JP4765791B2 - 体積ホログラム記録材料用組成物、並びにそれを用いた体積ホログラム記録材料、体積ホログラム光記録媒体及び体積ホログラム光記録方法 - Google Patents

体積ホログラム記録材料用組成物、並びにそれを用いた体積ホログラム記録材料、体積ホログラム光記録媒体及び体積ホログラム光記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、体積ホログラム記録材料用組成物、並びにそれを用いた体積ホログラム記録材料及び、体積ホログラム光記録媒体及び体積ホログラム光記録方法に関する。詳しくは、フォトポリマー方式の体積ホログラム記録材料のポリエーテル系マトリックスとして好適に用いられる体積ホログラム記録材料用組成物と、その体積ホログラム記録材料用組成物を用いた体積ホログラム記録材料、体積ホログラム光記録媒体及び体積ホログラム光記録方法に関する。
公知の体積位相型ホログラム記録材料の例としては、湿式処理や漂白処理が不要なライトワンス形式があり、その組成としては、マトリックスに光反応性化合物を相溶させたものが一般的である。例えば、ポリエーテル系マトリックスに、ラジカル重合やカチオン重合可能なモノマーを組み合わせたフォトポリマー方式が挙げられる(特許文献1、2等参照)。
フォトポリマー方式は、屈折率変化を生じさせるモノマーの選択性が非常に広く、非常に簡便な方式である。また、ポリエーテル系マトリックスは、モノマーとの相溶性が高く、ガラス転移温度(以下適宜「Tg」という場合がある。)が低い。そのため、ポリエーテル系マトリックスを用いたフォトポリマー方式では、透明性が高く、記録速度に優れた体積ホログラム記録材料が得られる。
特開2005−43862号公報 特開平11−352303号公報
しかしながら、従来のポリエーテル系マトリックスでは、プロピレンオキサイドからなるポリエーテルを用いていたため、吸湿性が高く、可視光重合開始剤の保存安定性に課題があり(シェルフライフが短い。)、実用性が低く、更なる改良が求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸湿性が低く、保存安定性に優れた体積ホログラム記録材料用組成物、並びにそれを用いた体積ホログラム記録材料、体積ホログラム光記録媒体及び体積ホログラム光記録方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテル及び硬化剤を含有する熱硬化性マトリックスを、光活性化合物と併用することによって、吸湿性が低く、保存安定性に優れた体積ホログラム記録材料用組成物を得ることができ、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するとともに、炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテル(A1)、及び、硬化剤(A2)を含有する熱硬化性マトリックス(A)と、光活性化合物(B)とを含有することを特徴とする、体積ホログラム記録材料用組成物に存する(請求項1)。
ここで、前記ポリエーテル(A1)が有するアルキレンオキシド鎖の炭素数が、4以上10以下であることが好ましい(請求項2)。
また、前記熱硬化性マトリックス(A)の前記光活性化合物(B)に対する割合が、10重量部以上5000重量部以下であることが好ましい(請求項3)。
また、前記ポリエーテル(A1)の数平均分子量が、200以上50000以下であることが好ましい(請求項4)。
また、前記硬化剤(A2)が、アミン類、酸無水物、チオール類、アニオン重合開始剤及びカチオン重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい(請求項5)。
また、前記光活性化合物(B)が、ラジカル重合性モノマーであることが好ましい(請求項6)。
また、本発明の別の要旨は、上述の体積ホログラム記録材料用組成物を少なくとも含有することを特徴とする、体積ホログラム記録材料に存する(請求項7)。
また、本発明の別の要旨は、上述の体積ホログラム記録材料を含有する層を少なくとも備えることを特徴とする、体積ホログラム光記録媒体に存する(請求項8)。
また、本発明の別の要旨は、上述の体積ホログラム光記録媒体の前記層に対して、励起光及び参照光を照射し、前記励起光と前記参照光との干渉によって前記層に体積ホログラム記録を行なうことを特徴とする、体積ホログラム光記録方法に存する(請求項9)。
本発明によれば、吸湿性が低く、保存安定性に優れた体積ホログラム記録材料用組成物、並びにそれを用いた体積ホログラム記録材料、体積ホログラム光記録媒体及び体積ホログラム光記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されるものではない。
なお、以下の記載中「これらの誘導体」とは、例示された化合物の構造の一部を、本発明の趣旨に反しない範囲で別の構造に置き換えることにより得られる化合物を指すものとする。
また、以下の記載中「(メタ)アクリル酸」という記載は、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して指す記載である。「(メタ)アクリルアミド」や「(メタ)アクリレート」等の記載も同様である。
[I.体積ホログラム記録材料用組成物]
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物は、以下に説明する熱硬化性マトリックス(A)と、光活性化合物(B)とを少なくとも含有するものである。
〔I−1.熱硬化性マトリックス(A)〕
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物に使用される熱硬化性マトリックス(A)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するとともに、炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテル(A1)(以下単に「ポリエーテル(A1)」という場合がある。)と、硬化剤(A2)とを少なくとも含有する。
<I−1−1.ポリエーテル(A1)>
熱硬化性マトリックス(A)に使用されるポリエーテル(A1)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有し、炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテルであれば、その種類は特に制限されない。
ポリエーテル(A1)が有するエポキシ基の数は、通常2以上であれば特に制限されない。エポキシ基の数が少ないと、マトリックスとして必要な硬さが得られなくなる場合がある。一方、エポキシ基の数の上限は特に制限されないが、通常8以下、中でも4以下が好ましい。エポキシ基の数が多過ぎると、エポキシ基の消費に多大な時間を要し熱硬化に時間がかかり過ぎる場合がある。
ポリエーテル(A1)が有するアルキレンオキシド鎖の炭素数は、通常4以上、また、通常10以下、中でも8以下、更には6以下の範囲が好ましい。炭素数が多過ぎると疎水性は向上するものの、分子の極性が低くなるために、光活性化合物、重合開始剤、触媒等との相溶性が低下する場合がある。また、ガラス転移温度が上昇し、結晶化を生じ易くなるために、記録速度が低下したり、光学的な不均一性を生じ、ホログラム記録時のデータエラーの原因となる場合がある。
炭素数が4以上10以下のアルキレンオキシド鎖の例としては、炭素原子を含有する置換基を有するオキセタンを開環してなるアルキルトリメチレンオキシド鎖、テトラハイドロフランを開環してなるテトラメチレンオキシド鎖等が挙げられる。中でも、疎水性と相溶性やガラス転移温度とのバランスの観点から、テトラメチレンオキシド鎖が特に好ましい。
ポリエーテル(A1)が有するアルキレンオキシド鎖の量は、ポリエーテル(A1)に対して、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上の範囲である。アルキレンオキシド鎖の量が少ないと、マトリックスのTgが高くなりすぎ、記録速度が低下する場合がある。一方、その上限は特に制限されず、100%未満である。
なお、ポリエーテル(A1)は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、アルキレンオキシド鎖及びエポキシ基以外の構成要素を含んでいてもよい。
ポリエーテル(A1)の数平均分子量は、通常200以上、中でも300以上、また、通常50000以下、好ましくは20000以下、中でも10000以下の範囲が好ましい。ポリエーテル(A1)の数平均分子量が小さ過ぎると、マトリックスの硬度が高くなり過ぎ、記録速度が低下する場合がある。一方、ポリエーテル(A1)の数平均分子量が大き過ぎると、マトリックスの硬度が小さ過ぎて、記録内容が消失する場合がある。
上記条件を満たすポリエーテル(A1)は、公知の方法で合成できる。一般的には、炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するグリコールと、エピクロロヒドリンとを用いて合成することが可能である。
炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するグリコールの例としては、炭素数が4以上の環状エーテルを一種又は二種以上用い、これらを開環重合させて得られるグリコールが挙げられる。
<I−1−2.硬化剤(A2)>
熱硬化性マトリックス(A)に使用される硬化剤(A2)は、エポキシ基と反応する官能基を持つ化合物であれば、その種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能である。
硬化剤(A2)の例としては、多官能フェノール類、アミン類、酸無水物、チオール類、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
・多官能フェノール:
多官能フェノールの例としては、ビスフェノール、ノボラック型のフェノール樹脂、レゾール型のフェノール樹脂等が挙げられる。
・アミン類:
アミン類としては、第一級アミン基又は第二級アミン基を含むものを用いることができる。このようなアミン類の例としては、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、イミダゾール化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリアミンの例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
脂環族ポリアミンの例としては、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3ーアミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
芳香族ポリアミンの例としては、m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリアミドの例としては、ダイマー酸等のジカルボン酸と上述のポリアミンとの縮合品等が挙げられる。
イミダゾール化合物の例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
その他ポリアミンの例としては、ジシアンジミド、アジピン酸ジヒドラジッド等が挙げられる。
・酸無水物:
酸無水物の例としては、一官能性の酸無水物、二官能性の酸無水物等が挙げられる。
一官能性の酸無水物の例としては、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
二官能性の酸無水物の例としては、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
・チオール類:
チオール類の具体例としては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、エポメートQX10(ジャパンエポキシレジン社製)、エポメートQX11(ジャパンエポキシレジン社製)等のジチオール;チオコール(東レ・ファインケミカル社製)、カップキュア3−800(ジャパンエポキシレジン社製)、エピキュアQX40(ジャパンエポキシレジン社製)等のポリチオール等のチオール化合物が挙げられる。中でも、エポメートQX10、エポメートQX11、カップキュア3−800、エピキュアQX40等の市販の速硬化性ポリチオールが好適に用いられる。
・アニオン重合開始剤:
アニオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってアニオンを発生するものであり、例としては第三級アミン等が挙げられる。第三級アミンの例としては、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の第三級アミノ基含有化合物、及びこれらの誘導体;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物、及びこれらの誘導体;などが挙げられる。
・カチオン重合開始剤:
カチオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するものであり、例としては芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体例としては、SbF6 -、BF4 -、AsF6 -、PF6 -、CF3SO3 -、B(C654 -等のアニオン成分と、ヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物が挙げられる。中でも、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩等が好ましい。また、三新化学社製サンエイドSIシリーズもカチオン重合開始剤として好適に用いられる。
中でも、硬化剤(A2)は、アミン類、酸無水物、チオール類、アニオン重合開始剤及びカチオン重合開始剤からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらは硬化速度が大きいため、マトリックスの生産性に優れるからである。
硬化剤(A2)の使用量は、硬化剤(A2)がアニオン開始剤又はカチオン開始剤である場合と、それ以外の場合とで異なる。
硬化剤(A2)がアニオン開始剤又はカチオン開始剤以外の化合物(アミン類、酸無水物、チオール類等)である場合、その使用量は、エポキシ基のモル数に対する割合で、通常0.1当量以上、中でも0.7当量以上、また、通常2.0当量以下、中でも1.5当量以下の範囲が好ましい。硬化剤(A2)の使用量が少な過ぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を損なってしまう場合がある。
一方、硬化剤(A2)がアニオン開始剤又はカチオン開始剤である場合、その使用量は、熱硬化性マトリックス(A)に対する比率で、通常0.001重量%以上、中でも0.01重量%以上、また、通常50重量%以下、中でも10重量%以下の範囲が好ましい。硬化剤(A2)の使用量が少な過ぎると、開始剤の濃度が低過ぎるため、重合反応に時間がかかり過ぎる場合がある。一方、硬化剤(A2)の使用量が多過ぎると、重合反応として、連続的な開環反応を生じなくなる場合がある。
なお、上記例示の各種の硬化剤(A2)は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。二種以上の硬化剤(A2)を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
また、イミダゾール化合物については、アニオン開始剤として機能させることも可能であるし、アミン類として機能させることも可能である。即ち、イミダゾール化合物を、アニオン開始剤として好ましい範囲の量用いると、アニオン開始剤として機能し、アミン類として好ましい範囲の量用いると、アミン類として機能する。よって、この点を考慮して、目的とする機能に応じて使用量を選択すればよい。
<I−1−3.その他>
本発明の熱硬化性マトリックス(A)は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上述のポリエーテル(A1)及び硬化剤(A2)以外に、他の成分を含有していてもよい。
例えば、本発明の熱硬化性マトリックス(A)には、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。添加剤の例としては、硬化促進剤が挙げられる。
硬化促進剤の例としては、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等の三級ホスフィン類、テトラブチルホスフォニウムブロマイド等の四級ホスフォニウム塩類、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩類などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
硬化促進剤の使用量は、熱硬化性マトリックス(A)に対する比率で、通常0.0001重量%以上、中でも0.001重量%以上、また、通常10重量%以下、中でも5重量%以下の範囲が好ましい。硬化促進剤の使用量が少な過ぎると、硬化に時間がかかりすぎる場合がある。一方、硬化促進剤の使用量が多過ぎると、硬化反応の制御が困難になるとなる場合がある。なお、二種以上の硬化促進剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
〔I−2.光活性化合物(B)〕
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物に使用される光活性化合物(B)の種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能であるが、通常は、重合性を有するモノマーが用いられる。重合性モノマーの例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられる。
<I−2−1.カチオン重合性モノマー>
カチオン重合性モノマーの例としては、(1)オキシラン環を有する化合物、(2)スチレン及びその誘導体、(3)ビニルナフタレン及びその誘導体、(4)ビニルエーテル類、(5)N−ビニル化合物、(6)オキセタン環を有する化合物等を挙げることができる。中でも、少なくともオキセタン環を有する化合物を用いることが好ましく、更には、オキセタン環を有する化合物と共にオキシラン環を有する化合物を併用することが好ましい。
(1)オキシラン環を有する化合物としては、1分子内に2個以上のオキシラン環を含有するプレポリマーを挙げることができる。このようなプレポリマーの例としては、脂環式ポリエポキシ類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物及びエポキシ化ポリブタジエン類等が挙げられる。これらのプレポリマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(2)スチレン及びその誘導体の例としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等が挙げられる。
(3)ビニルナフタレン及びその誘導体の例としては、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
(4)ビニルエーテル類の例としては、イソブチルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
(5)N−ビニル化合物の例としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
(6)オキセタン環を有する化合物の例としては、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報等に記載されている、公知の各種のオキセタン化合物が挙げられる。
上記例示のカチオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<I−2−2.アニオン重合性モノマー>
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類;メチルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン、シクロヘキシルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;メチルイソプロペニルケトン、フェニルイソプロペニルケトン等のイソプロペニルケトン類;アクリロニトリル、アクリルアミド、ニトロエチレン、メチレンマロン酸エステル、シアノアクリル酸エステル、シアン化ビニリデン等のその他の極性モノマー;などが挙げられる。
上記例示のアニオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<I−2−3.ラジカル重合性モノマー>
ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(n−又はi−)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アダマンチル、クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、スルファモイルフェニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、安息香酸ビニル、t−ブチル安息香酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、4−エトキシ安息香酸ビニル、4−エチル安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、3−メチル安息香酸ビニル、2−メチル安息香酸ビニル、4−フェニル安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、p−アセチルスチレン、p−ベンゾイルスチレン、2−ブトキシメチルスチレン、4−ブチルスチレン、4−sec−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、ジクロロスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、p−エトキシスチレン、2−エチルスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェノキシスチレン、p−フェニルスチレン等が挙げられる。
上記例示のラジカル重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<I−2−4.その他>
上記例示したカチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で二種以上を併用してもよい。但し、マトリックスを形成するエポキシとエポキシ硬化剤の反応を阻害し難いという理由から、光活性化合物(B)としては、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
〔I−3.熱硬化性マトリックス(A)と光活性化合物(B)の配合比〕
熱硬化性マトリックス(A)の使用量は、光活性化合物(B)を100重量部とした場合に、通常10重量部以上、中でも100重量部以上、更には200重量部以上、特に300重量部以上、また、通常5000重量部以下、中でも2000重量部以下、更には1500重量部以下の範囲であることが好ましい。熱硬化性マトリックス(A)の使用量が多過ぎると、屈折率の変化が小さく、記録効率が低くなる場合がある。一方、熱硬化性マトリックス(A)の使用量が少な過ぎると、未反応の光活性化合物が多く残り、記録材料にして長期に保存した時にブリードアウトが生じる等、記録の保存性が低下する原因となる場合がある。
〔I−4.他の成分〕
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上述の熱硬化性マトリックス(A)及び光活性化合物(B)以外に、その他の成分を含有していてもよい。
例えば、本発明の体積ホログラム記録材料用組成物には、光活性化合物(B)の励起波長や励起エネルギーの制御、反応の制御、特性の改良等の必要に応じて、任意の添加剤を配合することができる。
添加剤の例としては、以下の化合物が挙げられる。
増感体の励起を制御する化合物の例としては、増感補助剤等が挙げられる。
反応の制御に使用する化合物の例としては、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、相溶化剤、反応補助剤等が挙げられる。
その他、特性改良上必要とされ得る添加剤の例としては、分散剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤、安定剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
添加剤の使用量は、本発明の体積ホログラム記録材料用組成物に対する比率で、通常0.001重量%以上、中でも0.01重量%以上、また、通常30重量%以下、中でも10重量%以下の範囲とすることが好ましい。二以上の添加剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
特に、光活性化合物(B)がラジカル重合性モノマーである場合に好適な添加剤の例としては、重合開始剤及び増感剤が挙げられる。以下、これらについて詳述する。
<I−4−1.重合開始剤>
重合開始剤は、公知の光ラジカル重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては、アゾ系化合物、アジド系化合物、有機過酸化物、有機硼素酸塩、オニウム塩類、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物、ヨードニウム塩類、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体等が用いられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、重合開始剤としては、可視光で重合反応が生じるという理由から、チタノセン化合物が好ましい。
重合開始剤としてチタノセン化合物を使用する場合、その種類は特に限定はされないが、例えば特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報等に記載されている各種のチタノセン化合物の中から、適宜選択して使用することができる。
チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)−フェニ−1−イル等が挙げられる。
特に、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)−フェニ−1−イルは、約550nm付近まで吸収を有するので、光源としてアルゴンイオンレーザー(488nm)やFD−Nd/YAGレーザー(532nm)を使用することができ、汎用性が高いことから、重合開始剤として好ましく用いられる。
上記の各種の重合開始剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、体積ホログラム記録材料用組成物の全固形分に対する比率で、通常0.1重量%以上、中でも0.5重量%以上、また、通常10重量%以下、中でも5重量%以下の範囲とすることが好ましい。重合開始剤の使用量が少な過ぎると、ラジカルの発生量が少なくなるため、光重合の速度が遅くなり、ホログラム記録感度が低くなる場合がある。一方、重合開始剤の使用量が多過ぎると、光照射により発生したラジカル同士が再結合したり、不均化を生じたりするため、光重合に対する寄与が少なくなり、やはりホログラム記録感度が低下する場合がある。二以上の重合開始剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
<I−4−2.増感剤>
増感剤としては、公知の各種の増感剤の中から、任意に選択して用いることができる。中でも好ましい増感剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
特開平5−241338号公報等に記載されている、2,6−ジエチル−1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−BF2錯体、1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−BF2錯体等のピロメテン錯体;
エオシン、エチルエオシン、エリスロシン、フルオレセイン、ローズベンガル等のキサンテン系色素;
特開平2−69号公報等に記載されている、1−(1−メチルナフト〔1,2−d〕チアゾール−2(1H)−イリデン−4−(2,3,6,7)テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−3−ブテン−2−オン、及び1−(3−メチルベンゾチアゾール−2(3H)−イリデン−4−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−ブテン−2−オン等のケトチアゾリン系化合物;
特公平2−55446号公報、特公平2−30321号公報等に記載されている、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−ナフト〔1,2−d〕チアゾール、2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ナフト〔1,2−d〕チアゾール等のスチリル又はフェニルブタジエニル複素環化合物;
2,4−ジフェニル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−1,3,5−トリアジン、及び2,4−ジフェニル−6−((〔2,3,6,7〕テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−1−エテン−2−イル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系化合物;
特開平6−116313号公報、特開昭47−2528号公報等に記載されている、ナンスリル−((〔2,3,6,7〕テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−1−エテン−2−イル)ケトン、2,5−ビス(p−ジメチルアミノシンナミリデン)シクロペンタノン等のアミノフェニル不飽和ケトン化合物;
5,10,15,20テトラフェニルポルフィリン、ヘマトポルフィリン等のポルフィリン類。
上記例示の各種の増感剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、一般に増感剤としては、可視レーザー光を吸収するために、前記のような色素等の有色化合物が用いられる場合が多いが、最終的なホログラム光記録媒体に無色透明性が要求される場合には、増感剤としてシアニン系色素を使用することが好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解し易いため、後露光を行なう、即ち、室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することで、体積ホログラム記録材料中のシアニン系色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なホログラム光記録媒体が得られる。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3’−ジカルボンキシメチル−9−エチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3’,9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3’,9−トリエチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’,9−トリエチル−2,2’−(4,5,4’,5’−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−〔3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリジン)−1−プロペニル〕−6−〔2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリジン)エチリデンイミノ〕−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−〔〔3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリジン)−エチリデン−2−チアゾリジン〕メチル〕3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’−ジエチル−2,2’−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3’−カルボキシメチル−5’−クロロ−2,2’−キノチアシアミンベタイン、アンヒドロ−5,5’−ジフェニル−9−エチル−3,3’−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩、2−〔3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリジン)−1−プロペニル〕−6−〔2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリジン)エチリデンイミノ〕−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩等が挙げられる。これらのシアニン系色素は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増感剤の量は、本発明の体積ホログラム記録材料を含有する層の厚さによって増減する必要があるが、重合開始剤に対する比率で、通常0.01重量%以上、中でも0.1重量%以上、また、通常10重量%以下、中でも5重量%以下の範囲とすることが好ましい。増感剤の使用量が少な過ぎると、開始剤効率が低下し、記録に多大な時間を要する場合がある。一方、増感剤の使用量が多過ぎると、記録や再生に使用する光の吸収が大きくなり、深さ方向へ光が届き難くなる場合がある。二以上の増感剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
〔I−5.その他〕
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物は、上述のように、吸湿性が低く、保存安定性に優れるという効果を奏する。その理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、体積ホログラム記録材料用組成物に含まれる、C4以上のポリエーテル(A1)はC2,C3のみからなるポリエーテルに比べ、分子の極性が低いため親水性を下げることができ、これにより吸湿性が低下し、水分で重合開始剤等が壊れるのを防ぐことができるので保存安定性が向上するものと推測される。
〔I−6.用途〕
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物は、体積ホログラム記録材料の用途に用いられる。これにより、本発明の体積ホログラム記録材料用組成物が有する特性(吸湿性が低く、保存安定性に優れている等の特性)を有効に活用することができる。本発明の体積ホログラム記録材料用組成物を用いた体積ホログラム記録材料を以下「本発明の体積ホログラム記録材料」という。
本発明の体積ホログラム記録材料は、本発明の体積ホログラム記録材料用組成物のみからなっていてもよく、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分に特に制限は無いが、例としては光分散剤、色材等の各種の添加剤が挙げられる。その他の成分の含有量も、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて任意である。
[II.体積ホログラム光記録媒体]
本発明の体積ホログラム光記録媒体は、上述した本発明の体積ホログラム記録材料を含有する層を少なくとも備えてなる。本発明の体積ホログラム記録材料を含有する層は任意であるが、通常は情報の記録が行なわれる層(これを「記録層」という。)である。本発明の体積ホログラム光記録媒体におけるその他の具体的な構成に制限は無く、任意である。以下、本発明の一実施形態に係る体積ホログラム光記録媒体(これを「本実施形態の光記録媒体」という場合がある。)について詳しく説明する。
本実施形態の光記録媒体は、少なくとも、本発明の体積ホログラム記録材料を用いて形成された記録層を備えて構成される。また、本実施形態の光記録媒体は、必要に応じて、支持体及びその他の層を備えて構成される。
〔II−1.記録層〕
記録層は、情報が記録される層である。情報は通常、ホログラムとして記録される。本実施形態の光記録媒体において、記録層は、本発明の体積ホログラム記録材料を用いて形成されたものであれば、その他に特に制限はない。
記録層の厚みにも特に制限は無く、記録方法等を考慮して適宜定めればよいが、一般的には、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常1cm以下、好ましくは2000μm以下の範囲である。記録層が厚過ぎると、光記録媒体における多重記録の際、各ホログラムの選択性が低くなり、多重記録の度合いが低くなる場合がある。また、記録層が薄過ぎると、記録層全体を均一に成形することが困難であり、各ホログラムの回折効率が均一で且つS/N比の高い多重記録が難しくなる場合がある。
〔II−2.支持体〕
通常、光記録媒体は支持体を有し、記録層やその他の層は、この支持体上に積層されて光記録媒体を構成する。但し、記録層又はその他の層が必要な強度や耐久性を有する場合には、光記録媒体は支持体を有していなくてもよい。
支持体は、必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。
具体的に、支持体の形状に制限は無いが、通常は平板状又はフィルム状に形成される。
また、支持体を構成する材料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。
支持体の材料として透明のものを挙げると、アクリル、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフトエート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、酢酸セルロースなどの有機材料;ガラス、シリコン、石英などの無機材料が挙げられる。この中でも、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ガラスなどが好ましく、特に、アクリル、ポリカーボネート、ガラスがより好ましい。
一方、支持体の材料として不透明のものを挙げると、アルミ等の金属;前記の透明支持体上に、金、銀、アルミ等の金属、又は、フッ化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の誘電体をコーティングしたものなどが挙げられる。
支持体の厚みにも特に制限は無いが、通常は0.1mm以上、1mm以下の範囲とすることが好ましい。支持体が薄過ぎると光記録媒体の機械的強度が不足する場合があり、厚過ぎるとコストが高くなる場合がある。
また、支持体の表面に表面処理を施してもよい。この表面処理は、通常、支持体と記録層との接着性を向上させるためになされる。表面処理の例としては、支持体にコロナ放電処理を施したり、支持体上に予め下塗り層を形成したりすることが挙げられる。ここで、下塗り層の組成物としては、ハロゲン化フェノール、又は部分的に加水分解された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
更に、表面処理は、接着性の向上以外の目的で行なってもよい。その例としては、例えば、金、銀、アルミ等の金属を素材とする反射コート層を形成する反射コート処理;フッ化マグネシウムや酸化ジルコニウム等の誘電体層を形成する誘電体コート処理などが挙げられる。また、これらの層は、単層で形成してもよく、2層以上を形成してもよい。
また、支持体は、本発明の光記録媒体の記録層の上側及び下側の何れか一方にのみ設けてもよく、両方に設けてもよい。但し、記録層の上下両側に支持体を設ける場合、支持体の少なくとも何れか一方は、活性エネルギー線(励起光、参照光、再生光など)を透過させるように、透明に構成する。
記録層の片側又は両側に透明支持体を有する光記録媒体の場合、透過型又は反射型のホログラムが記録可能である。また、片側に反射特性を有する支持体を用いる場合は、反射型のホログラムが記録可能である。
更に、支持体にデータアドレス用のパターニングを設けてもよい。パターニング方法に制限は無いが、例えば、支持体自体に凹凸を形成してもよく、反射層(後述する)にパターンを形成してもよく、これらを組み合わせた方法により形成してもよい。
〔II−3.他の層〕
本実施形態の光記録媒体には、上述した記録層及び支持体以外に、その他の層を設けてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防止膜)等が挙げられる。
保護層は、酸素による感度低下や保存安定性の劣化等の悪影響を防止するための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー等からなる層を保護層として形成することができる。
また、反射層は、光記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型の光記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
更に、透過型及び反射型の何れの光記録媒体についても、記録光及び読み出し光が入射及び出射する側や、或いは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。
〔II−4.製造方法〕
本実施形態の光記録媒体の製造方法に特に制限は無く、任意の方法で製造することが可能である。例としては、本発明の体積ホログラム記録材料を支持体上に無溶剤で塗布し、記録層を形成して製造することができる。この際、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法等が挙げられる。
また、特に膜厚の厚い記録層を形成する場合には、本発明の体積ホログラム記録材料を型に入れて成型する方法や、離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いて、記録層を形成することもできる。
また、本発明の体積ホログラム記録材料を溶剤と混合して塗布液を調製し、これを支持体上に塗布し、乾燥して記録層を形成してもよい。この場合も、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。例としては、上述した塗布方法と同様の方法が挙げられる。
また、溶剤の種類にも特に制限はないが、通常は、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与え、且つ、樹脂基板等の支持体を侵さないものを使用することが好ましい。
溶剤の例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール系溶剤;ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレートエチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶剤;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の高極性溶剤;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶剤;或いはこれらの混合溶剤などが挙げられる。
なお、これらの溶剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、溶剤の使用量にも特に制限は無い。但し、塗布効率や取り扱い性等の面から、塗布液の固形分濃度が1重量%以上、1000重量%以下程度となるように、溶剤の使用量を調整することが好ましい。
更に、本発明の体積ホログラム記録材料に揮発性成分が少ない場合は、本発明の体積ホログラム記録材料を、例えば、射出成形法やホットプレス法などによって成形して製造することができる。この場合、成形体が十分な厚み、剛性、強度などを有する場合には、当該成形体をそのまま本実施形態の光記録媒体とすることができる。
また、上述の熱硬化性マトリックス(A)を所望の形状に成形してから、光活性化合物(B)やその他の添加剤等を含浸させることにより、本発明の体積ホログラム記録材料からなる記録層を作製してもよい。
上述の手順で製造された本実施形態の光記録媒体は、自立型スラブ又はディスクの形態をとることができ、三次元画像表示装置、回折光学素子、大容量メモリ等の用途に使用できる。
〔II−5.記録・再生方法〕
本実施形態の光記録媒体に対する情報の書き込み(記録)及び読み出し(再生)は、何れも光の照射によって行なわれる。
まず、情報の記録時には、光活性化合物(B)の化学変化(例えば、光活性化合物(B)が重合性モノマーの場合は、その重合及び濃度変化)を生じさせることが可能な光を、記録光(物体光とも呼ばれる。)として用いる。特に、本実施形態の光記録媒体では、情報を体積ホログラムとして記録するため、記録光を参照光と共に記録層に対して照射し、記録層において記録光と参照光とを干渉させるようにする。これによってその干渉光が、記録層内の光活性化合物(B)に変化(例えば、光活性化合物(B)が重合性モノマーの場合は、その重合及び濃度変化)を生じさせ、その結果、干渉縞が記録層内に屈折率差を生じさせ、前記の記録層内に記録された干渉縞により、記録層にホログラムとして記録されるのである。
一方、記録層に記録された体積ホログラムを再生する場合は、所定の再生光(通常は、参照光)を記録層に照射する。照射された再生光は前記干渉縞に応じて回折を生じる。この回折光は前記記録層と同様の情報を含むものであるので、前記回折光を適当な検出手段によって読み取ることにより、記録層に記録された情報の再生を行なうことができる。
なお、記録光、再生光及び参照光は、その波長領域はそれぞれの用途に応じて任意であり、可視光領域でも紫外領域でも構わない。これらの光の中でも好適なものとしては、例えば、ルビー、ガラス、Nd−YAG、Nd−YVO4等の固体レーザー;GaAs、InGaAs等のダイオードレーザー;ヘリウム−ネオン、アルゴン、クリプトン、エキシマ、CO2等の気体レーザー;色素を有するダイレーザー等の、単色性と指向性に優れたレーザーなどが挙げられる。
また、記録光、再生光及び参照光の照射量には何れも制限は無く、記録及び再生が可能な範囲であればその照射量は任意である。但し、極端に少ない場合には光活性化合物(B)の化学変化が不完全過ぎて記録層の耐熱性、機械特性が十分に発現されない虞があり、逆に極端に多い場合は、記録層の成分(本発明の体積ホログラム記録材料)が劣化を生じる虞がある。したがって、記録光、再生光及び参照光は、記録層の形成に用いた本発明の体積ホログラム記録材の組成や、重合開始剤の種類及び配合量等に合わせて、通常0.1J/cm2以上、20J/cm2以下の範囲で照射する。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、以下の記載中「部」とは、特に断り書きのない限り、重量部を指すものとする。
[合成例1]
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容積のガラス性フラスコに、45℃に加熱した数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール250部、三フッ化ホウ素エチルエーテル1部を仕込み、80℃まで加熱した。滴下・熟成中の温度が85℃以上にならないように調節しながら、エピクロルヒドリン51部(ジオールの水酸基1個あたり1.1当量)を滴下し、1時間熟成した後、40℃まで冷却した。50%水酸化ナトリウム水溶液80部を加え、70℃に加熱して4時間攪拌した。50℃まで冷却して、メチルイソブチルケトンを加え、水洗し、脱溶媒、脱水、濾過を行なった。その結果、エポキシ当量480g/eqである無色透明なポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテルを得た。これを以下「PTMG−epoxy」という。
[合成例2]
合成例1で用いた数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを、数平均分子量1000のポリプロピレングリコールに換えた以外は、合成例1と同様の手順により合成を実施した。その結果、エポキシ当量480g/eqである無色透明なポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテルを得た。これを以下「PPG−epoxy」という。
[実施例1]
<マトリックスの形成>
ポリエーテル(A1)として、上記[合成例1]で得たPTMG−epoxyを使用した。このPTMG−epoxy3.0gを、硬化剤(A2)であるカチオン開始剤(三新化学社製サンエイドSI−60)0.09gと混合し、30cm2のテフロン(登録商標)容器に入れて、80℃に5時間加熱して硬化させることにより、1mm厚の膜状の熱硬化性マトリックス(以下適宜「マトリックス」と略称する。)を作製した。
<光活性化合物等の含浸>
光活性化合物(B)であるメチルメタクリレート3.0gと、開始剤であるジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)−フェニ−1−イル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE784)0.06gとからなる溶液を調製した。得られた溶液を、上述の膜状マトリックスの入った容器に入れ、常温でマトリックスに含浸させた。10時間後、マトリックスを取り出して秤量したところ、3.86gであった。以上の手順により、20重量%のメチルメタクリレート及び開始剤(IRGACURE784)をマトリックスに含浸させた体積ホログラム記録材料を得た。
<吸湿試験>
上述の体積ホログラム記録材料を、湿度60MH%、温度40℃の環境下に1日又は10日放置することにより、後述のホログラム記録に供するサンプルを得た。これらを以下それぞれ「1日放置サンプル」及び「10日放置サンプル」という。
<ホログラム記録>
上述の体積ホログラム記録材料のサンプル(1日放置サンプル及び10日放置サンプル)を用いて、以下に説明する手順でホログラム記録を実施し、記録の可否を判定した。
ホログラム記録に用いた装置の概要を図1に示す。図1中、Sは体積ホログラム記録材料のサンプルを示し、M1〜M3は何れもミラーを示し、PBSは偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長532nmの光を発する記録光用レーザー光源を示し、L2は波長633nmの光を発する再生光用レーザー光源を示し、PD1、PD2はフォトディテクタを示す。
ホログラム記録用の光源として、ダイオードによりNd:YVO4結晶を励起し、更に非線形光学結晶LBOを用いて532nmの光が得られるもの(コヒレント社製Verdi−V2:図中「L1」)を用いた。532nmの光を偏光ビームスプリッタ(図中「PBS」)により分割し、2本のビームのなす角が50.00度になるように記録面上にて交差させた。このとき、2本のビームのなす角の2等分線が記録面に対して垂直になるようにし、更に、分割によって得られた2本のビームの電場ベクトルの振動面は、交差する2本のビームを含む平面と平行になるようにして照射した。ホログラム記録後、He−Neレーザーで633nmの光を得られるもの(メレスグリオ社製V05−LHP151:図中「L2」)を用いて、その光を記録面に対し30.19度の角度で照射し、回折された光をパワーメータ及びディテクタ(ニューポート社製2930−C、918−SL:図中「PD1」及び「PD2」)を用いて検出することにより、ホログラム記録が正しく行なわれているか否かを判定した。ホログラムの回折効率は、回折された光の強度の入射光強度に対する比で与えられる。
[比較例1]
実施例1で用いたPTMG−epoxyを、上記[合成例2]で得られたPPG−epoxyに換えた以外は、実施例1と同様の手順により、マトリックスの形成、光活性化合物等の含浸、吸湿試験、及びホログラム記録を行なった。
[評価]
上述の実施例1及び比較例1の結果を下記表1に示す。
Figure 0004765791
表1に示すように、実施例1の体積ホログラム記録材料は、1日放置サンプル及び10日放置サンプルともに、ホログラム記録ができたのに対し、比較例1の体積ホログラム記録材料は、1日放置サンプルではホログラム記録ができたものの、10日放置サンプルではホログラム記録ができなかった。従って、炭素数が4であるアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテルである、PTMG−epoxyを用いた実施例1は、炭素数が4よりも小さいアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテルである、PPG−epoxyを用いた比較例1よりも、疎水性に優れた体積ホログラム記録材料であることが判明した。
本発明の体積ホログラム記録材料用組成物及びそれを用いた体積ホログラム記録材料は、体積ホログラム光記録媒体等の用途に好適に使用される。
実施例におけるホログラム記録に用いた装置の概要を説明するための図である。
符号の説明
S サンプル
M1〜M3 ミラー
PBS 偏光ビームスプリッタ
L1 記録光用レーザー光源
L2 再生光用レーザー光源
PD1、PD2 フォトディテクタ

Claims (9)

  1. 1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するとともに、炭素数が4以上のアルキレンオキシド鎖を有するポリエーテル(A1)、及び、硬化剤(A2)を含有する熱硬化性マトリックス(A)と、光活性化合物(B)とを含有する
    ことを特徴とする、体積ホログラム記録材料用組成物。
  2. 前記ポリエーテル(A1)が有するアルキレンオキシド鎖の炭素数が、4以上10以下である
    ことを特徴とする、請求項1記載の体積ホログラム記録材料用組成物。
  3. 前記光活性化合物(B)100重量部に対する前記熱硬化性マトリックス(A)の割合が、10重量部以上5000重量部以下である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の体積ホログラム記録材料用組成物。
  4. 前記ポリエーテル(A1)の数平均分子量が、200以上50000以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の体積ホログラム記録材料用組成物。
  5. 前記硬化剤(A2)が、アミン類、酸無水物、チオール類、アニオン重合開始剤及びカチオン重合開始剤からなる群より選択される少なくとも一種である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の体積ホログラム記録材料用組成物。
  6. 前記光活性化合物(B)が、ラジカル重合性モノマーである
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の体積ホログラム記録材料用組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の体積ホログラム記録材料用組成物を少なくとも含有する
    ことを特徴とする、体積ホログラム記録材料。
  8. 請求項7記載の体積ホログラム記録材料を含有する層を少なくとも備える
    ことを特徴とする、体積ホログラム光記録媒体。
  9. 請求項8記載の体積ホログラム光記録媒体の前記層に対して、励起光及び参照光を照射し、前記励起光と前記参照光との干渉によって前記層に体積ホログラム記録を行なう
    ことを特徴とする、体積ホログラム光記録方法。
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