JP4761645B2 - 流入桝および流入桝の設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば下水用のマンホール内に設置される縦管に使用される流入桝および流入桝の設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水道において高落差接合となるマンホールでは、自然流下する下水によってマンホール底部が損傷したり、下水の飛散によるコンクリートの劣化等の問題がある。これを解消するため、例えば、特開平8−41915号公報に開示されているように、マンホール内に、らせん案内路付き縦管(ドロップシャフト)を配置する方法が実施されている。
【0003】
らせん案内路付き縦管は、図11に示すように、一定内径の直管状の縦管101内に、下水をらせん状に案内するらせん案内板110が設置されており、このらせん案内板110に沿って下水がらせん状に流下することによりエネルギが減衰され、減衰状態となった下水が縦管101の下端部に設けられた流出口(図示せず)から流出するようになっている。
【0004】
従って、このようならせん案内路付き縦管を設置すると、マンホール内に流入した下水がマンホールの底部等に強く衝突するおそれがなく、マンホール底部の損傷を防止することができる。また、下水の飛散や騒音・悪臭の発生を低減することも可能になる。
【0005】
らせん案内路付き縦管と上流管(流入管)とを接続する方式としては、図11に示すように、マンホール100内に設置された縦管101の上部に、流入分岐管(横短管)103を取り付け、この流入分岐管103に流入管102を止水バンド104等にて接続する方式(側方連結方式)がある。
【0006】
また、図12に示すように、マンホール100内の縦管101の最上部にコンクリート製の流入桝201を設け、この流入桝201に流入管102を接続する方式(直接連結方式)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した2つの接続方式のうち、流入分岐管を用いて流入管を接続する方式では、図11に示すように、流入分岐管103と流入管102との接続を、マンホール100内で行っているので、マンホール100の内壁面と縦管101との間に、管接続に必要な間隔(バンド締め代など)をあける必要があり、マンホール内壁面に対する縦管101のはりだし量が大きくなってしまう。ここで、マンホール内に縦管を設置する際には、人(作業者)の昇降口及び縦管搬入時の開口部を確保する必要があるが、縦管のマンホール内へのはりだしが大きいと、人の昇降口と縦管搬入時の開口部とが干渉してしまい、維持管理スペースを確保できなくなる。このため、マンホールサイズを大きくする必要があり、設置コストが高価になるという問題がある。
【0008】
一方、流入桝を用いる方式によれば、マンホールサイズが小さくても、マンホール内での維持管理スペースを確保することが可能である。しかし、流入桝をコンクリートの現場打ちで構築しているため、コンクリート打設に手間が掛かり施工期間が長くなるという問題がある。
【0009】
なお、以上のような問題は、らせん案内路が設けられていない、一般的な下水用縦管にも同様なことが言える。
【0010】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、マンホール内に設置の縦管を流入管に接続するにあたり、マンホールサイズが小さくても、マンホール内での維持管理スペースを確保することができ、しかもマンホール内の縦管の最上部に簡単かつ短期間で設置することが可能な流入桝を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の流入桝は、下水用のマンホール内において、同マンホール内に設置されるらせん案内路付き縦管の上端部と、該縦管の上端部よりも上方に位置している下水用の流入管との間に設置されて使用される流入桝であって、側壁及び底板を有する合成樹脂製の桝本体の底部に流出口が設けられ、前記桝本体の側部に、前記下水用の流入管に接続される流入口が設けられ、前記流出口と前記縦管の上端部とを連通する接続短管を備え、該接続短管がフランジを介して前記底板に着脱自在に装着されていることによって特徴づけられる。
【0012】
本発明の流入桝は、桝本体の側部の流入口に流入管を接続し、底部の流出口に縦管の上端部を接続短管を介して接続して使用される。
【0013】
本発明の流入桝において、流入口に連通する接続短管を桝本体の底板に一体形成しておいてもよいし、接続短管を桝本体の底板に、例えばフランジを介して着脱自在に装着しておいてもよい。これらのうち、接続短管を底板に着脱自在に装着する構造の場合、以下のような作用効果を達成できる。
【0014】
まず、接続短管を底板に一体形成した構造の場合、図10に示すように、縦管101を正規の設置位置(仕上がり位置)から横方向に逃がしておき、その縦管101の最上部に流入桝11を設置した後、流入桝1を横方向に縦管101ごと移動させて流入桝11の流入口3に流入管102を接続する必要がある。また、縦管101を横方向に移動するスペース(横取りスペース)がない場合には、流入桝11が、縦管101または流入管102に当たってしまい、流入桝11を設置することができない。
【0015】
これに対し、接続短管を底板に着脱自在に装着した構造の場合、縦管の上端部に接続短管を接続し、次に流入桝を縦管の最上部に設置した後、接続短管をフランジを介して桝本体の底板に接続するという要領で流入桝を設置できるので、縦管を横方向に移動させる必要がなくなる。また、マンホール内に縦管を横取りするスペースがない場合でも、縦管の最上部に流入桝を設置することができる。
【0016】
本発明の流入桝において、桝本体を構成する側壁及び底板等の材質は、例えばFRPまたはFRPM(強化プラスチック複合材)等が好ましいが、これに限定されず、他の任意の合成樹脂であってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、本実施形態の流入桝を設置する縦管101は、図4に示すように、マンホール100内に設置される。縦管101の設置位置の上方には、流入管(ヒューム管)102が予め施工されている。
【0019】
縦管101は、例えば、複数の短管(例えばFRP製)によって構成されており、これら短管を設置現場のマンホール100内において相互に接続(接合)して組み立ててゆく方式の縦管である。縦管101の内部にはらせん案内板(図示せず)が設置されている。縦管101の最上部には、受け口111aを有するスリーブ継手111が取り付けられており、このスリーブ継手111に、後述する流入桝1の接続短管5(図1参照)が接続される。
【0020】
次に、本発明の流入桝の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0021】
この実施形態の流入桝1は、図4に示した縦管101の最上部に設置される桝であって、桝本体2と接続短管5によって構成されている。
【0022】
桝本体2は、FRP製の4枚の側壁21〜24及び底板25からなる略矩形の箱体であって、底板25の中央部に流出口4が設けられている。4枚の側壁21〜24のうち背面側の側壁24は、流入桝1を設置するマンホール100の内壁面に沿う形状に加工されており、この側壁24の中央(幅方向の中央)に流入口3が設けられている。流入口3の内径は、流入管102よりも所定量だけ大きい寸法に加工されている。
【0023】
桝本体2の底板25には、流出口4を除く部分にコーナー部材26が設けられており、このコーナー部材26によって、桝本体2の底面に、流出口4に向かって下方に傾斜する勾配が付けられている。また、桝本体2の底板25(コーナー部材26)には、接続短管5のフランジ52を固定するためのねじ穴27が流出口4の周囲の8箇所に設けられている。
【0024】
なお、このようなねじ穴27に替えて、フランジ固定用のナットを桝本体2の内部底面に配置するという構成を採用してもよい。
【0025】
桝本体2の左右一対の側壁22,23には、中心筒支持棒(図示せず)を固定するための支持穴28が設けられている。中心筒とは、らせん案内路付き縦管において一般に設置されるもので、縦管内の空気を上方に逃がすことを目的として設けられている。
【0026】
接続短管5は、短管本体(FRPM管)51と、この短管本体51の上端部に固着されたフランジ52によって構成されており、そのフランジ52を介して桝本体2の底板25に着脱自在に取り付けられている。フランジ52はセットボルト54によって底板25に固定されている。また、フランジ52と底板25との間には止水用の発泡パッキン53が配置されている。
【0027】
短管本体51の外径は、桝本体2の流入口3の内径に対応している。また、短管本体51の上端は、フランジ52の取付面(上面)に対して、桝本体2の底板25の板厚に相当する高さだけ突出しており、フランジ52を底板25に取り付けた状態で、短管本体51の上端部が流出口4内に嵌まり込む。
【0028】
なお、以上の短管5では、接続を行う縦管101の高さ調整を行うことができる。例えば、縦管101の高さが高い場合、短管本体51の差し口(図1(A)でハッチングを付した部分)をカットする。また、縦管101が低い場合、縦管1のスリーブ継手111への挿入長さを短くする。
【0029】
以上の構造の流入桝1は、図3に示す支持金具6を用いてマンホール100内に設置される。
【0030】
支持金具6は、ステンレス製の形鋼(L形鋼)及びフラットバーによって組み立てられている。支持金具6は、流入桝1の底部3辺を支持する平面略コ字形の支持フレーム61と、支持フレーム61の左右両側に固着された一対の支持ステー62と、各支持ステー62の先端から斜め上方に延びる左右一対の吊りステー63を備えている。支持フレーム61の背面側には固定プレート64が橋渡しされている。また、2本の吊りステー63間に固定プレート65が橋渡しされている。これら固定プレート64,65は、流入桝1を設置するマンホール100の内壁面に沿う形状に加工されている。
【0031】
次に、流入桝1の設置要領を図5〜図8を参照しながら説明する。
【0032】
(1)まず、縦管101をマンホール100内で組み立てて、流入管102の下方位置に設置しておく(図5)。この縦管101の設置位置は、流入管102に対して位置決めを行なった位置(仕上り位置)とする。
【0033】
(2)縦管101の上方に支持金具6を配置した状態で、その各固定プレート64,65(図3)をマンホール100の壁体にアンカーボルトにて固定することにより、支持金具6をマンホール100の内壁面に取り付ける。この支持金具6の取付高さは、支持フレーム61上に流入桝1を置いた状態で、流入桝1の流入口3の中心と、流入管102の中心とが一致する位置とする。
【0034】
(3)流入桝1の桝本体2と接続短管5を分解しておき、その接続短管5を、図6に示すように、縦管101の上端部のスリーブ継手111に接続する。
【0035】
(4)図7に示すように、流入桝1を、支持金具6の支持フレーム61上に置き、流入口3と流入管102との芯合わせを行いながら、流入桝1をマンホール100の内壁面に向けて横方向にスライドさせて、流入管102の先端部を流入口3に挿入するとともに、流入桝1下方に位置している接続短管5の上端部を流出口4に挿入する。なお、この流入桝1の設置時もしくはその前の段階で流入桝1の底板25と接続短管5のフランジ52との間に発泡パッキン53(図1(A)参照)を配置しておく。
【0036】
(5)以上の流入桝1の設置(仮設置)が完了した後、接続短管5のフランジ52を流入桝1の底板25にセットボルト54にて固定した後、桝本体2の背面側の側壁24をマンホール100の壁体にアンカーボルトにて固定する。
【0037】
以上の施工により、図8(A),(B)に示すように、桝本体2の側部の流入口3に上流管である流入管102を接続し、さらに底部の流出口4に縦管101の上端を接続短管5を介して接続した状態で、流入桝1を縦管101の最上部に設置することができる。
【0038】
なお、流入桝1内に、縦管101内の中心筒(図示せず)に連通する管路を形成する場合、上端部が流入桝1の上面よりも上方に突出し、下端が接続短管5の下端に略一致する短管(中心筒)、桝本体2の側壁22,23に設けた穴28及び支持棒(図示せず)を利用して設置する。
【0039】
以上の実施形態によれば、流入桝1を合成樹脂で構成して製品化しているので、縦管101の最上部への流入桝1の設置を簡単かつ短時間で行なうことができる。しかも、接続短管5をフランジ52を介して桝本体2に着脱自在に取り付ける構造としているので、マンホール100内に設置した縦管101を設置位置(仕上がり位置)から移動させることなく、流入桝1の設置、及び、縦管101・流入管102と流入桝1との接続を行なうことができる。
【0040】
図9は本発明の流入桝の他の実施形態の構成を示す縦断面図である。
【0041】
この実施形態の流入桝11は、接続短管15を桝本体12の底板125に一体的に設けた点に特徴がある。それ以外の構成は、図1、図2に示した実施形態と同じである。
【0042】
この図9の流入桝11の場合、縦管101との接続を、前記したようなスリーブ継手111を用いて行なう場合にも利用できるが、他の接続方式、例えば止水バンド(ゴム輪)やフランジを使用して接続する方式の場合に、より好適に使用することができる。
【0043】
なお、以上の各実施形態では、桝本体の形状(平面形状)を略矩形としているが、これに限られることなく、桝本体の形状は、例えば円形などの他の任意の形状としてもよい。
【0044】
(削除)
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明によれば、流入桝を合成樹脂製の桝本体と、該桝本体の底板に着脱自在に装着、あるいは底板に一体形成されている接続短管とで構成して製品化しているので、縦管の最上部への流入桝の設置を、コンクリートの現場打ちを行うことなく簡単かつ短時間で施工することができ、流入桝の設置コストの低減化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流入桝の実施形態の縦断面図(A)及び平面図(B)である。
【図2】図1のX−X矢視図である。
【図3】図1の流入桝の支持金具の構造を示す平面図(A)及び側面図(B)である。
【図4】流入桝を設置するマンホールの構造を示す縦断面図である。
【図5】図1の流入桝の設置手順の説明図である。
【図6】同じく設置手順の説明図である。
【図7】同じく設置手順の説明図である。
【図8】図1の流入桝を設置した状態を示す平面図(A)及び縦断面図(B)である。
【図9】本発明の流入桝の他の実施形態の縦断面図である。
【図10】接続短管が一体形成された流入桝の施工例を模式的に示す図である。
【図11】縦管における流入管の接続構造の従来例を示す断面図である。
【図12】縦管における流入管の接続構造の他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 流入桝
2 桝本体
21〜23 側壁
24 側壁(背面側)
25 底板
26 コーナー部材
27 ねじ穴
3 流入口
4 流出口
5 接続短管
51 短管本体
52 フランジ
53 発泡パッキン
54 セットボルト
6 支持金具
100 マンホール
101 縦管
111 スリーブ継手
102 流入管
Claims (1)
- 下水用のマンホール内において、同マンホール内に設置されるらせん案内路付き縦管の上端部と、該縦管の上端部よりも上方に位置している下水用の流入管との間に設置されて使用される流入桝であって、
側壁及び底板を有する合成樹脂製の桝本体の底部に流出口が設けられ、前記桝本体の側部に、前記下水用の流入管に接続される流入口が設けられ、前記流出口と前記縦管の上端部とを連通する接続短管を備え、該接続短管がフランジを介して前記底板に着脱自在に装着されていることを特徴とする流入桝。
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