JP4738625B2 - 破砕機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム、プラスチック廃棄物などを細かく粉砕する際に使用される破砕機に係る。
【0002】
【従来の技術】
図4及び5に、従来の破砕機の一例を示す。
【0003】
回転刃3は、円筒状の形状を備え、その外周面に、超硬質工具などからなる多数の切刃が配列されている。回転刃3は、電動機(図示せず)によって矢印の方向に回転駆動される。供給筒2は、先端の開口部を回転刃3の外周面に向けて配置され、破砕対象のワーク1を回転刃3の外周面に向けて導く。供給筒2の先端部の下側には、回転刃3の外周面に沿って、外周面との間に僅かなクリアランスを介して、固定刃27が設けられている。供給筒2の上面には開口部が設けられ、ホッパー5が接続されている。
【0004】
供給筒2内にはプランジャー6が収容されている。プランジャー6は、エアシリンダー8によって、供給筒2内で往復駆動される。加圧源(図示せず)から供給される加圧空気は、減圧弁10で適当な圧力に調整された後、切換弁9を介してエアシリンダー8に供給される。プランジャー6の往復運動は、切換弁9を切り換えることにより、エアシリンダー8のピストンロッドを前進または後退させることによって行われる。
【0005】
図中、11はエアシリンダー8が後退限に到達したことを検知する第一センサー、12はエアシリンダー8が前進限に到達したことを検知する第二センサーである。切換弁9は、制御装置(図示せず)により、第一センサー11及び第二センサー12からの出力信号に基づいて切り換えられ、プランジャー6を往復連動させる。なお、図4はプランジャー6が後退するときの切換弁9の位置を、図5はプランジャー6が前進するときの切換弁9の位置を、それぞれ表している。
【0006】
次に、この破砕機の運転方法について説明する。
【0007】
先ず、図4に示すように、プランジャー6を後退させた状態で、破砕対象のワーク1がホッパー5から供給筒2内に投入される。次いで、図5に示すように切換弁9を切り換え、供給筒2内でプランジャー6を前進させて、ワーク1を回転刃3に対して押し付ける。ワーク1は、回転刃3によって破砕された後、回転刃3の回転に伴い、回転刃3と固定刃27との隙間に引き込まれ、更に、細かく破砕された後、容器19の下方に落下して、回収される。
【0008】
プランジャー6が、図5に示した状態から更に前進して、前進限に到達すると、第二センサー12がそれを検知する。それにより、切換弁9が図4に示した状態に切り換えられ、プランジャー6が後退を始める。プランジャー6が後退限に到達すると、第一センサー11がそれを検知する。それにより、再び、ワーク1がホッパー5から供給筒2内に投入される。上記の工程を繰返すことによって、順次、ワーク1の破砕が行われる。
【0009】
(従来の破砕機の問題点)
上記のような従来の破砕機では、供給筒2の先端の開口部が、プランジャー6の前面(押付け面)に対して全面的に開口しているために、次のような問題があった。
【0010】
即ち、ワーク1を破砕する際、ワーク1が回転刃3に接触し始めた比較的初期の段階では、ワーク1が供給筒2内に粗く充填された状態のままなので、プランジャー6による押付け力が弱い。破砕が進むに従って、供給筒2内にワーク1が密に充填されるようになり、次第に押付け力が高まる。
【0011】
このように、ワーク1の回転刃3に対する押付け力が所定の値に到達する以前の段階においても、ワーク1が回転刃3に接触する。しかし、プランジャー6による押付け力が弱い段階では、供給筒2の開口部の下部近傍にあるワーク1は、回転刃3によってほとんど破砕されずに、回転刃3と固定刃27との隙間に引き込まれる。その結果、均一な破砕粒度が得られない。
【0012】
以上のように、従来の破砕機では、ワーク1の回転刃3に対する押し付け力の変動幅が大きく、均一な破砕粒度が得られにくいと言う問題があった。また、従来の破砕機を用いて破砕粒度の均一性を改善するためには、破砕されたワーク1を分級し、再度破砕する必要があり、その結果、破砕作業の能率の低下を招くと言う問題もあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の様な従来の破砕機の問題点に鑑み成されたもので、本発明の目的は、ワークの回転刃に対する押付け力の変動幅を縮め、それによって、破砕後の粒度の均一性を改善することができる破砕機を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の破砕機は、
外周面に多数の切刃が配列された円筒状の回転刃と、
先端に開口部を有し、この開口部が前記回転刃の外周面に対して所定のクリアランスを介して向かい合うように形成され、破砕対象のワークを前記回転刃に導く筒状の供給筒と、
前記供給筒の先端の開口部の下部近傍に、前記回転刃の外周面に対して所定のクリアランスを介して向かい合うように配置された固定刃と、
前記供給筒の壁面に設けられた開口部に接続され、ワークを前記供給筒内に供給するホッパーと、
前記供給筒内に収容され、前記供給筒内に供給されたワークを前記回転刃の外周面に向けて押し出すプランジャーと、
前記プランジャーを駆動する流体圧シリンダーと、
を備えた破砕機において、
前記回転刃の駆動トルクを検出する負荷センサーと、
前記プランジャーが前進限または後退限に到達したときに、前記流体圧シリンダーへの作業流体の供給経路を切り換え、それによって、前記プランジャーの移動方向の切り換えを行う切換弁と、
前記切換弁に相対的に高圧の作業流体を供給する高圧用減圧弁と、
前記切換弁に相対的に低圧の作業流体を供給する低圧用減圧弁と、
前記高圧用減圧弁を介して前記切換弁に作業流体が供給される状態と、前記低圧用減圧弁を介して前記切換弁に作業流体が供給される状態との間で、切り換えを行う弁装置と、
前記負荷センサーからの出力信号に基づいて、前記弁装置の切り換えを行う弁制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の破砕機では、供給筒内にホッパーからワークを投入した後、プランジャーを供給筒内で前進させ、ワークを回転刃に対して押し付けて破砕する。プランジャーを前進させる際、プランジャーを駆動する流体圧シリンダーの作動流体の圧力を次のように切り換える。
【0016】
先ず、プランジャーが後退限から前進を始めた後、回転刃の駆動トルクが予め設定された所定の値に到達するまでは、高圧用減圧弁からの相対的に高圧の作業流体を、切換弁を介して流体圧シリンダーに供給する。これによって、プランジャーが高速で前進し、ホッパーから投入されたワークは、供給筒内に密な状態に速やかに充填される。次いで、回転刃の駆動トルクの負荷が予め設定された所定の値に到達したことが前記負荷センサーによって検知されたとき、前記弁制御装置から指令に基づいて前記弁装置の切り換えを行い、低圧用減圧弁からの相対的に低圧の作業流体を、切換弁に介して流体圧シリンダーに供給する。これによって、低圧の作業流体に対応する押付け力でワークの粉砕が行われる。
【0017】
以上のように、本発明の破砕機によれば、ワークを供給筒内に密に充填した後に、ほぼ一定の押付け力でワークの破砕を行うことができる。その結果、破砕の際の、ワークの回転刃に対する押付け力の変動幅が小さく抑えられるので、粉砕粒度の均一性が改善される。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に、本発明に基づく破砕機の一例を示す。図中、1はワーク、2は供給筒、3は回転刃、7は固定刃、5はホッパー、6はプランジャー、8はエアシリンダー(流体圧シリンダー)、9は切換弁、11は第一センサー、12は第二センサー、15は高圧用減圧弁、16は低圧用減圧弁、17及び18はストップバルブ(弁装置)、21は負荷センサー、23は弁制御装置を表す。
【0019】
回転刃3は、円筒状の形状を備え、その外周面に、超硬質工具などからなる多数の切刃が配列されている。回転刃3は、電動機Mによって矢印の方向に回転駆動される。回転刃3の駆動トルクは、電動機Mの駆動電流として負荷センサー21によって検出され、弁制御装置23(後述)に送信される。なお、上記の負荷センサー21として、回転刃3の駆動トルクを直接検出するトルクセンサーを用いることもできる。
【0020】
供給筒2は、先端の開口部を回転刃3の外周面に向けて配置され、破砕対象のワーク1を回転刃3の外周面に向けて導く。供給筒2の上面には開口部が設けられ、ホッパー5が接続されている。供給筒2の先端の開口部の下部近傍には、回転刃3の外周面に沿って、外周面との間に僅なクリアランスを介して、固定刃7が設けられている。この例では、固定刃7は、その上端部分が、供給筒2の先端の開口部の下部近傍を塞ぐように上方に突出している。
【0021】
供給筒2内にはプランジャー6が収容されている。プランジャー6は、エアシリンダー8によって、供給筒2内で往復駆動される。上記のような固定刃7の形状に対応して、プランジャー6の前面(押付け面)は、プランジャー6が前進限にあるとき、回転刃3の外周面及び固定刃7の上端部分に対して、僅かなクリアランスを介して向かい合うような形状に形成されている。
【0022】
なお、固定刃7の形状の他の実施例として、上端部分が供給筒2の先端の開口部の中に突出していない(即ち、供給筒2の先端の開口部がプランジャー6の前面押付面に対して全面的に開口している)形状としても良い。
【0023】
加圧空気は、加圧源(図示せず)から二つのライン(後述)を通って切換弁9に入り、切換弁9を介してエアシリンダー8に供給される。プランジャー6の往復運動は、切換弁9を切り換えることにより、エアシリンダー8のピストンロッドを前進または後退させることによって行われる。
【0024】
上記の二つラインの内の一方には、高圧減圧弁15及びストップバルブ17が設けられ、他方には、低圧減圧弁16及びストップバルブ18が設けられている。高圧減圧弁15は、加圧源からの加圧空気を所定の第一の圧力(高圧空気と呼ぶ)に調整した後、ストップバルブ17を介して切換弁9へ送る。低圧減圧弁16は、加圧源からの加圧空気を上記の第一の圧力よりも低い所定の第二の圧力(低圧空気と呼ぶ)に調整した後、ストップバルブ18を介して切換弁9へ送る。
【0025】
図中、11は、プランジャー6が後退限に到達したことを検知する第一センサー、12は、プランジャー6が前進限に到達したことを検知する第二センサーである。
【0026】
切換弁9は、制御装置(図示せず)によって、第一センサー11及び第二センサー12からの出力信号に基づいて切り換えられ、プランジャー6を往復運動させる。なお、図1はプランジャー6が後退するときの切換弁9の位置を、図2及び図3はプランジャー6が前進するときの切換弁9の位置を、それぞれ表している。
【0027】
ストップバルブ17及びストップバルブ18は、負荷センサー21からの出力信号に基づいて弁制御装置23によって制御され、切換弁9を介してエアシリンダー8に供給される加圧空気の圧力を、上記の第一の圧力及び第二の圧力の間で切り換える。
【0028】
次に、この破砕機の運転方法について説明する。
【0029】
先ず、図1に示すように、切換弁9が後退側の状態で、ストップバルブ18を閉じ、ストップバルブ17を開く。これによって、高圧用減圧弁15で圧力調整された高圧空気が切換弁9を介してエアシリンダー8に供給され、供給筒2内でプランジャー6が高速で後退する。
【0030】
プランジャー6が後退限に到達したことが、第一センサー11によって検知された後、破砕対象のワーク1がホッパー5から供給筒2内に投入される。
【0031】
次いで、図2に示すように、ストップバルブ18を閉じ、ストップバルブ17を開いた状態のままで、切換弁9を前進側に切り換える。これによって、高圧用減圧弁15で圧力調整された高圧空気が切換弁9を介してエアシリンダー8に供給され、供給筒2内でプランジャー6が高速で前進を始め、ワーク1が供給筒2の先端側に送り込まれる。このとき、ワーク1は、プランジャー6と固定刃7の上端部分の間に挟まれ、速やかに充填状態が密な状態に変わる。供給筒2内でのワーク1の充填状態の変化は、回転刃3の駆動トルクの変化となって現われ、負荷センサー21によって検出される。
【0032】
次いで、回転刃3の駆動トルクが予め設定された所定の値に到達したことが負荷センサー21によって検出されると、弁制御装置23から指令が発っせられ、ストップバルブ17を閉じ、ストップバルブ18を開く(図3に示した状態)。これによって、低圧用減圧弁16で圧力調整された低圧空気が切換弁9を介してエアシリンダー8に供給され、この低圧空気の圧力で更にプランジャー6が前進する。
【0033】
ここで、上記所定の値として、供給筒2内にワーク1が密に充填された状態に対応する回転刃3の駆動トルクの値(この例では、電動機Mの駆動電流の値)を予め設定しておく。また、上記低圧空気の圧力(第二の圧力)として、ワーク1を回転刃3に対して押し付けて粉砕する際に、その押付け力が適正な値となる圧力を予め設定しておく。
【0034】
上記所定の位置から更にプランジャー6を前進させると、図3に示すように、ワーク1は、回転刃3に対して押し付けられる。ワーク1は、回転刃3によって破砕された後、回転刃3の回転に伴い、回転刃3と固定刃7との隙間に引き込まれ、更に、細かく破砕された後、容器19の下方に落下して、回収される。
【0035】
この状態で、ワーク1の破砕が進む。プランジャー6が前進限に到達したことが、第二センサー12によって検知されたとき、切換弁9を後退側に切り換え、プランジャー6の後退を開始させる。プランジャー6の後退に伴い、回転刃3の駆動トルクが減少すると、それが負荷センサー21によって検出され、弁制御装置23に送信される。それに基づいて、弁制御装置23から指令が発っせられ、ストップバルブ18を閉じ、ストップバルブ17を開く。これによって、高圧空気の圧力でプランジャー6が高速で後退を始める。
【0036】
プランジャー6が後退限に到達したことが、第一センサー11によって検知された後、再び、ワーク1をホッパー5から供給筒2内に投入する。上記の工程を繰り返すことによって、順次、ワーク1の粉砕が行われる。
【0037】
プランジャー6の前進速度を、上記のように、回転刃3を駆動する電動機Mの負荷の値に基づいて切り換えることによって、ホッパー5から投入されたワーク1を、供給筒2内に速やかに密な状態で充填することができる。その結果、破砕の際の、ワーク1の回転刃3に対する押付け力の変動幅を小さく抑えることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の破砕機によれば、供給筒内でプランジャーを前進させてワークを供給筒内の先端側に送り込む際、その途中でプランジャーの前進速度を高速から低速に切り換えることができる。従って、前進速度を切り換える際の回転刃の駆動トルクの値を適切に設定することによって、ホッパーから投入されたワークを、供給筒内に速やかに密な状態で充填することができる。その結果、破砕の際の、ワークの回転刃に対する押付け力の変動幅を小さく抑え、粉砕粒度の均一性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく破砕機の一例を示す図であり、プランジャーが後退限にあるときの状態を表す図。
【図2】本発明に基づく破砕機の一例を示す図であり、プランジャーが前進を始める際の状態を表す図。
【図3】本発明に基づく破砕機の一例を示す図であり、ワークの破砕中の状態を表す図。
【図4】従来の破砕機の一例を示す図であり、プランジャーが後退限にあるときの状態を表す図。
【図5】従来の破砕機の一例を示す図であり、ワークの破砕中の状態を表す図。
【符号の説明】
1・・・ワーク、
2・・・供給筒、
3・・・回転刃、
5・・・ホッパー、
6・・・プランジャー、
7・・・固定刃、
8・・・エアシリンダー、
9・・・切換弁、
10・・・減圧弁、
11・・・第一センサー、
12・・・第二センサー、
15・・・高圧用減圧弁、
16・・・低圧用減圧弁、
17、18・・・ストップバルブ(弁装置)、
19・・・容器、
21・・・負荷センサー、
23・・・信号処理装置
27・・・固定刃。
Claims (1)
- 外周面に多数の切刃が配列された円筒状の回転刃と、
先端に開口部を有し、この開口部が前記回転刃の外周面に対して所定のクリアランスを介して向かい合うように形成され、破砕対象のワークを前記回転刃に導く筒状の供給筒と、
前記供給筒の先端の開口部の下部近傍に、前記回転刃の外周面に対して所定のクリアランスを介して向かい合うように配置された固定刃と、
前記供給筒の壁面に設けられた開口部に接続され、ワークを前記供給筒内に供給するホッパーと、
前記供給筒内に収容され、前記供給筒内に供給されたワークを前記回転刃の外周面に向けて押し出すプランジャーと、
前記プランジャーを駆動する流体圧シリンダーと、
を備えた破砕機において、
前記回転刃の駆動トルクを検出する負荷センサーと、
前記プランジャーが前進限または後退限に到達したときに、前記流体圧シリンダーへの作業流体の供給経路を切り換え、それによって、前記プランジャーの移動方向の切り換えを行う切換弁と、
前記切換弁に相対的に高圧の作業流体を供給する高圧用減圧弁と、
前記切換弁に相対的に低圧の作業流体を供給する低圧用減圧弁と、
前記高圧用減圧弁を介して前記切換弁に作業流体が供給される状態と、前記低圧用減圧弁を介して前記切換弁に作業流体が供給される状態との間で、切り換えを行う弁装置と、
前記負荷センサーからの出力信号に基づいて、前記弁装置の切り換えを行う弁制御装置と、
を備えたことを特徴とする破砕機。
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