JP4770293B2 - 高張力鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非調質厚鋼板に係わり、特に、橋梁、建築、造船、建設機械、産業機械、海洋構造物、ペンストック等に用いて好適な、引張強さ780MPa以上の高張力厚鋼板の製造方法に関する。
従来、引張強さ780MPa級以上の高張力鋼板は、高強度と高靭性をバランスよく確保するため、調質処理を施されて製造されていた。調質処理は、高強度、高靭性の優れた特性をもつ製品を、安定して製造できる、という利点はあるものの、圧延ままの非調質鋼板と比較して、製造に要する期間が長くなるとともに、製造コストも高くなる問題がある。
このような問題に対し、引張強さ(TS)が780MPa以上の高張力厚鋼板を、圧延ままで製造する試みが、以前から行われてきた。
例えば、特許文献1には、C、Si、Mn、Mo、Nbを適量添加した素材に、Ar1+10〜Ar3−10℃の温度域で2相域圧延を行う、引張強さ780MPa以上の非調質厚鋼板の製造方法が提案されている。
また、特許文献2には、NbとTiを適量添加した鋼をAr3変態点以上の温度で圧延終了し、ひき続き10℃/秒以上の冷却速度で650〜350℃の温度まで冷却し、冷却後、再加熱し、400〜700℃に60秒以上保持して焼き戻すことを特徴とする、引張強さ690 MPa以上の高張力鋼板の製造方法が提案されており、その実施例には、TSが780MPaを超えるものも記載されている。このように、厚鋼板の製造ライン上で、すなわち、オンラインで、再加熱による熱処理を行なうことで、製造に要する期間の短縮を図りつつ、低コストで、高張力鋼板を製造できる。
特開平8−188823号公報 特開2001−115210号公報
しかしながら、特許文献1に提案される方法では、Ar1+10〜Ar3−10℃という、厚鋼板の圧延温度としては、非常に低温域での圧延を行うため、圧延後の鋼板の良好な形状(平坦度)を確保することが難しくなる問題がある。
これに対し、特許文献2に提案される方法では、加速冷却による変態強化と、TiCによる析出強化を目的としたその後の焼き戻しとの、両者の作用によって、上記特許文献1に規定するような低温での圧延は避けることができるものの、加速冷却を行うため、やはり、圧延後の鋼板の形状(平坦度)の悪化を招きやすい。特に、板厚12mm以下の鋼板では、その問題が顕著になる。
したがって、本発明の目的は、かような従来技術の問題を解決し、厚鋼板の製造ライン上で、すなわち、オンラインで、再加熱による熱処理を行えるようにすることで、製造に要する期間を短くできるとともに、低コストで、しかも、圧延後の鋼板の形状(平坦度)の悪化も抑制できる、引張強さ780MPa以上の高張力鋼板の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.5〜2.0%、Al:0.01〜0.08%、Nb:0.02〜0.05%、Ti:0.10〜0.25%、P:0.050%以下、S:0.0050%以下、N:0.010%以下を含有する鋼素材を、1150℃〜1300℃に加熱後、圧延終了温度800℃以上で熱間圧延して鋼板とした後、冷却速度2.0℃/s以下で550℃以下まで冷却を行ない、しかる後、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、560〜600℃の温度域で10〜600秒保持し、さらに、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、600〜700℃の温度域で10〜600秒保持後、冷却することを特徴とする、引張強さ780MPa以上の高張力鋼板の製造方法。
(2)鋼素材が、さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.5%以下、V:0.08%以下、Mo:1.0%以下、B:0.0040%以下、Ca:0.0030%以下、Rem:0.02%以下、の中から選ばれた、1種または2種以上を含有することを特徴とする、(1)に記載の引張強さ780MPa以上の高張力鋼板の製造方法。
本発明によれば、厚鋼板の製造ライン上で、すなわち、オンラインで、再加熱による熱処理を行えるようにすることで、製造に要する期間を短くできるとともに、低コストで、しかも、圧延後の鋼板の形状(平坦度)の悪化を抑制しつつ、引張強さ780MPa以上の高張力鋼板を製造でき、特に、良好な形状(平坦度)の、板厚12mm以下の鋼板を製造できる。
発明者らは、上記のような問題を解決するため、良好な形状の、引張強さ780MPa以上の非調質高張力鋼板を製造するにはどうしたらよいか、その方法について検討した。その結果、Ti、Nbの複合添加による析出強化の作用を利用することにより、圧延後の厚鋼板の形状(平坦度)を悪化させる、低温域での圧延や加速冷却を行うことなく、引張強さ(TS)が780MPa以上の高張力鋼板を製造できることに想到し、本発明をするに至った。
まず、本発明における、Ti、Nbの複合添加による析出強化の作用を説明する。析出強化は、フェライト中の微細な析出物により、転位の移動を妨げることで強化を図るものであり、鉄鋼材料では、NbC、VC、TiC、MoCなどの炭化物や、Cu、あるいは、金属間化合物などが、析出強化の作用をもつ析出物として知られている。
本発明では、主として、TiC、NbCの析出強化を利用するが、その析出は、圧延後の、オーステナイト→フェライト変態時の相界面での析出と、フェライト変態後の析出と、に大別される。フェライト中で析出が有効に行われる温度域は、例えば、TiCやNbCであれば、400〜700℃の範囲である。この温度域は、圧延後、鋼板が冷却されるときに通過する温度域であり、また、冷却後、再加熱することにより、この温度域に保持して、さらに析出により強度を高めることができる。特許文献2では、これを利用し、冷却後に400〜700℃に再加熱してTiCを析出させ高強度化を図っている。特許文献2では、さらに高強度化を図るために、圧延後、加速冷却して組織をベイナイト化する変態強化を併用しているが、一方で、加速冷却は、圧延後の鋼板の形状(平坦度)を悪化させる場合があることは、すでに述べた通りである。
一方、析出強化をより効果的に利用するには、析出物をより微細にかつ大量に析出させることが重要である。そのためには、析出サイトとなる転位の密度を高めることが重要である。
しかし、転位は、再加熱により消滅するため、再加熱することで、析出サイトとして寄与する程度は薄れてしまう。
そのため、高温ほど析出物の析出が進展する有利さの反面、高温ほど析出サイトが減少してしまう不利があるため、析出強化の程度は簡単には大きくならない。
この点を解決したのが本発明であり、TiC、NbCの析出温度域が異なることを利用し、上記の困難を克服したものである。具体的には、2段階の再加熱による熱処理により、両者の析出強化の作用を最大限に引き出すものである。
フェライト相中での炭化物の析出速度は、主として、Ti、Nbの拡散係数に依存するため、同じ温度域であれば、TiCの方が析出しやすい。
したがって、本発明では、Ti、Nbが複合添加された鋼を、再加熱により析出強化するために、まず、低温域で、TiCを優先的に析出させる。これにより析出強化を図るとともに、さらに、次に述べる高温域に加熱された際の転位の消滅を抑制する機能を持たせる。
次に、高温域に加熱して保持し、主として、NbCを析出させるのである。この時には微細なTiCがあらかじめ析出しているため、高温でありながら転位は消滅せず、NbCの析出サイトとして有効に働き、NbCの微細かつ大量の析出に大きく寄与するのである。すなわち、この複合添加かつ2段階の再加熱による熱処理により、1段階の再加熱による熱処理では得られない高強度化を図れるのである。
以上の説明は概念的なものであり、この現象を利用して実用的な効果を上げるためには、Ti、Nb、Cの添加量と、再加熱による熱処理の条件を最適化する必要がある。発明者らは、これらについて鋭意検討を重ね、上記本発明を完成するに至ったものである。
本発明の対象とする鋼板の化学成分の範囲とその規定理由について説明する。以下の説明において、%で示す単位は全て質量%である。
C:0.05〜0.20%
Cは鋼の強度を向上する元素であり、本発明では、TiC、NbCの析出に不可欠な元素である。所望の強度を確保するためには0.05%以上の含有を必要とするが、0.20%を超えると、靭性が低下する。このため、Cは、0.05〜0.20%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.08〜0.15%である。
Si:0.05〜0.60%
Siは、脱酸剤として作用する元素であり、本発明では、脱酸を有効に行うための製鋼上の要請から、0.05%以上の含有を必要とするが、0.60%を超えて含有すると、靭性を低下させる。このため、Siは、0.05〜0.60%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.20〜0.45%である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、鋼の強度を向上する元素であり、引張強さを780MPa以上とするためには、0.5%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超える含有は、溶接した場合に、溶接熱影響部の靭性を著しく低下させる。このことから、Mnは、0.5〜2.0%の範囲に規定した。
Al:0.01〜0.08%
Alは、脱酸剤として作用し、このためには0.01%以上の含有を必要とするが、0.08%を超えて含有すると、靭性を低下させるとともに、溶接した場合に、溶接金属部の靭性を低下させる。このため、Alは、0.01〜0.08%の範囲に規定した。なお、好ましくは、0.02〜0.04%である。
Nb:0.02〜0.05%
Nbは、NbCとしてフェライト変態時あるいは再加熱時に析出し、高強度化に寄与する。本発明の対象とする引張強さ780MPa以上の鋼板を得るためには、0.02%以上の添加が必要である。一方、0.05%を超える含有は、析出するNbCの粗大化を招き、高強度化に寄与しにくいばかりか、粗大化したNbCは、靭性に悪影響を及ぼす。このことから、Nbは、0.02〜0.05%の範囲に規定した。
Ti:0.10〜0.25%
Tiは、TiCとしてフェライト変態時あるいは再加熱時に析出し、高強度化に寄与する。本発明の対象とする引張強さ780MPa以上の鋼板を得るためには、0.10%以上の添加が必要である。一方、0.25%を超える含有は、母材および溶接熱影響部の靭性を低下させるので、Tiは、0.10〜0.25%の範囲に規定した。
P:0.050%以下、S:0.0050%以下、N:0.010%以下
Pは、含有量が0.050%を超えると母材及び溶接部の靭性を低下させるので、0.050%以下に抑制するものとする。
同じく、Sも、0.0050%を超えると母材および溶接部の靭性を低下させるので、0.0050%以下に抑制するものとする。
Nは、0.010%を超えるとTiNの析出量が多くなり、固溶Ti量の減少につながって、TiCの析出強化の作用が得にくくなって、強度が低下するので、Nは、0.010%以下に抑制する。
以上が本発明の基本成分である。本発明では、基本成分に加えて、さらに、下記成分を選択して含有することができる。それらは、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.5%以下、V:0.08%以下、Mo:1.0%以下、B:0.0040%以下、Ca:0.0030%以下、Rem:0.02%以下、の中から選ばれた、1種または2種以上であり、これらの元素は、いずれも鋼の強度向上に寄与する元素であり、必要に応じ、単独あるいは複合して含有することができる。各選択成分の範囲とその規定理由について、以下に説明する。
Cu:0.5%以下
Cuは、固溶強化により鋼の強度を向上する元素である。本発明では、0.05%以上含有してもよいが、0.5%を超えて含有すると、靭性が低下する。このため、Cuは、0.05〜0.5%の範囲で含有してもよい。
Ni:1.0%以下
Niは、靭性を保ちつつ強度を向上する有効な元素である。本発明では、0.05%以上含有してもよいが、1.0%を超えて含有しても効果が飽和するため、コスト的に不利となる。このため、Niは、0.05〜1.0%の範囲で含有してもよい。
Cr:0.5%以下
Crは、鋼の強度を向上する元素である。本発明では、0.05%以上含有してもよいが、0.5%を超えて含有すると溶接熱影響部の靭性が低下する。このため、Crは、0.05〜0.5%の範囲で含有してもよい。
V:0.08%以下
Vは、V(CN)として析出強化により、鋼の強度を向上する元素であり、0.003%以上含有してもよいが、0.08%を超えて含有すると、靭性を低下させる。このため、Vは、0.003〜0.08%の範囲で含有してもよい。
Mo:1.0%以下
Moは、焼き入れ性の向上により、鋼の強度を向上する元素であり、この効果を得るには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える含有は、靭性を低下させる。このため、Moは、0.10〜1.0%の範囲で含有してもよい。
B:0.0040%以下
Bは、微量の添加によって旧オーステナイト粒界エネルギーを低下させてフェライトの核生成を抑制するのに有効に機能する。しかし、0.0040%を超えると、靭性を低下させるので、0.0040%の範囲で含有してもよい。0.0003〜0.0040%とするのがさらに好ましい。
Ca:0.0030%以下
Caは0.0003%以上の含有で、介在物の形態制御によりS、Oとのバランスを適切に選択することでHAZ(溶接熱影響部)靭性を向上させる。一方、0.0030%を超えて含有してもその効果が飽和する。このため、Caは0.0003〜0.0030%の範囲で含有してもよい。
Rem:0.02%以下
Remは、Rem(O、S)を形成して、HAZ(溶接熱影響部)靭性を向上させる。このような効果は、0.0003%以上の含有で認められるが、0.02%を超えて含有しても、その効果が飽和する。このため、Remは、0.0003〜0.02%の範囲で含有してもよい。なお、Remとは希土類元素のことを意味し、代表的なものは、La、Ce、Hfなどである。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
次に、上記の成分範囲内の組成を有する鋼素材を用いた高張力鋼板の、製造方法及び製造条件の規定理由について説明する。
まず、上記した組成の溶鋼を、転炉等で溶製し、連続鋳造等で鋼素材(スラブ)とする。
ついで、鋼素材を、1150℃〜1300℃の温度範囲に加熱し、圧延終了温度800℃以上で熱間圧延して鋼板とした後、冷却速度2.0℃/s以下で550℃以下まで冷却を行ない、しかる後、2段階の再加熱による熱処理として、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、560〜600℃の温度域で10〜600秒保持し、さらに、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、600〜700℃の温度域で10〜600秒保持後、冷却する。
本発明では、添加したNb、Tiを、鋼素材であるスラブの加熱段階で、十分に固溶させる必要があるため、加熱温度は1150℃以上とする。しかし、1300℃超であると、オーステナイト粒が粗大化し、靭性の低下を招くばかりか、酸化ロスが顕著となり、歩留が低下するので、加熱温度は1150〜1300℃とした。
熱間圧延としては、厚鋼板の製造ラインでの圧延を行えばよいが、圧延終了温度は800℃以上とする。これ未満の温度であっても鋼板の機械的特性に問題はないが、圧延後の鋼板の形状(平坦度)が悪化する。圧延終了温度の上限は特に規定しないが、1000℃以下とするのが望ましい。
熱間圧延終了後、冷却速度2.0℃/s以下で550℃以下まで冷却する。鋼板を良好な形状(平坦度)の製品にするためには、冷却は空冷とすることが好ましい。ただし、550℃までの冷却に時間がかかる場合には、水スプレー等を行うことにより、空冷よりもやや冷却速度の速い冷却を行ってもよい。冷却停止温度が550℃超だと、フェライト変態の途中であるため、その状態から後述する再加熱を行うと、フェライト粒が粗大化し、靭性が低下するので、冷却は550℃以下の温度になるまで行うものとする。
550℃以下に冷却した後、1段目の再加熱による熱処理として、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、560〜600℃の温度域で10〜600秒保持するようにする。この保持は、主として、TiCの微細析出を行うものである。昇温速度は、5℃/s未満であると、TiCが粗大化してしまい、析出強化の作用が低下する。昇温速度は速いほど好ましく、例えば、15〜25℃/sとするのが好適である。保持する温度域が560℃未満であると、TiCが十分に析出しない。また、600℃超であると、析出サイトである転位が消滅し、TiCも粗大化するので、1段目の保持温度は、560〜600℃の範囲に規定する。また、保持時間は、10秒未満とすると、TiCの析出量が十分でなく、600秒超とすると、TiCが粗大化して析出強化の作用が低下するので、保持時間は、10〜600秒とした。この1段目の再加熱による熱処理により、フェライト中の転位は微細なTiCにより運動を妨げられて、その後の、次に述べる、2段目の再加熱による熱処理によっても消滅しにくくなるとともに、NbCの析出サイトとしても有効に機能する。
その後の、2段目の再加熱による熱処理にも、昇温速度5℃/s以上が必要である。5℃/s未満であると、結果的に、高温での保持時間が長くなり、析出するNbCが粗大化するとともに、転位の消滅も緩やかではあるが進行するようになり、その分強度が低下する。昇温速度は速いほど好ましく、例えば15〜25℃/sとするのが好適である。保持温度は、600〜700℃とする。600℃未満では、NbCが十分に析出しない。また、700℃超であると、NbCが粗大化し、析出強化の作用が低下する。保持時間は、10秒未満とすると、NbCの析出量が十分でなく、600秒超とすると、NbCが粗大化して析出強化の作用が低下するので、保持時間は、10〜600秒とした。
2段目の再加熱による熱処理の後の冷却は、空冷としてもよいし、鋼板の形状(平坦度)が許容限度を超えて悪化しない範囲で、水冷としてもよい。
これらの再加熱による熱処理は、図1に示すように誘導加熱装置10により鋼板1の表層部を集中的に発熱させる方法、あるいは、図2に示すように、被圧延材である鋼板1の幅方向に列設したバーナのバーナ炎2により、鋼板1の表面を加熱する方法等を用いることができる。誘導加熱装置を用いる場合、その配置は、厚鋼板の製造ラインにおける搬送経路上、すなわち、オンラインでも、あるいはオフラインでも構わないが、エネルギーコストの観点からは、圧延、冷却直後に加熱が可能なオンラインとすることが好ましい。
表1に示す各組成の溶鋼を、転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼素材(スラブ)とした(鋼記号A〜AC)。これらスラブ(鋼素材:250mm厚)を用いて、表2に示す圧延条件にて板厚12mmに熱間圧延して、冷却し、同じく表2に示す条件で誘導加熱装置を用いた再加熱による熱処理を行い、No.1〜46の供試鋼を得た。なお、空冷すると2℃/s以下の冷却速度に必ずなる。
Figure 0004770293
Figure 0004770293
これらの厚鋼板について、全厚のJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行い、降伏点(YS)、引張強さ(TS)を測定した。また、板厚の1/2t部よりJIS4号衝撃試験片を採取し、シャルピー試験を行って、−15℃での吸収エネルギー(vE-15)を求めた。さらに、鋼板のそり量を測定して、形状(平坦度)の評価も行った。その結果を表3に示す。ここで、降伏点と引張強さの目標値は、それぞれ685MPa以上、780MPa以上であり、シャルピー吸収エネルギーの目標値はvE-15≧47Jとした。また、平坦度は4mm/1m以下を良好と判定した。
Figure 0004770293
化学成分、製造条件が本発明内の範囲内であるNo.1〜16の鋼板は、機械的性質、形状(平坦度)ともに上記の目標とする範囲内に入った。しかし、化学成分あるいは製造条件が本発明の範囲から外れるNo.17〜46の鋼板は、強度(YS、TS)、靭性(vE-15)、平坦度のどれかが上記の目標とする範囲から外れていた。
本発明の実施の形態について説明するための図である。(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図。 本発明の実施の形態について説明するための図である。
符号の説明
1 鋼板(被圧延材)
2 バーナ炎
10 誘導加熱装置
30 テーブルローラ

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.5〜2.0%、Al:0.01〜0.08%、Nb:0.02〜0.05%、Ti:0.10〜0.25%、P:0.050%以下、S:0.0050%以下、N:0.010%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、1150℃〜1300℃に加熱後、圧延終了温度800℃以上で熱間圧延して鋼板とした後、冷却速度2.0℃/s以下で550℃以下まで冷却を行ない、しかる後、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、560〜600℃の温度域で10〜600秒保持し、さらに、昇温速度5℃/s以上で再加熱し、600〜700℃の温度域で10〜600秒保持後、冷却することを特徴とする、引張強さ780MPa以上の高張力鋼板の製造方法。
  2. 鋼素材が、さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.5%以下、V:0.08%以下、Mo:1.0%以下、B:0.0040%以下、Ca:0.0030%以下、Rem:0.02%以下、の中から選ばれた、1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の引張強さ780MPa以上の高張力鋼板の製造方法。
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