JP4747039B2 - ガラス成形体の製造方法、プレス成形用ガラス素材の製造方法、および光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス成形体の製造方法、プレス成形用ガラス素材の製造方法、および光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熔融ガラスから、例えば棒状ガラスや板状ガラス等のガラス成形体を製造する方法、および前記方法を用いてプレス成形用ガラス素材を製造する方法、前記プレス成形用素材を加熱してプレス成形する光学素子の製造方法、ならびに前記ガラス成形体を加工して光学素子を製造する方法に関する。
デジタルカメラ、ビデオカメラなどの普及に伴い、近年、高屈折率ガラスからなる光学素子や、低分散ガラスからなる光学素子の需要が高まっている。
このような光学素子を製造する方法として、特許文献1に記載されている方法が知られている。この方法では、清澄、均質化した熔融ガラスをパイプから連続的に流出し、パイプの下方に配置した鋳型に流し込む。鋳型に流し込まれた熔融ガラスは鋳型内で一定の厚みになるように水平方向に板状に広がりながら、底面と側面からは鋳型によって熱が奪われ、上面からは雰囲気中に放熱しながら冷却され、板状ガラスに成形される。成形された板状ガラスは鋳型から水平方向に引き出される。次いで、板状ガラスを賽の目状に切断し、エッジ部分を丸め、表面を粗面化した後、粉末状の離型剤を全表面に塗布して大気中で加熱、軟化し、プレス成形して光学素子に近似した形状にする。その後、プレス成形品を研削、研磨して光学素子に仕上げる。
特開平10−25120号公報
撮像光学系の小型化や光学素子の軽量化のためには、より屈折率の高いガラスが必要となる。しかし、一般に、このような高屈折率ガラスは従来のガラスと比較してガラスネットワーク形成成分の含有量に対する高屈折率付与成分の含有量の割合が大きくなっているため、ガラスとしての安定性が低い。安定性が低いガラスでは、熔融ガラスをパイプから流出して成形する際、流出温度を高くしないとガラスが失透してしまう。失透を防止するには流出温度を高くしなければならず、流出時のガラスの粘性は低くなる。
パイプから熔融ガラスを流出させてガラス成形体を製造するこれまでの方法では、熔融ガラスの流出量のコントロールは、流出時の熔融ガラスの温度制御やパイプ内径の調整によって行われていた。しかし、一般的にガラスは、きわめて高い温度領域では温度変化に対する粘度変化は小さい。従って、このような高温領域では、温度制御によってガラスの流出量を制御することは難しい。また、きわめて低粘度の熔融ガラスの流出量をパイプ内径によって制御するためには、非常に細い内径のパイプを製造しなければならない。しかし、そのようなパイプの製作は困難であり、しかも、製作精度が下がるため、所望の流出量を実現することは難しい。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、特に流出時の粘度の低いガラスから、光学的に均質なガラス成形体を安定して製造するガラス成形体の製造方法、前記製法を用いてプレス成形用ガラス素材を製造する方法、前記プレス成形用ガラス素材をプレス成形して光学素子を製造する方法、および前記ガラス成形体を加工して光学素子を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する手段は、以下の通りである
[1]熔融ガラス槽中の熔融ガラスを鋳型の貫通孔内に連続的に導入し、貫通孔出口から連続的に引き出してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔内に導入された熔融ガラスを、貫通孔出口において前記熔融ガラスの少なくとも表面が固化し、かつ貫通孔出口におけるガラス表面温度が該ガラスのガラス転移温度Tgより150℃低い温度(Tg−150℃)以上かつガラス転移温度Tg以下となるように程度に冷却し、
少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御することにより、貫通孔内への熔融ガラスの導入量を制御し、
貫通孔出口から連続的に引き出されたガラスを、該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上の環境下を通過させることによりガラス中心部と側面の温度を近づけた後、ガラス側面の温度が該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度以上かつガラス転移温度Tg以下であるときに割断しガラス成形体を得ることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
]前記熔融ガラスの貫通孔内への導入は、少なくとも貫通孔入口を熔融ガラス槽中の熔融ガラス中に浸漬させた状態で、前記熔融ガラス槽から貫通孔内へ熔融ガラスを引き上げることによって行われる[]に記載のガラス成形体の製造方法。
]パイプ流出口から流出する熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔入口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
前記パイプ流出口と貫通孔入口は密閉連結されており、
前記貫通孔に流し込まれた熔融ガラスを、貫通孔出口において前記熔融ガラスの少なくとも表面が固化し、かつ貫通孔出口におけるガラス表面温度が該ガラスのガラス転移温度Tgより150℃低い温度(Tg−150℃)以上かつガラス転移温度Tg以下となるように冷却し、
少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御し、
貫通孔出口から連続的に引き出されたガラスを、該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上の環境下を通過させることによりガラス中心部と側面の温度を近づけた後、ガラス側面の温度が該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度以上かつガラス転移温度Tg以下であるときに割断しガラス成形体を得ることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
]前記ガラスの引き出し速度の制御により、前記パイプ流出口からの熔融ガラスの流出量を制御する[]に記載のガラス成形体の製造方法。
]加熱、軟化してプレス成形するためのプレス成形用ガラス素材の製造方法において、
[1]〜[]のいずれかに記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、作製したガラス成形体を機械加工してガラス素材とすることを特徴とするプレス成形用ガラス素材の製造方法。
]前記ガラス成形体が棒状ガラスまたは板状ガラスからなり、
前記機械加工は、棒状ガラスまたは板状ガラスの中心軸に対して垂直にガラス成形体を切断または割断する加工を含む[]に記載のプレス成形用ガラス素材の製造方法。
]ガラス素材を加熱し、プレス成形型を用いてプレス成形する光学素子の製造方法において、
]または[]に記載の製造方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱してプレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
][1]〜[]のいずれかに記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、作製したガラス成形体を加工して光学素子を作製する光学素子の製造方法。
本発明によれば、光学的に均質なガラス成形体を安定して製造するガラス成形体の製造方法、前記製法を用いてプレス成形用ガラス素材を製造する方法、前記プレス成形用ガラス素材をプレス成形して光学素子を製造する方法、および前記ガラス成形体を加工して光学素子を製造する方法を提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

[ガラス成形体の製造方法]
本発明は、
熔融ガラス槽中の熔融ガラスを鋳型の貫通孔内へ導入し、該貫通孔内で熔融ガラスを冷却し、次いで冷却されたガラスを鋳型から取り出すことによりガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
熔融ガラス槽と鋳型とを連結して熔融ガラスの流路を形成し、該流路を通して貫通孔内への熔融ガラスの導入を行うことを特徴とするガラス成形体の製造方法(以下、「方法I」という);
熔融ガラス槽中の熔融ガラスを鋳型の貫通孔内へ導入し、該貫通孔内で熔融ガラスを冷却し、次いで冷却されたガラスを鋳型から取り出すことによりガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
貫通孔内に導入されたガラスの移動速度を制御することにより、前記熔融ガラスの貫通孔内への導入量を制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法(以下、「方法II」という)
に関する。
方法Iでは、熔融ガラス槽と鋳型とを連結して熔融ガラスの流路を形成し、該流路を通して貫通孔内への熔融ガラスの導入を行う。先に説明したように、流出時の熔融ガラスの温度制御やパイプ内径の調整により、熔融ガラスの流出量をコントロールする方法では、特に流出時の粘度の低いガラスでは所望の流出量を実現することは困難である。一方、熔融ガラス槽中での粘度がきわめて低い熔融ガラスであっても、鋳型貫通孔内に流し込まれれば貫通孔内壁と接触することにより冷却され固化が進むため、貫通孔内での移動速度は容易に制御することができる。よって、熔融ガラス槽と鋳型とを連結して熔融ガラスの流路を形成し、該流路を通して貫通孔内への熔融ガラスの導入を行えば、貫通孔内に流し込まれたガラスの移動速度を制御することにより、熔融ガラス槽からの熔融ガラスの流出量を制御することができる。なお、熔融ガラス槽と鋳型との連結の詳細については、方法Bについて後述する通りである。
方法IIでは、貫通孔内に導入されたガラスの移動速度を制御することにより、熔融ガラスの貫通孔内への導入量を制御する。前述のように、熔融ガラス槽中での粘度がきわめて低い熔融ガラスであっても、鋳型貫通孔内に流し込まれれば貫通孔内壁と接触することにより冷却され固化が進むため、貫通孔内での移動速度は容易に制御することができる。よって、貫通孔内に流し込まれたガラスの移動速度を制御することにより、流出粘度がきわめて低いガラスであっても所望の導入量を実現することができる。
方法IIにおける貫通孔内への熔融ガラスの導入は、方法Iと同様に、熔融ガラス槽と鋳型とを連結して熔融ガラスの流路を形成し、該流路を通して行うことができる。
また、方法IIにおける貫通孔内への熔融ガラスの導入は、少なくとも貫通孔の一方の開口を熔融ガラス槽中の熔融ガラス中に浸漬させた状態で、前記熔融ガラス槽から貫通孔内へ熔融ガラスを引き上げることによって行うこともできる。この点については、後述する。
熔融ガラスからガラス成形体を製造する方法としては、熔解炉等を用いて熔融ガラスからガラス成形体を連続的に製造する方法(連続法)と、バッチ式の熔解槽を使用しガラス成形体を間欠的に製造する方法(間欠法)がある。方法I、方法IIとも、連続法、間欠法のいずれにも適した方法である。
連続法にかかる態様としては、
熔融ガラス槽中の熔融ガラスを鋳型の貫通孔内に連続的に導入し、貫通孔出口から連続的に引き出してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔内に導入された熔融ガラスを、貫通孔出口において前記熔融ガラスの少なくとも表面が固化している程度に冷却し、
少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御することにより、貫通孔内への熔融ガラスの導入量を制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法(以下、「方法A」という)
を挙げることができる。
方法Aは、連続熔解槽を用いてガラス成形体を連続的に製造するために適した方法であり、貫通孔出口において熔融ガラスの少なくとも表面を固化させることにより、貫通孔出口からのガラスの引き出し速度を制御することができ、これにより密閉空間内(鋳型貫通孔内)でのガラスの移動速度を制御し、熔融ガラス槽から熔融ガラスを引き上げ、または引き出して貫通孔入口へ導入する熔融ガラス量を制御することができる。
方法Aには、熔融ガラス槽から熔融ガラスを引き上げて貫通孔入口へ流し込む態様と、熔融ガラス槽から熔融ガラスを下方、好ましくは鉛直下方に引き出して貫通孔入口へ流し込む態様が包含される。前者の場合、貫通孔入口への熔融ガラスの流し込みは、少なくとも貫通孔入口を熔融ガラス槽中の熔融ガラス中に浸漬させた状態で、前記熔融ガラス槽から貫通孔内へ熔融ガラスを引き上げることによって行うことができる。その一例を図1に示す。この場合、貫通孔入口を熔融ガラス液面に浸漬した状態で、貫通孔内に負圧を発生させることによって熔融ガラス槽中の熔融ガラスを貫通孔内に吸引することにより、貫通孔内への熔融ガラスの導入を開始することができる。なお、この態様は、後述する方法Bのようにパイプと鋳型を密閉連結することを要さずに、熔融ガラスを大気に晒すことなく密閉空間で成形を行うことができるという利点がある。
また、熔融ガラス槽から熔融ガラスを引き出して貫通孔入口へ流し込む態様としては、
パイプ流出口から流出する熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔入口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
前記パイプ流出口と貫通孔入口は密閉連結されており、
前記貫通孔に流し込まれた熔融ガラスを、貫通孔出口において前記熔融ガラスの少なくとも表面が固化している程度に冷却し、
少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法(以下、「方法B」という)
を挙げることができる。
方法Bは、熔融槽から熔融ガラスを下方、好ましくは鉛直下方に引き出し鋳型貫通孔に流し込み、ガラス成形体を連続的に製造するために適した方法である。方法Bでは、パイプ流出口と貫通孔入口を密閉連結した上で、熔融ガラスを鋳型貫通孔入口に連続的に流し込み、貫通孔に流し込まれた熔融ガラスを、貫通孔出口において熔融ガラスの少なくとも表面が固化している程度に冷却する。熔融ガラスを下方に引き出す場合、固化していない熔融ガラスは自重により流出するため貫通孔出口からの引き出し速度を制御することは難しいが、熔融ガラスの少なくとも表面を固化させることにより、貫通孔出口からのガラス引き出し時に、引き出し速度を制御することが可能となる。更に、熔融ガラスを下方に引き出し鋳型貫通孔に流し込む場合、密閉空間内で熔融ガラスの少なくとも表面を固化することにより、固化したガラスを密閉空間の栓として機能させることができる。これにより、固化したガラスの引き出し速度、即ち密閉空間の栓の移動速度を制御することによって、密閉空間内での熔融ガラスの移動速度を制御することができ、ひいてはパイプ流出口からの熔融ガラスの流出量を制御することができる。
なお、熔融ガラスを下方に引き出し、貫通孔が水平になるように配置した鋳型内に鋳込むこともできる。その場合、貫通孔が入口付近の屈曲部で直角に曲げられた鋳型を使用し、入口が上を向くようにし、パイプと鋳型の貫通孔入口を連結する。パイプ内を流下した熔融ガラスは、鋳型貫通孔内に入り、屈曲部で水平方向に移動方向が変わる。成形したガラスは、貫通孔出口より水平に引き出される。この方法では、屈曲部を通過するまでガラスが十分な流動性を維持するように鋳型貫通孔入口付近と屈曲部の温度をコントロールすることが好ましい。この方法によれば、引き出したガラス成形体をレア炉(横長のアニール炉)にそのまま導入し、連続的にアニールすることができる。
なお、熔融ガラス槽内の熔融ガラスを鉛直下方に引き出して、鉛直に配置した鋳型貫通孔に流し込み、成形したガラスを鋳型から鉛直下方に引き出す方法は、後述する液相粘度が100dPa・s未満のガラスの成形に好適である。一方、鋳型貫通孔を水平にして成形する上記の方法は、フツリン酸塩ガラスなど、高温のガラス表面からの揮発により著しい脈理が発生しやすいガラスの成形に好適である。
熔融ガラスの冷却
本発明で使用する鋳型は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、熔融ガラスを流し込む入口とガラスを取り出す出口を備えている。本発明では、熔融ガラスを貫通孔の入口に流し込む。そして、前記貫通孔に流し込まれた熔融ガラスを貫通孔内で冷却する。方法AおよびBでは、前記貫通孔に流し込まれた熔融ガラスを、貫通孔出口において熔融ガラスの少なくとも表面が固化している程度に冷却する。冷却は、ガラスの側面、すなわち、ガラスが全体として移動する方向に対して垂直方向を向く面を前記貫通孔の内壁に接触させることにより、ガラスの熱を側面から奪うことによって行うことができる。特に、側面と貫通孔内壁との間に隙間が生じないように側面全周を貫通孔の内壁に接触させることにより、効率的にガラスを冷却することができる。
方法Bでは、パイプ流出口における熔融ガラスの温度を、熔融ガラスが結晶化しない温度に制御することが好ましい。これにより、ガラスの失透を防ぐことができる。具体的には、パイプ流出口における熔融ガラスの温度を、液相温度近傍以上の温度とすることが好ましい。より具体的には、パイプ流出口における熔融ガラスの表面温度を、(液相温度+10℃)〜(液相温度+100℃)の範囲とすることが好ましい。パイプ流出口における熔融ガラスの表面温度は、流出パイプ末端の温度と同じと見なすことができる。流出パイプ末端の温度は、熱電対で測定することができる。また、パイプ流出口における熔融ガラスの中心部の温度は、熔融ガラス内部に熱電対を差し込むことによって測定することができる。このように測定される熔融ガラスの表面温度と中心部の温度との温度差を、120℃以内にすることが好ましく、60℃以内にすることがより好ましく、50℃以内にすることが更に好ましい。以上のように温度制御を行うためには、熔融ガラスを流出するパイプを加熱することが好ましい。加熱方法としては、通電加熱、発熱体からの輻射熱による加熱、雰囲気温度を高めることによる加熱等を挙げることができる。
方法Bにおいて、パイプ流出口から流出した熔融ガラスは、パイプ流出口と密閉連結された貫通孔入口に流し込まれる。パイプ流出口と貫通孔入口を密閉連結することにより、熔融ガラスを鋳型へ流し込み引き出すまでの間、熔融ガラスを大気に晒すことなく密閉空間で成形を行うことができる。また、熔融ガラス槽中の熔融ガラス液面に貫通孔入口を浸漬させ引き上げを行う態様においても、熔融ガラスを鋳型へ流し込み引き出すまでの間、熔融ガラスを大気に晒すことなく密閉空間で成形を行うことが可能である。熔融ガラスが大気に晒されると、熔融ガラス中の成分の揮発、または大気中の水分、酸素等との化学反応によるガラスの変質が起こるおそれがあるが、上記のように密閉空間で成形を行えば、上記揮発や変質に起因する脈理発生を効果的に防止することができる。従って、これらの方法は、上記揮発が激しく、ガラスの変質が起こりやすいフツリン酸ガラスなどのフッ素含有ガラスの成形に特に有効である。
方法Bでは、中を移動する熔融ガラスが失透しない温度域に通電加熱等により加熱したパイプと、流し込まれた熔融ガラスが失透温度域を速やかに通過するようガラスを急冷する鋳型を密閉連結するが、両者は、一方を高温、他方を低温に維持すべきであるため、パイプと鋳型の間に耐熱性の断熱材を入れて両者を密閉連結することが好ましい。
方法AおよびBでは、次いで、貫通孔入口に流し込まれた熔融ガラスを、貫通孔出口において熔融ガラスの少なくとも表面が固化している程度に冷却する。これにより、先に説明したように、ガラス引出し速度を制御することができ、ひいては貫通孔内への熔融ガラスの導入量やパイプ流出口からの熔融ガラスの流出量を制御することができる。特に、前述のように、熔融ガラスを鉛直下方に引き出す場合には、固化したガラスを密閉空間の栓として機能させることができ、これによりガラス引き出し速度および熔融ガラス流出量の制御が可能となる。また、上記のように熔融ガラスの流出を制御することができるので、パイプ内周面に沿って流れるガラスと中心に沿って流れるガラスが混じり合うことにより生じる脈理を低減ないしは防止することができる。従って、上記方法は、低粘性ガラスの脈理対策に特に有効である。
連続法にかかる態様において、鋳型(貫通孔内壁)の温度は、ガラスが融着しない等の点を考慮して決定することが好ましい。鋳型には、温度制御のために、必要に応じて冷却器を設けてもよい。貫通孔出口でのガラス成形体表面の温度が高すぎる場合には、鋳型を空冷したり、水冷板を設ける等して冷却することが好ましい。
具体的には、連続法では、貫通孔出口におけるガラス表面温度は、ガラス転移温度(Tg)より150℃低い温度(Tg−150℃)以上かつガラス転移温度以下であることが好ましく、ガラスが割れない範囲で低い温度にすることが望ましい。一方、後述の間欠法では、鋳型の温度をガラス転移温度(Tg)以上に設定することが好ましい。
連続法では、貫通孔入口の温度は、例えば、成形するガラスのガラス転移温度よりも50〜150℃低い温度とすることができる。また、後述するように成形炉を使用して貫通孔出口から排出されたガラスが晒される雰囲気の温度制御を行う場合は、成形炉出口付近において、ガラス転移温度付近の温度とすることが好ましい。なお、貫通孔内壁の温度は、鋳型に穴を開けて熱電対を貫通孔内壁に近いところまで挿入して測定することができる。なお、本発明では、鋳型内壁全体の温度を均一に制御することもでき、鋳型内壁を複数の領域に分け各領域について温度制御を行うこともできる。
失透発生を防止するためには、ガラス側面を貫通孔内壁に接触させて熱を奪うことにより、ガラスの冷却を促進する必要がある。しかし、鋳型から取り出したガラスの内部と表面との温度差が過度に大きいと、内部応力によってガラスが破壊または破損することがある。連続法において、そのような破壊または破損を防止するためには、鋳型内でガラスを冷却した後、ガラス中心部と側面の温度を近づける操作を行うことが好ましい。前記操作は、冷却したガラスを、ガラスの転移温度よりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上、好ましくはガラスの軟化点より低い温度、より好ましくはガラス転移温度(Tg)付近の環境下を通過させることにより行うことができる。これにより、鋳型内壁との接触により急激に冷却されたガラスが内部応力によって破壊または破損することを防ぐことができる。
前記(Tg−150℃)以上の環境は、貫通孔出口から排出されたガラスが晒される雰囲気であることができる。このように、貫通孔出口から排出されたガラスを、(Tg−150℃)以上の雰囲気中を通過させて、ガラスの中心部と側面の温度を近づける場合、貫通孔出口から排出されたガラスを即、前記雰囲気中に入れることが好ましい。
または、貫通孔内を入口側と出口側の2つの領域に大別し、入口側の領域でガラス側面を貫通孔内壁に接触させてガラスの熱を側面から奪う操作を行うとともに、出口側の領域の貫通孔内壁温度を、ガラス転移温度(Tg)よりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上に制御することもできる。ここで、入口側の領域と出口側の領域を断熱して両領域における温度の制御を容易にするようにしてもよい。
前記環境下の温度を低くしすぎると、ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を成形炉内で行う場合は、炉を長大にしなければならなくなる。また、鋳型内でガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行う場合は、鋳型を長大にしなければならなくなる。その結果、大きなスペースが必要になったり、貫通孔出口からのガラスの取り出し速度を制御することが難しくなる。
また、ガラス成形体を割断する場合は、ガラスの温度が低くなりすぎると、ガラスのヤング率が増加するので割断しにくくなる。連続法において、熔融ガラスからガラス成形体になるまでガラスは連続体であり、大きな力でガラス成形体を割断するとその衝撃が鋳型中の熔融ガラスにまで及び、ガラスの流れを乱すなど、高品質なガラス成形体を得る上で不具合を生じるおそれがある。ワイヤーソーや砥石などによる切断も可能ではあるが、ガラスを室温付近まで冷却しなければならず、このような冷却には、長さ数十mにも及ぶ徐冷のためのスペースが必要となるため好ましくない。ガラス成形体の割断を良好に行うためには、ガラスの温度は転移温度付近以下であることが好ましく、転移温度よりも150℃低い温度以上かつ転移温度以下であることがより好ましく、転移温度よりも100℃低い温度以上かつ転移温度以下であることが更に好ましく、転移温度よりも50℃低い温度以上かつ転移温度以下で行うことがより一層好ましく、転移温度付近で行うことが特に好ましい。以上の点を考慮し、前述のガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、(Tg−150℃)以上の環境下で行うことが好ましい。ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行った後にガラス成形体の割断あるいは切断を行うことで、ガラス成形体を所望の位置で破損させることなく分離することができる。
ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行うための温度の上限は、ガラス側面の急冷によって形作られたガラスの外径形状(取り出し方向に垂直な断面形状)が変形しない温度にすればよく、好ましくはガラスの軟化温度以下、より好ましくは軟化温度未満にすればよい。
上記操作を雰囲気中で行う場合は、成形炉と呼ばれる炉を貫通孔出口に連接し、貫通孔の出口から連続して取り出されるガラスがそのまま炉内へと進み、中心部と側面の温度が近づいた状態になったときに炉外へと出るようにすればよい。また、炉内を通過する時間は、ガラス成形体の内部応力を爆発的な破壊が起きない程度、または僅かな熱的衝撃や機械的衝撃により破損しない程度にまで低減可能な時間とすればよい。そのためには、ガラスの取り出し速度と炉内通過時間を考慮して、ガラスの取り出し方向に沿う成形炉の長さを適宜、実験等により決めればよい。炉内の雰囲気温度制御は、例えば炉内に配置したヒーターに流す電流値または電流を流す時間をコントロールすることにより行うことができる。
前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行うことにより、ガラス中心部と側面の温度差を、例えば0〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜50℃とすることができる。なお、前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、ガラスを室温付近まで徐冷する操作であるアニールとは異なり、ガラスの温度が室温よりもかなり高温の状態で終了するものである。
ガラスの引き出し
前記方法では、少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御する。これにより、鋳型内での熔融ガラスの移動速度を制御することができ、ひいては貫通孔内への熔融ガラスの導入量やパイプ流出口からの熔融ガラスの流出量を制御することが可能となる。引き出し速度の制御は、貫通孔出口から排出されたガラスの側面を保持して、ガラスの引き出し速度を制御する方法等により行うことができる。
図2に、貫通孔出口から排出されたガラスの側面を保持して、ガラスの引き出し速度を制御する方法の一例を示す。この態様では、貫通孔出口から排出されるガラスの、貫通孔内で冷却され固化した表面(側面)を保持して、ガラス成形体の出口から引き出される速度を制御する。鋳型内で、貫通孔出口において少なくとも表面が固化している程度にガラスを冷却することにより、表面を保持して引き出し速度を制御することが可能となる。例えば、複数のローラ3でガラス成形体の側面を挟持して、ローラ3とガラス成形体側面6とが滑らないようにした状態で、ローラ3の回転速度を制御してガラス成形体の下方への移動速度を制御する。上記複数のローラ3をガラス成形体の移動経路に沿って複数組配置し、ガラス成形体に働く重力を複数組のローラで分散して支持することが望ましい。このようにすることで、ローラ間をガラス成形体が滑って取り出し速度の制御が不能になることを、より確実に防止することができる。上記ローラは上記成形炉7内に配置することが望ましい。成形炉7内を通過したガラス成形体は歪みが低減されており、かつ、ローラ3よりも下方のガラス成形体は、ローラ3による保持によって吊り下げ状態になっている。よって、ローラ3よりも下方のガラス支持体を、上部のガラスから分離しても、ガラスの取り出し速度の制御に悪影響を及ぼすことはない。また、成形炉7を出たガラス成形体は歪みが低減されているので、ガラス成形体の分離によってガラスを破損することもない。更に、アニールを行ったガラス成形体を、上記保持位置を通過した後の位置において切断または割断すれば、熔融ガラスの鋳型への流し込みを中断しなくてもよいので好都合である。このようにすれば、保持すべきガラス成形体の重量が過大にならずに済むため、ガラスの取り出し速度制御の面から有利であり、しかも、ガラス成形体を成形しながら切り離したガラス成形体を次の工程へ送ることができ、ガラス成形体の生産性を高めることもできる。また、方法Bの他の態様において、上記方法に準じて、貫通孔出口から排出されたガラスの側面を保持して、ガラスの引き出し速度を制御することができる。
図3に、貫通孔出口から排出されたガラスの先端部を支持して、ガラスの引き出し速度を制御する方法の一例を示す。図3に示す態様では、貫通孔出口から排出されたガラスの先端部を支持する支持機構の降下速度を調整することにより、ガラス引出し速度を制御することができる。
図2に示すようなガラス側面を保持してガラス引出し速度を制御する方法は、連続的にガラスの引き出しを行うことができるという利点がある。他方、この方法では、ガラスを挟持する力を大きくし過ぎるとガラスが破損するため、所定の力以上の力を加えることができない。そのため、ガラス成形体の重量が大きくなるとガラス成形体がローラ間を滑って、速度制御が困難となる場合がある。図3に示すようなガラス先端部を支持することによりガラス引出し速度を制御する方法は、側面を保持する方法と異なり、摩擦力によってガラス成形体を保持するものではないため、大重量のガラス成形体の成形に好適である。
熔融ガラス流出パイプ、鋳型
次に、本発明において使用可能な熔融ガラス流出パイプについて説明する。
熔融ガラスは、例えば白金合金製の容器内で加熱、蓄積されており、その容器に接続されたパイプを通って流出口へと導かれる。パイプは、白金または白金合金製であることが好ましい。
先に説明したように、従来は、所望のガラス成形体の外径やガラスの種類に応じてパイプ内径を変えて熔融ガラスの流出量を制御していた。それに対し、本発明(好ましくは方法B)によれば、ガラス成形体の外径やガラスの種類を変えても、パイプ内径を変えることなく、パイプ流出口からの熔融ガラスの流出量を制御することができる。パイプ内径と貫通孔入口の内径を同一にすれば、熔融ガラスの流れを乱すことがないため、脈理が防止ないしは低減されたガラス成形体を得ることができる。この場合、所望の外径のガラス成形体を得るためには、貫通孔入口の内径をパイプ内径に合わせるとともに、貫通孔入口から出口側に向かった適当な位置で、所望外径のガラス成形体が得られるよう、貫通孔内径を設定すればよい。以上は円柱状のガラス成形体(丸棒状ガラス)を成形する場合の説明である。角棒状ガラスや板状ガラス等の成形でも、パイプ内径と貫通孔入口の内径を同一にした上で、貫通孔のガラスの移動方向に垂直な断面形状がガラスの移動方向に沿って円形から徐々にガラス成形体の断面形状(ガラスの移動方向に垂直な断面形状)になるように貫通孔を形成すればよい。
次に、本発明において使用される鋳型について説明する。
ガラスの融着、広がり、曲がり等を防止するという観点から、鋳型において、貫通孔の長さに対する内径の比(内径/長さ)を、1/50〜3倍の範囲にすることが好ましい。より好ましくは1/20〜2倍の範囲である。また貫通孔内径は、得ようとするガラス成形体の外径を考慮して決定すべきであり、例えば、3〜150mm、好ましくは10〜100nmとすることができる。但し、この寸法に限定する意図ではない。
鋳型内でのガラスの動きを妨げないようにするには、鋳型のガラスが通過する任意の部分のガラス移動方向に垂直な断面形状を、ガラス成形体の移動方向に垂直な断面形状と等しくすることが望ましい。鋳型の温度分布を制御しない場合は、成形中の鋳型の入口側の温度は出口側の温度よりも高くなるため、室温において貫通孔の内径を一定に形成すると、鋳型の熱膨張のため、成形時にはガラスの移動方向に沿った貫通孔の内径が一定にならなくなる。本発明では、入口から出口に行くにつれて、貫通孔内径を大きくし、成形時にガラスの移動方向に沿って前記内径が一定になるように、または出口に向けて僅かに拡大するように、熱膨張を考慮して貫通孔をテーパー状とし、テーパーの傾きを決めることが好ましい。特に、流出時の粘性が低いガラスを成形する場合やガラスの濡れ性が高い材質からなる鋳型を使用する場合、ガラスが鋳型に焼き付かないようにするため、テーパーの傾きを大きくすることが望ましい。
本発明において用いられる鋳型の材質としては、カーボン、鋳物、ニッケルなどの耐熱性金属が好ましい。本発明において、熔融ガラスからガラス成形体を作製する工程は、鋳型の劣化を防止するという観点から、不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
本発明で使用する鋳型において、貫通孔の中心軸は直線状であることが好ましい。これにより、貫通孔内での熔融ガラスの流れがスムーズになり、流れが乱れにくくなるので、結果として光学的に均質なガラス成形体をより安定して作製することができる。また、直線状の中心軸を有する貫通孔に熔融ガラスを流し込むことにより、真っ直ぐなガラス成形体を得ることができる。真っ直ぐなガラス成形体は、ガラス成形体を加工してプレス成形用ガラス素材を作製したり、光学素子を作製する上で都合がよい。このように直線状の中心軸を有し、中心軸に対して垂直な断面の形状、寸法が任意の位置において等しいガラス成形体を得るためには、直線状の中心軸を有する貫通孔を備えた鋳型を使用するとともに、鋳型から排出されたガラスを均一に冷却することが望ましい。均一な冷却を行うことにより、ガラスの収縮を均等にし、ガラス成形体の直進性を維持することができる。また、前述の温度差低減操作を行うことにより、ガラス成形体の直進性を向上することができるという利点もある。更に、本発明では、脈理低減のためには、熔融ガラス流出パイプも直線状の中心軸を有することが好ましく、また、パイプの中心軸と鋳型貫通孔の中心軸が鉛直かつ延長線上に位置するように、パイプと鋳型を配置することが好ましい。貫通孔を水平にして成形を行う方法では、貫通孔入口の中心とパイプ中心軸を一致させることが好ましい。
本発明では、所望のガラス成形体の形状に応じた形状の貫通孔を有する鋳型を用いることが好ましい。例えば断面形状が円形の貫通孔を有する鋳型を使用することにより、円柱状の棒状ガラスを成形することができる。また、断面形状が長方形の貫通孔を有する鋳型を使用することにより、板状ガラスを成形することができる。なお、本発明において、「棒状ガラス」とは、円、楕円、正方形、短辺長に対する長辺長の比(長辺長/短辺長)が2以下の長方形、多角形等の断面形状を有するガラス成形体をいう。また、「板状ガラス」とは、厚みに対する幅の比(幅/厚み)が2を超えるガラス板をいう。
パイプから流出した熔融ガラスが大気に晒される方法では、鋳型内径が細くなるとガラスの型に対する濡れ角が小さくなるため事実上成形不能となる。そのため、この方法では、例えば小型レンズ製造用の小径丸棒ガラスを成形することはきわめて困難である。それに対し、方法Bでは、前述のように、固化したガラスが密閉空間の栓としての機能を果たすため、圧力の降下で濡れの問題が改善されるため、小径丸棒ガラスを成形することも可能である。また、方法AおよびBにおいても、熔融ガラス槽から熔融ガラスを引き上げれば、熔融ガラスの自重の影響を受けずに成形を行うことができるため、小径丸棒ガラスを成形することが可能になる。こうして、本発明によれば、例えば外径3〜10mmの小径の棒状ガラスを製造することができる。
なお、棒状ガラスの外径とは、棒状ガラスの中心軸に対し垂直な断面において、ガラスの厚みが最も薄い部分の長さを意味する。例えば、円柱状ガラスでは円柱の中心軸に対して垂直な断面は円になるので、外径は前記円の直径であり、楕円柱ガラスでは中心軸に対して垂直な断面は楕円になるので、外径は前記楕円の短径であり、正四角柱状ガラスでは中心軸に対して垂直な断面は正方形になるので、外径は前記正方形の一辺の長さになる。中心軸に対して垂直な断面が長方形の四角柱状ガラスは、外径が前記長方形の短辺の長さに相当する。
本発明のガラス成形体の製造方法により得られるガラス成形体は、中実状のガラス成形体であることが好ましい。光学的に均質なガラス成形体を成形するには、鋳型内においても熔融ガラスの流れを乱さないことが重要である。中空状のガラスを成形するには、中空部分、すなわちガラスを充填させない部分に熔融ガラスが流れ込まないよう、鋳型内にガラスの流れを部分的に阻止する機構を設けることになる。例えば、棒状ガラス成形体の中心軸部分を中空に成形したいときには、鋳型の中心軸に沿って鋳型同様、耐熱性の高い棒を配置し、この棒を囲むように熔融ガラスを流し込む。その際、上記棒に相当する中空部分へのガラスの充填を阻止する機構が熔融ガラスの流れを乱すおそれがある。以上の点を考慮し、本発明では、光学的に均質な、中実状のガラス成形体を成形することが好ましい。
ガラス成形体の分離
次に、連続法における貫通孔出口から排出されたガラス成形体の分離方法について説明する。
貫通孔出口から排出されたガラスを室温まで冷却するには、鋳型からガラスを長く引き出さなければならない。そのためには、鋳型下方に大きなスペースが必要になったり、ガラス成形体の重量が過大になって取り出し速度の精密な制御が困難になるおそれがある。そこで、連続法では、ガラス成形体の温度がガラス転移温度付近になったところでガラス成形体の切り離しを行うことが望ましい。そのためには、前述のガラス中心部と側面の温度を近づける操作を行うことが好ましい。この操作により、内部応力が低減され、爆発的な破壊、または僅かな熱的衝撃や機械的衝撃による破損の危険を解消することができる。
切り離し方法の具体例を、図4〜図6に示す。図4に示すように、所定の位置においてガラス成形体の側面の一部に、スクライブ加工によってガラス成形体の取り出し方向に対して垂直な方向にケガキ線(刻線)を形成し、ガラス成形体の中心軸を挟んで前記スクライブ加工を施した位置の反対側の側面を局所的に支持する支点を置き、前記支点により支点より上部のガラス成形体の動きを制限しつつ、ガラス成形体側面のスクライブ加工位置の下方に水平方向に圧力を加えて、図5に示すように支点を中心にスクライブ加工を施した部分からガラス成形体を破断させてガラス成形体を割断する方法が好ましい。
また、外径が大きいガラス成形体を割断する場合には、図6に示すように内部に水路が形成された金属製のジャケットをスクライブ加工部位に局所的に接触させて、熱衝撃によりケガキ線からガラス内部へと向かうクラックを発生させ、ガラス成形体の中心軸を挟んでケガキ線の反対側の側面を支点で支え、ケガキ線よりも下方のガラス成形体に力を加えて、クラックが支点により支えられている部位に向けて成長するようにトルクを働かせてガラス成形体を割断することが好ましい。
<間欠法>
前述のように、本発明には、方法AおよびBのように、連続熔解炉等を用いて熔融ガラスからガラス成形体を連続的に製造する方法(連続法)と、例えばバッチ式の熔解槽を使用しガラス成形体を間欠的に製造する方法(間欠法)が包含される。以下に、間欠法にかかる態様について説明する。
間欠法にかかる態様としては、方法IIにおいて、熔融ガラス槽から貫通孔を有する鋳型の貫通孔入口に熔融ガラスを引き上げて所定量のガラスを保持して鋳型内で徐冷し、その後鋳型を分割する等してガラス成形体を取り出す方法を挙げることができる。そのような方法の一例を図7に示す。
この方法では、図7に示すように、少なくとも貫通孔入口を熔融ガラス槽中の熔融ガラス中に浸漬させた状態で、前記熔融ガラス槽から貫通孔内へ熔融ガラスを引き上げることによって、熔融ガラスを貫通孔入口に流し込むことができる。ここで、前記熔融ガラスの引き上げは、貫通孔内に負圧を発生させ、この負圧により熔融ガラス槽中の熔融ガラスを吸引することで行うことができる。このように熔融ガラスの引き上げを行うことにより、熔融ガラスを大気に晒すことなく鋳型内に導入することができ、これにより、ガラスの変質を防止することができる。
前記負圧は、熔融ガラス中に浸漬させた貫通孔入口とは反対側(貫通孔出口側)から、貫通孔内を吸引することにより発生させることができる。前記負圧は、例えば、真空ポンプや直にピストンを使用する等して発生させることができる。また、図7に示すように、貫通孔内にピストンとピストン棒からなるピストン機構を有する鋳型を使用し、このピストン機構を用いて負圧を発生させることもできる。前記のピストン機構を有する鋳型を使用する場合には、ピストン棒の引き上げ速度を制御することによりピストン(円板部)の移動速度を制御することによって、貫通孔内に流し込まれたガラスの移動速度を容易に制御することができる。
次いで、前記のように熔融ガラスを貫通孔内に流し込み所定量のガラスが貫通孔内に導入された後、導入されたガラスが落下しないように保持した状態で保持し、鋳型内で冷却することにより、ガラスの成形を行うことができる。なお、鋳型内に導入するガラス量は、所望のガラス成形体の体積に応じて決定すればよい。
この場合、貫通孔入口または入口近傍に、例えばシャッター等の開閉可能な遮蔽手段を設け、この遮蔽手段を閉じることによって、熔融ガラス槽中の熔融ガラスと貫通孔内に流し込まれたガラスを分離することが好ましい。これにより、熔融ガラスの型内への導入を簡易に終了させることができるとともに、型内に導入されたガラスの落下を防止することもできる。
前記の鋳型内に保持したガラスの冷却は、空冷や水冷板を設ける等して行うことができる。前記冷却は、結晶化する不安定温度域は急速に降温することが好ましい。
その後、型内で冷却されて成形されたガラスを、鋳型から取りだすことによりガラス成形体を得ることができる。ガラス成形体の取り出しは、鋳型を分割することによって行うことができる。例えば、貫通孔と水平な方向(縦方向)に分割可能な鋳型を用いることにより、ガラス成形体の取り出しを容易に行うことができる。以上の工程により、間欠法によりガラス成形体を得ることができる。前記間欠法は、少量高付加価値硝種からなるガラス成形体の製造方法として好適である。また、間欠法では、複数の型を用いて順次成形を行い複数のガラス成形体を得ることももちろん可能である。
成形対象のガラス
次に本発明において成形対象となるガラスについて説明する。
本発明のガラス成形体の製造方法は、前記間欠法、連続法のいずれの方法も、液相温度における粘度(以下、「液相粘度」という)が100dPa・s未満のガラスからなるガラス成形体を製造する方法として好適である。液相粘度が100dPa・s未満のガラスを用いれば、層流状のパイプ内におけるガラスの流れをそのままの状態で固化することができるので、ガラスの流れにおいて屈折率がわずかに異なる部分が混じりあうことによる脈理の発生を防止することができる。また、ガラスを失透させないためには、失透温度域よりも高い温度で熔融ガラスを流出し、ガラスを急冷する必要がある。ガラスの失透温度域は必ずしも液相温度と精密に一致するとは限らないが、目安として液相温度近傍をガラスが失透しない流出温度の下限と考えることができる。したがって、液相粘度が100dPa・s未満のガラスを失透させずに流出するには、流出時の粘度を100dPa・s未満にする必要がある。そのため、低粘性のガラスを流出することになり、本発明の適用が効果的となる。
このような観点から、本発明は液相粘度が50dPa・s以下のガラスの成形に好適であり、液相粘度が10dPa・s以下のガラスの成形により好適である。
液相粘度が10dPa・s以下のガラスには、高屈折率ガラスが含まれる。このようなガラスには、液相粘度が5dPa・s以下のガラスや、液相粘度が3dPa・s以下のガラス、中には液相粘度が1dPa・s以下のもあり、本発明の適用による効果は、粘性が低いガラスほどより顕著に現れるが、使用するガラスの液相粘度の下限値は特に限定されないが、0.05dPa・sを一つの目安とすることができる。
液相粘度が低いガラスは、ガラスとしての安定性が低いので、失透を防止する上から速やかに冷却することが好ましい。本発明には、ガラスの貫通孔内壁との接触面積の割合を大きくしてガラスの熱を速やかに奪うことにより、ガラスの失透を防止する効果もある。
前述のように屈折率が高いガラスは、ガラスの安定性が低く、液相粘度も低い。ただし、ガラスの安定性は屈折率だけでなく、分散も関係する。屈折率が同等でも分散が低くなるとガラスの安定性は低下し、液相粘度も低下する。したがって、本発明の適用がより有効な高屈折率ガラスを分散も加味して示すと次のようになる。
第1のガラスは、アッベ数(νd)が36以下で、屈折率(nd)が1.74以上の光学ガラスである。
第2のガラスは、アッベ数(νd)が36〜50であって、屈折率(nd)が次式(1)で表される範囲の光学ガラスである。
nd≧1.9200−0.0050000×νd ・・・・・・(1)
第3のガラスは、アッベ数(νd)が50〜55であって、屈折率(nd)が次式(2)で表される範囲の光学ガラスである。
nd≧1.8700−0.0040000×νd ・・・・・・(2)
第4のガラスは、アッベ数(νd)が55〜62であって、屈折率(nd)が次式(3)で表される範囲の光学ガラスである。
nd≧1.8857−0.0042857×νd ・・・・・・(3)
第5のガラスは、アッベ数(νd)が62〜80であって、屈折率(nd)が次式(4)で表される範囲の光学ガラスである。
nd≧2.0333−0.0066667×νd ・・・・・・(4)
これらのガラスは、アッベ数(νd)が80以下の領域における高屈折率ガラスに相当するが、中でも屈折率が高く、液相粘度がより一層低いガラスは以下のとおりである。
(a)アッベ数(νd)が50以上で屈折率(nd)が1.725以上の光学ガラス。
(b)アッベ数(νd)が45〜50で屈折率(nd)が次式(5)で表される範囲の光学ガラス。
nd≧1.9750−0.0050000×νd ・・・・・・(5)
(c)アッベ数(νd)が45以下で屈折率(nd)が1.75以上の光学ガラス。
(d)アッベ数(νd)が45〜50で屈折率(nd)が次式(6)で表される範囲の光学ガラス。
nd≧2.0000−0.0050000×νd ・・・・・・(6)
(e)アッベ数(νd)が40〜45で屈折率(nd)が次式(7)で表される範囲の光学ガラス。
nd≧2.2500−0.010000×νd ・・・・・・(7)
(f)屈折率(nd)が1.85以上の光学ガラス。
(g)屈折率(nd)が1.88以上の光学ガラス。
(h)屈折率(nd)が1.90以上の光学ガラス。
(i)屈折率(nd)が1.95以上の光学ガラス。
(j)屈折率(nd)が2.00以上の光学ガラス。
(k)屈折率(nd)が2.05以上の光学ガラス。
組成面からはガラス成分としてB23およびLa23を含む光学ガラス、Nb25、TiO2、WO3の少なくとも一種の成分を含むリン酸塩光学ガラス、中でもNb25およびTiO2を含むリン酸塩光学ガラスなどを例示できる。
23およびLa23を含む光学ガラスとしては、質量%表示で
23 2〜45%、
SiO2 0〜30%、
GeO2 0〜10%、
La23 10〜50%、
23 0〜15%、
Yb23 0〜10%、
Gd23 0〜20%、
Ta25 0〜18%、
Nb25 0〜35%、
Bi23 0〜20%、
TiO2 0〜30%、
WO3 0〜10%、
ZrO2 0〜15%、
ZnO 0〜20%、
BaO 0〜35%、
SrO 0〜10%、
CaO 0〜8%、
MgO 0〜13%、
Li2O、Na2OおよびK2Oを合計量で 0〜2%、
Al23 0〜10%、
Sb23 0〜1%、
SnO 0〜1%
を含むものを例示することができる。
またリン酸塩光学ガラスとしては、質量%表示にて、
25 10〜32%、
Nb25 27〜65%、
TiO2 0%を超え20%以下、
BaO 0%を超え30%以下、
23 0〜12%、
Li2O、Na2OおよびK2Oを合計量で12%以下、
WO3 0〜12%、
Bi23 0〜15%、
SiO2 0〜3%、
ZrO2 0〜4%、
Sb23 0〜1%
を含むものを例示することができる。
また、本発明の方法は、液相粘度を室温におけるガラスの密度で割ったガラスの動粘性率が7×10-52/s未満のガラスの成形にも好適である。ガラス成形体の脈理低減、防止を主要目的とする場合、貫通孔の中心軸が直線状である(入口と出口が直線的に連絡した)鋳型を使用して、鋳型貫通孔の中心軸を鉛直にして鋳型を配置し、鋳型貫通孔の入口から熔融ガラスを連続して流し込み、上記動粘性率が7×10-52/s未満のガラスからなるガラス成形体を作製することは有効である。鋳型貫通孔の形状、寸法、鋳型の材質については前述の条件をそのまま適用することができる。そして、貫通孔中では、ガラス側面の全周を貫通孔内壁に接触させてガラスの熱を前記側面から奪うことが好ましい。この態様でも、前述のように、パイプの中心軸と貫通孔の中心軸を鉛直に配置することが好ましい。このようにすることにより、層流状のパイプ中のガラスの流れをそのままの状態で固化することができ、ガラス表面と内部とが混じり合わないようにすることができるため、脈理低減、防止効果を向上させることができる。
動粘性率が7×10-52/s未満のガラスは液相粘度が低いだけでなく密度が大きいため、ガラス成形体中に脈理が生じやすいが、上記方法によれば、脈理をガラス成形体の表面層に局在化させ、内部が脈理を含まない光学的に均質なガラス成形体を大きい体積にわたって得ることができる。このようにして得たガラス成形体は、後述するように、プレス成形用ガラス素材に加工したり、光学素子に加工したり、上記プレス成形用ガラス素材を加熱し、プレス成形して光学素子ブランクや光学素子を作製したり、前記光学素子ブランクを加工して光学素子を作製することもできる。
従来の方法で、動粘性率が3×10-52/s未満のガラスを成形しようとすると、光学ガラスおよびその他の光学用途に使用するレベルの高品質なガラス成形体を得ることは困難である。同様に、動粘性率が4×10-52/s以下のガラスでは上記高品質なガラス成形体を得ることは極めて困難であり、動粘性率が5×10-52/s以下のガラスでは上記高品質なガラス成形体を得ることは困難である。同様に、動粘性率が6.5×10-52/s以下のガラスでは脈理による不良部分が大きくなる。
それに対し、本発明の方法、特に、上記脈理低減、防止を目的とした態様は、動粘性率が6.5×10-52/s以下のガラスの成形により好適であり、5×10-52/s以下のガラスの成形にさらに好適であり、4×10-52/s以下のガラスの成形により一層好適であり、3×10-52/s未満のガラスの成形に特に好適である。このように動粘性率が小さいガラスでも高品質のガラス成形体を大きな体積で得ることができる。
本発明のガラス成形体の製造方法は、フッ素含有ガラスからなるガラス成形体を製造する方法としても好適である。前述のように、フッ素含有ガラスは揮発性に富み、熔融ガラス表面が雰囲気に晒されると変質しやすい。本発明の方法によれば、熔融ガラス表面を大気に晒すことなくガラスの成形を行うことができるため、フッ素含有ガラス中の易揮発性成分の揮発を抑え、脈理を低減、防止することができる。
フッ素含有ガラスの代表例としてはフツリン酸ガラスを示すことができる。フツリン酸ガラスは流出パイプ外周に濡れ上がりやすく、濡れ上がったガラスが変質して熔融ガラス流の表面に取り込まれ、脈理の発生原因となるが、本発明の方法は、このような原因による脈理低減、防止にも有効である。フツリン酸ガラスは低分散ガラスとして、紫外線透過ガラスとして、銅イオンを添加することによって近赤外線を吸収するフィルタ(例えば、半導体撮像素子の色補正用フィルタなど)用のガラスなどとして使用される。上記ガラスは、熱膨張係数が大きいため、固化時のガラスに温度分布があると内部応力が発生しやすい。特に本発明では、高温のガラス側面に、好ましくは側面全周にわたり貫通孔内壁を接触させて表面を急冷するので、固化時のガラスの温度分布は大きくなり、大きな内部応力が発生しやすくなる。このような状態のガラス成形体に僅かでも外部から熱的衝撃や機械的衝撃が加わるとガラスが破損してしまう。それに対し、前述のようにガラス中心部と側面の温度を近づける操作を行えば、光学的に均質なフッ素含有ガラスからなるガラス成形体を破損させることなく高い生産性のもとに製造することができる。
フツリン酸ガラスの主要例は、アッベ数(νd)が80以上の低分散ガラス、紫外線透過ガラス、近赤外線を吸収する銅含有フツリン酸ガラスなどである。フツリン酸ガラスの100℃〜300℃における平均線膨張係数の値は140×10-7/℃以上であり、低分散のフツリン酸ガラスや近紫外線吸収特性を有する銅含有フツリン酸ガラスなど100℃〜300℃における平均線膨張係数の値は145×10-7/℃〜185×10-7/℃である。
このように平均線膨張係数が大きいフツリン酸ガラスでも、本発明を適用することにより破損を低減、防止し、高品質なガラス成形体を高い生産性のもとに製造することができる。
なお、アッベ数(νd)の増加とともにアニオン中に占めるF-イオンの量の割合が大きくなり、揮発による脈理発生への影響が大きくなるとともに熱膨張係数も増加する傾向があり、ガラスの冷却時に発生する内部応力が大きくなりやすい。したがって、本発明は、フッ素含有量が多いガラス、アッベ数(νd)が大きいガラスに適用することがより一層効果的である。
このように本発明のガラス成形体の製造方法によれば、上記各種光学ガラスからなる光学的に均質なガラス成形体を破損することなく、高い生産性のもとに製造することができる。
[プレス成形用ガラス素材の製造方法]
次に本発明のプレス成形用ガラス素材の製造方法について説明する。
本発明のプレス成形用ガラス素材の製造方法は、加熱、軟化してプレス成形するためのプレス成形用ガラス素材の製造方法において、
本発明のガラス成形体の製造方法により作製したガラス成形体を機械加工してガラス素材とすることを特徴とする方法である。
前述の連続法において行い得る貫通孔出口から排出されたガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、大きな内部応力によってガラス成形体が破壊することを防止するためのものであって、屈折率をはじめとするガラスの光学特性を精密に目標とする値に一致させるような精密アニールではないし、ガラスを炉内で室温まで徐冷するアニールでもない。鋳型から取り出したガラス成形体をそのまま上記アニールするには、鋳型下方に長大なアニール炉を設けなければならず、現実的ではない。また、前述のようにガラス成形体を室温まで冷却してから割断しようとすると、ガラスのヤング率が増大しているため、容易に割断することができない。
そこで、前述のガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行う場合は、ガラスの温度(ガラス側面の温度)がガラス転移温度よりも150℃低い温度になる前、好ましくはガラス転移温度よりも100℃低い温度になる前、より好ましくはガラス転移温度よりも50℃低い温度になる前、さらに好ましくはガラス転移温度付近で終了し、ヤング率が増大する前の状態でガラス成形体を割断することが好ましい。割断方法としては、前述のようにガラス成形体側面にスクライブ加工によりケガキ線を形成し、ケガキ線からクラックが成形体内部に成長するようにガラス成形体にトルクを加えて割断する方法を用いることができる。ただし、ガラス成形体の外径が40mm以上になるとトルクを加えただけではガラスの割断が困難になる。この場合には、ガラス成形体が高温であることを利用し、スクライブ加工部位を局所的に冷却することにより熱衝撃を加え、スクライブ加工部位からガラス内部にクラックを成長させてからトルクを加え、ガラス成形体を割断することが好ましい。このようにすれば、外径が40mm以上のガラス成形体でも比較的容易に割断することができる。ガラス成形体にトルクを加えるには、スクライブ加工部位の反対側のガラス成形体側面を支点で支持し、支点よりも先のガラス成形体側面にスクライブ加工部位が広がるように力を加えればよい。ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作によってガラス内部の歪みが低減された状態で割断を行うことにより、トルクを加えることによって、または熱衝撃を併用することによって、良好な割断が可能になる。
このようにして鋳型または成形炉から取り出されたガラス成形体から分離された先端部分のガラスは徐冷炉内に搬入され、室温付近まで徐冷される。ガラス成形体の徐冷炉への移送はロボット機構などを用いて行えばよい。その際、保持部分でガラスを急冷してしまうとガラスが熱衝撃により破損するおそれがあるので、ガラス成形体を保持する部分を比熱の小さい材料で構成するか、または、保持部分をヒーターで加熱する機構を設けるか、比熱の小さい材料でガラス成形体を保持する部分を構成するとともに保持部分をヒーターで加熱することが望ましい。
なお、鋳型貫通孔を通過させてガラス成形体を成形する方法ではなく、鋳型内でガラスを成形した後、ガラス成形体を鋳型から取り出し、その後新たに熔融ガラスを貫通孔内に導入する方法では、鋳型ごとガラス成形体を徐冷してもよいし、鋳型からガラス成形体を取り出して徐冷してもよい。その際、ガラス成形体の内部と表面の温度差が大きくならないように冷却し、ガラスの自爆を防止することが望ましい。
徐冷炉内ではガラス成形体を室温付近まで冷まし、歪みを除去する。徐冷炉としてはLehrと呼ばれる連続式徐冷炉や置き冷ましと呼ばれるタイプの徐冷炉などを使用することができる。
次いで歪みを除去したガラス成形体を所望の大きさに分割する。分割方法としては、ワイヤーソー、砥石などを用いた切断法、分割したい部位にスクライブ加工を施してケガキ線を形成し、ケガキ線から破断が拡張してガラスが割断するようにガラス成形体に圧力を加える方法などを用いることができる。
本発明によれば、ガラス成形体が棒状ガラスであっても板状ガラスであっても、中心軸を有し、中心軸に対する垂直断面形状が中心軸に沿って同一形状であるガラス成形体を得ることができるので、中心軸に対して垂直にガラス成形体を切断または割断する加工をすることが望ましい。切断または割断の位置を等間隔にすれば、体積が等しいガラスブロックを容易に得ることができる。また、切断または割断の位置の間隔を変えれば、その間隔の比率に応じてガラスブロック間の体積配分を行うこともできる。棒状ガラスの場合、このような中心軸を垂直方向から切る加工によってカットピースと呼ばれるガラス片を得ることができる。また、板状ガラスの場合は、このようにして得たガラスブロックをさらに切断または割断することによりカットピースと呼ばれるガラス片を得ることができる。
上記各種カットピースをもってプレス成形用ガラス素材とすることもできるが、カットピースに研削加工、研磨加工、研削および研磨加工を施してプレス成形用ガラス素材にすることが好ましい。カットピースは鋭利なエッジをもつので、上記機械加工を施すことによってエッジを丸めることができるし、プレス成形の際に赤外線によってガラス素材を均一に加熱するには上記加工によってガラス素材を粗面化しておくことが望ましい。粗面化加工によって、プレス成形に使用する粉末状離型剤をガラス素材の全表面に均一に塗布することもできる。このような粗面化加工にはバレル研磨が適している。
プレス成形用ガラス素材を精密プレス成形に使用する場合には、ガラス素材の少なくとも精密プレス成形型の成形面を転写する面、好ましくは全表面を研磨加工によって滑らかな面に仕上げることが望ましい。
このようにして、ガラス成形体からプレス成形用ガラス素材を作製することができる。
次に徐冷したガラス成形体の割断方法として特に好ましい方法である側圧切断法について説明する。この方法は、ガラス成形体を棒状ガラスとし、棒状ガラス側面の一部にスクライブ加工を施し、スクライブ加工を施した部位および前記部位を挟む両側の棒状ガラス側面に、前記部位を挟む両側の棒状ガラスが互いに離間する動きを妨げない状態にて圧力を加え、前記スクライブ加工を施した部位で棒状ガラスを割断する方法である。
その具体例を、図8および図9に基づき説明する。
まず、図8に示すように、側面の割断したい位置にスクライブ加工した棒状ガラス(ガラス成形体)11と高圧容器12を用意する。この高圧容器12には棒状ガラスを挿通する開口部と液体導入口が設けられており、前記開口部と液体導入口を除いては密閉構造になっている。そして、前記開口部に棒状ガラスを挿通して開口部を塞ぐとともに、スクライブ加工部位が高圧容器12内の中央付近にくるようにする。上記開口部では高圧容器と棒状ガラスの間はシールされ、高圧容器内に液体を入れて前記液体の圧力を高めたときに高圧容器から液体が漏れ出さないようにする。なお、上記シールは、棒状ガラスの長手方向の動きが妨げられないものとする。上記シールは例えばゴム製のチャックなどを用いて行えばよい。
次に高圧容器12の液体導入口13から液体を導入して前記容器内を液体で満たし、さら液体の圧力を加えて密閉された高圧容器内の圧力を高める。高圧容器内の棒状ガラス側面のスクライブ加工されていない部分には均等に圧力が加わるが、スクライブ加工部位では前記圧力が加工部位を押し開くように作用し、棒状ガラスの中心軸に対して垂直方向にクラックを成長させて、図9に示すようにスクライブ加工部位の両側を分断する。
丸棒状ガラス、例えば中心軸に対し垂直な断面形状が円、楕円、長円などの棒状ガラスを側圧切断法で分断することは比較的容易にできるが、角棒状ガラスを側圧切断法で分断するのは難しいので、側圧切断法は丸棒状ガラスの割断に適用することが望ましい。
側圧切断法による割断で棒状ガラスを中心軸に対して垂直に分断するには、徐冷によって棒状ガラス中の歪みを十分低減しておくことが有効である。このようにして割断した棒状ガラスの割断面は鏡面になっており、また、切断と異なり切断しろが不要であって切り屑もでないので、ガラスを有効利用することができる。側圧切断法に限らず、割断法はガラスを削って切断する方法と違い、ガラスを破断して分断するため切り屑が出ず、ガラスを有効利用できるとともに廃棄物の量を低減することもできる。
このようにして得たガラスブロックをカットピースとして上述のようにしてプレス成形用ガラス素材を得ることができる。
なお、側圧切断法で使用する液体はガラス表面、高圧容器、シール材、高圧容器の液体導入口に接続して液体の圧力を高める加圧装置を劣化させることがなく、スクライブ加工部位内に完全に充填される表面張力が小さいもので、取り扱いが容易なものが好ましい。上記液体としては、水が好適である。
また、側圧切断を行う際の液体の圧力はガラスの機械的性質、形状、寸法などにより適宜、調整すればよいが、200kgf/cm2を目安とすればよく、最高圧力に対して十分耐え得る耐圧性(例えば耐圧500kgf/cm2)を備えた高圧容器を使用すればよい。
プレス成形用ガラス素材の重量は、目的とするプレス成形品の重量に等しくなるようにし、形状、寸法は上記プレス成形品の形状、プレス成形型の形状などを考慮して適宜決めることができる。
[光学素子の製造方法]
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。本発明の光学素子の製造方法は2つの態様からなる。
第一の態様(以下、光学素子の製法Iという)は、ガラス素材を加熱し、プレス成形型を用いてプレス成形する光学素子の製造方法において、上記製造方法により作製したプレス成形用ガラス素材を加熱してプレス成形することを特徴とする製造方法である。
光学素子の製法Iは、さらに2つの態様に分けることができ、第一の方法はプレス成形用ガラス素材を加熱、軟化し、プレス成形型内に導入してプレス成形し、プレス成形品を徐冷した後、研削、研磨して光学素子に仕上げる方法である。この方法では光学素子の形状に研削しろ、研磨しろを加えた形状にガラス素材をプレス成形する。加熱、軟化から徐冷までの工程を大気中で行うことができる。この方法ではバレル研磨などにより全表面が粗面化されたガラス素材を使用し、ガラス素材全表面に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布する。そして加熱炉内に導入して加熱、軟化してプレス成形型に導入する。そして上型と下型で加圧して成形した後、型を開いてプレス成形品を取り出し、徐冷炉に入れて歪みを低減するとともにガラスの屈折率を目的とする値に精密に一致させる。成形品が室温まで冷めた後、ガラス製光学素子を作製するための研削、研磨法として周知の方法を用いて研削、研磨加工して光学素子に仕上げる。このようにして球面レンズ、プリズムなどの各種光学素子を作製する。光学素子の表面には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
光学素子の製法Iの第二の方法は、表面が滑らかに仕上げられたプレス成形用ガラス素材を加熱し、精密プレス成形して光学素子を作製する方法である。精密プレス成形はモールドオプティクス成形とも呼ばれ、精密に加工した成形面を有する型部材を備え、前記型部材が高精度に組まれたプレス成形型を使用し、光学素子全体の形状を成形するとともに、前記成形面を精密にガラスに転写して光学機能面を形成する方法である。この方法では複数の光学機能面の位置精度も高精度に成形することができる。例えば、レンズ両面の光学機能面の中心軸の傾き(チルト)および前記中心軸のずれ(ディセンター)を抑えたレンズの成形が可能である。第二の方法では光学機能面、すなわち、光線を屈折させたり、回折させたり、反射させたり、透過させたりする光学素子の表面を研削や研磨などの機械加工によらずに形成できるので、非球面レンズなどの機械加工では手間とコストがかかる光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。精密プレス成形は公知の方法にしたがって行えばよい。例えば、プレス成形用ガラス素材の全表面にカーボン膜などの離型性を高め、ガラスと型成形面の滑りをよくする機能を有する膜を形成し、非酸化性雰囲気中にて前記ガラス素材を加熱し、同雰囲気中で精密プレス成形する。次いでプレス成形型を開いてプレス成形品を取り出し、徐冷して光学素子を得る。こうして得た光学素子に必要に応じて光学機能面の周囲の部分、例えばレンズの心取りなどの機械加工を行ってもよい。このような方法により、非球面レンズ、球面レンズ、レンズアレイ、マイクロレンズ、回折格子、プリズムなどの光学素子を高い生産性のもと製造することができる。光学素子の表面には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
本発明の光学素子の製造方法の第二の態様(以下、光学素子の製法IIという)は、本発明のガラス成形体の製造方法により作製したガラス成形体を加工して光学素子を作製する光学素子の製造方法である。
まず、上述のプレス成形用ガラス素材の製造方法の工程と同様、ガラス成形体を精密アニールし、屈折率を所望の値に精密にあわせるとともにガラス中の歪みを低減し、ガラス成形体を切断または割断してカットピースを作製する。ガラス成形体の形状としては棒状ガラス、板状ガラスなどを例示できる。プレス成形用ガラス素材の製造方法同様、丸棒状ガラスの中心軸に垂直にガラスの割断を行う場合には側圧切断法を適用することが望ましい。
次にカットピースを研削して光学素子の形状に研磨しろを加えた光学素子ブランクを作製し、このブランクを研磨して光学素子に仕上げる。
光学素子の製法IIにおいて棒状ガラスを使用する場合、棒状ガラスの外径を光学素子の外径と等しくするか、または光学素子の外径に研削しろや研磨しろを加えた外径に成形することが好ましい。なお、光学素子の製法Iで棒状ガラスを使用する場合も、棒状ガラスの外径をプレス成形用ガラス素材の外径と等しくするか、またはプレス成形用ガラス素材の外径に研削しろや研磨しろを加えた外径に成形することが好ましい。
フィルターを作製する場合は、フィルターの厚みに研削しろ、研磨しろを加えた厚みのガラス板をガラス成形体から切り出し、両面を研削、研磨して平板状のフィルターとする。この方法は銅含有フツリン酸ガラスからなる半導体撮像素子の色補正フィルターなどの近赤外線吸収フィルターを製造する方法として好適である。
このようにしてレンズ、プリズム、フィルターなどの各種光学素子をガラスを破損させることなく高い生産性のもとに製造することができる。光学素子の表面には反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
(例1)
本例では、以下に示す方法により、屈折率(nd)が2.08313、アッベ数(νd)が22.23、液相温度が1270℃、液相温度における粘度が0.9dPa・s、ガラス転移温度が700℃、室温における密度が4.78、動粘性率が1.92×10-52/s、B23を6%、SiO2を4%、La23を32%、TiO2を27%、BaOを14%、Nb25を11%、ZrO2を6%含有する光学ガラス(光学ガラスA1という)からなる丸棒状のガラス成形体を、図10に示す装置を用いて成形した。
まず、光学ガラスA1が得られるようにガラス原料を秤量し、十分混合した後、熔融容器内に導入し、加熱、熔解した。次いで、十分清澄、均質化した熔融ガラスを0.6dPa・sの粘度で鉛直に配置したパイプから一定の流出速度(15ml/分)で図10に示すように耐熱性の断熱材を介して上記パイプに密閉連結したカーボン製の鋳型に設けられた貫通孔の入口に連続して途切れることなく送り込んだ。なお、パイプ内径と貫通孔内径は同一になっており、パイプの中心と貫通孔入口の中心は精密に一致するよう位置合わせした状態で固定してある。なお、貫通孔入口へ流し込まれる熔融ガラスの温度は1320℃であった。鋳型貫通孔の内径はφ12mm、貫通孔中心軸が鉛直方向に一致するようにし、上記のようにパイプの中心軸と上記貫通孔の中心軸とが一致するようにした。鋳型貫通孔の長さは300mmとし、良好な成形ができるように、鋳型の周囲を冷却(例えば空冷)し、前記冷却を調整して貫通孔内壁の温度を520〜600℃に制御した。貫通孔出口から取り出される丸棒状ガラスの側面を2つのローラで挟持し、丸棒状ガラスの引き出し速度を制御した。本例では丸棒状ガラスの引き出し速度が2.2mm/分になるよう設定し、前記設定速度を一定に保つようローラの回転速度を制御した。
このようにしてφ12mmの丸棒状ガラス棒を連続的に貫通孔出口より取り出した。鋳型の直下に成形炉を配置し、鋳型から取り出した丸棒状ガラスを即、成形炉内へと移動させた。成形炉内には図示しないヒータを配置し、炉内雰囲気の温度を780℃に維持した。上記ローラを成形炉内に配置した。成形炉の丸棒状ガラスの移動方向の長さは360mmであり、この中を時間をかけて丸棒状ガラスは通過するが、その間に丸棒状ガラスの中心部と表面の温度が近づくため、丸棒状ガラス自体を爆発的に破壊するような内部応力は発生せず、ガラスを破損させずに丸棒状ガラスを成形することができた。
次に成形炉から出た丸棒状ガラスの側面の一部に、丸棒状ガラスの中心軸に垂直な方向にスクライブ加工によってケガキ線を形成した。そしてケガキ線を形成した部分を局部的に冷やしてケガキ線から中心に向けてクラックが延びるように、内部水路に水を流した金属製ジャケットをケガキ線に接触させた。このとき、金属製ジャケットを丸棒状ガラスの動きに追従させて、ケガキ線と接触した状態を保つようにした。クラックが成長した時点で丸棒状ガラスの中心軸に対し、ケガキ線が形成された部位の反対側の部位を支点で支え、ケガキ線よりも下方のガラス成形体側面を押圧してケガキ線を形成した高さよりも上の丸棒状ガラスから下の丸棒状ガラスを分離した。なお、本例の丸棒状ガラスは外径が12mmと比較的細いので、金属製ジャケットを接触させることによる熱衝撃を加えなくても良好な分離を行うことができた。
分離の際、分離する丸棒状ガラスの側面をロボットアームで保持し、分離後に前記アームで保持した状態で鋳型と成形炉の脇に置かれた連続式徐冷炉入口に丸棒状ガラスを移送した。連続式徐冷炉内にヒーターとガラスを搬送するベルトコンベアを配置し、温度分布が制御された炉中でベルト上に載置した丸棒状ガラスを移動させながら徐冷して歪みを除いた。
連続式徐冷炉から取り出した丸棒状ガラスを切断し、切断面を研磨して内部を観察したところ、脈理は表面から0.5mm以内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は認められなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
同様にして、液相粘度が0.8dPa・s、室温における密度が4.83g/cm3、動粘性率が1.7×10-52/sの光学ガラス(光学ガラスA2という)、液相粘度が1.0dPa・s、室温における密度が4.86g/cm3、動粘性率が2.1×10-52/sの光学ガラス(光学ガラスA3という)からなる丸棒状ガラスを破損させずに成形することができた。これら丸棒状ガラスを連続式徐冷炉で徐冷した後、炉から取り出して切断し、切断面を研磨して内部を観察してところ、脈理は表面から0.5mm以内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は認められなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
(例2)
次に、屈折率(nd)が1.84666、アッベ数(νd)が23.8、液相温度が1123℃、液相温度における粘度が5.4dPa・s、比重が3.5であって、質量%表示で、SiO2を25%、Na2Oを12%、CaOを1%、BaOを16%、ZrO2を2%、TiO2を30%、Nb25を14%含有する光学ガラス(光学ガラスBという)からなる丸棒状のガラス成形体を例1と同様の方法で成形した。
本例では、熔融ガラスの流出粘度は4.5dPa・s、パイプおよび鋳型貫通孔内におけるガラスの移動速度は30ml/分、鋳型貫通孔の内径をφ30mm、鋳型貫通孔の長さを300mm、丸棒状ガラスの引き出し速度を0.42mm/分とした。このようにしてφ30mmの丸棒状ガラス棒を連続的に貫通孔出口より取り出した。鋳型の貫通孔入口へ流し込まれる熔融ガラスの温度は1150℃であった。また、貫通孔内壁の温度を500〜550℃に制御した。鋳型の直下に配置した成形炉に丸棒状ガラスの移動経路を2つに仕切る仕切り板(丸棒状ガラスの移動を妨げないようにガラスが通過する部分に開口部を有する)を設置し、成形炉内雰囲気温度が520℃と710℃になるようにコントロールした。成形炉の丸棒状ガラスの移動方向の長さを540mmとした。この中を時間をかけて丸棒状ガラスは通過するが、その間に丸棒状ガラスの中心部と表面の温度が近づくため、丸棒状ガラス自体を爆発的に破壊するような内部応力は発生せず、ガラスを破損させずに丸棒状ガラスを成形することができた。
次に成形炉から取り出した丸棒状ガラスを例1と同様に割断し、ロボットアームを用いて連続式徐冷炉内に移送し、歪みを除去してから丸棒状ガラスを取り出した。
このようにして得た丸棒状ガラスを切断し、切断面を研磨して内部を観察してところ、脈理は表面から0.5mm以内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は見られなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
(例3)
次に、屈折率(nd)が1.49700、アッベ数(νd)が81.6、液相温度が645℃、液相温度における粘度が320dPa・s、ガラス転移温度が455℃、100〜300℃における平均線膨張係数が155×10-6/℃のフツリン酸ガラス(光学ガラスCという)からなる丸棒状のガラス成形体を例1、2と同様の方法で成形した。
本例では、熔融ガラスの流出粘度は25dPa・s、パイプおよび鋳型貫通孔内におけるガラスの移動速度は80ml/分、鋳型貫通孔の内径をφ50mm、鋳型貫通孔の長さを200mm、丸棒状ガラスの引き出し速度を40mm/分とした。鋳型の貫通孔入口へ流し込まれる熔融ガラスの温度は720℃であった。また、貫通孔内壁温度は400〜450℃に制御した。
このようにしてφ50mmの丸棒状ガラス棒を連続的に貫通孔出口より取り出した。鋳型の直下に配置した成形炉内雰囲気温度を500℃に維持し、成形炉の丸棒状ガラスの移動方向の長さを320mmとした。この中を時間をかけて丸棒状ガラスは通過するが、その間に丸棒状ガラスの中心部と表面の温度が近づくため、ガラスを破損させずに丸棒状ガラスを成形することができた。
次に成形炉から出た丸棒状ガラスを例1、2に記載されている金属製ジャケットをケガキ線に接触させて熱衝撃を加える方法を併用する方法で割断し、ロボットアームを用いて連続式徐冷炉内に移送した。連続式徐冷炉内を移動しながら歪みを除去したガラス成形体を炉から取り出した。本例の丸棒状ガラスは外径が50mmと太いが熱衝撃を併用する方法によって良好な割断を行うことができた。
このようにして得た丸棒状ガラスを切断し、切断面を研磨して内部を観察したところ、脈理は表面から0.5mm以内と極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分には脈理は見られなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
(例3’)
前記光学ガラスCからなる丸棒状のガラス成形体を、以下の方法で成形した。
熔融容器から下方に引き出された熔融ガラスが、貫通孔が水平になるように配置した鋳型内に鋳込まれるように、図10に示す装置を変更し、貫通孔が入口付近の屈曲部で直角に曲げられた鋳型を使用し、入口が上を向くようにして、パイプと鋳型の貫通孔入口を連結した以外は、例3と同様の方法で丸棒状ガラスを得た。なお、貫通孔が水平になるように鋳型を配置したので、ガラス成形体は水平方向に引き出した。
このようにして得た丸棒状ガラスを切断し、切断面を研磨して内部を観察してところ、脈理は表面から0.5mm以内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は見られなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
(例3”)
前記光学ガラスA1〜3、Bからなる丸棒状のガラス成形体を、以下の方法で成形した。
図7に示すように、鋳型貫通孔の出口より内部にピストンを挿入した。そして貫通孔入口を熔融ガラス中に浸漬してピストンを上昇させ、貫通孔内に熔融ガラスを吸い上げた。こうして鋳込まれて成形されたガラスを鋳型ごと取り出し、自爆しないように冷却してから鋳型から取り出し丸棒状ガラスを得た。
このようにして得た丸棒状ガラスを切断し、切断面を研磨して内部を観察してところ、脈理は表面から0.5mm以内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は見られなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
(例4)
例1、2、3で作製した徐冷済みの各丸棒状ガラスを使用してプレス成形用ガラス素材を作製した。まず丸棒状ガラス側面の割断した部位にスクライブ加工によりケガキ線を形成した。そして高圧容器中に丸棒状ガラスを挿通し、容器内中央にケガキ線を形成した部位が位置するようにし、中心軸方向の動きを制限しないよう丸棒状ガラスを容器開口部にゴムシールでチャックし、容器内に水を注入して内部に泡が入らないように容器内を水で満たした。
この状態で容器内の水圧を200kgf/cm2に加圧してケガキ線の位置で丸棒状ガラスを中心軸に垂直にガラスを分断した。このようにして所定の間隔で丸棒状ガラスを割断し、カットピースを作製した。
次に、上記カットピースをバレル研磨して目的とするプレス成形品の重量と等しい重量に調整するとともに、鋭利なエッジを丸め、表面を粗面化してプレス成形用ガラス素材とした。
(例5)
例4で作製したカットピースを研削、研磨して表面が滑らかなプレス成形用ガラス素材を作製した。
(例6)
次に例4で作製したプレス成形用ガラス素材の全表面に窒化ホウ素からなる粉末状離型剤を均一に塗布し、加熱炉内に入れて炉内で移送しながら大気中で加熱、軟化させた。
軟化したガラス素材を上型、下型、胴型からなるプレス成形型に導入して大気中でプレス成形し、型を開いてプレス成形品を取り出し、徐冷炉に入れて精密アニールを行い、室温まで冷まして光学素子ブランクとした。
次に、上記ブランクを研削、研磨して光学ガラスA1、A2、A3、B、Cそのそれぞれからなる球面レンズを作製した。
いずれのレンズ内部にも失透、脈理は見られず、光学的に均質な光学素子を得ることができた。
(例7)
次に例5で作製したプレス成形用ガラス素材の全表面にカーボン膜を形成し、窒素と水素の混合ガス雰囲気中にて加熱し、SiC製の型材の成形面上に離型膜としてカーボン膜を付けたプレス成形型を用いて精密プレス成形した。次いで精密プレス成形品を徐冷して、光学ガラスCからなる非球面レンズを得た。
レンズ内部には失透、脈理は見られず、光学的に均質な光学素子を得ることができた。
(例8)
例1〜3で作製した精密アニール済みの丸棒状ガラスを側圧切断法で中心軸に垂直に分断し、カットピースを作製した。次いで、カットピースを研削、研磨して光学ガラスA1、A2、A3、B、Cからなる球面レンズを作製した。
いずれのレンズ内部にも失透、脈理は見られず、光学的に均質な光学素子を得ることができた。
本発明によれば、脈理が防止ないしは低減された光学的に均質なガラス成形体を生産性よく製造することができる。特に、本発明によれば、流出時の粘度の低いガラスから、光学的に均質なガラス成形体を安定して製造することができる。
方法Aの一例を示す。 貫通孔からのガラスの引き出し速度を制御する方法の一例を示す。 貫通孔からのガラスの引き出し速度を制御する方法の一例を示す。 ガラス成形体の切り離し方法の具体例を示す。 ガラス成形体の切り離し方法の具体例を示す。 ガラス成形体の切り離し方法の具体例を示す。 間欠法にかかる態様の一例を示す。 側圧切断法の説明図である。 側圧切断法の説明図である。 成形装置の一例を示す。

Claims (8)

  1. 熔融ガラス槽中の熔融ガラスを鋳型の貫通孔内に連続的に導入し、貫通孔出口から連続的に引き出してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
    前記貫通孔内に導入された熔融ガラスを、貫通孔出口において前記熔融ガラスの少なくとも表面が固化し、かつ貫通孔出口におけるガラス表面温度が該ガラスのガラス転移温度Tgより150℃低い温度(Tg−150℃)以上かつガラス転移温度Tg以下となるように冷却し、
    少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御することにより、貫通孔内への熔融ガラスの導入量を制御し、
    貫通孔出口から連続的に引き出されたガラスを、該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上の環境下を通過させることによりガラス中心部と側面の温度を近づけた後、ガラス側面の温度が該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度以上かつガラス転移温度Tg以下であるときに割断しガラス成形体を得ることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 前記熔融ガラスの貫通孔内への導入は、少なくとも貫通孔入口を熔融ガラス槽中の熔融ガラス中に浸漬させた状態で、前記熔融ガラス槽から貫通孔内へ熔融ガラスを引き上げることによって行われる請求項に記載のガラス成形体の製造方法。
  3. パイプ流出口から流出する熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔入口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法において、
    前記パイプ流出口と貫通孔入口は密閉連結されており、
    前記貫通孔に流し込まれた熔融ガラスを、貫通孔出口において前記熔融ガラスの少なくとも表面が固化し、かつ貫通孔出口におけるガラス表面温度が該ガラスのガラス転移温度Tgより150℃低い温度(Tg−150℃)以上かつガラス転移温度Tg以下となるように冷却し、
    少なくとも表面が固化したガラスの貫通孔出口からの引き出し速度を制御し、
    貫通孔出口から連続的に引き出されたガラスを、該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上の環境下を通過させることによりガラス中心部と側面の温度を近づけた後、ガラス側面の温度が該ガラスのガラス転移温度Tgよりも150℃低い温度以上かつガラス転移温度Tg以下であるときに割断しガラス成形体を得ることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  4. 前記ガラスの引き出し速度の制御により、前記パイプ流出口からの熔融ガラスの流出量を制御する請求項に記載のガラス成形体の製造方法。
  5. 加熱、軟化してプレス成形するためのプレス成形用ガラス素材の製造方法において、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、作製したガラス成形体を機械加工してガラス素材とすることを特徴とするプレス成形用ガラス素材の製造方法。
  6. 前記ガラス成形体が棒状ガラスまたは板状ガラスからなり、
    前記機械加工は、棒状ガラスまたは板状ガラスの中心軸に対して垂直にガラス成形体を切断または割断する加工を含む請求項に記載のプレス成形用ガラス素材の製造方法。
  7. ガラス素材を加熱し、プレス成形型を用いてプレス成形する光学素子の製造方法において、
    請求項またはに記載の製造方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱してプレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、作製したガラス成形体を加工して光学素子を作製する光学素子の製造方法。
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