JP4762104B2 - オーステナイト鋼 - Google Patents

オーステナイト鋼 Download PDF

Info

Publication number
JP4762104B2
JP4762104B2 JP2006277166A JP2006277166A JP4762104B2 JP 4762104 B2 JP4762104 B2 JP 4762104B2 JP 2006277166 A JP2006277166 A JP 2006277166A JP 2006277166 A JP2006277166 A JP 2006277166A JP 4762104 B2 JP4762104 B2 JP 4762104B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
content
less
corrosion cracking
stress corrosion
stainless steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006277166A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008095138A (ja
Inventor
太一朗 溝口
和加大 原田
宏紀 冨村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Nisshin Co Ltd filed Critical Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Priority to JP2006277166A priority Critical patent/JP4762104B2/ja
Publication of JP2008095138A publication Critical patent/JP2008095138A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4762104B2 publication Critical patent/JP4762104B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、自動車の燃料タンクや給油管等の自動車床下部材が使用される環境に適したオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
近年、自動車の燃料タンクや給油管に代表される自動車給油系部材にオーステナイト系ステンレス鋼を適用しようとする動きがある。これは、自動車の排ガス規制対応に伴う保証期間の長期化のため、従来材であるターンめっき鋼板やSn−Znめっき鋼板などでは耐久性が不足する場合が生じ、材料の見直しが必要になったことが大きな要因として挙げられる。自動車部材は樹脂化されることも少なくないが、燃料タンクや給油管ではガソリンの透過の問題があり、樹脂化は困難である。そこで、耐食性を有し、ガソリン透過のない材料としてオーステナイト系ステンレス鋼が有望視されている。
燃料タンクや給油管は複雑形状に加工されて製造されることが多く、加工性の観点からフェライト系鋼種よりオーステナイト系鋼種の方が有利である。しかし、ステンレス鋼はわずかなCl-イオン存在下であっても比較的高温の環境では孔食を起こしやすく、特にオーステナイト系ステンレス鋼は加工や溶接による残留応力が存在すると応力腐食割れを起こしやすいという欠点を有する。
海岸近くを走行する自動車では海塩粒子が付着しやすく、また自動車の床下に設置されることの多い給油系部材では冬期に道路凍結防止剤などの塩化物が付着しやすい。このような場合、塩化物が付着した状態で湿潤と乾燥を繰り返す環境(以下「塩乾湿繰返し環境」という)に曝されることになる。また、排ガス部材からの熱や路面からの輻射熱により、50℃以上の高温になることもある。しかも給油系部材を車体に取り付けるために、ボルトやワッシャ、あるいはゴム等の緩衝材などとの間に何らかの隙間構造ができることが避けられない。これらの環境はステンレス鋼にとって過酷な環境であり、オーステナイト系ステンレス鋼を自動車給油系部材に使用するには、塩乾湿繰返し環境における耐孔食性および耐応力腐食割れ性を同時に改善した鋼種を適用することが望まれる。
これまで、オーステナイト系ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性に関しては「水環境」すなわち水中に浸漬された環境について多くの研究が行われており、例えば特許文献1、2にはSiおよびCuを複合添加すること、特許文献3にはCuを添加することにより温水中の耐応力腐食割れ性を顕著に改善したオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
一方、特許文献4には耐孔食性、耐応力腐食割れ性を改善した自動車の給油管および燃料タンク用のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼が記載されている。
特開平1−159351号公報 特開平2−190451号公報 特開昭64−62443号公報 特開2004−277767号公報
特許文献1〜3のような耐応力腐食割れ性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼を用いることで、自動車の床下で使用される部材(以下「自動車床下部材」という)においても良好な耐食性を有することが期待された。しかし発明者らの検討によれば、これらの鋼は自動車床下部材としては必ずしも安定して優れた耐食性を示さないことがわかった。特許文献1〜3に開示されているオーステナイト系ステンレス鋼は温水環境で優れた耐食性を示すものの、塩乾湿繰返し環境では温水環境と異なる腐食メカニズムが働くことで腐食が進行するためであると考えられる。
特許文献4のオーステナイト系ステンレス鋼は自動車給油系部材を対象として開発されたものであるため、厳しい塩乾湿繰返し環境において優れた耐食性を発揮することが期待された。しかし、自動車給油系部材の耐久性に対する要求は従来にも増して厳しくなっている。種々の検討をした結果、特許文献4の鋼では、特に隙間部における耐孔食性の面で昨今の厳しい要求に十分対応できない場合があることが明らかになった。
このように、オーステナイト系ステンレス鋼材において、自動車給油系部材に要求される耐久性を安定して発揮させる方法は依然として見出されていない状況である。本発明はこのような状況に鑑み、塩乾湿繰返し環境において優れた耐孔食性、耐応力腐食割れ性を安定して発揮し、特に燃料タンク、給油管といった給油系部材や、二次電池ケース部材などの「自動車床下部材」に適したステンレス鋼材を開発し提供しようというものである。
上記目的は、質量%で、C:0.05%以下、Si:1.0%未満、Mn:0.4〜1.8%、P:0.045%以下、S:0.005%以下、Ni:8.5〜12.0%、Cr:17.5〜19.5%、N:0.05%以下であり、必要に応じてAl:0.3%以下、B:0.005%以下を含有するとともに、CuおよびMoを必須成分として含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼において、CuおよびMoの含有量を、Cu:0.5〜1.5%未満、Mo:0.5〜1.2%とし、かつ1.5≦Cu+Mo≦2.5を満たす範囲に調整したことを特徴とする塩乾湿繰り返し環境での耐久性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼によって達成される。
こで、上記の式中のCuおよびMoの箇所にはそれぞれ質量%で表されたCuおよびMoの含有量が代入される。Si含有量については、0.5±0.25%の範囲に調整されているものが好適な対象となる。
本発明によれば、自動車の床下で使用される部材において優れた耐久性を発揮するオーステナイト系ステンレス鋼が提供される。これはオーステナイト系であるため、燃料タンクをはじめとする複雑形状の自動車部材への加工が容易である。また従来の各種めっき鋼板に比べて基本的な耐食性が高く、自動車部材の長期保証のニーズにも合致する。樹脂材料の欠点であるガソリン透過の問題もない。さらに本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は給油系部材などの自動車床下部材全般の他、あらゆる塩乾湿繰返し環境下で使用される部材に適用可能である。
温水環境におけるオーステナイト系ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性を向上させるにはCuの添加あるいはCuとSiの複合添加が有効であることが知られている(特許文献1〜3)。しかし、発明者らの詳細な検討の結果、応力腐食割れ性に及ぼす合金成分の影響は、温水環境と塩乾湿繰返し環境とで異なることがわかってきた。そのデータの一例を示すと以下のとおりである。
すなわち、表1に示す鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚3.0mmとし、1150℃×30分の焼鈍、酸洗、冷間圧延、1050℃×均熱1分の焼鈍を経て板厚1.0mmの素材鋼板を得た。各素材鋼板から30mm×30mmの大片と15mm×15mmの小片を切り出し、表面を#600湿式研磨で仕上げた後、大片の中央に小片を重ねて配置し、直径5mmの電極を用いてスポット溶接によりナゲットが形成される条件で大片と小片を接合した。この接合体は、溶接部近傍に密着状態に近い隙間構造が形成されており、また溶接ナゲット近傍に残留応力が生じている。したがって、この接合体は隙間部での耐孔食性と耐応力腐食割れ性の評価に利用できる。この接合体を本明細書では「溶接隙間試験片」と呼んでいる。
Figure 0004762104
このようにして作製した溶接隙間試験片を塩乾湿複合サイクル試験(CCT)に供した。試験片は小片側が上になるように概ね水平に置いた。CCTは、「85%R.H.、50℃×15h保持→30%R.H.、50℃×3h保持による強制乾燥→50%R.H.、20℃×3h保持→5%NaCl塩水噴霧0.5h、50%R.H.、20℃×2.5h保持」を1サイクルとし、これを200サイクルまで行い、50サイクル後、100サイクル後、および200サイクル後の試験片(各n=3で実施)について以下の調査を行った。
試験片の大片と小片を機械的な外力を加えて分離し、大片および小片のナゲット部近傍の断面を光学顕微鏡で観察し、応力腐食割れによって生じたクラックについて表面からの深さを測定した。n=3全ての大片と小片における最も深い応力腐食割れクラックの深さ(これを「最大応力腐食割れ(SCC)深さ」という)をもって、その鋼種の耐応力腐食割れ性を評価した。その結果を図1に示す。
図1からわかるように、塩乾湿繰返し環境での耐応力腐食割れ性を向上させるには、CuおよびMoの添加が有効である。特にCuとMoを複合添加した場合、長期間の試験であっても最大応力腐食割れ深さは成長せず、良好な耐応力腐食割れ性を示すことが明らかになった。
また、19Cr−11Ni−0.5Si−0.8Mn−0.8Mo鋼について上記と同様の塩乾湿複合サイクル試験(CCT)を行った場合の、Cu含有量と耐孔食性の関係を調べた結果を図2に例示する。これは、200サイクル終了後の大片と小片の表面に生じた孔食の深さを焦点深度式光学顕微鏡により測定し、n=3全ての大片と小片における最も深い孔食深さ(これを「最大孔食深さ」という)をプロットしたものである。
図2からわかるように、Cu含有量が1.5質量%以上になると耐孔食性が低下し始める傾向が認められた。この傾向は水環境では認められず、塩乾湿繰返し環境に特有の現象である。Cuを含有するステンレス鋼が腐食することでCu2+が生成するが、水環境ではこのCu2+が多量の水で希釈されるのに対して、塩乾湿繰返し環境では高濃度に濃縮されたCu2+が酸化剤として作用し、腐食が促進されたものと推測される。このことが特許文献1〜3に開示されているステンレス鋼が安定した塩乾湿繰り返し環境で良好な耐食性を示さなかった一因と考えられる。図2の鋼はMo含有量を0.8%レベルに揃えてあるが、本発明で規定するMo含有量(後述)の範囲において、Cu含有量が1.5質量%未満の範囲で良好な耐孔食性が得られるという傾向は維持される。
また、19Cr−11Ni−0.5Si−0.8Mn−1Cuについて上記と同様の塩乾湿複合サイクル試験(CCT)を行った場合の、Mo含有量と耐応力腐食割れ性の関係を調べた結果を図3に例示する。これは、200サイクル終了後の大片と小片について、図1の場合と同様の方法で最大応力腐食割れ深さを求めた結果をプロットしたものである。
図3からわかるように、Mo含有量が0.5質量%以上になると、突然に耐応力腐食割れ性改善される現象が観測された。この現象も水環境では認められなかったものであり、塩乾湿繰り返し環境に特有の現象である。すなわち、Mo含有量は0.5質量%以上を確保することが重要であり、また、高価なMoを過剰に含有させる必要がないこともわかる。図3の鋼はCu含有量を1.0%レベルに揃えてあるが、本発明で規定するCu含有量(後述)の範囲において、Mo含有量が0.5質量%以上の範囲で良好な耐応力腐食割れ性が得られるという傾向は維持される。
本発明は、このような新たな知見に基づいて完成したものである。以下、本発明を特定するための事項について説明する。
Cは、オーステナイト安定度を高める元素であり、耐応力腐食割れ性や耐孔食性にはあまり大きな影響は与えない。しかし溶接部等での粒界腐食感受性を高めるため、C含有量は低い方が好ましい。本発明ではC含有量を0.05質量%以下に規制する。
Siは、温水環境においては応力腐食割れ発生の限界温度を上昇させる重要な元素であるが、塩乾湿繰返し環境においては顕著な効果を示さないことがわかった。Si含有量が増大すると、オーステナイトバランスを保つためにNi含有量を増加させるなどの不経済な処置が必要になる。また多量のSi含有は固溶強化による鋼の硬質化を招くので好ましくない。ただし、脱酸剤としてある程度のSi含有量は必要である。以上のことからSi含有量は1.0質量%未満の範囲に規制される。例えば、0.5±0.25質量%の範囲、好ましくは0.5±0.2質量%の範囲にSi含有量を調整することができる。Si含有量を0.5質量%未満に規制しても本発明の効果は得られる。
Mnは、オーステナイト相の安定化に寄与し、Niの代替に用いることもできる。しかしMnは腐食の起点となりやすい硫化物を形成し、耐食性を低下させるので、その含有量は0.4〜1.8質量%とする。
Pは、耐応力腐食割れ性を低下させる元素であるため、0.045質量%以下に制限される。
Sは、鋼中のMnと硫化物を形成することで腐食の起点となり、耐食性を低下させるため、0.005質量%以下に制限される。
Niは、オーステナイト相を保持するための主要な元素である。しかし多量の含有はコスト増を招くので、本発明ではNi含有量を8.5〜12.0質量%に規定する。
Crは、耐食性を付与する上で必要不可欠の元素である。自動車給油系部材等の自動車床下部材の用途ではCr含有量を17.5質量%以上にすることが望ましい。Cr含有量の増加に伴って耐食性は向上する傾向を示すが、多量にCrを含有させるとオーステナイト組織を保持するために必要なNi等を増加させる必要があり、さらに製造性や熱間加工性を損なう要因となる。したがって本発明ではCr含有量を17.5〜19.5質量%に規定する。
Cuは、本発明において重要な元素であり、耐応力腐食割れ性を向上させる元素である。そのためには0.5質量%以上のCu含有量が必要である。ただし、塩乾湿繰り返し環境においては、過剰のCu含有は図2に見られるように、耐孔食性を損なう要因となる。したがってCu含有量は1.5質量%未満の範囲に規制される。
Nは、耐孔食性の向上には有効であるが、耐応力腐食割れ性を低下させる要因となるので、本発明ではN含有量を0.05質量%以下に規制する。
Moは、本発明において重要な元素であり、耐応力腐食割れ性、耐孔食性の両者を向上させる元素である。特に塩乾湿繰り返し環境での耐応力腐食割れ性を付与するためには図3に示されるように0.5質量%以上のMo含有量を確保する必要がある。ただし、Mo含有量をあまり高めても、塩乾湿繰り返し環境ではMo増量に見合った耐食性向上効果はそれほど期待できない。過剰のMo含有はコスト増を招くので、Mo含有量は1.2質量%以下の範囲とする。
耐食性に及ぼす上記Cuとの相乗効果を考慮すると、CuおよびMoの含有量が、1.5≦Cu+Mo≦2.5を満たす範囲に調整されているとバランスがよい。
Alは、耐応力腐食割れ性を向上させる作用を有し、特に応力腐食割れ発生の限界温度を上昇させることから、本発明において必要に応じて含有させることができる。しかし、Alの含有量が増加すると熱間加工性や加工性が劣化するので、Alを含有させる場合は0.3質量%以下の範囲とすることが望ましい。
Bは、製造上、熱間加工性を向上させるのに有効であることから、必要に応じて添加することができる。しかし、過剰のB添加は鋼中のCrと硼化物を形成することにより耐食性を低下させる可能性がある。このため、Bを添加する場合は0.005質量%以下の範囲で行う。
このように成分調整されたオーステナイト系ステンレス鋼は、一般的なステンレス鋼の溶製方法にしたがって溶製することができる。得られた鋳片(例えば連鋳スラブ)は、熱間圧延、焼鈍・酸洗、冷間圧延、焼鈍・酸洗の工程により冷延焼鈍板とされ、燃料タンクをはじめとする種々の自動車部材、あるいはその他の部材への成形加工に供される。
表2に示す鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚3.0mmとし、1150℃×30の焼鈍、酸洗、冷間圧延、1050℃×均熱1分の焼鈍を経て板厚1.0mmの素材鋼板を得た。各素材鋼板から30mm×30mmの大片と15mm×15mmの小片を切り出し、表面を#600湿式研磨で仕上げた後、大片の中央に小片を重ねて配置し、直径5mmの電極を用いてスポット溶接によりナゲットが形成される条件で大片と小片を接合した。この接合体は、溶接部近傍に密着状態に近い隙間構造が形成されており、また溶接ナゲット近傍に残留応力が生じている。前述のようにこれを「溶接隙間試験片」と呼ぶ。
Figure 0004762104
この溶接隙間試験片を、塩乾湿複合サイクル試験(CCT)に供した。試験片は小片側が上になるように概ね水平に置いた。CCTは前述と同じ条件、すなわち「85%R.H.、50℃×15h保持→30%R.H.、50℃×3h保持による強制乾燥→50%R.H.、20℃×3h保持→5%NaCl塩水噴霧0.5h、50%R.H.、20℃×2.5h保持」を1サイクルとし、これを200サイクルまで行った。200サイクル後の試験片(各n=3で実施)について以下の調査を行った。
試験片の大片と小片を機械的な外力を加えて分離し、大片および小片のナゲット部近傍の断面を光学顕微鏡で観察し、応力腐食割れによって生じたクラックについて表面からの深さを測定した。n=3全ての大片と小片における最も深い応力腐食割れクラックの深さ(これを「最大応力腐食割れ(SCC)深さ」という)をもって、その鋼種の耐応力腐食割れ性を評価した。200サイクル終了後の最大応力腐食割れ深さが0.2mm以下の鋼種は、初期段階の応力腐食割れが生じても、その割れの進行がくい止められており、これ以上の進展は生じないと考えられるので、合格(○評価)とした。最大応力腐食割れ深さが0.2mmを超える鋼種は、応力腐食割れが進展する過程にあるものと考えられるので、板厚を貫通したものと同様、不合格(×評価)とした。結果を表3に示す。
また、大片と小片の表面に生じた孔食の深さを光学顕微鏡による焦点深度法により測定した。この場合もn=3全ての大片と小片における最も深い孔食深さ(これを「最大孔食深さ」という)をもって、その鋼種の耐孔食性を評価した。200サイクル終了後の最大侵食深さが0.2mm以下の鋼種は再不動態化により腐食の進行がくい止められていると判断されるので、合格(○評価)とし、0.2mmを超える鋼種は不合格(×評価)とした。結果を表3に示す。
Figure 0004762104
表3からわかるように、各成分の含有量が適正な本発明例のものは、いずれも塩乾湿繰り返し環境において、安定して優れた耐応力腐食割れ性および耐孔食性を呈した。これに対し、Cu含有量が規定より少ないNo.31、32は耐応力腐食割れ性に劣り、Mo含有量が規定より少ないNo.33〜36は耐孔食性、あるいはさらに耐応力腐食割れ性に劣った。
表1のオーステナイト系ステンレス鋼について、塩乾湿複合サイクル試験(CCT)のサイクル数と最大応力腐食割れ深さの関係を例示したグラフ。 19Cr−11Ni−0.5Si−0.8Mn−0.8Mo鋼について、Cu含有量と塩乾湿複合サイクル試験(CCT)試験後の最大孔食深さの関係を例示したグラフ。 19Cr−11Ni−0.5Si−0.8Mn−1Cu鋼について、Mo含有量と塩乾湿複合サイクル試験(CCT)試験後の最大応力腐食割れ深さの関係を例示したグラフ。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05%以下、Si:1.0%未満、Mn:0.4〜1.8%、P:0.045%以下、S:0.005%以下、Ni:8.5〜12.0%、Cr:17.5〜19.5%、N:0.05%以下であるとともに、CuおよびMoを必須成分として含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼において、CuおよびMoの含有量を、Cu:0.5〜1.5%未満、Mo:0.5〜1.2%とし、かつ1.5≦Cu+Mo≦2.5を満たす範囲に調整したことを特徴とする塩乾湿繰り返し環境での耐久性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
  2. さらにAl:0.3%以下を含有する請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
  3. さらにB:0.005%以下を含有する請求項1または2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
  4. Si含有量が、0.5±0.25%の範囲に調整されている請求項1〜のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
  5. 自動車床下部材に使用される請求項1〜のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
JP2006277166A 2006-10-11 2006-10-11 オーステナイト鋼 Active JP4762104B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006277166A JP4762104B2 (ja) 2006-10-11 2006-10-11 オーステナイト鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006277166A JP4762104B2 (ja) 2006-10-11 2006-10-11 オーステナイト鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008095138A JP2008095138A (ja) 2008-04-24
JP4762104B2 true JP4762104B2 (ja) 2011-08-31

Family

ID=39378302

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006277166A Active JP4762104B2 (ja) 2006-10-11 2006-10-11 オーステナイト鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4762104B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112013002614T5 (de) 2012-05-22 2015-03-12 Gs Yuasa International Ltd. Energiespeichereinrichtung
WO2021241131A1 (ja) * 2020-05-28 2021-12-02 日鉄ステンレス株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼材及び耐食性部材

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002060972A (ja) * 2000-08-22 2002-02-28 Nisshin Steel Co Ltd 自動車燃料タンク用ステンレス鋼板
US7597987B2 (en) * 2002-08-20 2009-10-06 Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha Metal component for fuel cell and method of manufacturing the same, austenitic stainless steel for polymer electrolyte fuel cell and metal component for fuel cell material and method of manufacturing the same, corrosion-resistant conductive component and method of manufacturing the same, and fuel cell
JP2006124807A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Nisshin Steel Co Ltd 自動車用燃料タンク又は給油管
JP4578280B2 (ja) * 2005-03-08 2010-11-10 日新製鋼株式会社 自動車給油系部材用オーステナイト系ステンレス鋼

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008095138A (ja) 2008-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5320034B2 (ja) 加熱後耐食性に優れた自動車排気系部材用省Mo型フェライト系ステンレス鋼
EP2548988B1 (en) Ferrite-based stainless steel for use in components of automobile exhaust system
US7943085B2 (en) Ferritic stainless steel for automobile exhaust gas passage components and welded steel pipe
KR100526919B1 (ko) 자동차용 내식성 연료탱크 및 급유관
KR101339484B1 (ko) 고강도 스테인리스 파이프
US10138796B2 (en) Ferritic stainless steel for automotive exhaust system, which have excellent corrosion resistance against condensate, moldability, and high-temperature oxidation resistance, and method for manufacturing same
JP5796409B2 (ja) 船舶バラストタンク用耐食鋼材
JP6260755B1 (ja) 船舶バラストタンク用鋼材および船舶
JP4578280B2 (ja) 自動車給油系部材用オーステナイト系ステンレス鋼
JP4762104B2 (ja) オーステナイト鋼
JP5018257B2 (ja) 研磨性および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP3251672B2 (ja) 排ガス流路部材用フェライト系ステンレス鋼及び製造方法
JP5999196B2 (ja) 耐アルコール孔食性および耐アルコールscc性に優れた鋼材
JP4444924B2 (ja) 耐食性と母材靭性に優れた船舶用高張力鋼材
JP4836505B2 (ja) 自動車給油系部材用オーステナイト系ステンレス鋼材および製造法
JP2007197762A (ja) 耐食性および疲労亀裂進展抵抗性に優れた船舶用鋼材
KR101673218B1 (ko) 페라이트계 스테인리스강
KR20130074220A (ko) 내식성이 우수한 알루미늄 도금 스테인리스강 및 그의 제조방법
KR101632512B1 (ko) 응축수 부식 특성이 우수한 페라이트 스테인리스강 및 그 제조방법
JP7465955B2 (ja) 拡管加工性が向上した低Crフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP2004330993A (ja) 耐食性に優れたステンレス鋼製の自動車用燃料タンクおよび給油管
JP2689208B2 (ja) 湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼
JP2009280850A (ja) 溶接部耐食性に優れた構造用ステンレス鋼板および溶接構造物
JP2010126780A (ja) 燃焼排ガス流路構成部材
KR20130074219A (ko) 응축수 부식 특성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 및 그의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110607

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110607

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4762104

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250