を表面に帯電付着させた金型を用いて、温間で成形される、温間金型潤滑成形用の鉄基粉末混合物であって、鉄基粉末と、粉末成形用潤滑剤とを含み、前記粉末成形用潤滑剤が、粉末成形用潤滑剤全量に対して10〜75質量%の、加圧成形の温度以下の低い融点を有する潤滑剤を含み、残部が、加圧成形の温度より高い融点を有する潤滑剤であり、前記粉末成形用潤滑剤の含有量が、0.05〜0.40質量%であることを特徴とする温間金型潤滑成形用鉄基粉末混合物。
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