JP4751500B2 - 電極捲回型二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電極捲回型二次電池、より詳しくは、安全性に優れた電極捲回型二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、リチウム二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池は、そのエネルギ密度の高さから、携帯電話、ノートパソコン、ミニディスクプレーヤー等の電子機器等に幅広く使用されている。このような二次電池の電極は正極、負極が積層して構成され、この電極の積層方式は、それぞれ複数のシート状の正極および負極を交互に重畳的に積層させる方式と、シート状の正極および負極を対向させてロール状に捲回する方式とに大別される。このうち後者の方式により積層した電極を有する電池は電極捲回型二次電池と呼ばれ、広い電極面積の電池を簡便に作製できることから比較的容量の大きい大型電子機器に用いられる。
【0003】
このような二次電池において、安全性という見地から問題となるのは、過充電である。過充電とは、電池の充電時において、充電器の故障やユーザーの誤使用等により、電池が通常充電時において管理される電圧以上に充電されることである。二次電池が過充電されると、電池の温度が異常上昇し、電解液の分解や電池内部でのガス発生等の問題が起き、制御不能な熱暴走状態に陥るおそれがある。また、過充電されなくても、何らかの要因で電池の温度が上昇する場合にも、熱暴走状態に陥るおそれがある。そして充電状態が高い(高SOC)ほど、熱暴走状態に陥り易い。
【0004】
過充電時の安全対策を施した二次電池として、特開平11−40203号公報には、電池容器外部に温度スイッチを設け、電池温度が所定の温度に達したときにその温度スイッチを閉じることにより正極と負極とを短絡させ、蓄電要素に蓄えられたエネルギを解放し、過充電を防止する二次電池が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平11−40203号公報に記載の二次電池においては、電池容器外部に温度スイッチを設置するためのスペースを新たに設ける必要があるため、必然的に電池が大型化するという問題がある。また、電池容器内部に温度スイッチを設置する場合でも、別途設置スペースを確保する必要がある。本発明は、過充電等の場合の安全対策を施した捲回型二次電池における上記問題を解決するためになされたものであり、電池内部のデッドスペース(電池反応に寄与しないスペース)に異常温度上昇時に閉じる温度スイッチを配設することにより、体積効率に優れ、かつ過充電等による異常温度上昇の際の安全性に優れた電極捲回型二次電池を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の電極捲回型二次電池は、シート状の正極と、シート状の負極と、該正極および負極を積層して捲回する捲回芯とを備えてなる電極捲回型二次電池であって、前記捲回芯に配設され電池が所定の温度以上になる場合に閉じる温度スイッチを含み、該温度スイッチが閉じた場合に前記正極と前記負極とを導通させる導通経路を有し、前記温度スイッチは、前記正極側につながる正極端子部と、前記負極側につながる負極端子部と、電池の温度に応じて機能する熱感応部材とを有し、電池が所定の温度以上になると、該熱感応部材の機能により、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じることを特徴とする。
【0007】
つまり、本発明の電極捲回型二次電池は、過充電等による異常温度上昇の際に、温度スイッチを閉じ、正極と負極とを導通させることで蓄電要素に蓄えられたエネルギを解放させる導通経路を有する電極捲回型二次電池であって、その導通経路に含まれる温度スイッチを、捲回芯に配設した電極捲回型二次電池である。
【0008】
本発明の電極捲回型二次電池は、温度スイッチを電池容器内部のデッドスペースである捲回芯に配設したため、温度スイッチを設置するためのスペースを電池容器外部または内部に別途設ける必要が無い。捲回芯は電池の電池反応には寄与しない空間であるため、捲回芯に温度スイッチを配設することにより電池の体積増加を伴わずに、すなわち体積エネルギ密度を損失することなく電池の安全性を向上させることができる。したがって、本発明の電極捲回型二次電池は体積効率に優れ、安全性の高い電極捲回型二次電池となる。また、捲回型電池の構造上、捲回芯は蓄電要素の中心に位置しているため、捲回芯に温度スイッチを配設したことで、蓄電要素の異常温度上昇を正確に探知することができる電極捲回型二次電池となる。
【0009】
また、本発明の電極捲回型二次電池は、温度スイッチに熱感応部材を組み込むことにより、蓄電要素が異常高温となった場合、熱感応部材の機能、すなわち溶融、変形、膨張等の熱感応部材固有の性状変化により温度スイッチを閉じ、正極と負極とを導通させる電池である。温度スイッチとしては、例えば温度検知するための温度センサと、そのセンサからの信号を処理し開閉信号を出力する処理回路と、処理回路からの出力に応じ導通経路を開閉する開閉器とを含んで構成される温度スイッチ等も用いることができるが、溶融による流動、熱膨張率の差による変形、熱膨張による体積増加等の熱感応部材固有の物性を利用した温度スイッチを用いることで、より小型化が可能で、捲回芯に配設しやすい温度スイッチを有する電極捲回型二次電池となる。
【0010】
本発明の電極捲回型二次電池に備わる熱感応部材の上記機能として、前記熱感応部材は、所定の温度以上になると溶融する熱溶融部材であり、前記温度スイッチは、電池が所定の温度以上になると、該熱溶融部材の溶融により、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じることを特徴とする。
【0011】
つまり、本発明の電極捲回型二次電池は、過充電等により蓄電要素が発熱し、ある温度となった場合に、その温度を融点とする熱溶融部材が溶融して正極端子部と負極端子部とが短絡する温度スイッチを含む電極捲回型二次電池である。熱溶融部材とは、蓄電要素の発熱により、周囲の温度が融点に達した場合に溶融流動する材料からなる部材をいう。融点は材料固有の物性であるため、同じ材料からなる熱溶融部材の溶融温度は一定である。したがって同じ熱溶融部材を含む温度スイッチ相互間において、スイッチが閉じる温度も一定となり、ばらつきも少ないため、本発明の電極捲回型二次電池は、信頼性の高い二次電池となる。
【0012】
)本発明の電極捲回型二次電池は、前記熱溶融部材を用いた場合の一態様として、前記熱溶融部材は、導電性を有し、かつ所定の温度以上になると溶融して前記正極端子部と前記負極端子部との間に流入し、前記温度スイッチは、前記熱溶融部材が溶融流入すると、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じる態様とすることができる。
【0013】
つまり、本態様の電極捲回型二次電池は、過充電等により蓄電要素が所定の温度となった場合に、その温度を融点とする熱溶融部材が正極端子部と負極端子部との間に溶融流入し、これら両端子部間の橋渡しをすることにより導通する温度スイッチを含む電極捲回型二次電池である。溶融流動し、かつ導電性を有する熱溶融部材を、両端子部間の橋渡しに利用することにより、本態様の電極捲回型二次電池は、より構造が単純な温度スイッチを含む電極捲回型二次電池となる。なお、導電性を有する熱溶融部材としては、ウッドメタル、ダルゼー合金、ローズ合金、ニュートン合金、Sn−Pb−In合金、Sn−Bi合金等の金属等を用いることができる。
【0014】
)本発明の電極捲回型二次電池は、前記熱溶融部材を用いた場合のもう一つの態様として、前記熱溶融部材は、前記正極端子部と前記負極端子部とを離間するように両者の間に介在し、所定の温度以上になると溶融流動し、前記正極端子部および前記負極端子部の少なくとも一方は、互いに接近する方向に移動するように付勢されており、前記温度スイッチは、前記熱溶融部材が溶融流動すると、前記正極端子部と前記負極端子部とが接触、短絡して閉じる態様とすることができる。
【0015】
つまり、本態様の電極捲回型二次電池は、蓄電要素が発熱しある温度となった場合は、いわゆるつっかえ棒として両端子間に介在し、両端子を離間させていた熱溶融部材が溶融流動し、正極端子部と負極端子部の少なくとも一方が移動し、正極端子部と負極端子部とが直接接することにより導通する温度スイッチを含む電極捲回型二次電池である。本態様の電極捲回型二次電池は、正極端子部と負極端子部の少なくとも一方が移動するため、端子部の移動速度を調整することにより短絡速度を調整することができる電極捲回型二次電池となる。
【0016】
端子部の移動速度は、例えば端子部の付勢手段としてばねを利用している場合は、ばねの材質、単位長さあたりの巻き数等を変えばねの復元力を変化させることにより調整することができる。また、本態様の電池の温度スイッチは、正極端子部と負極端子部とが直接接して導通するものであり、正極端子部と負極端子部とが熱溶融部材を介して導電するものではない。このため、熱溶融部材は導電性を有する必要が無く、前述したウッドメタル等の金属の他、不導体である樹脂等も使用することができる。
【0017】
)本発明の電極捲回型二次電池は、上記(1)とは異なる熱感応部材の機能として、前記熱感応部材は、温度に応じて膨張する熱膨張部材であり、前記温度スイッチは、電池が所定の温度に達すると、該熱膨張部材の相変態を伴う膨張により、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じることを特徴とする。
【0018】
つまり、本発明の電極捲回型二次電池は、蓄電要素が異常発熱した場合に、熱膨張部材が膨張することによる体積変化を利用して両端子部が短絡する電極捲回型二次電池である。熱膨張部材を熱感応部材として利用することにより、本発明の電極捲回型二次電池は、より構造が単純な温度スイッチを含む電極捲回型二次電池となる。ここで、熱膨張部材としては、熱膨張係数の比較的高い材料を用いるのが好ましい。
【0019】
また、固相から液相、液相から気相等の相変態を伴う熱膨張は、相変態を伴わない熱膨張と比較して体積膨張率が大きいため、相変態に伴う熱膨張を利用することにより、本発明の電極捲回型二次電池は、より温度に対する応答性のよい温度スイッチを含む電極捲回型二次電池となる。なお、液相から気相への相変態を利用する場合は温度スイッチに気密性、耐圧性が必要となるため、比較的扱いやすい固相から液相への相変態を利用する温度スイッチがより望ましい。ここで、本実施形態の熱膨張部材としては、相変態に伴う熱膨張率が大きい材料を用いるのが望ましく、例えば高位脂肪酸と高級一価アルコールからなる固形エステル(以下ワックスと称す)等を用いるのが望ましい。
【0020】
)本発明の電極捲回型二次電池は、前記導通経路に、該導通経路に流れる電流を規制する所定の電気抵抗値を有する態様とすることができる。
【0021】
導通経路は、異常温度上昇の際に、正極と負極とを導通させ蓄電要素に蓄えられた蓄電エネルギを解放させる役割を有する。しかし、導通が単なる短絡である場合は、電気抵抗となるのは蓄電要素の内部抵抗だけである。したがって、短絡により導通経路に瞬時に大電流が流れる場合は、却って蓄電要素が過熱するおそれがある。本態様の電極捲回型二次電池は、導通経路に瞬時に大電流が流れるのを防止するために、導通経路に所定の電気抵抗値を有するものである。導通経路が電気抵抗値を有することで、導通経路に瞬時に大電流が流れることによる蓄電要素の発熱を抑制することができる安全性に優れた電極捲回型二次電池となる。
【0022】
ここで導通経路が所定の抵抗値を有するためには、導通経路の一部に所定の電気抵抗値を有する電気抵抗体を介在させたり、導通経路全体の電気抵抗により所定の電気抵抗値となるように導通経路を設計したりすればよい。電気抵抗体を介在させる場合は、導通経路内であれば設置場所、設置個数等は特に限定するものではない。また、同じく電気抵抗体を介在させる場合は、電気抵抗体の長さや断面積を変えることにより、導通経路の電気抵抗値を調整することができる。なお、ここで所定の電気抵抗値を有する電気抵抗体、および導通経路としては、カンタル線(耐熱高抵抗線)、MoSi2 等の各種セラミック、チタン合金、クロム合金等が使用できる。
【0023】
)本発明の電極捲回型二次電池は、前記電気抵抗値が、定格容量を1時間で放電させる電流値を1Cとする場合において、前記導通経路に流れる電流の最大値が3C以上5C以下となるような電気抵抗値とする態様とすることができる。
【0024】
つまり、本態様の電極捲回型二次電池は、導通経路が有する電気抵抗値を、導通経路に流れる電流の最大値が3C以上5C以下となるような値とし、蓄電要素に蓄えられた蓄電エネルギを安全に解放する電池である。本発明者の知見によれば、比較的容量の大きい電池においては、電流の最大値が3C以上5C以下となるように抵抗値を調整することにより、導通経路に流れる電流の適正化を図り、蓄電要素の、それ以上の昇温を効果的に防止することができる。したがって、本態様の電極捲回型二次電池はより安全性に優れた電池となる。
【0025】
電極捲回型二次電池は、シート状の正極と、シート状の負極と、該正極および該負極を積層して捲回する捲回芯とを備えてなる電極捲回型二次電池であって、前記捲回芯に配設され電池が所定の温度以上になる場合に閉じる温度スイッチを含み、該温度スイッチが閉じた場合に前記正極と前記負極とを導通させる導通経路を有し、前記温度スイッチは、前記正極側につながる正極端子部と、前記負極側につながる負極端子部と、電池の温度に応じて機能する熱感応部材とを有し、前記熱感応部材は、温度に応じて変形する熱変形部材であり、前記温度スイッチは、電池が所定の温度に達すると、該熱変形部材の変形により前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じる態様とすることができる。
【0026】
つまり、本態様の電極捲回型二次電池は、過充電等により蓄電要素が異常発熱した場合に、その熱により熱変形部材が変形することにより正極端子部と負極端子部とが導通する電極捲回型二次電池である。熱変形部材を熱感応部材として利用することにより、本態様の電極捲回型二次電池は、より構造が単純で、また安価な温度スイッチを含む電極捲回型二次電池となる。ここで、熱変形部材としては、バイメタル、トリメタル等のサーモスタットメタル、あるいは形状記憶合金等を使用することができる。なお、本態様の二次電池には、熱変形部材が両端子間を橋渡しして導通する態様の他、熱変形部材の変形が引き金となって、この熱変形部材により係止されていた別の部材が移動し両端子部が接し導通する態様も含まれる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明はリチウム二次電池、ニッケル水素二次電池等に実施することができる。中でも特にリチウム二次電池は電解液に有機溶媒を用いるため安全性に留意する必要がある。この点から本発明はリチウム二次電池に適用することが望ましい。以下、本発明の電極捲回型二次電池における導通経路の概念、および本発明をリチウム二次電池に適用した場合の具体的実施形態について説明する。
【0028】
〈導通経路の概念〉本発明の電極捲回型二次電池における導通経路の概念図を図1に示す。図1に示すように、電池1の導通経路50は、温度スイッチ15と、温度スイッチ15の正極側に設置される電気抵抗体60と、電気抵抗体60の正極側に設置され正極11と導通する正極側導通部材51と、温度スイッチ15の負極側に設置され、負極12と導通する負極側導通部材52とを含む。通常の充電時においては、電流は充電器2の正極側から電池の正極11、電池の負極12を経由して充電器2の負極側へと流れ電気回路を形成している。
【0029】
過充電等により電池が所定の温度以上になると、温度スイッチ15が閉じ、電流は正極11から正極側導通部材51、電気抵抗体60、温度スイッチ50、負極側導通部材52を経由して負極12へと流れ導通経路50が通電することになる。ここで、正極11と正極側導通部材51との導通は、正極外部端子等の何らかの部材により確保されていればよい。また、負極12と負極側導通部材52との導通についても同様である。さらにまた、電気抵抗体60は温度スイッチ15の負極側に設置してもよい。
【0030】
〈第一実施形態〉本発明の電極捲回型二次電池の第一実施形態であるリチウム二次電池の基本構成を図2に、また電池の捲回芯の拡大断面図を図3に、それぞれ示す。本発明の電極捲回型二次電池の第一の実施形態は、温度スイッチの熱溶融部材を、導電性を有し、電池が所定の温度以上になると溶融し、正極端子部と負極端子部との間に流入する熱溶融部材とし、温度スイッチは、この熱溶融部材が溶融流入すると、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じる電池とする形態である。
【0031】
まず電池1の基本構成について説明する。図2に示すように、本実施形態の電池1は、蓄電要素10と、蓄電要素10を電解液とともに密封する電池容器20と、電池容器20に付設され蓄電要素10に導通する正極外部端子30および負極外部端子40とから構成されている。蓄電要素10は、シート状の正極11とシート状の負極12とをセパレータ13を挟装し捲回芯14を中心に捲回したロール状電極体となっている。捲回芯14は絶縁性を有する樹脂製であり中空円筒状をなしている。
【0032】
正極11は、リチウムイオンを吸蔵、離脱できる正極活物質に導電材および結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム箔等の金属箔製の集電体表面に塗布乾燥することで正極合材層を形成させて作製することができる。正極活物質には、基本組成をLiCoO2 、LiNiO2 等とするリチウム遷移金属複合酸化物紛状体を用いることができる。導電材には、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素物質粉状体の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。結着剤には、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これらの活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0033】
負極12は、金属リチウム、リチウム合金等により形成されているが、正極同様リチウムイオンを吸蔵、離脱できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔製の集電体の表面に塗布乾燥させることで負極合材層を形成させて作製することが望ましい。負極活物質には、黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。また、正極同様、結着剤にはポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶剤にはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤をそれぞれ用いることができる。
【0034】
セパレータ13は、正極11と負極12とを分離し電解液を保持する役割を有する。セパレータ13には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
【0035】
電池容器20は、筒状の電池容器本体21と、電池容器本体21の両端にそれぞれ接合された円盤状の正極側蓋部22および負極側蓋部23とからなる。正極側蓋部22および負極側蓋部23には、それぞれ電池容器20の内部圧力が所定値を超える場合に破断する安全弁24が付設されており(正極側蓋部22には図示していない)、また、負極側蓋部23には、さらに電解液注入孔25が設けられ、電解液注入孔25を封孔する注入孔栓26が螺合して取り付けられている。
【0036】
この電池容器20は、上記蓄電要素10を外気から遮断する役割を有し、蓄電要素10と非水電解液とが密閉収納される。その材質は、例えばアルミニウム合金、ステンレス鋼、樹脂等であり、電池容器が外部端子を兼ねる場合には、電気化学的腐食に留意して適正なものを選択すればよい。非水電解液は、電解質としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解させたものである。例えば、リチウム塩としてはLiBO4 、LiPF6 、LiCF3 SO3 等を、有機溶媒としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を、それぞれ用いることができる。
【0037】
正極外部端子30は、アルミニウムまたはその合金等からなり、集電部30aと外部接続部30bとからなる。集電部30aは捲回芯14と、パッキン224を介して螺合連結されており、捲回芯14の内部気密性を確保している。また外部接続部30bは、先端を電池外部に突出する状態で電池容器20の正極側蓋部22に設けられた正極端子取付穴22aに、ガスケット221を介し、ワッシャ222、ナット223によって付設されており、電池容器20とは絶縁されている。集電部30aには正極11より延出する帯状の正極リード11aがその周囲に接合され、正極外部端子30と蓄電要素10の正極11との導通が確保されている。
【0038】
負極外部端子40は、銅またはその合金等からなり、集電部40aと外部接続部40bとからなる。集電部40aは捲回芯14と、パッキン234を介して螺合連結されており、捲回芯14の内部気密性を確保している。また外部接続部40bは、先端を電池外部に突出する状態で電池容器20の負極側蓋部23に設けられた負極端子取付穴23aに、ガスケット231を介し、ワッシャ232、ナット233によって付設されており、電池容器20とは絶縁されている。集電部40aには負極12より延出する帯状の負極リード12aがその周囲に接合され、負極外部端子40と蓄電要素10の負極12との導通が確保されている。
【0039】
次に、本実施の形態の電池の捲回芯14の内部構造について説明する。図3に捲回芯の拡大断面図を示す。図3に示すように、本実施形態の電池の捲回芯14の内部には、図3の左側から順に、鋼製の正極側導通部材51と、セラミック製の電気抵抗体60と、温度スイッチ15と、鋼製の温度スイッチ固定ばね70と、鋼製の負極側導通部材52とが設置されている。本実施形態における導通経路50は、正極側から順に、正極11の一部である正極リード11aにつながる正極外部端子30と、正極側導通部材51と、電気抵抗体60と、温度スイッチ15と、温度スイッチ固定ばね70と、負極側導通部材52と、負極12の一部である負極リード12aにつながる負極外部端子40とからなる。
【0040】
本実施形態における温度スイッチ15は、途中に径の小さいくびれ状の小径部151fを設けた同軸円柱状であって、その後端部151bが電気抵抗体60と接し先端部151aが負極方向に突出した鋼製の正極端子部151と、これと同様に途中に径の小さいくびれ状の小径部152fを設けた同軸円柱状であって、その後端部152bが温度スイッチ固定ばね70と接し先端部152aが正極方向に突出した鋼製の負極端子部152と、円筒状であって、正極端子部151と負極端子部152とを離間するように両端子部の間に介在する絶縁体樹脂製の端子間スペーサ156と、リング状であって、その内径が前記端子部の小径部151f、152fの径とほぼ同径であり正極端子部151と負極端子部152とが導通しないように両端子部の小径部151fおよび152fにそれぞれはめ込まれたウッドメタル製の熱溶融部材15aとからなる。
【0041】
本実施形態においては、電気抵抗体60は、円柱状であって正極側導通部材51と正極端子部151との間に設置されている。また温度スイッチ固定ばね70は負極側導通部材52と負極端子部152との間に設置されており、温度スイッチ15を固定するとともに、捲回芯14に配設される部材間の接触を確保している。
【0042】
正極端子部151と負極端子部152とは離間して設置されているので、通常時においては、導通経路50に電流が流れることはない。しかし、過充電等により蓄電要素10が発熱し、蓄電要素10の温度が熱溶融部材15aを形成するウッドメタルの融点に達すると、図4に示すように、熱溶融部材15aが溶融流動し、溶湯が正極端子部151と負極端子部152との間を架橋するようになり、導通経路50に電流が流れる。
【0043】
本実施形態の電池の温度スイッチ15においては、正極端子部151と負極端子部152の小径部151fおよび152fに、それぞれ分割して熱溶融部材15aを設置しているので、電池が縦向き、横向き等どのような向きで使用されていても、熱溶融部材15aの溶湯は、端子間スペーサ156の内壁に沿って流動し、正極端子部151と負極端子部152とを導通させることができる。すなわち本実施形態は、使用時の電池の向きに関わらず、温度スイッチ15を正確に作動させることができる形態である。温度スイッチ15が作動することにより、導通経路50に電流が流れ、電池の蓄電要素10のエネルギを解放することができる。
【0044】
リチウム二次電池の場合、温度スイッチ15の閉じる温度は、80℃から150℃程度に設定するのが望ましく、設定温度は熱溶融部材の材質を変えることによって調整する。例えば、設定温度を100℃とする場合はダルゼー合金等を用いればよく、設定温度を139℃とする場合は42重量%Sn−58重量%Bi合金等を用いればよい。また、導通経路50の電気抵抗値の調節は、電気抵抗体60の長さ、径を変えることにより行うことができる。
【0045】
〈第二実施形態〉本発明の電極捲回型二次電池の第二実施形態である電池の内部構造について説明する。なお、電池の基本構成は図2に示すものと同様である。本発明の電極捲回型二次電池の第二の実施形態は、温度スイッチの熱溶融部材を、正極端子部と負極端子部とを離間するように両者の間に介在し、所定の温度以上になると溶融流動する熱溶融部材とし、正極端子部および負極端子部の少なくとも一方は、互いに接近する方向に移動するように付勢されており、温度スイッチは、熱溶融部材が溶融流動すると、正極端子部と負極端子部とが導通して閉じる導通経路を有する電池とする形態である。
【0046】
電池の捲回芯の拡大断面図を図5に示す。本実施形態における導通経路50は、正極側から順に、正極11の一部である正極リード11aにつながる正極外部端子30と、正極側導通部材51と、電気抵抗体60と、温度スイッチ15と、温度スイッチ固定ばね70と、負極側導通部材52と、負極12の一部である負極リード12aにつながる負極外部端子40とからなる。
【0047】
図5に示すように、本実施形態の電池の捲回芯14に配設された温度スイッチ15は、円板状であって、温度スイッチ固定ばね70の正極側に設置される鋼製の温度スイッチ固定板150と、円筒状であって、電気抵抗体60と温度スイッチ固定板150との間に介在し温度スイッチ固定ばね70の圧縮力に抗して温度スイッチ15を設置する空間を確保するために設けられた樹脂製の温度スイッチスペーサ153と、径の異なる同軸円柱状であって、後端部152dが温度スイッチ固定板150と接するように設けられ先端部152cが正極方向に解放された鋼製の負極端子部152と、リング状であって、負極端子部152の先端部152cに嵌合された樹脂製の絶縁部材155と、径の異なる同軸円柱状であって、先端部151cが負極方向に解放され負極端子部152の方に移動可能な鋼製の正極端子部151と、リング状であって、正極端子部151の先端部151cに嵌合された樹脂製の絶縁部材155と、円筒状であって、正極端子部151の先端部151cの絶縁部材155と負極端子部152の先端部152cの絶縁部材155との間に、両端子部を離間するために介在するウッドメタル製の熱溶融部材15aと、コイル状であって、正極端子部151の後端部151dと電気抵抗体60との間に圧縮された状態で設置された鋼製の端子部移動ばね154とからなる。
【0048】
本実施形態においては、鋼製の温度スイッチ固定ばね70は、コイル状であって負極側導通部材52の正極側に設置されており、また、セラミック製の電気抵抗体60は、円柱状であって正極側導通部材51の負極側に設置されている。
【0049】
正極端子部151と負極端子部152とは離間して設置されているので、通常時においては、導通経路50に電流が流れることはない。しかし、過充電等により蓄電要素10が発熱し、蓄電要素10の温度が熱溶融部材15aを形成するウッドメタルの融点に達すると、図6に示すように、熱溶融部材15aが溶融流動する。熱溶融部材15aが溶融流動すると、正極端子部151が圧縮状態の端子部移動ばね154の復元力により負極端子部152の方向に移動し、正極端子部151と負極端子部152とが接する。これにより、正極端子部151と負極端子部152とが導通し、導通経路50に電流が流れる。
【0050】
本実施形態の電池の温度スイッチ15は、圧縮された端子部移動ばね154の復元力を利用することで、熱溶融部材15aが溶融軟化してから正極端子部151と負極端子部152とが接するまでの時間を短縮することができる。したがって、本実施形態の電池は、蓄電部が所定の温度に達してからスイッチが閉じるまでのタイムラグを短縮するのに好適な温度スイッチ15を有する形態となる。また、端子部移動ばね154の材質や長さ、単位長さあたりの巻き数等を変えることにより、ばねの復元力を調整することができる。このため、熱溶融部材15aが溶融流動してから正極端子部151と負極端子部152とが接するまでの時間を制御することができる。したがって、本実施形態の電池は、蓄電部が所定の温度以上となってからエネルギを解放するまでの時間を制御することができる形態となる。
【0051】
また、本実施形態においては、熱溶融部材15aとして導電性のウッドメタルを使用しており、ウッドメタルを介して両端子間が導通するのを防ぐため絶縁部材155を両端子部表面に設置したが、絶縁性の熱溶融部材15aを使用する場合は、この絶縁部材155を設置しない実施形態もある。さらにまた、本実施形態の温度スイッチ15においては、正極端子部151のみが移動するが、負極端子部152、または正極端子部151および負極端子部152が移動する形態もある。
【0052】
第一参考形態〉本発明の電極捲回型二次電池の第一参考形態である電池の内部構造について説明する。なお、電池の基本構成は図2に示すものと同様である。本発明の電極捲回型二次電池の第一参考形態は、温度スイッチの熱感応部材を、電池が所定の温度以上になると変形する熱変形部材とし、温度スイッチは、所定の温度に達すると、熱感応部材の変形により正極端子部と負極端子部とが導通して閉じる導通経路を有する電池とする形態である。
【0053】
電池の捲回芯の拡大断面図を図7に示す。本参考形態における導通経路50は、正極側から順に、正極11の一部である正極リード11aにつながる正極外部端子30と、正極側導通部材51と、電気抵抗体60と、温度スイッチ15と、負極側導通部材52と、負極12の一部である負極リード12aにつながる負極外部端子40とからなる。
【0054】
図7に示すように、本参考形態の電池の捲回芯14に配設された温度スイッチ15は、円柱状であって、負極側導通部材52の正極側に接合される鋼製の負極端子部152と、円柱状であって、正極側面に固定部材用孔151eを有し、負極端子部152の正極側面と離間して正対し、負極端子部152の方向に移動可能な正極端子部151と、同軸棒状であって、その一部に刀のつば状の係止部158aを有し、負極側端が正極端子部151の固定部材用孔151eに螺合連結された端子部固定部材158と、電気抵抗体60と端子部固定部材158の係止部158aとの間に介在し、圧縮された状態で保持される端子部移動ばね154と、内周端が端子部固定部材158の係止部158aと係合し、端子部移動ばね154の復元力により正極端子部151が移動しないようにこれを係止するバイメタル製ジャンピングディスクからなる熱変形部材15bと、円筒状であって、熱変形部材15bの外周端を捲回芯14の内壁面段差部14aと挟持して固定する樹脂製の固定筒159とからなる。
【0055】
本参考形態においては、セラミック製の電気抵抗体60は、円柱状であって正極側導通部材51の負極側に設置されている。
【0056】
正極端子部151と負極端子部152とは離間して設置されているので、通常時においては、導通経路50に電流が流れることはない。しかし、過充電等により蓄電要素10が発熱し、温度が上昇すると、熱変形部材15bはディスクが裏返るように徐々に変形する。蓄電要素10の温度が所定の温度に達すると、図8に示すように熱変形部材15bの変形により、熱変形部材15bと端子部固定部材158の係止部158aとの係合が外れる。これにより正極端子部151は負極端子部152に向かって移動し、正極端子部151と負極端子部152とが接することにより、導通経路50に電流が流れる。
【0057】
本参考形態の電池の温度スイッチ15は、圧縮された端子部移動ばね154の復元力を利用するため、正極端子部151の移動距離、すなわち正極端子部151と負極端子部152との間隔を広くとることができる。両端子部の間隔が広いと電池1に衝撃が加わった場合等においても、誤作動により温度スイッチ15が閉じることがないため、本参考形態の電池は、安全性、信頼性を確保するのに好適な形態となる。
【0058】
また、端子部移動ばね154の材質や長さ、単位長さあたりの巻き数を変えること等により、ばねの復元力を調整することができる。このため、熱変形部材15bの変形により、熱変形部材15bと端子部固定部材158の係止部158aとの係合が外れてから両端子部が接するまでの時間を制御することができる。したがって、本参考形態の電池は、蓄電部が所定の温度以上となってからエネルギを解放するまでの時間を制御することができる形態となる。また、本参考形態の電池の温度スイッチ15においては、正極端子部151のみが移動するが、負極端子部152、または正極端子部151および負極端子部152が移動する形態もある。
【0059】
第二参考形態〉本発明の電極捲回型二次電池の第二参考形態として、熱変形部材の変形を利用したもう一つの形態を示す。すなわち、図7に示す第一参考形態の電池から、端子部移動ばね154等を省き構造を単純化した形態である。
【0060】
本参考形態の電池の内部構造について説明する。図9に本参考形態の電池の捲回芯の拡大断面図を示す。本参考形態における導通経路50は、正極11の一部である正極リード11aにつながる正極外部端子および正極側導通部材の役割をも有する正極端子部151、熱変形部材15b、負極端子部152からなる温度スイッチ15と、負極側導通部材の役割をも有し負極12の一部である負極リード12aにつながる負極外部端子40とからなる。
【0061】
図9に示すように、本参考形態の電池の捲回芯14に配設された温度スイッチ15は、電池の正極外部端子の役割をも有する鋼製の正極端子部151と、板状であって、正極端子部151に一端が接合され、他端が負極方向に伸びるバイメタル製の熱変形部材15bと、電池の負極外部端子40に接合された円筒状の負極端子部152とからなる。
【0062】
正極端子部151と負極端子部152とは離間して設置されているので、通常時においては、導通経路50に電流が流れることはない。しかし、過充電等により蓄電要素10が発熱し、温度が上昇すると、熱変形部材15bは徐々に変形していく。蓄電要素10の温度が所定の温度に達すると、図10に示すように、熱変形部材15bの変形により、熱変形部材15bと負極端子部152とが接する。これにより、正極端子部151と負極端子部152とが導通し、導通経路50に電流が流れる。
【0063】
本参考形態の電池の温度スイッチ15は、構造が単純であるため、温度スイッチ15を軽量化でき、また温度スイッチ15の製造コストを低くすることができる。したがって、本参考形態の電池は、軽量化、低コスト化に好適な形態となる。
【0064】
第三実施形態〉本発明の電極捲回型二次電池の第三実施形態である電池の内部構造について説明する。なお、電池の基本構成は図示しないが、図2において示したものと同様である。本発明の電極捲回型二次電池の第三の実施形態は、温度スイッチの熱感応部材を、温度に応じて相変態を伴いながら膨張する熱膨張部材とし、温度スイッチは、所定の温度に達すると、熱感応部材の膨張により前記正極端子部と前記負極端子部とが導通して閉じる導通経路を有する電池とする形態である。
【0065】
本発明の電極捲回型二次電池の第三実施形態である電池の捲回芯の拡大断面図を図11に示す。本実施形態における導通経路50は、正極側から順に、正極11の一部である正極リード11aにつながる正極外部端子30と、正極側導通部材51と、温度スイッチ15と、温度スイッチ固定ばね70と、負極側導通部材52と、負極12の一部である負極リード12aにつながる負極外部端子40とからなる。
【0066】
図11に示すように、本実施形態の電池の捲回芯14に配設された温度スイッチ15は、正極方向に開口端を有するシリンダ状であって、負極側の面が温度スイッチ固定ばね70に接合された鋼製のシリンダ部材157と、円柱状であって、シリンダ部材157の内部に設置されるワックス製の熱膨張部材15cと、大小二つの径からなる同軸円柱ピストン状であって、径の大きい後端部152fがシリンダ部材157の内部に熱膨張部材15cを密封し、径の小さい先端部152eがシリンダ部材157の開口端から突出した状態で設置され、正極側に移動可能な鋼製の負極端子部152と、円柱状であって負極端子部152と正対し、正極側導通部材51の負極側に設置され電気抵抗を有するセラミック製の正極端子部151と、円筒状であって、シリンダ部材157の開口端と正極端子部151との間に介在し、正極端子部151と負極端子部152とを離間する絶縁体樹脂製の端子間スペーサ156と、シリンダ部材157の内部に設置され、シリンダ部材157の開口端内壁面と後端部152fとの間に介在する端子部固定ばね154aとからなる。
【0067】
本実施形態においては、温度スイッチ固定ばね70は負極側導通部材52とシリンダ部材157との間に設置されている。
【0068】
正極端子部151と負極端子部152とは離間して設置されているので、通常時においては、導通経路50に電流が流れることはない。しかし、過充電等により蓄電要素10が発熱し、温度が熱膨張部材15cの融点に達すると、固相から液相への相変態を伴いながら、熱膨張部材15cは膨張する。図12に示すように、熱膨張部材15cが膨張すると、負極端子部152の後端部152fが押され、負極端子部152は正極端子部151の方向に徐々に移動する。負極端子部152の先端部152eが正極端子部151に接すると導通経路50に電流が流れる。なお、導通経路50に電流が流れ始めた後も、蓄電要素10からの熱伝達の遅れにより熱膨張部材15cが膨張し続ける場合は、膨張による体積増加を、温度スイッチ固定ばね70が縮むことで吸収し、温度スイッチ15が破損するのを防止する。
【0069】
本実施形態の電池の温度スイッチ15は、熱膨張という材料固有の性質を利用しているため、所定の温度にて正確に正極端子部151と負極端子部152とを導通させることができる。このため、本実施形態の電池1は、所定の温度に対し、正確に、また確実に作動する温度スイッチ15を有する形態となる。また、本実施形態の電池の温度スイッチ15においては、負極端子部152のみが移動するが、正極端子部151、または正極端子部151および負極端子部152が移動する形態もある。
【0070】
さらに、本実施形態においては、熱膨張部材15cとして、膨張に際し固相から液相への相変態を伴うものを用いたが、シリンダ部材157と負極端子部152とにより気密性、耐圧性等が確保できる場合は、膨張に際し液相から気相への相変態を伴う熱膨張部材15cを用いる形態もある。
【0071】
〈その他の実施形態〉以上本発明の電極捲回型二次電池の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎず、本発明の電極捲回型二次電池は、上記実施形態を始めとして、当業者が行い得る改良、変更を施した種々の態様にて実施することができる。
【0072】
例えば、正極側導通部材および負極側導通部材の少なくとも一つとして捲回芯内壁を利用する形態がある。本実施形態においては、捲回芯内壁の一部が導電性を有することが必要なため、樹脂製の捲回芯の内壁側の一部分を金属等の導体に変える必要がある。また正極端子部と負極端子部とを介さず捲回芯内壁により導通することを防ぐための手段が必要な場合もある。本実施形態は、捲回芯内壁を利用するため、正極側導通部材および/または負極側導通部材を必要としない。したがって、本実施形態は、電池の軽量化に好適な形態である。
【0073】
また上述した、本発明の実施形態および参考形態においては、温度スイッチ固定ばね、端子部移動ばね、端子部固定ばねとしてコイルばねを使用したが、これらのばねを、例えば板ばね、皿ばね、ゴム、ポリウレタン発泡体等のように、変形した状態で設置でき、その復元力により温度スイッチまたは端子部を移動させることができるように付勢できるあらゆる弾性部材とする形態もある。
【0074】
また、第二参考形態、第三実施形態において使用したバイメタル等の熱変形部材や、ワックス等の熱膨張部材は、温度が下がると元の形状、体積に戻る性質を有する。このため、これらの形態においては、温度スイッチが閉じ、導通経路が導通することにより、蓄電要素の蓄電エネルギが解放され、温度が下がると、正極端子部と負極端子部とを再び離間することができる形態とすることもできる。この形態を採用する場合、本発明の電極捲回型二次電池は、可逆的に開閉可能な温度スイッチを有する二次電池となる。
【0075】
さらにまた、上記実施形態および上記参考形態は円筒状の捲回電極体を有する二次電池の例を示したが、円筒状に限らず捲回芯形状は断面が楕円状もしくは長円状等の種々の形状のものを用いることができ、その結果、楕円状もしくは長円状等に捲回された捲回電極体とすることができる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の電極捲回型二次電池においては、電池内部のデッドスペースである捲回芯に、異常温度上昇時の温度スイッチを配設した。このような本発明の電池によれば、体積効率に優れ、かつ過充電等による異常温度上昇の際の安全性の高い電極捲回型二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態である電池の導通経路の概念図である。
【図2】 本発明の実施形態である電池の基本構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の第一実施形態である電池の、温度スイッチ作動前の捲回芯の拡大断面図である。
【図4】 本発明の第一実施形態である電池の、温度スイッチ作動後の捲回芯の拡大断面図である。
【図5】 本発明の第二実施形態である電池の、温度スイッチ作動前の捲回芯の拡大断面図である。
【図6】 本発明の第二実施形態である電池の、温度スイッチ作動後の捲回芯の拡大断面図である。
【図7】 本発明の第一参考形態である電池の、温度スイッチ作動前の捲回芯の拡大断面図である。
【図8】 本発明の第一参考形態である電池の、温度スイッチ作動後の捲回芯の拡大断面図である。
【図9】 本発明の第二参考形態である電池の、温度スイッチ作動前の捲回芯の拡大断面図である。
【図10】 本発明の第二参考形態である電池の、温度スイッチ作動後の捲回芯の拡大断面図である。
【図11】 本発明の第三実施形態である電池の、温度スイッチ作動前の捲回芯の拡大断面図である。
【図12】 本発明の第三実施形態である電池の、温度スイッチ作動後の捲回芯の拡大断面図である。
【符号の説明】
1:電極捲回型二次電池 2:充電器 10:蓄電要素 11:正極 12:負極 13:セパレータ 14:捲回芯 15:温度スイッチ 15a:熱溶融部材 15b:熱変形部材 15c:熱膨張部材 20:電池容器 21:電池容器本体 22:正極側蓋部 23:負極側蓋部 24:安全弁 30:正極外部端子 40:負極外部端子 50:導通経路 51:正極側導通部材 52:負極側導通部材 60:電気抵抗体 70:温度スイッチ固定ばね 150:温度スイッチ固定板 151:正極端子部 152:負極端子部 153:温度スイッチスペーサ 154:端子部移動ばね 155:絶縁部材 156:端子間スペーサ 157:シリンダ部材 158:端子部固定部材 159:固定筒

Claims (6)

  1. シート状の正極と、シート状の負極と、該正極および負極を積層して捲回する捲回芯とを備えてなる電極捲回型二次電池であって、
    前記捲回芯に配設され電池が所定の温度以上になる場合に閉じる温度スイッチを含み、該温度スイッチが閉じた場合に前記正極と前記負極とを導通させる導通経路を有し、
    前記温度スイッチは、前記正極側につながる正極端子部と、前記負極側につながる負極端子部と、電池の温度に応じて機能する熱感応部材とを有し、
    前記熱感応部材は、所定の温度以上になると溶融する熱溶融部材であり、前記温度スイッチは、電池が所定の温度以上になると、該熱溶融部材の溶融により、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じることを特徴とする電極捲回型二次電池。
  2. 前記熱溶融部材は、導電性を有し、かつ所定の温度以上になると溶融して前記正極端子部と前記負極端子部との間に流入し、
    前記温度スイッチは、前記熱溶融部材が溶融流入すると、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じる請求項に記載の電極捲回型二次電池。
  3. 前記熱溶融部材は、前記正極端子部と前記負極端子部とを離間するように両者の間に介在し、所定の温度以上になると溶融流動し、
    前記正極端子部および前記負極端子部の少なくとも一方は、互いに接近する方向に移動するように付勢されており、
    前記温度スイッチは、前記熱溶融部材が溶融流動すると、前記正極端子部と前記負極端子部とが接触、短絡して閉じる請求項に記載の電極捲回型二次電池。
  4. シート状の正極と、シート状の負極と、該正極および該負極を積層して捲回する捲回芯とを備えてなる電極捲回型二次電池であって、
    前記捲回芯に配設され電池が所定の温度以上になる場合に閉じる温度スイッチを含み、該温度スイッチが閉じた場合に前記正極と前記負極とを導通させる導通経路を有し、
    前記温度スイッチは、前記正極側につながる正極端子部と、前記負極側につながる負極端子部と、電池の温度に応じて機能する熱感応部材とを有し、
    前記熱感応部材は、温度に応じて膨張する熱膨張部材であり、前記温度スイッチは、電池が所定の温度に達すると、該熱膨張部材の相変態を伴う膨張により、前記正極端子部と前記負極端子部とが短絡して閉じることを特徴とする電極捲回型二次電池。
  5. 前記導通経路は、該導通経路に流れる電流を規制する所定の電気抵抗値を有する請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の電極捲回型二次電池。
  6. 前記電気抵抗値は、定格容量を1時間で放電させる電流値を1Cとする場合において、前記導通経路に流れる電流の最大値が3C以上5C以下となるような電気抵抗値である請求項に記載の電極捲回型二次電池。
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