JP4759358B2 - 静電紡糸法により作製された繊維集合体の嵩密度制御方法 - Google Patents
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すなわち本発明の目的は、繊維形成性の溶質としてセラミックスの前駆化合物を溶解させた溶液を用いる静電紡糸法により作製された繊維集合体の嵩密度を制御する方法であり、静電紡糸法に用いる溶媒中に極性溶媒を含み、紡糸雰囲気中の前記極性溶媒の蒸気濃度を制御することにより、前記繊維集合体を構成する繊維構造体の繊維構造を実質的に変えずに、繊維集合体の嵩密度を制御する、嵩密度制御方法によって達成される。
本発明の嵩密度制御方法では、静電紡糸法により作製された繊維集合体の嵩密度の制御を行う。
ここで、静電紡糸法とは、繊維形成性の溶質を溶解させた溶液を電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液を電極に向けて曳糸し、形成される繊維状物質を捕集基板上に累積することによって繊維構造体を得る方法であって、繊維状物質とは、繊維形成性の溶質を溶解させた溶媒が留去して繊維積層体となっている状態のみならず、前記溶媒が繊維状物質に含まれている状態も示している。
酸化物には、具体的にAl2O3、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B2O3、P2O5、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb2O3、As2O3、CeO2、V2O5、Cr2O3、MnO、Fe2O3、CoO、NiO、Y2O3、Lu2O3、Yb2O3、HfO2、Nb2O5などが挙げられ、セラミックス前駆物質としては、金属アルコキシドや金属塩化物などが挙げられる。
前述の電極は、金属、無機物、または有機物のいかなるものでも導電性を示しさえすれば用いることができ、また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物の薄膜を持つものであっても良い。
また、静電場は一対又は複数の電極間で形成されており、いずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは、例えば電圧値が異なる高電圧の電極が2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極の合計3つの電極を用いる場合も含み、または3つを越える数の電極を使う場合も含むものとする。
本発明の製造方法では、静電紡糸法によって紡糸を行うため、繊維構造体は捕集基板である電極上に積層される。捕集基板に平面を用いれば平面状の不織布が得られるが、捕集基板の形状を変えることによって、所望の形状の構造体を作製することも出来る。
また、繊維構造体が基板上の一箇所に集中して積層されるなど、均一性が低い場合には、基板を揺動かしたり、回転させたりすることも可能である。
また、紡糸雰囲気の気体温度を制御することにより、極性溶媒の揮発速度が制御されることから、紡糸雰囲気の気体温度を制御することも可能である。
また、極性溶媒が水の場合には、一般の空調機や除湿機などにより蒸気濃度を制御することが可能である。
また、本発明の嵩密度制御方法では、繊維集合体を構成する繊維構造体の繊維構造を実質的に変えずに、繊維集合体の嵩密度を制御することが出来る。ここで、実質的にとは、繊維構造体の平均繊維径や繊維径分布などの変化量が、20%程度に収まることを示している。
平均繊維径:
得られた不織布の表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2400)により撮影(倍率2000倍)して得た写真図から無作為に50箇所を選んでフィラメントの径を測定し、すべての繊維径(n=50)の平均値を求めて平均繊維径とした。
平均厚:
高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL−50」)を用いて測長力0.01Nによりn=10にて不織布の膜厚を測定した平均値を算出した。なお本測定においては測定機器が使用可能な最小の測定力で測定を行った。
嵩密度:
不織布の質量を測定し、上記方法により求めた面積、平均厚をもとに嵩密度を算出した。
チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1重量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.3重量部を添加し均一な溶液を得た。この溶液にイオン交換水1重量部を攪拌しながら添加することにより溶液中にゲルが生成した。生成したゲルは、更に攪拌を続けることにより解離し、透明な溶液を調製することが出来た。
調製した溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量300,000〜500,000)0.016重量部混合し紡糸溶液を調製した。この紡糸溶液から図1に示す装置を用いて、気温20℃、相対湿度30%の紡糸雰囲気中にて、繊維構造体を作製した。なお、上記雰囲気の制御は、紡糸空間を囲って、空調を行うことで実施した。
得られたチタニア繊維不織布は目付が2.0g/m2であり、嵩密度は0.15g/m3であった。また、不織布表面を電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径は270nmであった。チタニア繊維不織布の表面の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1重量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.3重量部を添加し均一な溶液を得た。この溶液にイオン交換水1重量部を攪拌しながら添加することにより溶液中にゲルが生成した。生成したゲルは、更に攪拌を続けることにより解離し、透明な溶液を調製することが出来た。
調製した溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量300,000〜500,000)0.016重量部混合し紡糸溶液を調製した。この紡糸溶液から図1に示す装置を用いて、気温20℃、相対湿度40%の紡糸雰囲気中にて、繊維構造体を作製した。なお、上記雰囲気の制御は、紡糸空間を囲って、空調を行うことで実施した。
得られたチタニア繊維不織布は目付が2.0g/m2であり、嵩密度は0.22g/m3であった。また、不織布表面を電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径は260nmであった。チタニア繊維不織布の表面の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
2 溶液
3 溶液保持槽
4 電極
5 高電圧発生器
Claims (7)
- 繊維形成性の溶質としてセラミックスの前駆化合物を溶解させた溶液を用いる静電紡糸法により作製された繊維集合体の嵩密度を制御する方法であり、静電紡糸法に用いる溶媒中に極性溶媒を含み、紡糸雰囲気中の前記極性溶媒の蒸気濃度を制御することにより、前記繊維集合体を構成する繊維構造体の繊維構造を実質的に変えずに、繊維集合体の嵩密度を制御する、嵩密度制御方法。
- 前記静電紡糸法に用いる溶媒が揮発性の溶媒である、請求項1記載の嵩密度制御方法。
- 前記極性溶媒が水酸基を含む溶媒である、請求項1または2記載の嵩密度制御方法。
- 前記水酸基を含む溶媒が水である、請求項3記載の嵩密度制御方法。
- セラミックスが酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、または硫化物である請求項1記載の嵩密度制御方法。
- セラミックスが酸化物であり、Al 2 O 3 、SiO 2 、TiO 2 、Li 2 O、Na 2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、B 2 O 3 、P 2 O 5 、SnO 2 、ZrO 2 、K 2 O、Cs 2 O、ZnO、Sb 2 O 3 、As 2 O 3 、CeO 2 、V 2 O 5 、Cr 2 O 3 、MnO、Fe 2 O 3 、CoO、NiO、Y 2 O 3 、Lu 2 O 3 、Yb 2 O 3 、HfO 2 、またはNb 2 O 5 である請求項1記載の嵩密度制御方法。
- セラミックスの前駆化合物が金属アルコキシドである請求項1記載の嵩密度制御方法。
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