JP4738225B2 - 動力システム - Google Patents
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Description
この種の動力システムは、上記蒸気発生器において、エンジン排ガス等の高温排熱により作動流体の溶液を蒸発させて当該作動流体の蒸気を発生し、上記蒸気タービンにおいて、その蒸気により得た軸動力により発電機等を駆動し、上記復水器において、蒸気タービンを駆動した後に排出された蒸気を溶液に復水させるというサイクルを実現するものである。この様なサイクルとしては、ランキンサイクルが代表的なものであるが、カリーナサイクルも同様である。
また、一般的に、この種の動力システムの復水器等において利用される冷熱源としては、大気熱を利用するように構成されており、例えば、クーリングタワー等で空冷された冷却水が、上記冷熱源として復水器等に供給される。
特に、復水器等において利用される冷熱源として、大気熱等のように、季節の変化などの要因でその温度が大幅に変化するようなものを利用する場合には、冬場などにおいてその冷熱源の温度が極めて低くなって、復水器の圧力が過剰に低下することが懸念される。
前記作動流体が、前記低沸点媒体としてのアンモニアと前記高沸点媒体としての水とを混合してなる水−アンモニア系の作動流体であり、
前記復水器での当該作動流体におけるアンモニア濃度が、前記復水器に通ずる冷却水温度の関数として決定され、
前記蒸気タービンを動力源として駆動する圧縮機を備えたヒートポンプ回路を備え、
前記復水器において前記蒸気を冷却して得た温熱により前記ヒートポンプ回路の蒸発器に通ずる温熱源を加熱するように構成されている点にある。
尚、本発明において、復水器で起り得る最低圧力が設定される大気圧近傍圧力とは、復水器での圧力として設定した場合に、動力サイクル回路への外気の侵入を抑制し得る復水器での圧力範囲において、サイクル効率を許容範囲内に維持できるできるだけ低い圧力を示し、例えば、101.3kPa以上且つ151.3の範囲内の圧力とすることができる。
そこで、上記第1特徴構成によれば、上記動力サイクル回路における復水器では、その復水器で起り得る最低圧力が大気圧近傍圧力となるように、復水器での作動流体における液部の低沸点媒体の濃度を決定する。よって、復水器の圧力が冬季等において起り得る最低圧力となったときでは、その復水器の圧力が、動力サイクル回路側への外気の侵入を抑制し得る圧力下限以上に維持されていることから、その動力サイクル回路側への外気の侵入によるサイクル効率の低下を抑制することができる。一方、復水器での作動流体における低沸点媒体の濃度が、復水器での圧力がサイクル効率を許容範囲内に維持できるできるだけ低い圧力となるように決定されていることから、復水器での圧力が夏季等において想定し得る最高圧力となったときでも、蒸気タービンの蒸気流入部での圧力に対する復水器の圧力差の縮小によるサイクル効率の低下を最小限に抑制することができる。
即ち、復水器でのその作動流体におけるアンモニア濃度は、この復水器に通ずる冷却水温度に対して、復水器で起り得る最低圧力が大気圧近傍圧力となる範囲内に決定し、この範囲とは、例えば、冷却水温度が5℃のときには44.7重量%以上且つ51.3重量%以下の範囲、冷却水温度が15℃のときには38.5重量%以上且つ44.6重量%以下の範囲、冷却水温度が32℃のときには29.0重量%以上且つ34.6重量%以下の範囲となる。尚、例示した夫々の濃度範囲における冷却水温度は、対応する作動流体の溶液の飽和圧力が101.3kPa〜151.3kPaの範囲内にあるときのものである。
また、復水器でのその作動流体におけるアンモニア濃度を、前記復水器に通ずる冷却水温度の関数として決定するのは、この冷却水温度が復水器での作動流体の温度に最も近く、且つ、作動流体の温度よりも低いからである。
そして、上記アンモニア濃度が上記範囲の下限値よりも低い場合には、復水器で起こり得る最低圧力が低くなりすぎて、動力サイクル回路への外気の侵入によるサイクル効率の低下が懸念され、逆に、上記アンモニア濃度が上記範囲の上限値よりも高い場合には、復水器の圧力が高くなって、蒸気タービンの蒸気流入部での圧力に対する復水器の圧力差の縮小によるサイクル効率の低下が懸念される。
さらに、本特徴構成によれば、上記のようなヒートポンプ回路を備え、例えばヒートポンプ回路の凝縮器において暖房用の温熱を生成するように構成する場合には、復水器において前記蒸気を冷却して得た温熱を、蒸発器に供給する温熱源として有効利用することができる。
前記復水器との間で循環する前記溶液を低温排熱により加熱して前記溶液から前記低沸点媒体の蒸気を分離する再生器を備えて、前記再生器で分離した前記低沸点媒体の蒸気を、前記供給ポンプから前記蒸気発生器までの前記溶液に吸収させる、又は、前記蒸気タービンの低圧段に供給するように構成され、
前記再生器から前記復水器に供給される前記溶液を冷却する冷却器を備えた点にある。
一方、この再生器において低沸点媒体が低濃度となった作動流体の溶液を復水器に返すことで、復水器において、低沸点媒体が低濃度の作動流体の溶液に対して、蒸気タービンから排出される低沸点媒体の蒸気を効率良く吸収させることができる。ここで、復水器で発生する作動流体の凝縮熱と低沸点媒体の吸収熱を効率良く取り去るために、復水器での冷却に加えて、上記冷却器により再生器から復水器に供給される作動流体を冷却すれば、復水器での低沸点媒体の吸収能力を一層高くすることができ、サイクル効率の向上に寄与することができる。
図1に示す動力システムは、高温排熱としてのエンジン20から排出されるエンジン排ガスの排熱を高温排熱とし、エンジン20を冷却するエンジン冷却水の排熱を低温排熱として、これらエンジン排ガスとエンジン冷却水とから効率良く排熱回収して、蒸気タービン2により軸動力を出力するサイクルを利用するように構成されている。
更に、この動力システムは、低沸点媒体としてのアンモニアと、当該アンモニアを吸収可能な高沸点媒体としての水との水−アンモニア系等の非共沸混合媒体を作動流体として用いた吸収サイクルを利用するように構成されている。
そして、この蒸気タービン2が出力する軸動力は、後述するヒートポンプ回路50に設けられた圧縮機51を駆動する駆動源として利用される。
この再生器4には、エンジン冷却水が通流する加熱管4aが配設され、その加熱管4a内に、エンジン20との間でポンプ23により循環されるエンジン冷却水を通流させることにより、作動流体の溶液とエンジン冷却水との熱交換が行われる。
そして、この吸収器5で生成された高濃度の作動流体の溶液が、供給ポンプ16により配管15を通じて蒸気発生器1に供給される。
即ち、この熱交換器6により、配管18内を通流し再生器4でエンジン冷却水により加熱されて比較的高温となった溶液と、復水器3で冷却水により冷却され比較的低温となった溶液との熱交換を行って、再生器4における加熱効率、及び、復水器3における冷却効率を向上させることができる。
この冷却器7により、再生器4から復水器3に供給される溶液の温度を一層低くすることができ、復水器3での蒸気タービン2から排出されるアンモニアに対する溶液の吸収能力を高くして、サイクル効率の向上が図られている。
即ち、上記復水器3更には冷却器7における冷却用の冷熱源としては、地中熱が利用されている。
これに対して、本実施形態の動力システムでは、復水器3での水−アンモニア系の作動流体のアンモニア濃度が、上記従来の動力サイクルでのアンモニア濃度とは異なって、上記復水器3で起り得る最低圧力が上記大気圧近傍圧力となるように、前記復水器に通ずる冷却水温度の関数として決定されており、例えば、冷却水回路30を循環する冷却水温度が15℃の場合には、38.5重量%以上且つ44.6重量%以下の範囲内に決定されている。
尚、ここで冷却水回路30を循環する冷却水温度としては、復水器3の入口側又は出口側の冷却水の温度や、地中熱交換器33に通ずる冷却水の温度等の何れの箇所において測定した温度を用いても構わない。
また、このようなアンモニア濃度の冷却水温度に応じた調整については、1日毎のバッチ調整で行っても良いし、連続調整ができるように工夫して行っても良い。
上記ヒートポンプ回路50は、公知の如く、冷媒を圧縮する圧縮機51と、冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮器52と、冷媒を膨張させて減圧させる膨張弁53と、冷媒に吸熱させて蒸発させる蒸発器54との順に夫々を循環するように構成されている。
そして、上記凝縮器52においては、その冷媒との熱交換により温水を生成し、その温水を給湯用や暖房用の温水として利用することができる。
(1)上記実施の形態では、蒸気タービン2の軸出力を増加させるために、復水器3と蒸気発生器1との間に吸収器5を設けて、この吸収器5において、復水器3から蒸気発生器1に供給される作動流体の溶液に、再生器4から供給されたアンモニアである低沸点媒体の蒸気を吸収させるように構成したが、この吸収器5を省略すると共に、蒸気タービン3を、蒸気の流通方向において高圧段と低圧段とを直列に配置してなる多段式に構成して、再生器4から供給された低沸点媒体の蒸気を、上記蒸気タービン3の低圧段に供給することで、この蒸気タービン3の低圧段に供給される蒸気の流量を増加させるように構成しても構わない。
2:蒸気タービン
3:復水器
4:再生器
5:吸収器
7:冷却器
10:動力サイクル回路
16:供給ポンプ
33:地中熱交換器
50:ヒートポンプ回路
51:圧縮機
Claims (3)
- 高沸点媒体と低沸点媒体とを混合してなる作動流体が、当該作動流体の溶液を加熱して蒸気を発生する蒸気発生器と、前記蒸気発生器から供給された前記蒸気により駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排出された前記蒸気を冷却して前記溶液に復水させる復水器と、前記復水器から供給された前記溶液を前記蒸気発生器に供給する供給ポンプとの順に夫々を循環する動力サイクル回路を備えた動力システムであって、
前記動力サイクル回路における前記復水器で起り得る最低圧力が大気圧近傍圧力となるように、前記復水器での前記作動流体の低沸点媒体の濃度が決定され、
前記作動流体が、前記低沸点媒体としてのアンモニアと前記高沸点媒体としての水とを混合してなる水−アンモニア系の作動流体であり、
前記復水器での当該作動流体におけるアンモニア濃度が、前記復水器に通ずる冷却水温度の関数として決定され、
前記蒸気タービンを動力源として駆動する圧縮機を備えたヒートポンプ回路を備え、
前記復水器において前記蒸気を冷却して得た温熱により前記ヒートポンプ回路の蒸発器に通ずる温熱源を加熱するように構成されている動力システム。 - 前記蒸気発生器が、前記溶液を高温排熱により加熱し、
前記復水器との間で循環する前記溶液を低温排熱により加熱して前記溶液から前記低沸点媒体の蒸気を分離する再生器を備えて、前記再生器で分離した前記低沸点媒体の蒸気を、前記供給ポンプから前記蒸気発生器までの前記溶液に吸収させる、又は、前記蒸気タービンの低圧段に供給するように構成され、
前記再生器から前記復水器に供給される前記溶液を冷却する冷却器を備えた請求項1に記載の動力システム。 - 冷却用の冷熱源として地中熱を利用するように構成されている請求項1又は2に記載の動力システム。
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