JP4765231B2 - 負圧式倍力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用の負圧式倍力装置に関し、特に緊急ブレーキ時のブレーキペダル踏力の不足を補うことができるようにした負圧式倍力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の進路上に突然障害物が出現して運転者が慌ててブレーキペダルを踏み込んだ時、すなわち緊急ブレーキ時においては、運転者がブレーキペダルに加えられる踏力は、車輪ロックに至る大きさのブレーキ液圧を発生させる踏力に比べて相当に小さく、車両のブレーキ能力が十分発揮されない場合が多いという近年の解析結果がある。この解析結果に基き、ブレーキペダルの踏込み速度から、通常ブレーキであるのか緊急ブレーキであるのかを判定し、緊急ブレーキ時にはブレーキ液圧を車輪ロックに至る大きさまで自動的に上昇させる装置が提案され、実用化されつつある。
【0003】
このような装置として様々な構成のものが提案されており、例えばWO01/32488A1号公報に記載されたものがある。このものは、内部に少なくとも一つの圧力室が形成されたハウジングと、ハウジングの内部にハウジングに対して前進及び後退可能に設置されるとともに圧力室を定圧室と変圧室とに分割する可動壁と、可動壁に結合されるパワーピストンと、パワーピストンの内部にパワーピストンに対して前進及び後退可能に設置される入力ロッドと、入力ロッドに連結されてパワーピストンに対して前後方向に摺動可能にパワーピストンに嵌挿されるとともに後方端部に大気弁座が形成されたプランジャと、可動壁の移動に伴うパワーピストンの推進力を装置外に出力する出力部材と、パワーピストンに配設されるとともに後方に向いている第1負圧弁座と、パワーピストンに対して前進及び後退可能で且つ第1負圧弁座と略同心の弁座部材に形成された第2負圧弁座と、第1負圧弁座に対向する可動部とパワーピストンに気密的に固定される固定部とを有する弁機構と、弁座部材を前記可動部に向けて付勢する付勢部材を有するとともにプランジャのパワーピストンに対する前進量が所定値以上の場合に付勢部材の付勢力によって弁座部材を可動部に向けて後退させる駆動手段と、プランジャのパワーピストンに対する前進量が所定値より小さい場合に弁座部材をパワーピストン内の所定位置に保持する保持手段と、前記パワーピストンの半径方向孔に挿通されるとともに前記プランジャの前記パワーピストンに対する前後方向移動量を規制するキー部材とを備えた負圧式倍力装置である。
【0004】
そして、プランジャのパワーピストンに対する前方への相対移動量が所定値以上になった場合に、言い換えれば運転者が慌ててブレーキペダルを踏み込みパワーピストンの前進速度よりプランジャの前進速度が大きい場合に、保持手段と弁座部材との係合が解除されて弁座部材が後退し、リアクションディスクの後方端面と弁機構の弁シール部の前方端面との距離を拡大することで、いわゆるジャンピング量を増大させて緊急ブレーキ特性を得るものである。
【0005】
すなわち緊急ブレーキ時には負圧式倍力装置の入力−出力特性を通常ブレーキ用特性から緊急ブレーキ用特性に切り換えることにより、運転者がブレーキペダルを強く踏み込んだ時と同じ結果を得るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の負圧式倍力装置においては、保持手段と弁座部材との係合が解除されて弁座部材が後退する際に、弁座部材と一体的に後退するキー部材がプランジャのフランジ面に急激に当接して当接音が発生し、運転者に不快感を与える虞があった。
【0007】
本発明は、弁座部材の後退速度を適度に緩和し、弁座部材と一体的に後退するキー部材とプランジャのフランジ面との当接による当接音を抑制できる負圧式倍力装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載のように、内部に少なくとも一つの圧力室が形成されたハウジングと、前記ハウジングの内部に前記ハウジングに対して前進及び後退可能に設置されるとともに前記圧力室を定圧室と変圧室とに分割する可動壁と、前記可動壁に結合されるパワーピストンと、前記パワーピストンの内部に前記パワーピストンに対して前進及び後退可能に設置される入力ロッドと、前記入力ロッドに連結されて前記パワーピストンに対して前後方向に摺動可能に前記パワーピストンに嵌挿されるとともに後方端部に大気弁座が形成されたプランジャと、前記可動壁の移動に伴う前記パワーピストンの推進力を装置外に出力する出力部材と、前記パワーピストンに配設されるとともに後方に向いている第1負圧弁座と、前記パワーピストンに対して前進及び後退可能で且つ前記第1負圧弁座と同軸の、前記プランジャに挿通された弁座部材に形成された第2負圧弁座と、前記第1負圧弁座に対向する可動部と前記パワーピストンに気密的に固定される固定部とを有する弁機構と、前記弁座部材を前記可動部に向けて付勢する第1付勢部材を有するとともに前記プランジャの前記パワーピストンに対する前進量が所定値以上の場合に前記第1付勢部材の付勢力によって前記弁座部材を前記可動部に向けて後退させる駆動手段と、前記プランジャの前記パワーピストンに対する前進量が所定値より小さい場合に前記弁座部材を前記パワーピストン内の所定位置に保持する保持手段と、前記パワーピストンの半径方向孔に挿通されて前記プランジャの前記パワーピストンに対する前後方向移動量を規制するとともに、前記弁座部材に挿通されているキー部材とを備えた負圧式倍力装置において、前記プランジャに嵌挿され、前方への移動が規制されているリテーナと、前記リテーナと前記プランジャの後方フランジ部とによって圧縮されて所定のセット荷重を付与された第2付勢部材とを備え、前記プランジャの前記パワーピストンに対する前進量が所定値以上になったとき、前記第1付勢部材の付勢力によって、前記弁座部材が、前記キー部材と一体的に後退して、前記キー部材が前記プランジャと当接する前に前記リテーナと当接し、さらに前記第2付勢部材の付勢力に抗して前記可動部に向けて所定量後退することを特徴とする負圧式倍力装置を構成した。
【0009】
請求項1の発明によれば、弁座部材が第2付勢部材の付勢力に抗して後退するため、弁座部材の後退速度が適度に緩和され、弁座部材と一体的に後退するキー部材とプランジャのフランジ面との当接による当接音が抑制される。
【0010】
なお、後方とは負圧式倍力装置に対してブレーキペダル側あるいは車両後方側を意味し、前方とは負圧式倍力装置に対してマスタシリンダ側あるいは車両前方側を意味する。
【0011】
次に、請求項2に記載のように、前記第2付勢部材は、前記プランジャと同軸に配置されるとともに前記弁座部材の後方端面と当接する前方端面部を有することを特徴とする負圧式倍力装置が好ましい。
【0012】
請求項2の発明によれば、第2付勢部材がプランジャと同軸に配置されており、プランジャと同軸に配置された弁座部材と第2付勢部材の前方端面部との当接軌跡が弁座部材と同軸となって半径方向に偏ることがなく、弁座部材及び第2付勢部材にモーメントが発生しない。したがって、弁座部材とパワーピストン内周面との間も摩擦力の増大がなく、弁座部材の円滑な動きが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1及び図2は本発明の実施形態にかかる負圧式倍力装置の断面図である。
【0015】
図1において、負圧式倍力装置10は、前方シェル11と後方シェル12及び可動壁20とから構成され、内部が可動壁20によって定圧室23と変圧室24とに分割されるハウジング14を備える。ハウジング14内の可動壁20は、金属製のプレート18とゴム製のダイアフラム19とから成り、ハウジング14に対して前後方向移動可能に設置されている。
【0016】
ダイアフラム19の外周縁のビード部は、後方シェル12の外周縁に設けられた折り返し部と前方シェル11とにより気密的に挟持されている。また、ダイアフラム19の内周縁のビード部は、パワーピストン22の前方フランジ部外周に設けられた溝に、プレート18とともに気密的に固定されている。
【0017】
定圧室23は、負圧源であるエンジンインテークマニホールド(図示せず)に連通され、エンジン作動中は常に負圧に保たれる。変圧室24は、通路60及び弁機構36を介して定圧室23と連通・遮断されるとともに、弁機構36を介して大気とも連通・遮断される。
【0018】
図1及び図2に示されるように、パワーピストン22は、その内部で前方(図1及び図2中、左方)に位置して定圧室に連通する第1空間22aと、その内部で後方(図1及び図2中、右方)に位置して大気に連通する第2空間22bと、第1空間22aと第2空間22bとの間に介在される中間部221を有している。中間部221は、中間部221の中心部で第1空間22aと第2空間22bとを連通する第3空間22cと、第3空間22cとは別に第1空間22aと第2空間22bとを連通する通路60とを有している。
【0019】
パワーピストン22の内部には、入力部材27を構成する入力ロッド28及びプランジャ37が第1空間22a、第2空間22b、第3空間22cを貫通し、パワーピストン22に対して前後方向に移動できるように設置されている。また、入力ロッド28及びプランジャ37は、結合部80で一体的に結合され、入力ロッド28は、その後方でブレーキペダル(図示せず)に連結される。
【0020】
パワーピストン22の前方端部には、出力部材55が嵌装され、パワーピストン22の前方端部と出力部材55との間には反力部材54が配設される。さらに反力部材54とプランジャ37の前方端部との間には、当接部材70が配設されるとともに、当接部材70は、前後方向移動が可能なように、パワーピストン22と一体的に配設される係止部材50の内部に設置されている。
【0021】
パワーピストン22に対するプランジャ37及び入力ロッド28の移動量を規定するために、パワーピストン22の中間部221に形成された半径方向孔33にキー部材32が挿通されている。キー部材32の前後方向(図1及び図2中、左右方向)の肉厚寸法は、半径方向孔33の前後方向寸法よりも小さく、キー部材32は、パワーピストン22に対して図2中に示した距離Cだけ前後方向に移動できる。
【0022】
キー部材32は、パワーピストン22の外周側に突出した両端部の後方面にて後方シェル12に当接可能であり、ハウジング14に対するパワーピストン22の後方への移動限界は、図2に示すように、半径方向孔33の前方壁がキー部材32の前方面に当接し且つキー部材32の両端部の後方面が後方シェル12に当接した位置である。キー部材32の中央部は、プランジャ37の中央部に形成された第1フランジ部34の後方端面34bと第2フランジ部35の前方端面35aとの間に配設されており、パワーピストン22に対するプランジャ37の後方への移動限界は、後方端面34bがキー部材32の前方面に当接し且つキー部材32の後方面が半径方向孔33の後方壁に当接した位置である。また、パワーピストン22に対するプランジャ37の前方への移動限界は、前方端面35aがキー部材32の後方面に当接し且つキー部材32の前方面が半径方向孔33の前方壁に当接した位置である。
【0023】
パワーピストン22の内部には、パワーピストン22に対するプランジャ37の前後方向移動に応じて、変圧室24が定圧室23に連通されつつ大気から遮断される出力減少作用状態と変圧室24が定圧室23及び大気から遮断される出力保持作用状態と変圧室24が定圧室23から遮断されて大気に連通される出力増加作用状態とに切り換える弁機構36が設置されている。
【0024】
上記弁機構36は、プランジャ37の後方端部に一体的に形成された大気弁座37aと、パワーピストン22に一体的に形成された第1負圧弁座38と、弁座部材40の後方端部に一体的に形成された第2負圧弁座39と、第1負圧弁座38と大気弁座37aにそれぞれ対向する弁シール部41a、41bを有する可動部41と、リテーナ42によりパワーピストン22に気密的に固定される固定部43と、可動部41がスプリング44によって前方へ付勢されている筒状部材45とを主たる構成部材としている。
【0025】
図3に斜視図で示すように、弁座部材40は、プランジャ37の外周に半径方向に突出する第1フランジ部34が挿入されるスリット40bと、弁座部材40を前後方向に貫通する貫通孔40eを備える。また、キー部材32が連結部40aを跨ぐようにスリット40bに挿通される。中間部221の第3空間22c内に配設された弁座部材40は、パワーピストン22に対して前後方向に移動可能である。
【0026】
弁座部材40の貫通孔40eにプランジャ37の第1フランジ部34が挿入されることにより、第1フランジ部34がスリット40bを介して弁座部材40の外部に突出することになる。弁座部材40を備えたプランジャ37がパワーピストン22内に配設されると、第1フランジ部34が中間部221の内周面221aに当接することになり、プランジャ37は、第1フランジ部34を介して中間部221の内周面221aに摺動可能に支持されることになる。
【0027】
一方、弁座部材40は、プランジャ37の外周部とパワーピストン22の中間部221の内周部との間に位置し、第2負圧弁座39が形成されている後方端部において中間部221の内周面に前後方向に摺動可能に当接することになる。すなわち、パワーピストン22は、弁座部材40を後方に摺動可能に保持する保持部として中間部221を備えていることになる。
【0028】
中間部221に嵌挿された弁座部材40の後方端部の外周には、弁座部材40の後方端部と中間部221の内周面との間の気密を保つ環状シール部材46が装着されている。
【0029】
プランジャ37と結合部80で一体的に連結された入力ロッド28に係止されるリテーナ58とパワーピストン22に係止されるリテーナ42との間に配設されるスプリング59は、入力ロッド28を後方へ付勢し、ブレーキペダルが踏まれていない場合には、大気弁座37aを弁機構36の可動部41に当接させ且つ可動部41を第1負圧弁座弁座38から距離Aだけ離間させた状態に保持する。
【0030】
中間部221に形成された通路60と第1空間22aとは、弁機構36と定圧室23とを連絡し、第3空間22cは、弁機構36と変圧室とを連絡する。
【0031】
パワーピストン22の前方部分の内部すなわち中間部221には、弁座部材40を後方に推進させる駆動手段が配設されている。この駆動手段は、弁座部材40を後方に付勢するスプリング47とキー部材32から構成されている。
【0032】
パワーピストン22の前方部分の内部すなわち第1空間22aには、保持手段48が配設されている。保持手段48は、弁座部材40の被係合部40cに係合する係合部52bを有する保持部材52と保持部材52を縮径させる方向に付勢するリング状弾性体53とからなり、保持部材52の係止部52cは、パワーピストン22の前方部分に固定された係止部材50の係止溝50aに嵌め込まれている。このため、保持部材52は、前後方向の移動はできないが、係止部52cを中心とする半径方向の移動が許容されている。なお、保持部材52は、図4に示すように、中空円錐台をその中心軸を通る3平面で切断したような3分割中空円錐台形状をしており、この3分割中空円錐台を3個対向させてパワーピストン22に組付けられる。
【0033】
本実施形態においては、図5及び図6に示すリテーナ61が、プランジャ37の後方円筒部の外周に嵌挿されるとともに、プランジャ37の後方円筒部の外周に設けられた環状溝に装着されたスナップリング63が、リテーナ61の前方への移動を規制している。そして、リテーナ61とプランジャ37の後方フランジ部37bとによって、スプリング62が所定のセット荷重となるように圧縮されて配置されている。なお、スプリング62のセット荷重は、スプリング47の後方への付勢力より小さく設定されている。
【0034】
図5及び図6に示すように、リテーナ61は、プランジャ37の後方円筒部の外周に嵌挿されるとともにその前方端面61aaがスナップリング63と当接する4個の爪部61aと、後方端面61bbがスプリング62の前方端面部と当接するリング部61bと、爪部61aとリング部61bとを連結する連結部61cとからなる。
【0035】
後述するように、プランジャ37のパワーピストン22に対する前方への相対移動量が所定値以上になった場合に、保持手段48と弁座部材40との係合が解除されて緊急ブレーキ作動となる。このとき、スプリング47の付勢力によって弁座部材40がキー部材32と一体的に後退するが、キー部材32の後方面がプランジャ37の第2フランジ部35の前方端面35aに当接する前に、弁座部材40の後方端面40hがリテーナ61のリング部61bの前方端面61baに当接し、スプリング62を圧縮しながらさらに後退する。そして、キー部材32の後方面がプランジャ37の第2フランジ部35の前方端面35aに当接すると、弁座部材40の後退が停止する。
【0036】
すなわち、弁座部材40がスプリング62の付勢力に抗して後退するため、弁座部材40の後退速度が適度に緩和され、弁座部材40と一体的に後退するキー部材32がプランジャ37の第2フランジ部35の前方端面35aに当接する際の当接音が抑制されることになる。
【0037】
また、本実施形態においては、スプリング62は、傾斜した連結部61cによって半径方向への移動が規制されるとともに、プランジャ37の後方円筒部と後方フランジ部37bとの間に設けられた斜面部37cによって半径方向への移動が規制されている。すなわち、スプリング62は、リテーナ61、プランジャ37、弁座部材40及びパワーピストン22及と同軸に配置されることになる。したがって、弁座部材40とリテーナ61との当接軌跡、言い換えれば弁座部材40とスプリング62の前方端面部との当接軌跡が弁座部材40と同軸となって半径方向に偏ることがなく、弁座部材40及びスプリング62にモーメントが発生しない。このため、弁座部材40とパワーピストン22内周面との間も摩擦力の増大がなく、弁座部材40の円滑な動きが可能となる。
【0038】
なお、リテーナ61の爪部61aの内径Eは、プランジャ37の第2フランジ部35の外径より小さく、リング部61bの内径Fは、第2フランジ部35の外径より大きく設定されている。また、第2フランジ部35には複数の凹部が設けられており、その凹部と爪部61aを対応させて、プランジャ37の第1フランジ部34側からリテーナ61を後方へ移動させれば、第2フランジ部35を通過してプランジャ37の後方円筒部の外周にリテーナ61を嵌挿することができる。
【0039】
次に、本発明の負圧式倍力装置の作動を説明するが、通常作動状態での倍力装置としての作動は、一般的に知られるものであるため説明を省略し、主に緊急ブレーキ時の作動について説明する。
【0040】
本発明の負圧式倍力装置の緊急ブレーキ特性は、前述したジャンピング特性を変化させて、通常ブレーキ時より大きな推進力が出力部材に印加されることによって達成されるものである。ジャンピング特性を変化させるためには、図2において、当接部材70と反力部材54との間隙Dを大きくすればよい。間隙Dの拡大は、パワーピストン22の反力部材54への当接面22dと弁シール部41bとの距離を拡大することと同じである。すなわち、弁シール部41bを後方に移動させることにより間隙Dを拡大し、当接部材70が反力部材54から反力を受けるまでの出力大きくして、入力に対する出力の比率が無限大になるいわゆるジャンピング状態での出力を通常状態よりも大きくしたものである。
【0041】
以下に、実際の作動について説明する。
【0042】
運転者が慌ててブレーキペダルを踏み込む緊急ブレーキ作動時において、プランジャ37とパワーピストン22との相対移動量が所定値Bより大きくなると、プランジャ37の斜面37bが、保持部材52のテーパ部52aに当接するとともに、リング状弾性体53により縮径する方向に付勢されている保持部材52を半径方向に拡径させる。
【0043】
テーパ部52aの最小内径部52aaがプランジャ37の第1フランジ部34に乗り上げると、弁座部材40の被係合部40cと保持部材52の係合部52bとの係合が解徐される。弁座部材40は、スプリング47により後方に付勢されているため、被係合部40cの係合が解徐されると直ちにスプリング47の付勢力により後方に移動する。
【0044】
弁座部材40が後方に移動すると、弁座部材40の第2負圧弁座39は、弁機構36の可動部41を構成する弁シール部41aに当接し、定圧室23と変圧室24との連通を遮断する。このとき、プランジャ37は、入力ロッド28と一体で前方へ移動中であり、弁座部材40が弁機構36の可動部41を後方へ推し戻しているため、プランジャ37の大気弁座37aと弁機構36の可動部41を構成する弁シール部41bとが急速に離間し、変圧室24が大気と連通する。その結果、通常ブレーキ動作に比べ、定圧室23と変圧室24との連通遮断及び変圧室24が大気との連通が急速に行われるとともに、実質的に、パワーピストン22の反力部材54への当接面22dと弁シール部41bとの距離を拡大することになり、ジャンピング状態での出力を通常状態よりも大きくすることが可能となる。
【0045】
通常ブレーキ特性と上記緊急ブレーキ特性とを図7に示す。図5において、通常ブレーキにおけるジャンンピングは、F01の大きさの出力しか得られないが、緊急ブレーキ時のジャンピングは、F011にまで増大し、小さなペダル踏力で十分な大きさのブレーキ液圧を発生させることができる。
【0046】
なお、上記ブレーキ動作が終了してブレーキペダルが戻されると、プランジャ37は、第1フランジ部34の後方端面34bがキー部材32の前方面と当接しつつ後方に移動する。キー部材32の後方面が後方シェル12に当接すると、キー部材32の前方面が弁座部材40の前方溝壁40fに当接し、パワーピストン22と一体的に後退してきた弁座部材40の後方への移動を規制する。このとき、なおもパワーピストン22が後退するため、パワーピストン22と一体的に後退する保持部材52の係合部52bは、キー部材32を介して後方シェル12に当接して静止している弁座部材40の被係合部40cと係合することになり、緊急ブレーキ動作によって係合が解除された保持部材52と弁座部材40とが再係合され、次の緊急ブレーキ作動に備えることになる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、弁座部材の後退速度が適度に緩和されて、弁座部材と一体的に後退するキー部材とプランジャのフランジ面との当接による当接音が抑制された負圧式倍力装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる負圧式倍力装置の断面図である。
【図2】図1の一部詳細図である。
【図3】弁座部材40の組付け以前の斜視図である。
【図4】保持部材5二の組付け以前の斜視図である。
【図5】リテーナの正面図である。
【図6】図5におけるA−A断面図である。
【図7】入力ロッド28に印加される力(入力)と出力部材55の推進力(出力)との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 負圧式倍力装置
14 ハウジング
20 可動壁
22 パワーピストン
23 定圧室
24 変圧室
28 入力ロッド
32 キー部材
36 弁機構
37 プランジャ
37a 大気弁座
38 第1負圧弁座
39 第2負圧弁座
40 弁座部材
40h 後方端面
41 可動部
43 固定部
47 スプリング(駆動手段、第1付勢部材)
48 保持手段
55 出力部材
62 スプリング(第2付勢部材)
62a 前方端面部

Claims (2)

  1. 内部に少なくとも一つの圧力室が形成されたハウジングと、
    前記ハウジングの内部に前記ハウジングに対して前進及び後退可能に設置されるとともに前記圧力室を定圧室と変圧室とに分割する可動壁と、
    前記可動壁に結合されるパワーピストンと、
    前記パワーピストンの内部に前記パワーピストンに対して前進及び後退可能に設置される入力ロッドと、
    前記入力ロッドに連結されて前記パワーピストンに対して前後方向に摺動可能に前記パワーピストンに嵌挿されるとともに後方端部に大気弁座が形成されたプランジャと、
    前記可動壁の移動に伴う前記パワーピストンの推進力を装置外に出力する出力部材と、
    前記パワーピストンに配設されるとともに後方に向いている第1負圧弁座と、
    前記パワーピストンに対して前進及び後退可能で且つ前記第1負圧弁座と同軸の、前記プランジャに挿通された弁座部材に形成された第2負圧弁座と、
    前記第1負圧弁座に対向する可動部と前記パワーピストンに気密的に固定される固定部とを有する弁機構と、
    前記弁座部材を前記可動部に向けて付勢する第1付勢部材を有するとともに前記プランジャの前記パワーピストンに対する前進量が所定値以上の場合に前記第1付勢部材の付勢力によって前記弁座部材を前記可動部に向けて後退させる駆動手段と、
    前記プランジャの前記パワーピストンに対する前進量が所定値より小さい場合に前記弁座部材を前記パワーピストン内の所定位置に保持する保持手段と、
    前記パワーピストンの半径方向孔に挿通されて前記プランジャの前記パワーピストンに対する前後方向移動量を規制するとともに、前記弁座部材に挿通されているキー部材とを備えた負圧式倍力装置において、
    前記プランジャに嵌挿され、前方への移動が規制されているリテーナと、
    前記リテーナと前記プランジャの後方フランジ部とによって圧縮されて所定のセット荷重を付与された第2付勢部材とを備え、
    前記プランジャの前記パワーピストンに対する前進量が所定値以上になったとき、前記第1付勢部材の付勢力によって、前記弁座部材が、前記キー部材と一体的に後退して、前記キー部材が前記プランジャと当接する前に前記リテーナと当接し、さらに前記第2付勢部材の付勢力に抗して前記可動部に向けて所定量後退することを特徴とする負圧式倍力装置。
  2. 請求項1において、
    前記第2付勢部材は、前記プランジャと同軸に配置されるとともに前記弁座部材の後方端面と当接する前方端面部を有することを特徴とする負圧式倍力装置。
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