JP4751699B2 - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このホログラム型光記録媒体では、記録層内に光学特性分布が三次元的に形成されるので、一の情報光により情報が書き込まれた領域と、他の情報光により情報が書き込まれた領域とを部分的に重ね合わせること、即ち多重記録が可能である。デジタルボリュームホログラフィを利用した場合には、1スポットの信号対雑音比(S/N比)は極めて高くなるので、重ね書きによりS/N比が多少低くなっても元の情報を忠実に再現できる。その結果、多重記録回数が数百回までに及び、光記録媒体の記録容量を著しく増大させることができる(特許文献1参照)。
<1> 上側基板と、下側基板との間に、ホログラフィを利用して情報を記録する記録層を有する光記録媒体において、
前記記録層が、多数の塗布層からなる多層塗布層であることを特徴とする光記録媒体である。
本発明の光記録媒体によれば、上記構成を備えることにより、記録層の厚み分布が均一であり、記録容量の増大や光信号のS/N比の向上を図れ、高密度画像記録が可能記となる。また、内外周スペーサが不要となり、記録層表面の凹凸、うねりの発生を防止することができる。
<2> 多層塗布層における各塗布層が、スピン塗布により形成されたスピン塗布層である前記<1>に記載の光記録媒体である。
<3> 多層塗布層が、5層以上のスピン塗布層からなる前記<2>に記載の光記録媒体である。
<4> 多層塗布層の合計厚みが、100〜1,000μmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<5> 多層塗布層における厚みの分布が、多層塗布層の合計厚みの平均値±5%以内である前記<1>から<4>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<6> 下側基板の表面にサーボピットパターンを有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<7> サーボピットパターン表面に反射膜を有する前記<6>に記載の光記録媒体である。
<8> 反射膜が、金属反射膜である前記<7>に記載の光記録媒体である。
<9> 下側基板と記録層との間に選択反射層を有する前記<1>から<8>のいずれかに記さ異の光記録媒体である。
<10> 選択反射層が、ダイクロイックミラー層、誘電体蒸着層、及びコレステリック液晶層の少なくともいずれかである前記<9>に記載の光記録媒体である。
<11> 選択反射層と反射膜との間に、下側基板表面を平滑化するための第1ギャップ層を有する前記<9>から<10>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<12> 記録層と選択反射層との間に、第2ギャップ層を有する前記<9>から<11>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<14> スピン塗布層形成工程を5回以上繰り返す前記<13>に記載の光記録媒体の製造方法である。
<16> 前記<15>に記載の光記録媒体の記録方法により記録層に記録された干渉パターンに参照光を照射して情報を再生することを特徴とする光記録媒体の再生方法である。該<16>に記載の光記録媒体の再生方法においては、本発明の前記記録方法により記録層に記録された干渉パターンを効率よく、正確に読み取って高密度記録情報を再生することができる。
本発明の光記録媒体は、上側基板と、下側基板との間に、ホログラフィを利用して情報を記録する記録層を少なくとも有してなり、反射膜、選択反射層、第1ギャップ層、第2ギャップ層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記多層塗布層は、5層以上のスピン塗布層からなることが好ましく、10層以上がより好ましく、10〜25層が更に好ましい。前記多層塗布層が5層未満であると、充分な厚みを有するホログラム記録層を形成することができなくなることがある。
前記各スピン塗布層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜50μmが好ましい。
前記多層塗布層の合計厚みは、100〜1,000μmが好ましく、300〜700μmがより好ましい。前記合計厚みが100μm未満であると、多重記録回数が上がらず、記録容量の増大が図れないことがあり、1,000μmを超えると、ホログラム記録層内での内部散乱が大きくなり、S/N比が低下することがある。
ここで、前記多層塗布層の厚みの分布は、例えば、マイクロメーター等により測定することができる。
前記カチオン重合型系モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサングリシジルエーテル、ビニルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、下記構造式(A)〜(E)で表される化合物、などが挙げられる。
これらモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、下記構造式で表されるチタノセン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、照射する光の波長に合わせて増感色素を併用しても構わない。
前記電荷輸送材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インドール、カルバゾール、オキサゾール、インオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサアジアゾール、ピラゾリン、チアチアゾール、トリアゾール等の含窒素環式化合物、又はその誘導体;ヒドラゾン化合物;トリフェニルアミン類;トリフェニルメタン類;ブタジエン類;スチルベン類;アントラキノンジフェノキノン等のキノン化合物、又はその誘導体;C60及びC70等のフラーレン並びにその誘導体;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等のπ共役系高分子又はオリゴマー;ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系高分子又はオリゴマー;アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネン等の多環芳香族化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルコゲナイドガラスは、S、Te又はSeのカルコゲン元素を含む非酸化物系の非晶質材料から構成されるものであり、金属粒子の光ドープが可能なものであれば特に限定されない。
前記カルコゲン元素を含む非晶質材料としては、例えば、Ge−S系ガラス、As−S系ガラス、As−Se系ガラス、As−Se−Ce系ガラス等が挙げられ、これらの中ではGe−S系ガラスが好ましい。前記カルコゲナイドガラスとしてGe−S系ガラスを用いる場合には、ガラスを構成するGe及びSの組成比は照射する光の波長に応じて任意に変化させることができるが、主としてGeS2で表される化学組成を有するカルコゲナイドガラスが好ましい。
前記金属粒子は、光の照射によりカルコゲナイドガラス中に光ドープされる特性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、Au、Cu、Cr、Ni、Pt、Sn、In、Pd、Ti、Fe、Ta、W、Zn、Ag等が挙げられる。これらの中では、Ag、Au又はCuが光ドープをより生じやすい特性を有しており、Agは光ドープを顕著に生じるため特に好ましい。
前記カルコゲナイドガラスに分散されている金属粒子の含有量としては、前記記録層の全体積基準で0.1〜2体積%が好ましく、0.1〜1.0体積%がより好ましい。前記金属粒子の含有量が0.1体積%未満であると、光ドープによる透過率変化が不充分となって記録の精度が低下することがあり、2体積%を超えると、記録材料の光透過率が低下して光ドープを充分に生じさせることが困難となることがある。
前記上側基板及び下側基板は、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられ、光記録媒体の機械的強度を確保できる材料を選定する必要がある。また、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが好ましい。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
前記基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記基板の厚みが、0.1mm未満であると、ディスク保存時の形状の歪みを抑えられなくなることがあり、5mmを超えると、ディスク全体の質量が大きくなってドライブモーターなどにより回転して用いる場合には、過剰な負荷をかけることがある。
前記選択反射層は、下側基板上であって、前記記録層の下に設けられる。
前記選択反射層は、複数種の光線の中から特定の波長の光のみを反射する、波長選択反射機能を有する。特に、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光及び参照光による光記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能もあり、前記光記録媒体に前記選択反射層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録が得られる。
前記選択反射層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダイクロイックミラー層、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック層及び必要に応じて適宜選択したその他の層の少なくともいずれかを積層した積層体により形成される。
前記選択反射層は、直接記録層など共に、前記支持体上に塗布などにより積層してもよく、フィルム等の基材上に積層して選択反射層を作製し、これを支持体上に積層してもよい。
前記ダイクロイックミラー層は、波長選択反射層とするためには、複数層積層することが好ましい。前記積層数は、1〜50層が好ましく、2〜40層がより好ましく、2〜30層が特に好ましい。前記積層数が、50層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下し、分光透過率特性の変化が小さくなり層数を増加するだけの効果は小さくなる。
前記スパッタリングとしては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、前記スパッタリングにより多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互又は順番に成膜する1チャンバ法、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性及び材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
前記ダイクロイックミラー層の厚みとしては、光学波長オーダーで、λ/16〜λの厚みが好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8がより好ましい。
前記誘電体蒸着層は、例えば、互いに屈折率の異なる誘電体薄層を複数層積層してなり、波長選択反射層とするためには、高屈折率の誘電体薄層と低屈折率の誘電体薄層とを交互に複数層積層することが好ましいが、2種以上に限定されず、それ以上の種類であってもよい。
前記積層数は、2〜20層が好ましく、2〜12層がより好ましく、4〜10層が更に好ましく、6〜8層が特に好ましい。前記積層数が、20層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下し、本発明の目的及び効果を達成できなくなることがある。
なお、前記誘電体薄層の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
前記スパッタリングとしては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、前記スパッタリングにより多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互又は順番に成膜する1チャンバ法と、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性及び材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
前記誘電体薄層の厚みとしては、光学波長オーダーで、λ/16〜λの厚みが好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8がより好ましい。
前記コレステリック液晶層は、少なくともネマチック液晶化合物、及びカイラル化合物を含有してなり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<数式1>
Δλ=2λ(ne−no)/(ne+no)
ただし、前記数式1中、noは、コレステリック液晶層に含有されるネマチック液晶分子の正常光に対する屈折率を表す。neは、該ネマチック液晶分子の異常光に対する屈折率を表す。λは、選択反射の中心波長を表す。
<数式2>
λ=(ne+no)P/2
ただし、前記数式2中、ne及びnoは上記数式1と同じ意味を表す。Pは、コレステリック液晶層の一回転ねじれに要する螺旋ピッチ長を表す。
したがって、各コレステリック液晶層の選択反射中心波長λ間の距離は、各選択反射波長帯域が少なくとも1つの他の選択反射波長帯域と連続となる範囲内であることが好ましい。
前記λ0〜λ0/cos20°、特にλ0〜λ0/cos40°(ただし、λ0は照射光波長を表す)の範囲における光反射率が40%以上であれば、照射光反射の角度依存性を解消でき、通常の光記録媒体に用いられているレンズ光学系を採用することができる。
同様に、選択反射中心波長が互いに異なり、前記各コレステリック液晶層の螺旋の回転方向が互いに同じであるコレステリック液晶層を2層積層すると、図6に示すような反射特性を有する選択反射層が得られる。この図6は正面(0°)からの垂直入射光に対する反射特性が40%以上であることを示している。これに対し、斜め方向からの入射光になると次第に短波長側にシフトしていき、液晶層内で20°傾斜した時は図7に示すような反射特性を示す。
したがって、図4〜図7の結果から、前記選択反射層においては、入射波長が0°〜20°(好ましくは0°〜40°)傾斜しても40%以上の反射率が確保できているので、信号読み取りには何ら支障のない選択反射層が得られる。
前記ネマチック液晶化合物は、液晶転移温度以下ではその液晶相が固定化することを特徴とし、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、及び重合性液晶化合物の中から目的に応じて適宜選択することができる。溶融時の液晶状態にある間に、例えば、ラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いること等により配向させて、そのまま冷却等して固定化させることにより固相として使用することができる。
前記カイラル化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、液晶化合物の色相、色純度改良の観点から、例えば、イソマニード化合物、カテキン化合物、イソソルビド化合物、フェンコン化合物、カルボン化合物、等の他、以下に示す化合物などを挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記コレステリック液晶層には、例えば、膜強度等の硬化の程度を向上させる目的で重合性モノマーを併用することができる。該重合性モノマーを併用すると、光照射による液晶の捻れ力を変化(パターンニング)させた後(例えば、選択反射波長の分布を形成した後)、その螺旋構造(選択反射性)を固定化し、固定化後のコレステリック液晶層の強度をより向上させることができる。ただし、前記液晶化合物が同一分子内に重合性基を有する場合には、必ずしも添加する必要はない。
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン性不飽和結合を持つモノマー等が挙げられる。具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーなどが挙げられる。
前記エチレン性不飽和結合を持つモノマーの具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、増感剤、バインダー樹脂、重合禁止剤、溶媒、界面活性剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤、などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPO、などが挙げられる。
前記増感剤の添加量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0.001〜1.0質量%が好ましい。
前記アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマーにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、などが挙げられる。
前記その他の水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタアクリル酸のホモポリマー)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーの多元共重合体、などが挙げられる。
前記重合禁止剤の添加量としては、前記重合性モノマーの固形分に対し0〜10質量%が好ましく、100ppm〜1質量%がより好ましい。
前記アルコキシプロピオン酸エステル類としては、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸プロピルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸プロピルエステルなどが挙げられる。
前記アルコキシアルコールのエステル類としては、例えば、2−メトキシプロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテートなどが挙げられる。
前記乳酸エステル類としては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記反射膜は、前記下側基板のサーボピットパターン表面に形成される。
前記反射膜の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射膜として、光を反射すると共に、追記及び消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用い、ホログラムをどのエリアまで記録したかとか、いつ書き換えたかとか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったかなどのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記及び書き換えすることも可能となる。
前記反射膜の厚みは、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
前記第1ギャップ層は、必要に応じて前記選択反射層と前記反射膜との間に設けられ、下側基板表面を平滑化する目的で形成される。また、記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するのにも有効である。即ち、前記記録層は、記録用参照光及び情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、前記記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
前記第1ギャップ層は、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成することができる。また、選択反射層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第1ギャップ層としても働くことになる。
前記第1ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
前記第2ギャップ層は、必要に応じて前記記録層と前記選択反射層との間に設けられる。前記第2ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル−ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、又は、JSR社製の商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、及び商品名ゼオノアが特に好ましい。
前記第2ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
第1ギャップ層8上には選択反射層6が設けられ、該選択反射層6上に記録層4と、該記録層4上に上側基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)が設けられ、光記録媒体21が構成される。
この選択反射層6は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜が7層積層された誘電体多層蒸着層である。この誘電体多層蒸着層からなる選択反射層6は、第1ギャップ層8上に塗布によって直接形成してもよいし、基材上に誘電体多層蒸着層を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。なお、誘電体多層蒸着層を用いる場合には、光記録媒体の中であって、誘電体多層蒸着層と入出射面との間に4分の1波長板を光記録媒体の構成として入れるか、光記録媒体の中でなくてもダイクロイックミラーと光記録媒体との間に光学的な構成として4分の1波長板を配置するようにすればよい。
この4分の1波長板は、緑色の光に対してのみ4分の1波長分ずらすようにし、緑の光が入射すると円編光の光になるが、それ以外(例えば、赤)の色の光が入射すると楕円偏光の光になるようにするものである。
図3は、本発明の第二の実施形態における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第二の実施形態に係る光記録媒体22では、ポリカーボネート樹脂又はガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3表面にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)である点については、第一の実施形態と同様である。
本発明の光記録媒体の製造方法は、スピン塗布層形成工程を少なくとも含み、該スピン塗布層形成工程を多数回繰り返して、多層塗布層を形成するものであり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記スピン塗布層形成工程は、記録層用組成物をスピン塗布した後、硬化させてスピン塗布層を形成する工程である。
前記スピン塗布は、記録層用組成物(溶液)を、高速で回転する基板上に滴下し、回転の遠心力を利用して基板表面に均一に塗布し、その後、熱処理を加えて溶媒の揮発除去と熱硬化を行ってスピン塗布層を形成する方法である。
前記基板の回転数は、1,500〜2,500rpmで15秒間〜1分間行うことが好ましい。
前記熱処理は、例えば、用いるバインダー樹脂の種類などに応じて適宜選択することができるが、例えば、60〜150℃で、30分間〜2時間が好ましい。
本発明の光記録媒体の記録方法は、本発明の前記光記録媒体に情報光及び参照光を同軸光束として照射し、該情報光と参照光との干渉による干渉パターンによって情報を記録層に記録する。
本発明の光記録媒体の再生方法は、本発明の前記光記録媒体の記録方法により記録層に記録された干渉パターンに参照光を照射して情報を再生する。
ここで、本発明の光記録媒体の記録方法及び再生方法は、以下に説明する本発明の光記録再生装置を用いて行われる。
図9は、本発明の一実施形態に係る光記録再生装置の全体構成図である。なお、光記録再生装置は、光記録装置と光再生装置を含んでなる。
この光記録再生装置100は、光記録媒体20が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光記録媒体20の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、光記録媒体20に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光記録媒体20に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光記録媒体20に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31を光記録媒体20の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
−光記録媒体の作製−
下側基板として、直径120mm、厚み0.6mmのポリカーボネート樹脂製基板を用意した。この下側基板表面には、全面にわたってサーボピットパターンが形成されており、そのトラックピッチは1.6μmであり、溝深さは175nm、溝幅は300nmである。
まず、下側基板のサーボピットパターン表面に反射膜を成膜した。反射膜材料にはアルミニウム(Al)を用いた。成膜はDCマグネトロンスパッタリング法により厚み200nmのAl反射膜を成膜した。
次に、基材上にSiO2からなる薄膜と、TiO2からなる薄膜とを交互に合計30層蒸着させてなる厚み2.4μmの多層蒸着膜(選択反射層)を所定のディスクサイズに打ち抜き、接着剤で第1ギャップ層上に貼り付けた。
次に、前記選択反射層上に、UV硬化樹脂組成物をスピンコートして、UV照射し、硬化させて、厚み50μmの第2ギャップ層を形成した。
次に、第2ギャップ層表面に、記録層の厚み(500μm)を有する外周スペーサ及び内周スペーサをそれぞれ接着した。
次に、外周スペーサ及び内周スペーサに挟まれた凹部に、下記組成の記録層用塗布液を流し込み、80℃で1時間熱硬化させた。
<記録層用塗布液の組成>
・ジ(ウレタンアクリレート)オリゴマー(Echo Resins社製、ALU−351)・・・59質量部
・イソボルニルアクリレート・・・30質量部
・ビニルベンゾエート・・・10質量部
・重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア784)・・・1質量部
−光記録媒体の作製−
比較例1において、第2ギャップ層表面に、比較例1と同じ記録層用組成物をスピン塗布した後、80℃で1時間熱硬化させて、厚み50μmのスピン塗布層を形成するスピン塗布層形成工程を、10回繰り返すことにより、合計厚み500μmの多層塗布層を形成した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の光記録媒体を作製した。
比較例1及び実施例1で作製した記録層上に、上側基板を設ける前に、半径方向及び円周方向の各点の厚みをマイクロメーターを用いて測定した。
比較例1では、記録層の合計厚みの分布が、合計厚みの平均値500μm±50μm(10%)であった。実施例1では、記録層の合計厚みの分布が、合計厚みの平均値500μm±10μm(2%)であった。
比較例1及び実施例1について、走査型電子顕微鏡を用いて記録層断面を観察することにより、比較例1は、境界線がない単層構造であり、実施例1は、各層の境界線が観察でき10層のスピン塗布層からなる多層構造であることが確認できた。
得られた実施例1及び比較例1の各光記録媒体について、ホログラフィック記録再生装置(SHOT−2000、パルステック工業株式会社製)を用いて、実際に情報の記録を行い、多重記録可能回数を測定した。結果を表1に示す。
得られた実施例1及び比較例1の各光記録媒体について、S/N比を、ホログラフィック記録再生装置(SHOT−2000、パルステック工業株式会社製)により測定した。結果を表1に示す。
2 反射膜
3 サーボビットパターン
4 記録層
5 上側基板
6 選択反射層
7 第2ギャップ層
8 第1ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20 光記録媒体
21 光記録媒体
22 光記録媒体
31 ピックアップ
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 走査部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号
Claims (4)
- 上側基板と、下側基板との間に、ホログラフィを利用して情報を記録する記録層を有す
る光記録媒体において、前記記録層が10〜25層のスピン塗布による多層塗布層であって、前記記録層の材料が光照射で重合反応が起こり高分子化するフォトポリマーであることを特徴とする光記録媒体。 - 多層塗布層の合計厚みが、100〜1,000μmである請求項1に記載の光記録媒体。
- 多層塗布層における厚みの分布が、多層塗布層の合計厚みの平均値±5%以内である請
求項1から2のいずれかに記載の光記録媒体。 - 記録層用組成物をスピン塗布した後、硬化させてスピン塗布層を形成するスピン塗布層
形成工程を少なくとも含み、該スピン塗布層形成工程を10〜25回繰り返して、10〜25層の多層塗布層を形成し、かつ前記記録層用組成物が光照射で重合反応が起こり高分子化するフォトポリマーを含むことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
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