本発明の実施形態にかかる携帯電話(移動通信端末)について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
まず、本実施形態に係る移動通信端末1の構成について説明する。図1は、移動通信端末1の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、移動通信端末1は、基地局100との間で無線通信を行う通信部(通信手段)2と、GPS衛星G1〜G3からの測位信号を受信可能なGPS受信部(受信手段)3と、GPS衛星G1〜G3からの測位信号に基づいてGPS測位のための演算処理を行うGPS測位部4と、を備える。なお、図1では、3つのGPS衛星しか描かれていないが、通常は、多数(10基程度)のGPS衛星からの測位信号を受信している。
さらに、移動通信端末1は、GPS受信部3で受信した測位信号に基づいてGPS衛星G1〜G3を捕捉するGPS衛星捕捉部(衛星捕捉手段)5と、GPS衛星捕捉部5で捕捉されたGPS衛星G1〜G3の数を計測する捕捉数計測部(捕捉数計測手段)6と、捕捉数計測部6で計測されたGPS衛星G1〜G3の数(捕捉数)に基づいてGPS測位中止条件を満たすか否かを判定するGPS測位中止判定部(GPS測位中止判定手段)7と、GPS測位中止判定部7の判定結果に基づいてGPS測位を中止させるGPS測位制御部(GPS測位制御手段)8と、基地局100から送信されたデータに基づいて測位を行う基地局利用測位部9と、を備える。
さらに、移動通信端末1は、測位結果を出力する表示部11と、GPS衛星G1〜G3の捕捉数に対応付けてGPS測位に要する待機時間(GPS測位中止時間)を記憶する時間記憶部12と、GPS衛星捕捉部5によって捕捉された可視衛星に関する情報を記憶する可視衛星情報記憶部13と、GPS衛星G1〜G3の軌道情報を記憶するGPS衛星軌道情報記憶部14と、を備える。
また、図2は、移動通信端末1のハードウェア構成図である。図2に示すように、移動通信端末1は、物理的には、CPU21、RAM22、ROM23、操作部24、ディスプレイ25、データ送受信デバイスである無線通信モジュール26、GPS衛星G1〜G3からの測位信号を受信するGPS受信機27などを含んで構成される。移動通信端末1の各機能は、CPU21、RAM22等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU21の制御のもとで、無線通信モジュール26、GPS受信機27、操作部24、ディスプレイ25を動作させるとともに、RAM22におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
以下、図1を参照して、各機能要素について説明する。
通信部2は、ネットワークを介して基地局100との間でデータの送受信を行い、主として音声通話機能を担う。基地局100から得られるデータには、測位に利用可能な測位関連情報として基地局100の緯度および経度などの基地局位置情報や基地局100から移動通信端末1までの距離情報などが含まれている。なお、移動通信端末1はセル方式を採用しており、基地局100との間で無線通信できるゾーンに基づいて移動通信端末1の想定位置として示される想定端末位置を特定できるようになっている。
GPS受信部3は、GPS衛星G1〜G3から発信される測位信号を受信することが可能である。GPS衛星G1〜G3は、高度約2万kmの6個の周回軌道上に4個ずつ配置されており、時間の経過に伴って周回軌道上を移動する。GPS衛星G1〜G3からGPS受信部3に届く測位信号には、GPS衛星G1〜G3を区別して特定するためのSv(t)ID(識別情報)、GPS衛星G1〜G3の軌道データ及び時刻データが含まれている。GPS衛星G1〜G3からGPS受信部3に届く測位信号は、移動通信端末1の位置する場所の観測条件(天候、屋内か屋外か等)によって信号強度(レベル)が異なってくる。GPS受信部3の受信感度は、少なくとも測位信号の信号強度がGPS測位に用いることが可能な測位可能レベル(例えば、−135dBm以上)を超えている場合には受信できるように設定されている。大抵の場合は、測位可能レベル以下の信号も受信できるようになっている。
GPS測位部4は、後述する可視衛星位置情報記憶部13aに可視衛星の位置情報として記憶されているGPS衛星G1〜G3の位置情報を抽出し、さらに、複数のGPS衛星G1〜G3のそれぞれから発信された測位信号の到達時間差を求め、その到達時間差から移動通信端末1の測位結果(緯度、経度、標高)を演算処理によって求めるGPS測位を行う。
GPS衛星捕捉部5は、GPS受信部3によって受信された測位信号からSv(t)IDを抽出し、そのSv(t)IDに基づいて捕捉されたGPS衛星G1〜G3を可視衛星として特定する。つまりSv(t)IDが抽出できたGPS衛星G1〜G3を可視衛星とする。さらに、測位信号の中から、軌道データ及び測位信号が発せられた時刻データを抽出し、測位信号が発せられた時点でのGPS衛星G1〜G3の位置情報を求める。なお、軌道データ及び時刻データ(時刻を示す情報)を測位信号から抽出するには、GPS衛星G1〜G3を捕捉する以上の(測位可能レベル以上の)所定の測位信号の受信レベルが必要となる。そのため、軌道データは、通信部2によって基地局から取得することとしてもよい。例えば基地局が、自セル内で捕捉できる可能性のあるGPS衛星の軌道データの送信を行えば可能である。GPS衛星捕捉部5は、この位置情報を、測位信号から抽出したSv(t)IDに対応付け、可視衛星の位置情報として後述の可視衛星位置情報記憶部13aに記憶させる。GPS受信部3では、測位信号の信号強度がGPS測位に用いることが可能な所定の測位可能レベル以上の場合に可視衛星として受信されるため、GPS衛星捕捉部5では、信号強度の高い測位信号に基づいてGPS衛星G1〜G3の捕捉を行うことができる。例えば、GPS衛星G1〜G3からの測位信号がGPS受信部3に直接届かず、何らかの障害物に反射して届いた場合には信号強度が低くなる。このような低い信号強度の測位信号に基づいてGPS測位を行ってもGPS測位結果が不正確になり、また、測位結果を得るまでの時間がかかり過ぎる。信号強度の低い測位信号を排除することでGPS測位によって正確なGPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。但し、GPS受信部3は、測位可能レベルに満たないGPS衛星G1〜G3の測位信号も受信しており、それらの測位信号も後述するように本実施形態に係る移動通信端末1で用いられる。
さらに、GPS衛星捕捉部5は、所定のタイミング間隔で継続して繰り返しGPS衛星G1〜G3の捕捉を行っている。そして、GPS衛星捕捉部5は、GPS測位の開始後、第1回目の捕捉が行われてから捕捉が繰り返される度に(捕捉結果が報告される度に)、その捕捉回と捕捉されたGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDとを対応付け、後述する可視衛星履歴記憶部13bに記憶させる。可視衛星履歴記憶部13bに記憶されたGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDは、繰り返し捕捉されたGPS衛星G1〜G3が同一であるか否かを判定する際に参照される。
捕捉数計測部6は、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶された可視衛星としてのSv(t)IDをカウントすることによってGPS衛星G1〜G3の捕捉数を計測し、図示しない捕捉数フラグメモリに捕捉数に対応する値をセットする。例えば、捕捉数が「0」または「1」の場合には「1」をセットし、「2」の場合には「2」をセットし、「3」以上の場合には「3」をセットする。
GPS測位中止判定部7は、捕捉数フラグメモリにセットされた値を参照し、その値を基に時間記憶部12を検索し、GPS測位に要する待機時間(GPS測位中止時間)T1,T2,T3を抽出する。ここで、捕捉数フラグメモリにセットされた値が「1」の場合には、待機時間は最も短い「T1」(sec)となり、「3」の場合には、待機時間は最も長い「T3」(sec)となり、「2」の場合には、「T1」(sec)と「T3」(sec)の中間の「T2」(sec)となる。所定時間内にGPS衛星捕捉部5によって捕捉されたGPS衛星G1〜G3の数が少ないほど、GPS測位を継続しても測位結果を短時間で得られる可能性は低い。そのため、GPS衛星G1〜G3の捕捉数が少なければ待機時間は短く、多ければ長くなるように設定されている。なお、捕捉数フラグメモリにセットされた値が「0」の場合(Sv(t)IDの数が「0」の場合)に、待機時間は最も短い「T1」(sec)となり、「2」以上の場合には、待機時間は最も長い「T3」(sec)となり、「1」の場合には、「T1」(sec)と「T3」(sec)の中間の「T2」(sec)としてもよい。
GPS測位中止判定部7は、時間記憶部12から待機時間「T1」を抽出すると、GPS測位の開始からの経過時間tが待機時間「T1」を超えたか否かを判定し、超えている場合にはGPS測位中止条件を満たすと判定し、図示しないGPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値をセットする。一方、待機時間「T1」を超えていない場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定し、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位継続を示す値をセットする。また、GPS測位中止判定部7は、時間記憶部12から待機時間「T3」を抽出すると、GPS測位の開始からの経過時間tが待機時間「T3」を超えたか否かを判定し、超えている場合にはGPS測位中止条件を満たすと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値をセットする。一方、待機時間「T3」を超えていない場合の処理については後述する。
また、GPS測位中止判定部7は、時間記憶部12から待機時間「T2」を抽出すると、GPS測位の開始からの経過時間tが待機時間「T2」を超えたか否かを判定し、超えている場合にはGPS測位中止条件を満たすと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値をセットする。
一方、待機時間「T2」を超えていない場合には、後述の可視衛星履歴記憶部13bを参照し、繰り返して捕捉されたGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDが同一であるか否かを判定し、同一である場合には第1中止条件を満たすと判定し、同一でない場合には、第1中止条件を満たさないと判定する。
繰り返して捕捉されたGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDが同一であるということは、時間が経過しても同じGPS衛星G1〜G3しか捕捉できないことを意味しており、GPS測位を継続してもGPS衛星G1〜G3の捕捉数が増加する可能性は低い。そのため、GPS衛星G1〜G3のSv(t)IDが同一の場合に、第1中止条件を満たしていると判定することにより、GPS測位による測位結果を短時間で得ることができるか否かの判定精度を向上でき、GPS測位に要する待機時間が移動通信端末1の利用者にとって結果的に無駄な時間になってしまうことを防止できる。
また、GPS測位中止判定部7は、第1中止条件を満たす場合には、後述の可視衛星位置情報記憶部13aを参照し、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶された二つの可視衛星の位置情報からSv(t)間、つまり二つの可視衛星間の角度が所定の値φ以下であるか否かを判定し、さらに、各可視衛星の仰角が所定の範囲内であるか否かを判定する。そして、二つの可視衛星間の角度が所定の値φ以下であり、且つ、二つの可視衛星の各仰角が所定の範囲に含まれるという両方の条件を満たす場合には、可視衛星の位置情報に基づいて第2中止条件を満たすと判定し、少なくとも一方の条件を満たさない場合には、第2中止条件を満たさないと判定する。
図4は、第1スカイプロットSP1を示す図であり、基地局100から送信された基地局位置情報に基づいて特定される想定端末位置Pを中心にして作成されており、直交する二本の軸のうち「0°」を示す方向は北、「90°」を示す方向は東、「180°」を示す方向は南、「270°」を示す方向は西を示す。ここで、スカイプロットとは、上空のGPS衛星の座標を図示したものである。さらに、想定端末位置Pを中心にして同心円状に仰角を示しており、中心が天頂(仰角90°)で、想定端末位置Pから離れるほど仰角は低くなっている。二つの可視衛星間の角度とは、例えば、図4に示すように、第1スカイプロットSP1上の座標に第1の可視衛星と第2の可視衛星の位置Ga,Gbが記されていた場合に、想定端末位置Pと各位置Ga,Gbとを結ぶ二つの直線によって形成される角度である。そして、GPS測位中止判定部7は、この角度が所定の値φ(例えば、90°)以下になるか否かを判定する。また、GPS測位中止判定部7は、第1スカイプロットSP1上の位置Ga,Gbから求められる仰角が、所定の仰角θ1(例えば、6°)以上で、且つ所定の仰角θ2(例えば、50°)か否かを判定する。
可視衛星が狭いエリアに固まっている場合には、窓などを介して可視衛星が捕捉された可能性が高く、移動通信端末1は屋内に位置している可能性が高い。また、可視衛星の仰角が小さいために可視衛星の捕捉エリアが天頂方向で無いと想定される場合には、移動通信端末1は屋根等がある建物の屋内に位置している可能性が高い。このような位置に移動通信端末1がある場合には、GPS測位を継続しても短時間で測位結果を得ることができる可能性は低い。そのため、可視衛星の位置情報に基づいた第2中止条件を満たすか否かの判定を行うことにより、GPS測位による測位結果を短時間で得ることができるか否かの判定精度を向上でき、GPS測位に要する待機時間が移動通信端末1の利用者にとって結果的に無駄な時間になってしまうことを防止できる。
また、GPS測位中止判定部7は、第2中止条件を満たす場合には、図示しない捕捉回数記憶部を参照して第1の捕捉上限回数M1を抽出し、GPS衛星捕捉部5によるGPS衛星G1〜G3の捕捉回数が捕捉上限回数M1に達しているか否かを判定し、捕捉回数が捕捉上限回数M1に達している場合には、捕捉回数に基づいて第3中止条件を満たすと判定する。一方、第2中止条件を満たさない場合には、捕捉回数記憶部(図示せず)を参照して第2の捕捉上限回数M2を抽出し、GPS衛星捕捉部5によるGPS衛星G1〜G3の捕捉回数が捕捉上限回数M2に達しているか否かを判定し、捕捉回数が捕捉上限回数M2に達している場合には、捕捉回数に基づいて第4中止条件を満たすと判定する。なお、捕捉回数記憶部には、第2のGPS測位中止条件の判定結果に対応付けて捕捉上限回数M1,M2が記憶されている。なお、捕捉上限回数M2は、捕捉上限回数M1以上の数になっている。
GPS測位中止判定部7は、第1、第2及び第3中止条件のすべてを満たす場合、もしくは、第1及び第4中止条件のすべてを満たす場合には、GPS測位中止条件を満たすと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値をセットする。一方、上記いずれかの条件を満たさない場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットする。なお、GPS測位中止判定部7は、上記各中止条件のいずれか一つを満たす場合にGPS測位中止条件を満たすと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットするようにしてもよい。
GPS測位制御部8は、GPS測位中止フラグメモリを参照し、GPS測位中止を示す値がセットされている場合には、GPS測位部4において行われるGPS測位のための演算処理を中止させ、測位方式を基地局利用測位方式に切り替えて基地局利用測位部19に測位のための演算処理を実行させる。一方、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位継続を示す値がセットされている場合にはGPS測位部4において行われるGPS測位のための演算処理を継続して行わせる。
表示部11は、GPS測位部4または基地局利用測位部19での演算処理によって求められた測位結果を所定の地図画像とともに出力する。
待機時間記憶部12は、捕捉数フラグメモリにセットされる値に対応付けて、待機時間T1,T2,T3を記憶している。
可視衛星情報記憶部13は、可視衛星位置情報記憶部(捕捉衛星位置情報記憶手段)13aと可視衛星履歴記憶部(変化履歴記憶手段)13bとを有して構成される。可視衛星位置情報記憶部13aは、GPS衛星捕捉部5によって捕捉された可視衛星のSv(t)ID、軌道情報、測位信号を発した時刻情報、位置情報とを対応付けて記憶する。また、可視衛星履歴記憶部13bは、GPS衛星捕捉部5によって繰り返し捕捉された可視衛星のSv(t)IDを捕捉回に対応付けて記憶している。また、GPS衛星軌道情報記憶部14は、GPS衛星G1〜G3のSv(t)IDに対応付けてGPS衛星の軌道情報を記憶しており、この軌道情報は、基地局100から送信されるデータに基づき、所定のタイミングで更新される。
続いて、本実施形態に係る移動通信端末1のGPS測位における動作について説明する。図3は、移動通信端末1におけるGPS測位の手順を示す図であり、ステップをSと略記している。
GPS測位が開始すると捕捉回数を示す捕捉回数パラメータ(m)に“1”(回)を加算し(S1)、タイマパラメータ(t)に“1”(sec)を加算して時間の計測を開始する(S2)。さらに、GPS衛星G1〜G3から発信された測位信号は、GPS受信部3によって受信され、GPS受信部3からGPS衛星捕捉部5及び捕捉数計測部6に入力される。
後続のステップ3に進むと、GPS衛星捕捉部5は衛星捕捉ステップを実行し、衛星捕捉ステップの結果に基づいて、捕捉数計測部6は捕捉数計測ステップを実行する。衛星捕捉ステップにおいてGPS衛星捕捉部5は、入力された測位信号からSv(t)IDを抽出し、そのSv(t)IDに基づいてGPS衛星G1〜G3を捕捉し、可視衛星として特定する。さらに、測位信号の中から、測位信号が発せられた時刻及び軌道データを抽出し、測位信号が発せられた時点でのGPS衛星G1〜G3の位置情報を求める。GPS衛星捕捉部5は、この位置情報を、可視衛星としてのSv(t)IDに対応付け、可視衛星の位置情報として可視衛星位置情報記憶部13aに記憶させ、捕捉したSv(t)IDを捕捉回数パラメータ(m)の値に対応付けて可視衛星履歴記憶部13bに記憶させる。さらに、GPS衛星捕捉部5は、可視衛星の位置情報及び想定端末位置Pに基づいて第1スカイプロットSP1(図4参照)を生成する。さらに、GPS衛星捕捉部5は、GPS衛星軌道情報記憶部14に記憶されているGPS衛星G1〜G3の軌道情報を読み出し、各GPS衛星G1〜G3の軌道情報と想定端末位置Pとに基づいて第2スカイプロットSP2(図6参照)を生成する。
その後、捕捉数計測ステップにおいて捕捉数計測部6は、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶されたSv(t)IDの数をSv(t)数(捕捉数)としてカウントし、Sv(t)数を示す値を捕捉数フラグメモリ(図示せず)にセットする。ここで、Sv(t)数が「0」または「1」の場合には、捕捉数フラグメモリに「1」を示す値がセットされ、Sv(t)数が「2」の場合には、捕捉数フラグメモリに「2」を示す値がセットされ、Sv(t)数が「3」以上の場合には、捕捉数フラグメモリに「3」を示す値がセットされる。
次に、GPS測位中止判定部7は、捕捉数フラグメモリにセットされた値を参照し、可視衛星数判定を行う。ここで、GPS測位中止判定部7は、Sv(t)数がGPS測位に必要となる測位必要数に不足するか否かを判定するとともに、測位必要数に不足する「3」未満の場合には、捕捉数フラグメモリにセットされた値が「1」または「2」のいずれであるかを判定している(S4)。
ステップ4において、捕捉数フラグメモリにセットされた値を「1」と判定する場合には、GPS測位中止判定部7によってGPS測位中止判定ステップが実行される(S5)。GPS測位中止判定部7は、捕捉数フラグメモリにセットされた値に対応付けられて時間記憶部12に記憶されているGPS測位中止時間T1を読み出し、GPS測位の開始からの経過時間tがGPS測位中止時間T1を経過しているか否かを判定し、経過している場合には、GPS測位中止条件を満たしていると判定し、経過していない場合にはGPS測位中止条件を満たしていないと判定する。そして、GPS測位中止条件を満たしていると判定する場合には、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値をセットし、GPS測位中止条件を満たしていないと判定する場合には、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットする。
GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値がセットされると、GPS測位制御部8によってGPS測位制御ステップが実行される(S10)。ここで、GPS測位制御部8は、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶されている可視衛星のSv(t)IDや位置情報を削除すると共に、GPS測位部14によるGPS測位のための演算処理を中止させてGPS測位を中止させ、代わりに基地局利用測位部9に測位を行わせる。一方で、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値がセットされている場合には、GPS測位制御部8は、GPS測位を継続させるためにステップ2に進む。
また、GPS測位中止判定部7は、ステップ4において、捕捉数フラグメモリにセットされた値が「2」と判定すると、GPS測位中止判定ステップを実行し、この「2」に対応付けられて時間記憶部12に記憶されている待機時間T2を読み出し、GPS測位の開始からの経過時間tが待機時間T2を経過しているか否かを判定する。そして、経過時間tが待機時間T2を経過していると判定する場合には、GPS測位中止条件を満たしていると判定し、経過していない場合にはGPS測位中止条件を満たしていないと判定する(S6)。ここで、GPS測位中止判定部7は、GPS測位中止条件を満たしていると判定すると、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値をセットし、GPS測位中止条件を満たしていないと判定する場合には、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットする。GPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値がセットされると、GPS測位制御部8によってGPS測位制御ステップ(S10)が実行される。ここでGPS測位制御部8は、GPS測位を中止させて測位方式を基地局利用方式に切り替え、基地局利用測位部9は測位結果を演算処理によって求め、その測位結果を表示部11に出力(S16)させる。その後、GPS測位制御部8は、GPS測位中止フラグメモリや捕捉数フラグメモリをリセットするとともに可視衛星情報記憶部13に記憶されたデータを消去する等の所定のリセット処理の後に測位を終了する。なお、GPS測位が中止された場合には、基地局利用方式などの他の測位方式によって測位結果を求めることなく測位を終了させてもよい。
また、GPS測位中止判定部7は、ステップ6において、経過時間tがGPS測位中止時間T2を経過していないと判定すると、GPS測位中止判定ステップを実行する。ここで、GPS測位中止判定部7は、可視衛星履歴記憶部13bに記憶されたSv(t)IDを抽出する。可視衛星履歴記憶部13bには、1秒間隔でGPS衛星捕捉部5によって抽出されたSv(t)IDの履歴が記憶されており、GPS測位中止判定部7は、直近捕捉に係るSv(t)IDが前回捕捉分(t−1時点)に係るSv(t)IDと同一か否かの判定し(S7)、同一でなければ捕捉回数パラメータ(m)に“0”(回)をセットし(S11)、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットする。すると、GPS測位制御部8は、新たなGPS測位を開始させるために所定のリセット処理の後にステップ1に進む。
GPS測位中止判定部7は、ステップ7において同一と判定すると、次のGPS測位中止判定ステップを実行する(S8)。ここで、GPS測位中止判定部7は、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶された二つの可視衛星の位置情報からSv(t)間、つまり二つの可視衛星間の角度が所定の値φ以下であるか否かを判定し、さらに、各可視衛星の仰角が所定の範囲内であるか否かを判定する(S8)。そして、二つの可視衛星間の角度が所定の値φ以下で、且つ、各可視衛星の仰角が所定の範囲に含まれるという両方の条件を満たす場合には、後述のステップ9に進み、少なくとも一方の条件を満たさない場合には後述のステップ11に進む。
ステップ9に進むと、GPS測位中止判定部7は、図示しない捕捉回数記憶部を参照して捕捉回数上限値M1を抽出し、捕捉回数パラメータ(m)の値が捕捉回数上限値M1以下であるか否かを判定する。そして、捕捉回数パラメータ(m)の値が、捕捉回数上限値M1以下であると判定される場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定し、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位継続を示す値をセットし、捕捉回数パラメータ(m)が、捕捉回数上限値M1を超えると判定される場合には、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値をセットする。
また、ステップ11に進むと、GPS測位中止判定部7は、図示しない捕捉回数記憶部を参照して捕捉回数上限値M2を抽出し、捕捉回数パラメータ(m)の値が捕捉回数上限値M2以下であるか否かを判定する。そして、捕捉回数パラメータ(m)の値が、捕捉回数上限値M2以下であると判定される場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定し、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位継続を示す値をセットし、捕捉回数パラメータ(m)が、それぞれ捕捉回数上限値M2を超えると判定される場合には、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値をセットする。
その後、GPS測位制御部8は、GPS測位中止フラグメモリを参照し、GPS測位を継続させることを示す値がセットされている場合にはステップ1に戻り、GPS測位を中止させることを示す値がセットされている場合にはGPS測位を中止させ、測位方式をGPS測位から基地局利用測位に切り替える(S10)。基地局利用測位部9は、基地局100から受信したデータに基づいて測位を行う。基地局100からのデータには、基地局100の緯度と経度とからなる基地局位置情報が含まれ、基地局利用測位部9では、例えば、基地局位置情報を移動通信端末1の位置情報と仮定し、その位置情報を測位結果として求める。その後、基地局利用測位部9は、求めた測位結果を表示部11に出力させ(S16)、所定のリセット処理の後に測位を終了する。
また、GPS測位中止判定部7は、ステップ3において捕捉数フラグメモリを参照した結果、「3」がセットされている場合には、捕捉数フラグメモリにセットされた値に対応付けられて時間記憶部12に記憶されている待機時間T3を抽出する。そして、GPS測位の開始からの経過時間tが待機時間T3を経過しているか否かを判定し(S13)、経過している場合には、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値をセットする。その後、GPS測位制御部8は、GPS測位中止フラグメモリを参照し、GPS測位中止を示す値がセットされている場合にはGPS測位を中止させ、測位方式をGPS測位から基地局利用測位に切り替え、測位結果を表示部11に表示させる(S10)。
一方、ステップ13において、経過時間tがGPS測位中止時間T3を経過していないと判定される場合には、GPS測位部14が作動し、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶されている各種データと各可視衛星からの測位信号の到達時間差とに基づいてGPS測位のための演算処理を行い、移動通信端末1の位置情報を測位結果として取得する(S14)。GPS測位部14は、GPS測位結果が所定の誤差範囲を超えていると判定する場合には、GPS測位結果が不適正と判定し(S15)、GPS測位を再度行うためにステップ2に戻る。一方、GPS測位結果が所定の誤差範囲内と判定する場合には、GPS測位結果が適正と判定し(S15)、測位結果を表示部11に出力させ(S16)、所定のリセット処理の後に測位を終了する。以下、これらの処理が繰り返される。
続いて、移動通信端末1の作用及び効果について説明する。移動通信端末1においては、GPS測位中止判定部7が、捕捉数計測部6によって計測された捕捉数に基づいてGPS測位中止条件を満たすか否かの判定を行う。そして、GPS測位中止条件を満たさないと判定されるときには、GPS測位は継続して行われ、GPS測位中止条件を満たすと判定されるときにはGPS測位は終了する。
図5は、移動通信端末1の所在地とGPS測位に要する待機時間との関係を示すグラッフであり、縦軸はGPS測位に要する待機時間、横軸は屋内外を分けるとともに屋内の場合には窓からの距離を示している。図5に示すように、屋内に移動通信端末1が有る場合には、窓から離れるに従ってGPS測位に要する待機時間は長くなってしまう。このような場合に、GPS衛星G1〜G3の捕捉数に基づいてGPS測位を中止することにより、例えば、移動通信端末1が窓から10m程度離れているために、通常であればGPS測位に要する待機時間が20秒以上かかるところをGPS測位を20秒で打ち切ることにより、移動通信端末1の利用者にGPS測位のために20秒以上待たせなくてすむ。
また、GPS衛星捕捉部5は、GPS受信部3によって受信された測位信号の信号強度(レベル)が、GPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えている場合には、測位可能レベルを超えている測位信号に基づいてGPS衛星G1〜G3を捕捉する。その結果、信号強度の低い測位信号しか受信できなかったGPS衛星G1〜G3は捕捉数として計測されないため、GPS測位によって正確なCPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。
また、GPS測位中止判定部7は、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶されたGPS衛星G1〜G3の位置と想定端末位置Pとを結ぶ直線によって形成される角度が所定の角度以上の場合には、GPS測位中止条件を満たすと判定されるため、移動通信端末1が屋内等に在るか否かの推測が可能になり、GPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。
また、GPS衛星G1〜G3の捕捉数に加え、GPS衛星捕捉部5によって捕捉されたGPS衛星G1〜G3と前回捕捉されたGPS衛星G1〜G3とが同一であるときには、GPS測位中止条件を満たすと判定することにより、GPS衛星G1〜G3の捕捉数が短時間で増加する可能性が低いか否かの推測が可能になり、GPS測位によって測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。
また、GPS測位中止判定手段は、捕捉数に基づいて設定された待機時間が経過したか否かによってGPS測位中止条件を満たすか否かを判定するため、GPS測位によって測位結果を得られる可能性の高低によって待機時間を設定でき、その待機時間の経過の有無によってGPS測位中止判定条件を満たすか否かの判定を行うことにより、移動通信端末1の利用者のGPS測位に要する待機時間を効率良く短縮できる。
また、GPS測位によって測位結果を得ることが難しいと判断される場合には、GPS測位を中止させて基地局利用測位に切り替えるため、移動通信端末1の利用者のGPS測位に要する待機時間を短縮しつつ、測位結果を得ることができる。
なお、GPS測位中止判定部7は、GPS衛星情報記憶部14に記憶されたGPS衛星G1〜G3の軌道情報を参照して不可視衛星の位置情報を抽出し、実際に捕捉された可視衛星の位置情報と不可視衛星の位置情報とに基づいてGPS測位中止条件を満たすか否かの判定を行うこともできる。例えば、図6に示すように、GPS衛星情報記憶部14に記憶されたGPS衛星G1〜G3の軌道情報と基地局100から送信されたデータに基づく基地局位置情報とを用いて第2スカイプロットSP2を生成し、実際に捕捉された可視衛星の位置Gc,Gdを第2スカイプロットSP2上の座標に反映させる。第2スカイプロットSP2上には、捕捉されるはずのGPS衛星G1〜G3の軌道情報OR1〜OR6が示されており、捕捉された可視衛星の位置Gc,Gdと各軌道情報OR1〜OR6とを対比することにより、不可視衛星の軌道情報OR2,OR3,OR5,OR6を特定する。不可視衛星の軌道情報から現時刻における不可視衛星の捕捉エリアを特定し、その捕捉エリアが天頂方向を示す所定の範囲(例えば、仰角が60°以上で、90°以下)に含まれる場合には、GPS測位中止条件を満たしていると判定し、含まれない場合には満たしていないと判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、GPS衛星捕捉部5によってGPS衛星G1〜G3が繰り返し捕捉された場合に、可視衛星履歴記憶部13bに記憶された最新のGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDと前回捕捉に係る過去のGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDとが同一であるか否かの判定が行われているが、所定回数分(例えば、5回分)の過去の捕捉に係るGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDと最新のGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDとがすべて同一であるか否かを判定し、同一である場合には、GPS測位中止条件を満たすと判定し、所定回数分の過去の捕捉に係るGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDのうち、最新の捕捉に係るGPS衛星G1〜G3のSv(t)IDと同一で無いものが一つでもある場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定するようにしてもよい。
また、基地局利用測位部9は、基地局100から送信されたデータから取得される基地局位置情報とGPS衛星G1〜G3から発信された測位信号の到達時間差とを組み合わせて移動通信端末1の位置情報を測位結果として求めたり、複数の基地局100から送信される基地局100と移動通信端末1との間の距離情報から移動通信端末1の位置情報を測位結果として求めるようにしてもよい。
また、GPS衛星捕捉部5によって捕捉されたGPS衛星G1〜G3の捕捉数が3以上の場合にも、GPS測位中止判定部7によってGPS測位中止判定ステップが実行されるようにしてもよい。この場合に、GPS測位中止判定部7は、上記のステップ7またはステップ8と同様の処理を実行し、GPS測位中止条件が成立すると判定する場合にはGPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値をセットし、GPS測位中止条件が成立すると判定しない場合にはGPS測位の継続を示す値をセットするようにしてもよい。
[変形例]
引き続いて、上述した実施形態の変形例について説明する。GPS測位中止判断部7は、上述した実施形態に加えて、以下のようにGPS測位中止条件を満たすと判定してもよい。
即ち、GPS測位中止判定部7は、GPS衛星捕捉部5によってGPS衛星G1〜G3の捕捉が行われた場合に、GPS受信部3により受信された測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えていないGPS衛星G1〜G3に関する測位信号の受信レベルに基づいて、GPS測位中止条件を満たすと判定してもよい。即ち、GPS測位中止判定部7は、捕捉数計測部6によって計測されないながらも測位信号が受信できているGPS衛星G1〜G3を用いて、GPS測位中止条件を満たすか否かを判定する。
具体的には、GPS測位中止判定部7は、それらのGPS衛星G1〜G3から受信される測位信号のCN値(Carrier to Noise ratio)を受信毎に測定しておき、CN値が過去から(例えば、t−1時点とt時点との比較において)増加していない場合には、GPS測位中止条件(第5中止条件)を満たすと判定する。CN値が増加していなければ、時間が経過しても新たなGPS衛星G1〜G3を補足できる可能性は低いからである。一方、CN値が増加していれば、新たなGPS衛星G1〜G3を補足できる可能性が高いため、GPS測位を継続する意義がある。なお、受信レベルを示す情報としては、必ずしもCN値を用いる必要は無く、SN値(Signalto Noise ratio)や受信電力等が用いられてもよい。なお、上記の判定のために測定されたCN値等は、可視衛星情報記憶部13等に記憶されて、判定時に参照される。即ち、GPS測位中止判定部7は、捕捉数計測部6によって計測されないながらも測位信号が受信できているGPS衛星G1〜G3を用いて、GPS測位中止条件を満たすか否かを判定する。
上記のように測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えていないGPS衛星G1〜G3に関する測位信号の受信レベルに基づいて、GPS測位中止条件を判断することにより、受信レベルの低い測位信号しか受信できなかったGPS衛星G1〜G3が存在している場合に、GPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。即ち、GPS測位を中止すべきか否かをより正確に判断できる。
また、GPS測位中止判定部7は、GPS衛星捕捉部5によってGPS衛星G1〜G3の捕捉が行われた場合に、GPS受信部3により受信された測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えているGPS衛星G1〜G3からの測位信号から時刻を示す情報を取得できたか否か(時刻を示す時刻情報が測位信号からデコードできたか)に基づいて、GPS測位中止条件を満たすと判定してもよい。
具体的には、GPS測位中止判定部7は、それらのGPS衛星G1〜G3から受信される測位信号から時刻情報が取得(デコード)できたか判定して、デコードできていない場合、GPS測位中止条件(第6中止条件)を満たすと判定する。GPS衛星G1〜G3からの測位信号から時刻情報が取得できていなければ、測位演算に多くのGPS衛星G1〜G3からの測位信号が必要となるからである。一方、GPS衛星G1〜G3からの測位信号から時刻情報が取得できていれば、測位演算に用いるGPS衛星からの測位信号が少なくて済むので、GPS測位を継続する意義がある。このように、測位信号から時刻情報が取得できているかにより判定することによって、GPS測位を中止すべきか否かをより正確に判断できる。
また、GPS測位中止判定部7は、可視衛星位置情報記憶部13aを参照して、可視衛星の位置情報から以下のように、GPS測位中止条件を満たすと判定することとしてもよい。即ち、GPS測位中止判定部7は、想定端末位置Pから天頂方向の所定の範囲(例えば、仰角が60°以上の範囲、図4における仰角60°の円内の範囲)に位置する可視衛星からの測位信号の受信レベルとそれ以外の可視衛星からの測位信号の受信レベルとの差を算出して、当該差の値によりGPS測位中止条件を満たすか否かを判定する。差の値は、例えば、天頂方向の所定の範囲に位置する可視衛星からの測位信号の受信レベルから、それ以外の可視衛星からの測位信号の受信レベルを引くことによって算出される。GPS測位中止判定部7は、この差の値が予め設定された所定の値以下であるか否かを判定して、所定の値以下であると判定された場合に、GPS測位中止条件(第7中止条件)を満たすと判定する。なお、天頂方向の所定の範囲に可視衛星がない場合も、GPS測位中止条件(第7中止条件)を満たすと判定する。更に、天頂方向の所定の範囲の可視衛星及びそれ以外の可視衛星が複数ある場合には、それらのうち最も強い受信レベルの可視衛星を選択する等判定に用いる可視衛星を適宜、決定する。また、それぞれのエリア(天頂方向とそれ以外)の平均値を比較することとしてもよい。
天頂方向の可視衛星からの測位信号の受信レベルが弱い、あるいは天頂方向に可視衛星が無い場合は、窓などを介して可視衛星が捕捉された可能性が高く、移動通信端末1は屋根等がある建物の屋内に位置している可能性が高い。このような位置に移動通信端末1がある場合には、GPS測位を継続しても短時間で測位結果を得ることができる可能性は低い。そのため、可視衛星の位置情報に基づいた第7中止条件を満たすか否かの判定を行うことにより、GPS測位による測位結果を短時間で得ることができるか否かの判定精度を向上でき、GPS測位に要する待機時間が移動通信端末1の利用者にとって結果的に無駄な時間になってしまうことを防止できる。
GPS測位中止判定部7は、第1〜第3及び第5〜第7中止条件、若しくは第1及び第4〜第6中止条件のすべてを満たす場合、GPS測位中止条件を満たすと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値をセットする。一方、上記いずれかの条件を満たさない場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットする。なお、変形例として、GPS測位中止判定部7は、上記各中止条件のいずれか一つを満たす場合にGPS測位中止条件を満たすと判定し、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値をセットしないようにしてもよい。
更に、上述した実施形態においては、GPS測位中止判定部7は、Sv(t)数の数に応じた待機時間(T1,T2,T3)が経過した場合には、一律にGPS測位中止条件を満たすと判定していた。しかしながら、GPS測位部4によるGPS測位の測位状態、GPS衛星捕捉部5によるGPS衛星G1〜G3の捕捉状態、及び捕捉数計測部6によるGPS衛星G1〜G3の捕捉数の計測結果によっては、更なる時間の経過によってはGPS測位が可能となる可能性があるため、GPS測位を継続させた方がよい場合もある。
そこで、GPS測位中止判定部7は、GPS測位部4によるGPS測位の測位状態、GPS衛星捕捉部5によるGPS衛星G1〜G3の捕捉状態、及び捕捉数計測部6によるGPS衛星G1〜G3の捕捉数の計測結果の少なくとも何れかに基づいてGPS測位を継続させるか否かを判定して、GPS測位を継続させると判定された場合、待機時間が経過していると判定した場合であっても、GPS測位中止条件を満たさないと判定することとしてもよい。本実施形態では、GPS測位を継続させるか否かを判定することを停止可否判定と呼ぶ。
具体的には例えば、GPS測位中止判定部7は、GPS測位部4によるGPS測位により自端末1の位置が算出可能である場合に、GPS測位を継続させると判定する。GPS測位部4は、GPS測位演算により自端末1の速度を推定ドリフト値(Drift値)という形で算出する。GPS測位中止判定部7は、GPS測位部4によって自端末1の移動速度が算出されれば(算出可能であれば)、GPS測位により自端末の位置が算出可能であるとして、GPS測位を継続させることにする。自端末1の移動速度を参照することで、位置が求まっているかどうかを判定することができ、位置が求まっていればGPS測位可能な衛星数が可視である、即ち、その場合、GPS測位を継続させることが好ましいためである。なお、ここで算出可能とされる自端末1の位置は、必ずしも、GPS測位結果としてのものでなくてもよい。即ち、ここで算出可能とされる自端末1の位置は、精度が問われるものではない(所定の誤差範囲を超えるものであってもよい)。
また、GPS測位中止判定部7は、可視衛星がゼロであるが、GPS受信部3によりGPS衛星G1〜G3から受信された測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えていないGPS衛星(ただし周波数を捉えられるレベルを超えている)をGPS衛星捕捉部5が検出した場合に、GPS測位を継続させることにする。上記のような測位信号が受信されるGPS衛星G1〜G3は、時間の経過により可視衛星となりえ、その結果、GPS測位が可能になる可能性があるので、GPS測位を継続させることが好ましいためである。なお、周波数を捉えられるレベルの測位信号の受信が一定時間(例えば、6秒等の数秒、この時間は予め定められる)継続していても可視衛星となっていない場合、可視衛星となる可能性が低いので、一定時間経過(例えば、6秒等の数秒、この時間は予め定められる)後は、GPS測位を継続させることとしないこととするのがよい。また、上記のGPS衛星G1〜G3が複数ある場合に、GPS測位を継続させることとしてもよい。
また、GPS測位中止判定部7は、捕捉数計測部6によるGPS衛星G1〜G3の捕捉数が、予め設定された所定数以上(例えば、2つ以上)であった場合に、GPS測位を継続させることとしてもよい。具体的には例えば、GPS測位中止判定部7は、測位開始時間からの経過時間tが測位タイムアウト値T0(GPS測位を強制的に終了させるためのタイムアウト値、待機時間T1,T2,T3よりも大きい値が設定される)の直前(例えば、タイムアウト値と経過時間との差が予め設定された閾値以下である)で、可視衛星が2以上、かつ当該可視衛星の測位信号から時刻情報が取得できている場合に、GPS測位を継続させることとしてもよい。時刻情報の取得は、受信レベルが強い場合に可能になる。時刻情報が取得されれば、測位演算に用いるGPS衛星からの測位信号が少なくて済むので、GPS測位をしやすい状況であるためである。
更に、GPS測位中止判定部7は、捕捉数計測部6により計測されるGPS衛星G1〜G3の捕捉数の時間変化に基づいて、GPS衛星G1〜G3の捕捉数の精度を算出して、当該精度にも基づいてGPS測位を継続させるか否かを判定することが望ましい。捕捉数の精度とは、時間の経過によって捕捉数が変化しない度合を示している。捕捉数の精度の算出方法については、後述する。GPS測位中止判定部7は、可視衛星が2以上、算出された衛星数の精度が予め設定された所定値以下であり(捕捉される衛星数が増える可能性が大きい)、かつ、測位開始時間からの経過時間が測位タイムアウト値T0から予め設定された時間(例えば2秒)以上ある場合に、GPS測位を継続させることとしてもよい。上記の状況は、GPS測位をしやすい状況であるためである。
また、上述した実施形態においては、移動通信端末1では、GPS測位制御部8は、GPS測位中止判定部7によりGPS測位中止条件を満たすと判定された場合には、測位方式を基地局利用測位方式に切り替えて基地局利用測位部19に測位のための演算処理を実行させていた。しかしながら、基地局利用測位方式による測位は、移動通信端末1において行われる必要はなく、移動通信端末1(の通信部2)と基地局との間で送受信された信号に基づいて、移動通信端末1の測位を行う測位サーバで行われることとしてもよい。その場合、GPS測位制御部8は、測位サーバに自端末の測位を要求する(要求信号を送信する)。
図11に示すように、測位サーバ200は、受付部201と、測位部202と、送信部203とを備える。受付部201は、移動通信端末1から移動通信端末1の測位の要求である要求信号を受信することにより受け付ける受付手段である。測位部202は、受付部201により要求が受け付けられると、1以上の基地局から、当該基地局と要求信号に係る移動通信端末1との間で送受信される信号の伝送遅延の情報を取得して、当該情報から測位演算を行うことによって移動通信端末1の位置を算出することにより、移動通信端末1の測位を行う測位手段である。測位演算には、基地局から送信される移動通信端末1が位置するセクタの情報等が用いられてもよい。また、基地局測位とGPS測位とを組み合わせた測位演算が行われてもよい。その場合、移動通信端末10が取得したGPS測位に係る情報が、例えば上記の要求信号と共に、移動通信端末10から測位サーバ200に送信される。送信部203は、算出した移動通信端末1の位置を示す情報(測位結果の情報)を、要求信号に係る移動通信端末1に送信する送信手段である。移動通信端末1は、測位サーバ200から測位結果の情報を受信する。移動通信端末1と測位サーバ200とは、測位演算システムを構成する。なお、測位サーバ200は、移動通信端末1と信号を送受信を行う基地局を含む移動体通信網に接続されており、例えば、CPU及びメモリ等を備えるコンピュータとして構成される。
引き続いて、図7のフローチャートを用いて、上述した構成を有する移動通信端末1のGPS測位における動作について説明する。GPS測位は、ユーザによる操作等をトリガとして開始される。GPS測位の開始時には、移動通信端末1において保持される、測位開始時からの測位時間を示すタイムパラメータ(t)(sec)及び捕捉回数を示す捕捉回数パラメータ(m)がゼロにされる。
続いて、捕捉回数パラメータ(m)に“1”(回)が加算され、タイマパラメータ(t)に“1”(sec)が加算される(S21、図3におけるS1,S2に対応する)。これはGPS受信機からの出力が1秒間隔で行われることを想定したものである。フローの途中で戻った場合でも、この1秒おきのタイミングを待つことになる。続いて、GPS測位の開始からの経過時間tが測位タイムアウト値T0以下であるか否かが判断される(S22)。ここで、経過時間tが測位タイムアウト値T0を超えていた場合は、そこまでの測位結果が表示部11に表示されて(S31、図3におけるS16に相当する)、測位が終了する。
経過時間tが測位タイムアウト値T0以下であった場合は、GPS衛星G1〜G3から発信された測位信号が、GPS受信部3によって受信され、GPS受信部3からGPS衛星捕捉部5及び捕捉数計測部6に入力される。続いて、GPS衛星捕捉部5によって、衛星捕捉ステップが実行されて、衛星捕捉ステップの結果に基づいて、捕捉数計測部6によって捕捉数計測ステップが実行される(S23、図3におけるS3に対応する)。また、この時点で、GPS衛星捕捉部5によって、時刻情報の取得が可能な測位信号から時刻情報の取得が行われる。また、信号強度が測位可能レベル未満である測位信号が、GPS測位中止判定部7に入力される。GPS測位中止判定部7では、それらの測位信号から後述する判定に用いる情報(CN値)が測定されて、可視衛星情報記憶部13等に記憶され判定時に参照される。
続いて、GPS測位部14によって、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶されている各種データと各可視衛星からの測位信号の到達時間差とに基づいてGPS測位のための演算処理が行われて、移動通信端末1の位置情報が測位結果として取得される(S24、図3におけるS14に対応する)。続いて、GPS測位部14によって、GPS測位結果が所定の誤差範囲を超えているか否かが判定される(S25)。GPS測位結果が所定の誤差範囲内と判定される場合には、GPS測位結果が適正と判定され、測位結果が表示部11に出力されて(S31、図3におけるS16に相当する)、所定のリセット処理の後に測位を終了する。
一方、GPS測位結果が所定の誤差範囲を超えていると判定される場合、又はそもそもGPS測位結果がない場合には、GPS測位結果が不適正と判定される。その場合、続いて、GPS測位中止判定部7によって、GPS衛星G1〜G3の捕捉数の精度が算出される(S26)。GPS衛星G1〜G3の捕捉数の精度の算出(予測)の処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
まず、GPS測位の開始からの経過時間tが取得される。続いて、測位タイムアウト値T0から測位の進捗度が計算される(S261)。測位の進捗度とは、測位タイムアウト値T0に対しての経過時間tの割合を示す度合であり、例えば、経過時間tを測位タイムアウト値T0で割り算することで求められる。具体的には、測位タイムアウト値T0が20秒で、10秒経過していた場合は、進捗度は50%となる。続いて、現在の可視衛星数を示す情報が取得される(S262)。
続いて、過去の可視衛星数(可視衛星数の推移)を示す情報が取得される(S263)。続いて、現在の可視衛星数と、過去の可視衛星数の推移と、測位の進捗度とから、測位タイムアウト値T0の(測位タイムアウト時の)可視衛星数が予測される(S264)。具体的には、例えば、図9のグラフに示すように、現在の可視衛星数と、過去の可視衛星数の推移とを用いた回帰分析を行い、時刻に応じた可視衛星数の関数を算出することによって、予測を行う(図9では、実線が実測値、破線が算出された関数である)。
続いて、予測された可視衛星数に基づいて、測位タイムアウト時の可視衛星と、現在の可視衛星とを比較し、現在の可視衛星数の精度が算出される(S265)。当該精度は、可視衛星数の変動が大きくなると、小さくなる度合であるので、例えば、現在の可視衛星数と測位タイムアウト値T0の可視衛星数との差を入力値として、当該差が大きければ小さくなる関数値が出力される関数を用いて、精度が算出される。また、進捗度が高いほど、精度を大きくする。具体的には例えば、進捗度に応じた値を精度に加算する。以上がGPS衛星G1〜G3の捕捉数の精度の算出の処理である。
続いて、GPS測位中止判定部7によって停止可否判定が行われる(図7のS27)。停止可否判定の処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
まず、GPS測位部4によるGPS測位(S24)により自端末1の位置が算出可能かが判断される(S271)。GPS測位部4によるGPS測位により自端末1の位置が算出可能であると判断されると、GPS測位を継続させることとされる。GPS測位を継続させる旨の情報は移動通信端末1のメモリ上に記憶される(以下、同様)。
GPS測位を継続させることとされなかった場合、続いて、可視衛星がゼロであるが、GPS受信部3によりGPS衛星G1〜G3から受信された測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベル未満であるが、周波数を捉えられるレベルを超えていることをGPS衛星捕捉部5が検出したかどうかが判定される。また、上記の測位信号の受信が一定時間(例えば、6秒等の数秒)継続しているかが判定される(S272)。判定の結果、上記の判定で、上記の受信が一定時間なされていると判定されると、GPS測位を継続しないこととされ、その情報は移動通信端末1のメモリ上に記憶される。
GPS測位を継続させることとされなかった場合、続いて、測位開始時間からの経過時間tが測位タイムアウト値T0の直前で、捕捉数計測部6によるGPS衛星G1〜G3の捕捉数が、予め設定された所定数(例えば、2つ)以上であり、かつ、当該可視衛星の測位信号から時刻情報が取得できているか否かが判定される(S273)。経過時間tが測位タイムアウト値T0の直前で、捕捉数が2以上であり、かつ、当該可視衛星の測位信号から時刻情報が取得できていると判定されると、GPS測位を継続させることが有効であるとされ、その情報は移動通信端末1のメモリ上に記憶される。
GPS測位を継続させることとされなかった場合、続いて、捕捉数計測部6によるGPS衛星G1〜G3の捕捉数が予め設定された所定数(例えば、2)以上であり、捕捉数の精度が所定値以下であり、かつ、測位開始時間からの経過時間が測位タイムアウト値T0から予め設定された時間(例えば、3秒等の数秒)以上あるかが判定される(S274)。捕捉数が予め設定された所定数以上であり、捕捉数の精度が所定値以下であり、かつ、測位開始時間からの経過時間tが測位タイムアウト値T0から予め設定された時間以上あると判定されると、GPS測位を継続させることとされる。ここまでの処理で、GPS測位を継続させることとされなかった場合、GPS測位を継続させないこととされる。なお、本実施形態では、停止可否判定の何れかの条件を満たせば、GPS測位を継続させることとしているが、複数の条件を満たした場合にGPS測位を継続させることにするようにしてもよい。以上が停止可否判定の処理である。
続いて、GPS測位中止判定部7によって、GPS測位の開始からの経過時間tが、捕捉数に応じたGPS測位中止時間T1,T2,T3を経過しているか否かが判定される(図7のS28、図3におけるS4,S5,S6,S13に相当する)。経過していると判定された場合には、続いて、GPS測位を継続させることとされているか否かが判定される(S29)。この判定は、上述した停止可否判定の処理により、GPS測位を継続させることが有効である旨の情報は移動通信端末1のメモリ上に記憶されているかが確認されて行われる。
GPS測位を継続させることが有効でないと判定された場合には、GPS測位中止条件を満たしていると判定され、GPS測位を継続させることが有効であると判定された場合にはGPS測位中止条件を満たしていないと判定される。そして、GPS測位中止条件を満たしていると判定される場合には、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値がセットされ、GPS測位中止条件を満たしていないと判定される場合には、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値がセットされる。
GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位中止を示す値がセットされると、GPS測位制御部8によってGPS測位制御ステップが実行される(S30、図3におけるS10に相当する)。GPS測位制御部8によって、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶されている可視衛星のSv(t)IDや位置情報が削除されると共に、GPS測位部14によるGPS測位のための演算処理が中止されてGPS測位が中止される。代わりに基地局利用測位部9に測位を行わせる。その測位結果は表示部11に出力(S31、図3におけるS16に相当する)され、測位は終了する。なお、ここで、GPS測位と基地局測位との両方を用いた測位が行われてもよい。また、ここで、基地局利用測位部9により測位が行われる代わりに、GPS測位制御部8から測位サーバに自端末1の測位が要求されてもよい。
GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値がセットされている場合には、GPS測位制御部8によって、GPS測位を継続させるためにS21の処理に移行され、S21以降の処理が繰り返される。
一方、S28において、GPS測位の開始からの経過時間tが、捕捉数に応じたGPS測位中止時間T1,T2,T3を経過していないと判定された場合は、続いて、GPS測位中止判定部7によってGPS測位中止判定ステップが実行される。ここで、GPS測位中止判定部7によって、測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えているGPS衛星G1〜G3、即ち、Sv(t)IDに対応するGPS衛星G1〜G3からの測位信号から時刻信号が取得できているかが判定される(S35)。時刻信号が取得できていると判定されると、捕捉回数パラメータ(m)に“0”(回)がセットされて(S33、図3におけるS11に相当する)、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値がセットされる。その後、GPS測位制御部8によって、新たなGPS測位を開始させるために所定のリセット処理の後にS21の処理に移行される。
GPS測位中止判定部7によって、S35において測位信号から時刻信号が取得できていないと判定されると、次のGPS測位中止判定ステップが実行される。ここで、GPS測位中止判定部7によって、可視衛星履歴記憶部13bに記憶されたSv(t)IDが抽出される。可視衛星履歴記憶部13bには、1秒間隔でGPS衛星捕捉部5によって抽出されたSv(t)IDの履歴が記憶されており、GPS測位中止判定部7によって、直近捕捉に係るSv(t)IDが前回捕捉分(t−1時点)に係るSv(t)IDと同一か否かが判定される(S32、図3におけるS7に相当する)。同一でなければ捕捉回数パラメータ(m)に“0”(回)がセットされて(S33、図3におけるS11に相当する)、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値がセットされる。その後、GPS測位制御部8によって、新たなGPS測位を開始させるために所定のリセット処理の後にS21の処理に移行される。
GPS測位中止判定部7によって、S32において同一と判定されると、次のGPS測位中止判定ステップが実行される。ここで、GPS測位中止判定部7によって、測位信号の受信レベルがGPS測位に用いることが可能な測位可能レベルを超えていないGPS衛星G1〜G3、即ち、Sv(t)ID以外GPS衛星G1〜G3のCN値が前回捕捉分(t−1時点)から増加しているかが判定される(S34)。増加していれば捕捉回数パラメータ(m)に“0”(回)がセットされて(S33、図3におけるS11に相当する)、GPS測位中止フラグメモリ(図示せず)にGPS測位継続を示す値がセットされる。その後、GPS測位制御部8によって、新たなGPS測位を開始させるために所定のリセット処理の後にS21の処理に移行される。
GPS測位中止判定部7によって、S34において増加していないと判定されると、次のGPS測位中止判定ステップが実行される。ここで、GPS測位中止判定部7によって、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶された複数のGPS衛星の位置情報に基づいて、想定端末位置Pから天頂方向の所定の範囲に位置する可視衛星からの測位信号の受信レベルとそれ以外の可視衛星からの測位信号の受信レベルとの差を算出して、当該差の値が予め設定された所定の値以下であるか否かが判定される(S39)。上記の差の値が予め設定された所定の値以下でない場合には後述のS38に進む。
上記の差の値が予め設定された所定の値以下である場合には、GPS測位中止判定部7によって、更に、可視衛星位置情報記憶部13aに記憶された二つの可視衛星の位置情報からSv(t)間、つまり二つの可視衛星間の角度が所定の値φ以下であるか否かが判定されて、さらに、各可視衛星の仰角が所定の範囲内であるか否かが判定される(S36、図3におけるS8に相当する)。二つの可視衛星間の角度が所定の値φ以下で、且つ、各可視衛星の仰角が所定の範囲に含まれるという条件を満たす場合には、後述のS37に進み、条件を満たさない場合には後述のS38に進む。
S37(図3におけるS9に相当する)に進むと、GPS測位中止判定部7によって、図示しない捕捉回数記憶部を参照して捕捉回数上限値M1が抽出されて、捕捉回数パラメータ(m)の値が捕捉回数上限値M1以下であるか否かが判定される。そして、捕捉回数パラメータ(m)の値が、捕捉回数上限値M1以下であると判定される場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定され、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位継続を示す値がセットされる。捕捉回数パラメータ(m)が、捕捉回数上限値M1を超えると判定される場合には、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値がセットされる。
また、S38(図3におけるS11)に進むと、GPS測位中止判定部7によって、図示しない捕捉回数記憶部を参照して捕捉回数上限値M2が抽出されて、捕捉回数パラメータ(m)の値が捕捉回数上限値M2以下であるか否かが判定される。そして、捕捉回数パラメータ(m)の値が、捕捉回数上限値M2以下であると判定される場合には、GPS測位中止条件を満たさないと判定されて、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位継続を示す値がセットされる。捕捉回数パラメータ(m)が、捕捉回数上限値M2を超えると判定される場合には、GPS測位中止フラグメモリにGPS測位中止を示す値がセットされる。なお、GPS測位を継続させることとされているか否かの判定及び判定に応じた処理の分岐(S29)は、S37又はS38において捕捉回数パラメータ(m)の値が捕捉回数上限値M2以下でないと判定された場合(S30の直前)にも行われてもよい。
その後、GPS測位制御部8によって、GPS測位中止フラグメモリが参照されて、GPS測位を継続させることを示す値がセットされている場合にはS21に戻り、GPS測位を中止させることを示す値がセットされている場合にはGPS測位を中止させ、測位方式がGPS測位から基地局利用測位等に切り替えられる(S30)。その後、測位結果が表示部11に出力されて(S31)、所定のリセット処理の後に測位を終了する。以上が、本変形例に係る移動通信端末1のGPS測位における動作である。
上述したように、CN値等の受信レベルに基づいて、GPS測位を継続させるか否かを判定させるようにすれば、受信レベルの低い測位信号しか受信できなかったGPS衛星G1〜G3が存在している場合に、GPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。また、測位信号から時刻情報が取得できているかに基づいて、GPS測位を継続させるか否かを判定させるようにすれば、GPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。即ち、GPS測位を中止すべきか否かをより正確に判断できる。
また、天頂方向のGPS衛星G1〜G3からの測位信号の受信レベルに基づいて、GPS測位を継続させるか否かを判定させるようにすれば、移動通信端末が屋内等に在るか否かの推測が可能になり、GPS測位結果を短時間で得ることが可能か否かの判定精度を向上できる。
また、上述したように停止可否判定を行うこととすれば、時間の経過によりGPS測位が可能であると推測される場合に、GPS測位中止時間T1,T2,T3の経過後であっても、測位できる可能性がある場合に測位を中止させずにGPS測位を継続させることができる。停止可否判定の具体的な判定方法としは、上述のものを用いることができる。
また測位を、1秒おきに行っているが(これはGPS受信機からの出力が1秒間隔で行われることを想定したものである)、必ずしもGPS受信機からの出力間隔に合わせる必要はない(1秒おきでなくてもよい)。フローの最初(戻った場合も含む)でtに”1“(sec)を追加せず、開始からの経過時間を計測してもよいし、またS32のSv(t)IDの比較も、現在に最も近い時間に取得したSv(t)IDと比較してもよい。
また、GPS測位ができなかった場合であっても、測位サーバに測位を要求することとすれば、移動通信端末の測位結果を得ることができる。
1…移動通信端末、2…通信部、3…GPS受信部、5…GPS衛星捕捉部、6…捕捉数計測部、7…GPS測位中止判定部、8…GPS測位制御部、13a…可視衛星位置情報記憶部、19…基地局利用測位部、100…基地局、G1,G2,G3…GPS衛星。