JP4753852B2 - 伸縮性不織布 - Google Patents

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Description

本発明は伸縮性不織布に関する。
ポリオレフィン系の共重合体からなる繊維を含み、伸を有する不織布が種々知られている。例えば特許文献1には、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含む繊維からなる伸縮性不織布が記載されている。このプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒によって重合されたものであり、α−オレフィンの含有量が2〜23モル%である。この不織布は加熱処理を施すことで伸縮性を発現する。つまり、前記のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含む繊維は、それ自体が弾性を有するものではない。したがって、この不織布は、伸縮特性が十分なものとはならない。
特許文献2には、エチレン・α−オレフィン共重合体からなるポリオレフィン系エラストマーからなるメルトブローン不織布の一面にポリウレタン不織布を配すると共に、他面にポリエチレンテレフタレート長繊維からなる丸編地を配し、これらをカレンダー処理して接合した積層体が記載されている。このエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.90g/cm3以上であり、α−オレフィン含有量が8〜25モル%である。この積層体は伸長させた後の収縮性が十分とは言えない。
エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた伸縮性不織布として、本出願人は先に、結晶性ポリプロピレンからなるハードエラスチック成分を第1成分とし、熱可塑性エラストマーを第2成分とし、第1成分を鞘、第2成分を芯とする芯鞘型の伸縮弾性複合繊維からなり、熱可塑性エラストマーが、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体からなる伸縮性不織布を提案した(特許文献3参照)。この不織布は伸縮性が良好であり、また布様の風合いを有するものである。しかし、更に伸縮性が高い不織布が望まれている。
特開2003−49352号公報 特開2003−53894号公報 特開平9−291454号公報
したがって本発明の目的は、伸縮性を始めとする各種特性が一層向上した伸縮性不織布を提供することにある。
本発明は、プロピレンを主体とするポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維、及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維又は非弾性繊維を含む弾性繊維層を有し、
前記ポリオレフィン系エラストマーはそのプロピレン含有率が80〜90重量%で、その密度が0.855〜0.880g/cm3である伸縮性不織布を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の伸縮性不織布は、従来の伸縮性不織布と比較して伸縮特性が一層高いものとなる。また引張強度が高くなる。更に、ポリオレフィン系エラストマーは、非弾性繊維層との融着性が高くなる。その結果、弾性繊維層に非弾性繊維層が積層された場合には、両層の接合が良好になり、層間剥離が起こりづらくなる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維層を有している。伸縮性不織布は、弾性繊維層のみから構成されていてもよく、或いは後述する図1に示すようにその少なくとも一方の面に実質的に非弾性の非弾性繊維層が積層されていてもよい。弾性繊維層は弾性繊維を含んでいる。弾性繊維層は弾性繊維のみからなるか、又は弾性繊維及び伸長性の非弾性繊維を含んでいる。弾性繊維は1種又は2種以上を用いることができる。弾性繊維層に非弾性繊維が含まれる場合、非弾性繊維は1種又は2種以上を用いることができる。
弾性繊維のうちの少なくとも1種の繊維は、プロピレンを主体とするポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維である。弾性繊維層に含まれる弾性繊維は、該ポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維のみであるか、又は該弾性繊維及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維である。
前記ポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維は、該ポリオレフィン系エラストマーのみから構成されるか、又は該ポリオレフィン系エラストマー及び他の1種又は2種以上の樹脂を含有して構成される。
本発明で用いられる前記ポリオレフィン系エラストマーは、特定量のプロピレンを含むこと及び低密度であることによって特徴付けられる。該ポリオレフィン系エラストマーは、プロピレンを主体とするもの、つまりプロピレン・α−オレフィン共重合体である。このポリオレフィン系エラストマーは、プロピレン含有率が80〜90重量%である。またポリオレフィン系エラストマーは、その密度が0.855〜0.880g/cm3である。この範囲のプロピレン含有率は、従来用いられているポリプロピレン系エラストマーのプロピレン含有率と比較して低いレベルにあり、またこの範囲の密度は、従来用いられているポリプロピレン系エラストマーの密度と比較して低いレベルにある。つまり、本実施形態で用いられるポリオレフィン系エラストマーは、低プロピレン含有率及び低密度を有することによって特徴付けられる。このような特徴を有するポリオレフィン系エラストマーを構成樹脂として含む弾性繊維を用いることで、本発明の伸縮性不織布は、その伸縮特性が従来のものに比較して一層高くなる。
特に、前記のポリオレフィン系エラストマーが低プロピレン含有率及び低密度を有することによって、弾性繊維を溶融紡糸するときの糸切れが起こりにくくなり、細径の連続繊維を容易に製造することができる。弾性繊維を細径にできることは、伸縮特性の向上に大きく寄与する。弾性繊維を連続繊維(フィラメント)にできることも、伸縮特性の向上に大きく寄与する。また、前記のポリオレフィン系エラストマーが低プロピレン含有率及び低密度を有することによって、弾性繊維自体の取り扱い性(例えば膠着しづらい等)が良好になる。更に伸縮性不織布の表面の毛羽立ちも抑えられる。その上、弾性繊維自体の引張強度が高くなり、ひいては伸縮性不織布の引張強度も高くなる。しかも、後述するように、弾性繊維層と非弾性繊維層とを積層する場合には、両層の融着性が高くなる。これらの観点から、ポリオレフィン系エラストマーのプロピレン含有率を特に82〜88重量%とすると、前記の諸特性が一層向上する。ポリオレフィン系エラストマーの密度を0.860〜0.870g/cm3とすることも同様の効果がある。
ポリオレフィン系エラストマーにおけるプロピレン含有率は、次の方法で測定される。ポリオレフィン系エラストマーについて13C−NMR測定を行う。得られたNMRスペクトルから、プロピレンとその他のα−オレフィン成分との重量比を算出する。そして、プロピレンの重量比を100%換算したものをプロピレン含有率とする。またポリオレフィン系エラストマーの密度は、JIS−K7112のC法(浮沈法)に準拠して測定される。なお、密度の測定環境は23℃、50%RHであり、浸漬液にはエタノール/蒸留水を使用する。
ポリオレフィン系エラストマーの重合方法に特に制限はないが、重合触媒としてメタロセン触媒を用いると、得られるポリオレフィン系エラストマーが均質なものとなるので好ましい。メタロセン触媒を用いる場合の重合法としては、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶媒を用いない気相法、モノマーを溶媒として用いるバルク重合法等を用いることができる。メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属をπ電子系のシクロペンタジエニル基又は置換シクロペンタジエニル基等を含有する不飽和環状化合物ではさんだ構造の化合物であるメタロセンと、アルミニウム化合物等の助触媒とを組み合わせたものである。メタロセンとしては、例えば、チタノセン、ジルコノセン等が挙げられる。アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミノキサン、アルキルアルミニウム、アルミニウムハライド、アルキルアルミニウムハライド等が挙げられる。
ポリオレフィン系エラストマーはそのメルトフローレート(MFR)が2〜350g/10min、特に20〜200g/10minであることが、弾性繊維を溶融紡糸するときの糸切れが一層起こりにくくなり、一層細径の連続繊維を容易に製造し得る点から好ましい。MFRは、ASTM D−1238に準拠して測定される。なおその測定条件は、230℃、荷重2.16kgである。
ポリオレフィン系エラストマーはその融解熱量値Aが2〜20mJ/mg、特に4〜18mJ/mgであることが好ましく、かつ融解熱量値Bが12〜24mJ/mg、特に13〜22mJ/mgであることが好ましい。各融解熱量値が前記の範囲内であると、引張強度を適度に保ちながら伸縮性が向上し、かつ溶融紡糸性が良くなるので好ましい。各融解熱量値は、示差走査熱量測定(DSC)で求められる。融解熱量値Aは、10℃/分で昇温しながらDSC曲線を得、その160〜165℃に現れた吸熱ピークにおける熱量から求められる。融解熱量値Bは、10℃/分で昇温しながらDSC曲線を得、その40〜60℃に現れた吸熱ピークにおける熱量と融解熱量値Aとの和から求められる。
プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数2又は4〜20のα−オレフィンが挙げられる。例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのα−オレフィンのうちエチレン、1−ブテンが特に好ましく用いられる。特に、α−オレフィンを両末端ブロック(末端ブロック分子量5000以上)以外の位置に重合したものが好ましい。
ポリオレフィン系エラストマーは、その重量平均分子量が140,000〜280,000、特に150,000〜240,000であることが好ましい。
先に述べた通り、前記ポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維は、樹脂成分として該ポリオレフィン系エラストマーのみから構成されていてもよく、或いは該ポリオレフィン系エラストマーと他の1種又は2種以上の樹脂とを含有して構成されていてもよい。何れの場合であっても、弾性繊維は、短繊維の形態でもよく、或いは長繊維の形態でもよい。弾性繊維が前記のポリオレフィン系エラストマー及び他の樹脂を含有する場合、弾性繊維におけるポリオレフィン系エラストマーの含有率は10〜99重量%、特に50〜80重量%であることが好ましい。
弾性繊維が前記のポリオレフィン系エラストマー及び他の樹脂を含有する場合、当該他の樹脂としては、例えば、ゴム、またはSBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを原料とする樹脂を用いることができる。これらは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
弾性繊維が前記のポリオレフィン系エラストマー及び他の樹脂を含有する場合、該弾性繊維の繊維形態としては、(イ)該ポリオレフィン系エラストマーと他の樹脂とのブレンドポリマーからなる単一繊維、(ロ)該ポリオレフィン系エラストマーと他の樹脂とを含有する複合繊維の形態が挙げられる。該複合繊維としては、芯鞘型複合繊維、サイド・バイ・サイド型複合繊維、分割繊維などが挙げられる。
前記のポリオレフィン系エラストマーは、先に述べたプロピレン含有率及び密度を有しているので、それ単独で溶融紡糸しても紡糸性が非常に良好である。したがって、他の樹脂を併用して紡糸性を高める必要はない。他の樹脂を併用すると、ポリオレフィン系エラストマーが本来的に有する伸縮性が損なわれる可能性がある。つまり、弾性繊維は、樹脂成分として、前記のポリオレフィン系エラストマーのみから構成されていることが特に好ましい。
先に述べた通り、弾性繊維層には、前記のポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維に加えて、該弾性繊維と異なる他の弾性繊維が含まれていてもよい。他の弾性繊維としては、前記のポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維と共に不織布を形成し得るものであればその種類に特に制限はない。他の弾性繊維としては、例えばスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーを含有する弾性繊維が挙げられる。弾性繊維全体の重量に対する当該他の弾性繊維の配合割合は5〜80重量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。
また弾性繊維層には、前記のポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維に加えて、或いは、該弾性繊維及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維に加えて、伸長性を有する非弾性繊維が含まれていてもよい。非弾性繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。弾性繊維層が、弾性繊維と非弾性繊維とを含んで構成されている場合、前者/後者の重量比は、20/80〜80/20、特に30/70〜70/30であることが、良好な伸縮特性を有し、高い強度を実現させ、肌触りが良好で、風合いが向上する点から好ましい。
先に述べた通り、本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維層のみから構成されていてもよく、或いはその少なくとも一方の面に実質的に非弾性の非弾性繊維層が積層されていてもよい。図1には本発明の伸縮性不織布の好ましい一実施形態における断面構造の模式図が示されている。本実施形態の伸縮性不織布10は、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層されて構成されている。
弾性繊維層1は弾性繊維を含む集合体である。弾性繊維層1は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。弾性繊維層1は、少なくとも面と平行な一方向において、100%伸長後に収縮させたときの残留歪みが20%以下、特に10%以下であることが好ましい。この値は、少なくとも、MD方向及びCD方向の何れか一方において満足することが好ましく、両方向において満足することがより好ましい。
弾性繊維層1に含まれる弾性繊維は、例えば溶融した樹脂をノズル孔より押し出し、この押し出された溶融状態の樹脂を熱風により伸長させることによって繊維を細くするメルトブローン法や、半溶融状態の樹脂を冷風や機械的ドロー機によって延伸するスパンボンド法によって製造される。また、メルトブローン法の特殊な方法である、メルトブローン法にスパンボンド法を組み合わせたスピニングブローン法によって弾性繊維を製造することもできる。
弾性繊維層1は、弾性繊維を含むウェブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されたウェブや不織布であり得る。特に好ましくは、スピニングブローン法で得られたウェブである。
スピニングブローン法においては、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部を、前記ノズルを中心に対向配置し、その下流に一対の冷風吐出部を、前記ノズルを中心に対向配置した紡糸ダイを用いる。スピニングブローン法によれば、溶融繊維の熱風による伸長と、冷風による冷延伸とが連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウェブを得ることができる。連続フィラメントのウェブは、短繊維のウェブに比較して高伸長時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすいことから、本実施形態において極めて有利である。
スピニングブローン法に用いられる紡糸ダイとしては、例えば特開平3−174008号公報の図2に示されるものや、特許第3335949号公報の図1ないし図4に示されるものを用いることができる。
非弾性繊維層2,3は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維どうしの交点において熱融着していた両繊維どうしが離れたり、繊維どうしの熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合の何れであっても良い。
非弾性繊維層2,3を構成する繊維としては、弾性繊維層1に含まれ得る伸長性の非弾性繊維として先に説明したものと同様のものを用いることができる。非弾性繊維層2,3は、連続フィラメント又は短繊維のウェブ又は不織布であり得る。特に、短繊維のウェブであることが、厚みのある嵩高な非弾性繊維層2,3を形成し得る点から好ましい。2つの非弾性繊維層2,3は、構成繊維の材料、坪量、厚み等に関して同じであっても良く、或いは異なっていてもよい。芯鞘型の複合繊維の場合、芯がPET、PP、鞘が低融点PET、PP、PEが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、弾性繊維層の構成繊維との熱融着が強くなり、層剥離が起こりにくい点で好ましい。
2つの非弾性繊維層2,3のうち少なくとも一方は、その厚みが弾性繊維層1の厚みの1.2〜20倍、特に1.5〜5倍になっていることが好ましい。一方、坪量に関しては、2つの非弾性繊維層2,3のうち少なくとも一方は、その坪量よりも弾性繊維層の坪量の方が高くなっていることが好ましい。換言すれば、非弾性繊維層は、弾性繊維層よりも厚く且つ坪量が小さいことが好ましい。厚みと坪量とがこのような関係になっていることで、非弾性繊維層は、弾性繊維層に比較して厚みのある嵩高なものとなる。その結果、伸縮性不織布10は柔らかで風合いの良好なものとなる。
非弾性繊維層2,3の厚みそのものに関しては、0.05〜5mm、特に0.1〜0.5mmであることが好ましい。一方、弾性繊維層1の厚みそのものに関しては、非弾性繊維層2,3の厚みよりも小さいことが好ましく、具体的には0.01〜2mm、特に0.1〜0.2mmであることが好ましい。厚みの測定は伸縮性不織布断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
非弾性繊維層2,3の坪量そのものに関しては、弾性繊維層の表面を均一に覆う観点及び残留歪みの観点から、それぞれ1〜60g/m2、特に5〜15g/m2であることが好ましい。一方、弾性繊維層1の坪量そのものに関しては、伸縮特性及び残留歪みの観点から、非弾性繊維層2,3の坪量よりも大きいことが好ましい。具体的には5〜80g/m2、特に10〜40g/m2であることが好ましい。
構成繊維の繊維径に関し、弾性繊維層1の構成繊維の繊維径は、少なくとも一方の非弾性繊維層2,3の構成繊維の繊維径の1.2〜5倍、特に1.2〜2.5倍であることが好ましい。これに加えて弾性繊維層1の構成繊維は、通気性及び伸縮特性の観点から、その繊維径が5μm以上、特に10μm以上が好ましく、100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。一方、非弾性繊維層2,3の構成繊維は、その繊維径が1〜30μm、特に10〜20μmであることが好ましい。つまり、非弾性繊維層2,3の構成繊維としては、弾性繊維層1の構成繊維よりも細めのものを用いることが好ましい。これによって、表層に位置する非弾性繊維層2,3の構成繊維の融着点が増加する。融着点の増加は、伸縮性不織布10の毛羽立ち発生の防止に有効である。さらに、細めの繊維を用いることで肌触りの良い伸縮性不織布10が得られる。
図1に示すように、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3とは、弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面で接合されていることが好ましい。つまり、部分接合されている従来の伸縮性不織布とは、接合状態が異なっていることが好ましい。本実施形態の伸縮性不織布が、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3とが全面接合されている場合には、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3との界面及びその近傍において、弾性繊維層1の構成繊維と、非弾性繊維層2,3の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されている。全面で接合されていることによって、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3との間に浮きが生じること、つまり、両層が離間して空間が形成されることが防止される。両層間に浮きが生じると、弾性繊維層と非弾性繊維層との一体感がなくなり伸縮性不織布10の風合いが低下する傾向にある。弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3とが全面接合されている本発明の好ましい実施形態によれば、あたかも一層の不織布ごとき一体感のある多層構造の伸縮性不織布が提供される。
「弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態」とは、弾性繊維層1の構成繊維のほとんどが、熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状、又はフィルム−繊維構造に変形していない状態をいう。弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態にあることで、本実施形態の伸縮性不織布10には十分な通気性が付与されるという利点がある。
弾性繊維層1は、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層2,3も、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。
2つの非弾性繊維層2,3のうちの少なくとも一方においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維の一部が少なくとも一方の非弾性繊維層2,3に入り込んだ状態になっている。このような状態になっていることで、弾性繊維層1と、非弾性繊維層2,3との一体化が促進され、両層間に浮きが生じることが一層効果的に防止される。結果としてそれぞれの層の表面に追従した形で層と層が組み合わさっている状態となる。非弾性繊維層の構成繊維は、その一部が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっているか、或いは弾性繊維層1を突き抜けて、他方の非弾性繊維層にまで到達している。それぞれの各層において表面繊維間を結ぶ面をマクロ的に想定したとき、この面から層の内側に形成される繊維空間に、他の層の構成繊維の一部が前記層の断面厚み方向へ入り込んでいる。非弾性繊維層の構成繊維が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっている場合、該構成繊維は、更に弾性繊維層1の構成繊維と交絡していることが好ましい。同様に、非弾性繊維層の構成繊維が弾性繊維層1を突き抜けて、他方の非弾性繊維層にまで到達している場合には、該構成繊維は、他方の非弾性繊維層の構成繊維と交絡していることが好ましい。これは伸縮性不織布の厚み方向断面をSEMやマイクロスコープなどで観察した際に、層間において実質的に空間が形成されていないことで確認される。また、ここで言う「交絡」とは、繊維どうしが十分に絡み合っている状態を意味し、繊維層を単に重ね合わせただけの状態は交絡に含まれない。交絡しているか否かは、例えば、繊維層を単に重ね合わせた状態から、繊維層を剥離するときに要する力と、繊維層を重ね合わせ、それに熱融着を伴わないエアスルー法を適用した後に、繊維層を剥離する力とを比較して、両者間に実質的に差異が認められる場合には、交絡していると判断できる。
非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維を非弾性繊維層に入り込ませるには、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層の構成繊維を熱融着させる処理前において非弾性繊維または弾性繊維の少なくともどちらかがウェブ状態(熱融着していない状態)であることが好ましい。構成繊維を他の層に入り込ませる観点から、ウェブ状態である繊維層は、短繊維の方が長繊維に比べ自由度が高いことから好ましい。
また、非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維を非弾性繊維層に入り込ませるには、エアスルー法を用いることが好ましい。エアスルー法を用いることで、相対する繊維層に構成繊維を入り込ませ、また、相対する繊維層から構成繊維を入り込ませることが容易となる。またエアスルー法を用いることで、非弾性繊維層の嵩高さを維持しつつ、非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1に入り込ませることが容易となる。非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1を突き抜けさせて他方の非弾性繊維層にまで到達させる場合にも、同様にエアスルー法を用いることが好ましい。特に、ウェブ状態の非弾性繊維層を、弾性繊維層と積層して、エアスルー法を用いることが好ましい。この場合、弾性繊維層はその構成繊維同士が熱融着をしていてもよい。さらに、後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことで、また、熱風の通りをよくするため伸縮性不織布の通気性、特に弾性繊維層の通気度を高いものとすることで、繊維をより均一に入り込ませることができる。エアスルー法以外の方法、例えばスチームを吹きかける方法も使用することができる。また、スパンレース法、ニードルパンチ法などを用いることも可能であるが、その場合には非弾性繊維層の嵩高さが損なわれたり、表面に弾性繊維層の構成繊維が表面にでてきてしまい、得られる伸縮性不織布の風合いが低下する傾向にある。
特に、非弾性繊維層の構成繊維が、弾性繊維層1の構成繊維と交絡している場合には、エアスルー法のみによって交絡していることが好ましい。
エアスルー法によって繊維を交絡させるためには、気体の吹きつけ圧、吹きつけ速度、繊維層の坪量や厚み、繊維層の搬送速度等を適切に調整すればよい。通常のエアスルー不織布を製造するための条件を採用しただけでは、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを交絡させることはできない。後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことによって、本発明において目的とする伸縮性不織布が得られる。
エアスルー法では一般に、所定温度に加熱された気体を、繊維層の厚み方向に貫通させている。その場合には、繊維の交絡及び繊維交点の融着が同時に起こる。しかし本実施形態においては、エアスルー法によって各層内の構成繊維間で繊維交点を融着させることは必須ではない。換言すれば、エアスルー法は、非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1に入り込ませるために、或いは、該構成繊維を弾性繊維層1の構成繊維と交絡させ、そして、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層の構成繊維とを熱融着させるために必要な操作である。また、繊維が入り込む方向は、加熱された気体の通過方向と非弾性繊維層と弾性繊維層との位置関係によって変わる。非弾性繊維層は、エアスルー法によって、その構成繊維内で繊維交点が融着されたエアスルー不織布となることが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の伸縮性不織布の好ましい形態においては、実質的に非弾性の非弾性エアスルー不織布の厚み方向内部に、構成繊維が繊維形態を保った状態の弾性繊維層1が含まれており、該エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態になっている。更に好ましい形態においては、エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1の構成繊維とエアスルー法によってのみ交絡している。弾性繊維層1がエアスルー不織布の内部に含まれていることによって、弾性繊維層1の構成繊維は、実質的に伸縮性不織布の表面には存在しないことになる。このことは、弾性繊維に特有のべたつき感が生じない点から好ましいものである。
本実施形態の伸縮性不織布10には、図1に示すように、非弾性繊維層2,3に、微小な凹部が形成されている。これによって、伸縮性不織布10は、その断面が、微視的には波形形状になっている。この波形形状は、後述する製造方法において説明するように、伸縮性不織布の10の延伸加工によって生じるものである。この波形形状は、伸縮性不織布10に伸縮性を付与した結果生じるものであり、不織布10の風合いそのものに大きな影響を及ぼすものではない。
図1には示していないが、本実施形態の伸縮性不織布10にはエンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工は、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との接合強度を一層高める目的で行われる。したがって、エアスルー法によって弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを十分に接合できれば、エンボス加工を行う必要はない。なお、エンボス加工は、構成繊維どうしを接合させるが、エアスルー法と異なり、エンボス加工によっては、構成繊維どうしは交絡しない。
本実施形態の伸縮性不織布10は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有する。面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。最も伸縮する方向に関し、伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が20〜500cN/25mm、特に40〜150cN/25mmであることが好ましい。また100%伸長状態から収縮させたときの残留歪みが15%以下、特に10%以下であることが好ましい。
本実施形態の伸縮性不織布10は、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性の点から、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることができる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等として用いることができる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮性不織布の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜160g/m2程度、厚み0.1〜5mm程度とすることが望ましい。また、本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保っていることに起因して、柔軟であり、また通気性が高くなっている。柔軟性の尺度である曲げ剛性に関し、本発明の伸縮性不織布は、曲げ剛性値が10g/30mm以下と低いものとなっていることが好ましい。通気性に関しては、通気度が16m/(kPa・s)以上となっていることが好ましい。また、伸度は100%以上であることが望ましい。
曲げ剛性は、JIS L−1096に準拠して測定され、ハンドルオメーターによる押し込み量8mm、スリット幅10mmの条件において、それぞれ流れ方向とそれに対して直角方向に曲げた際の平均値として得られる。通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
次に、本実施形態の伸縮性不織布10の好ましい製造方法を、図2を参照しながら説明する。図2には、本実施形態の伸縮性不織布10の製造方法に用いられる好ましい製造装置が模式的に示されている。図2に示す装置は、製造工程の上流側から下流側に向けて、ウェブ形成部100、熱風処理部200及び延伸部300をこの順で備えている。
ウェブ形成部100には、第1ウェブ形成装置21、第2ウェブ形成装置22及び第3ウェブの形成装置23が備えられている。第1ウェブの形成装置21及び第3ウェブの形成装置23としては、カード機が用いられている。カード機としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。一方、第2ウェブ形成装置22としては、スピニングブローン紡糸装置が用いられている。スピニングブローン紡糸装置においては、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部が、前記ノズルを中心に対向配置されており、その下流に一対の冷風吐出部が、前記ノズルを中心に対向配置された紡糸ダイが備えられている。スピニングブローン法に用いられる紡糸ダイとしては、例えば特開平3−174008号公報の図2に示されるものや、特許第3335949号公報の図1ないし図4に示されるものを用いることができる。
熱風処理部200は熱風炉24を備えている。熱風炉24内では、所定温度に加熱された加熱ガス、特に加熱空気が吹き出すようになっている。互いに重ね合わされた3層のウェブが熱風炉内に導入されると、該ウェブの上方から下方に向けて、若しくはその逆方向に、又は両方向に加熱ガスが強制的に貫通する。
延伸部300は、弱接合装置25及び延伸装置30を備えている。弱接合装置25は、一対のエンボスロール26,27を備えている。弱接合装置25は、熱風処理部200によって形成された繊維シートにおける各層のウェブの接合を確実にするためのものである。弱接合装置25の下流には、これに隣接して延伸装置30が配置されている。延伸装置30は、大径部31,32と小径部(図示せず)とが軸線方向に交互に形成されてなり、互いに噛み合いが可能になっている一対の凹凸ロール33,34を備えている。両凹凸ロール33,34間に繊維シートが噛み込まれることで該繊維シートがロールの軸線方向(即ちシートの幅方向)へ延伸される。
以上の構成を有する装置を用いた伸縮性不織布の製造方法について説明すると、先ず、弾性繊維からなるウェブの各面に、同一の又は異なる非弾性繊維からなる一対のウェブを配する。なお「弾性繊維からなるウェブ」とは、弾性繊維のみからなるウェブだけでなく、該ウェブから形成される弾性繊維層(図1符号1で示される層)の伸縮弾性を損なわない範囲において、弾性繊維に加えて少量の非弾性繊維が含まれているウェブも包含する。
図2に示すように、ウェブ形成部100においては、非弾性の短繊維を原料として用い、第1ウェブ形成装置21であるカード機によって非弾性繊維ウェブ3’を製造し、一方向に連続搬送させる。ポリオレフィン系エラストマー等からなる弾性樹脂を原料として用い、第2ウェブ形成装置22であるスピニングブローン紡糸装置によって紡出された繊維は捕集ネットからなるコンベア上に堆積され、弾性繊維の連続フィラメントを含む弾性繊維ウェブ1’が製造される。これをコンベアから剥離させ第1ウェブ形成装置21より形成され一方向に連続搬送されている非弾性繊維ウェブ3’上に積層させる。この弾性繊維ウェブ1’上には、更に、第3ウェブ形成装置23であるカード機によって製造された非弾性繊維ウェブ2’が積層される。
弾性繊維ウェブ1’の形成にスピニングブローン法を用いると、溶融繊維の熱風による伸長と、冷風による冷延伸とが連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウェブを得ることができる。連続フィラメントのウェブは、短繊維のウェブに比較して高伸長時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすいことから、本実施形態において極めて有利である。
弾性繊維ウェブ1’が例えば2種の繊維から構成されている場合、具体的には弾性繊維ウェブ1’が前記のポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維、及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維から構成されている場合や、前記のポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維、及び非弾性繊維から構成されている場合には、図2に示すスピニングブローン紡糸装置の紡糸ダイとして、図3に示すものを用いることができる。図3に示す紡糸ダイは、紡糸ノズルAと、紡糸ノズルBとが交互に配列された構造になっている。紡糸ノズルAからは前記のポリオレフィン系エラストマーを含有する樹脂が吐出される。一方、紡糸ノズルBからは、他の熱可塑性エラストマー又は非弾性の樹脂が吐出される。
3つのウェブの積層体は、エアスルー方式の熱風炉24に送られ、そこで熱風処理が施される。熱風処理によって、繊維どうしの交点が熱融着し、弾性繊維ウェブ1’はその全面において非弾性繊維ウェブ2’,3’と接合する。熱風処理に際しては、各層のウェブが一体化していないことが好ましい。これによって各ウェブが有する嵩高で厚みのある状態が熱風処理後も維持されて、風合いの良好な伸縮性不織布が得られる。
熱風処理によって、繊維どうしの交点を熱融着させ、各層のウェブを全面接合することに加えて、主として熱風の吹き付け面側に位置する非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウェブ1’に入り込ませることが好ましい。また、熱風処理の条件を制御することによって、非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウェブ1’に入り込ませ、更に、該ウェブ1’の構成繊維と交絡させることが好ましい。或いは、非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウェブ1’を突き抜けさせて、非弾性繊維ウェブ3’にまで到達させ、該ウェブ3’の構成繊維と交絡させることが好ましい。
非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウェブ1’に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維ウェブ1’の構成繊維の一部を非弾性繊維ウェブ2’に入り込ませるための条件は、熱風風量0.4〜3m/秒、温度80〜160℃、搬送速度5〜200m/分、熱処理時間0.5〜10秒であることが好ましい。特に好ましくは熱風風量1〜2m/秒である。上記条件は繊維を軟化させて均一に入り込ませる点と繊維を融着させる点においても好ましい。更に、繊維を交絡させるためには、熱風風量を3〜5m/秒とし、吹きつけ圧を0.1〜0.3kg/cm2とすることで可能となる。弾性繊維ウェブ1’の通気度が8m/(kPa・s)以上、更に好ましくは24m/(kPa・s)以上であると、熱風の通りがよくなり、繊維をより均一に入り込ませることができるので好ましい。また、繊維の融着が良好で最大強度が高くなる。更に毛羽立ちも防止される。
熱風処理においては、非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維の一部が、弾性繊維ウェブ1’に入り込むのと同時に、非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維及び/又は非弾性繊維ウェブ3’の構成繊維と、弾性繊維ウェブ1’の構成繊維とが、それらの交点で熱融着することが好ましい。この場合、熱風処理を、該熱風処理後の弾性繊維が繊維形態を維持するような条件下に行うことが好ましい。即ち、熱風処理によって弾性繊維ウェブ1’の構成繊維がフィルム状、或いはフィルム−繊維構造にならないようにすることが好ましい。そして、熱風処理においては、非弾性繊維ウェブ2’の構成繊維どうしが交点において熱融着し、同様に弾性繊維ウェブ1’の構成繊維どうし、及び非弾性繊維ウェブ3’の構成繊維どうしが交点において熱融着する。
エアスルー方式の熱風処理によって、3つのウェブが一体化された繊維シート10Bが得られる。繊維シート10Bは、一定幅を有して一方向に延びる長尺帯状のものである。繊維シート10Bは、次いで延伸部300へ搬送される。延伸部300においては、繊維シート10Bは先ず弱接合装置25に搬送される。弱接合装置25は、周面にエンボス用凸部が規則的に配置された金属製のエンボスロール26及びそれに対向配置された金属製又は樹脂製の受けロール27を備えたエンボス装置からなる。弱接合装置25によって繊維シート10Bには熱エンボス加工が施される。これによって、エンボス加工が施された繊維シート10Aが得られる。なお弱接合装置25による熱エンボス加工に先立って熱風処理部200により行われる熱融着によって、各層のウェブは互いに接合して一体化しているので、弱接合装置25による熱エンボス加工は、本発明において必須のものではない。各層のウェブの接合一体化を確実にしたい場合は、弱接合装置25による熱エンボス加工は有効である。また、弱接合装置25によれば、各層のウェブの接合一体化に加えて、繊維シート10Aの毛羽立ちが抑えられるという利点がある。繊維シート10Bを弱接合する方法としては、上述の熱エンボス加工の他、超音波接合、フラットロールによるカレンダー接合、スチームジェット接合が挙げられる。
弱接合装置25による熱エンボス加工は、熱風処理部200によって行われる熱融着に対して補助的に行われるものであるから、その加工条件は比較的穏やかでよい。逆に、熱エンボス加工の条件を過酷にすると、繊維シート10Aの嵩高さが損なわれ、また繊維のフィルム化が起こり、最終的に得られる伸縮性不織布の風合いや通気性にマイナスに作用する。このような観点から熱エンボス加工の線圧及びエンボスロールの加熱温度を設定する。
熱エンボス加工によって得られた繊維シート10Aは、図4に示すように、個々独立した散点状の接合部4を多数有する。接合部4は規則的な配置パターンで形成されている。接合部4は、例えば、繊維シート10Aの流れ方向(MD)及びその直交方向(CD)の両方向に不連続に形成されていることが好ましい。
弱接合装置25において熱エンボス加工が施された繊維シート10Aは、引き続き延伸装置30へ送られる。図2ないし図5に示すように、繊維シート10Aは、大径部31,32と小径部(図示せず)が軸長方向に交互に形成された一対の凹凸ロール33,34を備えた延伸装置30によって、搬送方向(MD)と直交する方向(CD)へ延伸される。
延伸装置30は、一方又は双方の凹凸ロール33,34の枢支部を公知の昇降機構により上下に変位させ、両者の間隔が調節可能に構成されている。図1並びに図5(b)及び(d)に示されるように、各凹凸ロール33,34は、一方の凹凸ロール33の大径部31が、他方の凹凸ロール34の大径部32間に遊挿され、他方の凹凸ロール34の大径部32が一方の凹凸ロール33の大径部31間に遊挿されるように組み合わされる。この状態の両ロール33,34間に、繊維シート10Aを噛み込ませて、繊維シート10Aを延伸させる。
この延伸工程においては、図4及び図5に示すように、繊維シート10Aの幅方向における、接合部4の位置と、凹凸ロール33,34の大径部31,32の位置とを一致させることが好ましい。具体的には、図4に示すように、繊維シート10Aには、MDに沿って接合部4が一直線状に複数個並んで形成されている接合部列が、複数列形成されており(図4では10列図示)、図4において、最も左側に位置する接合部列R1を始めとして、そこから一つ置きの接合部列R1のそれぞれに含まれる接合部4については、一方の凹凸ロール33の大径部31の位置が一致し、左から2つ目の接合部列R2を始めとして、そこから一つ置きの接合部列R2のそれぞれに含まれる接合部については、他方の凹凸ロール34の大径部32の位置が一致するようにしてある。図4中、符号31,32で示す範囲は、繊維シート10Aが、両凹凸ロール33,34間に噛み込まれている状態の一時点において、各ロールの大径部31,32の周面と重なる範囲を示したものである。
繊維シート10Aが、凹凸ロール33,34間に噛み込まれた状態で両ロール33,34間を通過する際には、図5(b)及び(d)に示すように、接合部4と、何れかの凹凸ロールの大径部31,32とが重なる一方、大径部31,32と重ならない大径部同士間の領域、即ち上述した接合部列R間の領域が幅方向へ積極的に引き伸ばされる。したがって、接合部4の破壊や各層のウェブ間の剥離が生じるのを防止しつつ、繊維シート10Aの接合部以外の部分を効率的に延伸させることができる。また、この延伸により、非弾性繊維ウェブ2,3が十分に伸長され、それによって非弾性繊維ウェブ2,3が、弾性繊維ウェブ1の自由な伸縮を阻害する程度が大きく低下する。その結果、本製造方法によれば、高伸縮性であり、また、破れや毛羽立ちの少ない外観の良好な伸縮性不織布を効率的に製造することができる。
凹凸ロール33,34の大径部31,32の周面は、繊維シート10Aに損傷を与えないようにするために、先鋭でないことが好ましい。例えば図5(b)及び(d)に示すように、所定幅の平坦面となっていることが好ましい。大径部31,32の先端面の幅W〔図5(b)参照〕は、0.3〜1mmであることが好ましく、接合部4のCD方向の寸法の0.7〜2倍、特に0.9〜1.3倍であることが好ましい。これにより、非弾性繊維の繊維形態が破壊されにくくなり、高強度の伸縮性不織布が得られる。
大径部間のピッチP〔図5(b)参照〕は、0.7〜2.5mmであることが好ましい。このピッチPは、接合部4のCD方向の寸法の1.2〜5倍、特に2〜3倍であることが好ましい。これによって布様の外観を呈し、肌触りの良い伸縮性不織布が得られる。また、接合部4のCD方向のピッチ(CD方向に隣合う接合部列R1同士の間隔、またはCD方向に隣合う接合部列R2同士の間隔)は、大径部間のピッチPに対し、位置関係を一致させるため基本的には2倍であるが、繊維シート10AのCD方向の伸びやネックインのため1.6倍〜2.4倍の範囲内であれば位置を一致させることが可能である。
延伸装置30から送り出された繊維シート10Aは、その幅方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、繊維シート10Aに伸縮性が発現し、該シート10Aはその幅方向へ収縮する。これによって目的とする伸縮性不織布10が得られる。なお、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、或いは伸縮性が発現する限度において、延伸状態が或る程度維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
本発明は、前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態の伸縮性不織布10は、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層された形態のものであったが、これに代えて、弾性繊維層の一面に非弾性繊維層が積層された2層構造の形態であってもよい。或いは弾性繊維層のみからなる単層構造の形態であってもよい。これら単層又は2層構造の形態の伸縮性不織布の詳細については、3層構造に係る前記実施形態の伸縮性不織布10に関する説明が適宜適用される。なお2層構造の伸縮性不織布を、吸収性物品の構成材料として用いる場合、特に使用者の肌に触れる箇所に使用する場合には、非弾性繊維層を着用者の肌側に向くように使用することが、肌触りやべたつき防止等の観点から好ましい。
また前記実施形態においては、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とがそれらの全面で接合されていたが、これに代えて弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを部分接合してもよい。弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを部分接合する手段としては、例えば、熱エンボス、超音波エンボス、パターン状の透水ネットを用いた部分スパンレース法、パターン状に配置した針を用いた部分ニードルパンチ法、部分エアスルー等が挙げられる。これらの手段により、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを、任意のパターンで間欠的に又は帯状に接合することができる。部分接合は、全面接合に比べ、両繊維層の一体感や接合強度は劣る。しかし部分接合によれば、弾性繊維層1から部分的に非弾性繊維層2,3が浮くので、立体感や厚みのある伸縮性不織布が得られる。
また本発明の不織布が、弾性繊維層の少なくとも一面に非弾性繊維層を配してなる構成の場合、弾性繊維層と非弾性繊維層の構造は図1に示すものに制限されない。
また図5に示す方法においては、一方の凹凸ロールの大径部と他方の凹凸ロールの小径部とによって繊維シート10Aが挟まれていない状態で延伸が行われたが、両者間の間隔を狭くして、両者間に繊維シート10Aを挟んだ状態で延伸を行うこともできる。つまり、繊維シートを介して底つきした状態で延伸することもできる。また、延伸工程は、特開平6−133998号公報に記載の方法を用いることもできる。
また前記の製造方法においては、繊維シート10AをCD方向に延伸させたが、これに代えてMD方向に延伸させることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示す伸縮性不織布を、図2で示す装置を用いて製造した。先ず直径17μm、繊維長51mmの短繊維(芯:PET、鞘:PE)をカード機に供給し、カードウェブからなる非弾性繊維ウェブ3’を形成した。ウェブ3’の坪量は10g/m2であった。この非弾性繊維ウェブ3’上に弾性繊維ウェブ1’を積層した。
弾性繊維ウェブ1’は次の方法で形成した。プロピレンを主体とするポリオレフィン系弾性樹脂として、プロピレン含有率85重量%、エチレン含有率15重量%のポリオレフィン系エラストマーを用いた。このポリオレフィン系エラストマーは、メタロセン触媒を用いて重合されたものであった。また、これと異なる他の弾性樹脂として、スチレン含有率15重量%、重量平均分子量100000、MFR30g/10min(230℃、2.16kg)のSEBS樹脂を用いた。これらの樹脂をそれぞれ別の押出機を用いて溶融させ、溶融した樹脂をダイス温度290℃で紡糸ノズルから押し出し、スピニングブローン法によってネット上に弾性繊維ウェブ1’を成形した。紡糸ノズルはサイド・バイ・サイドタイプであり、前記の2種の樹脂からなる複合繊維を紡糸した。弾性繊維の繊維径は25μmであった。繊維ウェブ1’の坪量は40g/m2であった。
弾性繊維ウェブ1’上に、前述と同様の短繊維からなる非弾性繊維ウェブ2’を積層した。ウェブ2’の坪量は10g/m2であった。
これら3層のウェブの積層体を熱処理機に導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け、熱処理を行った。熱処理の条件は、ネット上温度140℃、熱風風量2m/秒、吹き付け圧10kPa、吹き付け時間15秒であった。この熱処理によって3層のウェブが一体化された繊維シート10Bが得られた。
次いで繊維シート10Bに熱エンボス加工を施した。熱エンボス加工は、エンボス凸ロールとフラット金属ロールとを備えたエンボス装置を用いて行った。エンボス凸ロールとしてMDのピッチ2mm、CDのピッチ2mmである多数の凸部を有するドット状凸ロールを用いた。各ロールの温度は120℃、線圧は300N/cmとした。このエンボス加工によって接合部が規則的なパターンで形成された繊維シート10Aを得た。
繊維シート10Aに対して延伸加工を施した。延伸加工は、大径部と小径部が軸長方向に交互に形成された一対の凹凸ロールを備えた延伸装置を用いて行った。大径部間のピッチPは1.0mmであった。延伸処理によって繊維シート10AをCDに延伸させた。これによりCDに伸縮する坪量60g/m2の不織布が得られた。なお、各工程の搬送速度は何れも10m/分であった。
〔実施例2〕
弾性繊維ウェブ1’を次の方法で形成した。プロピレンを主体とするポリオレフィン系弾性樹脂として、プロピレン含有率85重量%、エチレン含有率15重量%のポリオレフィン系エラストマーを用いた。このポリオレフィン系エラストマーは、メタロセン触媒を用いて重合されたものであった。また、これと異なる他の非弾性樹脂として、MFR60g/10min(230℃、2.16kg)、のポリプロピレン樹脂(ホモ)を用いた。これらの樹脂をそれぞれ別の押出機を用い、溶融した樹脂をダイス温度290℃で紡糸ノズルから押し出し、スピニングブローン法によってネット上に弾性繊維ウェブ1’を成形した。紡糸ノズルは図3に示すような、それぞれの樹脂を交互に押し出す形状のノズルとし、2種の樹脂の混合繊維とした。ポリオレフィン系エラストマーとポリプロピレンの重量比率は50/50とした。弾性繊維の繊維径は25μmであった。非弾性繊維の繊維径は18μmであった。繊維ウェブ1’の坪量は40g/m2であった。
このウェブを熱処理機に導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け、熱処理を行った。熱処理の条件は、ネット上温度140℃、熱風風量2m/秒、吹き付け圧10kPa、吹き付け時間15秒であった。この熱処理によって2種の繊維ウェブが一体化された繊維シート10Bが得られた。
次いで繊維シート10Bに熱エンボス加工を施した。熱エンボス加工は、エンボス凸ロールとフラット金属ロールとを備えたエンボス装置を用いて行った。エンボス凸ロールとしてMDのピッチ2mm、CDのピッチ2mmである多数の凸部を有するドット状凸ロールを用いた。各ロールの温度は130℃、線圧は300N/cmとした。このエンボス加工によって接合部が規則的なパターンで形成された繊維シート10Aを得た。
繊維シート10Aに対して延伸加工を施した。延伸加工は、大径部と小径部が軸長方向に交互に形成された一対の凹凸ロールを備えた延伸装置を用いて行った。大径部間のピッチPは1.0mmであった。延伸処理によって繊維シート10AをCDに延伸させた。これによりCDに伸縮する坪量40g/m2の不織布が得られた。なお、各工程の搬送速度は何れも10m/分であった。
〔比較例1〕
弾性樹脂としてスチレン含有率15重量%、重量平均分子量100,000、MFR30のSEBS樹脂を用いた。この弾性樹脂を用い、ダイス温度290℃で弾性繊維ウェブを成形した。弾性繊維の直径は32μmであった。これら以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を作製した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた伸縮性不織布の特性を以下の表1に示す。表中の各項目の測定方法は次の通りである。
<強度、伸度及び残留歪み>
伸縮性不織布の伸縮方向へ50mm、それと直交する方向へ25mmの大きさで矩形の試験片を切り出した。オリエンテック製テンシロンRTC1210Aに試験片を装着した。チャック間距離は25mmであった。試験片を不織布の伸縮方向へ300mm/分の速度で伸長させ、そのときの荷重を測定した。そのときの最大点の荷重を最大強度とした。また、そのときの試験片の長さをBとし、もとの試験片の長さをAとしたとき、{(B−A)/A}×100を最大伸度(%)とした。また、100%伸長サイクル試験を行い、100%伸長時強度を100%伸長時の荷重から求めた。更に、100%伸長後、同速にて原点に戻して行ったときの戻らない長さの割合を測定し、その値を残留歪とした。
<弾性繊維層と非弾性繊維層との接合性>
弾性繊維層と非弾性繊維層との間を剥離するように手で剥がしたときの状態を、以下の基準で判定した。簡単に剥がれる:×、少し抵抗感がある:△、層間が剥離せずに一部が他方の層に残る:○、層間が剥離せずにほとんどが他方の層に残る:◎。判定は3人で行い、2人以上同じ意見であればその意見を、3人がそれぞれ別の意見であれば真ん中の意見を判定結果とした。
Figure 0004753852
表1に示す結果から明らかなように、実施例の不織布は、最大伸度及び残留歪みが比較例の不織布と同程度に高いレベルを維持した上で、比較例の不織布よりも更に高強度であり、また弾性繊維層と非弾性繊維層との接合性が良好なものであることが判る。実施例の不織布を外装に用いて使い捨ておむつを作製したところ、このおむつは肌触りがやわらかくて通気性が高く、十分伸びるためはかせやすく、全面で締めつけるためゴム跡がつきにくいといった特徴を有していた。
〔実施例3〜6〕
表2に示す樹脂を用い、実施例1と同様にして伸縮性不織布を得た。弾性繊維ウェブ1’の坪量は30g/m2であった。
〔実施例7〕
表2に示す樹脂を用い、実施例7と同様にして伸縮性不織布を得た。繊維ウェブ1’の坪量は40g/m2であった。
〔評価〕
実施例3〜7で得られた伸縮性不織布について、実施例1と同様の評価を行った。更に50%伸長時強度を以下の方法で測定した。それらの結果を表2に示す。
<50%伸長時強度>
上述の方法で伸縮性不織布の100%伸長時強度を測定した後、該不織布を収縮させ50%伸長状態とした。このときの強度を50%伸長時強度とした。50%伸長時強度の技術的な意義は次の通りである。おむつをはかせるときには、おむつの胴周り部を100%程度まで伸ばし、その後縮めておよそ50%伸長した状態でおむつを装着させることが通常である。したがって本発明の伸縮性不織布をおむつの胴周り部に用いる場合を考えると、50%伸長時強度が高いほど、装着されたおむつがずれ落ちにくいものとなる。
Figure 0004753852
表2に示す結果から明らかなように、各実施例の伸縮性不織布は、最大伸度及び残留歪みが高く、更に高強度であることが判る。各実施例の伸縮性不織布のうち、実施例4の伸縮性不織布は、50%伸長時強度が特に高いことが判る。
図1は、本発明の伸縮性不織布の一実施形態の断面構造を示す模式図である。 図2は、図1に示す伸縮性不織布の製造に用いられる好ましい装置を示す模式図である。 図3は、図2に示す装置における第2ウェブ形成装置であるスピニングブローン紡糸装置の紡糸ダイの構造の一例を示す模式図である。 図4は、延伸加工を施す繊維シートの一例を示す平面図である。 図5(a)は、図4に示す繊維シートのCD方向のa−a線に沿う断面図、図5(b)は、凹凸ロール間で変形した状態(延伸させている状態)の図5(a)に対応する断面図、図5(c)は、図4に示す繊維シートのCD方向のc−c線に沿う断面図、図5(d)は、凹凸ロール間で変形した状態(延伸させている状態)の図5(c)に相当する断面図である。
符号の説明
1 弾性繊維層
2 非弾性繊維層
3 非弾性繊維層
4 接合部
10A 繊維シート
10 伸縮性不織布

Claims (6)

  1. プロピレンを主体とするポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維、及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維又は非弾性繊維を含む弾性繊維層を有し、
    前記ポリオレフィン系エラストマーはそのプロピレン含有率が80〜90重量%で、その密度が0.855〜0.880g/cm3である伸縮性不織布。
  2. 前記ポリオレフィン系エラストマーは、メタロセン触媒を用いて重合されたものである請求項1記載の伸縮性不織布。
  3. 前記ポリオレフィン系エラストマーは、その融解熱量値Aが2〜20mJ/mgで、かつ融解熱量値Bが12〜24mJ/mgである請求項1又は2記載の伸縮性不織布。
  4. 前記ポリオレフィン系エラストマーは、そのメルトフローレート(MFR)が2〜350g/10minである請求項1ないし3の何れかに記載の伸縮性不織布。
  5. 前記ポリオレフィン系エラストマーを含有する弾性繊維が、該ポリオレフィン系エラストマーのみからなるか、又は該ポリオレフィン系エラストマー及びその他の熱可塑性エラストマーを含有してなる請求項1ないし4の何れかに記載の伸縮性不織布。
  6. 前記弾性繊維層の少なくとも一面に、実質的に非弾性の非弾性繊維層が配されている請求項1ないし5の何れかに記載の伸縮性不織布。
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