JP4749747B2 - 潤滑油用粘度調整剤 - Google Patents

潤滑油用粘度調整剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4749747B2
JP4749747B2 JP2005089003A JP2005089003A JP4749747B2 JP 4749747 B2 JP4749747 B2 JP 4749747B2 JP 2005089003 A JP2005089003 A JP 2005089003A JP 2005089003 A JP2005089003 A JP 2005089003A JP 4749747 B2 JP4749747 B2 JP 4749747B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
ethylene
olefin
olefin copolymer
viscosity modifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005089003A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006265471A (ja
Inventor
聰 池田
圭司 岡田
良輔 金重
明祐 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lubrizol Corp
Original Assignee
Lubrizol Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lubrizol Corp filed Critical Lubrizol Corp
Priority to JP2005089003A priority Critical patent/JP4749747B2/ja
Publication of JP2006265471A publication Critical patent/JP2006265471A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4749747B2 publication Critical patent/JP4749747B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、低温特性、高温での潤滑性に優れた潤滑油組成物が得られるような潤滑油用粘度調整剤およびこの粘度調整剤を含む潤滑油組成物に関する。
石油製品は一般に温度が変化すると粘度が大きく変化するが、たとえば自動車用などの潤滑油はこの粘度の温度依存性が小さいことが好ましい。このため近年では、潤滑油の温度依存性を小さくする目的で、粘度指数向上効果を有する粘度調整剤としてエチレン・α−オレフィン共重合体が広く用いられている。
また潤滑油は、低温になると潤滑油中のワックス分が結晶固化し流動性を失うため、この固化温度を下げるために潤滑油には流動点降下剤も含まれている。流動点降下剤は、潤滑油中のワックス分が結晶化することによる3次元ネットワークの形成を阻害し潤滑油の流動点を低下させる。
ところで粘度指数向上効果を有する粘度調整剤と、流動点降下剤とを含む潤滑油の低温特性の中で、高せん断速度下における粘度は、潤滑油基材と、粘度調整剤との相溶性で決まるが、低せん断速度下における粘度は、流動点降下剤の影響を強く受ける。また特定の組成のエチレン・α-オレフィン共重合を粘度調整剤として用いると、流動点降下剤との
相互作用により、流動点降下剤の効果を著しく減ずることが知られている(特許文献1および2参照)。
このため潤滑油、特に低温特性に優れることが要求される潤滑油に配合される粘度調整剤には、粘度指数向上効果に優れるとともに、流動点降下剤の働きを阻害しないことが求められる。このような要求を満たす粘度調整剤として、特許文献3には、分子内のエチレン単位とα−オレフィン単位の分布が不均一であるエチレン・α−オレフィン共重合体であって、エチレン含量が30〜80重量%であり、重量平均分子量が20,000〜750,000であり、Mw/Mnが2未満である共重合体が開示されている。
ところで、2000年から北米で自動車用潤滑油の規格が改訂されて、潤滑油の低温特性はさらに重要視されてきている。このため、新規格を満足しうる潤滑油組成物を提供可能な粘度調整剤の出現が望まれている。
本発明者らは、上記のような問題点を解決すべく検討した結果、エチレン含量が高く、かつ高分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体を粘度調整剤として潤滑油に配合すると、低温特性に優れるとともに、高温での潤滑特性に優れ、粘度指数向上効果のバランスに優れた潤滑油組成物が得られると考えた。しかしながら、エチレン含量が高く、かつ高分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体を粘度調整剤として潤滑油に配合すると、低温・高せん断下では前述の共重合体が潤滑油基材から析出する、また低温貯蔵時に潤滑油がゼリー化するという新たな解決すべき点があることを見出した。
そこで本発明者らは、粘度調整剤として、エチレン含量が74〜85mol%のエチレン・α−オレフィン共重合体と、エチレン含量が50〜65mol%のエチレン・α−オレフィン共重合体とからなる組成物を粘度調整剤として使用すると、上記低温・高せん断下の共重合体の析出を解消し、低温特性、高温での潤滑性、粘度指数向上効果のバランスに優れる潤滑油組成物が得られることを見出して提案している(特許文献4)。
米国特許第3,697,429号 米国特許第3,551,336号 特公平6−96624号公報 特開2003−105365号公報
しかしながら、前記のような技術では、潤滑油の低温流動性(貯蔵安定性)、低温特性、粘度指数向上効果のバランスが十分ではない場合もあった。また、近年の環境負荷低減の高まりを受けて、潤滑油基油の高品質化が進んでいる。本発明者らの検討によれば、一般に高品質基油を用いた場合には、上記低温貯蔵時の潤滑油のゼリー化は悪化する傾向にあることがわかった。そこでもし高せん断下の共重合体の析出がしにくいだけでなく、低温貯蔵性がより優れる(すなわちゼリー化せず、流動性の優れる)潤滑油組成物を与えることができる粘度指数向上剤が出現すれば、潤滑油組成物の一層の性能向上が期待でき、また潤滑油基油の高品質化にも対応できる可能性があり、工業的価値が極めて高い。
本発明は、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体からなり、特に潤滑油の低温流動性を向上させることができ、低温特性、粘度指数向上効果のバランスにも優れた潤滑油用粘度調整剤、および、低温流動性に特に優れ、低温特性と粘度指数向上効果のバランスに優れた潤滑油組成物を提供することを課題としている。
本発明の潤滑油用粘度調整剤は、
(A)(i)エチレンと、(ii)炭素数3〜19のα−オレフィンと、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンであって、前記炭素数3〜19のα−オレフィンよりも炭素数が1以上大きい高級α−オレフィンとの共重合体であって、
(i)エチレンの含量が75〜85mol%、(ii)炭素数3〜19のα−オレフィン
の含量が5〜20mol%、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンの含量が0.
5〜19mol%であり、かつ、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000〜400,000の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体と、
(B)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、エチレン含量が50〜65mol%であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000〜400,000の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体と
からなることを特徴としている。
このような本発明の潤滑油用粘度調整剤では、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が、0.5以下であることが好ましい。
また、本発明の潤滑油用粘度調整剤では、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.4以下であることが好ましい。
また、本発明の潤滑油用粘度調整剤では、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、融点(Tm)が、60℃以下であることが好ましい。
また、本発明の潤滑油用粘度調整剤では、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の、分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.
4以下であることが好ましい。
また、本発明の潤滑油用粘度調整剤では、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の、融点(Tm)が、−15℃以下であることが好ましい。
さらに、本発明の潤滑油用粘度調整剤では、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との重量比((A)/(B))が、99/1〜1/99の範囲にあることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、
(I)請求項1〜7のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤と、
(II)潤滑油基材と
を含み、上記潤滑油用粘度調整剤(I)が、0.1〜20重量%の範囲で含まれてなることを特徴としている(ただし、該潤滑油組成物の重量を100重量%とする。)。
また、本発明の潤滑油組成物は、
(I)請求項1〜7のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤と、
(II)潤滑油基材と、
(III)流動点降下剤と
を含み、上記潤滑油用粘度調整剤(I)が0.1〜5重量%の範囲で含まれ、上記流動点降下剤(III)が0.05〜5重量%の範囲で含まれてなることを特徴としている(ただ
し、該潤滑油組成物の重量を100重量%とする。)。
本発明によれば、潤滑油の低温流動性を特に向上させることができ、低温特性および粘度指数向上効果のバランスに優れた潤滑油用粘度調整剤を提供することができる。また、本発明の潤滑油組成物は、本発明にかかる潤滑油用粘度調整剤を含有することにより、特に低温流動性に優れ、低温特性および粘度指数向上効果にバランスよく優れる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<潤滑油用粘度調整剤>
本発明の潤滑油用粘度調整剤は、(A)(i)エチレンと、(ii)炭素数3〜19のα
−オレフィンと、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンであって、前記炭素数3
〜19のα−オレフィンよりも炭素数が1以上大きい高級α−オレフィンとの共重合体であって、
(i)エチレンの含量が75〜85mol%、(ii)炭素数3〜19のα−オレフィン
の含量が5〜20mol%、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンの含量が0.
5〜19mol%であり、かつ、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000〜400,000の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体と、
(B)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、エチレン含量が50〜65mol%であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000〜400,000の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体と
からなることを特徴としている。このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とを含有する本発明の潤滑油用粘度調整剤は、潤滑油の低温流動性を特に向上させることができ、低温特性および粘度指数向上効果のバランスに優れる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、(i)エチレンと、(ii)
炭素数3〜19のα−オレフィンと、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンであ
って、前記炭素数3〜19のα−オレフィンよりも炭素数が1以上大きい高級α−オレフィンとの共重合体である。
炭素数3〜19のα−オレフィン(ii)としては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンなどが挙げられる。これらのうちでは、炭素数3〜8のものが好ましく、特にプロピレンが好適である。
炭素数4〜20の高級α−オレフィン(iii)は、前記炭素数3〜19のα−オレフィ
ンよりも炭素数が1以上大きい高級α−オレフィンである。炭素数4〜20の高級α−オレフィン(iii)としては、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3
−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、本発明では、炭素数6〜20、好ましくは8〜20、より好ましくは12〜20、さらに好ましくは14〜20の高級α−オレフィンが好ましい。高級α−オレフィン(iii)がこのような炭素
数であると、広いエチレン含量の範囲にわたって、潤滑油に配合したときに特に低温特性に優れたものとなる、潤滑油用粘度調節剤を作製することができる。
なお、本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、他のモノマーが共重合されたものであってもよいが、ポリエン化合物は共重合成分として含まないことが好ましい。この場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、耐熱性に優れており、特に酸化、着色などがなく、さらには潤滑油に配合した場合の潤滑性能の点で特に優れている。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、(i)エチレンの含量が75〜85mo
l%、好ましくは78〜85mol%、より好ましくは80〜83mol%であって、(ii)炭素数3〜19のα−オレフィンの含量が5〜20mol%、好ましくは7〜16mol%、より好ましくは9〜14mol%であって、(iii)炭素数4〜20の高級α−
オレフィンの含量が0.5〜19mol%、好ましくは3〜15mol%、より好ましくは4〜8mol%である。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を構成する各構造単位含有量の合計を100mol%とする。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、上述のような組成を有していると、得られる潤滑油用粘度調整剤を添加した潤滑油組成物が、充分な低温特性を示し、低温での取り扱い性に優れたものとなるため好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を使用すると、広いエチレン含量の範囲で良好な低温特性を満足する潤滑油組成物を与えることができる。このことは、たとえば本発明で使用できるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)のエチレン(i)含量とMR粘
度、エチレン(i)含量と低温貯蔵安定性を表すグラフを作り、許容しうるMR粘度、低
温貯蔵安定性の値に対する使用可能なエチレン含量の範囲を調べ、エチレン・炭素数3以
上のα−オレフィン2元共重合体の使用できるエチレン含量の範囲と比較することで判断することが可能である。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)中の組成は、「高分子分析ハンドブック」(日本分析化学会、高分子分析研究懇談会編、紀伊国屋書店発行)に記載の方法に従って13C−NMRで測定することができる。
(1)重量平均分子量
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、70,000〜400,000、好ましくは80,000〜400,000の範囲にある。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあると、増粘性に優れており、このため特定の潤滑油粘度を得るためのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の必要量が少なくて済み、低温時にゼリー化が起こりにくく、また、潤滑油粘度のせん断安定性にも優れた潤滑油組成物を得ることができる。
なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行なわれる。
(2)分子量分布
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子量分布を示す指標であるMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は、2.4以下、好ましくは2.2以下、より好ましくは1.9以下であることが望ましい。Mw/Mnの下限は特にはないが、
たとえば1.0以上、好ましくは1.5以上である。分子量分布が2.4以下であると、潤滑油粘度のせん断安定性が良好であるので好ましい。
(3)融点
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の融点(Tm)は、示差走査型熱量計(DSC)による測定で、60℃以下であることが好ましく、より好ましくは15〜60℃、さらに好ましくは25〜50℃、特に好ましくは、25〜45℃の範囲である。このような融点であると、低温での貯蔵安定性が低いため好適である。
本発明において、融点は、示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点とした。測定は、試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の、すなわち2ndランの吸熱曲線より求めた。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)において、炭素数3〜19のα−オレフィン(ii)がプロピレンである場合には、エチレン(i)含量(mol%)と、DSCで測定
した融点(Tm:℃)とは、以下の関係式を満たしていることが望ましい。
3.70×E−240≧Tm 、
好ましくは、3.70×E−247≧Tm、
より好ましくは、3.70×E−248≧Tm。
上記式は分子内の組成分布の目安であり、エチレン(i)含量と融点(Tm)との関係
が上記式を満たす範囲にあれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子内組成分布が狭いと考えられ、このため、潤滑油が低温でゼリー化、エチレン(i)の高含有部
分が存在することによる潤滑油の濁り(HAZE)等の問題を引き起こすことがより少ないので好ましい。
(4)強度比D(Sαβ/Sαα)
本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)は、0.5以下であることが望ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることが
さらに好ましい。
本発明の潤滑油用粘度調整剤は、この強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含んでいると、潤滑油の低温での流動性を向上させることができる上に、高温における潤滑特性を向上させることもでき、さらには両者(低温流動性および高温潤滑特性)のバランスに特に優れている。
13C−NMRスペクトルにより求められるSαβおよびSααは、それぞれエチレンまたは炭素数3以上のα−オレフィン(これは、炭素数3〜19のα−オレフィン(ii)および、炭素数4〜20の高級α−オレフィン(iii)に由来のものを含む)から導かれる
構成単位中のCH2のピーク強度であり、下記に示す位置にある2種のCH2を意味している。
Figure 0004749747
13C−NMRによって測定されたスペクトルは、J.C.Randall(Review Macromolecular Chemistry Physics,C29,20
1(1989))に記載された方法に従って、解析され、SαβおよびSααが測定される。
強度比Dは、それぞれのピーク部分の積分値(面積)比で算出される。このようにして求められた強度比Dは、一般にα−オレフィンの1,2付加反応に続いて2,1付加反応が起こる割合、またはα−オレフィンの2,1付加反応に続いて1,2付加反応が起こる割合を示す尺度と考えられている。したがってこの強度比D値が大きいほど、α−オレフィンの結合方向が不規則であること示している。逆にD値が小さいほど、α−オレフィンの結合方向が規則的であることを示している。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含む潤滑油用粘度調整剤は、潤滑油基材に配合されたときに粘度指数の向上効果が大きく、また流動点降下剤の効果が阻害されることもない。
また、このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含む潤滑油用粘度調整剤を用いると、北米潤滑油規格であるGF−3規格の低温特性の規格を満たしうるような潤滑油を得ることができる。なお、潤滑油がGF−3規格を満たすかどうかは、後述するCCS粘度、MR粘度を測定することにより判断することが可能である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、特に限定されるものではないが、後述する重合用触媒のうち、メタロセン化合物と、イオン化イオン性化合物とからなる触媒(メタロセン系触媒(1))を用いて製造するのが好ましく、メタロセン化合物と、イオン化イオン性化合物とからなる触媒の存在下に、(i)エチレンと、(ii)炭素
数3〜19のα−オレフィンと、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンであって
、前記炭素数3〜19のα−オレフィンよりも炭素数が1以上大きい高級α−オレフィン
とを共重合して得られたものであるのが、前記分子内組成分布の点から好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンから導かれる繰り返し単位と、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位であり、炭素数3〜20のα-オレフィンとしては、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)にて例示したもの
と同様のものが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含量は、たとえば50〜65mol%、好ましくは53〜63mol%、より好ましくは55〜61mol%の範囲にある。他は、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位等である。またエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、本発明の目的を損なわない範囲で環状オレフィン、ポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマー(以下「他のモノマー」ということがある。)から導かれる繰り返し単位を、たとえば5mol%以下、好ましくは1mol%以下の割合で含有してもよい。なお、本発明ではポリエンを含まないことが1つの好ましい態様である。この場合、特に耐熱性に優れている。さらに、実質的にエチレンとα-
オレフィンのみからなっていることも好ましい態様である。
(1)重量平均分子量
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000
〜400,000、好ましくは70,000〜320,000、さらに好ましくは70,000〜200,000の範囲にあることが望ましい。
重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあるエチレン・α−オレフィン共重合体を含有する潤滑油組成物の低温特性と粘度指数向上性能のバランスは特に優れる。また重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、低温−高せん断速度下で、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む濃厚溶液が潤滑油基材から分離してメッシュの目詰まり等の問題を引き起こすことが少ない。また重量平均分子量が上記下限の範囲内であれば、充分な粘度指数向上性能が得られる。
(2)分子量分布
さらにこのようなエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、分子量分布を示す指標であるMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.4以下、好ましくは2.3以下であることが望ましい。
分子量分布が2.4以下であれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を潤滑油基材に配合したときに潤滑油粘度のせん断安定性が良好となる。また、Mw/Mnの下限は特
にはないが、例えば1.0以上、好ましくは1.5以上である。
(3)融点
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、融点(Tm)が−15℃以下であるか、あるいは結晶性部を含まないものが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の融点は、好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−30℃以下の範囲にあることが望ましい。なお、融点の測定法は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)において上述したとおりである。
また、共重合体が結晶性部を含まないものは、DSCを測定することによって、吸熱ピークがないことから判断される。このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は
、さらに、上記エチレン含量(mol%)と融点(Tm:℃)とが下記式で表される関係を満足していることが好ましい。
3.70×E−240≧Tm 、
好ましくは、3.70×E−247≧Tm、
より好ましくは、3.70×E−248≧Tm。
上記式は分子内の組成分布の目安であり、エチレン(i)含量と融点(Tm)との関係
が上記式を満たす範囲にあれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子内組成分布が狭いと考えられ、このため、潤滑油が低温でゼリー化、エチレン(i)の高含有部
分が存在することによる潤滑油の濁り(HAZE)等の問題を引き起こすことがより少ないので好ましい。
(4)強度比D(Sαβ/Sαα)
本発明に係る潤滑油用粘度調整剤では、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)および(B)として、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)および(B)の少なくとも一方の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)は、0.5以下であることが望ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の強度比D(Sαβ/Sαα)は、0.5以下であることが望ましい。
この強度比D(Sαβ/Sαα)は、0.5以下であるエチレン・α-オレフィン共重
合体を含んでいると、さらに低温特性と高温での潤滑油特性のバランスに優れた潤滑油組成物を得ることができる。このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)および(B)の組み合わせとしては、以下のものが挙げられる。
1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下であり、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5より大きいもの。
2)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5より大きく、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下であるもの。
3)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下であり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下であるもの。
強度比D値が0.5以下のエチレン・α−オレフィン共重合体は、D値がより好ましくは0.4以下さらに好ましくは0.3以下であることが望ましい。エチレン・α-オレフィ
ン共重合体(A)および(B)の強度比D(Sαβ/Sαα)が上記のような組み合わせであると、潤滑油の低温での流動性を向上させることができる上に、高温における潤滑特性を向上させることもでき、さらには両者(低温流動性および高温潤滑特性)のバランスに特に優れている。
なお、13C−NMRスペクトルにより求められるSαβおよびSααは、それぞれエチレンまたは炭素数3以上のα-オレフィンから導かれる構成単位中のCH2のピーク強度であり、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)において上述したとおりである。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)および(B)は、前記エチレン含量となるように、エチレンとα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーを公知のオレフィン重合用触媒の存在下に共重合させることにより製造することができる。公知のオレフィン重合用触媒としては、メタロセン触媒、固体状チタン触媒およびバナジウム触媒などが使用される。
強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5より大きいα−オレフィン共重合体(A)および/または(B)を製造する際には、バナジウム系触媒が好適に使用される。また強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)および/または(B)を製造する際には、メタロセン系触媒または固体状チタン触媒が使用され、特にメタロセン系触媒が好ましく、なかでも周期表第4族などから選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/または遷移金属メタロセン化合物と反応してイオンを形成しうるイオン化イオン性化合物と、からなるメタロセン系触媒が特に好ましく用いられる。特に好ましくは、遷移金属のメタロセン化合物と、遷移金属メタロセン化合物と反応してイオンを形成しうるイオン化イオン性化合物との組み合わせが組成分布の点で好ましい。また、メタロセン系触媒の分子構造を変えることにより上記範囲内で強度比Dを変化させることができる。メタロセン系触媒による重合においては、重合温度を変えることで強度比Dを変化させることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体製造用触媒
次に、各触媒について説明する。
(1)メタロセン系触媒
メタロセン系触媒を形成する周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物としては、特許文献4の[0037]〜[0043]記載の化合物を用いることができる。具体的には、下記一般式(i)で表される。
MLx …(i)
式(i)中、Mは周期表第4族から選ばれる遷移金属であり、具体的にジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、
シクロペンタジエニル基、アルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
これらのうちでは、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
一般式(i)で示される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3a)、ハロゲ
ン原子または水素原子(ここで、Raはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル
基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物を例示する。
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
また上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた化合物を挙げることもできる。
また本発明ではメタロセン化合物として下記一般式(ii)で表される化合物を用いることもできる。
11z …(ii)
(式中Mは、周期表第4族またはランタニド系列の金属であり、
1は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M1活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲンまたは20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
このような一般式(ii)で示される化合物のうちでも、下記一般式(iii)で示される
化合物が好ましい。
Figure 0004749747
式中、M1はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同様である

CpはM1にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基であ
る。
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)であり、
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、
ZとYとで縮合環を形成してもよい。
このような一般式(iii)で示される化合物としては、具体的には、
[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]
チタンジクロリド、
[(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]チタンジクロリド、
[ジベンジル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン
]チタンジクロリド、
[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]
ジベンジルチタン、
[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]
ジメチルチタン、
[(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]ジベンジルチタン、
[(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]ジネオペンチルチタン、
[(フェニルホスフィド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)メチレン]ジ
フェニルチタン、
[ジベンジル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン
]ジベンジルチタン、
[ジメチル(ベンジルアミド)(η5-シクロペンタジエニル)シラン]ジ(トリメチルシリル)チタン、
[ジメチル(フェニルホスフィド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエ ニル)シラン]ジベンジルチタン、
[(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]ジベンジルチタン、
[2-η5-(テトラメチル-シクロペンタジエニル)-1-メチル-エタノレート(2-)]ジベ
ンジルチタン、
[2-η5-(テトラメチル-シクロペンタジエニル)-1-メチル-エタノレート(2-)]ジメ
チルチタン、
[2-((4a,4b,8a,9,9a-η)-9H-フルオレン-9-イル)シクロヘキサノレート(2-)]ジメ
チルチタン、
[2-((4a,4b,8a,9,9a−η)-9H-フルオレン-9-イル)シクロヘキサノレート(2-)]ジベンジルジルチタンなどが挙げられる。
また上記のような化合物においてチタニウム金属を、ジルコニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた化合物を挙げることもできる。
これらのメタロセン化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、前記一般式(i)で表されるメタロセン化合物としては、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好ましく用いられる。また前記一般式(ii)または(iii)で表
されるメタロセン化合物としては、中心の金属原子がチタンであることが好ましい。上記メタロセン化合物のなかでは、一般式(iii)で表され、中心の金属原子がチタンである
化合物が特に好ましい。
メタロセン系触媒を形成する有機アルミニウムオキシ化合物は、特許文献4の[0050]〜[0051]に記載の従来公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
メタロセン系触媒を形成するイオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物などを例示することができる。
ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置
換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられる。
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。
このようなルイス酸、イオン性化合物は公知であり、ルイス酸としては、特許文献4の[0052]記載の化合物を挙げることができ、またイオン性化合物としては、特許文献4の[0053]〜[0055]記載の化合物を挙げることができる。さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
特に、イオン化イオン性化合物がエチレン・α-オレフィン共重合体の組成分布を制御す
る点で好適に用いられる。
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とともに、有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(vi)で表される化合物が挙げられる。
1 nAlX3-n …(vi)
式中、R1は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロ
ゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。
このような有機アルミニウム化合物は公知であり、例えば特許文献4の[0057]〜[0058]に記載の化合物を挙げることができる。
このような炭素原子数が1〜15の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などが挙げられる。
このような有機アルミニウム化合物として具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニム;
一般式(i-C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2
xである。)で表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
トリイソプロペニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアウミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなど。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)もしくは(B)は、上記のようなメタロセン系触媒の存在下に、共重合体を構成するモノマー(エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、必要に応じて他のモノマー)を、通常液相で共重合させることにより得ることができる。この際、重合溶媒として一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレン等のα−オレフィンを用いてもよい。
(2)固体状チタン系触媒
固体状チタン触媒としては、特に制限はないが、例えば(a)チタン化合物と、(b)式 M
gORaORb〔RaおよびRbはアルキル基またはアリール基であり、RaとRbとは同一であっても異なっていてもよい。〕で示されるマグネシウム化合物とを、(c)電子供与体を
接触させることにより形成される固体状チタン触媒成分が使用される。このような触媒としては、特許文献4の[0059]第6行目〜[0079]第9行目にかけて記載されているものを挙げることができる。
(3)バナジウム系触媒
バナジウム触媒は、(a)可溶性バナジウム化合物と、(b)有機アルミニウム化合物とからなる。
バナジウム系触媒(a)を形成する可溶性バナジウム化合物(v-1)は、具体的には、下記一般式で表される。
VO(OR)ab または V(OR)cd
式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基などの炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、a、b、c、dはそれぞれ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす。(前記aは1<a≦3を満たすことが好ましく、前記cは1<c≦3を満たすことが好ましく、また前記dは0≦d<4を満たすことが好ましい。)
上記一般式で表される可溶性バナジウム化合物としては、具体的には、
VOCl3、VO(OCH3)Cl2、VO(OC25)Cl2、VO(OC25)1.5Cl1.5 、V
O(OC25)2Cl、VO(O n-C37)Cl2、VO(O iso-C37)Cl2、VO(O n-C49)Cl2、VO(O iso-C49)Cl2、VO(O sec-C49)Cl2、VO(O t-C49)Cl2、VO(OC25)3、VOBr2、VCl4、VOCl2、VO(O n-C49)3、VO
Cl3・2OC817OHなどが挙げられる。
バナジウム系触媒を形成する有機アルミニウム化合物としては前記メタロセン触媒にて例示した有機アルミニウム化合物が使用される。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、好ましくは上記のようなメタロセン系触媒またはバナジウム系触媒の存在下にエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、必要に応じて他のモノマーを、通常液相で共重合させて製造する。この際、重合溶媒として一般に炭化水素溶媒が用いられるが、液状のプロピレン等のα-オレフィンを用い
てもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体を重合する際に用いられる炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどのハロゲン誘導体などが用いられる。これら溶媒は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
エチレンおよび炭素数3〜20のα-オレフィン、必要に応じて他のモノマーは、バッ
チ法、連続法 のいずれの方法でも共重合することができるが、連続法で共重合すること
が好ましく、特に撹拌層型反応器を用い連続法で共重合することが好ましい。
共重合を連続法で実施するに際して、上記メタロセン系触媒は、たとえば以下のような濃度で用いられる。
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。また有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜30、好ましくは1〜25の量で供給される。
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常、約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
上記のようなメタロセン系触媒の存在下に、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、必要に応じて他のモノマーを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは0℃〜100℃で、圧力が0を超えて80kg/cm2以下、好ましくは0を超えて50kg/cm2以下の条件下に行なわれる。上記重合条件は、連続重合法では一定であることが好ましい。
また触媒として固体状チタン触媒を使用する場合は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.001〜100ミリモル、好ましくは約0.005〜20ミリモルの量で用いられる。有機金属化合物触媒成分[II]は、該触媒成分[II]中の金属原子が、重合系中の固体状チタン触媒成分[I]中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約2〜500モルとなるような量で用いられる。電子供与体[III]は、有機金属化合物触媒成分[II]の金属原子1モルに対し、通常約0.001
モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いられる。重合温度は、通常約20〜300℃、好ましくは約50〜150℃であり、重合圧力は、常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2である。本発明においては、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
また、触媒としてバナジウム系触媒が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常、0.01〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/リットルである。この可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。また有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)で、通常2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物は、通常、上述の炭化水素溶媒および/または液状のプロピレンで希釈されて供給される。この際、該可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
バナジウム系触媒の存在下に、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、必要
に応じて他のモノマーを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜60℃で、圧力が0を超えて50kg/cm2 以下、好ましくは0を超えて20kg/cm2 以下の条件下に行われる。上記重合条件は、連続重合法では一定であることが好ましい。
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常、5分〜5時間、好ましくは10分〜3時間である。
エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、必要に応じて他のモノマーは、上述のような特定組成のエチレン・α−オレフィン系共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
上記のようにしてエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、必要に応じて他のモノマーを共重合させると、エチレン・α−オレフィン共重合体は、通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体が得られる。また、後述するようにこの重合液を直接、潤滑油粘度調整剤を調製する際に使用することもできる。
潤滑油用粘度調整剤の組成
本発明に係る潤滑油用粘度調整剤は、上記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と
、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との重量比(A)/(B)が、好ましくは99/1〜1/99、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70の範囲にあることが望ましい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がエチレン・プロピレン共重合体であるような場合については、(A)/(B)が70/30〜30/70であるのが特に低温特性の点で優れている。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw-A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重量平均分子量(Mw-B)との比(Mw-B)/(Mw-A)が、1より大きく、好ましくは1.1以上であることが望ましい。
(Mw-B)/(Mw-A)が1より大きいと、潤滑油基材に配合したときに得られる潤滑油は、低温・高せん断下での共重合体の析出がなく、低温での流動性に優れる。
このような潤滑油用粘度調整剤は、たとえば下記の方法によって調製される。
(1)上記したエチレン・α−オレフィン共重合体(A)および(B)を溶融混練する方
法。
(2)溶媒を含む上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)および(B)を、混合し
、溶媒を除去しながら、混練する方法。
(3)上記したエチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(B)が、溶媒に溶解した各ポリマー溶液を混合したのち、溶媒を除去する方法。
上記(2)および(3)の調製方法では、重合直後のポリマー溶液を、そのまま使用してもよい。このようにすると、重合後の処理工程を減らすことができるため、製造コストが低下させることができる。本発明に係る潤滑油用粘度調整剤では、上記のような溶融・混練などによって潤滑油用粘度調整剤を調製することなく、直接エチレン・α-オレフィン共重
合体(A)および(B)を、潤滑油基油に配合し、潤滑油内で混合したものであってもよい。
潤滑油組成物
本発明に係る潤滑油組成物には、上記潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)とを含有するものがあり、また上記潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)と流動点降下剤(III)とを含有するものもある。
まず本発明に係る潤滑油組成物を形成する各成分について説明する。
(II)潤滑油基材
本発明で用いられる潤滑油基材としては、鉱物油、およびポリα−オレフィン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール等の合成油が挙げられ、鉱物油または鉱物油と合成油とのブレンドが好ましく用いられる。鉱物油は一般に脱ワックス等の精製工程を経て用いられ、精製の仕方により幾つかの等級があるが、一般に0.5〜10%のワックス分を含む鉱物油が使用される。また40℃における動粘度が10〜200cStのものが一般的に使用される。
本発明で使用される潤滑油基材は、その粘度指数、飽和炭化水素分、硫黄分によって、(i)〜(v)にグループ分けされる。
表1に各グループに分類される潤滑油基材の特性を示す。
Figure 0004749747
*1:ASTM D445(JIS K2283)に準じて測定
*2:ASTM D3238に準じて測定
*3:ASTM D4294(JIS K2541)に準じて測定
*4:飽和炭化水素分が90(vol%)未満でかつ硫黄分が0.03重量%未満または飽
和炭化水素分が90(vol%)以上でかつ硫黄分が0.03重量%を超える鉱物油もグルー
プ(i)に含まれる。
表1におけるポリ−α−オレフィンは、炭素数10以上のα−オレフィンを少なくとも原料モノマーとして重合して得られる炭化水素ポリマーであって、例えばデセン−1を重合して得られるポリデセンなどが例示される。
(III)流動点降下剤
本発明で用いられる流動点降下剤としては、アルキル化ナフタレン、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、アクリル酸アルキルの(共)重合体、フマル酸アルキルと酢酸ビニルとの共重合体、α−オレフィン重合体、α−オレフィンとスチレンとの共重合体等が挙げられるが、中でも、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、アクリル酸アルキルの(共)重合体が好適に用いられる。
本発明に係る潤滑油組成物には、上述したような潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)とを含有し、該潤滑油組成物中に潤滑油用粘度調整剤(I)を0.1〜20重
量%、好ましくは0.5〜15重量%の量(残分は潤滑油基材(II)および後述の配合剤
)で含有するものがある。つまり、該潤滑油組成物の重量を100重量%とする。
潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)とを含有する潤滑油組成物は、温度依存性が小さく低温特性に優れる。この潤滑油組成物は、そのまま潤滑油用途に使用することができ、またこの潤滑油組成物にさらに潤滑油基材、流動点降下剤などを配合して潤滑油用途に使用することもできる。
本発明に係る潤滑油組成物には、上述したような潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)と、流動点降下剤(III)とを含有し、該潤滑油組成物中に、潤滑油粘度調整
剤(I)を0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%の量で、流動点降下剤(III)を0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の量(残分は潤滑油基材(II)および後述の配合剤)で含有するものがある。ただし、該潤滑油組成物の重量を100重量%とする。
潤滑油基材(II)と、潤滑油用粘度調整剤(I)と、流動点降下剤(III)とを含有す
る潤滑油組成物は、温度依存性が小さく、かつ潤滑油用粘度調整剤(I)と流動点降下剤(III)との相互作用による流動点の上昇が少なく、あらゆるせん断速度領域で低温特性
に優れる。また、この潤滑油組成物は、GF−3規格の低温特性の規格を満たしうる。
本発明に係る潤滑油組成物は、上記各成分以外に、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、水添SBR、SEBSなどの粘度指数向上効果を有する配合剤、清浄剤、防錆剤、分散剤、極圧剤、抑泡剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、金属不活性化剤などの配合剤を配合してもよい。極圧剤としては、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオホスフィネート類、チオカーボネート類、油脂、硫化油脂、硫化オレフィン等のイオウ系極圧剤;リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン類等のリン酸類;塩素化炭化水素等のハロゲン系化合物などを例示することができる。
耐摩耗剤としては、二硫化モリブデンなどの無機または有機モリブデン化合物、アルキルメルカプチルボレート等の有機ホウ素化合物;グラファイト、硫化アンチモン、ホウ素化合物、ポリテトラフルオロエチレン等を例示することができる。
清浄分散剤としては、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート等の金属スルホネート、チオホスホネート、フェナート、サリチレート、コハク酸イミド、ベンジルアミン、コハク酸エステルなどを例示することができる。
酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等のアミン系化合物、ジチオリン酸亜鉛等のイオウまたはリン系化合物などを例示することができる。
防錆剤としては、シュウ酸などのカルボン酸およびその塩;スルホン酸塩;エステル;アルコール;リン酸およびその塩;ベンゾトリアゾールおよびその誘導体;チアゾール化合物などを例示することができる。
抑泡剤としては、ジメチルシロキサン、シリカゲル分散体等のシリコーン系化合物、アルコール系またはエステル系の化合物などを例示することができる。
これらの添加剤の配合量は、要求される潤滑性能によって変化するが、上述したような潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)とを含有する潤滑油組成物100重量部のうちで、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量部含まれていてもよい。また上述したような潤滑油用粘度調整剤(I)と、潤滑油基材(II)と、流動点降下剤(III)とを含有する潤滑油組成物100重量部のうちで、通常0.01〜50重量
部、好ましくは0.05〜30重量部含まれていてもよい。
潤滑油組成物の調製法
本発明に係る潤滑油組成物は、潤滑油基材(II)に、潤滑油用粘度調整剤(I)、必要に応じて配合剤を混合または溶解するか、または潤滑油基材(II)に、潤滑油用粘度調整剤(I)、流動点降下剤(III)、および必要に応じて配合剤を混合または溶解すること
により従来公知の方法で調製することができる。
なお、本明細書においては、実施例を除き又は明示しない限り、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子数などの全ての数値は、技術的に不明確にならない範囲で「約」という語を補って理解されることが好ましい。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、各種物性は以下のようにして測定した。
動粘度(Kinetic viscosity:KV)
ASTM D 445に基づいて測定を行なった。なお本実施例では100℃の動粘度がエンジンオイル用SAE粘度規格40に該当するようにサンプルを調整した。
Cold Cranking Simulator(CCS)粘度
ASTM D 5293に基づいて測定を行なった。CCS粘度はクランク軸における低温・始動時の摺動性の評価に用いられ、値が小さい程、潤滑油の低温特性がよいことを示す。
Mini-Rotary(MR)粘度
ASTM D D4684に基づいて測定を行なった。MR粘度はオイルポンプが低温でポンピングを行なうための評価に用いられ、値が小さい程、潤滑油の低温特性がよいことを示す。
Shear Stability Index(SSI)
ASTM D 2603に基づいて測定を行なった。SSIは高せん断条件下で潤滑油中の共重合体の分子鎖が切断することによる動粘度の損失の尺度であり、SSIが大きい値である程、動粘度の損失が大きいことを示す。
低温流動性評価
低温で潤滑油組成物を保管したときのゼリー化について、下のように評価した。潤滑油基材として、粘度調整剤に対して溶解性が低い合成油(PAO:デセンオリゴマー)を用いた。潤滑油組成物に0℃と−18℃の温度サイクルをかけ、ゼリー化を促進させた後、流動性(外観)を観察し、以下の基準により評点を付けた。
1:ゼリー化がなく、なめらかに流動する。
2:ゼリー化がなく、ゆるやかに流動する。
3:ゆるくゼリー化するが、なめらかに流動する。
4:ゆるくゼリー化するが、ゆっくりと流動する。
5:全体がゼリー化するが、せん断によりゼリーが崩れて流動する。
6:全体がゼリー化し、せん断によってもゼリーが崩れず、流動しない。
7:完全に固化する。
なお、潤滑油組成物を低温で使用するときには、潤滑油組成物のエンジン内部への吸い込み性の点から、ゼリー化しないことが、特に好ましい。
・エチレン・α−オレフィン共重合体の調製
重合例1
充分に窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付オートクレーブ(SUS製)に、23℃でヘプタン900mlを挿入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ氷冷しながらプロピレン4.5Nl、水素150mlを導入した。次にオートクレーブを70℃まで加熱し、更に、全圧が6KGとなるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が6KGになった所で、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0ミリモル/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。
続いて、予め調製しておいた、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをB換算で0.016ミリモル、[ジメチル( t−ブチルアミド)(テ
トラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリドを0.0004ミリモルの量で含むトルエン溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入して重合を開始した。その後、5分間、オートクレーブを内温70℃になるように温度調整し、かつ圧力が6kgとなるように直接的にエチレンの供給を行なった。重合開始5分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥して32gのエチレン・プロピレン共重合体を得た。得られたポリマーの性状を表2に示す。
重合例2
プロピレン仕込み量を50.0Nlとし、全圧を8KGとし、水素仕込み量を50mlとした以外は、重合例1と同様にして重合を行ない、34gのポリマーを得た。得られたポリマーの性状を表2に示す。
重合例3
プロピレン仕込み量を3.0Nlとし、水素仕込み量を100mlとし、さらに20gの1-オクテンを添加した以外は、重合例1と同様にして重合を行ない、20gのポリマ
ーを得た。得られたポリマーの性状を表2に示す。
重合例4
プロピレン仕込み量を2.0Nlとし、水素仕込み量を100mlとし、さらに40gの1−オクテンを添加した以外は、重合例1と同様にして重合を行ない、20gのポリマーを得た。得られたポリマーの性状を表2に示す。
Figure 0004749747
参考例
潤滑油基材として、鉱油100ニュートラル/鉱油600ニュートラル(EXXON社製)=93/7の混合油を87.26重量%;粘度調整剤として重合例2で得られたポリマーおよび重合例3で得られたポリマーを各0.62重量%;流動点降下剤(ルブリゾール社製)を0.5重量%;清浄分散剤(ルブリゾール社製)を11重量%の割合となるよう配合して、潤滑油を調製し、その性能評価を行なった。また、低温時の流動性に関しては、潤滑油基材として、粘度調整剤に対して溶解性の低い合成油を用いた。以上の結果を表3に示す。
参考例において、粘度指数向上剤(粘度調整剤)として重合例2で得られたポリマーおよび重合例4で得られたポリマーを各0.62重量%用いたことの他は、参考例と同様にして潤滑油組成物を調製し、その性能評価を行った。また、低温時の流動性評価は、参考例と同様、潤滑油基材として、粘度調整剤に対して溶解性の低い合成油を用いて行った。以上の結果を表3に示す。
比較例1
参考例において、粘度指数向上剤(粘度調整剤)として重合例1で得られたポリマーおよび重合例2で得られたポリマーを各0.62重量%用いたことの他は、参考例と同様にして潤滑油組成物を調製し、その性能評価を行った。また、低温時の流動性評価は、参考例と同様、潤滑油基材として、粘度調整剤に対して溶解性の低い合成油を用いて行った。以上の結果を表3に示す。
Figure 0004749747

Claims (9)

  1. (A)(i)エチレンと、(ii)炭素数3〜19のα−オレフィンと、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンであって、前記炭素数3〜19のα−オレフィンよりも炭素数が1以上大きい高級α−オレフィンとの共重合体であって、
    (i)エチレンの含量が75〜85mol%、(ii)炭素数3〜19のα−オレフィンがプロピレンであり、その含量が5〜10.3mol%、(iii)炭素数4〜20の高級α−オレフィンの含量が0.5〜19mol%であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000〜400,000の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体と、
    (B)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、エチレン含量が50〜65mol%であり、炭素数3〜20のα−オレフィンがプロピレンであり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、70,000〜400,000の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体と
    からなり、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との重量比((A)/(B))が、99/1〜1/99の範囲にあることを特徴とする潤滑油用粘度調整剤。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)が、0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油用粘度調整剤。
  3. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.4以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油用粘度調整剤。
  4. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の、融点(Tm)が、60℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤。
  5. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の、分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.4以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤。
  6. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の、融点(Tm)が、−15℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤。
  7. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との重量比((A)/(B))が、70/30〜30/70の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤。
  8. (I)請求項1〜7のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤と、
    (II)潤滑油基材と
    を含み、上記潤滑油用粘度調整剤(I)が、0.1〜20重量%の範囲で含まれてなることを特徴とする潤滑油組成物(ただし、該潤滑油組成物の重量を100重量%とする。)。
  9. (I)請求項1〜7のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤と、
    (II)潤滑油基材と、
    (III)流動点降下剤と
    を含み、上記潤滑油用粘度調整剤(I)が0.1〜5重量%の範囲で含まれ、上記流動点降下剤(III)が0.05〜5重量%の範囲で含まれてなることを特徴とする潤滑油組成物
    (ただし、該潤滑油組成物の重量を100重量%とする。)。
JP2005089003A 2005-03-25 2005-03-25 潤滑油用粘度調整剤 Active JP4749747B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005089003A JP4749747B2 (ja) 2005-03-25 2005-03-25 潤滑油用粘度調整剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005089003A JP4749747B2 (ja) 2005-03-25 2005-03-25 潤滑油用粘度調整剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006265471A JP2006265471A (ja) 2006-10-05
JP4749747B2 true JP4749747B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=37201762

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005089003A Active JP4749747B2 (ja) 2005-03-25 2005-03-25 潤滑油用粘度調整剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4749747B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SG182319A1 (en) * 2010-01-27 2012-08-30 Exxonmobil Chem Patents Inc Copolymers, compositions thereof, and methods for making them
JP7437897B2 (ja) * 2019-09-04 2024-02-26 住友化学株式会社 樹脂収容体、収容袋、及び、潤滑油を製造する方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2127918A1 (en) * 1993-08-02 1995-02-03 Maria Magdalena Kapuscinski Dimensionally stable solid polymer blend and a lubricating oil composition containing same
CN1159419C (zh) * 1998-12-09 2004-07-28 三井化学株式会社 润滑油用粘度调节剂和润滑油组合物
BR0009424B1 (pt) * 1999-03-30 2011-10-04 modificador de viscosidade para óleo lubrificante e composição de óleo lubrificante.
WO2001085880A1 (fr) * 2000-05-10 2001-11-15 Mitsui Chemicals, Inc. Modificateur de viscosite pour huile lubrifiante et composition d'huile lubrifiante
JP4606644B2 (ja) * 2001-05-29 2011-01-05 三井化学株式会社 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物
JP5248728B2 (ja) * 2001-09-27 2013-07-31 三井化学株式会社 潤滑油粘度調整剤および潤滑油組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006265471A (ja) 2006-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4558951B2 (ja) 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物
US7820607B2 (en) Viscosity modifier for lubricating oils, additive composition for lubricating oils, and lubricating oil compositions
JP4427669B2 (ja) 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物
JP5498588B2 (ja) コポリマー、その組成物及びそれらの製造方法
JP4359807B2 (ja) 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物
KR20040062422A (ko) 윤활유용 첨가제 및 윤활유 조성물
JPWO2009101936A1 (ja) 共重合体、その共重合体の製造方法、潤滑油粘度調整剤および潤滑油組成物
JP5248728B2 (ja) 潤滑油粘度調整剤および潤滑油組成物
JP2019157140A (ja) 潤滑油用粘度調整剤、潤滑油用添加剤組成物、および潤滑油組成物
JP4540963B2 (ja) 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物
JP4749747B2 (ja) 潤滑油用粘度調整剤
JP4606644B2 (ja) 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物
JP2002356693A (ja) 潤滑油組成物
JP4694039B2 (ja) 潤滑油用粘度指数向上剤およびこれを含む潤滑油組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110510

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110518

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4749747

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250