JP4730202B2 - 電子写真感光体及びその製造方法、並びにプロセスカートリッジ、画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、表面が、硬度の高いアモルファスシリコンからなる感光体では、放電生成物の付着などが発生し、画像ボケや画像ながれが発生し易く、この現象は特に高湿時に顕著である。これは有機感光層を有する有機感光体の表面層に関しても同様である。
例えば、有機感光層上に、触媒CVD法を利用してアモルファスシリコンカーバイド表面保護層を形成する方法(例えば、特許文献1参照)、耐湿性や耐刷性を改善することを目的としてアモルファス炭素中に微量のガリウム原子を含有させる技術(例えば、特許文献2参照)、ダイヤモンド結合を有するアモルファス窒化炭素を用いる技術(例えば、特許文献3参照)、非単結晶の水素化窒化物半導体を用いる技術(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
さらに、水素化窒化物半導体は、硬度と透明性には優れるものの、高湿環境下では、耐水性に欠け、実用性に劣る。
また、本発明者等は既に、リモートプラズマを用いた非単結晶III族窒化化合物半導体を表面層とした電子写真感光体を提案している(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、非単結晶III族窒化化合物半導体を有機感光体の表面層とする場合には、基板温度と成長表面温度とが異なるため、感光層が有機感光層の場合にはその表面が熱で損傷を受ける問題があり、本来の有機高分子フィルムなどの透明で平滑な特性を生かすことができなかった。また電荷輸送層が劣化して、光応答を示さなくなるという問題があった。
すなわち、本発明は、有機感光体の表面層をリモートプラズマを用いた半導体製造方法により形成した場合でも、機械的耐久性や表面平滑性に優れ、放電生成物の付着に起因する画像欠陥も抑制できると共に高感度であり、さらにこれらの特性を経時的に高いレベルで維持することが容易な電子写真用感光体及びその製造方法、並びにそれを用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することを課題とする。
<1> 導電性基体上に、感光層と表面層とがこの順に積層された電子写真感光体であって、
前記感光層が塗布により設けられた有機物の層からなり、前記表面層が前記塗布により設けられた感光層表面に直接設けられた層であり、13族元素と窒素とを含み、膜厚が0.01μm以上1μm未満であり、かつ、表面の中心線平均粗さ(Ra:以下、単に「Ra」という場合がある)が0.1μm以下である電子写真感光体である。
前記電子写真感光体が、請求項1に記載の電子写真感光体であるプロセスカートリッジである。
前記電子写真感光体が、<1>に記載の電子写真感光体である画像形成装置である。
<電子写真感光体及びその製造方法>
本発明の電子写真感光体(以下、「感光体」という場合がある)は、導電性基体上に、感光層と表面層とがこの順に積層された電子写真感光体であって、前記感光層が塗布により設けられた有機物の層からなり、前記表面層が前記塗布により設けられた感光層表面に直接設けられた層であり、13族元素と窒素とを含み、膜厚が0.01μm以上1μm未満であり、かつ、表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以下であることを特徴とする。
表面の中心平均粗さ(Ra)は0.07μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。
表面層の厚さは0.03〜0.7μmの範囲が好ましく、0.05〜0.5μmの範囲がより好ましい。
また、表面層の厚さは、触針式の段差測定装置(東京精密社製、表面粗さ計)と走査型電子顕微鏡(日立社製、S−400)により撮影した半導体膜の断面写真とを併用して測定した。
図1は、本発明の感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図1中、1は導電性基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、3は表面層を表す。図1に示す感光体は、導電性基体1上に、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される。
図3は、本発明の感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図3中、6は感光層を表し、他は、図1、図2中に示したものと同様である。図3に示す感光体は、導電性基体1上に、感光層6、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図1や図2に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である。
なお、本発明において感光層2、6は、有機物からなり、いわゆる有機感光層である。
特に、第3の元素としては、表面層3に水素が含まれていることが好ましい。この場合、13族元素と窒素との結合により、ダングリングボンドや構造欠陥の補償によって電気的な安定性と化学的安定性、機械的な安定性などから高い撥水性及び低摩擦係数などを高い硬度及び透明性とともに得ることができる。
更に第4の元素として酸素を含むことが好ましい。この場合特に、酸化雰囲気にある電子写真プロセスの中での耐酸化性を得ることができる。
表面層3の厚み方向における濃度分布は、例えば酸素を含む場合、窒素の濃度分布が感光層側に向かって増加し酸素の濃度分布が感光層側に向かって減少(すなわち、感光体の表面側に向かって増加)していても、更に、感光体の表面側の大部分では、酸素と、13族元素とからなり、感光体の感光層側近傍では、酸素以外の他の元素と、13族元素とからなる(すなわち、酸素を含まない)ことが好ましい。
このような酸素濃度分布を有することにより、機械的耐久性、耐酸化性、放電生成物の付着に起因する画像欠陥および感度をより高いレベルで両立させることができる上に、これらの特性をより長期に渡って維持することが容易であり、なお、表面層厚み方向の酸素濃度の分布プロファイルは特に限定されず、例えば、直線状、曲線状、階段状のいずれでもよい。
また、表面層3における窒素と13族元素との含有比は、13族元素の原子数の総和xと窒素の原子数yとの比(x:y)で1.0:0.2から1.0:2.0の間にあることが好ましい。この範囲外にあると四面体結合を形成した部分が少なくイオン分子結合的となり十分な化学的安定性や硬さを得ることができない。
RBSは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いた。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°である。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定しても良い。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度を向上できる。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
HFSは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400を用い、システムとして3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用した。白雲母は水素濃度が約6.5atomic%であることが知られている。なお、最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行うことができる。また、赤外吸収スペクトル測定により、13族元素−水素結合やN−H結合の強度から推定することもできる。
GaN吸収の半値巾は1100cm−1と800cm−1の吸収の谷を結んで低波数側に外挿した直線をベースラインとしてGaN吸収ピークから垂直に下ろした線との交点とピークの頂点までの吸収を全吸収強度として、この半分の強度の位置での吸収の横方向の線巾を半値巾と定義した。
まず、分析室の中央の試料台に10mm×10mmのシリコンウェハー上に成長させたGaN:H測定試料を水平に設置した後、ターボポンプにより1×10−4Pa以上に排気した。その後、電子銃の電圧を−15kVとし、電子ビームに試料に対する入射角とXYデフレクターとフォーカスを調整して電子銃と反対方向に設置したスクリーンに回折像が出現するようにして投影した。投影した像をデジタルカメラで撮影し評価した。
本発明の感光体は、その層構成が導電性基体上に感光層と表面層とがこの順に積層されたものである。本発明における感光層は、有機物からなる有機感光層である。また、これらの層の間に必要に応じて下引層等の中間層を設けてもよい。さらに感光層は、前記のように2層以上であってもよく、更に、機能分離型であってもよい。
このように、表面層3を形成する前に感光体表面に中間層5を設けることで、表面層3を形成するときの紫外線や、画像形成装置内で感光体が使用された場合のコロナ放電や各種の光源からの紫外線などの短波長光による感光層への影響を防ぐことができる。
表面層3が電荷注入層としても機能する場合には、中間層5や感光層2の表面(表面層側の面)で電荷がトラップされる。負帯電の場合にn型の表面層は電荷注入層として機能し、p型の表面層は電荷注入阻止層として機能する。正帯電の場合にはn型の表面層は電荷注入阻止層として機能し、p型の表面層は電荷注入層として機能する。
次に、表面層3の形成方法について説明する。表面層3の形成に際しては、感光層上に直接13族元素と窒素とを含むように形成することができる。また感光層2の表面をプラズマでクリーニングしても良い。
図4は、本発明の感光体の表面層3の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図4(A)は、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図4(B)は、図4(A)に示す成膜装置のA1−A2間における模式断面図を表す。図4中、10は成膜室、11は排気口、12は基体回転部、13は基体ホルダー、14は基体(導電性基体上に有機感光層等を設けたもの)、15はガス導入部、16はシャワーノズル、17はプラズマ拡散部、18は高周波電力供給部、19は平板電極、20はガス導入管、21は高周波放電管部である。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部21と、高周波放電管部21内に配置され、放電面が排気口11側に設けられた平板電極19と、高周波放電管部21外に配置され、平板電極19の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部18とから構成されたものである。なお、高周波放電管部21には、高周波放電管部21内にガスを供給するためのガス導入管20が接続されており、このガス導入管20のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
図5中、22が高周波コイル、23が石英管を表し、20は、図4中に示すものと同様である。このプラズマ発生装置は、石英管23と、石英管23の外周面に沿って設けられた高周波コイル22とからなり、石英管23の一方の端は成膜室10(図5中、不図示)と接続されている。また、石英管23のもう一方の端には、石英管23内にガスを導入するためのガス導入管20が接続されている。
また、成膜室10内には、基体回転部12が設けられており、円筒状の基体14が、シャワーノズルの長手方向と基体14の軸方向とが略平行に対面するように基体ホルダー13を介して基体回転部12に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部12が回転することによって、基体14を軸方向に回転させることができる。なお、基体14としては、予め感光層まで積層されたもの、あるいは、感光層上に中間層までが積層されたものが用いられる。
次に、水素をキャリアガスとして用いて水素希釈したトリメチルガリウム(13族元素を含む有機金属化合物)ガスをガス導入管15、シャワーノズル16を介して成膜室10に導入することによって、活性化した窒素とトリメチルガリウムとを活性水素を含む雰囲気で反応させ、基体14表面に水素と窒素とガリウムとを含む膜を成膜することができる。
水素ガスと窒素ガスとを同時にプラズマ内で活性化し、13族元素を含む有機金属化合物を反応させることで、プラズマ放電により生成した活性水素による基体表面で成長している膜のエッチング効果を得ることができ、これにより100℃未満の低温でも高温成長時と同等の膜質の13族元素及び窒素を含む化合物の膜を、有機物(有機感光層)の表面にも該有機物にダメージを与えることなく良好に形成することができる。その結果、前述のように表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以下の表面層を形成できる。
また、活性化した窒素により下流に導入した水素ガスを活性化することも利用できるが、基板表面でのエッチング作用は少なく、低温での成膜において硬さに優れた良質の膜を形成することができにくい。
なお、水素ガス濃度は10〜90体積%の範囲とすることがより好ましい。
基板表面温度は80℃以下の範囲とすることが好ましく、50℃以下の範囲とすることがより好ましい。なお、本発明において「感光層表面温度」とは、有機感光層表面にさらに中間層などの層が設けられるときは、その層を含めた全体の表面の温度をいう。
放電による基体表面温度の上昇を避けたい場合には、基体表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
例えば、表面層3の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管15、シャワーノズル16を介して成膜室10内に導入することにより、基体14上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、感光層2を劣化させる紫外線を吸収することができる。このため、成膜時の紫外線の発生による感光層2へのダメージを抑制できる。
成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としては、n型用としてはSiH3、SnH4を、p型用としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などをガス状態で使用できる。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用することもできる。
具体的には、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管15、シャワーノズル16を介して成膜室10内に導入することによってn型、p型等任意の導電型の表面層3を得ることができる。
このような硬質膜は、シリコンカーバイトに含まれるsp2結合性の炭素原子とは異なり、ダイヤモンドを構成する炭素原子のように、GaとNとがsp3結合を形成するため透明であり硬質である。また、この硬質膜を、自然酸化や、成膜後に酸素やオゾンなどの酸化処理によって酸素を含んだ膜とすることができ、この膜は透明且つ硬質であり、膜の表面は撥水性やすべり性が高く低摩擦である。
なお、プラズマの照射によって基体表面温度が上昇しないようにするためには、高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を防止する装置を設けても良い。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍で行っても良い。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
ただし、本発明において2種類以上のプラズマ発生装置を利用する場合には、基体表面温度がより上昇しやすくなるため、基体を冷却することが好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体を構成する導電性基体および感光層の詳細や、必要に応じて設けられる下引層や中間層の詳細について、本発明の電子写真感光体が機能分離型の有機感光層を有する有機感光体である場合(図1、2の構成)について説明する。
まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10〜20質量%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm2、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
下引層4を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないため好ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独または2種以上を混合したり、さらに上述の結着樹脂と混合して用いることが可能である。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。また、表面粗さの調整のために下引層表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウェットホーニング、研削処理等を用いることができる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面近傍で吸収され、さらに感光層中で散乱されるため、下引層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物微粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物微粒子表面に均一にカップリング剤を吸着させることができる。次に、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物微粒子と堅固な化学反応を起こさせることができる。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
中でも下引層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子と結着樹脂との比率は所望する感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
この分散型下引層用塗布剤により下引層を形成する方法は、上述した下引層用塗布剤を用いて下引層を形成する方法と同様に行うことができる。
電荷輸送層2Bに用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示できる。即ち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用できる。
また、前記電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲内が好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
なお、電荷輸送層2Bの膜厚は一般に5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜40μmの範囲であることがより好ましい。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン、
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有するチタニルフタロシアニン。
電荷発生層2Aを形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
電荷注入阻止層の材料としては上記に列挙したようなシランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、その他の有機金属化合物、ポリエステル、ポリビニルブチラールなどの汎用樹脂を用いることができる。電荷注入阻止層の膜厚は0.001〜5μm程度の範囲内で成膜性及びキャリアブロッキング性を考慮して適宜設定される。
次に、本発明の感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本発明の感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段および除電手段からなる群より選択される少なくとも一つとを一体に有し、画像形成装置本体に脱着自在である構成を有するものであることが好ましい。
また、本発明の画像形成装置は、本発明の感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本発明の感光体と、この感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電手段により帯電される感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段とを備えた構成を有するものであることが好ましい。なお、本発明の画像形成装置は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよく、この場合、全ての感光体が本発明の感光体であることが好ましい。また、トナー像の転写は、中間転写体を利用した中間転写方式であってもよい。
<実施例1>
(電子写真感光体の作製)
まず、以下に説明する手順により、Al基体上に、下引層と電荷発生層及び電荷輸送層(有機感光層)とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部およびブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mmのAl製基体表面に塗布し、150℃で10分間加熱乾燥することにより、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部および酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、および、下記構造式(2)で表される高分子化合物(粘度平均分子量:39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。
ノンコート感光体表面への表面層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、直径84mmで長さが340mmのノンコート感光体を、成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.05Pa程度になるまで真空排気した。次に、窒素ガスと水素ガスとを1:2の割合で混合したガスを、ガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に300sccm(窒素ガス100sccm、水素ガス200sccm)導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図1中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この感光体の表面粗さを東京精密社製のサーフコム550Aを用い、中心線平均粗さ(Ra)を、感光体の軸方向に測定長さ1.0mmで10個所測定し平均値を求めた。その結果、Raは0.02μmであった。
ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、Ga−H結合、Ga−N結合およびN−H結合に起因するピークが確認された。これらのことから、表面層中には、ガリウムと窒素と水素とが含まれていることがわかった。なお、Ga−N吸収ピークの半値幅は130cm−1であった。
また、成膜直後のSi基板上に形成された膜は、水に浸すと溶解した跡が残ったが、通常の常温常湿環境に1日放置した後の膜は水に浸しても溶解しない上に、ステンレス鋼で擦っても傷が付かなかった。
次に、この表面層を設けた電子写真感光体の電子写真特性を評価した。
まず、上述の表面層形成前のノンコート感光体と表面層を設けた感光体とに対して、スコロトロン帯電器により−700Vに負帯電させた後、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長:780nm、出力:5mW)を用いて、40rpmで回転させながら感光体の表面を走査し、照射した後の表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた電子写真感光体は−25V以下で同等であり、かつ温度湿度依存性が少なく量好なレベルであることがわかった。
さらに、表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
以上の結果から、表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
(電子写真感光体の作製)
−表面層の形成−
実施例1で作製したノンコート感光体を用い、その表面への表面層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、ノンコート感光体を、成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.05Pa程度になるまで真空排気した。次に、窒素ガスと水素ガスとを1:2(体積比)の割合で混合したガスを、ガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に600sccm(窒素ガス200sccm、水素ガス400sccm)導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図1中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力300Wにセットしチューナでマッチングを取り電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルアルミニウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この感光体の表面粗さを東京精密社製のサーフコム550Aを用い、中心線平均粗さ(Ra)を、感光体の軸方向の測定長さ1.0mmで10個所測定し平均値を求めた。その結果、Raは0.05μmであった。
ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、Al−H結合、Al−N結合およびN−H結合に起因するピークが確認された。これらのことから、表面層中には、アルミニウムと窒素と水素とが含まれていることがわかった。Al−N吸収ピークの半値幅は200cm−1であった。
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を評価した。
まず、上述の表面層形成前のノンコート感光体と表面層を設けた感光体とに対して、スコロトロン帯電器により−700Vに負帯電させた後、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長:780nm、出力:5mW)を用いて、40rpmで回転させながら感光体の表面に走査し、照射した後の表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた電子写真感光体は−30V以下で同等であり、かつ温度湿度依存性が少なく量好なレベルであることがわかった。
さらに、表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
以上の結果から、表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
(電子写真感光体の作製)
−表面層の形成−
実施例1で作製したノンコート感光体を用い、その表面への表面層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。具体的には、実施例1において混合ガス中の水素ガス濃度を低減した。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この感光体の表面粗さを東京精密社製のサーフコム550Aを用い、中心線平均粗さ(Ra)を、感光体の軸方向の測定長さ1.0mmで10個所測定し平均値を求めた。その結果、Raは0.05μmであった。
ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、IR吸収スペクトルではNHとOHの吸収が強く、GaN吸収は吸収巾270cm−1であり吸収幅が広い膜であった。
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を評価した。
まず、上述の表面層形成前のノンコート感光体と、表面層を設けた感光体とに対して、実施例1と同様にして露光用の光をこれら感光体の表面に照射した後の、表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた電子写真感光体は−30Vであり、残留電位は実用上問題なかった。
また、表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
その結果、プリントテスト初期およびプリントテスト終了後のいずれにおいても、ノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と同様の鮮明な画像であり、網点部での画像ボケがなく10本/mmの解像度を得ることができ、クリーニング不良による画像濃度の低下や画像むらの発生等は見られなかった。しかしながら、ノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と比較して、網点部でやや画像ボケが見られた。また、表面層には5000プリント後にわずかに傷が発生し、耐久性がやや不十分であることが分った。
(電子写真感光体の作製)
−表面層の形成−
実施例1で作製したノンコート感光体を用い、その表面への表面層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。具体的には、実施例1において混合ガス中の水素ガス濃度を高くした。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この感光体の表面粗さを東京精密社製のサーフコム550Aを用い、中心線平均粗さ(Ra)を、測定長さ1.0mmで10個所測定し平均値を求めた。その結果、Raは0.07μmであった。
ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、IR吸収スペクトルではNHとGaHの吸収と、GaNの吸収とが見られ、GaN吸収ピークの半値幅は200cm−1であった。
次に、この表面層を設けた電子写真感光体の電子写真特性を評価した。
まず、上述の表面層形成前のノンコート感光体と、表面層を設けた感光体とに対して、実施例1と同様にして露光用の光をこれら感光体の表面に照射した後の、表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた電子写真感光体は−70Vで、残留電位はやや高かった。
また、表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
その結果、ノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と比較して、濃度低下が見られた。また、表面層には5000プリント後にかすかに筋状の傷が発生し、耐久性がやや不十分であることが分った。
(電子写真感光体の作製)
−表面層の形成−
実施例1で作製したノンコート感光体を用い、その表面への表面層の形成は、図4に示す成膜装置にマイクロ波放電管を追加した図6に示す装置により行った。
また、ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、IR吸収スペクトルではNHとGaHの吸収と、GaNの吸収であり、GaN吸収の半値幅は250cm−1であった。
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真画像特性を評価した。
上記表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Colar 500に取り付けて、実施例1と同様にしてプリント評価を行ったところ、数枚のプリント出力ののち感光体表面を観察したところ、全面にトナーが付着しておりクリーニング不良が発生していることが分つた。また、画像は濃度が薄く解像度が低く、実用に耐えなかった。
(電子写真感光体の作製)
−表面層の形成−
実施例1で作製したノンコート感光体を用い、高周波放電を行わない以外は比較例1と同じ条件で表面層の形成を行った。
また、ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、IR吸収スペクトルではNHとGaHの吸収と、GaNの吸収であり、GaN吸収の半値幅は280cm−1であった。
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真画像特性を評価した。
上記表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Colar 500に取り付けて、実施例1と同様にしてプリント評価を行ったところ、数枚のプリント出力ののち感光体表面を観察したところ、全面にトナーが付着しておりクリーニング不良が発生していることが分つた。また、画像は濃度が薄く解像度が低く、実用に耐えなかった。
(電子写真感光体の作製)
−表面層の形成−
実施例1で作製したノンコート感光体を用い、成膜時間を長くした以外は比較例1と同じ条件で表面層の形成を行った。
また、別途成膜と同条件で予めノンコート感光体の表面に貼り付けておいたサーモテープの色を、成膜後に確認したところ、170℃であった。プラズマの照射のみで表面温度が上昇し、有機膜表面が溶けたものと推定できた。
また、ノンコート感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、IR吸収スペクトルではNHとGaHの吸収と、GaNの吸収であり、GaN吸収の半値幅は280cm−1であった。
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真画像特性を評価した。
上記表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Colar 500に取り付けて、実施例1と同様にしてプリント評価を行い、数枚のプリント出力ののち感光体表面を観察したところ、全面にトナーが付着しておりクリーニング不良が発生していることが分つた。また、画像は濃度が薄く解像度が低く、実用に耐えなかった。
2、6 感光層
2A 電荷発生層
2B 電荷輸送層
3 表面層
4 下引層
5 中間層
10 成膜室
11、32 排気口
12 基体回転部
13、33 基体ホルダー
14 基体
15 ガス導入部
16 シャワーノズル
17 プラズマ拡散部
18 高周波電力供給部
19 平板電極
20、39、40、41、42 ガス導入管
21 高周波放電管部
22 高周波コイル
23、35、36 石英管
31 容器
34 ヒーター
37 高周波コイル
38 マイクロ波導波管
Claims (6)
- 導電性基体上に、感光層と表面層とがこの順に積層された電子写真感光体であって、前記感光層が塗布により設けられた有機物の層からなり、前記表面層が前記塗布により設けられた感光層表面に直接設けられた層であり、13族元素と窒素とを含み、膜厚が0.01μm以上1μm未満であり、かつ、表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
- 電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される少なくとも一つとを一体に有し、画像形成装置に脱着自在であるプロセスカートリッジであって、
前記電子写真感光体が、請求項1に記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、該帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体が、請求項1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。 - 窒素を含む化合物を活性化した活性種と、13族元素を含む有機金属化合物とを、活性化した水素を含む雰囲気で反応させ、表面の温度が100℃未満の塗布により設けられた有機物からなる感光層表面に直接に、13族元素と窒素とを含み、膜厚が0.01μm以上1μm未満であり、かつ、表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以下である表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 窒素ガス及び水素ガスを混合した気体を活性化し、前記13族元素を含む有機金属化合物と反応させることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記窒素ガス及び水素ガスを混合した気体における水素ガスの濃度が、10〜95%の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
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