[通話制御装置の概要および特徴]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係る通話制御装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る通話制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
同図に示すように、実施例1に係る通話制御装置は、複数の通話信号(呼)を並行して処理可能な信号処理部を複数搭載する信号処理制御カード(特許請求の範囲に記載の「信号処理制御部」に対応する)を有するものである。
例えば、図1に示す例では、実施例1に係る通話制御装置は、複数の信号処理制御カードを有する「MGW(Media Gate Way)装置」を有し、また、この「MGW装置」を制御する「ソフト」を有する。ここで、複数の信号処理制御カードそれぞれは、信号処理部(例えば、DSP(Digital Signal Processor))をn個と、信号処理部を制御する制御部であるCPUとを有するものである。
そして、この実施例1に係る通話制御装置は、以下で説明するように、信号処理部に障害(故障)が発生した際に、サービス対象外となる呼の数を減少することが可能である点に主たる特徴がある。
すなわち、実施例1に係る通話制御装置は、信号処理制御カードに搭載されている信号処理部に障害が発生したことを検知する。例えば、実施例1に係る通話制御装置は、図1の(1)に示すように、信号処理制御カード「1」内にある信号処理部「2」に障害が発生したことを検知する。
そして、実施例1に係る通話制御装置は、障害の発生を検知すると、当該障害の発生が検知された信号処理部である障害信号処理部を搭載する信号処理制御カードによって処理されている呼を、他の信号処理部に振り分ける。ここで、実施例1に係る通話制御装置は、図1の(2)に示すように、信号処理制御カードが搭載する障害信号処理部以外の信号処理部に、呼を振り分ける。
例えば、実施例1に係る通話制御装置は、図1の(2)に示す例では、障害発生信号処理部である信号処理部「2」によって処理されている呼すべてを、他の信号処理部に振り分ける(処理分散する)。具体的な例をあげて説明すると、実施例1に係る通話制御装置は、信号処理制御カード「1」内に搭載されている他の信号処理部(例えば、信号処理部「1」、「3」…「n」など)に振り分ける。
このようなことから、実施例1に係る通話制御装置は、上記した主たる特徴の如く、信号処理部に障害が発生した際に、サービス対象外となる呼の数を減少することが可能である。
具体的に説明すると、ある信号処理部に障害が発生した場合に、当該信号処理部を有する信号処理制御カードは交換対象となる。また、呼を一旦切断し、一旦切断した呼を他の信号処理部に(切り替えて)処理させる際には、一旦切断した際に一旦サービスが中断し、また、一旦切断した呼それぞれは、一時的にサービス対象外となる。ここで、従来の通話処理装置では、障害が発生した信号処理部を有する信号処理制御カードによって処理されていた呼すべてを一旦切断し、一旦切断した呼すべてを通話処理装置が有する予備の信号処理制御カードに処理させていた。
言い換えると、ある信号処理部に障害が発生した場合に、従来の通話処理装置では、障害が発生した信号処理部によって処理されている呼だけでなく、正常に機能している信号処理部によって処理されている呼も、一旦切断する。そして、従来の通話処理装置では、当該呼すべてを、通話処理装置が有する予備の信号処理制御カードにて処理させていた。
この結果、従来の通話処理装置では、ある信号処理部に障害が発生した場合に、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード内の信号処理部によって処理されている呼が、当該呼を処理しているのが障害信号処理部であっても、正常に機能している信号処理部であっても、一旦サービスが中断し、サービス対象外としていた。
このような従来の手法と比較して、実施例1に係る通話制御装置によれば、ある信号処理部に障害が発生した場合に、障害信号処理部によって処理されている呼のみを一旦切断して他の信号処理部に処理させる。このため、実施例1に係る通話制御装置によれば、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード内の他の信号処理部(正常に機能している信号処理部)によって処理されている呼を一旦切断してサービス対象外とせず、サービス対象外となる呼の数を減少することが可能である。
なお、実施例1に係る通話制御装置は、信号処理制御カードに障害が発生した際に稼動を開始する信号処理制御カードである信号処理制御カード(予備)(特許請求の範囲に記載の「予備信号処理制御部」に対応する)を有するものである。例えば、図1の(3)に示すように、実施例1に係る通話制御装置では、運用系(ACT)装置として用いられている信号処理制御カードのいずれかに障害が発生した旨が「ソフト」に伝達される。実施例1に係る通話制御装置では、図1の(4)に示すように、「ソフト」が、信号処理制御カード(予備)を起動させる。
そして、この実施例1に係る通話制御装置は、障害の発生が検知されると、当該検知後に新たに処理を開始する新規呼を、信号処理制御カード(予備)に振り分ける。これにより、この実施例1に係る通話制御装置は、障害が検知された際に処理されている呼すべてが終了次第、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カードを交換することが可能である。
[通話制御装置の構成]
次に、図2〜図5を用いて、図1に示した通話制御装置の構成を説明する。なお、ここで、図2は、実施例1に係る通話制御装置の構成を示すためのブロック図である。図3は、実施例1におけるソフト記憶部を説明するための図である。図4は、実施例1における制御カード記憶部を説明するための図である。図5は、実施例1における信号処理部記憶部を説明するための図である。
図2に示すように、この通話制御装置は、ソフト100と、信号処理制御カード200と、信号処理制御カード(予備)200aと、を有する。また、信号処理制御カード200や信号処理制御カード(予備)200aaは、複数の信号処理部300(または、複数の信号処理部300a)を有する。以下では、まず、ソフト100の構成について説明を行い、信号処理制御カード200と信号処理制御カード(予備)200aとの構成について説明を行い、その後、信号処理部300の構成について説明を行う。
[ソフトの構成]
図2に示すように、信号処理制御カード200や信号処理制御カード(予備)200aに呼を振り分けるソフト100は、ソフト記憶部101と、振分制御(ソフト)部102とを有する。また、ソフト100は、振分制御(ソフト)部102の内部に、障害時振分制御(ソフト)部103を有する。なお、振分制御(ソフト)部102と障害時振分制御(ソフト)部103とは、特許請求の範囲に記載の「制御手段」に対応する。
ソフト記憶部101は、実施例1に係る通話制御装置において処理される呼すべてについて、「物理リンク情報」を記憶する。なお、「物理リンク情報」とは、呼に関する情報であって、例えば、呼のレートや、接続している二つの端末を識別する情報などが該当する。また、この「物理リンク情報」とは、呼を一旦切断した後に再開する際に必要となる情報である。
なお、ソフト記憶部101は、振分制御(ソフト)部102と障害時振分制御(ソフト)部103とによって用いられる情報を記憶するものである。また、ソフト記憶部101は、振分制御(ソフト)部102と障害時振分制御(ソフト)部103とによって、情報を入力される(または変更し、削除する)ものである。
以下では、説明の便宜上、ソフト記憶部101が、図3に示すように、「カード識別情報」と「リソースID」との組み合わせに対応付けて、「物理リンク情報」として呼のレートを示す「レート」と接続している二つの端末を識別する「識別情報」とを記憶するものとして説明する。ここで、「カード識別情報」とは、信号処理制御カード200を他の信号処理制御カード200から識別する情報である。「リソースID」とは、呼を識別する情報であり、例えば、振分制御(ソフト)部102や障害時振分制御(ソフト)部103によって、新規呼を振り分ける際に当該新規呼それぞれに付与される情報である。例えば、ソフト記憶部101は、図3に示すように、カード識別情報「1」とリソースID「1001」との組み合わせに対応付けて、「物理リンク情報」として「レート」および「識別情報」を記憶する。
振分制御(ソフト)部102は、通話制御装置にて制御される呼を、信号処理制御カード200のいずれかに振り分ける。なお、通話制御装置にて制御される呼とは、例えば、実施例1に係る通話制御装置に、当該通話制御装置に接続した外部装置などから制御要求があった呼などが該当する。
例えば、振分制御(ソフト)部102は、新規呼を処理する旨の指示と、当該新規呼についての「物理リンク情報」とを、外部装置から受付ける。そして、振分制御(ソフト)部102は、受付けた新規呼を振り分ける信号処理制御カード200を選択する。そして、振分制御(ソフト)部102は、選択した信号処理制御カード200に、ソフトIF部201を介してその旨の指示を伝達する。
具体的な例をあげて説明すると、振分制御(ソフト)部102は、新規呼を処理する旨の指示と、当該新規呼についての「物理リンク情報」とを受付けると、実施例1に係る通話制御装置が有する複数の信号処理制御カード200の内、一つを選択する。例えば、振分制御(ソフト)部102は、ソフト記憶部101に記憶されている「物理リンク情報」から、信号処理制御カード200ごとに、呼を処理する際に現に使用しているリソース量を算出する。そして、振分制御(ソフト)部102は、算出したリソース量の内、最もリソース量の使用量が少ない信号処理制御カード200を選択する。
例えば、振分制御(ソフト)部102は、信号処理制御カード「1」についてリソース量が「100」であると算出し、信号処理制御カード「2」についてリソース量が「200」であると算出した場合を用いて説明する。なお、その他の信号処理制御カード200について算出したリソース量は、「200」以上であるとする。ここで、振分制御(ソフト)部102は、新規呼を振り分ける信号処理制御カード200として、信号処理制御カード「1」を選択する。
また、振分制御(ソフト)部102は、新規呼に、当該新規呼を識別する情報として「リソースID」を付与する。そして、振分制御(ソフト)部102は、新規呼を処理する旨の指示と、「物理リンク情報」と、「リソースID」とを、ソフトIF部201を介して選択した信号処理制御カード200に伝達する。また、振分制御(ソフト)部102は、選択した信号処理制御カード200を示す「カード識別情報」に対応付けて、当該信号処理制御カード200に伝達した「リソースID」と「物理リンク情報」とを対応付けて、ソフト記憶部101に入力する。
例えば、振分制御(ソフト)部102は、新規呼にリソースID「1001」を付与し、当該新規呼を信号処理制御カード「1」に振り分ける場合を用いて説明する。ここで、振分制御(ソフト)部102は、新規呼を処理する旨の指示と、「物理リンク情報」と、リソースID「1001」とを、ソフトIF部201を介して信号処理制御カード「1」に伝達する。また、例えば、振分制御(ソフト)部102は、信号処理制御カード「1」を示すカード識別情報「1」に対応付けて、「物理リンク情報」とリソースID「1001」との対応付けを、ソフト記憶部101に入力する。
また、振分制御(ソフト)部102は、処理を終了した呼についての「リソースID」を、後述する信号処理制御カード200からソフトIF部201を介して伝達されると、対応する情報をソフト記憶部101から削除する。例えば、振分制御(ソフト)部102は、対応する情報として、後述する信号処理制御カード200から伝達された「リソースID」と、当該「リソースID」に対応付けられた「物理リンク情報」とを、ソフト記憶部101から削除する。
なお、振分制御(ソフト)部102と、以下に説明する障害時振分制御(ソフト)部103との違いの一例について、簡単に説明する。振分制御(ソフト)部102は、障害が検知されていない場合に処理を行うものであり。例えば、振分制御(ソフト)部102は、障害が検知されていない場合や、障害が検知された後に検知された障害が解決された場合に(例えば、障害信号処理部を搭載していた信号処理制御カードが、正常な信号処理制御カードに交換され、通話制御装置を利用する利用者からその旨伝達された場合に)、処理を行うものである。一方、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害が検知された場合に処理を行うものである。例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、信号処理部300(後述する障害検知部303)から障害の発生が伝達された後、検知された障害が解決されるまで、処理を行うものである。
なお、以下に説明する障害時振分制御(ソフト)部103についての説明は、振分制御(ソフト)部102と同様の説明については、記載を省略し、または、簡潔に行う。
障害時振分制御(ソフト)部103は、障害が検知された場合に、信号処理制御カード(予備)200aの稼動を開始させる。例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、信号処理制御カード200(後述する障害時振分制御(カード)部222)から障害が検知された旨をソフトIF部201を介して伝達されると、稼動を開始する旨の指示(ACT制御)を信号処理制御カード(予備)200aに伝達する。なお、この信号処理制御カード(予備)200aの稼動を開始する処理は、後述する障害時振分制御(カード)部222による振分処理と並行して行われるものである。
また、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害が検知された場合に、当該検知後に新たに処理を開始する新規呼を、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200以外の信号処理制御カード200に振り分ける(切り替える)。例えば、信号処理制御カード「1」に障害が発生した旨が障害時振分制御(ソフト)部103に伝達された場合を用いて説明する。障害時振分制御(ソフト)部103は、その後、新規呼を処理する旨の指示と、当該新規呼についての「物理リンク情報」とを受付ける。ここで、障害時振分制御(ソフト)部103は、受付けた新規呼を振り分ける信号処理制御カード200として、信号処理制御カード「1」以外の信号処理制御カード200を選択する。
また、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害が検知された信号処理制御カード200によって処理されている呼がなくなった場合に、アラーム制御(ALM制御)を行う。なお、このアラーム制御とは、障害が検知された信号処理制御カード200が交換対象である旨を報知することである。例えば、アラーム制御とは、実施例1に係る通話制御装置を利用する利用者に対して、障害が検知された信号処理制御カード200を示す「カード識別情報」と、障害が発生したため交換対象である旨とを伝達することが該当する。
例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害が検知された信号処理制御カード200を示す「カード識別情報」に対応付けられた「リソースID」と「物理リンク情報」とをソフト記憶部101からすべて削除した後に、アラーム制御を行う。なお、ソフト記憶部101に記憶されている「リソースID」と「物理リンク情報」との対応付けそれぞれは、上記したように、当該「リソースID」によって識別される呼についての処理が終了された場合に、振分制御(ソフト)部102や障害時振分制御(ソフト)部103によって削除されるものである。
[信号処理制御カードおよび信号処理制御カード(予備)の構成]
次に、信号処理制御カード200および信号処理制御カード(予備)200aの構成について説明する。以下では、まず、信号処理制御カード200の構成について説明し、その後、信号処理制御カード(予備)200aの構成について説明する。
図2に示すように、信号処理制御カード200は、ソフトIF(interface)部201と、信号処理部IF(interface)部202と、制御カード記憶部210と、制御部220と、複数の信号処理部300と、を有する。
ソフトIF部201は、ソフト100と信号処理制御カード200との間における通信を制御する。具体的には、ソフトIF部201は、ソフト100から伝達された情報を制御部220に伝達し、制御部220から伝達された情報をソフト100に対して伝達する。また、信号処理部IF部202は、制御部220と信号処理部300との間における通信を制御する。具体的には、信号処理部IF部202は、信号処理部300から伝達された情報を制御部220に伝達し、制御部220から伝達された情報を信号処理部300に対して伝達する。例えば、ソフトIF部201は、ソフト100から新規呼を処理する旨の指示と、「物理リンク情報」とが伝達されると、伝達されたこれらの情報を、制御部220に伝達する。
なお、実施例1では、説明の便宜上、例えば、「ソフト100は、情報AをソフトIF部201に伝達する。そして、ソフトIF部201は、制御部220に情報Aを伝達する」ことを示す際には、「ソフト100は、ソフトIF部201を介して、情報Aを制御部220に伝達する」などの記載を行い、表現を簡略化する。
制御カード記憶部210は、信号処理制御カード200内にて処理される呼すべてについて、「物理リンク情報」を記憶する。具体的には、制御カード記憶部210は、図4に示すように、当該制御カード記憶部210を有する信号処理制御カード200に搭載された複数の信号処理部300すべてについて、「物理リンク情報」を記憶する。
なお、制御カード記憶部210は、振分制御(カード)部221と障害時振分制御(カード)部222とによって用いられる情報を記憶するものである。また、制御カード記憶部210は、振分制御(カード)部221や障害時振分制御(カード)部222によって、ソフト100から伝達された情報が入力されるものである。また、その後、制御カード記憶部210は、振分制御(カード)部221や障害時振分制御(カード)部222によって、記憶している情報が変更される(または、削除される)ものである。
例えば、制御カード記憶部210は、図4に示す例では、信号処理部を識別する情報を示す「信号処理部識別情報」ごとに、「リソースID」と「物理リンク情報」(「レート」および「識別情報」)との対応付けを記憶する。また、制御カード記憶部210は、「信号処理部識別情報」ごとに、処理している呼の量を示す「リソース量」を記憶する。具体的な例をあげて説明すると、制御カード記憶部210は、信号処理部識別情報「1」に対応付けて、リソース「1001」と「レート」と「識別情報」との対応付けを記憶する。また、制御カード記憶部210は、信号処理部識別情報「1」に対応付けて、リソース量「40」を記憶する。また、制御カード記憶部210は、信号処理部識別情報「2」に対応付けて、リソース「1202」と「レート」と「識別情報」との対応付けを記憶し、リソース量「43」を記憶する。
なお、制御カード記憶部210が記憶するリソース量は、「物理リンク情報」と「リソースID」とが入力され、または変更され、または削除されるごとに、制御部220によって更新されるものである。
制御部220は、振分処理を実行する。制御部220は、特に本発明に密接に関連するものとして、振分制御(カード)部221と、障害時振分制御(カード)部222と、を有する。なお、振分制御(カード)部221は、特許請求の範囲に記載の「処理部内振分手段」に対応する。障害時振分制御(カード)部222は、特許請求の範囲に記載の「振分手段」に対応する。
振分制御(カード)部221は、振分制御(ソフト)部102によって振り分けられた呼を、呼が振り分けられた信号処理制御カード200に搭載されている信号処理部300のいずれかに振り分ける。例えば、振分制御(カード)部221は、振分制御(ソフト)部102や障害時振分制御(ソフト)部103から、ソフトIF部201を介して、新規呼を処理する旨の指示と、「リソースID」と「物理リンク情報」とを受付ける。そして、振分制御(カード)部221は、信号処理制御カード200が搭載する信号処理部300の内、一つの信号処理部300を選択する。
具体的な例をあげて説明すると、振分制御(カード)部221は、制御カード記憶部210に記憶されている「リソース量」を読み出し、読み出したリソース量の内、最もリソース量の使用量が少ない信号処理部300を選択する。
また、振分制御(カード)部221は、振分制御(ソフト)部102や障害時振分制御(ソフト)部103からソフトIF部201を介して受付けた新規呼を処理する旨の指示と「リソースID」と「物理リンク情報」とを、選択した信号処理部300に伝達する。また、振分制御(ソフト)部102は、選択した信号処理部300を示す「信号処理部識別情報」に対応付けて、当該信号処理部300に伝達する「リソースID」と「物理リンク情報」とを、制御カード記憶部210に入力する。
また、振分制御(カード)部221は、呼を終了した旨の指示と当該呼を識別する「リソースID」とが、後述する信号処理部300(後述する信号処理部IF部202)から信号処理部IF部202を介して受付ける。そして、振分制御(カード)部221は、受付けた「リソースID」と、当該「リソースID」に対応付けられた「物理リンク情報」とを制御カード記憶部210から削除する。また、振分制御(カード)部221は、伝達された情報をソフトIF部201を介して振分制御(ソフト)部102や障害時振分制御(ソフト)部103に伝達する。
また、振分制御(カード)部221は、制御カード記憶部210に「物理リンク情報」と「リソースID」とを入力し、または変更や削除するごとに、「リソース量」更新する。
なお、振分制御(カード)部221と、以下に説明する障害時振分制御(カード)部222との違いの一例について、簡単に説明する。振分制御(カード)部221は、障害が検知されていない場合に処理を行うものである。例えば、振分制御(カード)部221は、障害が検知されていない場合や、障害が検知された後に検知された障害が解決された場合に(例えば、障害信号処理部を搭載していた信号処理制御カードが、正常な信号処理制御カードに交換され、通話制御装置を利用する利用者からその旨伝達された場合に)、処理を行うものである。一方、障害時振分制御(カード)部222は、障害が検知された場合に処理を行うものである。例えば、障害時振分制御(カード)部222は、障害の発生が伝達された後、検知された障害が解決されるまで、処理を行うものである。
なお、以下に説明する障害時振分制御(カード)部222についての説明は、振分制御(カード)部222と同様の説明については、記載を省略し、または、簡潔に行う。
障害時振分制御(カード)部222は、障害の発生が検知されると、振分処理を実行する。具体的には、障害時振分制御(カード)部222は、障害が発生した旨と信号処理部300を一意に識別する情報(たとえば、信号処理部「1」など)とが信号処理部300(後述する障害検知部303)から信号処理部IF部202を介して受付ける。そして、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200について、信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける。
例えば、信号処理制御カードが、10個の信号処理部(信号処理部「1」〜「10」)を有し、障害信号処理部が信号処理部「1」であり、信号処理部「1」において、40個の呼が処理されている場合を例に、具体的に説明する。障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されている40個の呼それぞれについて、信号処理部「1」以外の信号処理部300から振り分ける信号処理部300を選択する。
具体的に例をあげて説明すると、障害時振分制御(カード)部222は、信号処理部「1」にて障害が発生した旨の情報を、信号処理部300(後述する障害検知部303)から信号処理部IF部202を介して受付ける。そして、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されている40個の呼の内、5個の呼を振り分ける信号処理部300として、信号処理部「2」を選択する。また、障害時振分制御(カード)部222は、同様に、他の35個の呼を振り分ける信号処理部300を選択する。
また、障害時振分制御(カード)部222は、制御カード記憶部210から「リソース量」を読出し、40個の呼を振り分けた後における信号処理部300それぞれのリソース量の差が小さくなるように、呼を振り分ける信号処理部300を選択してもよい。なお、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける信号処理部300を選択する手法は、上記した手法に限定されるものではない。例えば、障害時振分制御(カード)部222は、リソース量に空きのある信号処理部300を判別し、空きのあると判別した信号処理部300に振り分けても良い。
また、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける信号処理部300として選択した信号処理部300に、当該呼を処理する旨の指示と、当該呼についての「リソースID」と「物理リンク情報」とを、信号処理部IF部202を介して伝達する。また、障害時振分制御(カード)部222は、振り分ける信号処理部300を示す「信号処理部識別情報」に対応付けて、振り分ける呼についての「リソースID」と「物理リンク情報」とを制御カード記憶部210に入力する。また、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部を示す「信号処理部識別情報」に対応付けて制御カード記憶部210に記憶されている「リソースID」と「物理リンク情報」との対応付けを削除する。
また、障害時振分制御(カード)部222は、障害が発生した旨と信号処理部300を一意に識別する情報と(たとえば、信号処理部「1」など)が信号処理部300(後述する障害検知部303)から信号処理部IF部202を介して伝達されると、ソフトIF部201を介して、その旨を障害時振分制御(ソフト)部103に伝達する。例えば、障害時振分制御(カード)部222は、信号処理部「1」にて障害が発生した旨の情報を受付けると、信号処理部「1」にて障害が発生した旨の情報を、ソフトIF部201を介して障害時振分制御(ソフト)部103に伝達する。
また、障害時振分制御(カード)部222は、障害の発生が伝達された後に、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200内にて処理されている呼の処理がすべて終了すると、その旨を障害時振分制御(ソフト)部103にソフトIF部201を介して伝達する。例えば、障害時振分制御(カード)部222は、振分制御(カード)部221に記憶されている「リソースID」と「物理リンク情報」とをすべて削除した場合に(すべての呼の処理が終了した後に)、その旨を障害時振分制御(ソフト)部103にソフトIF部201を介して伝達する。
なお、ここで、障害時振分制御(カード)部222による障害信号処理部によって処理されていた呼を他の信号処理部300に振り分ける処理と、障害時振分制御(ソフト)部103による信号処理制御カード(予備)200aの起動処理とは、並行して実行されるものである。
また、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されていた呼を他の信号処理部300に振り分けるが、当該他の信号処理部300によって処理されている呼については、当該処理が終了するまで、処理を継続させるものである。
次に、信号処理制御カード(予備)200aの構成について、説明する。ここで、信号処理制御カード(予備)200aは、信号処理制御カード200に障害が発生した際に稼動を開始する信号処理制御カード200である。例えば、信号処理制御カード(予備)200aは、障害時振分制御(ソフト)部103から稼動を開始する旨の指示(ACT制御)を受付けると、稼動を開始する。また、信号処理制御カード(予備)200aの各部は、信号処理制御カード200の各部と同様の機能を有する。
[信号処理部の構成]
続いて、信号処理部300の構成について説明する。図2に示すように、信号処理部300は、信号処理部制御部302と、障害検知部303とを有する。なお、障害検知部303は、特許請求の範囲に記載の「障害検知手段」に対応する。
信号処理部記憶部301は、図5に示すように、当該信号処理部記憶部301を有する信号処理部300内にて処理される呼すべてについて、「物理リンク情報」(「レート」および「識別情報」)を記憶する。例えば、信号処理部記憶部301は、リソースID「1001」と対応付けて、「レート」と「識別情報」とを記憶する。また、信号処理部記憶部301は、当該信号処理部記憶部301を有する信号処理部300についての「リソース量」を記憶する。例えば、信号処理部記憶部301は、リソース量「40」を記憶する。
なお、信号処理部記憶部301は、信号処理部制御部302によって用いられる情報を記憶するものである。また、信号処理部記憶部301は、信号処理制御カード200から信号処理部IF部202を介して伝達された情報が信号処理部制御部302によって入力されるものである。また、その後、信号処理部記憶部301は、信号処理部制御部302によって、記憶している情報が変更される(または、削除される)ものである。
また、信号処理部記憶部301が記憶するリソース量は、「物理リンク情報」と「リソースID」とが入力され、または変更され、または削除されるごとに、信号処理部制御部302によって更新されるものである。
信号処理部制御部302は、呼を処理する。具体的には、信号処理部記憶部301に記憶されている「物理リンク情報」それぞれを使用して、呼それぞれを並行して処理する。
また、信号処理部制御部302は、信号処理部IF部202を介して、信号処理制御カード200から「リソースID」と「物理リンク情報」とを受付ける。そして、信号処理部制御部302は、受付けた「リソースID」と「物理リンク情報」とを、信号処理部記憶部301に入力する。
また、信号処理部制御部302は、処理が終了した呼がある場合に、当該呼についての「リソースID」と「物理リンク情報」とを信号処理部記憶部301から削除し、「リソースID」を信号処理部IF部202を介して振分制御(カード)部221や障害時振分制御(カード)部222に伝達する。
また、信号処理部制御部302は、信号処理部記憶部301に「物理リンク情報」と「リソースID」とを入力し、または変更や削除するごとに、「リソース量」を更新する。
障害検知部303は、信号処理制御カード200に搭載されている信号処理部300に障害が発生したことを検知する。また、障害検知部303は、当該障害検知部303を有する信号処理部300にて障害が発生したことを検知すると、障害が発生した旨と信号処理部300を一意に識別する情報(例えば、信号処理部「1」など)とを障害時振分制御(カード)部222に信号処理部IF部202を介して伝達する。例えば、信号処理部「1」にて障害が発生した旨の情報を、障害時振分制御(カード)部222に信号処理部IF部202を介して伝達する。
[通話制御装置による処理]
次に、図6を用いて、通話制御装置による処理を説明する。なお、図6は、実施例1に係る通話制御装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
なお、通話制御装置による処理についての説明では、信号処理制御カード「1」に搭載された信号処理部「2」に故障が発生したものとして、説明する。
図6に示すように、信号処理部300に障害が発生すると、障害検知部303は、信号処理部300に障害が発生したことを検知し、障害が発生したことを制御部220(障害時振分制御(カード)部222)に伝達する(ステップS101)。例えば、障害検知部303は、信号処理部「2」にて障害が発生した旨の情報を、障害時振分制御(カード)部222に信号処理部IF部202を介して伝達する。
そして、制御部220(障害時振分制御(カード)部222)は、障害が発生した旨の情報を、障害時振分制御(ソフト)部103に伝達する(ステップS102)。例えば、信号処理部「2」にて障害が発生した旨の情報を、ソフトIF部201を介して、障害時振分制御(ソフト)部103に伝達する。
そして、制御部220(障害時振分制御(カード)部222)は、障害の発生が検知されると、振分処理を実行する(ステップS103)。つまり、障害時振分制御(カード)部222は、信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける。例えば、障害時振分制御(カード)部222は、信号処理部「2」によって処理されている呼すべてを、その他の信号処理部300に振り分ける。
また、上記した振分処理と並行して、障害時振分制御(ソフト)部103は、信号処理制御カード(予備)200aの稼動を開始させる(ステップS104)。例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、稼動を開始する旨の指示(ACT制御)を信号処理制御カード(予備)200aに伝達する。
その後、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カードが搭載する信号処理部300各々は、処理が終了すると、その旨の情報を制御部220(障害時振分制御部(カード)222)に伝達し(ステップS105)、制御部220(障害時振分制御(カード)部222)がソフト100(障害時振分制御(ソフト)部103)に伝達する(ステップS106)。
そして、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カードが搭載する信号処理部300各々によって処理されている呼がすべて終了すると、ソフト100(障害時振分制御(ソフト)部103)は、アラーム制御(ALM制御)を行う(ステップS107)。
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、信号処理部300に障害が発生したことを検知し、障害の発生を検知すると、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200について、信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける。このため、実施例1によれば、信号処理部300に障害が発生した際に、サービス対象外となる呼の数を減少することが可能である。
具体的に説明すると、ある信号処理部300に障害が発生した場合に、当該信号処理部300を有する信号処理制御カード200は交換対象となる。また、呼を一旦切断し、一旦切断した呼を他の信号処理部300に(切り替えて)処理させる際には、一旦切断した際に一旦サービスが中断するため、一時的にサービス対象外となる。
ここで、従来の通話処理装置では、図7に示すように、障害が発生すると、すぐに信号処理制御カード(予備)(予備系)への振分処理をおこなっていた。具体的には、図8に示すように、障害が発生した信号処理部300を有する信号処理制御カード200によって処理されていた呼すべてを一旦切断し、一旦切断した呼すべてを通話処理装置が有する信号処理制御カード(予備)200aに処理(呼設定救済)させていた。なお、図7と図8とは、実施例1に係る通話制御装置の効果を説明するための図である。
言い換えると、ある信号処理部300に障害が発生した場合に、従来の通話処理装置では、障害が発生した信号処理部300(例えば、図8に示す例では、信号処理部「2」)によって処理されている呼だけでなく、正常に機能している信号処理部300によって処理されている呼も、一旦切断する。そして、従来の通話処理装置では、当該呼すべてを、通話処理装置が有する信号処理制御カード(予備)200aに処理させていた。
この結果、従来の通話処理装置では、ある信号処理部300に障害が発生した場合に、障害が発生した信号処理部300を有する信号処理制御カード200内の信号処理部300によって処理されている呼は、当該呼を処理しているのが障害を発生した信号処理部300であっても、当該呼を処理しているのが障害を発生していない(正常に機能している)信号処理部300であっても、一旦サービスが中断し、予備系への引継ぎが完了するまで、サービス対象外(サービス停止期間)となり、復旧に時間がかかっていた。
このような従来の手法と比較して、開示の通話処理装置によれば、ある信号処理部300に障害が発生した場合に、障害が発生した信号処理部300によって処理されている呼のみを一旦切断して他の信号処理部300に処理させる。このため、開示の通話処理装置によれば、当該信号処理部300を有する信号処理制御カード200内の他の信号処理部300(正常に機能している信号処理部300)によって処理されている呼を一旦切断してサービス対象外とせず、サービス対象外となる呼の数を減少することが可能である。
また、従来の手法では、障害が発生した旨の指示を受信したソフト100が、交換対象となった信号処理制御カード200によって処理されていた全てについて、設定を最初から設定し直す為、信号処理制御カード(予備)200aへの呼の振り分けに長い時間を要していた。これに対して、開示の通話処理装置によれば、障害が発生した信号処理部300によって処理されていた呼についてのみ、呼を振り分けて設定していたので、従来の手法と比較して、障害時に必要となる処理の時間を短縮することが可能である。また、信号処理制御カード(予備)200aへの起動指示及び新規呼設定を、信号処理制御カード200内の分散処理と平行に実施することで、信号処理制御カード200から信号処理制御カード(予備)200aへの切り替え時間はなくすことが可能である。
また、実施例1によれば、障害の発生が検知されると、当該検知後に新たに処理を開始する呼を、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200以外の信号処理制御カード200に振り分ける。このため、開示の通話処理装置によれば、障害が検知された際に制御されている通話信号すべてが終了次第、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カードを交換することが可能である。
さて、これまで、実施例1として、障害信号処理部によって処理されている呼すべてを、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200が搭載する信号処理部300に振り分ける手法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、障害信号処理部によって処理されている呼のすべてまたは一部を、他の信号処理制御カード200が有する信号処理部300に振り分けても良い。
そこで、以下では、実施例2として、障害信号処理部によって処理されている呼のすべてまたは一部を、他の信号処理制御カード200が有する信号処理部300に振り分ける手法について説明する。なお、以下では、実施例1に係る通話制御装置と同様の点については、簡単に説明し、または、説明を省略する。
障害時振分制御(カード)部222は、障害検知部303によって障害の発生が検知された障害信号処理部によって処理されている呼すべてを振り分けることが許容されるかを確認する。具体的には、障害時振分制御(カード)部222は、当該呼すべてを、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200が搭載する当該障害信号処理部以外の信号処理部300に振り分けることが許容されるかを確認する。なお、実施例2における障害時振分制御(カード)部222は、特許請求の範囲に記載の「確認手段」に対応する。
例えば、図9の(1)と(2)とに示すように、信号処理部300は、信号処理部「2」に障害が発生すると、障害検知部303は、信号処理部IF部202を介して、その旨を障害時振分制御(カード)部222に伝達する。そして、障害時振分制御(カード)部222は、図9の(3)に示すように、障害検知部303から信号処理部IF部202を介して受付けた障害が発生した旨の情報を、障害時振分制御(ソフト)部103にソフトIF部201を介して伝達する。また、障害時振分制御(カード)部222は、図9の(5)に示すように、制御カード記憶部210に記憶されている情報(例えば、「物理リンク情報」と「リソースID」と)を読み出す。そして、障害時振分制御(カード)部222は、図9の(6)に示すように、障害信号処理部によって処理されている呼を他の信号処理部300に振り分ける。
ここで、例えば、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されている呼すべてを他の信号処理部300に振り分けることが許容されるかを確認する。具体的な一例をあげて説明すると、障害時振分制御(カード)部222は、他の信号処理部300に振り分けることが許容されるリソース量と、障害信号処理部によって処理されている呼を処理する際に必要とするリソース量とを比較する。ここで、他の信号処理部300に振り分けることが許容されるリソース量の方が、障害信号処理部によって処理されている呼を処理する際に必要とするリソース量より多い場合に、障害時振分制御(カード)部222は、振り分けることが許容されると確認する。また、例えば、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されている呼を一つずつ他の信号処理部300に振り分け、障害信号処理部によって処理されている呼を他の信号処理部300に振り分けられなくなった場合に、許容されないと確認する。例えば、障害時振分制御(カード)部222は、他の信号処理部300に、障害信号処理部によって処理されている呼があるにもかかわらず、他の信号処理部300にリソース量の余りがなくなった場合に、許容されないと確認する。
また、例えば、障害時振分制御(カード)部222は、許容されないと確認すると、他の信号処理部300に振り分けることが許容されない呼について、「リソースID」を障害時振分制御(ソフト)部103にソフトIF部201を介して伝達する。また、例えば、障害時振分制御(カード)部222は、併せて、許容されないと確認した旨を示す情報として「リカバリ不可」であると、障害時振分制御(ソフト)部103にソフトIF部201を介して伝達する。
また、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害時振分制御(カード)部222によって許容されないと確認されると、障害信号処理部によって処理されている呼を、信号処理制御カード(予備)200aに搭載されている信号処理部300のいずれかに振り分ける。言い換えると、障害時振分制御(ソフト)部103は、リカバリできないリソースを、再設定する。なお、実施例2における障害時振分制御(ソフト)部103は、特許請求の範囲に記載の「不許容時振分手段」に対応する。
例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害時振分制御(カード)部222からソフトIF部201を介して障害が発生した旨の情報を受付けると、図9の(4)に示すように、信号処理制御カード(予備)200aを起動する。具体的な例をあげて説明すると、障害時振分制御(ソフト)部103は、「スタンバイ」から「アクト」にする指示を、信号処理制御カード(予備)200aに伝達する。また、障害時振分制御(ソフト)部103は、信号処理制御カード(予備)200aを起動した後に、新規呼を設定する際には、起動した信号処理制御カード(予備)200aに設定する。
また、例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害時振分制御(カード)部222によって許容されないと確認されると、障害時振分制御(カード)部222からソフトIF部201を介して「リソースID」を受付ける。そして、障害時振分制御(ソフト)部103は、図9の(8)に示すように、受付けた「リソースID」を用いて、障害信号処理部によって処理されている呼を、信号処理制御カード(予備)200aに搭載されている信号処理部300のいずれかに振り分ける。具体的な例をあげて説明すると、障害時振分制御(ソフト)部103は、受付けた「リソースID」に対応する「物理リンク情報」をソフト記憶部101から取得する。そして、障害時振分制御(ソフト)部103は、受付けた「リソースID」と取得した「物理リンク情報」とを、振分制御(カード)部(予備)221aにソフトIF部(予備)201aを介して伝達する。そして、振分制御(カード)部(予備)221aは、受付けた「リソースID」と取得した「物理リンク情報」とを、信号処理部(予備)300aのいずれかに振り分ける。
なお、例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、新規呼を設定する処理(新規呼設定要求)を、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける処理(故障処理部のリカバリ処理)と並行して処理する。具体的には、障害時振分制御(ソフト)部103は、上記した二つの処理を、非同期にて、実行する。
また、ここで、例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、新規呼を設定する処理(新規呼設定要求)と、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける処理(故障処理部のリカバリ処理)とが輻輳した場合には、リカバリ処理を優先して処理する。また、障害時振分制御(ソフト)部103は、信号処理制御カード(予備)200aの起動処理が完了し、障害信号処理部を有する信号処理制御カード200が有する他の正常に機能する信号処理部300が呼の処理を継続中であっても、新規呼を信号処理制御カード(予備)200aに振り分ける。言い換えると、障害時振分制御(ソフト)部103は、新規呼を、障害信号処理部を有する信号処理制御カード200が有する他の正常に機能する信号処理部300には、振り分けない。
[実施例2に係る通話制御装置による処理]
次に、図10を用いて、実施例2に係る通話制御装置による処理を説明する。なお、図10は、実施例2に係る通話制御装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
実施例2に係る通話制御装置では、信号処理部300に障害が発生すると、障害時振分制御(カード)部222は、その旨を障害時振分制御(ソフト)部103に伝達し、障害信号処理部の処理を他の信号処理部300に振り分ける(ステップS201〜ステップS203)。
ここで、障害時振分制御(カード)部222は、障害信号処理部によって処理されている呼すべてを、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に振り分けることが許容されるかを確認する。ここで、障害時振分制御(カード)部222は、許容されないと確認すると、その旨を障害時振分制御(ソフト)部103に伝達する(ステップS205)。つまり、例えば、障害時振分制御(カード)部222は、「リソースID」と「リカバリ不可」とを、障害時振分制御(ソフト)部103にソフトIF部201を介して伝達する。
そして、障害時振分制御(ソフト)部103は、障害時振分制御(カード)部222によって許容されないと確認されると、障害信号処理部によって処理されている呼を、信号処理制御カード(予備)200aに搭載されている信号処理部300のいずれかに振り分ける(ステップS206)。例えば、障害時振分制御(ソフト)部103は、受付けた「リソースID」に対応する「物理リンク情報」をソフト記憶部101から取得する。そして、障害時振分制御(ソフト)部103は、受付けた「リソースID」と取得した「物理リンク情報」とを、振分制御(カード)部(予備)221aにソフトIF部(予備)201aを介して伝達する。そして、振分制御(カード)部(予備)221aは、受付けた「リソースID」と取得した「物理リンク情報」とを、信号処理部(予備)300aのいずれかに振り分ける。
また、障害時振分制御(ソフト)部103は、新規呼を設定する処理(新規呼設定要求)を、障害信号処理部によって処理されている呼を振り分ける処理(故障処理部のリカバリ処理)と並行して処理する(ステップ S209)。
なお、ここで、図10におけるステップS201〜S204は、図6におけるステップS101〜S104と同様である。また、図10におけるステップS207、S208は、図6におけるステップS105、S106と同様である。また、図10におけるステップS210は、図6におけるステップS107と同様である。
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2では、障害信号処理部によって処理されている呼すべてを、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に振り分けることが許容されるかを確認する。そして、実施例2では、許容されないと確認されると、障害信号処理部によって処理されている呼を、信号処理制御カード(予備)200aに搭載されている信号処理部300のいずれかに振り分ける。
このため、実施例2では、障害信号処理部を搭載する信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に、障害信号処理部によって処理されている呼すべてを振り分けられない場合には、障害信号処理部によって処理されている呼のみを信号処理制御カード(予備)200aに振り分けるので、信号処理部300に障害が発生した際に、サービス対象外となる呼の数を減少することが可能である。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に、実施例3では、その他の実施例について説明する。
[実施例の組み合わせについて]
上記した実施例1では、例えば、(1)障害が発生した信号処理部300によって処理されていた呼を、信号処理制御カード200が有する障害信号処理部以外の信号処理部300に振り分ける手法に加えて、(2)新規呼を、信号処理制御カード(予備)200aに振り分ける手法について説明した。また、実施例2では、(3)信号処理制御カード200が搭載する障害信号処理部以外の信号処理部300に振り分けられない場合に、信号処理制御カード(予備)200aの信号処理部300に振り分ける手法について説明した。しかし、本発明は、上記した手法の組み合わせに限定されるものではなく、例えば、(1)のみ、または、(1)に加えて、(2)と(3)とを併せて実施してもよく、(3)を併せて実施してもよい。
[システム構成]
また、実施例1と2とにおいて説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき(例えば、振分処理)、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図1〜図11)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、図2に示す例を用いて説明すると、振分制御(ソフト)部102と障害時振分制御(ソフト)部103と振分制御(カード)部221と障害時振分制御(カード)部222との内、任意の組み合わせにおいて統合してもよい。また、統合した振分制御部を、任意の場所に設置してもよい。具体的な一例をあげて説明すると、障害時振分制御(ソフト)部103と障害時振分制御(カード)部222とを統合し、統合した振分制御部を「ソフト100」内部に設置してもよい。また、障害検知部303を信号処理部300内部ではなく、任意の場所(例えば、ソフト100内部)に設置してもよく、また、障害検知部303を、ソフト100と信号処理制御カード200と信号処理部300とに分散して設置してもよい。
[プログラム]
ところで、上記実施例1では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現するようにしてもよい。そこで、以下では、図11を用いて、上記の実施例1に示した通話制御装置と同様の機能を有する通話制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。なお、図11は、実施例1に係る通話制御装置のプログラムを説明するための図である。
同図に示すように、実施例1における通話制御装置3000は、操作部3001、マイク3002、スピーカ3003、信号処理部3004、ディスプレイ3005、通信部3006、CPU3010、ROM3011、HDD3012、RAM3013をバス3009などで接続して構成されている。
ROM3011には、上記の実施例1で示した振分制御(ソフト)部102と、障害時振分制御(ソフト)部103と、振分制御(カード)部221と、障害時振分制御(カード)部222と、信号処理部制御部302と、障害検知部303と、同様の機能を発揮する処理プログラム、つまり、同図に示すように、振分制御(ソフト)プログラム3011aと、障害時振分制御(ソフト)プログラム3011bと、振分制御(カード)プログラム3011cと、障害時振分制御(カード)プログラム3011dと、信号処理部制御プログラム3011eと、障害検知プログラム3011fとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム3011a〜3011fについては、図2に示した通話制御装置の各構成要素と同様、適宜統合または分離してもよい。
そして、CPU3010が、これらのプログラム3011a〜3011fをROM3011から読み出して実行することにより、図11に示すように、各プログラム3011a〜3011fについては、振分制御(ソフト)プロセス3010aと、障害時振分制御(ソフト)プロセス3010bと、振分制御(カード)プロセス3010cと、障害時振分制御(カード)プロセス3010dと、信号処理部制御プロセス3010eと、障害検知プロセス3010fとして機能するようになる。なお、各プロセス3010a〜3010fは、図2に示した、振分制御(ソフト)部102と、障害時振分制御(ソフト)部103と、振分制御(カード)部221と、障害時振分制御(カード)部222と、信号処理部制御部302とにそれぞれ対応する。
そして、HDD3012には、ソフト記憶テーブル3012aと、制御カード記憶テーブル3012bと、信号処理部記憶テーブル3012cとが設けられている。なお、各テーブル3012a〜3012cは、図2に示した、ソフト記憶部101と、制御カード記憶部210と、信号処理部記憶部301とにそれぞれ対応する。
そして、CPU3010は、ソフト記憶テーブル3012aと、制御カード記憶テーブル3012bと、信号処理部記憶テーブル3012cとを読み出してRAM3013に格納し、RAM3013に格納されたソフト記憶データ3013aと、制御カード記憶データ3013bと、信号処理部記憶データ3013cとを用いて、通話制御プログラムを実行する。
[その他]
なお、本実施例で説明した通話制御装置は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上の実施例1〜3を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)複数の通話信号を並行して処理可能な信号処理部を複数搭載する信号処理制御部を有する通話制御装置であって、
信号処理制御部に搭載されている信号処理部に障害が発生したことを検知する障害検知手段と、
前記障害検知手段によって障害の発生が検知されると、当該障害の発生が検知された前記信号処理部である障害信号処理部を搭載する前記信号処理制御部について、当該信号処理制御部が搭載する当該障害信号処理部以外の前記信号処理部に、当該障害信号処理部によって処理されている前記通話信号を振り分ける振分手段と、
を備えたことを特徴とする通話制御装置。
(付記2)前記通話制御装置は、当該通話制御装置を構成している前記信号処理制御部に障害が発生した際に稼動を開始する前記信号処理制御部である予備信号処理制御部を有するものであって、
前記障害検知手段によって障害の発生が検知された前記障害信号処理部によって処理されている前記通話信号すべてを、当該障害信号処理部を搭載する前記信号処理制御部が搭載する当該障害信号処理部以外の前記信号処理部に振り分けることが許容されるかを確認する確認手段と、
前記確認手段によって許容されないと確認されると、前記障害信号処理部によって処理されている前記通話信号を、前記予備信号処理制御部に搭載されている前記信号処理部のいずれかに振り分ける不許容時振分手段と、
をさらに備えたことを特徴とする付記1に記載の通話制御装置。
(付記3)前記通話制御装置は、複数の前記信号処理制御部から構成されるものであって、
当該通話制御装置にて制御される前記通話信号を当該信号処理制御部のいずれかに振り分ける制御手段と、
前記制御手段によって振り分けられた前記通話信号を、当該通話信号が振り分けられた前記信号処理制御部に搭載されている前記信号処理部のいずれかに振り分ける処理部内振分手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記障害検知手段によって障害の発生が検知されると、当該検知後に新たに処理を開始する前記通話信号を、前記障害信号処理部を搭載する前記信号処理制御部以外の当該信号処理制御部に振り分けることを特徴とする付記1または2に記載の通話制御装置。
(付記4)前記通話制御装置は、当該通話制御装置を構成している前記信号処理制御部に障害が発生した際に稼動を開始する信号処理制御部である予備信号処理制御部を有するものであって、
前記制御手段は、前記障害検知手段によって障害の発生が検知されると、前記障害信号処理部を搭載する前記信号処理制御部に新たに振り分けられるべき前記通話信号すべてを、前記予備信号処理制御部にのみ振り分けることを特徴とする付記3に記載の通話制御装置。
(付記5)複数の通話信号を並行して処理可能な信号処理部を複数搭載する信号処理制御部を有する通話制御装置を制御する通話制御方法であって、
信号処理制御部に搭載されている信号処理部に障害が発生したことを検知する障害検知工程と、
前記障害検知工程によって障害の発生が検知されると、当該障害の発生が検知された前記信号処理部である障害信号処理部を搭載する前記信号処理制御部について、当該信号処理制御部が搭載する当該障害信号処理部以外の前記信号処理部に、当該障害信号処理部によって処理されている前記通話信号を振り分ける振分工程と、
を含んだことを特徴とする通話制御方法。
(付記6)複数の通話信号を並行して処理可能な信号処理部を複数搭載する信号処理制御部を有するコンピュータに実行させる通話制御プログラムであって、
信号処理制御部に搭載されている信号処理部に障害が発生したことを検知する障害検知手順と、
前記障害検知手順によって障害の発生が検知されると、当該障害の発生が検知された前記信号処理部である障害信号処理部を搭載する前記信号処理制御部について、当該信号処理制御部が搭載する当該障害信号処理部以外の前記信号処理部に、当該障害信号処理部によって処理されている前記通話信号を振り分ける振分手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする通話制御プログラム。