JP4751507B2 - 水性下塗材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックの成形品又はフィルム、建材用サイディングボード、あるいは建築外装用塗料等の水性下塗りコーティングを目的として使用される水性下塗材組成物に関し、更に詳しくは、プラスチックの成形品及びフィルムに対し塗料、インキ、接着剤用のプライマーとして、更に建材用サイディングボードの塗装用、建築外装用塗料の基材の下地処理用及び旧塗膜用のシーラーとして使用される水性下塗材組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般にプラスチック系樹脂は結晶性で表面に反応性に富んだ官能基が少ないため、プラスチック系樹脂基材に対して接着や塗装を施すことは困難である。これを改善するため、プラスチック系樹脂の表面を酸処理あるいはコロナ放電又はプラズマ処理等の物理的方法が行なわれている。しかしながら、これだけでは十分な効果が得られない。プラスチック系樹脂に対する密着性をさらに改善するために、一般にプライマーが多く使用されている。また、工場生産による建材用サイディングボードの塗装、あるいは建築現場における建材、モルタル、コンクリート等の基材表面に塗料を塗装する場合、基材への下地処理材として、又は上塗り塗料との密着性を良くするために下塗りシーラーが一般に使用されている。これらプライマーや下塗りシーラーとして、塩素化ポリオレフィン系樹脂を含有した組成物が広く使用されている。プライマーとしては、塩素化ポリオレフィン系樹脂を含有した組成物がプラスチック系樹脂基材に対し優れた密着性を有するため、塗料、インキ、接着剤の密着性を向上させるために使用され、下塗りシーラーとしては、塩素化ポリオレフィン系樹脂を含有した組成物が、上塗り塗料として塗布される水性艶有り塗料、単層弾性塗料、復層弾性中塗り塗料等の低顔料容量濃度エマルション塗料や溶剤系ラッカー塗料等の多岐に渡る塗料に対し、さらに旧塗膜に対し優れた密着性を有するため使用されている。
【0003】
これらの塩素化ポリオレフィン系樹脂を含有するプライマーや下塗りシーラーは、塩素化ポリオレフィン系樹脂に対し良溶媒であるトルエンやキシレン等の有機溶剤が一般的に使用されている。例えば特開平3−221512号公報には、アクリル系オリゴマー類とポリジエン類と特定の塩素化ポリオレフィン類とをグラフト重合して得られる溶剤系ポリオレフィン系樹脂組成物が開示されている。更に特公平2−29702号公報には、界面活性剤を用いて特定の塩素化ポリオレフィン樹脂の有機溶剤溶液を水媒体中でエマルション化した水性シーラーが開示されている。
【0004】
しかし、上記のような塩素化オレフィンを含む組成物は有機溶剤を多量に含有しているため、今日問題になっている作業環境、人体に対する安全性、大気汚染、火災や爆発の危険性等の問題がある。また、水性シーラーは機械的分散のため、経時において粒子の融着、凝集による分離や沈降の保存安定性の問題がある。
【0005】
上記の問題点を解決する手法として、特開平5−209006号公報では、(メタ)アクリル系モノマー類中に塩素化ポリオレフィン類及び(メタ)アクリル系オリゴマー類を溶解し、触媒の存在下に水媒体中で懸濁重合して得られる(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン水性エマルションの製造方法が開示されている。特開平7−300570号公報では、特定の塩素化ポリオレフィンを脂肪族系の高沸点有機溶剤に溶解し、界面活性剤の存在下にエマルション化し、該エマルション中でビニル系モノマーを重合反応させて得られる塩素化ポリオレフィン含有水性塗料組成物を開示している。近年、さらに一層環境汚染が問題化されている折、塩素系化合物の焼却時のダイオキシン発生や廃棄による土壌汚染等が懸念される。
【0006】
よって、塩素系化合物を含有しない水系のプライマー又は下塗りシーラーが求められている。特開平5−247376号報では、水性媒体中に、エチレン性不飽和カルボン酸とC1〜C10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、飽和カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、エチレン、ブタジエンからなる群より選ばれた単量体とその他の単量体の共重合によって得られる共重合体が、アルカリ及び/又は有機溶剤の添加により特定量が可溶化して存在している水性下塗剤が開示されている。また特開平11−222567号公報では、カルボニル基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー、カルボキシル基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー、水酸基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー及びその他のラジカル重合性ビニル系モノマーからなるビニル系水性共重合体と架橋剤を含有してなる水性硬化型シーラーが開示されている。いずれも基材、塗料、接着剤や旧塗膜への密着性が不足している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塩素化ポリオレフィンを使用することなく水性であり、各種基材に対する密着性、及び塗料、インキ、接着剤との密着性、さらに建築用単層弾性塗料、復層弾性中塗り塗料及び旧塗膜に対する密着性に優れた水性下塗材組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水性下塗材組成物として、アセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体を共重合した共重合組成物に引火点が50℃以上の有機溶剤を配合したものが、各種の基材や塗料に対して優れた密着性があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、アセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体(a)2〜35重量%と、(a)と共重合可能なビニル系単量体(b)65〜98重量%の単量体混合物を乳化重合して得られる、ガラス転移温度が0〜50℃、粒子径が0.05〜0.5μmである共重合体エマルション(A)に、引火点が50℃以上である有機溶剤(B)を配合してなる水性下塗材組成物であり、好ましくは有機溶剤(B)が脂肪族二塩基酸エステル類又はプロピレン系グリコールエーテル類である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。本発明に使用するアセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体(a)は、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とアセトアセトキシ基を1個以上有するものである。アセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体は、プラスチック系樹脂基材や工場生産による建材用サイディングボード、あるいは建築現場における建材、モルタル、コンクリート等の基材に対する密着性、インキや接着剤、上塗り塗料、あるいは旧塗膜に対する密着性を得るための必須成分である。アセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、具体的にアセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等が挙げられる。その使用量は、単量体全量に対し2〜35重量%である。好ましくは、3〜30重量%である。その使用量が2重量%より少ない場合には、密着性の効果が不足し、35重量%を超える場合には、共重合性が悪くなる。
【0011】
本発明に使用されるアセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体(a)と共重合可能なビニル系単量体(b)は、ラジカル重合可能な反応性二重結合を有する単量体であり、特に非官能性単量体と官能基含有単量体を併用することが好ましい。非官能性単量体の代表的な具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tertブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキル又はシクロアルキルエステル単量体;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリロ二トリル等のニトリル系単量体等が挙げられる。これらの群より選ばれた少なくとも1種以上使用することができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体やスチレン等である。
【0012】
本発明に使用する官能基含有単量体の代表的な具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノアクリレート等の水酸基含有単量体、及びこれらの単量体とラクトン(例えば、ε−カプロラクトン等)との付加物等;ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ダイアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ビニルアルキルケトン等のカルボニル基含有単量体;その他の官能基を有する単量体としてはビニルスルホン酸ソーダ、パラスチレンスルホン酸ソーダ、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの群より選ばれた少なくとも1種以上を使用することができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸や水酸基含有単量体である。
【0013】
本発明に使用するビニル系単量体(b)の使用量は、単量体全量に対して非官能性単量体が50〜97.9重量%、及び官能基含有単量体が0.1〜15重量%である。さらに官能基含有単量体中に(メタ)アクリル酸を0.1〜5重量%使用することが好ましい。
【0014】
本発明の共重合体エマルション(A)における共重合体のガラス転移温度(以下Tgと称する)が0〜50℃であることが必要である。共重合体のTgが0℃より低い場合には、塗膜の凝集力が不足し多孔質基材及び旧塗膜に対する密着性が低下する。共重合体のTgが50℃を超える場合にはエマルションの造膜性が低下する。なお、共重合体のTgは、日本エマルジョン工業会規格「合成樹脂エマルジョンの皮膜の硬さ表示方法(107−1996)」に記載された各ホモポリマーのTg値を使用して計算値から求める。
【0015】
本発明の共重合体エマルション(A)の粒子径は、0.05〜0.5μmであることが必要である。好ましくは、0.05〜0.3μmである。基材への濡れ性や浸透性は、粒子径が小さいほど良好であるが機械的安定性が悪くなる傾向にある。粒子径が0.05μmより小さい場合には、得られたエマルションの機械的安定性が悪くなる。粒子径が0.5μmより大きい場合には、多孔質基材への浸透性が低下する。
【0016】
本発明の共重合体エマルション(A)は、単量体混合物を水媒体中で乳化剤の存在下に、乳化重合することで得られる。乳化重合の方法は通常の方法で得ることができる。乳化重合に際して使用される乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤及び反応性乳化剤を使用することができる。代表的な具体例としては、例えばオレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスチレン化クレゾール硫酸エステル等のアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリオール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン性乳化剤;種々の分子量(EO付加モル数の異なる)のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレングリコールのモノマレイン酸エステル及びその誘導体、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等の反応性乳化剤が挙げられる。これらの群より選ばれた少なくとも1種以上使用することができる。
【0017】
本発明の共重合体エマルション(A)を乳化重合する際に、必要に応じて重合度を調整するため、連鎖移動剤を使用することができる。使用する連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、n−ブチルメルカプタン、トリクロロメルカプタン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの群より選ばれた少なくとも1種以上使用することができる。
【0018】
本発明の共重合体エマルション(A)を乳化重合する際に使用する重合開始剤としては、通常の乳化重合に用いられる重合開始剤を使用することができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、パーオキシエステル類の過酸化物で、水溶性の重合開始剤が好ましい。また塩化第一鉄、硫酸第一鉄、重亜硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤と過酸化物とを併用して使用することもできる。
【0019】
本発明に使用する有機溶剤(B)は、本発明の共重合体エマルション(A)の造膜助剤として用いられると同時に、共重合体エマルション(A)との親和性、有機溶剤の蒸発性、プラスチック系樹脂基材への濡れ性及び多孔質基材への浸透性を向上させるために必要である。非危険物化及び低臭性を考慮して、その引火点が50℃以上であることが必要である。本発明に使用される有機溶剤としては、引火点が50℃以上あれば特に制限しないが、造膜助剤としての効果と乾燥性のバランスの取れているものが好ましい。より好ましくは、脂肪族二塩基酸エステル類及び/又はプロピレン系グリコールエーテル類である。脂肪族二塩基酸エステル類の具体例としては、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルへキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ビス(2−エチルへキシル)アゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルへキシル)セバケート、ジエチルサクシネート等が挙げられる。プロピレン系グリコールエーテル類の具体例としては、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等が挙げられる。これらの群より選ばれた少なくとも1種以上の有機溶剤を使用できる。その使用量は、造膜助剤としての働きと基材への濡れ性や浸透性の働きをする量があれば十分である。好ましくは共重合体エマルションの樹脂分100重量部に対して5〜40重量部である。
【0020】
本発明の水性下塗材組成物は、必要に応じて公知の添加剤である可塑剤、充填剤、顔料、粘性調整剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、凍結防止剤、防炎剤、難燃剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例における部は重量部を示し、%は重量%示す。
【0022】
実施例1
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管を備えた反応装置に脱イオン水68.5部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製:商品名レベノールWZ)1部を仕込み、十分窒素置換した後内温を80℃まで昇温して、10%濃度に溶解した過硫酸アンモニウム水溶液1部を添加すると同時に、予め準備していたスチレン60.5部、2−エチルへキシルアクリレート26.0部、アクリル酸3.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.5部、アセトアセトキシエチルメタクリレート8.5部、n−ドデシルメルカプタン0.85部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製:商品名レベノールWZ)8部、脱イオン水49.4部からなる単量体乳化物を滴下する。並行して2%濃度に溶解した過硫酸アンモニウム水溶液10部を滴下しながら3時間重合反応をする。内温を80℃に保ちながら更に5時間熟成する。内温を室温に冷却し、25%アンモニア水2部を添加し、次にブチルジグリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)を17部添加しよく攪拌する。得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度610mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは、26℃であった。引火点はなく、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は良好であった。結果は表1に示す。
【0023】
実施例2及び3
実施例2は、実施例1で使用した有機溶剤を全量2,2,4トリメチル1,3ペンタンジオールモノイソブチレート(チッソ(株)製 商品名CS−12)に、実施例3は、実施例1で使用した有機溶剤をジイソブチルアジペート(田岡化学工業(株)製)8.5部とジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(ダウ・ケミカル日本(株)製 商品名ダワノールDPnB)8.5部に変える以外は全く実施例1と同様にして水性下塗材組成物を得た。実施例2で得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度830mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは、26℃であった。引火点はなく、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は良好であった。実施例3で得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度550mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは、26℃であった。引火点はなく、スレート板に対する密着性は良好であり、アクリル板と旧塗膜に対する密着性は非常に良好であった。結果は表1に示す。
【0024】
実施例4
実施例4は、実施例3のアクリル酸をメタクリル酸に変える以外は全く実施例3と同様にして水性下塗材組成物を得た。得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度180mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは、27℃であった。引火点はなく、スレート板に対する密着性は良好であり、アクリル板と旧塗膜に対する密着性は非常に良好であった。
結果は表1に示す。
【0025】
実施例5
実施例5は、実施例3のビニル系単量体をブチルアクリレート54.5部、メチルメタクリレート32部に変える以外は全く実施例3と同様にして水性下塗材組成物を得た。得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度3,800mPa・s、pH8.5、粒子径0.08μmであり、共重合体のTgは、27℃であった。引火点はなく、スレート板に対する密着性は良好であり、アクリル板と旧塗膜に対する密着性は非常に良好であった。結果は表1に示す。
【0026】
実施例6及び7
実施例6は、実施例3のアセトアセトキシエチルメタクリレートの使用量を4部に、他のビニル系単量体及び溶剤量は表1に示すように変えて実施例1と同様に水性下塗材組成物を得た。実施例7は、実施例3のアセトアセトキシエチルメタクリレートの使用量を25部に、他のビニル系単量体及び溶剤量は表1に示すように変えて実施例1と同様に水性下塗材組成物を得た。実施例6で得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度720mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは28℃であった。引火点はなく、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は良好であった。実施例7で得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度520mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは23℃であった。引火点はなく、スレート板に対する密着性は良好であり、アクリル板と旧塗膜に対する密着性は非常に良好であった。結果は表1に示す。
【0027】
実施例8
実施例8は、実施例3で使用した有機溶剤をDOA(田岡化学工業(株)製 ビス(2−エチルへキシル)アジペート)及びダワノールTPM(ダウ・ケミカル日本(株)製 トリプロピレングリコールメチルエーテル)に変える以外は全く実施例3と同様にして水性下塗材組成物を得た。得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度680mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは、26℃であった。引火点はなく、スレート板に対する密着性は良好であり、アクリル板と旧塗膜に対する密着性は非常に良好であった。結果は表1に示す。
【0028】
実施例9及び10
実施例9及び10は、実施例3のTgを43℃及び5℃になるように、使用するビニル系単量体及び有機溶剤量を表1に示すように変えて実施例3と同様にして水性下塗材組成物を得た。実施例9で得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度1,050mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは43℃であり、引火点はなく、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は良好であった。実施例10で得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度120mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは5℃であり、引火点はなく、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は良好であった。結果は表2に示す。
【0029】
実施例11
実施例11は、実施例3の粒子径を0.26μmになるように初期仕込みの界面活性剤の使用量を調整する以外は実施例3と同様にして水性下塗材組成物を得た。得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度80mPa・s、pH8.5、粒子径0.26μmであり、共重合体のTgは26℃であった。引火点はなく、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は良好であった。結果は表2に示す。
【0030】
比較例1
比較例1は、実施例6のアセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体を使用しない水性下塗組成物である。実施例6と同様にして水性下塗材組成物を得た。得られた水性下塗材組成物は、固形分40.0重量%、粘度410mPa・s、pH8.5、粒子径0.12μmであり、共重合体のTgは28℃であった。引火点はなかったが、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は悪かった。結果は表2に示す。
【0031】
比較例2
比較例2は、実施例3の粒子径を変えた比較例である。初期仕込みの界面活性剤の使用量を調整し実施例3と同様にして水性下塗材組成物を得た。得られた水性下塗材組成物は、粒子径が0.60μmで請求の範囲外であり、引火点はなかったが、アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は悪かった。結果は表2に示す。
【0032】
比較例3及び4
比較例3は、実施例1の有機溶剤をトルエンに、比較例4は、実施例1の有機溶剤をキシレンに変える以外は全く実施例1と同様にして水性下塗材組成物を得た。比較例3で得られた水性下塗材組成物は、引火点が38℃で危険物になり、作業場での取り扱いや貯蔵量の規制の問題点がある。アクリル板、スレート板及び旧塗膜に対する密着性は悪かった。比較例4で得られた水性下塗材組成物は、引火点が40℃で危険物になり、作業場での取り扱いや貯蔵量の規制の問題点がある。アクリル板及び旧塗膜に対する密着性は良好であったが、スレート板に対する密着性が悪かった。結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表1及び表2中に記載した単量体及び溶剤を下記の略号にて示す。
【0036】
試験方法
1.粒子径
粒子径は、NICOMP Model370(Particle Sizing Systems Inc. 製)を用いて測定した。
2.引火点
引火点は、セタ密閉式引火点測定装置により測定した。
3.密着性
密着性は、厚み1mmの市販アクリル板に対する密着性、厚み4mmの市販スレート板に対する密着性及び旧塗膜を想定してスレート板に上塗り塗料を塗布し、その上に本発明の水性下塗材組成物を塗工した。更に塗料を塗布して塗膜面に対する密着性について試験した。
▲1▼アクリル板に対する密着性
アクリル板に対する密着性は、アクリル板の表面に本発明の水性下塗材組成物を固形分25%に調整し、60〜80g/m2になるように刷け塗りする。室温で24時間乾燥させ試験試料とした。セロファンテープを塗工面に密着させ強制的にハクリし剥れ方を観察する。
▲2▼スレート板に対する密着性
スレート板に対する密着性は、スレート板の表面に本発明の水性下塗材組成物を固形分25%に調整し、60〜80g/m2になるように刷け塗りする。室温で24時間乾燥させ試験試料とした。セロファンテープを塗工面に密着させ強制的にハクリし剥れ方を観察する。
▲3▼旧塗膜面に対する密着性
塗膜面に対する密着性は、旧塗膜を想定して、上塗り塗料として日本ペイント(株)製 商品名タイルラックU上塗り(2液型溶剤系)をスレート板に200g/m2になるように塗布し、室温で7日間乾燥させた試験板上に本発明の水性下塗材組成物を固形分25%に調整し、60〜80g/m2になるように刷け塗りする。室温で3時間乾燥させ下塗り塗膜を形成した。該下塗材上に、塗料として低PVCエマルション塗料(日本ペイント(株)製 ニッペDANフレッシュR)を厚み1mmになるように塗布し、室温にて16時間乾燥させた後試験試料とした。セロファンテープを塗料面に密着させ強制的にハクリし剥れ方を観察する。
◎:密着性非常に良好 ○:密着性良好
△:若干の剥れ有り ×:全面剥離
【0037】
【発明の効果】
本発明は、アセトアセトキシ基含有単量体を共重合させ得られた共重合体に、引火点が50℃以上の有機溶剤を使用することで、プラスチック系基材、建材基材及び旧塗膜及び上塗り塗料に対して優れた密着性を有し、インキや接着剤用のプライマーとして、また建材用ボードの塗装あるいは建築外装用塗料の下塗りシ−ラ−として使用できる。
Claims (1)
- アセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体(a)2〜35重量%と、(a)と共重合可能なビニル系単量体(b)65〜98重量%の単量体混合物を乳化重合してなる、ガラス転移温度が0〜50℃、粒子径が0.05〜0.5μmである共重合体エマルション(A)に、引火点が50℃以上である有機溶剤(B)を配合してなり、該有機溶剤(B)が、脂肪族二塩基酸エステル類及び/又はプロピレン系グリコールエーテル類である水性下塗材組成物。
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