JP4740138B2 - 真核生物細胞におけるポリペプチドの大規模生産方法及びそれに適した培養容器 - Google Patents

真核生物細胞におけるポリペプチドの大規模生産方法及びそれに適した培養容器 Download PDF

Info

Publication number
JP4740138B2
JP4740138B2 JP2006529650A JP2006529650A JP4740138B2 JP 4740138 B2 JP4740138 B2 JP 4740138B2 JP 2006529650 A JP2006529650 A JP 2006529650A JP 2006529650 A JP2006529650 A JP 2006529650A JP 4740138 B2 JP4740138 B2 JP 4740138B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
fvii
concentration
dissolved
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006529650A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007508003A (ja
Inventor
クヌドセン、イダ・モルガールド
Original Assignee
ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=44541454&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP4740138(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト filed Critical ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト
Publication of JP2007508003A publication Critical patent/JP2007508003A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4740138B2 publication Critical patent/JP4740138B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/64Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
    • C12N9/6424Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12N9/6437Coagulation factor VIIa (3.4.21.21)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M41/00Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation
    • C12M41/30Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation of concentration
    • C12M41/34Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation of concentration of gas
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y304/00Hydrolases acting on peptide bonds, i.e. peptidases (3.4)
    • C12Y304/21Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12Y304/21021Coagulation factor VIIa (3.4.21.21)

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、真核生物細胞中の興味深いポリペプチドの生産のための方法に関し、また、その方法に有用な反応容器に関する。
真核生物細胞中の例えばVII因子ポリペプチドのようなポリペプチドの大規模生産の方法は、当該分野で知られている、例えばWO 02/29083、WO 02/29084及びWO 03/29442を参照されたい。VII因子ポリペプチドのようなポリペプチドの大規模生産に付随する多くの問題は既に克服されているが、幾つかの問題は未だに解決されていない。
培養液のpH値を、かなり狭い最適な生産「ウィンドウ」内に、例えば0.5 pH又はそれ以下の単位で多くの細胞培養のために適するように維持することは特に難問である。培養液中におけるCO2及び乳酸の発生はpHを下げ、実用的な目的のほとんどは、pHを安定化するために又は所定の範囲内にpHを維持するために、強塩基、例えば1 M NaOH 又は 1M Na2CO3の添加を必要とする。しかしながら、強塩基の添加は、劇的で局所的なpH上昇に関する問題をもたらし、これは、細胞アポトーシスでなければ異常な細胞代謝(高速度のグルコース消費、高速度の乳酸形成)を誘導し得る(Nienow et al., Cytotechnology 22: 87-94, 1996; Langheinrich and Nienow, Biotechnology and Bioengineering, 66 (3): 171-179, 1999; Osman et al., Biotechnology and Bioengineering, 75 (1): 63-73, 2001;及びOsman et al., Biotechnology and Bioengineering, 79 (4): 398-407, 2002を参照されたい)。
従って、真核生物細胞からのポリペプチドの大規模生産の改良された方法が必要であり、特に、強塩基の添加の必要性を減少するか又は排除した方法が必要である。
「Mostafa and Gu, Biotechnol. Prog., 2003, 19, 45-51」は、例えばエアーのスパージングを使用する、大規模流加培養法から溶解CO2を除去するための種々の戦略を開示している。
「Pattison et al., Biotechnol. Prog., 2000, 16, 768-774」は、インサイチュー光ファイバーの化学センサーを用いた、哺乳類細胞培養処理における溶解CO2の測定と制御を開示している。
これらの参考文献は、ガススパージングによって、細胞培養容器中の溶解CO2レベルを制御するための戦略を述べているが、しかしそれらの何れも、塩基の添加の必要がこの補法において減少されるか又は完全に排除されることができるということは述べていない。
発明の概要
一つの側面において、本発明は、培養液中に含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの大規模生産のための方法に関する。該方法は、該培養液中の溶解CO2 の濃度をモニタリングすること、及び、該培養液を通して一定に又は断続的にエアーをスパージングすることを含み、ここで、該エアーのスパージング速度は、前記培養液中の溶解CO2 のモニターされた濃度に関連して制御されることを特徴とする。
他の側面において、本発明は、培養液中に含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの大規模生産のための方法に関する。該方法は、前記培養液中の溶解CO2 の濃度を、該濃度のための設定値を含む所定の範囲内に維持するのに十分な速度で、該培養液を通してエアーを一定に又は断続的にスパージングすることを含み、ここで、該培養液に加えられる任意の固体又は液体物質の何れも、該培養液中で7.5以上の局所的なpH値の上昇を与えないことを特徴とする。
さらなる側面において、本発明は、培養液(2)を含む培養容器(1)であって、該容器は、培養液(2)中に含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの工業的規模での生産に適しており、該容器はさらに、前記培養液(2)中の溶解CO2の濃度をモニタリングするための第一のセンサー手段(3)、該培養液(2)を通してガス(例えばエアー)をスパージングするためのガススパージング手段(4)、及び、制御手段(5)を具備し、該制御手段(5)は前記第一のセンサー手段(3)と通信しており、また、該制御手段(5)は前記ガススパージング手段(4)と通信しており、ここにおいて、前記制御手段(5)は、前記第一のセンサー手段(3)によってモニターされた溶解CO2の値に応答して、前記ガススパージング手段(4)を介して該ガスのスパージング速度を制御することを特徴とする培養容器(1)に関する。
発明の詳細な説明
[方法]
本発明の一つの側面は、培養液中に含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの大規模生産方法に関する。本方法の特徴は、塩基の添加の必要性を減少するか又は排除するために、CO2及びpHの制御のため、該培養液を通してエアーを一定に又は断続的にスパージングすることである。
従って、主要な態様において、本発明は、培養液中に含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの大規模生産のための方法であって、該方法は、該培養液中の溶解CO2 の濃度をモニタリングすること、及び、該培養液を通して一定に又は断続的にエアーをスパージングすることを含み、ここで、該エアーのスパージング速度は、培養液中の溶解CO2 のモニターされた濃度に関連して制御される方法を提供する。
「大規模生産」という語は、少なくとも100Lの培養容器を伴う生産を意味する。好ましい態様において、しかしながら、その規模は典型的には、少なくとも250Lであり、例えば少なくとも500L、例えば少なくとも1000L又は5000Lかそれ以上である。「大規模」という語は、「工業的規模」及び「生産規模」という語と交換可能に用いられ得る。
ポリペプチドの大規模生産方法は、典型的には、少なくとも120時間、例えば1〜26週の期間にわたって行われる。
本発明は一般に、任意の特定のポリペプチドの生産又は任意の特定の真核生物細胞の使用に限定されるものではない。とはいえ、関連するポリペプチドと有用な真核生物細胞を説明する例を以下に記載する。しかしながら、本発明で最も一般的に興味深く好ましい幾つかの態様において、ポリペプチドはVII因子ポリペプチドである。
「培養液」という語は、適切な培地に真核生物細胞の培養物を含む液体を意味するように意図される。一つの重要な態様において、該細胞は、固体マイクロキャリアの表面に付着することによって、或いはマクロ孔質マイクロキャリアの内部構造に付着するか又はその中に物理的に取り込まれることによって、固定化される。この態様は、下記のさらなる詳細において説明される。
本発明の方法は、培養液中の溶解CO2の濃度をモニタリングすること、及び、培養液を通して一定に又は断続的に、エアーをスパージングすることを含む。エアーのスパージング速度は、モニターされた培養液中の溶解CO2の濃度に関連して制御される。
液体中のCO2を含むガスのモニタリングは、当該分野で既知であり、多くのセンサーが商業的に入手可能である(「培養容器」を参照)。そのようなCO2センサーは、典型的には、実際の濃度値に対応する電気的なシグナルキャリングデータを提供する。センサーの中には、溶解CO2の濃度の実測値の読み出しをさらに提供するものもある。その読み出し又は電気的シグナルは、培養液へのエアーのスパージング速度を制御するために用いられることができる。そのような制御は手動で行われるが、好ましい態様には、自動制御の使用が含まれる。自動制御は、典型的には、制御手段によって行われ、また典型的には、所定のアルゴリズムを含む。上記の方法のための一つの有用な培養容器は、以下にさらに記載する(「培養容器」を参照)。
実際の(モニターされた)溶解CO2の濃度の著しい上昇(所定の設定値に対する)が、エアーのスパージング速度における上昇によってカウントされるために、及び、実際の(モニターされた)溶解CO2の濃度の著しい減少(所定の設定値に対する)が、エアーのスパージング速度における減少によってカウントされるために、スパージング速度はモニターされたCO2の濃度に関連して制御される。このように、該方法は好ましくは、前記濃度の設定値を含む所定の範囲内に溶解CO2の濃度を維持することを可能にする。
前記設定値は、典型的には、オペレーターによって、溶解CO2の濃度をモニタリングする前に決定され、オペレーターが、該真核生物細胞中のポリペプチドの生産に最適であると考える濃度である。ある場合には、設定値は、培養液中の任意の変化を考慮して、生産段階の過程においてわずかに調節される。
溶解CO2の濃度に関連してスパージング速度を制御するためのアルゴリズムの例は、オン−オフ制御、比例制御(P)、比例微分(PD)制御、比例積分(PI)制御及び比例積分微分(PID)制御を含み、ここで、PI及びPID制御がしばしば好ましい。より詳細には、例えば、「Michael Barrの「Closed-Loop Control」、Embedded Systems Programming, August 2002, pp. 55-56」及び「www.neutrino.com/Publications/ Glossary/PID.html.」を参照されたい。
そのポリペプチドの生産が実行可能な溶解CO2の濃度の範囲、及び、該生産が最適であると考えられる設定値は、問題のポリペプチド、選択された真核生物細胞、及び培地にいくらか依存し、よって、当該分野の技術者には、標準的な実験によって、この範囲と値を決定することができる。
しかしながら、重要な態様の中には、溶解CO2の濃度の所定の範囲が、典型的には80-200 mmHgであり、特には100-180 mmHgであるものもある。培養液中の溶解CO2の濃度の設定値は、典型的には100-180 mmHgの範囲の値、例えば120-160 mmHgであり、例えば約140 mmHgの値である。
「エアーのスパージング速度」という語は、培養液1LあたりのL/分で表され(分当たりの容量当たりの容量(vvm))、エアー(温度25℃、1 atm(101.3 kPa)に規格化される)が培養液に与えられる速度として定義される。
「一定に又は断続的に」という語は、エアーのスパージングが任意の方法で、例えば実質的に連続した(即ち一定の)エアーの流れ、或いは、間欠的なエアーの流れなどによって行われることができることを意味するように意図される。エアーの間欠的な流れのためのスパージング速度は、3分間にわたる平均流速(L/分)として計算される、即ち、先行する3分間に流れたリットルを3で割る。好ましくは、エアーのスパージングは、実質的に連続している。これは、エアーのスパージングもまた培養容器内の混合を促進するために有益であるためである。
「エアー」という語は、60-90%、例えば65-85% (例えば75-82%)、窒素、10-40%、例えば15-35% (例えば18-24%)、酸素及び0.5% 未満(例えば0.2%未満)のCO2を含むガスを包含するよう意図される。「エアー」は、大気の空気を窒素/又は酸素と、適切な割合で混合することによって得ることができる。これについての好ましい例は、約78%の窒素、約21%の酸素及び0.1%未満のCO2を含む大気の空気である。エアーの使用は、酸素を培養液に供給し、同時に、培養液からCO2を除去するという利益を提供する。
これまでに得られた結果の観点において、エアーのスパージング速度は、好ましくは、培養液1L当たり0.000-0.100 L/分の範囲、例えば0.000-0.070 L/分の範囲である。特に、エアーのスパージング速度は、典型的には、モニターされた溶解CO2の濃度が濃度設定値に等しい場合、培養液1L当たり0.005-0.020 L/分の範囲である。
好ましい態様において、エアーのスパージング速度は:溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値-5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.000-0.005 L/分の範囲、例えば約0.0 L/分であり;溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値+5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.010-0.100 L/分の範囲、例えば0.030-0.070 L/分、例えば約0.040-0.060 L/分である。
本発明は、培養液中の溶解CO2の濃度を制御する有用な方法、またそれによって培養液中のpHを間接的に制御する有用な方法を提供する。それ故に本発明は、塩基の添加の必要性を減少するか又は排除する処置を提供する。
例えば、興味深い一つの態様において、任意の固体又は液体物質の培養液への添加は、該培養液における7.5以上の局所的なpH値の上昇を与えない。好ましくは、8.5以上のpH値を有する塩基は培養液に加えない。
「局所的なpH値」という語は、例えばごく少量の強塩基(例えばpH10)を培養液(例えばpHが約7.0)に添加して、該強塩基が培養培地に完全に混合する前に、pH値の局所的な上昇、例えば9.0にまでの上昇をもたらす場合に生じる現象を示す。幾つかの場合では、混合過程が発熱性である場合には、混合が局所的な温度上昇をさらにもたらす。「培養液に添加される任意の固体又は液体物質」という語は、ポリペプチドの生産の間、培養液に添加される全ての薬剤、培地、溶液、懸濁液などを含み示す。
本発明の特定の変異形において、溶解CO2の濃度の実際のオンラインモニタリングが厳密には必須でないことは把握されるであろう。従って、本発明はまた、培養液中の真核生物細胞中のポリペプチドの大規模生産の方法を提供し、該方法は、前記培養液中の溶解CO2 の濃度を、該濃度のための設定値を含む所定の範囲内に維持するのに十分な速度で、該培養液を通してエアーを一定に又は断続的にスパージングすることを含み、ここで、該培養液に加えられる任意の固体又は液体物質の何れも、該培養液中で7.5以上の局所的なpH値の上昇を与えないことを特徴とする。溶解CO2の濃度は、従来のガス分析機器、例えば市販の血中ガス分析器によって培養液のサンプルを分析することによって、オフラインでモニターされ得る。
この態様において、エアーのスパージング速度は、典型的には、培養液1L当たり、0.001-0.070 L/分の範囲、例えば0.005-0.020 L/分である。さらに、培養液中の溶解CO2 の濃度は、好ましくは、培養液中の溶解CO2の濃度が所定の範囲内に維持されることを保証するためにモニターされる。或いはpHがモニターされる。
この態様において、エアーのスパージング速度は、好ましくはモニターされたCO2の濃度に関連して制御される。或いは、エアーのスパージング速度は、モニターされたpHに関連して制御され得る。特に、スパージング速度は、モニターされたpH及びモニターされた乳酸濃度に関連して制御され得る。
特に、エアーのスパージング速度は、モニターされた溶解CO2の濃度が濃度設定値に等しいとき、培養液1L当たり0.005-0.020 L/分の範囲内である。さらに、エアーのスパージング速度は、典型的には:
溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値-5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.000-0.005 L/分の範囲、例えば約0.0 L/分であり;及び
溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値+5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.010-0.100 L/分の範囲、例えば0.030-0.070 L/分、例えば約0.040-0.060 L/分である。
[培養容器]
本発明はまた、本発明の方法のために特に有用な培養溶液をも提供する。
該培養容器(1)は、培養液(2)を含み、前記容器は、培養液(2)中の真核生物細胞中のポリペプチドの工業的規模での生産に適しており、前記容器はさらに、該培養液(2)中の溶解CO2の濃度をモニタリングするための第一のセンサー手段、該培養液(2)を通してガス(例えばエアー)をスパージングするためのガススパージング手段(4)、及び、制御手段(5)を具備し、該制御手段(5)は前記第一のセンサー手段(3)と通信しており、また、該制御手段(5)は前記ガススパージング手段(4)と通信しており、ここにおいて、前記制御手段(5)は、前記第一のセンサー手段(3)によってモニターされた溶解CO2の値に応答して、前記ガススパージング手段(4)を介して該ガスのスパージング速度を制御する。
本発明の培養容器の一つの態様を、図1に示した。
第一のセンサー手段(3)は、培養液(2)中の溶解CO2の濃度を一定に又は断続的にモニターするのに特に適している。そのようなセンサー手段は、種々の商業的供給者から商業的に入手可能であり、例えばYSI, Inc.からYSI 8500ファイバー・オプティック・dCO2 センサーが入手可能である。
ガススパージングセンサー(4)は、例えば、制御可能なバルブ、制御可能なポンプ等、及び、バルブとポンプの組合せから選択されることができる。そのようなバルブ及び/又はポンプは、エアー、例えば過圧エアーを、培養液中の溶解CO2の濃度値に基づいて制御手段(5)によって制御される速度で、培養液中に導入する。そのようなガススパージング手段は、種々の商業的な供給者、例えばBurkert, HI-TEC, Samson, Emersonから商業的に入手可能である。
一つの態様において、前記ガスのスパージング速度は、前記培養液中の溶解CO2 の濃度が、前記濃度のための設定値を含む所定の範囲内に維持されるように制御されることができる。特に、該ガスのスパージング手段は、培養液1L当たり0.000-0.100 L/分、例えば0.000-0.050 L/分のスパージング速度で提供されるように適応される。
制御手段(5)は、典型的には、第一のセンサー手段(3)からシグナル又はデータを受け取り、ガススパージング手段(4)にシグナル又はデータを提供することができる、マイクロプロセッサー装備デバイスである。制御手段は種々の商業的な供給者、例えばPhilips, Yokogawa, Honeywellから商業的に入手可能である。
制御手段で実行するための適切なアルゴリズムは、上述されている。
「通信している(in communication with)」という語は、デジタル及び/又はアナログのシグナル及びデータが、それぞれの「手段」間で、又は一つの「手段」から他へ交換可能であることを意味する。通信は、電気的なワイヤーを介して、又は、他方では適用可能な、電磁放射、赤外線などの送信機及びトランスデューサーを介して、直接行われ得る。
制御手段(5)は、典型的には、培養容器のオペレーターが、培養液中の溶解CO2の濃度の所定の範囲の終点と所定の設定値を入力可能であるように設定手段(presetting means)を具備する。該範囲の終点と設定値は、必要であるか望ましい場合は、培養容器の操作の過程で任意に変更され得る。
第一のセンサー手段(3)、ガススパージング手段(4)、制御手段(5)、及び、それらを互いに通信させる方法の改変は、当該分野の技術者には明らかである。
本発明に適用可能な培養容器は、例えば、攪拌が従来のインペラー型によって得られる通常の攪拌タンク反応器(CSTR)、攪拌が容器の底からエアーを導入することによって得られるエアリフト反応器に基づいてもよい。さらなるパラメーターの中で、典型的には特定された制限内に制御されるものは、pH、溶解酸素張力(dissolved oxygen tension)(DOT)、及び温度である。溶解酸素張力は、例えば、純粋な酸素をスパージングすることによって維持され得る。温度制御媒体は、典型的には必要に応じて加熱されるか冷却された水である。水は、容器を囲むジャケットを通して、或いは培養物内に浸漬された配管コイルを通して通過され得る。
「培養容器」という語は、「タンク」、「反応器」、「発酵槽」及び「バイオリアクター」と交換可能に用いられ得る。
[大規模生産のためのポリペプチド]
本発明は、内在性遺伝子からか、或いはタンパク質をコードする組換え遺伝子のそのような細胞への導入に続いて、興味のあるタンパク質の一以上を発現する真核生物細胞の改善された大規模培養に適切な方法に関する。そのようなタンパク質には、これらに限定されないが、VII因子ポリペプチド;VIII因子;IX因子;X因子;タンパク質C;組織因子;レンニン;ヒト成長ホルモンを含む成長ホルモン;ウシ成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;アルファ-1-アンチトリプシン;インスリンA-鎖;インスリンB-鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント(lung surfactant);ウロキナーゼ又はヒト尿のようなプラスミノーゲン活性化因子又は組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血性成長因子;腫瘍壊死因子-アルファ及びベータ;エンケファリナーゼ;ヒトマクロファージ炎症性タンパク(MIP-1-アルファ);ヒト血清アルブミンのような血清アルブミン;ミュラー-阻害物質;リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロリラキシン;マウス性腺刺激ホルモン-付随ペプチド;ベータ-ラクタマーゼのような微生物タンパク質;DNA分解酵素;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子(VEGF);ホルモン又は成長因子のレセプター;インテグリン;タンパク質 A 又は D;リウマチ様因子;骨組織-由来神経栄養性因子(BDNF)のような神経栄養性因子、ニューロトロフィン-3, -4, -5, 又は -6 (NT-3, NT-4, NT-5, 又は NT-6)、又はNGF-β血小板-由来成長因子(PDGF)のような神経成長因子;α-FGF 及び β-FGFのような線維芽細胞成長因子;上皮細胞成長因子(EGF); TGF-アルファ 及び TGF-ベータのようなトランスフォーミング成長因子(TGF)、インスリン様成長因子-I 及び -II (IGF-I 及び IGF-II); CD-3, CD-4, CD-8, 及び CD-19 のようなCD タンパク質;エリスロポエチン;骨誘導(osteoinductive)因子;イムノトキシン;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン-アルファ、-ベータ、及び-ガンマのようなインターフェロン;コロニー刺激因子(CSFs)、例えば、M-CSF, GM-CSF, 及びG-CSF;インターロイキン(ILs)、例えば、IL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T-細胞レセプター;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;例えばAIDSエンベロープ部分のようなウイルス性抗原;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレッシン(addressin);調節タンパク質;抗体;及び上記ポリペプチドの任意の配列変異体及び断片、が含まれる。
本発明の好ましい態様において、前記ポリペプチドはVII因子ポリペプチドである。
これについての幾つかの態様において、本発明の実行において用いられる細胞は、内在性VII因子遺伝子を発現するヒト細胞である。これらの細胞において、内在性遺伝子は、無処置であってよく、又は、インサイチューで改変されていてもよく、或いは、VII因子遺伝子の外側の配列が、内在性VII因子遺伝子の発現を変化させるためにインサイチューで改変されていてもよい。
これについての他の態様において、任意の真核生物源からの細胞が、組換え遺伝子からヒトVII因子を発現するように操作される。
「VII因子ポリペプチド」には、野生型VII因子(即ち、米国特許第4,784,950号に開示されたアミノ酸配列を有するポリペプチド)、並びに、野生型VII因子と比較して実質的に同じか又は改変された生物学的活性を示すVII因子の変異体、及び、野生型VII因子と比較して実質的に改変されたか又は減少された生物学的活性を有するVII因子変異体が包含される。「VII因子」という語は、未切断(チモーゲン)形体のVII因子ポリペプチド、並びに、それらのそれぞれの生物活性形体になるようにタンパク分解的に処理されたもの(それらはVIIa因子と命名される)を包含するよう意図される。典型的には、VII因子は、残基152と153の間で切断されて、VIIa因子になる。「VII因子ポリペプチド」という語は、VIIa因子生物学的活性が、野生型VIIa因子の活性と比較して実質的に改変された又は幾分減少された変異体を含むポリペプチドをも包含する。それらのポリペプチドは、これらに限定されないが、該ポリペプチドの生物活性を改変するか又は乱す特定のアミノ酸配列変化が導入されたVII因子又はVIIa因子を含む。
血液凝固におけるVIIa因子の生物学的活性は、(i)組織因子(TF)に結合する能力、及び(ii)IX因子又はX因子のタンパク分解的切断を触媒して、活性化されたIX因子又はX因子(それぞれIXa因子又はXa因子)を生成する能力に由来する。
VII因子ポリペプチドの生物学的活性(「VII因子生物学的活性」)は、例えば米国特許第5,997,864号 又は WO 92/15686に開示されているように、VII因子欠損血漿及びトロンボプラスチンを用いて、製剤の血液凝固を促進する能力を測定することによって定量され得る。このアッセイにおいて、生物学的活性は、対照サンプルと比較した凝固時間の減少として表され、1単位/mlのVII因子活性を含むプールされたヒト血清標準と比較することによって「VII因子単位」に変換される。或いは、VIIa因子生物学的活性は、(i) 脂質膜中に包埋したTF及びX因子を含む系における、VIIa因子(又はVII因子ポリペプチド)の活性化X因子(Xa因子)を生成する能力の測定(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii) 水性の系における、X因子の加水分解の測定(「In Vitro Proteolysis Assay」, 下記アッセイ2を参照されたい);(iii) 表面プラズモン共鳴に基づく機器を用いた、VIIa因子(又はVII因子ポリペプチド)のTFへの物理的な結合の測定 (Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);(iv) VIIa因子(又はVII因子ポリペプチド)(「In Vitro Hydrolysis Assay」、アッセイ1を参照されたい)による合成基質の加水分解の測定;又は(v) TF非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成の測定、によって定量され得る。
野生型VIIa因子と比較して実質的に同じか又は改変された生物学的活性を有するVII因子変異体は、上記のような一以上の凝固アッセイ、タンパク分解アッセイ、又はTF結合アッセイで試験したとき、同じ細胞型で生産されたVIIa因子の、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%及び最も好ましくは少なくとも約90%の比活性を示すものを包含する。
野生型VIIa因子と比較して実質的に減少した生物学的活性を有するVII因子変異体は、上記のような一以上の凝固アッセイ、タンパク分解アッセイ、又はTF結合アッセイで試験したとき、同じ細胞型で生産された野生型VIIa因子の、約25%より少ない、好ましくは約10%より少ない、より好ましくは約5%より少ない、及び最も好ましくは約1%より少ない比活性を示すものである。野生型VII因子と比較して実質的に改変された生物学的活性を有するVII因子変異体は、これらに限定されないが、TF-非依存性X因子タンパク分解活性を示すVII因子変異体、及び、TFに結合するがX因子を切断しないものを含む。
VII因子の変異体は、野生型VII因子と同じ生物活性を示すかより高い生物活性を示すかに関わらず、また或いは、野生型VII因子と比較して実質的に改変されたか又は減少した生物活性を示すかに関わらず、これらに限定されないが、挿入、欠失、又は一以上のアミノ酸の置換によって、野生型VII因子の配列と相違するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
野生型VII因子と実質的に同じ生物学的活性を有するVII因子変異体の非限定的な例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa (Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998); 米国特許第5,580,560号で開示されたような、上昇したタンパク分解安定性を示すVIIa因子変異体; 残基290と291の間、又は残基315と316の間でタンパク分解的に切断された、VIIa因子 (Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995); VIIa因子の酸化された形体(Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999); PCT/DK02/00189に開示されたVII因子変異体; 及びWO 02/38162 (Scripps Research Institute)に開示された上昇したタンパク分解安定性を示すVII因子変異体; WO 99/20767 (University of Minnesota)に開示された、改変されたGla-ドメインを有し、増強した膜結合を示すVII因子変異体;及び、WO 01/58935 (Maxygen ApS)に開示されたVII因子変異体が含まれる。
野生型VIIa因子と比較して上昇した生物学的活性を有するVII因子変異体の非限定的な例には、WO 01/83725、WO 02/22776、WO 02/077218、WO 03/27147、WO 03/37932; WO 02/38162 (Scripps Research Institute)において開示されたVII因子変異体; 及びJP 2001061479 (Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)において開示された、増強した活性を有するVIIa因子変異体が含まれる。
野生型VII因子と比較して実質的に減少したか改変された生物学的活性を有するVII因子変異体の非限定的な例には、R152E-FVIIa (Wildgoose et al., Biochem 29:3413-3420, 1990)、S344A-FVIIa (Kazama et al., J. Biol. Chem. 270:66-72, 1995)、FFR-FVIIa (Holst et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15:515-520, 1998)、及びGlaドメイン欠損VIIa因子 (Nicolaisen et al., FEBS Letts. 317:245-249, 1993)が含まれる。
VII因子ポリペプチドの明確な例は、これらに限定されないが、野生型VII因子, L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, and S336G-FVII, L305V/K337A-FVII, L305V/V158D-FVII, L305V/E296V-FVII, L305V/M298Q-FVII, L305V/V158T-FVII, L305V/K337A/V158T-FVII, L305V/K337A/M298Q-FVII, L305V/K337A/E296V-FVII, L305V/K337A/V158D-FVII, L305V/V158D/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V-FVII, L305V/V158T/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V-FVII, L305V/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/K316H-FVII, S314E/K316Q-FVII, S314E/L305V-FVII, S314E/K337A-FVII, S314E/V158D-FVII, S314E/E296V-FVII, S314E/M298Q-FVII, S314E/V158T-FVII, K316H/L305V-FVII, K316H/K337A-FVII, K316H/V158D-FVII, K316H/E296V-FVII, K316H/M298Q-FVII, K316H/V158T-FVII, K316Q/L305V-FVII, K316Q/K337A-FVII, K316Q/V158D-FVII, K316Q/E296V-FVII, K316Q/M298Q-FVII, K316Q/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D-FVII, S314E/L305V/E296V-FVII, S314E/L305V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/K337A/E296V-FVII, S314E/L305V/K337A/V158D-FVII, S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V-FVII, S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V-FVII, S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D-FVII, K316H/L305V/E296V-FVII, K316H/L305V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/K337A/E296V-FVII, K316H/L305V/K337A/V158D-FVII, K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V-FVII, K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V-FVII, K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D-FVII, K316Q/L305V/E296V-FVII, K316Q/L305V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII, K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII, K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII, K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/K337A-FVII, F374Y/V158D-FVII, F374Y/E296V-FVII, F374Y/M298Q-FVII, F374Y/V158T-FVII, F374Y/S314E-FVII, F374Y/L305V-FVII, F374Y/L305V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D-FVII, F374Y/L305V/E296V-FVII, F374Y/L305V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T-FVII, F374Y/L305V/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E-FVII, F374Y/K337A/V158T-FVII, F374Y/K337A/M298Q-FVII, F374Y/K337A/E296V-FVII, F374Y/K337A/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q-FVII, F374Y/V158D/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q-FVII, F374Y/V158T/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E-FVII, F374Y/S314E/M298Q-FVII, F374Y/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII, F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII, F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII, F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII, F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII, F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII, F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII, F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII, F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, S52A-VII因子、S60A-VII因子; R152E-VII因子、S344A-VII因子、Glaドメイン欠損VIIa因子; 及びP11Q/K33E-FVII、T106N-FVII、K143N/N145T-FVII、V253N-FVII、R290N/A292T-FVII、G291N-FVII、R315N/V317T-FVII、K143N/N145T/R315N/V317T-FVII; 及びアミノ酸配列中の233Thrから240Asnまでに、置換、付加又は欠失を有するVII因子、アミノ酸配列中の304Argから329Cysまでに、置換、付加又は欠失を有するVII因子を含む。
幾つかの態様において、VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子 (hFVIIa)であり、好ましくは組換え的に作製されたヒトVIIa因子(rhFVIIa)である。
他の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子配列変異体である。
幾つかの態様、例えば、VII因子ポリペプチドがVII因子配列変異体である場合において、VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は、本明細書中に記載された「インビトロタンパク分解アッセイ」(アッセイ2)で試験されたとき、少なくとも約1.25であり、好ましくは少なくとも約2.0であり、又は少なくとも約4.0である。
幾つかの態様、例えば、VII因子ポリペプチドがVII因子配列変異体である場合において、該VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は、本明細書中に記載された「インビトロ加水分解アッセイ」(アッセイ1)で試験されたとき、少なくとも約1.25であり、好ましくは少なくとも約2.0であり、又は少なくとも約4.0である。
幾つかの態様において、VII因子ポリペプチドは、野生型ヒトVII因子と異なる糖修飾を有する。
[細胞]
本発明の実施において、前記細胞は真核生物細胞であり、より好ましくは、これらに限定されないが、CHO (例えば、ATCC CCL 61)、COS-1 (例えば、ATCC CRL 1650)、ベビー・ハムスター・腎臓(BHK)、及びHEK293 (例えば、ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株を含む確立された真核生物細胞株である。好ましいBHK細胞株は、tk- ts13 BHK細胞株であり(Waechter and Baserga, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:1106-1110, 1982)、これ以後、BHK 570細胞と称する。BHK 570細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション, 12301 Parklawn Dr., Rockville, MD 20852から、ATCC アクセッションナンバーCRL 10314で入手可能である。tk- ts13 BHK細胞株も、ATCCから、アクセッションナンバーCRL 1632で入手可能である。好ましいCHO細胞株は、CHO K1細胞株であり、ATCCからアクセッションナンバーCCl61で入手可能である。
他の適切な細胞株には、これらに限定されないが、Rat Hep I (Rat肝細胞腫; ATCC CRL 1600)、Rat Hep II (Rat肝細胞腫; ATCC CRL 1548)、TCMK (ATCC CCL 139)、ヒト肺 (ATCC HB 8065)、NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1); DUKX 細胞 (CHO細胞株) (Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980) (DUKX 細胞はまた、DXB11 細胞とも称される)、及びDG44 (CHO細胞株) (Cell, 33: 405, 1983, and Somatic Cell and Molecular Genetics 12: 555, 1986)が含まれる。同様に有用なものは、3T3細胞、ナマルワ(Namalwa)細胞、ミエローマ及びミエローマと他の細胞の融合である。幾つかの態様において、該細胞は突然変異体又は組換え細胞であってよく、例えば、それらが由来した細胞型とは、タンパク質の翻訳後修飾(例えば、糖転移酵素及び/又はグリコシダーゼのようなグリコシル化酵素、或いはプロペプチドのようなプロセシング酵素)を触媒する酵素の定性的又は定量的に異なるスペクトルを表す細胞である。適切な昆虫細胞株には、これらに限定されないが、鱗翅目細胞株、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞又はトリコプルシア・ニイ(Trichoplusia ni)細胞 (例えばUS 5,077,214を参照されたい)も含まれる。
幾つかの態様において、本発明の実施において使用される細胞は、懸濁液培養物中で成長可能なものである。ここで用いられるように、懸濁液適格性の細胞は、大きく堅い凝集体をつくることなく懸濁液中で成長できるもの、即ち、単分散の細胞又は凝集体当たり数個の細胞のみから成る緩い凝集体で成長する細胞である。懸濁液適合性細胞には、これらに限定されないが、順応又は処置することなく懸濁液中で成長する細胞(例えば造血細胞又はリンパ球のような)及び付着依存性細胞の懸濁液成長への漸進的な順応によって懸濁液適合性になった細胞(例えば、上皮細胞又は繊維芽細胞)が含まれる。
本発明の実施において用いられる細胞は、接着細胞であってよい(足場依存性細胞又は付着依存性細胞としても知られる)。ここで用いられるように、接着細胞は、増殖及び成長するために、自身を適切な表面に接着又は固定することを必要とするものである。本発明の一つの態様において、用いられる細胞は、接着細胞である。それらの態様において、増殖段階及び生産段階の何れも、マイクロキャリアの使用を含む。用いられる接着細胞は、増殖段階の間にキャリアへ(及びマクロ孔質キャリアを用いる場合はキャリアの内部構造内へ)移動することが可能であり、並びに、生産バイオリアクターへ移動される時は新しいキャリアに移動することが可能である。接着細胞が、それ自身で新しいキャリアに移動するには不充分である場合、それらは、細胞含有マイクロキャリアをタンパク分解性酵素又はEDTAに接触することによってキャリアから遊離され得る。使用される培地(特に、動物由来成分を含まない場合)は、接着細胞を補助するのに適切な成分をさらに含有する;接着細胞の培養に適切な培地は、商業的な供給者、例えばシグマ(Sigma)から入手可能である。
細胞は、また、懸濁液に順応した又は懸濁液に適格性の細胞であってよい。そのような細胞が用いられた場合、細胞の増殖は、懸濁液中で行われ、従って、マイクロキャリアは、生産培養容器自体の中での最終増殖段階において、及び生産段階においてのみ用いられる。懸濁液に順応した細胞の場合は、用いられたマイクロキャリアは典型的には、マクロ孔質キャリアであり、ここにおいて該細胞は、該キャリアの内部構造の中に物理的な取込みによって接着される。
[細胞培養方法]
本発明の方法は、典型的には、攪拌された培養容器中で行われ、好ましくはマイクロキャリアに基づく処理タイプが用いられる。マイクロキャリアに基づく処理において、細胞は、該キャリア(マクロ孔質キャリア)の内部構造中へ移動し、或いは、キャリア(固体キャリア)の表面へ接着するか、或いはその両方である。マイクロキャリアに基づく処理において、真核生物細胞、マイクロキャリア及び培養培地は、培養容器に初めに供給される。以降の日々において、培養容量が開始時から容器の最終動作容量にならない場合、さらなる培養培地が与えられることができる。続く期間の間、培養が最終的に終了するまで、生産物含有培養上清の定期的な収集及び新しい培地との交換が行われる。生産物含有上清の収集の間、攪拌(agitation)、例えば培養物の攪拌(stirring)は停止され、細胞含有キャリアは、生産物含有培養培地の一部が除去されるのに続いて沈降させられる。
方法の全体的な結果を改善するために、生産物含有上清の収集の前に冷却工程を適用することが好ましい。WO 03/029442を参照されたい。幾つかの態様において、培養液は、キャリアが沈降する前に約18℃〜約32℃の温度に冷却され、或いは約20℃〜約30℃の間の温度に、又は約22℃〜約28℃の間の温度に冷却される。
細胞培養方法の他の適用可能な変形は、WO 02/29084に開示されている。
[増殖工程]
さらなるダウンストリーム処理のための生産物含有培養上清の定期的な収集を行う生産段階に達する前に、細胞は、問題の特定の細胞に適し得る任意のスキーム又はルーチンに従って増殖される。増殖段階は、単一工程又は複数工程方法であってよい。単一工程増殖方法において、細胞は、貯蔵から除去されて該増殖が行われるマイクロキャリアを含む培養容器に直接接種される。複数工程増殖方法において、細胞は、貯蔵から除去されて、生産が行われるマイクロキャリアを含む最終的な培養容器に到達するまで、次第にサイズが増大する多くの培養容器を通して増殖される。増殖工程の間、細胞は、成長に最適な条件下で成長する。培養条件、例えば温度、pH、溶解酸素張力などは、特定の細胞に最適であると知られているものであり、当業者及び当該分野の技術者には明らかである(例えば、「Animal Cell Culture: A Practical Approach 2nd Ed., Rickwood, D. and Hames, B.D., eds., Oxford University Press, New York (1992)」を参照されたい。)
一つのアプローチにおいて、細胞培養プロセスは、一つの培養容器中で操作される:細胞は、生産が行われるマイクロキャリアを含む培養容器中に直接接種される;細胞は、適切な細胞密度に達するまで増殖され、生産段階が開始される。
他のアプローチにおいて、細胞培養プロセスは、少なくとも二つの異なる培養容器内で操作される:一以上の播種培養容器(第一の増殖工程)、続いて生産培養容器(生産段階へ続く最後の増殖工程)。第一の増殖工程において、所望のポリペプチドを発現する細胞が、培養培地を含む播種培養容器内へ接種され、細胞が最小クロス播種密度(minimum cross-seeding density)に達するまで増殖される。続いて、増殖した播種培養物は、(a)培養培地及び(b)マイクロキャリアを含む生産培養容器に移行される。この培養容器内で、細胞は、該細胞が、固体キャリアの表面又はマクロ孔質キャリアの外部及び内部の表面へ移動する条件下で培養され、該キャリアが該細胞によって完全にコロニー形成されるまで、この最後の増殖工程における成長が継続する。この最後の増殖工程の間、培地交換は、マイクロキャリアが培養容器の底に定着することを許すことによって行われ、タンク容量の所定の割合が除去された後、タンク容量の対応する割合の新鮮な培地が容器に添加される。次いで、マイクロキャリアが培地中に再懸濁され、この培地除去及び交換のプロセスが所定の間隔で、例えば24時間毎に繰り返される。交換される培地の量は細胞密度に依存し、以下の表1に示したように、典型的にはタンク容量の10%〜95%、好ましくは25%〜80%である。
増殖段階が複数工程方法である場合のプロセスにおいて、最終培養容器に入るために十分な数の細胞が得られるまで、次第に増大するサイズの培養容器中で増殖が行われ得ることが理解されるであろう。例えば、5 L、50 L、100 L又は500 Lの一以上の播種培養容器が、連続的に用いられ得る。播種培養容器は、典型的には、5 Lから1000 Lの間の容量を有する。典型的に、細胞は、約0.2〜0.4 x 106 cells/mLの初期密度で播種培養容器に播種され、約1.0 x 106 cells/mLの細胞密度に達するまで増殖される。典型的には、最小クロス播種密度は、約0.8〜約1.5 x 106 cells/mLである。
所望のポリペプチド、例えばVII因子の生産に適している設定値の中には、播種培養又はマイクロキャリア上の何れにおいても細胞の初期成長に必ずしも適しているわけではないものがある。例えば、温度、溶解酸素張力、及び/又はpHは、二つの段階で異なり得る。増殖の間の培地交換は、細胞の生存及び成長を維持するために行われ、ダウンストリーム処理のための培養上清の収集のために行われるのではない。
最終培養容器(マイクロキャリアを含む)における最後の増殖工程のための可能な培養条件は、下記表1で概要を述べた。
Figure 0004740138
[生産段階]
本発明の方法は、主に生産段階に興味があるが、所望の場合は、増殖段階のために利用されることもできる(表1を参照されたい)。
本発明の方法のために定義された特徴及び測定の外に、以下に記載されたように、多くの他の測定が、満足な結果を得るための生産のために行われることが必要である。
細胞密度が、生産段階の開始に適切な値に達した時、即ち、生産物含有培養物上清のダウンストリーム処理が行われるのに適するとき、培養物上清の60〜95%が、好ましくは80%が、24時間毎に収集される。この細胞密度の値は、典型的には、1-12 x 106 cells/mLである。設定値は、この時点で変更されることができ、その値は、所望のポリペプチドの生産に適する値に設定される。
培地交換は、タンクの底にマイクロキャリアを定着させることによって行われ、その後、タンク容量の選択された割合が除去され、対応するタンク容量の割合の新鮮な培地が容器に追加される。タンク容量の25〜90%が典型的には交換され、好ましくは、タンク容量の80%が新鮮な培地と交換される。マイクロキャリアは、次いで、培地中に再懸濁され、この培地除去及び交換のプロセスは、典型的には、10〜48時間毎に繰り返され、好ましくは24時間毎に繰り返される。
本プロセスのこの側面の概要を表2に示す。
Figure 0004740138
任意に、培養の温度設定値の低下が、生産段階に入るとき及びその間に用いられて良い。
生産段階に入るときの温度、操作pH及び培地交換頻度は、典型的には、生産に最適な値に変更される。成長段階及び生産段階における温度範囲と値の例は、それぞれ、表1及び2にみることができる。約36℃の温度が、生産段階の間のCHO細胞株には好ましい。
[マイクロキャリア]
ここで用いられるように、マイクロキャリアは、懸濁液培養物(細胞に著しい剪断ダメージを与えない攪拌速度での)中で用いられることが可能であるよう十分小さい粒子である。それらは固体、多孔質であり、或いは、表面に多孔質コーティングを有する固体コアを有する。マイクロキャリアは、例えば、これらに限定されないが、セルロース又はデキストランに基づくものであってよく、それらの表面(多孔質キャリアの場合は外部及び内部の表面)は、正に帯電していてもよい。さらなる詳細は、WO 02/29083に開示されている。
一つの態様の系列において、マイクロキャリアは、約150〜350μmの全体的な粒子直径を有し;約0.8〜2.0 meq/gの正電荷密度を有する。一つの態様の系列において、マイクロキャリアは固体キャリアである。有用な固体マイクロキャリアには、これらに限定されないが、Cytodex 1TM 及び Cytodex 2 TM (Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)が含まれる。固体キャリアは、接着細胞(付着依存性細胞)には特に適している。
他の態様の系列において、マイクロキャリアは、マクロ多孔質キャリアである。ここで用いられるように、マクロ多孔質キャリアは、例えばセルロースに基づく粒子であり、これは、次の性質を有する:(a)それらは、懸濁培養物(細胞に著しい剪断ダメージを与えない攪拌速度での)中で用いられることが可能であるよう十分に小さい;及び(b)それらは、その粒子の内部空間へ細胞が移動可能であるのに十分な細部の孔及び内部空間を有する。それらの表面(外部及び内部)は、一つの態様において、正に荷電している。一つの態様の系列において、キャリアは:(a)約150〜約350 μmの全体的な粒子直径を有し;(b)約15〜約40 μmの平均孔開口直径を有し;及び(c)約0.8〜2.0 meq/gの正電荷密度を有する。幾つかの態様において、正電荷は、DEAE (N, N,-ジエチルアミノエチル)基によって提供される。有用なマクロ多孔質キャリアは、これらに限定されないが、Cytopore 1TM 及びCytopore 2 TM (Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)を含む。特に、Cytopore 1TM キャリアが好ましく、これは、平均直径230 μm、平均孔サイズ30 μm、及び正電荷密度1.1 meq/gを有する。
[大規模培養条件]
ここで用いられるように、大規模培養容器は、少なくとも約100Lの容量を有し、好ましくは少なくとも約500L、より好ましくは少なくとも約1000L、及び最も好ましくは少なくとも約5000Lの容量を有する。細胞培養プロセスが少なくとも二つの異なる培養容器で操作される場合、そのような一以上の播種培養容器(第一の増殖段階)は、生産培養容器(生産段階に続く最後の増殖段階)が続き、次いで、該プロセスは、典型的には、約50Lの増殖された播種培養物(約1.0 x 106 cells/mLを有する)を、150Lの培養培地を含有する500Lの培養容器に移動することを含む。大規模培養は、例えば温度、pH,溶解酸素張力(DOT)及び攪拌速度などの適切な条件下で維持され、その容量は、培養容器に培地を追加することによって次第に増加される。マイクロキャリアプロセスの場合、培養容器もまた、1〜10 g/Lの範囲の最終マイクロキャリア濃度に対応する量のマイクロキャリアを含む。移動の後、細胞は典型的には、最初の24時間以内にキャリアの表面或いはキャリアの内部へ移動する。
[培地]
「細胞培養培地」及び「培養培地」(或いは単に「培地」)という語は、以下のカテゴリーの一以上から少なくとも一つの成分を典型的に提供する、真核生物細胞を成長させるために用いられる栄養溶液を指す:(1)培地の重量モル浸透圧濃度に寄与する、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム等の塩;(2)通常グルコースのような糖の形体であるエネルギー源;(3)全ての必須アミノ酸、及び通常の20アミノ酸の基本セット;(4)低濃度で必要なビタミン及び/又は他の有機成分;及び(5)微量元素、ここにおいて、微量元素は、典型的には極めて低い濃度、通常はマイクロモーラーの範囲で必要とされる無機成分として定義される。栄養溶液は、任意に、次のカテゴリーの任意のものから一以上の成分を補充されてもよい: (a) 動物血清; (b) ホルモン及び他の成長因子、例えば、インスリン、トランスフェリン、及び上皮成長因子;及び(c) タンパク質及び組織の加水分解産物。
本発明は、真核生物細胞を、動物由来成分、例えば血清又は血清成分を含む培地で、並びに、動物由来成分を欠く培地で培養することを包含する。動物由来成分(例えばウシ胎仔血清(FBS)のような)を含む細胞培養培地は、5%より多くの血清を含んでもよく、又は、0%〜5%の血清、例えば0%〜1%の血清又は0%〜0.1%の血清を含んでもよい。
動物由来成分を欠く培地が好ましい。ここで用いられるように、「動物由来」成分は、無処置の動物で生産された任意の成分(例えば、血清から単離され精製されたタンパク質のような)、或いは、無処理の動物で生産された成分を用いて生産された任意の成分(例えば、植物源物質を加水分解するための動物から単離及び精製された酵素を用いて作られたアミノ酸のような)である。対照的に、動物タンパク質の配列を有する(即ち、動物に遺伝子起源を有する)が、無処理の動物で生産され、単離及び精製された成分を欠く培地中でのインビトロの細胞培養物(例えば、組換え酵母又は細菌細胞中で、或いは確立された連続的真核生物細胞株、組換え又は組換えでない)中で生産されたタンパク質は、「動物由来」成分ではない(例えば、酵母又は細菌で生産されたインスリン、或いは、例えばCHO、BHK 又はHEK細胞のような確立された哺乳類細胞株で生産されたインスリン、或いは、ナマルワ(Namalwa)細胞で生産されたインターフェロン)。例えば、動物タンパク質の配列を有する(即ち、動物の遺伝子起源を有する)が、動物由来成分を欠く培地中で組換え細胞において生産されたタンパク質(例えば、酵母又は細菌細胞中で生産されたインスリン)は、「動物由来成分」ではない。従って、動物由来成分を欠く細胞培養培地は、組換え的に生産された動物タンパク質を含み得るものであり;そのような培地は、しかしながら、例えば動物血清又はタンパク質又は動物血清から精製された他の産物を含まない。そのような培地は、例えば、植物に由来する一以上の成分を含み得る。任意の細胞培養培地、特に、動物由来成分を欠き、本発明の条件下で細胞成長及び維持を補助するものが用いられ得る。典型的には、培地は水、重量モル浸透圧濃度制御因子、バッファー、エネルギー源、アミノ酸、無機又は組換え鉄源(recombinant iron source)、一以上の合成的又は組換え的成長因子、ビタミン、及びコファクターを含む。一つの態様において、培地は動物由来成分を欠き、また、タンパク質を欠く(「タンパク質を含まない」)。動物由来成分及び/又はタンパク質を欠く培地は、例えば、シグマ(Sigma, JRH Biosciences, Gibco and Gemini)のような商業的な供給者から入手可能である。
従来の成分に加えて、VII因子又はVII因子関連ポリペプチドの生産に適した培地は、ビタミンK(これは、VII因子のグルタミン酸残基のγ−カルボキシル化に必要である)を、約0.1〜50 mg/Litreの濃度で、好ましくは約0.5〜25 mg/Litreの濃度で、より好ましくは約1〜10 mg/Litreの濃度で、及び最も好ましくは約5 mg/Litreの濃度で含む。
本発明で用いるのに適した培地は、例えばギブコ(Gibco, and JRH Biosciences)のような商業的な供給者から入手可能である。
一つの態様において、培地は表3に示したように構成され、任意に、表4に示す成分の一以上を補充される。
下記の表(表3)は、本発明で用いられるのに適した培地の組成である。任意に、表4にリストされた成分の一以上が培養培地に添加される。好ましい範囲は、表4にリストされている。一つの態様において、用いられる培地は、メディウム318-Xであり、他の態様において、それは培地CHO-Kである。
Figure 0004740138
Figure 0004740138
Figure 0004740138
任意の成分
Figure 0004740138
他の態様において、用いられる培地は、以下の組成を有する(318-U 培地):
Figure 0004740138
Figure 0004740138
該培地は好ましくは、動物由来成分を欠く培地であり、又は、動物由来成分を欠きまたタンパク質を欠く(「タンパク質を含まない」)培地である。
一つの態様において、培地は商業的に入手可能な、動物由来成分を欠くタンパク質を含まないCHO培地(JRH Biosciences)であり、細胞株はCHO細胞である。一つの態様において、培地は318-X メディウムであり、細胞株はBHK細胞株である;他の態様において、培地は318-U メディウムであり、細胞株はBHK細胞株である。他の態様において、培地はCHO-Kメディウムであり、細胞株はCHO細胞株である。
幾つかの態様において、本発明の実施において用いられる細胞は、動物由来成分を欠く培地、例えば血清を欠く培地での懸濁液成長に適応される。そのような適応方法は、例えば、「Scharfenberg, et al., Animal Cell Technology Developments towards the 21st Century」、「E. C. Beuvery et al. (Eds.), Kluwer Academic Publishers, pp. 619-623, 1995 (BHK and CHO cells)」;「Cruz, Biotechnol. Tech. 11:117-120, 1997 (insect cells)」;「Keen, Cytotechnol. 17:203-211, 1995 (myeloma cells)」;「Berg et al., Biotechniques 14:972-978, 1993 (human kidney 293 cells)」に開示されている。特に好ましい態様において、宿主細胞は、ヒトVII因子を発現するために設計され、血清又は動物由来成分の非存在下での成長に適応したBHK 21又はCHO細胞である。
[ダウンストリーム処理]
一旦、培地が培養容器から除去されれば、それは所望のタンパク質を得るための一以上の処理工程に供され、これらに限定されないが、キャリアに固定化されていない細胞を除去するための遠心分離又は濾過;親和性クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動的方法(例えば、分取等電点電気泳動(IEF))、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、或いは抽出等が含まれる。一般には、「Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982」;及び「Protein Purification, J.-C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989」を参照されたい。
VII因子又はVII因子関連ポリペプチドの精製は、例えば抗VII因子抗体カラム(例えば、Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097, 1986;及びThim et al., Biochem. 27:7785, 1988を参照されたい)での親和性クロマトグラフィー、及び、XIIa因子、或いは例えばIXa因子、カリクレイン、Xa因子、及びトロンビンのような、他のトリプシン様特異性を有するプロテアーゼを用いた、タンパク分解的切断による活性化を含む。例えば、「Osterud et al., Biochem. 11:2853 (1972);Thomas, 米国特許第4,456,591号;及びHedner et al., J. Clin. Invest. 71:1836 (1983)」を参照されたい。或いは、VII因子は、Mono Q(登録商標)(Pharmacia)などのようなイオン交換クロマトグラフィーカラムを通すことによって活性化され得る。
以下の実施例は、本発明を非限定的に説明するよう意図される。
[実験]
一般的な方法
VII因子ポリペプチドの生物学的活性の測定に適したアッセイ
本発明に従って有用なVII因子ポリペプチドは、簡単な予備的インビトロ試験として行うことができる適切なアッセイによって選択され得る。例として、本発明の明細書は、VII因子ポリペプチドの活性のための簡単な試験(「インビトロ加水分解アッセイ」と題する)を記載する。
インビトロ加水分解アッセイ(アッセイ1)
天然の(野生型)VIIa因子及びVII因子ポリペプチド(何れもこれ以後、「VIIa因子」と称す)の比活性がアッセイされ得る。それらは、同時にアッセイされてそれらの比活性が直接比較され得る。アッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で行われる。色素生産性基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288, Chromogenix, Sweden)、最終濃度 1 mMを、0.1 M NaCl、5 mM CaCl2 及び1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む50 mM HEPES、pH 7.4中のVIIa因子(最終濃度100 nM)に添加する。405 nmでの吸光度を、SpectraMaxTM 340 プレートリーダー(Molecular Devices, USA)で連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発達した吸光度は、酵素を含まないブランクウェルでの吸光度を減算した後、VII因子ポリペプチドと野生型VIIa因子の活性の間の比を算出するために用いられる:
比 = (A405 nm VII因子ポリペプチド)/(A405 nm VIIa因子野生型)。
それらに基づいて、天然のVIIa因子より低い、またはそれと匹敵する、又はそれより高い活性を有するVII因子ポリペプチドが同定され、例えば、VII因子ポリペプチドの活性と天然のVII因子(野生型FVII)の活性との間の比が、約1.0対1.0以上であるVII因子ポリペプチドなどが同定される。
また、VII因子ポリペプチドの活性は、X因子のような生理学的基質(「インビトロタンパク分解アッセイ」)を、適切には100〜1000 nMの濃度で用いて測定されることもでき、ここで、産生されたXa因子は適切な色素生産性基質(例えばS-2765)の添加後に測定される。加えて、活性アッセイは、生理学的温度で行われる。
インビトロタンパク分解アッセイ(アッセイ2)
天然の(野生型)VIIa因子及びVII因子ポリペプチド(何れもこれ以後「VIIa因子」と称する)を同時にアッセイし、それらの比活性が直接比較される。このアッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で行われる。0.1 M NaCl, 5 mM CaCl2 及び 1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含有する100 μL の50 mM HEPES, pH 7.4中の、VIIa因子(10 nM) 及び X因子(0.8 microM)を、15分インキュベートする。次いで、X因子の切断を、0.1 M NaCl, 20 mM EDTA 及び 1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含む50 μL 50 mM HEPES, pH 7.4を添加して停止する。生成したXa因子の量は、色素生産性基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)を最終濃度 0.5 mMで添加することによって測定される。405 nmでの吸光度を、SpectraMaxTM 340 プレートリーダー(Molecular Devices, USA)で連続的に測定する。10分の間に発達した吸光度は、FVIIaを含まないブランクウェルでの吸光度を減算した後、VII因子ポリペプチドと野生型VIIa因子のタンパク分解活性の間の比を算出するために用いられる:
比 = (A405 nm VII因子ポリペプチド)/(A405 nm VIIa因子野生型)。
それらに基づいて、天然のVIIa因子より低い、またはそれと匹敵する、又はそれより高い活性を有するVII因子ポリペプチドが同定され、例えば、VII因子ポリペプチドの活性と天然のVII因子(野生型FVII)の活性との間の比が、約1.0対1.0以上であるVII因子ポリペプチドなどが同定される。
例1:血清を含まないVII因子の生産
次の実験を、試験的な大規模培養でVII因子を生産するために行った。
VII因子をコードするプラスミドを形質転換したCHO K1細胞株を、動物由来成分を含まない培地での懸濁培養における成長に適応させた。適応させた細胞の貯蔵を凍結した。貯蔵からの細胞を、動物由来成分を含まない培地の懸濁液培養でスピナーボトル(spinner bottles)中で増殖した。細胞数が増大するにつれて、新しい培地を添加して容量を漸次増大させた。容量が4Lに達し、及び、細胞数が≒0.8 × 106/mlに達したとき、スピナーボトルの内容物を50Lの攪拌タンク反応器(播種反応器)に移した。50L反応器中の細胞数が増大するにつれて、新しい培地を添加し、容量を漸次増大させた。容量が50Lに達し、細胞数が≒1 x 106/mlに達したとき、50L反応器の内容物を、500 Lの攪拌タンク反応器(生産反応器)に移した。500 L反応器は、マクロ多孔質Cytopore 1 キャリア (Amersham Biosciences)を含み、細胞は、播種後24時間以内にその中に固定化された。500 L反応器における容量は、細胞数の増大につれて新しい培地を添加することによって漸次増大した。容量が450 Lに達し、細胞数が≒2 x 106/mlに達したとき、生産段階が開始され、培地交換を24時間毎に行った。攪拌を停止して、細胞含有キャリアを沈降させ、次いで、培養物上清の80%を収集し、新しい培地と交換した。収集した培養物上清を濾過して、非捕捉細胞及び細胞細片を除去し、次いで、さらなる処理に移行させた。50 L並びに500 Lのバイオリアクターは、温度、溶解酸素(マイクロスパージャーを通した酸素のスパージング)、攪拌速度、ヘッドスペースエアレーション速度及びpH(ヘッドスペースにCO2 ガスを添加することによる下方制御、塩基の添加による上方制御はなし)を制御するための器具を装着された(instrumented)。さらにその上、500 Lのバイオリアクターは溶解CO2の制御のための器具を装着された(instrumented)。オンライン CO2 測定を、YSI 8500 CO2-機器によって行った。CO2 のレベルは、CO2 シグナルに従って、チューブを通して液中に大気の空気をスパージングすることによって制御した。CO2 濃度が設定値以下であるとき、スパージング速度は培養液1L当たり0 L/分に設定し、CO2 濃度が設定値以上であるときは培養液1L当たり0.01-0.05 L/分に設定した。溶解 CO2 の設定値は160 mmHgであった。言及したように、pHを上方に制御するためのバイオリアクターへの塩基の添加は全くしなかった。生産段階の間、細胞密度は1〜2 x 107 cells/mlに達し、毎日のFVII濃度は10-20 mg/Lを収集した。pCO2 は、150-170 mmHgの範囲内に維持した。pH は、塩基を全く加えなかったにも関わらず、6.70以上に維持された。
本発明の反応容器の一つの態様を示す。

Claims (13)

  1. 培養液中に1〜12 × 106 細胞/mLの細胞密度で含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの、少なくとも100 Lの培養容器を伴う大規模生産のための方法であって、該方法は、該培養液中の溶解CO2 の濃度をモニタリングすること、及び、該培養液を通して一定に又は断続的にエアーをスパージングすることを含み、ここで、該エアーのスパージング速度は、前記培養液中の溶解CO2 のモニターされた濃度に関連して制御され、前記エアーは、前記培養液中の溶解CO 2 の濃度が、前記濃度のための設定値を含む80-200 mmHgの範囲内に維持されるのに十分な速度でスパージングされ、塩基が前記培養液に添加されていないことを特徴とする方法。
  2. 前記培養液中の溶解 CO2 の濃度設定値が、100-180 mmHgの範囲の値である、請求項に記載の方法。
  3. 前記エアーのスパージング速度が、培養液1L当たり0.000-0.100 L/分の範囲である、請求項に記載の方法。
  4. 前記エアーのスパージング速度が、モニターされた溶解CO2濃度が濃度設定値に等しいとき、培養液1L当たり0.005-0.020 L/分の範囲である、請求項に記載の方法。
  5. 請求項に記載の方法であって、前記エアーのスパージング速度が、
    溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値−5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.000-0.005 L/分の範囲であり;
    溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値+5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.010-0.100 L/分の範囲であることを特徴とする方法。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の方法であって、前記培養液に加えられる任意の固体又は液体物質の何れも、該培養液中で7.5以上の局所的なpH値の上昇をあたえないことを特徴とする方法。
  7. 前記ポリペプチドが、VII因子ポリペプチドである、請求項1〜の何れか1項に記載の方法。
  8. 培養液中に1〜12 × 10 6 細胞/mLの細胞密度で含まれる真核生物細胞中のポリペプチドの、少なくとも100 Lの培養容器を伴う大規模生産のための方法であって、該方法は、前記培養液中の溶解CO2 の濃度を、該濃度のための設定値を含む80-200 mmHgの範囲内に維持するのに十分な速度で、該培養液を通してエアーを一定に又は断続的にスパージングすることを含み、ここで、塩基が前記培養液に添加されておらず、該培養液に加えられる任意の固体又は液体物質の何れも、該培養液中で7.5以上の局所的なpH値の上昇を与えないことを特徴とする方法。
  9. 前記エアーのスパージング速度は、培養液1L当たり0.000-0.070 L/分の範囲である、請求項に記載の方法。
  10. 前記培養液中の溶解CO2 の濃度がモニターされることを特徴とする、請求項の何れか1項に記載の方法。
  11. 前記エアーのスパージング速度が、モニターされた溶解CO2濃度が濃度設定値に等しいとき、培養液1L当たり0.005-0.020 L/分の範囲である、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記エアーのスパージング速度が、
    溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値−5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.000-0.005 L/分の範囲であり;
    溶解CO2のモニターされた濃度が濃度設定値+5mmHgに等しいとき、培養液1L当たり0.010-0.100 L/分の範囲であることを特徴とする方法。
  13. 前記ポリペプチドが、VII因子ポリペプチドである、請求項12の何れか1項に記載の方法。
JP2006529650A 2003-10-10 2004-10-06 真核生物細胞におけるポリペプチドの大規模生産方法及びそれに適した培養容器 Expired - Fee Related JP4740138B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DKPA200301495 2003-10-10
DKPA200301495 2003-10-10
US51267203P 2003-10-20 2003-10-20
US60/512,672 2003-10-20
PCT/DK2004/000673 WO2005035748A1 (en) 2003-10-10 2004-10-06 Method for large-scale production of a polypeptide in eukaryote cells and a culture vessel suitable therefor

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007508003A JP2007508003A (ja) 2007-04-05
JP4740138B2 true JP4740138B2 (ja) 2011-08-03

Family

ID=44541454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006529650A Expired - Fee Related JP4740138B2 (ja) 2003-10-10 2004-10-06 真核生物細胞におけるポリペプチドの大規模生産方法及びそれに適した培養容器

Country Status (5)

Country Link
US (1) US7521210B2 (ja)
EP (1) EP1673452B1 (ja)
JP (1) JP4740138B2 (ja)
ES (1) ES2565077T3 (ja)
WO (1) WO2005035748A1 (ja)

Families Citing this family (37)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060094104A1 (en) 2004-10-29 2006-05-04 Leopold Grillberger Animal protein-free media for cultivation of cells
PL2522717T3 (pl) 2006-01-04 2014-08-29 Baxalta Inc Pożywki do hodowli komórkowych wolne od oligopeptydów
US8911964B2 (en) 2006-09-13 2014-12-16 Abbvie Inc. Fed-batch method of making human anti-TNF-alpha antibody
BRPI0716762A2 (pt) 2006-09-13 2013-09-24 Abbott Lab melhorias da cultura celular
ES2392701T3 (es) 2007-05-11 2012-12-13 Amgen Inc. Medios de alimentación mejorados
KR20190140090A (ko) 2007-07-09 2019-12-18 제넨테크, 인크. 폴리펩티드의 재조합 생산 동안의 디술피드 결합 환원의 방지
DE102008013899A1 (de) * 2008-03-12 2009-09-17 F. Hoffmann-La Roche Ag Verfahren zur Herstellung rekombinanter Proteine bei konstantem Gehalt von pCO2 im Medium
EP2921501A1 (en) 2008-10-20 2015-09-23 Abbvie Inc. Isolation and purification of antibodies using Protein A affinity chromatography
CA2738499A1 (en) 2008-10-20 2010-04-29 Abbott Laboratories Viral inactivation during purification of antibodies
US9045726B2 (en) 2009-01-29 2015-06-02 Hitachi High-Technologies Corporation Device for automatically analyzing microorganisms and method for automatically analyzing microorganisms
CN102858953B (zh) 2010-04-26 2015-09-09 诺瓦提斯公司 改进的细胞培养基
JP6282467B2 (ja) 2010-10-05 2018-02-21 ノヴォ・ノルディスク・ヘルス・ケア・アーゲー タンパク質を生産するための方法
EP2702077A2 (en) 2011-04-27 2014-03-05 AbbVie Inc. Methods for controlling the galactosylation profile of recombinantly-expressed proteins
SG2014008809A (en) 2011-09-21 2014-04-28 Hoffmann La Roche Co2 profile cultivation
CN103649299B (zh) 2011-10-28 2016-10-12 西门子公司 生产过程的监控***及其控制方法
US9181572B2 (en) 2012-04-20 2015-11-10 Abbvie, Inc. Methods to modulate lysine variant distribution
US9067990B2 (en) 2013-03-14 2015-06-30 Abbvie, Inc. Protein purification using displacement chromatography
US9334319B2 (en) 2012-04-20 2016-05-10 Abbvie Inc. Low acidic species compositions
US9249182B2 (en) 2012-05-24 2016-02-02 Abbvie, Inc. Purification of antibodies using hydrophobic interaction chromatography
KR20150043523A (ko) 2012-09-02 2015-04-22 애브비 인코포레이티드 단백질 불균일성의 제어 방법
US9512214B2 (en) 2012-09-02 2016-12-06 Abbvie, Inc. Methods to control protein heterogeneity
TWI637057B (zh) * 2012-11-09 2018-10-01 拜爾沙納有限公司 具交替生物反應器用途之不連續進料批次製程
WO2014110433A1 (en) * 2013-01-10 2014-07-17 Biogen Idec Ma Inc. Medium supplements for improved process performance
SG11201507230PA (en) 2013-03-12 2015-10-29 Abbvie Inc Human antibodies that bind human tnf-alpha and methods of preparing the same
US9499614B2 (en) 2013-03-14 2016-11-22 Abbvie Inc. Methods for modulating protein glycosylation profiles of recombinant protein therapeutics using monosaccharides and oligosaccharides
US8921526B2 (en) 2013-03-14 2014-12-30 Abbvie, Inc. Mutated anti-TNFα antibodies and methods of their use
US9017687B1 (en) 2013-10-18 2015-04-28 Abbvie, Inc. Low acidic species compositions and methods for producing and using the same using displacement chromatography
US9598667B2 (en) 2013-10-04 2017-03-21 Abbvie Inc. Use of metal ions for modulation of protein glycosylation profiles of recombinant proteins
US9085618B2 (en) 2013-10-18 2015-07-21 Abbvie, Inc. Low acidic species compositions and methods for producing and using the same
US8946395B1 (en) 2013-10-18 2015-02-03 Abbvie Inc. Purification of proteins using hydrophobic interaction chromatography
US9181337B2 (en) 2013-10-18 2015-11-10 Abbvie, Inc. Modulated lysine variant species compositions and methods for producing and using the same
US20150139988A1 (en) 2013-11-15 2015-05-21 Abbvie, Inc. Glycoengineered binding protein compositions
WO2015188224A1 (en) 2014-06-13 2015-12-17 Csl Limited Improved production of recombinant von willebrand factor in a bioreactor
ES2803773T3 (es) 2015-12-02 2021-01-29 CSL Behring Lengnau AG Medios mejorados para la expresión de proteínas recombinantes dependientes de vitamina k
EP3833381B1 (en) 2019-08-15 2022-08-03 Catalyst Biosciences, Inc. Modified factor vii polypeptides for subcutaneous administration
KR20230042125A (ko) * 2020-08-14 2023-03-27 브리스톨-마이어스 스큅 컴퍼니 단백질에 대한 제조 공정
CN114113490B (zh) * 2021-12-08 2023-11-10 中国人民解放军海军特色医学中心 一种潜水减压病过程中肺气体交换模拟检测***及方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL8500351A (nl) 1984-02-13 1985-09-02 Damon Biotech Inc Kweken van cellen met behulp van inborrelen van gas.
US4680267A (en) * 1985-03-01 1987-07-14 New Brunswick Scientific Company, Inc. Fermentor control system
FR2616798B1 (fr) * 1987-06-17 1990-04-13 Air Liquide Procede et installation de culture de microorganismes
WO1993022448A1 (en) 1992-05-01 1993-11-11 Teijin Limited Fed batch culture method for protein secreting cells
JPH09313165A (ja) * 1996-05-30 1997-12-09 Rikagaku Kenkyusho バイオリアクタ汎用検出装置
DE60137950D1 (de) 2000-10-02 2009-04-23 Novo Nordisk Healthcare Ag Verfahren zur herstellung vitamin-k-abhängiger proteine
EP1404813A4 (en) * 2001-06-13 2004-11-24 Genentech Inc METHOD FOR CULTIVATING ANIMAL CELLS AND POLYPEPTIDE PRODUCTION IN ANIMAL CELLS
HUP0402158A2 (hu) 2001-10-02 2005-01-28 Novo Nordisk Health Care Ag Rekombináns fehérjék előállítási eljárása eukarióta sejtekben

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005035748A1 (en) 2005-04-21
EP1673452A1 (en) 2006-06-28
EP1673452B1 (en) 2015-12-23
ES2565077T3 (es) 2016-03-31
US20060216790A1 (en) 2006-09-28
US7521210B2 (en) 2009-04-21
JP2007508003A (ja) 2007-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4740138B2 (ja) 真核生物細胞におけるポリペプチドの大規模生産方法及びそれに適した培養容器
JP4351049B2 (ja) 真核細胞中で組換えタンパク質を生産する方法
JP5523674B2 (ja) 植物タンパク質加水分解産物を含有する血清フリーの細胞培養液におけるポリペプチドの生産
US20090263866A1 (en) Industrial-scale Serum-free Production of Recombinant Factor VII in Mammalian Cells
JP2004510439A (ja) 哺乳動物細胞における組換えタンパク質の工業的規模の無血清製造法
US8921530B2 (en) Method for the production of proteins
RU2364626C2 (ru) Способ получения, способ очистки и способ стабилизации полипептидов фактора vii, ix и x
US20090075331A1 (en) Industrial-scale serum-free production of recombinant proteins in mammalian cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100825

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100921

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110121

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110308

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees