JP4736032B2 - 酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲットとその製法、および酸化亜鉛系導電膜の製法 - Google Patents

酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲットとその製法、および酸化亜鉛系導電膜の製法 Download PDF

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Description

本発明は、イオンプレーティング法によって酸化亜鉛系導電膜を製造する際に用いるターゲットとその製法、並びに、酸化亜鉛系導電膜の製法に関するものであり、特にイオンプレーティング法で酸化亜鉛系導電膜を製造する際に、蒸発材であるターゲットの加熱時に生じるスプラッシュ現象を防止乃至抑制し、ピンホール欠陥などのない均質で高性能の導電膜を得るための改良技術に関するものである。
近年、酸化亜鉛系導電膜の性能改善は著しく進んでおり、主な特性の一つである比抵抗値についてみると、実験室レベルではITO(インジウム錫酸化物)膜に比べても遜色のない低い値が得られる様になってきている。このためインジウム資源の枯渇が懸念される昨今、高価なインジウムを必須成分として含むITO膜に代わる次世代の導電膜として、酸化亜鉛系導電膜に対する期待が高まっている。
量産レベルで酸化亜鉛系導電膜を製造する代表的な方法としては直流マグネトロンスパッタリング法が知られており、この方法は、製膜速度や製膜面積の点で優れている。しかし、スパッタリング法で酸化亜鉛系導電膜を形成しようとした場合、基板上に大きな抵抗率分布(エロージョン対向部での抵抗率の増大)を生じることがある。
これに対し、特許文献1,2などに記載されているイオンプレーティング法は、プラズマガンや電子銃で蒸発原料(ターゲット)にプラズマビームや電子ビームを照射し、ターゲットを蒸発させると共にイオン化させて基板上に蒸着させる方法であり、大きな抵抗率分布を生じることがなく、比抵抗の小さな酸化亜鉛系導電膜を高い製膜速度で製造することができ、更には大きな製膜面積にも対応できるといった利点を有している。
しかし、蒸発材料(ターゲット)である酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング法により蒸発させてイオン化し薄膜を形成する方法では、加熱時に蒸発材料のスプラッシュが起こり、蒸着膜に粒子が付着してピンホール欠陥を起こすという問題があり、その解決が望まれていた。
上記スプラッシュとは、次の様な現象をいう。即ち、真空中で蒸発材料(ターゲット)にプラズマビームや電子ビームを照射して加熱すると、蒸発材料はある温度に達した時点で気化し、原子状態で均一な蒸発が始まる。スプラッシュとは、この際に、均一な蒸発ガスに混じって数μm〜1000μm程度の目に見える大きさの飛沫が蒸発材料から飛び出して蒸着膜に衝突する現象をいう。この現象が起こると、飛沫の衝突によって蒸着膜にピンホール欠陥を起こす原因となり、蒸着膜の均質性を著しく害するばかりか導電膜としての性能を著しく劣化させる。
この様な現象が起こる原因としては、ターゲット内に含まれる気泡が、プラズマビームや電子ビーム等の高エネルギーによる熱衝撃や静電荷チャージアップ等によって爆発し、これがスプラッシュを誘発していることが考えられる。
特開2004−95223号公報 特開平10−18026号公報
本発明は上記の様な問題に鑑みてなされたものであり、蒸発材料(ターゲット)として用いる酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング法によって蒸発させ、イオン化させて酸化亜鉛系の導電膜を形成する際に、加熱蒸発時に生じるスプラッシュを防止もしくは抑制し、欠陥のない酸化亜鉛系薄膜を安定して得ることのできるターゲットを提供すると共に、該ターゲットの有用な製法を提供し、更には該ターゲットを用いて高品質の酸化亜鉛系導電膜を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係るイオンプレーティング用ターゲットとは、酸化亜鉛主体の焼結体からなり、X線回折分析において(100)面、(002)面および(101)面に回折ピークを有し、該回折ピークのうち何れか1以上の半値幅が0.110度以下であるところに特徴を有している。
上記焼結体は、酸化亜鉛の含有量が80質量%以上である酸化亜鉛系粉末を予備成形してから焼結したものが好ましく、中でも、3B族、4B族、7B族から選ばれる少なくとも1種の元素を0.003〜20質量%含有させた酸化亜鉛系粉末は、それら元素のドーピング効果によって導電性が一段と高められるので好ましい。また本発明に係る上記ターゲットの明度は、国際照明委員会が規定するCIE 1976空間で測定される明度のL値で65.0〜99.5の範囲のものが好ましい。
また本発明の製法は、上記イオンプレーティング用ターゲットの有用な製法として位置付けられる発明であり、600〜1600℃で焼成されており、且つ最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が2〜30μmである酸化亜鉛系焼成粉末5〜99質量%と、最大粒子径が20μm以下で平均粒子径が0.1〜2μmである酸化亜鉛系未焼成粉末1〜95質量%を含む均一混合物を予備成形した後、600〜1600℃で焼結するところに要旨が存在する。
また、上記ターゲットを使用し、イオンプレーティング法によって酸化亜鉛系導電膜を形成する方法も、本発明の技術的範囲に包含される。
本発明によれば、酸化亜鉛主体の焼結体からなるイオンプレーティング用ターゲットとして、X線回折分析において(100)面、(002)面および(101)面に回折ピークを有し、これら回折ピークのうち何れかの半値幅が0.110度以下である酸化亜鉛系焼結体を使用することによって、スプラッシュの発生がなく、均質で安定した性能の酸化亜鉛系導電膜を得ることができる。
本発明のターゲットは、上記の様にイオンプレーティング用の蒸発材として用いられる酸化亜鉛主体の焼結体であって、X線回折分析において(100)面、(002)面および(101)面に回折ピークを有し、これら回折ピークのうち何れかの半値幅が0.110度以下であるところに特徴を有している。
まず酸化亜鉛系焼結体のX線回折強度であるが、酸化亜鉛がX線回折特性として(100)面、(002)面および(101)面に主な回折ピークを有していることは知られており、これらのピークは酸化亜鉛に固有のものである。しかしその半値幅は、酸化亜鉛系焼結体の結晶状態によって著しく変わり、結晶化が十分に進行しておらず、微細な結晶あるいは様々なサイズの結晶の集合体である場合は、各面の回折ピークはブロードとなって半値幅は大きくなる。これに対し、結晶化が進行して結晶サイズが大きくなると、各面の回折ピークはシャープとなり、半値幅は小さくなる。
本発明者らは、予備実験によって認識した『酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング用ターゲットとして使用する際に見られる前記スプラッシュ現象は、用いる酸化亜鉛系焼結体の結晶化度の影響を強く受ける』という知見の下で、各面の半値幅がスプラッシュ現象に及ぼす影響を定量的に把握すべく研究を進めた。
その結果、上記(100)面、(002)面および(101)面のうち少なくとも1つの面のピークが半値幅で0.110度以下の値を示し、回折ピークがシャープなものは、高エネルギービームを受けたときに生じるスプラッシュが著しく抑制され、その結果として、均質で欠陥のない酸化亜鉛系導電膜が得られることを突き止めた。より好ましい半値幅は0.105度以下である。またこの様に小さな半値幅を示すものは、上記3つの面ピークのうち1つだけでもよいが、好ましいのは2つの面ピーク、更に好ましくは3つの面ピークの全ての半値幅が0.110度以下であるものは、スプラッシュがより一層少なくなることを確認している。
上記3つ面のX線回折ピークの半値幅を小さくすることでスプラッシュが抑えられる理由は、現在のところまだ十分に解明されていないが、次の様なことが考えられる。すなわち、X線回折ピークの半値幅が小さいということは結晶の粒子径が均一であることを意味しており、高エネルギービームを受けたときに焼結体が均一に蒸発するためと思われる。いずれにしても、回折ピークの半値幅に反映される酸化亜鉛結晶の進行状態が、スプラッシュに何らかの影響をもたらしていることは、後記実施例からも明白である。
本発明でターゲットとして用いる酸化亜鉛系焼結体は、酸化亜鉛に導電性付与成分をドープして導電性を付与したものであってもよく、3B族、4B族および7B族から選択される元素、具体的には、B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pb,F,Cl,Br,Iの1種または2種以上をドーピングしたものが使用される。それら元素のドーピング量は、元素の種類や求められる導電性の程度によっても変わってくるので一律に決めることはできないが、標準的なのは0.003〜20質量%程度であり、より好ましくは0.01〜10質量%程度である。
尚、上記酸化亜鉛系焼結体は、追って詳述する如く少なくとも2種類の酸化亜鉛系粉末を混合し、予備成形した後焼成することによって製造されるが、焼結体としての明度は、国際照明委員会が規定するCIE 1976空間で測定されるL値で65.0〜99.5の範囲に収まるものが好ましい。ちなみに、L値が65.0を下回るものはドーピング量が過剰であり、逆にL値が99.5を上回るものではドーピング量不足となり、いずれもやや性能不足となる。尚このL値は、上記で規定する3つ面の回折ピークの半値幅が反映される結晶サイズに影響を及ぼすと考えられ、結果的にスプラッシュにも影響すると考えられる。
次に、上記特性を備えたイオンプレーティング用ターゲットを得るための有用な製造方法について説明する。
本発明の製法では、上記特性を備えたターゲットを得るための方法として、以下に詳述する如く焼成温度と粒子径の特定された酸化亜鉛系焼成粉末(A)と、粒子径の特定された酸化亜鉛系未焼成粉末(B)を使用し、これらを所定の比率で均一に混合してから所定の温度で焼結する方法を採用する。
具体的には、酸化亜鉛系焼成粉末(A)として、600〜1600℃で焼成されて結晶化が進行した焼成粉末であって、最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が2〜30μmである焼成粉末を使用すると共に、酸化亜鉛系未焼成粉末(B)として、最大粒子径が20μm以下で平均粒子径が0.1〜2μmである未焼成粉末を使用する。そして、これら酸化亜鉛系焼成粉末(A)と酸化亜鉛系未焼成粉末(B)を、前者5〜99質量%、後者1〜95質量%の範囲となる様に配合して均一混合し、これを機械プレスや静水圧プレスなど任意の方法で予備成形した後、600〜1600℃で焼結する。
上記製造方法における最大の狙いは、予め高温で焼成しておくことにより結晶の成長を進めると共に、その後の焼結工程で体積収縮を起こさない様にした酸化亜鉛系焼成粉末(A)を、ターゲット(焼結体)の骨格成分とし、これと混合使用される酸化亜鉛系未焼成粉末(B)は、最大粒径および平均粒径が相対的に小さく、焼結工程では拡散接合する言わばバインダー成分とし、これらを混合し予備成形してから焼成することで、結晶化の進んだ酸化亜鉛系焼成粉末(A)を骨格成分とすることにより、X線回折分析による前記3つの面の少なくとも1つの回折ピーク半値幅を小さく抑えるところにある。
こうした狙いを実現するため本発明の製法では、酸化亜鉛系焼成粉末(A)と酸化亜鉛系未焼成粉末(B)の諸元と含有比率および焼結温度を規定しているが、それらを定めた理由は次の通りである。
まず酸化亜鉛系焼成粉末(A)は、600〜1600℃で予め焼成されたものでなければならない。この酸化亜鉛系焼成粉末(A)は、前述した通り焼結体の骨格成分となるもので、それ自身、結晶化が十分に進んでいることが必要であり、そのためには少なくとも600℃以上、好ましくは800℃以上の温度で焼成したものでなければならず、より好ましくは焼結体を得る際の焼結温度以上で予備焼成したものを使用するのがよい。
該酸化亜鉛系焼成粉末(A)の好ましい粒度構成は、最大粒子径が150μm以下で且つ平均粒子径が2〜30μmである。この粒度構成は、該焼成粉末(A)の骨格成分としての作用を有効に発揮させる上で重要であり、最大粒子径が150μmを超え、或いは平均粒子径が30μmを超えると、骨格成分として粗粒に過ぎるためターゲットが均質性不足となるほか強度も不足気味となり、品質安定性に欠けるものとなる。一方、平均粒子径が小さ過ぎると、骨格成分として微細に過ぎるためターゲットが緻密になり過ぎる。均質な焼結体を得るうえでより好ましい骨格成分の粒度構成は、最大粒子径が130μm以下、より好ましくは110μm以下で、平均粒子径が2〜25μm、より好ましくは2〜20μmである。
一方、酸化亜鉛系未焼成粉末(B)としては、最大粒子径が20μm以下で平均粒子径が0.1〜2μmの粉末が使用される。この未焼成粉末(B)は、前記焼成粉末(A)と混合した後の焼結過程で焼結し、該焼成粉末(A)に対し言わばバインダーとしての機能を果たす成分であり、未焼成状態であることを必須とする。ここで未焼成状態とは、前記焼成粉末(A)と混合した後の焼結工程で焼結する余地を残した状態を意味し、全く焼成していないか部分焼成状態で完全な焼結状態に達していない状態をいう。
該未焼成粉末(B)の最大粒子径を20μm以下、平均粒子径を0.1〜2μmと定めたのは、最大粒子径および平均粒子径が大き過ぎると、骨格成分となる前記焼成粉末(A)に対しバインダーとしての機能が発揮され難くなって焼結体(ターゲット)が強度不足になるか保形性を失い、また平均粒子径が小さ過ぎると、過剰な粒子成長が起こって粒子径が不均一になるといった問題を生じる原因になる。こうした観点から、該未焼成粉末(B)のより好ましい最大粒子径は15μm以下、より好ましくは10μm以下で、平均粒子径は0.3〜2μm、より好ましくは0.5〜1.5μmの範囲である。
上記酸化亜鉛系焼成粉末(A)と酸化亜鉛系未焼成粉末(B)の配合割合は、前者5〜99質量部に対して後者95〜1質量部、より好ましくは前者10〜90質量部に対して後者90〜10質量部の範囲であり、前者が多過ぎる場合(即ち、後者が不足する場合)は、焼成体(ターゲット)が強度不足となり、逆に前者が少な過ぎる場合(即ち、後者が多過ぎる場合)は、過剰な粒子成長が起こって結晶の粒子径が不均一となり、何れも本発明の目的にそぐわなくなる。混合方法にも一切制限がなく、例えばボールミル、ホモジナイザー、へンシェルミキサーなどを使用する公知の混合法を採用すればよい。
3B族、4B族、7B族から選択される元素を混合する場合の混合方法にも一切制限がなく、上記元素から選ばれる1種または2種以上を、上記酸化亜鉛系粉末に対して適量配合し、ボールミル、ホモジナイザー、ヘンシェルミキサーなど公知の混合装置を用いて混合すればよい。なお、上記選択元素を混合するのは、これらの元素を適量含有させることで酸化亜鉛焼結体の導電性を高め、導電性材料としての特性を高めるためであって、こうした添加効果を有効に発揮させる上で好ましいのは、酸化亜鉛系粉末に対して0.003質量以上、より好ましくは0.01質量%以上である。しかし、これら元素の含有量が多過ぎると、添加量に応じた効果の増加が認められず逆に不純物として作用して導電性を阻害するなどの障害が現れてくるので、多くとも20質量%以下、より好ましくは15質量%以下に抑えるのがよい。
上記酸化亜鉛系焼成粉末(A)と酸化亜鉛系未焼成粉末(B)を上記好適範囲内で配合し、或いは更に上記選択元素を配合して均一混合したのち、予備成形してから所定温度で加熱焼結すれば、適度の強度を有し、且つX線回折分析で前述した所定の回折ピーク半値幅を有する複合酸化物からなるターゲットを得ることができる。
焼結温度は600℃〜1600℃が望ましい。焼結温度が600℃未満では十分な焼結が起こらず、焼結体自身が崩れ易くなる。しかし、焼結温度が1600℃を超えて高くなり過ぎると、焼成炉内で酸化亜鉛の蒸発が起こって焼成炉を汚染するので好ましくない。こうした観点からより好ましい焼結温度は700℃以上、1500℃以下、更に好ましくは800℃以上、1400℃以下である。焼結時間は特に制限されないが、通常は2時間程度以上で十分であり、標準的には3時間程度以上とされる。時間に上限は存在しないが、5時間以上に延長することは全く無駄であるので、通常は5時間程度以下が採用される。焼結雰囲気は、大気雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれでもよい。
かくして得られる本発明のターゲットは、前述した如くプラズマビームや電子ビームなどの高エネルギービームで加熱したときでも、熱衝撃で亀裂を起こしたり崩壊したりすることがなく、且つスプラッシュ現象を起こすこともないので、得られる酸化亜鉛系導電膜はピンホール欠陥などのない均質で高性能のものとなり、近い将来、ITO膜などに代替可能な廉価な導電膜素材として実用化が期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
最大粒子径が75μm以下で平均粒子径が10μmであり、約1400℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末65質量部と、ハクスイテック社製の酸化亜鉛1種(最大粒子径;20μm以下、平均粒子径;約1μm、未焼成粉末)35質量部を使用し、ボールミルを用いて十分混合した。
その後、機械プレスを使用しプレス圧力20MPaでプレス成形した後、大気雰囲気下に1200℃で5時間焼結することにより、直径30.7mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
この酸化亜鉛焼結体を、リガク社製のATX−G、PANalyticalのX’Pert PRO MRDによってX線回折分析し、(100)、(002)、(101)面の各回折ピークの半値幅を求めたところ、各々0.106,0.108,0.099であった。また、この酸化亜鉛焼結体のCIE 1976空間で測定したL値は98.7であった。
この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生は見られなかった。
実施例2
最大粒子径が106μm以下で平均粒子径が15μmであり、約1300℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末65質量部と、ハクスイテック社製の酸化亜鉛1種(最大粒子径:20μm以下、平均粒子径;約1μm、未焼成粉末)35質量部を使用し、へンシェルミキサーを用いて十分混合した。
その後、機械プレスによりプレス圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1200℃で5時間焼結することにより、直径30.7mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛焼結体のX線回折特性を上記と同様にして測定したところ、(100)、(002)、(101)面の各回折ピークの半値幅は、各々0.116、0.104、0.109であった。また、この酸化亜鉛焼結体のCIE 1976空間で測定したL値は98.5であった。
この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生は見られなかった。
実施例3
最大粒子径が75μm以下で平均粒子径が10μmであり、約1400℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末63質量部と、ハクスイテック社製の酸化亜鉛1種(最大粒子径:20μm以下、平均粒子径;約1μm、未焼成粉末)34質量部と、酸化ガリウム粉末(キシダ化学社製)3質量部を使用し、ボールミルを用いて十分混合した。
その後、機械プレスによりプレス圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1200℃で5時間焼結することにより、直径32.0mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛焼結体のX線回折特性を上記と同様にして測定したところ、(100)、(002)、(101)面の各回折ピークの半値幅は、各々0.104、0.101、0.102であった。また、この酸化亜鉛焼結体のCIE 1976空間で測定したL値は87.5であった。
この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生は見られなかった。
比較例1
最大粒子径が250μm以下で平均粒子径が35μmであり、約1400℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末65質量部と、ハクスイテック社製の酸化亜鉛1種(最大粒子径:20μm以下、平均粒子径;約1μm、未焼成粉末)35質量部を使用し、ボールミルを用いて十分混合した。
その後、機械プレスによりプレス圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1200℃で5時間焼結することにより、直径31.9mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛焼結体のX線回折特性を上記と同様にして測定したところ、(100)、(002)、(101)面の各回折ピークの半値幅は、各々0.118、0.125、0.116であった。また、この酸化亜鉛焼結体のCIE 1976空間で測定したL値は98.4であった。
この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生が26回観察された。
比較例2
最大粒子径が250μm以下で平均粒子径が35μmであり、約1400℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末80質量部と、ハクスイテック社製の酸化亜鉛1種(最大粒子径:20μm以下、平均粒子径;約1μm、未焼成粉末)20質量部を使用し、ボールミルを用いて十分混合した。
その後、機械プレスによりプレス圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1200℃で5時間焼結することにより、直径32.3mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛焼結体のX線回折特性を上記と同様にして測定し、(100)、(002)、(101)面の各回折ピークの半値幅を求めたところ、各々0.122、0.118、0.116であった。また、この酸化亜鉛焼結体のCIE 1976空間で測定したL値は98.3であった。
この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生が30回観察された。
比較例3
最大粒子径が250μm以下で平均粒子径が35μmであり、約1400℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末63質量部と、ハクスイテック社製の酸化亜鉛1種(最大粒子径:20μm以下、平均粒子径;約1μm、未焼成粉末)34質量部と、酸化ガリウム粉末(キシダ化学社製)3質量部を使用し、ボールミルを用いて十分混合した。
その後、機械プレスによりプレス圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1200℃で5時間焼結することにより、直径32.5mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛焼結体のX線回折特性を上記と同様にして測定したところ、(100)、(002)、(101)面の各回折ピークの半値幅を求めたところ、各々0.116、0.120、0.114であった。また、この酸化亜鉛焼結体のCIE 1976空間で測定したL値は86.0であった。
この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生が22回観察された。

Claims (6)

  1. 酸化亜鉛主体の焼結体からなり、X線回折分析において(100)面、(002)面および(101)面に回折ピークを有し、該回折ピークのうち何れか1以上の半値幅が0.110度以下であることを特徴とする酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲット。
  2. 前記焼結体は、酸化亜鉛含量が80質量%以上である酸化亜鉛系粉末を予備成形し焼結したものである請求項1に記載のターゲット。
  3. 前記酸化亜鉛系粉末は、3B族、4B族、7B族から選ばれる少なくとも1種の元素を0.003〜20質量%含有するものである請求項1または2に記載のターゲット。
  4. 国際照明委員会が規定するCIE 1976空間で測定される明度のL値が65.0〜99.5である請求項1〜3のいずれかに記載のターゲット。
  5. 前記請求項1〜4のいずれかに記載のイオンプレーティング用ターゲットを製造する方法であって、1300〜1600℃で焼成されており、最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が2〜30μmである酸化亜鉛系焼成粉末5〜99質量%と、最大粒子径が20μm以下で平均粒子径が0.1〜2μmである酸化亜鉛系未焼成粉末1〜95質量%を含む均一混合物を予備成形し、600〜1600℃で焼結することを特徴とする酸化亜鉛系導電膜製造用ターゲットの製法。
  6. 前記請求項1〜4のいずれかに記載のターゲットを使用し、イオンプレーティング法によって酸化亜鉛系導電膜を形成することを特徴とする酸化亜鉛系導電膜の製法。
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