以下、この発明の実施形態である自動改札装置について説明する。
図1は、この発明の実施形態である自動改札装置を適用した自動改札システムの構成を示す図である。この実施形態の自動改札システムは、鉄道の駅において、適正な乗車券を所持していない利用者が駅構内に入場したり、駅構外に出場するのを制限するシステムである。この実施形態の自動改札システムは、駅の改札口に設置された複数の自動改札装置1と、駅構内に入場する利用者が自動改札装置1の通路に進入する前に適正な乗車券10を所持しているかどうかを判定する入場事前判定装置2と、駅構内から出場する利用者が自動改札装置1の通路に進入する前に適正な乗車券10を所持しているかどうかを判定する出場事前判定装置3と、を備えている。改札口に設置されている複数の自動改札装置1は、通路における利用者の通行方向を駅構内への入場方向に限定した入場専用設定、反対に通路における利用者の通行方向を駅構内から出場方向に限定した出場専用設定、さらには通路における利用者の通行方向を駅構内への入場方向、および駅構内から出場方向の両方向とした両用設定のいずれかで動作させることができる。
自動改札装置1は、通路の両側に扉を設けており、通路に進入した利用者が適正な乗車券を所持していないと判断すると、この利用者が通路に進入した側(入口側)の反対側(出口側)に設けている扉を閉し、通路におけるこの利用者の通行を制限する。具体的には、扉を閉することで、適正な乗車券10を所持していない利用者が通路を通って、駅構内に入場したり、駅構内から出場するのを制限している。
また、入場事前判定装置2は、無線通信エリア内に位置する乗車券10と無線通信を行い、この乗車券10から識別コードや乗車券情報(定期券情報、回数券情報、プリペイド情報、キップ情報等)を取得し、この乗車券10を所持している利用者が駅構内に入場するのを許可してもよいかどうか、すなわちこの乗車券10が駅構内に入場するのに適正な乗車券10であるかどうか、を判定する。入場事前判定装置2の無線通信エリアは、図1に示すように、自動改札装置1の設置場所よりも駅構外側であり、自動改札装置1の通路を通って駅構内に入場する利用者の殆ど全てが通行する領域に設定されている。言い換えれば、自動改札装置1の通路を通って駅構内に入場する殆ど全ての利用者は、自動改札装置1の通路に進入する前に入場事前判定装置2の無線通信エリアを通行する。したがって、自動改札装置1の通路を通って駅構内に入場する殆ど全ての利用者が所持する乗車券10は、駅構内に入場するのに適正な乗車券10であるかどうかについて、この利用者が自動改札装置1の通路に進入する前に入場事前判定装置2で判定される。入場事前判定装置2は、適正であると判定した乗車券10の識別コードを自動改札装置1に通知する。このとき、出場専用に設定されている自動改札装置1については、この乗車券10の識別コードを通知しない構成としてもよい。
また、出場事前判定装置3は、無線通信エリア内に位置する乗車券10と無線通信を行い、この乗車券10から識別コードや乗車券情報(定期券情報、回数券情報、プリペイド情報、キップ情報等)を取得し、この乗車券10を所持している利用者が駅構内から出場するのを許可してもよいかどうか、すなわちこの乗車券10が駅構内から出場するのに適正な乗車券10であるかどうか、を判定する。出場事前判定装置3の無線通信エリアは、図1に示すように、自動改札装置1の設置場所よりも駅構内側であり、自動改札装置1の通路を通って駅構内から出場する利用者の殆ど全てが通行する領域に設定されている。言い換えれば、自動改札装置1の通路を通って駅構内から出場する殆ど全ての利用者は、自動改札装置1の通路に進入する前に出場事前判定装置3の無線通信エリアを通行する。したがって、自動改札装置1の通路を通って駅構内から出場する殆ど全ての利用者が所持する乗車券10は、駅構内から出場するのに適正な乗車券10であるかどうかについて、この利用者が自動改札装置1の通路に進入する前に出場事前判定装置3で判定される。出場事前判定装置3は、適正であると判定した乗車券10の識別コードを自動改札装置1に通知する。このとき、入場専用に設定されている自動改札装置1については、この乗車券10の識別コードを通知しないように構成してもよい。
なお、入場事前判定装置2や出場事前判定装置3は、取得した乗車券情報が定期券情報であれば、有効期間内であるか、有効区間内であるか等により適正であるかどうかを判定し、取得した乗車券情報がプリペイド情報であれば、プリペイド残額が不足していないかどうか等により適正であるかどうかを判定し、取得した乗車券情報がキップ情報であれば、有効期間内であるか、有効区間内であるか等により適正であるかどうかを判定する。
自動改札装置1は、入場事前判定装置2から通知された適正な乗車券10の識別コードと、出場事前判定装置3から通知された適正な乗車券10の識別コードと、を区別して記憶する。自動改札装置1は、後述するように通路に進入した利用者毎に、この利用者が通路から出る前に所持している乗車券10の識別コードを対応付ける。そして、対応付けた乗車券の識別コードが、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3から通知されている識別コードであれば、この利用者に対して通路の通行を許可し、反対に入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3から通知されていない識別コードであれば、この利用者に対して通路の通行を制限する(この利用者が通路に進入した側の反対側に設けている扉を閉する。)。上述の説明から明らかなように、この実施形態の自動改札装置1は、通路を通行している利用者が所持している乗車券10から乗車券情報を取得することや、取得した乗車券情報を用いて適正であるかどうかの判定については行わない。
なお、図1においては、利用者が乗車券10を手に所持している状態を示しているが、後述するように利用者は乗車券10をポケットやカバン等に入れた状態で、自動改札装置1の通路を通行することができる。
図2は、この発明の実施形態である自動改札装置の主要部の構成を示すブロック図である。また、図3は、この発明の実施形態である自動改札装置の外観を示す概略図である。自動改札装置1は、本体の動作を制御する制御部11と、通路を通行している利用者の位置を検知する利用者検知部12と、通路を通行している利用者が所持している乗車券10に対して一定時間毎(例えば、500ms毎)に識別コードの送信を要求するポーリングを行う無線通信部13と、通路の両側(入口側、および出口側)に設けられた扉14a、14bを開閉する扉開閉部14と、通路を通行している利用者に対して表示器15a、15bに案内メッセージ等を表示する表示部15と、入場事前判定装置2、および出場事前判定装置3との通信を行う通信部16と、を備えている。利用者検知部12が、この発明で言う利用者検知手段に相当する。利用者検知部12は、通路に沿って並べられた複数のセンサを有している。この実施形態では、図3に示すように5つのセンサS1〜S5が通路に沿って並べられた自動改札装置1を例にして説明する。このセンサS1〜S5は、利用者の存在を検知することができるものであればよい。この実施形態では、各センサS1〜S5は、図3に示すように、通路を挟んで対向させた発光部と受光部とで構成している。利用者検知部12は、センサS1〜S5毎に、受光部において発光部から出力されている光を受光しているかどうかを検知することで、通路における利用者の位置を検知する。具体的には、受光部において発光部から出力されている光が受光されていないセンサS1〜S5の取付位置に利用者がいると判断する。また、利用者検知部12は、通路における利用者の通行方向が図3に示すA方向である場合、センサS1が利用者を検知すると利用者が通路に進入したと判断し、センサS5が利用者を検知している状態から検知していない状態に変化したときに、利用者が通路の特定の位置に達したと判断する。反対に、通路における利用者の通行方向が図3に示すB方向である場合、センサS5が利用者を検知すると利用者が通路に進入したと判断し、センサS1が利用者を検知している状態から検知していない状態に変化したときに、利用者が通路の特定の位置に達したと判断する。
無線通信部13は、自動改札装置1の通路の両側に設けられたアンテナ13a、13bを有している。無線通信部13の無線通信エリアは、自動改札装置1の通路全体をカバーしており、通路を通行している利用者が所持している乗車券10と無線で通信することができる大きさである。したがって、自動改札装置1は、通路を通行している利用者が乗車券10をポケットやカバン等に入れていても、その乗車券10と無線で通信できる。無線通信部13が、この発明で言う識別コード取得手段に相当する。扉開閉部14は、通路の両側に設けられた扉14a、14bを個別に開閉する。例えば通路を図3に示すA方向に通行している利用者が適正な乗車券10を所持していないと判定したとき、この利用者にとっての通路の出口側に設けた扉14bを閉する。反対に、通路を図3に示すB方向に通行している利用者が適正な乗車券10を所持していないと判定したとき、この利用者にとっての通路の出口側に設けた扉14aを閉する。表示部15は、表示器15a、15bに対して表示する案内メッセージ等を個別に制御する。通信部16には、入場事前判定装置2、出場事前判定装置3が接続される。通信部16は、入場事前判定装置2、出場事前判定装置3から適正な乗車券10の識別コードの通知を受け付ける。通信部16は、入場事前判定装置2、出場事前判定装置3と有線で接続される構成であってもよいし、無線で接続される構成であってもよい。
制御部11には、通信部16で受け付けた入場事前判定装置2、出場事前判定装置3から通知された適正な乗車券10の識別コードを記憶するメモリを有している。制御部11は、入場事前判定装置2から受け付けた適正な乗車券10の識別コードと、出場事前判定装置3から受け付けた適正な乗車券10の識別コードと、を区別してメモリに記憶する。また、入場事前判定装置2、出場事前判定装置3から通知された適正な乗車券10の識別コード毎に、この識別コードが通知された時刻を対応付けて記憶する。また、制御部11には、利用者が通路に進入したことが検知される毎に、この利用者が通路の特定に位置に達するまでの間、無線通信部13において乗車券10の識別コードを取得する毎に、取得した識別コードと、そのときに利用者検知部12が検知している通路における利用者の位置と、を対応付けた検知情報を記憶するためのメモリ(このメモリがこの発明で言う検知情報記憶手段に相当する。)が設けられている。また、制御部11は、利用者が通路の特定に位置に達したことが検知されると、この利用者に対して乗車券10の識別コードを対応付ける対応付け処理や、この利用者に対して通路の通行を許可するかどうかを判定する処理等を行う。この対応付け処理が、この発明で言う対応付け手段に相当する。
なお、乗車券10は、内蔵されている電池から動作電源を取得する構成であってもよいし、自動改札装置1、入場事前判定装置2、出場事前判定装置3等との電磁結合(これらの装置から送出されている電波(搬送波)を利用した電磁結合)により動作電源を得る構成であってもよい。
次に、この発明の実施形態である自動改札システムの動作について説明する。ここでは、通路における利用者の通行方向が図3に示すA方向であるとして、その動作を説明する。
なお、図3に示すA方向は、駅構内に入場する方向であってもよいし、駅構内から出場する方向であってもよい。
この実施形態の自動改札システムでは、入場事前判定装置2が乗車券10の記憶する乗車券情報を取得し、取得した乗車券情報に基づいて駅構内に入場するのに適正な乗車券10であるかどうかを判定する。入場事前判定装置2は、適正であると判定した乗車券10の識別コードを自動改札装置1に通知する。また、出場事前判定装置3が乗車券10の記憶する乗車券情報を取得し、取得した乗車券情報に基づいて駅構内から出場するのに適正な乗車券10であるかどうかを判定する。出場事前判定装置3は、適正であると判定した乗車券10の識別コードを自動改札装置1に通知する。入場事前判定装置2と、出場事前判定装置3の動作は同様である。ここでは、入場事前判定装置2の動作を説明する。
入場事前判定装置2は、予め定められた時間間隔(例えば、5〜6秒間隔)で、入場事前判定装置2の無線通信エリア内に位置している乗車券10に対して、識別コード、および乗車券情報の送信を要求をするポーリングを行っている。入場事前判定装置2の無線通信エリア内に位置している乗車券10、すなわち入場事前判定装置2の無線通信エリア内にいる利用者が所持している乗車券10が、このポーリングに応答して識別コード、および乗車券情報を入場事前判定装置2に送信する。入場事前判定装置2は、このようにして、無線通信エリア内に位置している乗車券10から識別コードおよび乗車券情報を取得(受信)する。入場事前判定装置2は、識別コードおよび乗車券情報を取得した乗車券10毎に、この識別コードおよび乗車券情報と取得時刻とを対応付けて記憶する処理を行う。このとき、入場事前判定装置2は、すでに記憶している識別コードであるかどうかを判定し、すでに記憶している識別コードであれば、この識別コードおよび乗車券情報については破棄し、記憶しない。これにより、入場事前判定装置2は、同じ乗車券10の識別コードおよび乗車券情報を複数記憶することがない。
また、入場事前判定装置2は、識別コード、乗車券情報、取得時刻を対応付けて記憶した乗車券10毎に、適正な乗車券10であるかどうか(駅構内に入場するのに適した乗車券10であるかどうか)を判定し、その判定結果をすでに記憶している識別コード、乗車券情報、取得時刻に対応付けて記憶する。この判定は、記憶している乗車券情報に基づいて行われる。さらに、入場事前判定装置2は、適正であると判定した乗車券10の識別コードを、自動改札装置1に通知する。上述したように、入場事前判定装置2は、無線通信で取得した識別コードおよび乗車券情報を記憶するとき、この識別コードがすでに記憶している識別コードであるかどうかを判定し、すでに記憶している識別コードであれば、この識別コードおよび乗車券情報については破棄し、記憶しない構成としているので、同じ乗車券10に対して、適正な乗車券10であるかどうかの判定を何度も繰り返し行ったり、その判定結果を自動改札装置1に何度も繰り返し通知することがない。
さらに、入場事前判定装置2は、乗車券10毎に記憶している識別コード、乗車券情報等について、取得時刻から予め定められた時間、例えば10〜20分、経過したものについては削除する処理を行う。したがって、入場事前判定装置2が、不要となった乗車券10の情報(駅構内にすでに入場した利用者が所持している乗車券10の情報等)をいつまでも記憶しつづけるということもない。
また、出場事前判定装置3も、上述した入場事前判定装置2と同様の動作を行う。入場事前判定装置2の動作と異なる点は、出場事前判定装置3の無線通信エリア内に位置している乗車券10から識別コード、乗車券情報を取得する点、および取得した乗車券情報に基づいて、駅構内から出場するのに適した乗車券10であるかどうかを判定する点である。
次に、自動改札装置1の動作について説明する。自動改札装置1は、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3から通知された識別コードを制御部11のメモリに記憶する識別コード記憶処理を行っている。図4は、この識別コード記憶処理を示すフローチャートである。自動改札装置1は、上述したように制御部11に入場事前判定装置2、および出場事前判定装置3から通知された識別コードを記憶するメモリを有している。自動改札装置1は、通信部16において、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3から乗車券10の識別コードが通知されるのを待っている(s1)。自動改札装置1は、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3から乗車券10の識別コードが通知されると、今回識別コードを通知してきたのが、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3のどちらであるかを判定する(s2)。自動改札装置1は、s2で入場事前判定装置2から通知されてきた識別コードであると判定すると、制御部11のメモリに設けられている入場許可識別コード記憶領域に今回通知された識別コードと、現在時刻(通知時刻)とを対応付けて記憶する(s3)。一方、s2で出場事前判定装置3から通知されてきた識別コードであると判定すると、制御部11のメモリに設けられている出場許可識別コード記憶領域に今回通知された識別コードと、現在時刻(通知時刻)と、を対応付けて記憶する(s4)。自動改札装置1は、上記s1〜s4の処理を繰り返し実行する。したがって、自動改札装置1は、入場事前判定装置2において適正であると判定された乗車券10の識別コードを入場許可識別コード記憶領域に記憶し、出場事前判定装置3において適正であると判定された乗車券10の識別コードを出場許可識別コード記憶領域に記憶する。このように、自動改札装置1は、入場事前判定装置2で適正であると判定された乗車券10の識別コードと、出場事前判定装置3で適正であると判定された乗車券10の識別コードと、を区別して記憶する構成である。
上述したように、自動改札装置1の通路を通って駅構内に入場する殆ど全ての利用者が、自動改札装置1の通路に進入する前に、入場事前判定装置2の無線通信エリアを通過する。また、自動改札装置1の通路を通って駅構内から出場する殆ど全ての利用者が、自動改札装置1の通路に進入する前に、出場事前判定装置3の無線通信エリアを通過する。このため、自動改札装置1は、これから自動改札装置1の通路を通って駅構内に入場する利用者が所持している乗車券10であって、この利用者を駅構内に入場させてもよい適正な乗車券10の識別コードを入場許可識別コード記憶領域に記憶し、これから自動改札装置1の通路を通って駅構内から出場する利用者が所持している乗車券10であって、この利用者を駅構内から出場させてもよい適正な乗車券10の識別コードを出場許可識別コード記憶領域に記憶する。
また、自動改札装置1は、s1で入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3から乗車券10の識別コードが通知されるのを待っているときに、入場許可識別コード記憶領域、または出場許可識別コード記憶領域に通知時刻から予め定められた時間、例えば10〜20分、経過した識別コードを記憶しているかどうかを判定し(s5)、通知時刻から予め定められた時間経過している識別コードを記憶していれば、この識別コードを削除する(s6)。自動改札装置1は、s5、s6にかかる処理を行うので、不要となった識別コード(他の自動改札装置1の通路を通って、すでに駅構内に入場、または駅構内から出場した利用者が所持していた乗車券10の識別コード等)をいつまでも記憶しつづけることがない。
また、自動改札装置1は、適正な乗車券10を所持していない利用者が駅構内に入場したり、駅構内から出場するのを制限する通行処理を行っている。図5は、この通行処理を示すフローチャートである。自動改札装置1の無線通信部13は、一定時間毎に、例えば500ms毎に、乗車券10に対して識別コードの送信を要求するポーリングを行っている。自動改札装置1は、利用者が通路内を通行しているかどうかにかかわらず、このポーリングを一定時間毎に繰り返している。無線通信部13の無線通信エリアは、上述したように、自動改札装置1の通路全体をカバーしており、通路を通行している利用者が所持している乗車券10と無線で通信することができる。したがって、自動改札装置1は、ポーリングを行う一定時間毎に、そのときに通路を通行している利用者が所持している乗車券10の識別コードを取得することができる。
自動改札装置1は、利用者が通路に進入するか(s11)、または利用者が通路の特定の位置に達するのを待っている(s12)。ここでは、上述したように、通路における利用者の通行方向が図3に示すA方向であるとして説明する。自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者の存在が検知されたときに、利用者が通路に進入したと判断する。また、利用者検知部12のセンサS5が利用者を検知している状態から検知していない状態に切り換わったときに、利用者が通路の特定の位置に達したと判断する。自動改札装置1は、s11で利用者が通路に進入したと判断すると、後述する検知情報記憶処理を開始する(s13)。この検知情報記憶処理は、利用者検知部12において利用者が通路に進入したことが検知される毎に、個別に実行される。例えば、利用者Aが通路に進入したことを検知すると、検知情報記憶処理(A)を開始し、その後利用者Bが通路に進入したことを検知すると、検知情報記憶処理(B)を開始する。この検知情報記憶処理(B)を開始したときに、先に開始された検知情報記憶処理(A)が実行されていることもある。すなわち、自動改札装置1は、複数の検知情報記憶処理を同時に実行することができる構成である。また、自動改札装置1は、s12で利用者が通路の特定の位置に達したと判断すると、この時点において実行されている検知情報記憶処理の中で、開始時刻が最も早い検知情報記憶処理を終了する(s14)。その他にも検知情報記憶処理が実行されていても、これらの検知情報記憶処理については終了しない。
このように、自動改札装置1は、利用者が通路に進入したことを検知したタイミング(この発明で言う第1のタイミングに相当する。)で検知情報記憶処理を開始し、この利用者が通路の特定の位置に達したことを検知したタイミング(この発明で言う第2のタイミングに相当する。)でこの検知情報記憶処理を終了する。
自動改札装置1は、s14で検知情報記憶処理を終了すると、今回終了した検知情報記憶処理により、制御部11のメモリに記憶した検知情報(この情報の詳細については後述する。)に基づいて、今回通路の特定の位置に達したことを検知した利用者に対して、この利用者が所持している乗車券10の識別コードを対応付ける対応付け処理を実行する(s15)。この対応付け処理の詳細についても後述する。
自動改札装置1は、s15で今回通路の特定の位置に達したことを検知した利用者に対して対応付けた識別コードが、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3において、事前に適正であると判定された乗車券10であるかどうかを判定する(s16)。s16の判定は、今回利用者に対応付けた識別コードが、制御部11に設けられたメモリの入場許可識別コード記憶領域、または出場許可識別コード記憶領域に記憶している識別コードであるかどうかの確認より行う。自動改札装置1は、入場許可識別コード記憶領域、または出場許可識別コード記憶領域に記憶している識別コードであれば、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3において事前に適正であると判定された乗車券であると判定する。
なお、自動改札装置1は、s16の判定を行うときに、利用者の通行方向が駅に入場する方向である場合には、出場許可識別コード記憶領域に記憶している識別コードについては確認しない。また、s16の判定を行うときに、利用者の通行方向が駅から出場する方向である場合には、入場許可識別コード記憶領域に記憶している識別コードについては確認しない。さらに、上述のs15では、利用者に対して乗車券10の識別コードを対応付けないこともある。言い換えれば、s15では、利用者が乗車券10を所持していないと判定することもある。この場合には、s16の判定を行うときに、利用者の通行方向が駅に入場する方向、駅から出場する方向のどちらであっても、入場許可識別コード記憶領域および出場許可識別コード記憶領域の両方に記憶している識別コードを確認しない。このようにしているのは、自動改札装置1の負荷を抑えるためである。
自動改札装置1は、s16で入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3において事前に適正であると判定された乗車券10であると判定すると、無線通信部13において今回利用者に対応付けた識別コードの乗車券10に対して、今回の利用にともなう情報とともに、乗車券情報の更新を指示する更新指示を送信する(s17)。乗車券10は、自動改札装置1がs17で送信した更新指示を受信すると、この更新指示とともに送信されてきた識別コードと、記憶している識別コード(この乗車券10の識別コード)と、が一致していれば、今回受信した更新指示に基づいて、記憶している乗車券情報を更新する(例えば、プリペイド残額の更新等を行う。)。
なお、乗車券10は、自動改札装置1がs17で送信した更新指示を受信すると、この更新指示とともに送信されてきた識別コードと、記憶している識別コード(この乗車券10の識別コード)と、が一致していなければ、今回受信した更新指示を無視する。
自動改札装置1は、s17で更新指示を送信すると、扉開閉部14により扉14bを開し(s18)、今回特定の位置に達した利用者が通路を通行するのを許可する。また、表示部15が、利用者の出口側に配置されている表示器15aに案内メッセージを表示する。例えば、「ご利用、ありがとうございます。」等の案内メッセージを表示器15aに表示する。
また、自動改札装置1は、s16で今回通路の特定の位置に達したことが検知された利用者に対して対応付けた識別コードが、入場事前判定装置2、または出場事前判定装置3において事前に適正であると判定された乗車券10でない、または乗車券10を所持していないと判定すると、扉開閉部14により扉14bを閉し(s19)、今回特定の位置に達した利用者が通路を通行するのを制限する。また、自動改札装置1は、このとき、適正な乗車券10を所持していない利用者が通路に進入していることを、駅係員に知らせるためのエラー報知等を行う。
自動改札装置1は、s11〜s19にかかる処理を繰り返し実行する。
次に、s13で開始され、s14で終了する検知情報記憶処理について詳細に説明する。上述したように、自動改札装置1は、無線通信部13において一定時間毎にポーリングを行っている。また、利用者検知部12において、通路内における利用者の位置を検知している。図6は、この検知情報記憶処理を示すフローチャートである。自動改札装置1は、無線通信部13において、乗車券10から送信されてきた識別コードを受信すると(s21)、このときに利用者を検知しているセンサS1〜S5と、今回受信した識別コードと、を対応付けて、制御部11のメモリに記憶する(s22)。例えば、センサS1、S2が利用者を検知しており、センサS3〜S5が利用者を検知していないときに、乗車券10の識別コードを受信すると、今回受信した乗車券10の識別コードと、センサS1,S2と、を対応付けて、制御部のメモリに記憶する。利用者を検知しているセンサS1〜S5と、今回受信した識別コードと、を対応付けた情報がこの発明で言う検知情報である。
なお、センサS1〜S5の配置間隔の一例としては、15〜25cmであり、隣接する複数のセンサが1人の利用者を同時に検知することもある。また、通路に複数の利用者がいるために、複数のセンサが利用者を検知することもある。
上述したように、自動改札装置1は、無線通信部13が一定時間間隔、例えば500ms間隔、でポーリングを実行しているので、この一定時間間隔で乗車券10から送信されてきた識別コードを受信する。但し、通路内に利用者がいなかったり、通路内にいる全ての利用者が乗車券10を所持していなければ、乗車券10から送信されてきた識別コードを受信することはない。また、自動改札装置1の無線通信部13におけるポーリング間隔は、一般的な利用者がセンサS1の位置から、センサS5の位置まで移動する移動時間に、複数回(例えば5〜6回程度)ポーリングが行われるように設定するのが好ましい。このように設定すれば、利用者検知部12のS1が利用者を検知してから、利用者検知部12のセンサS5がこの利用者を検知するまでの間、この利用者が所持している乗車券10は自動改札装置1からのポーリングを複数回受信し、その都度、自動改札装置1に対して識別コードを送信する。
ここで、乗車券10を所持した1人の利用者Aが、自動改札装置1の通路に進入した場合を、例にしてこの検知情報記憶処理を説明する。ここでは、利用者Aが所持している乗車券の識別コードをID−Aとする。図7は、1人の利用者Aが通路に進入した場合のタイムチャートである。この図において、(A)は利用者検知部12による利用者の検知状態を示す図であり、(B)〜(F)はそれぞれ利用者検知部12のセンサS1〜S5の状態を示す図であり、(G)は自動改札装置1がポーリングを行うタイミングを示す図であり、(H)は乗車券10が識別コードを送信するタイミングを示す図である。図7(A)では、利用者検知部12が利用者Aを検知している期間をハイレベルにしている。また、図7(B)〜(F)は、各センサS1〜S5が利用者Aを検知している期間をハイレベルにしている。自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者の存在が検知されたタイミング(図7に示すT1)で、図6に示す検知情報記憶処理を開始する。利用者Aが所持している乗車券10は、自動改札装置1の無線通信部13からのポーリングを受信する毎に、識別コードを自動改札装置1に送信する。
なお、乗車券10は、自動改札装置1からのポーリングを受信する毎に、このポーリングの受信タイミングを基準にして識別コードを送信するタイミングをランダムに決定する。このため、図7(H)に示すように、乗車券10は、自動改札装置1からのポーリングを受信してから、識別コードを送信するまでのタイミングが一定でない。このようにしている理由は、自動改札装置1からのポーリングを複数の乗車券10が受信した場合に、これらの乗車券10による識別コードの送信において、衝突が生じないようにするためである。
自動改札装置1は、図7に示すT2〜T6のタイミング毎に、利用者Aが所持する乗車券10から送信されてきた識別コードID−Aを受信する。自動改札装置1は、乗車券10がT2で送信した識別コードID−Aを受信したときには、s22でセンサS1が利用者を検知、センサS2〜S5が利用者を非検知であることを示す情報を、今回受信した識別コードに対応付けて記憶する。同様に、自動改札装置1は、乗車券10がT3〜T6で送信した識別コードを受信する毎に、各センサS1〜S5が利用者を検知していたかどうかを受信した識別情報に対応付けて記憶する。自動改札装置1は、センサS5が利用者を検知している状態から、利用者を検知していない状態に切り換わったとき(図7に示すT7)、利用者Aが、通路の特定の位置に達したと判定し、この検知情報記憶処理を終了する。
上述の検知情報記憶処理により、図8に示す検知情報が制御部11のメモリに記憶される。図8において、○は利用者を検知していたことを示し、×は利用者を検知していなかったことを示す。
次に、自動改札装置1における対応付け処理について説明する。この対応付け処理には、図8に示す検知情報が用いられる。図9は、この対応付け処理を示すフローチャートである。自動改札装置1は、今回終了した検知情報生成処理で生成された検知情報において、受信回数が最大である識別コードを抽出する(s31)。
上述したように、無線通信部13は、一定時間毎に通路内に位置する乗車券10に対して識別コードの送信要求を行い、そのときに通路内に位置している乗車券毎に識別コードを取得する。一方、検知情報記憶処理は、利用者が通路に進入してから、この利用者が通路の特定の位置に達したことが検知されるまでの間だけ動作している。この期間の始まりは、今回通路の特定の位置に達した利用者Aが通路に進入したタイミング(第1のタイミング)であり、この間の終わりは、この利用者Aが通路の特定の位置に達したタイミング(第2のタイミング)である。したがって、後から通路に進入した利用者が所持する乗車券10の識別コードの取得回数よりも、今回通路の特定の位置に達した利用者Aが所持する乗車券10の識別コードID−Aの取得回数のほうが大きくなる。言い換えれば、この間において無線通信部13での取得回数が最大である識別コードが、今回通路の特定の位置に達した利用者が所持している乗車券10の識別コードである可能性が最も高い。
自動改札装置1は、s31で抽出した識別コードの受信回数が予め定められている第1の閾値回数以下であるかどうかを判定する(s32)。第1の閾値回数は、例えば3回である。自動改札装置1は、s32で、識別コードID−Aの受信回数が第1の閾値回数以下であると判定すると、今回通路の特定の位置に達した利用者Aは、乗車券10を所持していないと判定する(s33)。一方、s32で、識別コードID−Aの受信回数が第1の閾値回数以下でないと判定すると、この識別コードについて、単位時間当たりの受信回数を算出する(s34)。s34では、s31で抽出した識別コードの受信回数を、今回の処理で用いている検知情報を生成した検知情報記憶処理の実行時間(図7では、T1〜T7の時間)で除算した値を、単位時間当たりの取得回数として算出する。自動改札装置1は、s34で算出した識別コードの受信回数が予め定められている第2の閾値回数以下であるかどうかを判定する(s35)。この第2の閾値回数が、この発明で言う閾値回数である。自動改札装置1は、s35で単位時間当たりの取得回数が予め定められている第2の閾値回数以下であると判定すると、今回通路の特定の位置に達した利用者Aは、乗車券10を所持していないと判定する(s33)。一方、s35で、単位時間当たりの受信回数が第2の閾値回数以下でないと判定すると、検知情報を用いてセンサS1〜S5毎に利用者が検知されているかどうかを確認する検知確認処理を実行する(s36)。
図10は、この検知確認処理を示すフローチャートである。自動改札装置1は、検知センサ確認テーブルをリセットする(s41)。この検知センサ確認テーブルは、制御部11のメモリに記憶されている。図11は検知センサ確認テーブルを示す図である。図11(A)は検知センサ確認テーブルがリセットされた状態を示している。この検知センサ確認テーブルは、図11に示すように、センサS1〜S5毎に、利用者が検知されたかどうかを示すテーブルである。s41は、検知センサ確認テーブルの状態を、利用者Aが各センサS1〜S5で検知されていない状態にする処理である。受信回数を示す変数iを1にセットする(s42)。自動改札装置1は、検知情報において、s31で抽出した識別コードのi回目の受信において、利用者を検知しているセンサS1〜S5を抽出する(s43)。自動改札装置1は、変数iが1であるかどうかを判定し(s44)、変数iが1であれば、s47にジャンプする。
s45では、s44で抽出された利用者を検知しているセンサS1〜S5の中から、受信回数がi−1回目までに利用者を検知したセンサとして検知センサ確認テーブルに登録したセンサを除く再抽出処理を行う。このs45で取り除かれたセンサは、すでにこの利用者Aを検知しているセンサとして検知センサ確認テーブルに登録してあるので、無視しても問題はなく、自動改札装置1の処理負荷を抑えるために行っている。また、s46では、s45で抽出されたセンサの中から、受信回数がi−1回目までに利用者を検知したセンサとして検知センサ確認テーブルに登録したセンサよりも、通路入口側で利用者を検知しているセンサを除く再抽出処理を行う。このs46で取り除かれたセンサは、利用者Aの後から、通路に進入した利用者を検知しているセンサであると考えられるので、このセンサを検知センサ確認テーブルに登録することは、最終的に利用者Aと識別コードID−Aとの対応付けの精度を低下させる原因になるので、取り除いている。さらに、s47では、s44で抽出されたセンサ(i=1のとき)、またはs46で抽出されたセンサの中から、利用者を検知しているセンサに跳びがある場合、出口側で検知しているセンサを除く再抽出処理を行う。このs47で取り除かれたセンサは、利用者Aよりも先に通路に進入した利用者を検知しているセンサであると考えられるので、このセンサを検知センサ確認テーブルに登録することは、s46でも説明したように、最終的に利用者Aと識別コードID−Aとの対応付けの精度を低下させる原因になるので、取り除いている。ここで、利用者を検知しているセンサS1〜S5に跳びがあるとは、利用者を検知しているセンサ間に利用者を検知していないセンサが存在する場合であり、例えばセンサS1と、センサS3とが利用者を検知し、センサS2が利用者を検知していない場合である。この場合には、s47でセンサS1が再抽出される(センサS3が取り除かれる。)。自動改札装置1は、s47で再抽出されたセンサを、利用者を検知したセンサとして検知センサ確認テーブルに登録する(s48)。例えば、図8に示す検知情報を用いている場合、i=1(受信1回目)であるときには、検知センサ確認テーブルはs48で図11(B)に示す状態に更新される。
自動改札装置1は、s48にかかる処理を完了すると、s31で抽出した識別コードの受信回数が、iであるかどうかを判定する(s49)。自動改札装置1は、s31で抽出した識別コードの受信回数が、iでないと判定すると、iを1カウントアップ(i=i+1)し(s50)、s43に戻る。
例えば、図8に示す検知情報を用いている場合、i=2(受信2回目)であるときには、検知センサ確認テーブルはs48で図11(C)に示す状態に更新され、i=3(受信3回目)であるときには、検知センサ確認テーブルはs48で図11(D)に示す状態に更新され、i=4(受信4回目)であるときには、検知センサ確認テーブルはs48で図11(E)に示す状態に更新され、i=5(受信5回目)であるときには、検知センサ確認テーブルはs48で図11(F)に示す状態に更新される。自動改札装置1は、s49において、s31で抽出した識別コードの受信回数が、iであると判定すると、この時点の検知センサ確認テーブルに登録されている利用者Aを検知したセンサS1〜S5の数を、検知センサ数として取得し(s51)、本処理を終了する。図11に示す例では、検知センサ数は5である。
利用者が乗車券10を所持しているので、この利用者が所持している乗車券10の識別コードの取得状況と、利用者の移動状況と、は整合する。上述の検知確認処理では、乗車券10の識別コードの取得状況と、利用者の移動状況と、が整合しているかどうかを確認するための情報を生成している。
自動改札装置1は、s36にかかる検知確認処理で取得した検知センサ数が予め定められた下限値、例えば下限値=3、以下であるかどうかを判定し(s37)、下限値以下であれば、今回通路の特定の位置に達した利用者は、乗車券10を所持していないと判定する(s33)。一方、s37で、s36にかかる検知確認処理で取得した検知センサ数が下限値以下でないと判定すると、今回通路の特定の位置に達した利用者に、s31で抽出した識別コードを対応付ける(s38)。s38では、今回通路の特定の位置に達した利用者が所持している乗車券10の識別が、s31で抽出した識別コードであると判断している。
このように、利用者が通路に進入したことを検知してから、この利用者が通路の特定の位置に達したことを検知するまでの間、実行する検知情報記憶処理において、無線通信部13で受信した受信回数が第1の閾値回数以下である識別コードについては、s32、s33で今回通路の特定の位置に達したことを検知した利用者に対応付けるのを禁止しているので、乗車券10を所持しないで通路に進入した利用者に対して、この利用者の後から通路に進入した利用者が所持している乗車券10の識別コードを対応付けるのを防止できる。また、識別コード計数処理において、単位時間当たりの受信回数が第2の閾値回数以下である識別コードについては、s35、s33で今回通路の特定の位置に達したことを検知した利用者に対応付けるのを禁止しているので、乗車券10を所持しないで通路に進入した利用者が通路をゆっくり移動した場合であっても、この乗車券10を所持していない利用者に対して、この利用者の後から通路に進入した利用者が所持している乗車券10の識別コードを対応付けるのを防止できる。
さらに、乗車券10を所持している複数人の利用者が通路を通行しているような場合であっても、s36にかかる検知確認処理により、乗車券10の識別コードの取得状況と、利用者の移動状況と、が整合しているかどうかを確認する処理を行っているので、各利用者に対して、その利用者が所持している乗車券の識別コードを精度良く対応付けることができる。
上記の説明では、乗車券10を所持している1人の利用者が通路に進入した場合を例にして、検知情報記憶処理、および検知確認処理を説明したが、以下にその他の場合を例にして、検知情報記憶処理、および検知確認処理について説明する。まず、乗車券10を所持していない1人の利用者が通路に進入した場合を例にして説明する。図12は、乗車券を所持していない1人の利用者Aが通路に進入した場合のタイムチャートである。この図において、(A)は利用者検知部12による利用者の検知状態を示す図であり、(B)〜(F)はそれぞれ利用者検知部12のセンサS1〜S5の状態を示す図であり、(G)は自動改札装置1のポーリングタイミングを示す図であり、(H)は乗車券10の識別コードの送信タイミングを示す図である。この例では、上述したように、通路に進入した利用者Aが乗車券を所持していない。
自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者の存在が検知されたタイミング(図12に示すT1)で、図6に示す検知情報記憶処理を開始する。通路に進入した利用者が乗車券10を所持していないので、この場合には、自動改札装置1は図12のT1で開始し、図12のT2で終了した検知情報記憶処理において、乗車券10の識別コードを一度も受信しない。但し、自動改札装置1は、図12に示すT1〜T2の間に、ポーリングを複数回(図12では5回)行っている。このため、今回の検知情報記憶処理では、図8に示した検知情報が生成されない。したがって、対応付け処理のs31で抽出される識別コードが存在せず、自動改札装置1は、今回通路の特定の位置に達した利用者が乗車券10を所持していないと判断する。
次に、識別コードがID−Aである乗車券を所持している利用者Aに、続いて識別コードがID−Bである乗車券10を所持している利用者Bが通路に進入した場合を例にして、検知情報記憶処理、および検知確認処理を説明する。図13は、識別コードがID−Aである乗車券10を所持している利用者Aに、続いて識別コードがID−Bである乗車券10を所持している利用者Bが通路に進入した場合のタイムチャートである。この図において、(A)は利用者検知部12による利用者A、Bそれぞれの検知状態を示す図であり、(B)〜(F)はそれぞれ利用者検知部12のセンサS1〜S5の状態を示す図であり、(G)は自動改札装置1のポーリングタイミングを示す図であり、(H)は識別コードがID−Aである乗車券10、および識別コードがID−Bである乗車券10それぞれの識別コードの送信タイミングを示す図である。自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者Aが検知されたタイミング(図13に示すT1)で、図6に示す検知情報記憶処理を開始する。また、自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者Bが検知されたタイミング(図13に示すT5)で、T1で開始した検知情報記憶処理とは別に、独立して検知情報記憶処理を開始する。
そして、自動改札装置1は、センサS5が利用者Aを検知している状態から、利用者Aを検知していない状態に切り換わったとき(図13に示すT10)、利用者Aが通路の特定の位置に達したと判定し、図13のT1で開始した検知情報記憶処理を終了する。さらに、自動改札装置1は、センサS5が利用者Bを検知している状態から、利用者Bを検知していない状態に切り換わったとき(図13に示すT16)、利用者Bが通路の特定の位置に達したと判定し、図13のT5で開始した検知情報記憶処理を終了する。したがって、この場合には、図13に示すT5〜T10までの間、自動改札装置においては、検知情報記憶処理が2つ実行されている。
図13に示すT1で開始され、T10で終了された検知情報記憶処理では、図14に示す検知情報が生成される。自動改札装置1は、この検知情報を用いて、図9に示す対応付け処理を実行する。この対応付け処理のs31で、受信回数が5回であるID−Aを抽出する。そして、このID−Aの検知情報を用いて、s36にかかる検知確認処理を行い、図15に示す検知確認センサテーブルを生成する。この検知確認処理で、ID−Aの受信回数が4回目であるときに利用者Bを検知しているセンサS1、および5回目であるときに利用者Bを検知しているセンサS1、S2については、s45の再抽出にかかる処理で、抽出されず無視される。自動改札装置1は、今回の処理で生成した図15に示す検知確認センサテーブルから、検知センサ数が5であると判断し、図13に示すT10のタイミングで通路の特定の位置に達した利用者Aが所持している乗車券10の識別コードがID−Aであると判断する。
また、図13に示すT5で開始され、T16で終了された識別コード計数処理では、図16に示す検知情報が生成される。自動改札装置1は、この検知情報を用いて、図9に示す対応付け処理を実行する。この対応付け処理のs31で、受信回数が6回であるID−Bが抽出される。そして、このID−Bの検知情報を用いて、s36にかかる検知確認処理を行い、図17に示す検知確認センサテーブルを生成する。この検知確認処理で、ID−Bの受信回数が1回目であるときに利用者Aを検知しているセンサS4、S5については、s47の再抽出で抽出されずに、除かれる。また、ID−Bの受信回数が2回目であるときに利用者Aを検知しているセンサS5については、s47の再抽出で抽出されずに、除かれる。自動改札装置1は、今回の処理で生成した図17に示す検知確認センサテーブルから、検知センサ数が5であると判断し、図13に示すT16のタイミングで通路の特定の位置に達した利用者Bが所持している乗車券10の識別コードがID−Bであると判断する。
このように、乗車券10を所持している利用者Aに、続いて乗車券10を所持している利用者Bが通路に進入した場合であっても、利用者A,利用者Bに対して、正確に所持している乗車券10の識別コードを対応付けることができる。
次に、乗車券を所持していない利用者Aに、続いて乗車券10を所持している利用者Bが通路に進入した場合における、検知情報記憶処理、および検知確認処理を説明する。図18は、乗車券10を所持していない利用者Aに、続いて乗車券10(識別コードID−B)を所持している利用者Bが通路に進入した場合のタイムチャートである。この図において、(A)は利用者検知部12による利用者A、Bのそれぞれの検知状態を示す図であり、(B)〜(F)はそれぞれ利用者検知部12のセンサS1〜S5の状態を示す図であり、(G)は自動改札装置1のポーリングタイミングを示す図であり、(H)は利用者Bが所持する乗車券10の識別コードの送信タイミングを示す図である。
なお、(H)には参考のために、利用者Aが所持する乗車券10はないが、図中では示している。
自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者Aの存在が検知されたタイミング(図18のT1)で、図6に示す検知情報記憶処理を開始する。また、自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者Bの存在が検知されたタイミング(図18のT2)で、T1で開始した検知情報記憶処理とは別に、独立して検知情報記憶処理をを開始する。そして、自動改札装置1は、センサS5が利用者Aを検知している状態から、利用者Aを検知していない状態に切り換わったとき(図18に示すT5)、利用者Aが通路の特定の位置に達したと判定し、図18のT1で開始した検知情報記憶処理を終了する。さらに、自動改札装置1は、センサS5が利用者Bを検知している状態から、利用者Bを検知していない状態に切り換わったとき(図18に示すT10)、利用者Bが通路の特定の位置に達したと判定し、図18のT2で開始した検知情報記憶処理を終了する。したがって、この場合には、図18に示すT2〜T5までの間、自動改札装置1においては、検知情報記憶処理が2つ実行されている。
図18に示すT1で開始され、T5で終了された検知情報記憶処理では、図19に示す検知情報が生成される。自動改札装置1は、この検知情報を用いて、図9に示す対応付け処理を実行する。この対応付け処理のs31で、受信回数が2回であるID−Bを抽出するので、s32、s33で今回通路の特定に位置に達した利用者Aは乗車券10を所持していないと判断される。
また、図18に示すT2で開始され、T10で終了された検知情報記憶処理では、図20に示す検知情報が生成される。自動改札装置1は、この検知情報を用いて、図9に示す対応付け処理を実行する。この対応付け処理のs31で、受信回数が6回であるID−Bを抽出する。そして、このID−Bの検知情報を用いて、s36にかかる検知確認処理を行い、図21に示す検知確認センサテーブルを生成する。この検知確認処理で、IDの受信回数が1回目であるときに利用者Aを検知しているセンサS4、S5については、s47の再抽出で抽出されず、除かれる。また、ID−Bの受信回数が2回目であるときに利用者Aを検知しているセンサS5については、s47の再抽出で抽出されずに、除かれる。自動改札装置1は、今回の処理で生成した図21に示す検知確認センサテーブルから、検知センサ数が5であると判断し、図18に示すT10のタイミングで通路の特定の位置に達した利用者Bが所持している乗車券10の識別コードがID−Bであると判断する。
このように、乗車券10を所持していない利用者Aに、続いて乗車券10を所持している利用者Bが通路に進入した場合であっても、利用者Aに対しては乗車券10を所持していないと判断でき、また利用者Bに対しては正確に所持している乗車券10の識別コードID−Bを対応付けることができる。
次に、乗車券10を所持している利用者Aに続いて、乗車券10を所持していない利用者Bが通路に進入した場合における、検知情報記憶処理、および検知確認処理を説明する。図22は、乗車券10を所持している利用者Aに、続いて乗車券10を所持していない利用者Bが通路に進入した場合のタイムチャートである。この図において、(A)は利用者検知部12による利用者A、Bそれぞれの検知状態を示す図であり、(B)〜(F)はそれぞれ利用者検知部12のセンサS1〜S5の状態を示す図であり、(G)は自動改札装置1のポーリングタイミングを示す図であり、(H)は利用者Aが所持する乗車券(ID−A)の識別コードの送信タイミングを示す図である。自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者Aの存在が検知されたタイミング(図22に示すT1)で、図6に示す検知情報記憶処理を開始する。また、自動改札装置1は、利用者検知部12のセンサS1で利用者Bの存在が検知されたタイミング(図22に示すT5)で、T1で開始した検知情報記憶処理とは別に、独立して検知情報記憶処理を開始する。
そして、自動改札装置1は、センサS5が利用者Aを検知している状態から、利用者Aを検知していない状態に切り換わったとき(図22に示すT9)、利用者Aが通路の特定の位置に達したと判定し、図22のT1で開始した検知情報記憶処理を終了する。さらに、自動改札装置1は、センサS5が利用者Bを検知している状態から、利用者Bを検知していない状態に切り換わったとき(図22に示すT11)、利用者Bが通路の特定の位置に達したと判定し、図22のT5で開始した検知情報記憶処理を終了する。したがって、この場合には、図22に示すT5〜T9までの間、自動改札装置1においては、識別コード計数処理が2つ実行されている。
図22に示すT1で開始され、T9で終了された検知情報記憶処理では、図23に示す検知情報が生成される。自動改札装置1は、この検知情報を用いて、図9に示す対応付け処理を実行する。この対応付け処理のs31で、受信回数が5回であるIDを抽出する。そして、このID−Aの検知情報を用いて、s36にかかる検知確認処理を行い、図24に示す検知確認センサテーブルを生成する。この検知確認処理で、受信回数が4回目であるときに利用者Bを検知しているセンサS1、受信回数が5回目であるときに利用者Bを検知しているセンサS1、S2については、s45の再抽出で抽出されずに、除かれる。自動改札装置1は、今回の処理で生成した図23に示す検知確認センサテーブルから、検知センサ数が5であると判断し、図22に示すT9のタイミングで通路の特定の位置に達した利用者Aが所持している乗車券10の識別コードがID−Aであると判断する。
また、図22に示すT5で開始され、T11で終了された識別コード計数処理では、図25に示す検知情報が生成される。自動改札装置1は、この検知情報を用いて、図9に示す対応付け処理を実行する。この対応付け処理のs31で、受信回数が3回であるIDを抽出するので、s32、s33で今回通路の特定に位置に達した利用者Bは乗車券10を所持していないと判断される。または、ID−Aと利用者Aとの対応付けは上記で完了しているので、このことから、利用者Bは乗車券10を所持していないと判断される。
このように、乗車券10を所持している利用者Aに、続いて乗車券10を所持していない利用者Bが通路に進入した場合であっても、利用者Aに対しては正確に所持している乗車券10の識別コードを対応付けることができ、また利用者Bに対して乗車券10を所持していないと判断できる。
このように上述したいずれの場合においても、通路に進入した利用者に対して、所持している乗車券10の識別コードを正確に対応付けることができる。
また、上記実施形態では、s31で、受信回数が最大である識別コードを利用者に対応付ける識別コードとして抽出するとしたが、検知情報記憶処理において、検知情報が生成された識別コード毎に検知情報確認処理を行って、検知確認センサテーブルを生成し、検知センサ数が最大であり、且つ下限値以下でない識別コードを、利用者に対応付ける識別コードとするようにしてもよい。また、下限値以下でない識別コードがなければ、その利用者は乗車券10を所持していないと判断すればよい。