JP4749615B2 - 固定陽極型x線管装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定陽極型X線管装置に関し、特に陽極、及びターゲットを十分に冷却するに好適な固定陽極型X線管装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固定陽極X線管装置は、小型で低コストな面を活かして、可搬型の小型X線装置や歯科用の小容量のもの、あるいは工業用等の許容負荷の小さいものに用いられている。
【0003】
この固定陽極X線管装置として、図2及び図8に示すような構造のものが既に知られている。図2は図8の要部拡大図である。図2において、1は陰極、2はフィラメント、3は陽極、4はターゲット、5は支持材、6は真空外囲器、7は外囲器接合材、8は冷却ノズル、9は冷却面、10は絶縁配管、11は側壁内面、12は隙間、13は支持材である。図8において、50はX線管容器、51は絶縁油タンク、52は絶縁油ポンプ、53は放熱器、54はファン、55は配管、56はX線照射対象、57は絶縁支持材である。
【0004】
以下同一機能を有するものは同じ符号で表記し、説明を省略する。
陰極1内のフィラメント2から放出された熱電子は、陽極3に吸引、加速され陽極3に埋め込まれたターゲット4に衝突する。衝突時の制動輻射作用によりX線が発生し、放射窓24から外部に放射され、X線照射対象56に照射される。
【0005】
陽極3は支持材5により支持され、陰極1とともに真空外囲器6内に収納されX線管が構成される。真空外囲器6と支持材5は外囲器接合材7で接続され、内部が真空に気密される。
【0006】
ここで陽極に入射する電子ビームのエネルギのうち、X線のエネルギとなるのは1%以下で、残りの99%以上は熱となり、その大部分が熱負荷として陽極3に与えられる。
【0007】
陽極3は真空中に置かれるため、輻射により外部に熱を放散するが、照射される電子ビームの強度が増すとターゲット4の温度が上昇して劣化が進むおそれがある。そこで大容量の固定陽極型X線管では図2に示すように、陽極3にターゲット4の裏面側から穴を開け、冷却ノズル8を挿入し、絶縁配管10を介して供給される絶縁油を、冷却面9に噴射して陽極3を冷却している。噴射された絶縁油は、側壁内面11と冷却ノズル8の隙間12と、支持材5、支持材13の内部を経て図8に示す外部に設けた放熱器53に送られ、冷却後ポンプ52で再びX線管に供給される。冷却に絶縁油を用いるのは、陽極に100kV程度の高電圧が加えられるため電気的に外部と絶縁する必要があるためである。絶縁配管10、絶縁支持材57を用いるのも同じ理由である。
【0008】
通常ターゲット4には融点の高いタングステンを用い、陽極3には熱伝導率の高い銅を用いる。X線発生に伴ってターゲット4で発生した熱は、熱伝導により陽極3に移動し、冷却面9で絶縁油に放散され、外部に放出される。
【0009】
なお、この種の装置として関連するものには、例えば、「コロナ社刊、電子工学進歩シリーズ9“CTスキャナ”第88頁(昭和55年5月15日 初版第2刷発行)」に示されているものが挙げられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では加工の容易さから、冷却面9、及び側壁内面11は平滑面となっている。さらに冷却ノズル8と側壁内面11の間の隙間12が大きいため、隙間12を流れる絶縁油の流速が小さくなり、側壁内面11から絶縁油へ放散する熱量が小さくなっている。そのため所定値以上に熱電子の入射エネルギが増えると、陽極3、及びターゲット4の温度が上昇し、ターゲット表面の劣化が急速に進んで装置の寿命が短くなるという問題があった。また冷却面9の表面温度が高くなり、絶縁油の劣化が進むという問題があった。さらに、X線装置自体の小型化が求められており、大きな熱負荷に対応できる小型で高効率な陽極3の冷却面構造が必要とされている。
【0011】
冷却構造の高効率化のためには冷却面にフィンを設置して、伝熱面積を増加することが有効であることが一般の熱機器で古くから知られている。しかし、固定陽極型X線管の冷却面の場合、有底円筒状の冷却面に冷却ノズルを挿入する構造であることから、冷却面に容易にフィンを加工することができないという問題がある。金型を用いた引き抜き加工を行えば、上記したフィン加工は可能であるが、金型自体が高価であり、少量生産の固定陽極型X線管の生産には不向きで、小量生産に適したフィン付き冷却面を有する陽極の製造方法が必要である。
【0012】
本発明は、従来の固定陽極型X線管装置における上記の問題点を解決するためになされたものであって、陽極とターゲットの冷却効率が高く、小型の冷却構造と、その製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下によって達成される。
【0014】
(1)陽極と、該陽極と対向して配置される陰極とを真空外囲器内に収納して成るX線管と、該X線管に冷却用絶縁油を供給する電気的絶縁機能を有する配管と、絶縁油を噴出するノズルと、前記配管を経由して前記X線管に絶縁油を供給する外部冷却装置とから成る固定陽極型X線管装置において、前記陽極は、絶縁油により直接冷却される有底円筒状冷却面を具備し、前記陽極の冷却面底部の冷却を前記ノズルから噴出する絶縁油で行った後に、流出する絶縁油をノズルに設けたノズルカバーと前記陽極の有底円筒内面との隙間に導いて、前記有底円筒状冷却面を冷却する構造を形成し、前記有底円筒状冷却面、もしくは該有底円筒状冷却面と前記冷却面底部の両者にフィンを設ける。
【0015】
(2)上記(1)の固定陽極型X線管装置は、前記冷却面底部の部分で分離されその内部空洞部が貫通した陽極円筒部内面、もしくは平面状になっている冷却面底部と内部空洞部が貫通した陽極円筒部内面の両者にフィンを加工する第1工程と、この第1工程の後に前記底面部に前記円筒部をろう付けにより接合する第2工程とにより製造する。
【0016】
(3)上記(1)の固定陽極型X線管装置の円筒部と底面部との接合部の外径は円筒部外径よりも大きくする。
【0017】
(4)陽極と、該陽極と対向して配置される陰極とを真空外囲器内に収納して成るX線管と、該X線管に冷却用絶縁油を供給する電気的絶縁機能を有する配管と、絶縁油を噴出するノズルと、前記配管を経由して前記X線管に絶縁油を供給する外部冷却装置とから成る固定陽極型X線管装置において、前記陽極は、絶縁油により直接冷却される有底円錐面状冷却面を具備し、前記陽極の冷却面底部の冷却を前記ノズルから噴出する絶縁油で行った後に、流出する絶縁油を前記ノズルに設けたノズルカバーと前記陽極の円錐状冷却面との隙間に導いて、前記有底円錐面状冷却面を冷却する構造を形成し、前記有底円錐面状冷却面、もしくは該有底円錐面状冷却面と前記冷却面底部の両者にフィンを設ける。
【0018】
(5)上記(4)の固定陽極型X線管装置は、前記冷却面底部の部分で分離されその内部空洞部が貫通した陽極円筒部内面、もしくは平面状になっている冷却面底部と内部空洞部が貫通した陽極円筒部内面の両者にフィンを加工する第1工程と、こ第1の工程の後に、前記底面部に円筒部をろう付けにより接合する第2工程とにより製造する。
【0019】
(6)上記(1)と(4)の固定陽極X線管装置の真空外囲器内に収納される陽極支持材と、円筒面部と、底面部との接合は、同時に同じろう材でろう付けにより行う。
【0020】
(7)上記(1),(3),(4),(6)の固定陽極型X線管装置は、冷却面底部フィンを、底面中心から少なくともノズル半径以上の位置から、外周部に放射状に設置し、 陽極側壁部フィンを、少なくとも底面から前記冷却面底部フィンの高さより高い位置の側壁内面に設置する。
【0021】
(8)上記(1)〜(7)の固定陽極型X線管装置は、陽極が受ける熱負荷が3kW以上であり、前記側壁部フィン21のフィン高さは1〜4mmであり、前記側壁部フィン21の厚さは0.8〜2mmであり、前記側壁部フィン21のフィンピッチは0.8〜3mmである。
【0022】
(9)上記(1)〜(8)の固定陽極型X線管装置は、陽極の円筒部と底面部との接合部に接合位置を合わせるための凹凸部を円筒部、もしくは底面部の少なくとも一方に設けて成る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態について図1を参照して説明する。
図1において、3aは陽極底部、3bは陽極側壁部、14は陽極筒、15は陽極筒接合面、16は陽極底部接合面、17は陽極側壁部接合面、18は支持材接合面、19は真空外囲器接合面、20はノズルカバー、21は側壁部フィン、22は底面、23は底面部フィンである。陽極底部3aと陽極側壁部3bの材質は銅である。
【0024】
陰極1内のフィラメント2から放出された熱電子は、陽極底部3aに吸引、加速され陽極底部3aに埋め込まれたターゲット4に衝突する。衝突時の制動輻射作用によりX線が発生する。陽極底部3aは陽極側壁部3bと陽極底部接合面16で接合され、また陽極筒14が陽極底部3aに陽極筒接合面15で接合され、全体として陽極3を構成する。陽極側壁部接合面17で、陽極3は支持材5に接合支持され、陰極1とともに真空外囲器6内に収納される。ここで真空外囲器6と支持材5は、外囲器接合材7により真空外囲器接合面19と支持材接合面18で、それぞれ接続される。
【0025】
陽極側壁部3bの内側は円筒状の空洞となっており、側壁内面11に側壁部フィン21を設ける。ノズルカバー20を有する冷却ノズル8は、側壁部フィン21と隙間12を形成するように陽極側壁部3b内部に挿入され、冷却ノズル8の先端から、底面部フィン23を有する底面22に冷却用絶縁油が噴射される。底面部フィン23は設置しなくても良いものとする。底面部フィン23を設置した場合には伝熱面積が増加するため、底面22での熱放散が増加するため陽極3の温度を下げることができる。
【0026】
底面22を冷却した絶縁油は隙間12を通過する過程で、陽極側壁部3bを冷却する。陽極底部3aと陽極側壁部3bの材質は熱伝導率の高い銅であるため、陽極底部接合面16を介して、高温となる陽極底部3aから陽極側壁部3bに熱が移動する。
【0027】
したがって、側壁内面11に側壁部フィン21を設置して、絶縁油流路の伝熱面積を増し、併せてノズルカバー20によって隙間12の断面積を小さくすることにより、隙間12を流れる絶縁油の流速を大きくして熱伝達率を増加することで、陽極側壁部3bでの熱放散が増加して、陽極3及びターゲット4の温度を大幅に下げることができる。
【0028】
上記の冷却面構造によれば、陽極及びターゲットを効果的に冷却することが可能で、従来ターゲットの劣化防止のために規制されていた以上の高いエネルギの電子ビームの照射が可能となり、より強い強度のX線を連続して発生することが可能になる。
【0029】
また、上記した固定陽極型X線管装置は以下のようにして製造する。陽極筒14、陽極底部3a、陽極側壁部3b、支持材5を別々に加工する。この時、陽極側壁部3bは分割されているため、ワイヤカット加工、或いは機械加工等により側壁内面11に側壁フィン21を容易に加工することができる。また、上記と同様に陽極底部3aも分割されているため、底面22にワイヤカット加工、或いは機械加工等により底面部フィン23を容易に加工することができる。
【0030】
以上のように加工した陽極筒14、陽極底部3a、陽極側壁部3b、支持材5を、溶融温度の高い、例えば金銅ろう(融点約990℃)で同時にろう付けする。
【0031】
次に、外囲器接続材7を介して陽極3と真空外囲器6、支持材13を溶融温度が相対的に低い、例えば銀ろう(融点780℃)でろう付けする。
【0032】
上記した製造方法によれば、少量生産時でも低コストで冷却面にフィンを設置することが可能となる。また、最も気密性を必要とする陽極3の真空外囲器6内での接合面15,16,17は、溶融温度の高い同じろう材で同時に接合するため、ろう付け回数を減らすことができる。さらに、一箇所づつろう付けを行う場合と比較して、先にろう付けを行った箇所が、接合箇所が近接しているため後工程中の熱により再度溶融して気密性を損なうというおそれが無く、確実なろう付け作業を行うことができる。
【0033】
尚、上記した実施の形態において陽極筒14は、X線発生時に生じる二次電子の影響が小さい場合には、図12に示すように省略してもよい。
【0034】
さらに、図13に示すようにシェル状の陽極筒14aをネジ60により固定して陽極筒接合面15でのろう付け箇所を減らす構成としてもよい。
また図3に示すように、陽極底部接合面16の面積が大きくなるように陽極底部3aと陽極側壁部3bの接続部外径を大きくして、陽極底部3aと陽極側壁部3bとの接合部の熱抵抗を低減して、陽極側壁部3bへの熱移動を促進し、ターゲット4の温度を下げる構成としてもよい。
【0035】
或いは、図4に示すように、陽極側壁部3bの側壁内面11を円錐面状に形成して、側壁内面11上に側壁部フィン21を設ける構成としてもよい。この場合、隙間12を一定にするためノズルカバー20を側壁内面11に合わせて、円錐面状とする。上記の構成により陽極底部接合面16の面積が増加し、陽極底部3aから陽極側壁部3bへの熱抵抗が低減し、高温となる陽極底部3aから陽極側壁部3bへ、より多くの熱が移動して、ターゲット4の温度を下げることができる。また、接合面積が増えるためにろう付けによる接合をより確実に行うことができる。
【0036】
尚、陽極底部接合面16を、例えば図14に示すように、陽極底部3a側に凹部を設ける構造とすれば、陽極底部3aと陽極側壁部3bの接合作業工程での位置合わせが容易となり、接合を確実に行うことができる。或いは、図15に示すように陽極底部3a、陽極側壁部3bの両者に凹凸部を設ける構造としても同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態を図5と図6に示す。図5において、3は側壁部フィン21と底面部フィン23を一体にした構造の陽極である。
【0038】
比較的大量にX線管を製造する場合には、側壁部フィン21と底面部フィン23を陽極3に一体して形成できる金型を製作し、鋳造後金型を引き抜くことにより陽極3を製造する方法がある。金型製作にコストがかかるが、大量に同一形状の陽極を製造する場合には有利である。陽極3に陽極筒14と支持材5をろう付けすることで、第1の実施の形態と同様の冷却効率の高いX線管を製造することができる。同じ効果の説明については重複を避けるため省略するが、この実施の形態では、第1の実施の形態に対し、図1の16で表わす陽極3のろう付け箇所が1箇所減る利点がある。尚、上記した実施の形態について底面部フィン23は、陽極の温度が使用上満足する程度に低い場合には、設けなくても良い。
【0039】
図6に示すように、陽極側壁部3bの側壁内面11が円錐面状の場合でも上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
上述した実施の形態において、底面部フィン23を設ける場合には、図7に示すように底面部フィン23は、底面中心から少なくとも冷却ノズル8の半径以上外側の位置から外周方向に放射状に設置し、陽極側壁部フィンを、少なくとも底面22から前記冷却面底部フィンの高さh2より高い位置の側壁内面11に設置する構成としてもよい。
【0040】
冷却ノズル8の直下の部分は、冷却ノズル8から出る絶縁油の流速が大きい。この部分に底面部フィン23を設置すると、流速が大きいため圧力損失が大きくなり、絶縁油の流量が低下するおそれがある。また、冷却ノズル8直下の底面22では平滑面であっても熱伝達率が高い。そこで、図7に示すように少なくとも冷却ノズル8の半径以上の位置から底面部フィン23を設置して、底面22の外周に向かって流速の下がる絶縁油の流れを底面部フィン23間の流路に絞ることで、熱伝達率の低下を防止し、底面22全体の平均熱伝達率を平滑面の場合に対して向上することができ、陽極3、及びターゲット4の温度を低下することができる。
【0041】
また、陽極側壁部フィン21を、少なくとも底面22から冷却面底部フィン23の高さh2より高い位置の側壁内面11に設置することで、冷却面底部フィン23間から流出する絶縁油が、隙間12に流入する際に偏りの無い一様な流れとなり、陽極側壁部3b内面での絶縁油への熱放散が確実となる。
【0042】
以上に述べた実施の形態について、陽極3が3kW以上の大きな熱負荷を受ける場合には、図7に記号で示す側壁部フィン21のフィン高さhを1〜4mm、フィン厚さtを0.8〜2mm、フィンピッチpを0.8〜3mmとすることが望ましい。
【0043】
側壁部フィン21のフィン高さhと、陽極3の冷却面の中で最も温度が高くなり、絶縁油の劣化に影響を及ぼす陽極底面22の中心温度の間の関係を図9に示す。フィン高さhが小さい場合には、伝熱面積が小さくなり、熱放散の量が小さくなり、陽極底面22中心部温度は高くなる。他方フィン高さhを所定値以上に大きくしても、側壁部フィン21のフィン効率の低下と、圧力損失の増加による絶縁油流量の低下のため熱放散量が飽和に達して温度低下への効果が小さくなる。使用する絶縁油の熱伝導率、粘度等の物性を考慮すると、側壁部フィン21のフィン高さhを1〜4mmとすることが絶縁油劣化防止のために望ましい。
【0044】
陽極側壁部フィン21のフィン厚さtと陽極底面22の中心温度の間の関係についても、上記したフィン高さhと同様の理由で図10に示す関係となり、側壁部フィン21のフィン厚さtを0.8〜2mmとすることが絶縁油劣化防止のために望ましい。
【0045】
陽極側壁部フィン21のフィンピッチpと陽極底面22の中心温度の間の関係を図11に示す。フィンピッチpが小さい場合には、側壁部フィン21間の流路の圧力損失が大きくなるため、絶縁油の流量が減少して、熱放散の量が小さくなって、陽極底面22中心部温度は高くなる。他方、フィンピッチを大きくすると、同じ高さと厚さのフィンを使用していることを前提とすると、フィンの枚数を減らすことになり、伝熱面積が小さくなり、熱放散の量が小さくなって、陽極底面22の中心部温度は高くなる。使用する絶縁油の熱伝導率、粘度等の物性を考慮すると、側壁部フィン21のフィン高さhを1〜4mmとすることが絶縁油劣化防止のために望ましい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却フィンを設けて伝熱面積を増加することにより小型で高効率な冷却構造としたため、陽極、及びターゲットを十分に冷却できる固定陽極型X線管装置、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の断面図。
【図2】従来の固定陽極型X線管装置の一例の要部を示す断面図。
【図3】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図4】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図5】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図6】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図7】本発明の実施の形態の要部を示す図。
【図8】従来の固定陽極型X線管装置の一例の全体図。
【図9】陽極側壁部フィン高さと陽極底面中心温度との関係を示すグラフ。
【図10】陽極側壁部フィン厚さと陽極底面中心温度との関係を示すグラフ。
【図11】陽極側壁部フィンピッチと陽極底面中心温度との関係を示すグラフ。
【図12】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図13】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図14】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【図15】本発明の他の一実施の形態の断面図。
【符号の説明】
1陰極、2フィラメント、3陽極、3a陽極底面部、3b陽極側壁部、4ターゲット、5支持材、6真空外囲器、8冷却ノズル、9冷却面、11側壁内面、12隙間、14陽極筒、15陽極筒接合面、16陽極底部接合面、17陽極側壁部接合面、20ノズルカバー、21側壁部フィン、22底面、23底面部フィン、24放射窓、50X線管容器、52絶縁油ポンプ、53放熱器、54ファン、56X線照射対象、57絶縁支持体

Claims (6)

  1. 陽極と、該陽極と対向して配置される陰極とを真空外囲器内に収納して成るX線管と、該X線管に冷却用絶縁油を供給する電気的絶縁機能を有する配管と、絶縁油を噴出するノズルと、前記配管を経由して前記X線管に絶縁油を供給する外部冷却装置とから成る固定陽極型X線管装置において、
    前記陽極は、絶縁油により直接冷却される有底円筒状冷却面を具備し、前記陽極の冷却面底部の冷却を前記ノズルから噴出する絶縁油で行った後に、流出する絶縁油をノズルに設けたノズルカバーと前記陽極の有底円筒内面との隙間に導いて、前記有底円筒状冷却面を冷却する構造を形成し、
    前記有底円筒内面には、前記ノズルが延在する方向と平行に側壁部フィンが設けられ、前記側壁部フィンと前記有底円筒内面とが銅であることを特徴とする固定陽極型X線管装置。
  2. 陽極と、該陽極と対向して配置される陰極とを真空外囲器内に収納して成るX線管と、該X線管に冷却用絶縁油を供給する電気的絶縁機能を有する配管と、絶縁油を噴出するノズルと、前記配管を経由して前記X線管に絶縁油を供給する外部冷却装置とから成る固定陽極型X線管装置において、
    前記陽極は、絶縁油により直接冷却される有底円錐面状冷却面を具備し、前記陽極の冷却面底部の冷却を前記ノズルから噴出する絶縁油で行った後に、流出する絶縁油をノズルに設けたノズルカバーと前記陽極の円錐状冷却面との隙間に導いて、前記有底円錐面状冷却面を冷却する構造を形成し、
    前記円錐状冷却面には、前記ノズルが延在する方向に向かって側壁部フィンが設けられ、前記側壁部フィンと前記円錐状冷却面とが銅であることを特徴とする固定陽極型X線管装置。
  3. 請求項1又は2に記載の固定陽極型X線管装置において、
    前記冷却面底部には、前記冷却面底部に噴出された前記絶縁油の流路を絞る底面部フィンが設けられることを特徴とする固定陽極型X線管装置。
  4. 請求項3に記載の固定陽極型X線管装置において、
    前記底面部フィンは、前記冷却面底部の中心から前記ノズルの半径以上外側の位置から放射状に設置されることを特徴とする固定陽極型X線管装置。
  5. 請求項3又は4に記載の固定陽極型X線管装置において、
    前記側壁部フィンは、前記冷却面底部から前記底面部フィンの高さより高い位置に設けられることを特徴とする固定陽極型X線管装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の固定陽極型X線管装置において、
    前記陽極が受ける熱負荷が3kW以上であり、前記側壁部フィンの高さは1〜4mmであり、前記側壁部フィンの厚さは0.8〜2mmであり、前記側壁部フィンのフィンピッチは0.8〜3mmであることを特徴とする固定陽極型X線管装置。
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