JP4765584B2 - カーボンナノチューブの形成方法及び形成装置 - Google Patents
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Description
かかるCNTの形態の不良や形態のバラツキは、例えば、CNT形成基板をFEDの電子源として利用すると、FED画像の品質低下やFED間での画像品質のバラツキ等を招くことになる。
また、本発明は、かかるカーボンナノチューブの形成方法であって、基板に対し垂直又はほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブを形成できるカーボンナノチューブの形成方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかるカーボンナノチューブの形成装置であって、基板に対し垂直又はほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブを形成できるカーボンナノチューブの形成装置を提供することを課題とする。
また、かかる熱CVD法によるCNTの形成においては、一般に、CNT原料ガスはマスフローコントローラ等による流量制御のもとに熱CVD装置の反応容器内へ導入され、また、必要に応じ、キャリアガスと混合されるが、いずれにしても、基板上に形成されるCNTの形態(基板に対する成長配向方向、高さ等)は、反応容器に導入されるガスのガス圧やガス流量に大きく影響される。該ガス流量は、反応容器内ガス中のCNT原料ガスの濃度を左右するので、CNTの形態を左右する。
(1)カーボンナノチューブの形成方法。
触媒層を形成した基板の該触媒層上に、炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを用いて、熱CVD法によりカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成方法であって、
反応容器内に、予め触媒層を形成した基板を設置する基板設置工程と、
該基板設置後、該反応容器内雰囲気を置換ガスの雰囲気とし、該反応容器内ガス圧をカーボンナノチューブ形成ガス圧より低く設定するとともに、前記基板上の触媒層をカーボンナノチューブ形成温度に加熱する反応容器内条件設定工程と、
前記反応容器の外部に配置され、該反応容器のガス導入ポートに接続されたガス充填部に炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスを充填封入するガス充填封入工程と、
前記反応容器内条件設定工程及び前記ガス充填封入工程の両工程後に、前記ガス充填部内に充填されたガスを、該ガス圧と前記反応容器内条件設定工程において設定された前記反応容器内ガス圧との差に基づいて、前記反応容器内に導入するガス導入工程と、
該ガス導入工程により前記反応容器内に導入されたガスのもとで、加熱された前記触媒層上に熱CVD法によりカーボンナノューブを生成させる工程とを含むカーボンナノチューブの形成方法。
触媒層を形成した基板の該触媒層上に、炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを用いて、熱CVD法によりカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成装置であって、
熱CVD用の反応容器と、該反応容器内に設置される基板の触媒層をカーボンナノチューブ形成温度に加熱可能のヒータと、該反応容器に接続された排気系と、該反応容器に接続されたガス導入系とを含んでおり、
該排気系は、前記反応容器内ガス圧を制御するための反応容器内圧力調整器を含んでおり、
該ガス導入系は、前記反応容器内に反応容器内ガス雰囲気を置換ガスの雰囲気に置換するための置換ガス導入系と、反応容器内に炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスを導入するための原料ガス導入系とを含んでおり、該原料ガス導入系は、該炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスを反応容器内へ導入するに先立って該ガスを充填封入し、その後に該充填封入されたガスを該ガス圧と反応容器内ガス圧との差に基づいて該反応容器内へ導入するための、該反応容器の外部に配置されて該反応容器のガス導入ポートに接続されたガス充填部を有しているカーボンナノチューブの形成装置。
前記「置換ガス」とは、反応容器内の既存ガスに対して置換されるべきガスで、カーボンナノチューブ形成に実質上影響しないガスである。
「置換ガス」、「キャリアガス」としては、いずれも、不活性ガス又は(及び)水素ガスを例示でき、かかる「不活性ガス」としては、ヘリウムガス等の希ガスや窒素ガスを例示できる。
本発明のカーボンナノチューブの形成方法によると、炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスは、反応容器内に導入されるに先立って、該反応容器の外部に配置されて該反応容器のガス導入ポートに接続されたガス充填部に充填封入される。このとき、該ガスの充填封入は、反応容器へのガス導入工程において、該ガス充填部から反応容器へ、求める形態(基板に対する成長配向方向、高さ等)のカーボンナノチューブ形成を可能にするガス圧及びガス流量で該炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスが導入されるように行うことができる。
かかるガス充填部への炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの充填は、例えば、ガス充填部の容積、反応容器の容積、ガス充填部から反応容器に至るガス通路の長さや内径等とともに該ガス充填部における充填ガスの圧力を、予め実験等により、所望の形態のカーボンナノチューブ形成を可能にするガス圧及びガス流量で該炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスが該ガス充填部から反応容器へ導入されるように、求めておき、それに従って行えばよい。
ガス充填部の容積、反応容器の容積、ガス充填部から反応容器に至るガス通路の長さや内径等は実際には一定化されてしまうから、ガス充填部への炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの充填封入は、例えば、前記ガス導入工程において、該ガス充填部から前記反応容器へ、例えば前記基板に対するカーボンナノチューブの成長配向方向が求める方向であるカーボンナノチューブの形成を可能にする該炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの導入がなされるガス圧で行うことができる。
さらに、ガス導入工程において、このようにガス充填部に充填されたガスの前記反応容器への導入を促すキャリアガスを該ガス充填部へ供給することで、該ガス充填部に充填されていた炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの前記反応容器内への流量をより安定化しやすい、という利点もあり、また、該キャリアガスのガス充填部への供給量を制御することで、炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの前記反応容器内へのガス流入量をより精度よく制御することもできる。
かかるキャリアガスとしては、ヘリウムガス等の希ガスや窒素ガスといった不活性ガスや水素ガスを例示できる。
本発明のカーボンナノチューブの形成装置によると、次のようにして基板上にカーボンナノチューブを形成できる。
この反応容器内へのガス導入は、ガス充填部に充填封入されたガスのガス圧と反応容器内ガス圧との差に基づいて行われるので、一挙になされる。
かかるキャリアガス供給系を採用することで、ガス充填部内のガスを一層一挙に反応容器内へ導入できる。
かかるキャリアガスとしては、ヘリウムガス等の希ガスや窒素ガスといった不活性ガスや水素ガスを例示できる。
また、本発明によると、かかるカーボンナノチューブの形成方法であって、基板に対し垂直又はほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブを形成できるカーボンナノチューブの形成方法を提供することができる。
また、本発明によると、かかるカーボンナノチューブの形成装置であって、基板に対し垂直又はほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブを形成できるカーボンナノチューブの形成装置を提供することができる。
以下の説明において、カーボンナノチューブは「CNT」と称する。
図1は、本発明に係るCNTの形成方法を実施できるCNT形成装置の1例を示しており、図2から図8は基板の触媒層上にCNTを形成する工程を示している。
ヒータHは、反応管1に外嵌されており、図示省略の駆動装置で反応管1の長手方向に往復駆動することができる。ヒータHの反応管長手方向の寸法は、それとは限定されないが、ここでは約400mmである。
調整器2と反応管1との間の配管には、反応管1内圧力の大気圧との差を計測する差圧計4を接続してある。
反応管1のガス導入ポート1Pに弁v21、弁V2、ガス充填部5、弁V1、弁v11及びマスフローコントローラ(MFC)M1がこの順序で配管接続されるとともに、弁V1に弁V3、弁v12及びマスフローコントローラM2がこの順序で配管接続されることで、CNT形成原料ガス導入系が構成されている。
本例では、CNT形成原料ガスとして、アセチレンガスを採用し、キャリアガスとしてヘリウムガスを採用する。
弁V3、弁V4はそれぞれ排気装置3にも配管接続されている。
これらの弁はポートを閉じるとき気密性良好に閉じることができるものであればよく、例えば三方弁については、ダイアフラム型等の弁を採用できる。
これから説明する図2〜図8、さらには後ほど説明する図10〜図18では、閉じているポートは黒塗り三角(▲)で示し、開いているポートは白抜き三角(△)で示してある。
また、それには限定されないが、本例では、ガス充填部5を提供している部分を含め、配管は内径約4.35mmのものである。ガス充填部5の管長(弁V1とV2間の長さ)は約850mmであり、弁V2から反応管1へ至る管長は約1300mmである。図1においては、弁V2と弁v21、弁V2と弁v22とはそれぞれ若干の長さのある配管で接続したように示してあるが、実際には、弁V2と弁v21、弁V2と弁v22は、継ぎ手により実質上直結されている。弁V2と弁v21間の通路容積、弁V2と弁v22間の通路容積はいずれも無視できる程度のものである。
当初、すべての弁は図2に示すように通電オフ状態にある。この状態から先ず、図3に示すように、開閉弁v21、v22及び3方弁V1、V2に通電してこれらをオン状態とし、排気装置3を運転して、反応管1から弁v11へ至る部分、反応管1から弁v12へ至る部分及び反応管1から弁v13へ至る部分を排気し、これらの部分に、前回のCNT形成において存在していることがあるCNT形成原料ガスや、これからのCNT形成にとって好ましくないガス等を排出する。
次いで、図4に示すように、開閉弁v21、v22はオン状態のまま、三方弁V1、V2をオフし、反応管1の端部11を開いて反応管1内に、予め触媒層Cを形成した、石英ガラス、シリコン等からなる基板Sを設置し、端部11を気密に閉じる。ここでは、10mm×10mm×厚み1mmの石英ガラス基板を採用し、その表面に、鉄の蒸着膜を厚さ略5nmで形成してこの鉄膜を触媒層とした。
図5に示すように、開閉弁v13をオンし、キャリアガスラインαから反応管1内へ、マスフローコントローラM3により制御された流量(例えば260sccm)でヘリウムガスを導入して反応管1内をヘリウムガスで置換し、この状態で、或いはさらに該ヘリウムガスを室温で30分程度流して後、基板触媒層CをヒータHでCNT形成温度(700℃〜800℃、例えば780℃程度)へ加熱開始する。そして、ヘリウムガスの導入を引き続き行いつつ、反応管圧力調整器2により反応管1内ガス圧をCNT形成ガス圧より低く設定する(例えば大気圧との差圧が略0.1kPa)。
図6に示すように、開閉弁v11をオンして開き、ガス充填部5にアセチレンガスを充填し、充填が完了すると、開閉弁v11をオフして閉じ、該充填ガスをガス充填部5に封入する。このアセチレンガスの充填封入は、マスフローコントローラM1による充填ガス流量の制御と微圧計6による充填部5内ガス圧の観察とにより行い、後述するようにガス充填部5から反応管1内へアセチレンガスを導入するときに、ガス充填部5から反応管1内へ、求める形態のCNT形成を可能にするガス圧及びガス流量で該アセチレンガスが導入されるように行う。基板触媒層C上に基板Sに垂直又はほぼ垂直なCNTが形成されるように、例えば0.01MPa〜0.1MPaのガス圧に充填する。本例では、略0.05MPaに充填した。なお、このガス圧はガス充填部5の容積等に応じて定めればよく、この範囲に限定されるものではない。
このようにしてガス充填部5にアセチレンガスを充填封入し終わると、基板の加熱完了後に、図7に示すように、三方弁V3をオフするとともに、ガス充填部5両端の三方弁V1、V2をオンしてガス充填部5を反応管1に連通させる。かくして、キャリアガスラインβからガス充填部5に供給されるキャリアガス(ヘリウムガス)に促されて、ガス充填部5内のアセチレンガスが一挙に反応管1内へ導入される。なお、この導入にあたっては、弁v22をオフして閉じる一方、三方弁V4をオンして、ガスラインαのガスを排気装置3へ導き、三方弁V2から開閉弁v22側へアセチレンガスが流れることを止める。
かくして、ガス充填部5から反応管1内に導入されたガスは、導入初期のものから、ガス圧及びガス流量(従ってアセチレンガス濃度)が、所望形態のCNTを得るためのものに安定化され、これにより、基板Sの触媒層C上に、本例では基板Sに垂直又は略垂直なCNTを熱CVDにより形成できる。また、図1の装置によると、個々の基板面内でのCNTの形態のバラツキが抑制され、また、基板間でのCNTの形態のバラツキも抑制される状態で、再現性良好にCNTを形成することができる。
本例では、引き続き反応管1のクリーニングを実施する。この工程では、反応管1内へのヘリウムガス導入を停止し、反応管端部11を若干開け、反応管1内への空気進入を許す状態で、ヒータHを図示省略の駆動装置にて反応管1の長手方向に移動させつつ反応管1全体を700℃〜800℃に加熱し、これにより、CNT形成に伴って反応管1内面に生成付着した生成物を加熱して空気中酸素と反応させて気化し、これを排気装置3にて反応管外へ排出し、次のCNT形成に備える。
その後は各弁をオフして図2に示す状態とする。
ガス混合部は、市場で入手できるものを採用してもよい。それには限定されないが、本例では、ガス混合部7は内径4.35mm、長さ120mmのものである。
図9の装置構成は、これ以外の点では、図1の装置と実質上同じである。図1の装置における部品、部分と実質上同じ部品、部分には図1におけるものと同じ参照符号を付してある。
当初、すべての弁は図10に示すように通電オフ状態にある。この状態から先ず、図11に示すように、開閉弁v21、v22及び3方弁V1、V2に通電してこれらをオン状態とし、排気装置3を運転して、反応管1から弁v11へ至る部分、反応管1から弁v12へ至る部分及び反応管1から弁v13へ至る部分を排気し、これらの部分に、前回のCNT形成において存在していることがあるCNT形成原料ガスや、これからのCNT形成にとって好ましくないガス等を排出する。
次いで、図12に示すように、開閉弁v21、v22はオン状態のまま、三方弁V1、V2をオフし、反応管1の端部11を開いて反応管1内に、予め触媒層Cを形成した、石英ガラス等からなる基板Sを設置し、端部11を気密に閉じる。ここでは、10mm×10mm×厚み0.5mmのシリコン基板を採用し、その表面に、鉄の蒸着膜を厚さ略5nmで形成してこの鉄膜を触媒層とした。
図13に示すように、開閉弁v13をオンし、キャリアガスラインαから反応管1内へ、マスフローコントローラM3により制御された流量(例えば260sccm)でヘリウムガスを導入して反応管1内をヘリウムガスで置換し、この状態で、或いはさらに該ヘリウムガスを室温で30分程度流して後、基板触媒層CをヒータHでCNT形成温度(700℃〜800℃、例えば780℃程度)へ加熱開始する。そして、ヘリウムガスの導入を引き続き行いつつ、反応管圧力調整器2により反応管1内ガス圧をCNT形成ガス圧より低く設定する(例えば大気圧との差圧が略0.1kPa)。
この工程では、先ず、図14に示すように、開閉弁v11、v12をオンして開き、三方弁V1もオン状態とするとともに、三方弁V5をオンしてガス充填部5を排気装置3に連通させる。この状態でガス充填部5に供給されるアセチレンガス及びキャリアガスの流量を安定させる。このとき、本例では、アセチレンガスの流量はマスフローコントローラM1によりほぼ75sccmに、キャリアガスの流量はマスフローコントローラM2によりほぼ425sccmに制御する。
このようにしてガス充填部5に所定のガスを充填封入し終わると、図示を省略しているが、一旦、弁V1をオフするとともに弁V3をオンし、これにより、ガス充填部5を閉じた状態で、キャリアガスラインβのガスを排気してその流量を安定化させつつ、基板加熱完了後に、図17に示すように、弁V3をオフするとともに弁V1をオンし、さらに三方弁V2をオンし、これにより、ガス充填部5を反応管1に連通させる。かくして、キャリアガスラインβからガス充填部5に供給されるキャリアガス(ヘリウムガス)に促されて、ガス充填部5内に充填されていた混合ガスが一挙に反応管1内へ導入される。なお、この導入にあたっては、開閉弁v22は閉じるとともに三方弁V4をオンして、ガスラインαのガスを排気装置3へ導きつつ、三方弁V2から開閉弁v22側へ混合ガスが流れることを止める。
かくして、ガス充填部5から反応管1内に導入されたガスは、導入初期のものから、ガス圧及びガス流量(従ってアセチレンガス濃度)が、所望形態のCNTを得るためのものに安定化され、これにより、基板Sの触媒層C上に、本例では基板Sに垂直又は略垂直なCNTを熱CVDにより形成できる。また、図9の装置においても、個々の基板面内でのCNTの形態のバラツキが抑制され、また、基板間でのCNTの形態のバラツキも抑制される状態で、再現性良好にCNTを形成することができる。
本例では、引き続き反応管1のクリーニングを実施する。この工程では、反応管1内へのヘリウムガス導入を停止し、反応管端部11を若干開け、反応管1内への空気進入を許す状態で、ヒータHを図示省略の駆動装置にて反応管1の長手方向に移動させつつ反応管1全体を700℃〜800℃に加熱し、これにより、CNT形成に伴って反応管1内面に生成付着した生成物を加熱して空気中酸素と反応させて気化し、これを排気装置3にて反応管外へ排出し、次のCNT形成に備える。
その後は各弁をオフして図10に示す状態とする。
図19に示すCNT形成装置は、図1に示すCNT形成装置と次の点で異なるものである。それ以外の点は図1の装置と同じ構成である。図1と同じ部品、部分等には図1と同じ参照符号を付してある。
(2) 弁V3に代えて弁V3’を、弁V4に代えて弁V4’を採用している。
(3) 反応管1と差圧計4との間に弁v6を追加接続してある。
(4) 反応管1の端部11側のポート1Pへつながった配管に圧力計PMを追加接続してある。
(1)予備工程
当初、すべての弁は図20に示すように通電オフ状態にある。この状態から先ず、図21に示すように、開閉弁v21、v22、v6及び弁V1、V2に通電してこれらをオン状態とし、排気装置3を運転して、反応管1から弁v11へ至る部分、反応管1から弁v12へ至る部分及び反応管1から弁v13へ至る部分を排気する。
このようにして、次のCNT形成に支障がある、或いは支障可能性のあるガスを反応容器1からより確実に排出する。
次いで、図24に示すように、弁v13は閉じた状態で、また、弁V1、V2はオフ状態で、開閉弁v21、v22は開いたまま、反応管1の端部11を開いて反応管1内に、予め触媒層Cを形成した、石英ガラス、シリコン等からなる基板Sを設置し、端部11を気密に閉じる。ここでは、30mm×30mm×厚み1mmの石英ガラス基板を採用し、その表面に、鉄の蒸着膜を厚さ略5nmで形成してこの鉄膜を触媒層とした。
図25に示すように、開閉弁v13をオンし、キャリアガスラインαから反応管1内へ、マスフローコントローラM3により制御された流量(例えば260sccm)でヘリウムガスを導入して反応管1内をヘリウムガスで置換し、さらに該ヘリウムガスを室温で30分程度流して後、基板触媒層CをヒータHでCNT形成温度(700℃〜800℃、例えば780℃程度)へ加熱開始する。そして、ヘリウムガスの導入を引き続き行いつつ、反応管圧力調整器2により反応管1内ガス圧をCNT形成ガス圧より低く設定する(例えば大気圧との差圧が略0.133kPa)。
図26に示すように、開閉弁v11をオンして開き、ガス充填部5にアセチレンガスを充填し、充填が完了すると、開閉弁v11をオフして閉じ、該充填ガスをガス充填部5に封入する。このアセチレンガスの充填封入は、マスフローコントローラM1による充填ガス流量の制御と微圧計6による充填部5内ガス圧の観察とにより行い、後述するようにガス充填部5から反応管1内へアセチレンガスを導入するときに、ガス充填部5から反応管1内へ、求める形態のCNT形成を可能にするガス圧及びガス流量で該アセチレンガスが導入されるように行う。基板触媒層C上に基板Sに垂直又はほぼ垂直なCNTが形成されるように、例えば0.01MPa〜0.1MPaのガス圧に充填する。本例では、略0.05MPaに充填した。なお、このガス圧はガス充填部5の容積等に応じて定めればよく、この範囲に限定されるものではない。
このようにしてガス充填部5にアセチレンガスを充填封入し終わると、基板の加熱完了後に、図27に示すように、弁V3’をオフするとともに、ガス充填部5両端のV1、V2をオンしてガス充填部5を反応管1に連通させる。かくして、キャリアガスラインβからガス充填部5に供給されるキャリアガス(ヘリウムガス)に押し出されて、ガス充填部5内のアセチレンガスが一挙に反応管1内へ導入される。なお、この導入にあたっては、弁v22をオフして閉じる一方、弁V4’をオンして、ガスラインαのガスを排気装置3へ導き、弁V2から開閉弁v22側へアセチレンガスが流れることを止める。
かくして、ガス充填部5から反応管1内に導入されたガスは、導入初期のものから、ガス圧及びガス流量(従ってアセチレンガス濃度)が、所望形態のCNTを得るためのものに安定化され、これにより、基板Sの触媒層C上に、本例では基板Sに垂直又は略垂直なCNTを熱CVDにより形成できる。また、図19の装置によると、個々の基板面内でのCNTの形態のバラツキが抑制され、また、基板間でのCNTの形態のバラツキも抑制される状態で、再現性良好にCNTを形成することができる。
その後、反応管1のクリーニングを実施する。この工程では、反応管1内へのヘリウムガス導入を停止し、反応管端部11を若干開け、反応管1内への空気進入を許す状態で、ヒータHを図示省略の駆動装置にて反応管1の長手方向に移動させつつ反応管1全体を700℃〜800℃に加熱し、これにより、CNT形成に伴って反応管1内面に生成付着した生成物を加熱し、空気中酸素と反応させて気化し、これを排気装置3にて反応管外へ排出し、次のCNT形成に備える。
その後は各弁をオフして図20に示す状態とする。
1P ガス導入ポート
11 反応管1の開閉可能端部
2 反応管圧力調整器
3 排気装置
4 差圧計
5 ガス充填部
6 微圧計
7 ガス混合部
PM 圧力計
v11、v12、v13、v21、v22、v5,v6 開閉電磁弁
V1、V2、V3、V4、V5、V3’、V4’三方電磁弁
M1、M2、M2 マスフローコントローラ
Claims (12)
- 触媒層を形成した基板の該触媒層上に、炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを用いて、熱CVD法によりカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成方法であって、
反応容器内に、予め触媒層を形成した基板を設置する基板設置工程と、
該基板設置後、該反応容器内雰囲気を置換ガスの雰囲気とし、該反応容器内ガス圧をカーボンナノチューブ形成ガス圧より低く設定するとともに、前記基板上の触媒層をカーボンナノチューブ形成温度に加熱する反応容器内条件設定工程と、
前記反応容器の外部に配置され、該反応容器のガス導入ポートに接続されたガス充填部に炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスを充填封入するガス充填封入工程と、
前記反応容器内条件設定工程及び前記ガス充填封入工程の両工程後に、前記ガス充填部内に充填されたガスを、該ガス圧と前記反応容器内条件設定工程において設定された前記反応容器内ガス圧との差に基づいて、前記反応容器内に導入するガス導入工程と、
該ガス導入工程により前記反応容器内に導入されたガスのもとで、加熱された前記触媒層上に熱CVD法によりカーボンナノューブを生成させる工程とを含むことを特徴とするカーボンナノチューブの形成方法。 - 前記ガス導入工程においては、前記ガス充填部に充填されたガスの前記反応容器への導入を促すキャリアガスを該ガス充填部へ供給する請求項1記載のカーボンナノチューブの形成方法。
- 前記ガス充填部に充填される炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスは、炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスである請求項1又は2記載のカーボンナノチューブの形成方法。
- 前記ガス充填部に充填される炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスは、炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスとキャリアガスとを含むガスであり、該ガス充填部はそれらガスの混合部を含んでいる請求項1又は2記載のカーボンナノチューブの形成方法。
- 前記ガス充填部への炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの充填封入は、前記ガス導入工程において、該ガス充填部から前記反応容器へ、前記基板に対するカーボンナノチューブの成長配向方向が前記基板に垂直又はほぼ垂直であるカーボンナノチューブの形成を可能にする前記炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの導入がなされるガス圧で充填封入する請求項1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
- 前記基板設置工程に先立って、カーボンナノチューブ生成に伴う前記反応容器内付着物を酸素含有雰囲気において加熱するととともに該反応容器内を排気減圧するクリーニング工程を含む請求項1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
- 触媒層を形成した基板の該触媒層上に、炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを用いて、熱CVD法によりカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成装置であって、
熱CVD用の反応容器と、該反応容器内に設置される基板の触媒層をカーボンナノチューブ形成温度に加熱可能のヒータと、該反応容器に接続された排気系と、該反応容器に接続されたガス導入系とを含んでおり、
該排気系は、前記反応容器内ガス圧を制御するための反応容器内圧力調整器を含んでおり、
該ガス導入系は、前記反応容器内に反応容器内ガス雰囲気を置換ガスの雰囲気に置換するための置換ガス導入系と、反応容器内に炭素含有のカーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスを導入するための原料ガス導入系とを含んでおり、
該原料ガス導入系は、該炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスを反応容器内へ導入するに先立って該ガスを充填封入し、その後に該充填封入されたガスを該ガス圧と反応容器内ガス圧との差に基づいて該反応容器内へ導入するための、該反応容器の外部に配置されて該反応容器のガス導入ポートに接続されたガス充填部を有していることを特徴とするカーボンナノチューブの形成装置。 - 前記原料ガス導入系は、前記ガス充填部に充填されたガスの前記反応容器への導入を促すキャリアガスを該ガス充填部へ供給するキャリアガス供給系を含んでいる請求項7載のカーボンナノチューブの形成装置。
- 前記ガス充填部に充填する炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスは炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスであり、前記原料ガス導入系は、炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを該ガス充填部に供給するガス供給系を含んでいる請求項7又は8記載のカーボンナノチューブの形成装置。
- 前記ガス充填部に充填する炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスは炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスとキャリアガスとを含むガスであり、前記原料ガス導入系は、炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスとキャリアガスとをそれぞれ該ガス充填部に供給するためのガス供給系を含んでおり、該ガス充填部は、該ガス供給系から供給される炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスとキャリアガスとを混合するガス混合部を有している請求項7又は8記載のカーボンナノチューブの形成装置。
- 前記ガス充填部は、該ガス充填部から前記反応容器へ、前記基板に対するカーボンナノチューブの成長配向方向が前記基板に垂直又はほぼ垂直であるカーボンナノチューブの形成を可能にする前記炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスの導入がなされるガス圧で該炭素含有カーボンナノチューブ形成原料ガスを含むガスが充填されるガス充填部である請求項7から10のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成装置。
- 前記ヒータは、カーボンナノチューブ生成に伴う前記反応容器内付着物を加熱するように該反応容器を加熱できるものである請求項7から11のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成装置。
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