JP4748350B2 - ポリスルホン系中空糸膜の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、該製造時における構成成分の劣化や上記した過酸化水素の生成および得られた中空糸膜の長期安定性に関しては全く配慮がなされていない。
しかしながら、溶解時の雰囲気に関しては配慮されていない。また、低温溶解の効果に関しても何ら言及されていない。
この場合において、溶解後の紡糸溶液の紡糸工程で使用するまでの貯留時間を最大3日間(72時間)とすることが好ましい。
また、この場合において、フルード数が0.7〜1.3、撹拌レイノルズ数が50〜250の条件で溶解することが好ましい。
この場合において、ポリスルホン系高分子およびポリビニルピロリドンの溶解槽への供給を少なくとも2回以上に分割し、かつポリスルホン系高分子とポリビニルピロリドンを交互に供給し溶解することが好ましい。
また、この場合において、中空糸膜の構成成分を予備混練した後、溶解槽に供給して溶解することが好ましい。
また、この場合において、紡糸溶液の調製を混練機能を有する溶解槽で行うことが好ましい。
また、この場合において、少なくともポリビニルピロリドンの供給、混練および紡糸溶液の貯留は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、この場合において、溶解工程における系内の酸素濃度を1容量%以下とすることが好ましい。
また、この場合において、過酸化水素含有量が300ppm以下のポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
また、この場合において、ポリビニルピロリドンを実質的に架橋しないことが好ましい。
本発明に用いる中空糸膜は、ポリビニルピロリドンを含有するポリスルホン系樹脂で構成されているところに特徴を有する。本発明におけるポリスルホン系樹脂とは、スルホン結合を有する樹脂の総称であり特に限定されないが、例を挙げると
含水率(質量%)=(a−b)/b×100
ここで、(a)は1〜2gの範囲内とすることで、2時間後に絶乾状態(これ以上質量変化がない状態)とすることができる。
例えば、本発明の乾燥条件を実施する一応の目安として、中空糸膜1本当たり50gの水分を有する中空糸膜を20本乾燥した場合、総水分含量は50g×20本=1,000gとなり、この時のマイクロ波の出力は1.5kW、減圧度は5kPaが適当である。
(1)熱水洗浄の場合は、中空糸膜を過剰のRO水に浸漬し70〜90℃で15〜60分処理した後、中空糸膜を取り出し遠心脱水を行う。この操作をRO水を更新しながら数回繰り返して洗浄処理を行う。
(2)加圧容器内の過剰のRO水に浸漬した中空糸膜を121℃で2時間程度処理する方法をとることもできる。
(3)エタノールまたはイソプロパノール水溶液を使用する場合も、(1)と同様の操作を繰り返すのが好ましい。
(4)遠心洗浄器に中空糸膜を放射状に配列し、回転中心から40℃〜90℃の洗浄水をシャワー状に吹きつけながら30分〜5時間遠心洗浄することも好ましい洗浄方法である。
前記洗浄方法を2つ以上組み合わせて行ってもよい。いずれの方法においても、処理温度が低すぎる場合には、洗浄回数を増やす等必要になりコストアップに繋がることがある。また、処理温度が高すぎるとポリビニルピロリドンの分解が加速し、逆に洗浄効率が低下することがある。上記洗浄を行うことにより、外表面ポリビニルピロリドンの存在率の適正化を行い、固着抑制や溶出物の量を減ずることが可能となるとともに、過酸化水素溶出量の低減にも繋がる。
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで流れを止め、全ろ過とする。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した透析器へ純水を送り、透析液側から流出した濾液量をメスシリンダーで測定する。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水率(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水率は膜面積と透析器の透水率から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水率(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水率(mL/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
透析器の膜面積は中空糸の内径基準として求める。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸本数、πは円周率、dは中空糸の内径(m)、Lは透析器内の中空糸の有効長(m)である。
透析型人工腎臓装置製造基準に定められた方法で抽出し、該抽出液中のポリビニルピロリドンを比色法で定量した。
乾燥中空糸膜1gに純水100mlを加え、70℃で1時間抽出する。得られた抽出液2.5ml、0.2モルクエン酸水溶液1.25ml、0.006規定のヨウ素水溶液0.5mlをよく混合し、室温で10分間放置した、後に470nmでの吸光度を測定した。定量は標品のポリビニルピロリドンを用いて上記方法に従い測定する事により求めた検量線にて行った。
ポリビニルピロリドンの溶出量測定法において記載した方法で抽出した抽出液を分光光度計(日立製作所製、U−3000)を用いて波長範囲200〜350nmの吸光度を測定し、この波長範囲での最大の吸光度を求めた。
該測定は、中空糸膜を長手方向に2.7cmずつ10個に等分し、各々の部位から乾燥状態の中空糸膜1gをはかりとり全サンプルについて測定した。
湿潤中空糸膜モジュールの場合は、モジュールの透析液側流路に生理食塩水を500mL/minで5分間通液し、ついで血液側流路に200mL/minで通液した。その後血液側から透析液側に200mL/minでろ過をかけながら3分間通液した後にフリーズドライして乾燥膜を得て、該乾燥膜を用いて上記定量を行った。
前記した方法で抽出した抽出液2.6mlに塩化アンモニウム緩衝液(PH8.6)0.2mlとモル比で当量混合したTiCl4の塩化水素溶液と4−(2−ピリジルアゾ)レゾルシノールのNa塩水溶液との混合液を加え、さらに0.4mMに調製した発色試薬0.2mlを加え、50℃で5分間加温後、室温に冷却し508nmの吸光度を測定した。標品を用いて同様に測定して求めた検量線を利用して定量値を求めた。
該測定は、中空糸膜を長手方向に2.7cmずつ10個に等分し、各々の部位から乾燥状態の中空糸膜1gをはかりとり全サンプルについて測定した。
各実施例および比較例で得られた乾燥状態の中空糸膜約10,000本をポリエチレン製パイプに挿入し、所定の長さに切断しバンドルとした。得られたバンドルを充填率60vol%でケースに充填し、端部をウレタン樹脂で接着し、樹脂を切り出し中空糸膜面積が1.5m2の血液浄化器とした。該血液浄化器を脱酸素状態で25kGyのγ線を照射し滅菌処理を行った。得られた滅菌処理された血液浄化器を室温で1年間保存した。1年間保存後の血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験に供し、前記した方法でUV(220−350nm)吸光度を測定した。該保存によるUV(220−350nm)吸光度の増加度で安定性を判定した。該増加度は中空糸膜を長手方向に10個に等分し、それぞれのサンプルについて測定し、その最大値で判定した。最大値が0.10を超えないものを合格とした。
中空糸膜の含水率は、乾燥前の中空糸膜の質量(a)、120℃の乾熱オーブンで2時間乾燥後(絶乾後)の中空糸膜の質量(b)を測定し、下記式を用いて算定した。
含水率(質量%)=(a−b)/b×100
ここで、(a)は1〜2gの範囲内とすることで、2時間後に絶乾状態(これ以上質量変化がない状態)とすることができる。
ディスクタービン型攪拌翼を有した溶解槽にジメチルアセトアミド(DMAc)およびRO水をそれぞれ4.02および0.16質量部仕込み、攪拌をしながらポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(登録商標)4800P)1質量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(登録商標)K90)0.144質量部をそれぞれ3等分し、ポリエーテルスルホン、ポリビニルピロリドンの順に交互に投入し、2時間攪拌し、溶解することにより紡糸溶液を得た。このとき、ポリエーテルスルホンおよびポリビニルピロリドンの供給および溶解は窒素雰囲気下で行なった。また、溶解時の温度は65℃を超えないように冷却した。最終溶解時の攪拌のフルード数およびレイノルズ数はそれぞれ1.0および100であった。ついで真空ポンプを用いて系内を−500mmHgまで減圧した後、溶媒等が蒸発して製膜溶液の組成が変化しないように、直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。脱泡が完了した後、系内は再度窒素置換を行い弱加圧状態で維持した。なお、上記ポリビニルピロリドンは、過酸化水素含有量80ppmのものを用いた。得られた製膜溶液を30μm、15μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで30分間脱気処理した50℃の46質量%DMAc水溶液とともに吐出、紡糸管により外気と遮断された400mmの乾式部を通過後、60℃の20質量%DMAc水溶液中で凝固させ、湿潤状態のまま綛に捲き上げた。紡糸溶液の溶解後から紡糸までの紡糸溶液の貯留時間は3日であった。また、該期間中も液温は35℃、窒素ガス置換状態を維持した。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは全て表面が鏡面加工されたもの、ガイドは全て表面が梨地加工されたものを使用した。
実施例1において、紡糸溶液調製用の溶解槽の攪拌翼をプロペラ型とし、ポリエーテルスルホンとポリビニルピロリドンの投入を分割することなく一括して投入し、さらに、溶解や貯留条件を表2に示すごとくに変更する以外は、実施例1と同様にして中空糸膜および血液浄化器を得た。原料の投入方法や攪拌状態の変更により、ポリビニルピロリドンの継粉が発生し溶解時間が実施例1より長くなった。結果を表1および2に示す。本比較例で得られた中空糸膜の過酸化水素溶出量はレベルが高く低品質であった。また、本比較例の中空糸膜を用いて血液浄化器を組み立てた。該血液浄化器に予め脱気したRO水を充填し、25kGyのγ線を照射してPVPの架橋処理を行った。一年保存した血液浄化器に充填されていた中空糸膜は、透析型人工腎臓装置製造承認基準であるUV(220−350nm)吸光度0.10以下を維持することができなかった。
比較例1において、紡糸溶液の溶解温度および貯留温度を90℃に上げ、溶解および貯留を窒素ガス雰囲気下で行った以外は、比較例1と同様にして中空糸膜および血液浄化器を得た。結果を表1および2に示す。本比較例で得られた中空糸膜の過酸化水素溶出量、保存安定性は比較例1同様満足できるものではなかった。
比較例1の方法において、過酸化水素含有量が500ppmのポリビニルピロリドンを原料とし、攪拌翼の回転数等を増大し、溶解時のフルード数およびレイノルズ数はそれぞれ1.5および260とするように変更した以外は、比較例2と同様にして中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いて血液浄化器を組み立てた。本比較例では、ポリビニルピロリドンの溶解時のフルード数およびレイノルズ数が高すぎるため、溶解原料がタンク内で飛散し壁に付着したり、溶解時に溶液への気泡のかみこみが起こる等の好ましくない現象が発生した。結果を表1および2に示す。本比較例で得られた中空糸膜の過酸化水素溶出量がさらに増加した。また、PVPの架橋処理を行わなかったため、保存安定性がさらに悪化した。
比較例3の方法において、溶解温度および貯留温度を90℃にし、中空糸膜の乾燥を常圧下でマイクロ波を照射して乾燥するように変更し、比較例1と同様の方法でPVPの架橋処理を行った以外は、比較例3と同様にして中空糸膜および血液浄化器を得た。マイクロ波の照射は中空糸膜中の含水率が65質量%になるまでは2KW、それ以降は0.8KWとし含水率が0.5質量%になるまで乾燥した。また、乾燥開始時から乾燥終了時までの間、各中空糸膜の下部から8m/秒の風速にて除湿空気(湿度10%RH以下)を糸束の下部から上部へと通風した。該乾燥時の中空糸膜の最高到達温度は65℃であった。得られた結果を表1および2に示す。本比較例で得られた中空糸膜の過酸化水素溶出量がさらに増加した。そのため、保存安定性がさらに悪化し、約2ヶ月の保存で既に透析型人工腎臓装置製造承認基準であるUV(220−350nm)吸光度は平均値でも0.10以下を維持することができなくなった。
2本の枠型ブレードが自転、公転するいわゆるプラネタリー運動により混練効果を発現する形式の混練溶解機にポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(登録商標)4800P)1質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(登録商標)K90)0.144質量部およびジメチルアセトアミド(DMAc)1質量部を仕込み、2時間攪拌し混練をおこなった。引き続き3.02質量部のDMAcとRO水0.16質量部の混合液を9時間を要して添加した。攪拌機の回転数を上げてさらに1時間攪拌を続行し均一に溶解した。このとき、混練および溶解は窒素雰囲気下で行なった。混練および溶解時の温度は40℃を超えないように冷却した。最終溶解時の攪拌のフルード数およびレイノルズ数はそれぞれ1.1および100であった。ついで真空ポンプを用いて系内を−500mmHgまで減圧した後、溶媒等が蒸発して製膜溶液の組成が変化しないように、直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。脱泡が完了した後、系内は再度窒素置換を行い弱加圧状態で維持した。なお、上記ポリビニルピロリドンは、過酸化水素含有量280ppmのものを用いた。得られた製膜溶液を30μm、15μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで30分間脱気処理した50℃の46質量%DMAc水溶液とともに吐出、紡糸管により外気と遮断された400mmの乾式部を通過後、60℃の20質量%DMAc水溶液中で凝固させ、湿潤状態のまま綛に捲き上げた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大61μm、最小59μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03、ドラフト比は1.06であった。紡糸溶液調製後から紡糸までの紡糸溶液の貯留時間は2日であった。該中空糸膜約10,000本の束の周りに中空糸束側表面が梨地加工されたポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後、27cmの長さに切断し、80℃の熱水中で30分間×4回洗浄した。これを実施例1と同様の方法で乾燥し、中空糸膜および血液浄化器を得た。結果を表1および2に示す。本実施例で得られた中空糸膜および血液浄化器は実施例で得られたものと同様に高品質であった。
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(登録商標)4800P)1質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(登録商標)K−90)0.21質量部、DMAc1.5質量部を2軸のスクリュータイプの混練機で混練した。得られた混練物をDMAc2.57質量部および水0.28質量部を仕込んだ攪拌式の溶解機に添加し、4時間攪拌し溶解した。混練および溶解は内温が65℃を超えないように冷却した。ついで真空ポンプを用いて系内を−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し10分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。なお、上記ポリビニルピロリドンとしては、過酸化水素含有量130ppmのものを用い、原料供給系での供給タンクや前記の溶解槽を窒素ガス置換した。また、溶解時の撹拌フルード数およびレイノルズ数はそれぞれ1.1および100であった。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段のフィルターに通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した50℃の50質量%DMAc水溶液と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された350mmのエアギャップ部を通過後、60℃の水中で凝固させた。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は85℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰のポリビニルピロリドンを除去した後巻き上げた。該中空糸膜約10,000本の束の周りに実施例1と同様のポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後、30℃の40vol%イソプロパノール水溶液で30分×2回浸漬洗浄した。これを実施例1と同様の方法で乾燥し、中空糸膜および血液浄化器を得た。結果を表1および2に示す。本実施例で得られた中空糸膜および血液浄化器は実施例で得られたものと同様に高品質であった。
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(登録商標)4800P)1質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(登録商標)K−90)0.21質量部、DMAc1.5質量部を2軸のスクリュータイプの混練機で混練した。得られた混練物をDMAc2.57質量部および水0.28質量部を仕込んだ攪拌式の溶解機に添加し、4時間攪拌し溶解した。混練および溶解は内温が40℃を超えないように冷却した。ついで真空ポンプを用いて系内を−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し10分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。なお、上記ポリビニルピロリドンとしては、過酸化水素含有量400ppmのものを用い、原料供給系での供給タンクや前記の溶解槽を窒素ガス置換した。また、溶解時の撹拌フルード数およびレイノルズ数はそれぞれ1.1および100であった。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段のフィルターに通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した50℃の50質量%DMAc水溶液と同時に吐出し、紡糸管により外気と遮断された350mmのエアギャップ部を通過後、60℃の水中で凝固させた。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は85℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰のポリビニルピロリドンを除去した後巻き上げた。該中空糸膜約10,000本の束の周りに実施例1と同様のポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後、30℃の40vol%イソプロパノール水溶液で30分×2回浸漬洗浄した。これを実施例1と同様の方法で乾燥し、中空糸膜および血液浄化器を得た。結果を表1および2に示す。本実施例で得られた中空糸膜および血液浄化器は実施例で得られたものと同様に高品質であった。
Claims (9)
- 過酸化水素含有量400ppm以下のポリビニルピロリドン、ポリスルホン系高分子およびそれらの共通溶媒からなる少なくとも3成分を不活性ガス雰囲気下、70℃以下で溶解時間10時間以内に溶解して紡糸溶液を調製し、得られた紡糸溶液を脱泡し、不活性ガス雰囲気下の70℃以下で貯留し、次いで紡糸、洗浄し、減圧下または不活性ガス雰囲気下で最高到達温度90℃以下で過乾燥や過加熱によるポリビニルピロリドンの劣化や分解が起こらないように、かつ均一に乾燥することを特徴とする過酸化水素の溶出量が5ppm以下の中空糸膜であって、かつポリビニルピロリドンが1〜20質量%、ポリスルホン系高分子が99〜80質量%からなるポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- 溶解後の紡糸溶液の紡糸工程で使用するまでの貯留時間を最大3日間とすることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- フルード数が0.7〜1.3、撹拌レイノルズ数が50〜250の条件で溶解することを特徴とする請求項1または2に記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- ポリスルホン系高分子およびポリビニルピロリドンの溶解槽への供給を少なくとも2回以上に分割し、かつポリスルホン系高分子とポリビニルピロリドンを交互に供給し溶解することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- 中空糸膜の構成成分を予備混練した後、溶解槽に供給して溶解することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- 紡糸溶液の調製を混練機能を有する溶解槽で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- 少なくともポリビニルピロリドンの供給、混練および紡糸溶液の貯留は不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- 過酸化水素含有量が300ppm以下のポリビニルピロリドンを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
- ポリビニルピロリドンを実質的に架橋しないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリスルホン系中空糸膜の製造方法。
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