JP4751619B2 - 中間結像光学系、それを用いた画像表示装置、および中間結像光学系に用いられる電圧印加方法 - Google Patents
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Description
一方、表示素子のもつ画素数は増やさずに、表示される実効的な画素数を増加させる技術として、画素ずらし技術がある。ウォブリング技術とも呼ばれている。画素ずらし技術とは、表示素子の画素を、表示面上で画素サイズよりも小さい距離だけずらした像とずらさない像、あるいはずらした像同士を時分割的に交互に表示するものである。あるいは、ずらした像とずらさない像、もしくはずらした像同士を同時に重ねて表示することもある。表示される画素の位置を時分割的に変えながら表示させる場合には、第1の表示位置の像が残像効果で見えているうちに第2の表示位置に像を表示させることで、見かけ上2つの画素があるように見せることができる。あるいは複数の表示素子を用いて、各々の画素位置がわずかにずれるように重ねて表示する方法もある。画素をずらす距離としては画素サイズの1/2もしくは1/4なる例がある。
画素ずらし表示する場合には、第1の位置に表示される画像の残像効果が持続している間に画素を移動させて第2の位置に画像を表示することが、表示画像の高精細化に対し効果的である。動画再生表示にも対応させるため、1つの画面フレームの表示周波数は60Hzないしそれ以上にすることが一般的である。画素ずらしは、フレーム表示周波数よりも高い周波数で行う。よって、液晶配向は比較的高速に移動させる必要がある。印加電圧に対する応答性が速い液晶としては強誘電性液晶が挙げられる。
液晶の主軸が液晶層の厚さ方向に配向する垂直配向型強誘電性液晶は、画素ずらしを高速に行う目的に対して好適な材料として知られるところである。
垂直配向型強誘電性液晶の複屈折性および電圧印加手段による液晶配向制御動作原理を利用した画素ずらし素子がで発表されている(例えば、非特許文献1 参照。)。この画素ずらし素子の動作原理は、液晶層の両側に誘電体薄膜層を設け、その外側にITO薄膜電極層を設け、その外側をカバーガラスで挟持した構成であり、光軸をZとし、光軸に直交する面をX・Y平面として、電圧の印加のON/OFFによって、液晶の主軸と光軸の成す角(チルト角)θをYZ面内で±Y方向にスイッチングさせ、液晶層に入射した光線の異常光成分を、液晶の方向に応じて±Y方向に平行シフトさせるというものである。この光路シフト原理を用いれば、後述の実施例のように、±Y、±Xの4方向に画素ずらしすることもできる。
上記の表示原理の応用として、画素を縦横2方向に移動させて、表示される画素数を4つにすることもできる。この場合、画素ずらし手段は画素を縦横2方向にシフトさせる手段を用いる。2方向にシフトさせるには、垂直配向型強誘電性液晶などの液晶の配向方向を±X方向にスイッチさせる画素ずらし素子と±Y方向にシフトさせる画素ずらし素子を併用する。このときライトバルブ素子の縦横の方向もXY方向にあわせておけば、画素は±Xおよび±Yの2方向にシフトする。この場合、表示される画像のフレーム数は通常の4倍になり、表示される情報量も4倍になる。
これとは別に、表示素子の画素が表示する画像は1フレーム毎にフレームメモリから読み込まれ更新されるのが一般的である。一般に表示素子のフレーム更新において全ての画素を一斉に更新するには高速性が要求され、画素列からなる走査線単位で線順次的に更新されることが多い。
同図において符号Tは時刻を表す。
画素ずらしする場合、1フレーム中に2回以上画素ずらしを行う。ここで、画素ずらしして表示するフレームをサブフレームと称すれば、サブフレームの更新に要する速度はサブフレームの表示時間よりも更に速い。このため、全面一斉更新はさらに難しくなり、線順次的な更新になる可能性が高い。
ここで問題になるのは、画素ずらしするタイミングと、サブフレーム画像の更新タイミングの関係である。更新期間中において、表示階調をゼロレベルにするように表示素子を変調制御し、更新期間内に画素ずらしを完了させれば、移動する画素の像は表示されない。しかし、この画像フレームの更新期間は、走査線間で線順次に遅延している。
同図では、最終走査線の更新開始時刻T3から先頭走査線の更新終了時刻T2の間に、画素ずらしが終わっていないので、同図のハッチングした領域では、画素ずらし中の画素の像が表示されてしまっている。また、網点の領域では、前のフレームが表示されているうちに、画素ずらしが始まっており、この場合も、画素ずらし中の像が表示されてしまう。画素ずらし中の画素の像が表示されないようにするためには、画素ずらしする時間(=T6−T5)を、表示素子全体の更新時間(T4−T1)よりも短くしなければならない。あるいは、フレーム更新が早く完了しても、画素ずらしが終わるまで次のサブフレームを表示しないよう、余計な待機時間を設ける必要がある。このようにすると、画像を表示しない時間が増えて、光利用効率が低下し、その結果として画像が暗くなる、という状態が生じる。これらの点については特許文献1では触れられていない。
一方、走査線の垂直走査に同期するように画素位置をシフトさせる方法に触れた文献もある(例えば、特許文献2 参照。)。この方法は、フレーム更新された走査線領域のみが、偏光作用を受けて画素がずらされて表示されるが、1フレーム前の状態の走査線領域は、偏光作用を受けないので画素の表示位置がずれない、と記載されているが、フレーム更新期間中の線順次的な動作作用における上記の課題には触れられていない。
縦軸、横軸および符号は前図に準ずる。
線順次的な画像の更新動作に対して、表示画像の明るさを確保するためには、同図のように、画像が更新された走査線上の画素に対応する領域を、線順次的に画素ずらしすることが望ましい。
同図では、第一走査線の画素ずらし開始時刻をT5、終了時刻をT6、最終走査線の画素ずらし開始時刻をT7、終了時刻をT8としている。同図は、走査線ごとに、画素ずらしの開始終了時刻を線順次に遅延させるという方法である。これができれば、画像更新時間と画素ずらし時間の差を縮める、あるいは一致させることができるので、表示画面を明るくすることができる。同図において、T1=T5、T2=T6、T3=T7、T4=T8とすれば、差がなくなり、無駄な非表示時間がなくなり、最も効率よく画像表示できる。
ところで、上記のような線順次的な画素ずらしは、従来の画素ずらし光学系によって行うことができない。
同図において符号1はライトバルブ、2は偏光ビームスプリッタ、3は色合成プリズム、4は画素ずらし素子、5は画素ずらし素子をそれぞれ示す。
ライトバルブ1からの光が、偏光ビームスプリッタ2と、色合成プリズム3を介したのちに、画素ずらし素子4に入射し、画素ずらし素子4において、光路シフトの作用を受けたのちに、拡大投射系5によって、画素ずらしされた画像を投射する。
なお、本来はR、G、Bの3色に対応するライトバルブ1と偏光ビームスプリッタ2、照明光学系、などが含まれるが、説明の主旨から同図では記載を省略している。
上記の光学系においては、同図に示すように、ライトバルブ1上の1つの画素から発する光は、画素ずらし素子4に、光束が広がった状態で入射している。このため、ライトバルブ1上において、異なる走査線上にある画素からの光同士は、画素ずらし素子4の位置では、互いに一部重なった状態で入射している。このため、画素に対応する光を空間的に分離することができない。この状態では、走査線上の画素に対応して、線順次的に画素ずらしを行うことができない、という課題がある。
同図において符号6はランプ光源、7はカラーホイール、8はフライアイレンズアレイをそれぞれ示す。
ランプ光源6から出た光束は、カラーホイール7でR、G、Bのいずれかの色に単色化され、フライアイレンズアレイ8によって光強度分布が均等化されるとともに特定の方向に偏光面を与えられ、偏光ビームスプリッタ2に入射する。光束は偏光反射面により反射されてライトバルブ1に入射する。ライトバルブ1において画像情報で変調された光束は、偏光方向も90度変えられていて、偏光反射面を透過して画素ずらし素子に入射する。以後は前図において説明したのと同様である。
同図のように、1枚のライトバルブ素子を用い、カラーホイールによってR、G、Bの色画像をシーケンシャルに表示する光学系においても、画素ずらし手段の適用効果は同様にある。前図の場合と同様に、画素ずらし素子においては、ライトバルブの走査線に対応する画素からの光が相互に空間的に分離されていないために、線順次的な画素ずらしを行うことができない。
ルブと、該ライトバルブ上に表示される画像の投影光路上で該画像の位置を移動させる電
圧印加手段を含む画素ずらし手段を有し、前記ライトバルブと前記画素ずらし手段の間の
光路上に設けられ、前記画像の中間像を前記画素ずらし手段の位置に結像させる中間結像
素子を有する中間結像光学系であり、以下の特徴を有する。
即ち、中間結像素子と画素ずらし手段との間に、直線偏光子が設けられる。
画素ずらし手段は、液晶層と、該液晶層を挟持する透光性部材とを有し、電圧印加手段
が前記液晶層へ電圧を印加することによって液晶軸の方向を変化させて、前記液晶層への
入射光を光路シフトするものである。
前記直線偏光子は、中間結像素子側からの結像光のうち、画素ずらし手段による光路シ
フト方向に平行な偏光方向の光を、画素ずらし手段側へ透過させるものである。
前記画素ずらし手段は、画素ずらし面内において、ライトバルブの走査線並び方向に並
列に複数の画素ずらし領域を有し、前記複数の画素ずらし領域それぞれに含まれる走査線数が、走査線列の中央部に近い画素ずらし領域よりも、走査線列の周辺部の画素ずらし領域の方が少ない。
請求項2に記載の発明では、請求項1記載の中間結像光学系において、前記ライトバル
ブ上に表示される画像は拡大されて中間結像されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の中間結像光学系において、前記ライトバルブへの照明光と前記ライトバルブからの反射光を光路分離する光路分離手段を、前記ライトバルブと前記中間結像素子の間の光路上に設けたことを特徴とする。
において、前記画素ずらし手段は、独立に駆動可能な複数の画素ずらし領域が、光軸と直
交する面内方向に並列配置された構造をもつことを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の中間結像光学系において、前記画素ずら
し手段は、前記複数の画素ずらし領域が、対応するライトバルブの走査線の更新されるタ
イミングと同期して、前記中間像を線順次的にシフト移動することを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項6ないし8のいずれか1つに記載の中間結像光学系に用いられる前記画素ずらし手段への電圧印加方法において、前記複数の画素ずらし領域に対し各々独立に電圧を印加することを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の電圧印加方法において、前記複数の画素ずらし領域に対する電圧印加は、当該領域に対応するライトバルブ上の画像のフレーム更新期間中に行うことを特徴とする。
同図(a)は入射光の3色分離の様子を示す図、同図(b)は画像情報光の3色合成の様子を示す図である。
同図において符号9はダイクロイックミラー、10は偏光ビームスプリッタ(PBSと略す)、11は反射型ライトバルブ、12は色合成プリズム、13は中間結像素子、14は画素ずらし素子、15はミラーをそれぞれ示す。添え字のR、G、Bは関連する赤、緑、青の各色を示す。
同図(a)において、下方から入射する照明光は、ダイクロイックミラー9RG−B(R、Gは反射光、Bは透過光の色を表す)によって赤(R)、緑(G)の光束を右方向に反射し、青(B)の光束は上方に透過し、ミラー15で右方向に反射される。
赤および緑の反射光はさらにダイクロイックミラー9G−Rによって緑(G)の光束を上方向に反射し、赤(R)の光束は右方向に透過する。かくして入射光束3色に光路分離される。光路分離された照明光は、光路分離手段としての偏光ビームスプリッタ10R、10G、10B(以下、3色を一括して示すときはR、G、Bを省略する。他の符号についても同様)をそれぞれ透過して、反射型ライトバルブ11R、11G、11Bをそれぞれ照明する。反射型ライトバルブ11上に形成される表示画像は、線順次にフレーム更新される。
画素ずらし素子14はハッチングされた領域において、光路シフトの作用を与える。ライトバルブの反射面を中間結像素子13の物体面としたとき、像面は、画素ずらし素子14のハッチング領域にくるように配置している。ライトバルブ11上の任意の走査線上にある画素の中間像が、画素ずらし素子14のハッチング領域に中間結像する。ライトバルブと画素ずらし素子の大きさは、作製の難易の関係から通常は画素ずらし素子の方が大きくなる。したがって、中間結像素子による中間像は拡大される場合が多い。光源から中間結像位置までの構成を中間結像光学系と呼ぶ。
画素ずらし素子14は、垂直配向型強誘電性液晶層とこれを挟持するガラス板の間にITO透明電極層を設けており、液晶に対する電圧印加が可能である。液晶の主軸は光軸Zに対してYZ面内で傾いており、光軸に対する傾角θは、電圧のオン/オフでプラス/マイナス方向に変化する。これに伴い、液晶層中を透過する光線は光路シフト作用を受ける。これにより、画素ずらし作用が得られる。
同図の光学配置によって、ライトバルブ11上における任意の第N走査線上にある画素の中間像と、N+1走査線上にある画素の中間像を、空間的に分離することができるので、空間的に分離された走査線の中間像の領域に対して、領域選択的に画素ずらしを行うことによって、走査線に対応した画素ずらし動作を行うことができるようになる。なお、中間結像面にて集光した光は、拡大投射系15(図示せず)に入射する。拡大投射系15に入射した光は、最終像面上16(図示せず)に拡大されて再結像される。
同図において符号40は液晶素子、41は液晶層、42は液晶、43、44は透光性部材からなる透明基板、Liは入射主光線、Loは出射主光線をそれぞれ示す。
上記の画素ずらし素子においては、同図に示すように、液晶層41に対し垂直に入射した主光線のうち、異常光線LiがLoとして液晶層1に対して垂直に射出するように設計され、空間変調素子面上の全ての物体高に対する光路シフト量が同一になるようにしている。このため、上記の画素ずらし素子14を用いた際において、画素ずらし素子に入射する主光線Liが液晶層41と垂直に入射することが重要である。(因みに常光線は光路シフトしない。)
同図において、液晶層41への印加電圧をOFFにすると、液晶42の主軸の傾きが反転し、射出光線Loの位置は下方へシフトする仕組みである。液晶層41と透明基板43および44の間には、対向電極があり、液晶層41に電圧を印加することができる。
対向電極としては、ITO透明電極を用いることができる。
用いる液晶としては、ホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な液晶があげられる。
同図において、代表的な3つの主光線を示している。これらの主光線は全て、中間結像素子13の光軸に対して平行に入射し、同素子を出射後、画素ずらし素子14のX−Y面に対して垂直に入射している。このため、中間結像手段においては、その像空間においてテレセントリシティをもつようにしている。これにより、画素ずらし手段の位置に生成されるライトバルブの中間像における、任意の画素が受ける画素ずらし量を一定にすることができる。
ただし、中間結像素子3の開口がライトバルブ11の有効サイズより十分大きい場合は、通常の倒立実像系光学素子であっても、画素ずらし素子14の面に垂直に入射する光線が主光線からあまり離れないので実用可能である。
両図において符号17は直線偏光子(単に偏光板と称す)、Lcは楕円偏光波、Lsは直線偏光波をそれぞれ示す。
図2において説明したように、画素ずらし素子14に対して、印加電圧のスイッチングによって液晶が移動する面、すなわちY−Z面に対して、Y方向直線偏光波を入射させることが好ましい。したがって、ライトバルブ11からの反射光はY方向の直線偏光であることが好ましいが、中間結像素子13を通過させると、レンズ面での屈折によって生じる偏光解消作用のため、偏光状態が楕円化する。そこで、図4に示すように、中間結像素子13と画素ずらし素子14との間には、偏光板17を設け、Y偏波のみが透過して画素ずらし素子14に入射するようにした。
図5に示すように、偏光解消によって楕円化した偏光波Lcを、偏光板17によって、直線偏光成分を透過させて直線偏光波Lsとして、これを、画素ずらし素子14に入射させる。
画素ずらし手段は、ライトバルブの走査線並び方向に、画素ずらし駆動領域が分割された構成にしている。分割数は、走査線数よりも少なくしたので、液晶層に対する駆動の安定性がよい。分割数を多くすると、画素ずらししない領域にも電圧がかかり、画素ずらしする隣の領域も画素ずらしされてしまう。分割数を少なくしても、画素ずらしする領域の、隣の領域の一部にも電圧がかかるが、その影響は、領域の全範囲には及ばず、隣接している一部の領域に留まるので、隣の領域が画素ずらしされてしまう傾向は、極めて低くなる。
別の方法として画素ずらし手段において、同一のタイミングで画素ずらし駆動する分割領域に含まれる走査線数が、互いに同数となるようにした。分割された画素ずらし駆動領域に対応する液晶層における、電圧の印加に伴い生じる電界分布状態が、分割領域間で均一になるので、画素ずらし動作の、分割領域間の均一性を高くすることができる。
TVなどの用途では画面中央に視線が集中する傾向があるので、そのような場合に対し、好適な画質を得ることができる。
また、投射装置では、画面の周辺は中央よりも暗くなる傾向があり、画面の明るさを均一化するために、中央の明るさを落とすなどの対策が講じられているが、中央部の画素ずらし領域の走査線数を増やすと、その分画像が暗くなるので、中央から周辺に向かって、走査線の数を漸次減らしていけば、画面全体の明るさのバランスを取ることができる。
画素ずらし素子における、走査線列方向の両端にある対向電極の位置に対して、その外側に液晶層の領域がないと、電圧を印加したときに生じる、液晶層内での電界分布は、中央部と比べて、非対称になるので、液晶の駆動状態が、中央部と比べて同じにならない。
このため、画素ずらしの動作も、中央部と異なってくる。しかしながら、端部の電極対よりも外側にも液晶層の領域を設ければ、電界分布の不均一性が解消される。同一の理由から、別なる構成として、画素ずらし手段における、有効領域、すなわち、ライトバルブの像を画素ずらしする領域よりも大きめに、画素ずらし手段を形成すれば、端部における上記の不具合が解消できる。
ライトバルブの画像フレームは線順次に画像フレームが更新される。また、中間像面は、画素ずらし素子によって、隣接する複数の走査線群の単位で、画像フレームが更新されるタイミングと同期して、線順次的にシフト移動するようにした。
同図において符号18は第1走査線群、19は第2走査線群、20は第3走査線群をそれぞれ示す。
第1走査線群18は、走査線番号1〜M(Mは整数)からなる。第1走査線群18のフレーム更新に対し、走査線番号Mの更新開始時刻T5から、走査線番号1の更新終了時刻T2の間に、走査線番号1〜M上の画素の中間像領域を画素ずらしする。次に、走査線番号M+1〜N(Nは整数)の第2走査線群19のフレーム更新に対し、同様に、走査線番号Nの更新開始時刻から走査線番号M+1の更新終了時刻の間に、走査線番号M+1〜Nの画素の中間像領域を画素ずらしする。以下同様にして、最終走査線列までの画素を、完全に線順次ではないが、走査線群単位で、線順次的に画素ずらしを行うようにした。
このように、複数の画素ずらし領域の総数を、走査線数よりも少なくすることにより、従来よりも、画素の像が非表示になっている時間が短くなるため、従来よりも画像が明るくなるという効果が得られる。同図では3つの領域に分割して、ライトバルブのフレーム更新に合わせて分割動作をさせているが、分割数はこれよりも多くてもよい。例えば、後述のように分割領域のY方向の幅を狭めてゆき、ひとつの領域に含まれる走査線数が1となるようにしてもよい。
同図において符号141は第1走査線群に対応する中間像領域、142は第2走査線群に対応する中間像領域、143は第3走査線群に対応する中間像領域をそれぞれ示す。
同図において、画素ずらし素子14の入射面における中間像領域141、142,143は、図6における走査線群18、19、20に対応している。画素ずらし素子は中間像領域141,142,143に対応する複数の画素ずらし領域が、光軸と直交する面内で列状に集積された構造をもち、画像フレームの更新のタイミングと同期して、互いに独立に画素ずらし駆動される。
図7に示された、並列に領域分割された画素ずらし素子14における、各々の領域の液晶層に対し、各領域の対向電極への電圧印加手段を設け、独立に電圧を印加できるようにしている。各領域の対向電極対は領域間で互いに分離している。
図8の分割領域を、走査線数相当数に分割数を増やし、各領域に対し、電圧印加手段を独立に与えることで、各領域の画素ずらしを独立に行うようにすると、走査線単位での画素ずらしが実現する。この場合も、隣接する領域の電極は互いに分離している。
各電圧印加手段に対する、電圧印加のタイミングは、第1列は、第1走査線群における最終走査線の更新開始時刻から第1走査線の更新完了時刻の間に印加する。第2列は、第2走査線群における最終走査線の更新開始時刻から第1走査線の更新完了時刻の間に印加する。第3列は、第3走査線群における最終走査線の更新開始時刻から第1走査線の更新完了時刻の間に印加する。第2列は、第1列よりも時間遅延して印加しており、第3列は第2列よりも時間遅延して印加している。
走査線単位で画素ずらしする場合は、任意の第N列は、走査線Nにおける更新開始時刻から走査線1の更新終了時刻の間に電圧印加する。第N+1列は、第N列よりも、電圧印加のタイミングを遅延して印加する。
ライトバルブの画面の法線をZ軸にとり、走査線の列並び方向をY軸にとったとき、画素ずらし素子14における、画素ずらし面(液晶面)をX−Y面とし、液晶面の法線をZ軸として、−Y方向に線順次に画素ずらしが行われるように、ライトバルブと画素ずらし素子の配置関係を与えることで、ライトバルブ上で線順次にフレームが更新される方向と、画素ずらし素子上で、線順次に画素ずらし動作を行う方向を一致させている。
同図において符号21は照明光源、22はカラーホイール、23は照明分布均一化のためのフライアイレンズアレイ、24はライトバルブ、25はPBS、26は中間結像素子、27は画素ずらし手段をそれぞれ示す。
同図は、反射型ライトバルブ24が1枚であり、カラーホイール22によって、照明光源21からの白色光をR、G、Bにタイムシーケンシャルにライトバルブ24に照明している。同図の構成においては、PBS25と画素ずらし手段27の間の光路上に、中間結像手段26を設けている。中間像は、図1の例と同様に、画素ずらし手段27に生成されるようにした。
同図において符号28は直線偏光子を示す。
同図のように、中間結像素子26と、画素ずらし素子27の間に、直線偏光子28を設け、画素ずらし素子に対し、直線偏光波が入射するようにした。これによる作用効果は、図4における説明と同様である。
図10の例以外に、ライトバルブがDMDや透過型液晶ライトバルブである場合においても、中間結像手段26の配置条件を適用することができ、加えて、直線偏光子28の配置を併用することで、同様の効果が得られる。
10、25 偏光ビームスプリッタ(PBS)
11、24 反射型ライトバルブ
12 色合成プリズム
13、26 中間結像素子
14、27 画素ずらし素子
17、28 直線偏光子(偏光板)
21 光源
22 カラーホイール
41 液晶層
42 液晶
Claims (10)
- 少なくとも、線順次に画像フレームが更新されるライトバルブと、該ライトバルブ上に
表示される画像の投影光路上で該画像の位置を移動させる電圧印加手段を含む画素ずらし
手段を有し、前記ライトバルブと前記画素ずらし手段の間の光路上に設けられ、前記画像
の中間像を前記画素ずらし手段の位置に中間結像させる中間結像素子を有する中間結像光
学系において、
前記中間結像素子と前記画素ずらし手段との間に、直線偏光子が設けられ、
前記画素ずらし手段が、液晶層と、該液晶層を挟持する透光性部材とを有し、前記電圧
印加手段が前記液晶層へ電圧を印加することによって液晶軸の方向を変化させて、前記液
晶層への入射光を光路シフトするものであり、
前記直線偏光子は、前記中間結像素子側からの結像光のうち、前記画素ずらし手段によ
る光路シフト方向に平行な偏光方向の光を、前記画素ずらし手段側へ透過させるものであ
り、
前記画素ずらし手段は、画素ずらし面内において、ライトバルブの走査線並び方向に並
列に複数の画素ずらし領域を有し、
前記複数の画素ずらし領域それぞれに含まれる走査線数が、走査線列の中央部に近い画素ずらし領域よりも周辺部の画素ずらし領域の方が少ないことを特徴とする中間結像光学系。 - 請求項1に記載の中間結像光学系において、
前記ライトバルブ上に表示される画像は拡大されて中間結像されることを特徴とする中
間結像光学系。 - 請求項1または2に記載の中間結像光学系において、
前記画素ずらし手段は、走査線列方向の両端において、前記電圧印加手段を設けた位置
よりも外側にも、液晶層領域があることを特徴とする中間結像光学系。 - 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の中間結像光学系において、
前記ライトバルブへの照明光と前記ライトバルブからの反射光を光路分離する光路分離
手段を、前記ライトバルブと前記中間結像素子の間の光路上に設けたことを特徴とする中
間結像光学系。 - 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の中間結像光学系において、
前記中間結像素子は、該中間結像素子と前記画素ずらし手段の間の像空間においてテレ
セントリシティを有することを特徴とする中間結像光学系。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の中間結像光学系において、
前記画素ずらし手段は、独立に駆動可能な複数の画素ずらし領域が、光軸と直交する面
内方向に並列配置された構造をもつことを特徴とする中間結像光学系。 - 請求項6に記載の中間結像光学系において、
前記画素ずらし手段は、前記複数の画素ずらし領域が、対応するライトバルブの走査線
の更新されるタイミングと同期して、前記中間像を線順次的にシフト移動することを特徴
とする中間結像光学系。 - 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の中間結像光学系を用いたことを特徴とする
画像表示装置。 - 請求項6ないし8のいずれか1つに記載の中間結像光学系に用いられる前記画素ずらし手段への電圧印加方法において、
前記複数の画素ずらし領域に対し各々独立に電圧を印加することを特徴とする電圧印加
方法。 - 請求項9に記載の電圧印加方法において、
前記複数の画素ずらし領域に対する電圧印加は、当該領域に対応するライトバルブ上の
画像のフレーム更新期間中に行うことを特徴とする電圧印加方法。
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